(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
(第1実施形態)
(減速機付モータ)
図1は、減速機付モータ1の外観を示す斜視図、
図2は、減速機付モータ1の一部の部品を取り外した状態を示す斜視図である。
図1、
図2に示すように、減速機付モータ1は、例えば、車両のパワーウインドウ装置等に用いられるものであって、電動モータ2と電動モータ2に連結されたウォーム減速機(クラッチ付減速機)3と、を備え、ウォーム減速機3にクラッチ機構4が内装されている。
【0029】
(電動モータ)
電動モータ2としては、例えば、ブラシ付直流モータなどが用いられる。このブラシ付直流モータは、有底筒状のヨーク5と、ヨーク5の内側に回転自在に設けられたアーマチュア6と、を備えている。ヨーク5の内周面には、複数(例えば、6つ)の永久磁石(不図示)が設けられている。一方、アーマチュア6は、ヨーク5に回転自在に支持されている回転軸7と、回転軸7に外嵌固定されているアーマチュアコア6aと、回転軸7のウォーム減速機3側に設けられるコンミテータ(不図示)と、を有している。アーマチュアコア6aには、不図示の巻線が巻回されている。この巻線に電流が供給されることにより、アーマチュアコア6aに所定の磁界が形成される。このようなアーマチュア6の回転軸7に、ウォーム減速機3が連結されている。
【0030】
(ウォーム減速機)
ウォーム減速機3は、アーマチュア6の一端側を受け入れるホルダ部8と、ウォームギア9およびクラッチ機構4を収納するギア収納部10と、が一体成形されたケーシング11と、を有している。
ホルダ部8は、電動モータ2側に開口部8aを有する箱状に形成されたものである。ホルダ部8には、アーマチュア6に設けられている不図示のコンミテータや、このコンミテータに摺接するブラシが収納される。
【0031】
電動モータ2は、ホルダ部8の開口部8aをヨーク5で閉塞するように設けられている。そして、ホルダ部8の開口部8a側の端部に、ヨーク5がボルト12によって締結固定される。
また、ホルダ部8の周壁8bには、不図示の外部電源と接続可能なコネクタ13が設けられている。コネクタ13の端子13aは、ホルダ部8に収納されている不図示のブラシと電気的に接続されている。これにより、電動モータ2のアーマチュア6に、外部電源の電力が供給される。
【0032】
図3は、ウォーム減速機3、およびクラッチ機構4の分解斜視図、
図4は、
図1のA−A線に沿う断面図である。
図2〜
図4に示すように、ケーシング11のギア収納部10は、一面に開口部10aを有するように箱状に形成されている。また、ギア収納部10は、ウォーム軸収納部17と、クラッチ収納部18と、が一体成形されたものである。ウォーム軸収納部17には、ウォームギア9の一方を構成するウォーム軸15が収納される。クラッチ収納部18には、ウォームギア9の他方を構成するウォームホイール(駆動回転体)16が収納されると共に、クラッチ機構4が収納される。
【0033】
ウォーム軸収納部17は、ウォーム軸15の形状に対応するように、開口部10a側からみた平面視が略長方形状に形成されている。ウォーム軸収納部17には、ウォーム軸15の他に、電動モータ2の回転軸7がホルダ部8を貫通して突出されている。そして、ウォーム軸15に、回転軸7が相対回転不能に連結されている。これにより、回転軸7とウォーム軸15とが一体となって回転する。
【0034】
一方、クラッチ収納部18は、ウォームホイール16の形状に対応するように、開口部10a側からみた平面視が略円形状に形成されている。クラッチ収納部18のエンド部(底部)18aには、径方向略中央に、センターシャフト28が開口部10aを介して突出するように立設されている。
【0035】
センターシャフト28は、ウォームホイール16、およびクラッチ機構4を回転自在に支持するためのものである。センターシャフト28の基端部(エンド部18a側端)は、末広がりとなるように円錐状に形成されて円錐斜面28aを有している。また、センターシャフト28の先端には、雄ネジ部32が刻設されている。雄ネジ部32には、ウォームホイール16、およびクラッチ機構4のセンターシャフト28からの抜けを規制するためのナット33が螺合される。
【0036】
さらに、クラッチ収納部18のエンド部18aには、センターシャフト28の周囲を取り囲むように、略リング状に形成された円筒部21が立設されている。円筒部21は、クラッチ機構4の一部を構成している。円筒部21の内周面には、エンド部18a側端(付根部分)から開口縁21aよりもやや手前に至る間に、ロックプレート受22が一体成形されている。ロックプレート受22は、内周面22aがエンド部18a側に向かうに従って徐々に縮径するように、傾斜形成されている。このようなロックプレート受22には、クラッチ機構4の一部を構成する後述のロックプレート38が収納される。
この他、円筒部21には、ロックプレート受22の先端面22b上に、クラッチ機構4の一部を構成する後述のブレーキバネ70が内嵌される。
【0037】
また、ギア収納部10の外側面10bには、3つのボルト座23a,23b,23cが外側面10bの法線方向に沿って突出形成されている。3つのボルト座23a〜23cのうち、1つのボルト座23aは、ウォーム軸収納部17に対応する位置に配置されている。また、3つのボルト座23a〜23cのうち、その他の2つのボルト座23b,23cは、それぞれクラッチ収納部18に配置されている。各ボルト座23a〜23cには、それぞれ不図示のボルトを挿通可能な貫通孔25が形成されている。この貫通孔25および不図示のボルトを利用することにより、不図示の外部機器にケーシング11を締結固定できる。
【0038】
図5は、ウォームホイール16をクラッチ収納部18のエンド部18a側からみた平面図である。なお、以下の説明では、センターシャフト28の軸方向を単に軸方向、センターシャフト28の径方向を単に径方向、ウォームホイール16の回転方向を周方向と称する。
図3〜
図5に示すように、ウォームホイール16は略円板状に形成されており、その外径は、クラッチ収納部18に形成されている円筒部21の外径よりも大きく設定されている。ウォームホイール16の外周面には、ウォーム軸15に噛合う歯部34が形成されている。また、ウォームホイール16の径方向中央には、センターシャフト28が挿通される挿通孔35が形成されている。
【0039】
さらに、ウォームホイール16のクラッチ収納部18には、エンド部18a側の一面16aの大部分に、軸方向からみた平面視が略円形状の収納凹部39が形成されている。収納凹部39の直径は、円筒部21の外形よりも若干大きく設定されている。そして、センターシャフト28に挿入されたウォームホイール16は、収納凹部39内に円筒部21を収納した形でクラッチ収納部18のエンド部18a上に配置される。
【0040】
また、ウォームホイール16の一面16aには、収納凹部39の周囲を取り囲むように、軸方向からみた平面視が略円環状の凸部61が一体成形されている。この凸部61は、ウォームホイール16の一面16aとクラッチ収納部18のエンド部18aとの接触面積を減らし、クラッチ収納部18に対するウォームホイール16の摺動抵抗を減少させるためのものである。
さらに、収納凹部39には、2つの第1係合孔36a,36bが挿通孔35を挟んで径方向で対向するように形成されている。第1係合孔36a,36bは、ウォームホイール16と後述のドライブプレート(従動回転体)41とを係合させるための孔である。各第1係合孔36a,36bは、軸方向からみた平面視で、径方向外側に向かうに従って周方向に拡がるように略扇状に形成されている。
【0041】
また、収納凹部39には、2つの第1係合孔36a,36bの間で、且つ2つの第1係合孔36a,36bのうちの一方の第1係合孔36a寄りに、それぞれ第2係合孔62a,62bが形成されている。第2係合孔62a,62bは、ウォームホイール16と後述のロックプレート38とを係合させるための孔である。各第2係合孔62a,62bも、軸方向からみた平面視で、径方向外側に向かうに従って周方向に拡がるように略扇状に形成されている。また、各第2係合孔62a,62bの開口面積は、第1係合孔36a,36bの開口面積よりも小さく設定されている。
【0042】
さらに、収納凹部39の底面39aには、挿通孔35、第1係合孔36a,36b、および第2係合孔62a,62bを避けるように、係合凸部63が突出形成されている。すなわち、係合凸部63は、収納凹部39の径方向中央に形成された中央凸部64と、中央凸部64の外周面から径方向外側に突出形成された2つのロックプレート第1解除凸部65、2つのバネ解除凸部66、および2つのドライブ凸部68が一体成形されたものである。
【0043】
中央凸部64は、挿通孔35を有している。
2つのロックプレート第1解除凸部65は一方の第1係合孔36aと各第2係合孔62a,62bとの間に配置されている。ロックプレート第1解除凸部65は、ロックプレート38とウォームホイール16とを一体に回転させ、ロックプレート38が機能しないようにするためのものである(詳細は後述する)。
2つのバネ解除凸部66は、第2係合孔62a,62bの他方の第1係合孔36b側に配置されている。2つのドライブ凸部68は、他方の第1係合孔36bの周方向両側に配置されている。バネ解除凸部66は、後述のブレーキバネ70とウォームホイール16とを一体に回転させ、ブレーキバネ70が機能しないようにするためのものである(詳細は後述する)。
【0044】
また、これらロックプレート第1解除凸部65およびバネ解除凸部66の径方向先端と収納凹部39の内周面39bとの間には、円筒部21を挿入可能な間隙K1が形成されている。ロックプレート第1解除凸部65およびバネ解除凸部66の径方向先端は、それぞれ収納凹部39の内周面39bの形状に対応するように、円弧状に形成されている。これにより、係合凸部63と収納凹部39の内周面39bとの間には、所定の間隙K1が形成される。
【0045】
ドライブ凸部68は、中央凸部64の外周面から径方向外側への突出長さが、ロックプレート第1解除凸部65やバネ解除凸部66との径方向外側への突出長さと比較して短く設定されている。ドライブ凸部68の第1係合孔36b側の一方の側面68aは、この第1係合孔36bの側辺に沿って平坦に形成されている。
さらに、ドライブ凸部68の一方の側面68aとは反対側の他方の側面68bは、中央凸部64におけるバネ解除凸部66と第1係合孔36bとの間の側面64aと共に連続する平坦に形成されている。そして、これら側面68b,64aと、バネ解除凸部66の第1係合孔36b側の側面66aと、により、軸方向からみてV字状のV溝67が形成される。
【0046】
このように構成された係合凸部63の突出高さは、収納凹部39の深さと比較して低く設定されている。すなわち、収納凹部39における係合凸部63の軸方向端部上には、十分なスペースが確保されており、このスペースにロックプレート38が収納される。
また、このように構成されたウォームホイール16は、ウォームギア9の他方を構成していると共に、クラッチ機構4の一部を構成している。
【0047】
(クラッチ機構)
クラッチ機構4は、クラッチ収納部18に設けられた円筒部21と、ウォームホイール16の他に、ウォームホイール16の収納凹部39に収納されるロックプレート38およびブレーキバネ70と、ウォームホイール16におけるギア収納部10の開口部10a側の他面16b上に配置されたドライブプレート41と、を備えている。
【0048】
図6は、ロックプレート38の斜視図である。
図3、
図4、
図6に示すように、ロックプレート38は、略円環状に形成されており、その外径D1は、ウォームホイール16の収納凹部39の直径よりも若干小さく設定されている。より具体的には、ロックプレート38の外径D1は、ウォームホイール16のロックプレート第1解除凸部65およびバネ解除凸部66の径方向の先端を通る仮想円S1(
図4参照)の直径と、ほぼ同一に設定されている。これにより、ウォームホイール16の収納凹部39には、係合凸部63の軸方向端部上に、ロックプレート38が収納される。また、クラッチ収納部18の円筒部21に一体成形されたロックプレート受22に、ロックプレート38が収納される。すなわち、ロックプレート受22上(クラッチ収納部18のエンド部18a上)に、ロックプレート38が載置された状態になる。
【0049】
また、ロックプレート38の内径D2は、ロックプレート受22にロックプレート38を収納した際に、このロックプレート38がセンターシャフト28の円錐斜面28aと干渉しない大きさに設定されている。さらに、ロックプレート38の外周面には、ロックプレート受22の内周面22aに対応するように、クラッチ収納部18のエンド部18a側に向かうに従って先細りに形成された斜面(テーパ面)38aが設けられている。
これにより、ロックプレート受22の内周面22aに、ロックプレート38の斜面38aが面接触される。すなわち、ロックプレート受22の内周面22a、およびロックプレート38の斜面38aは、それぞれロックプレート受22とロックプレート38との摺動部分として設定されている。
【0050】
また、ロックプレート38には、ウォームホイール16の2つの第2係合孔62a,62bに対応する位置に、それぞれ略円柱状のロックプレート第2解除凸部49がウォームホイール16側に向かって突出形成されている。つまり、ウォームホイール16の各第2係合孔62a,62bに、それぞれロックプレート第2解除凸部49が挿入されている。
ロックプレート第2解除凸部49は、ウォームホイール16に一体成形されているロックプレート第1解除凸部65と協働して、ロックプレート38とウォームホイール16とを一体に回転させるためのものである。これにより、ロックプレート38が機能しないようにする(詳細は後述する)。
【0051】
また、ロックプレート38には、ウォームホイール16の2つの第1係合孔36a,36bに対応する位置に、それぞれ係合凹部46が形成されている。係合凹部46は、ロックプレート38と後述のドライブプレート41とを係合させるための孔である。
各係合凹部46は、軸方向からみた平面視で、径方向外側に向かうに従って周方向に拡がるように略扇状に形成されている。係合凹部46の周方向の幅は、第1係合孔36a,36bの周方向の幅とほぼ同一かまたは若干大きい程度に設定されている。
【0052】
係合凹部46の周方向中央には、ロックプレート38を厚さ方向に貫通する貫通孔47が形成されている。貫通孔47も係合凹部46の形状に対応するように、軸方向からみた平面視が径方向外側に向かうに従って周方向に拡がるように略扇状に形成されている。また、貫通孔47の周方向の幅は、係合凹部46全体の周方向の幅の約1/3程度に設定されている。
係合凹部46における貫通孔47の周方向両側は、この貫通孔47から係合凹部46の周方向両端に向かうに従ってウォームホイール16側に肉厚が増加するように、傾斜面46aを有している。この傾斜面46aの傾斜角度θ1は、例えば20°〜30°に設定されていることが好ましい。
【0053】
図7は、
図4のB−B線に沿う断面図である。
図8は、
図7のC部拡大図である。
図3、
図4、
図7、
図8に示すように、ブレーキバネ70は、クラッチ収納部18の円筒部21との間で摺動摩擦を発生させるためのものである。ブレーキバネ70は、クラッチ収納部18の円筒部21に一体成形されたロックプレート受22の先端面22b上で、且つ円筒部21の内周面21aに内嵌される略C字状のブレーキ本体71と、ブレーキ本体71の2つの先端にそれぞれ一体成形されている2つの作用部72と、が一体成形されたものである。
【0054】
ブレーキ本体71の外径は、円筒部21の内周面21aの直径よりも若干小さい程度に設定されている。そして、円筒部21とウォームホイール16に形成されているロックプレート第1解除凸部65およびバネ解除凸部66の径方向先端との間に、ブレーキ本体71が介在される。
また、ブレーキ本体71は、円筒部21に収納された状態で、2つのバネ解除凸部66を2つのロックプレート第1解除凸部65を経て跨るように延在されている。
【0055】
2つの作用部72は、ブレーキ本体71の先端からウォームホイール16のV溝67に沿って屈曲形成されている。すなわち、2つの作用部72は、ブレーキ本体71の先端から径方向内側に、且つ互いに接近する方向に向かって折り返されるように屈曲延出する内側曲折部72aと、内側曲折部72aの先端から径方向外側に、且つ互いに接近する方向に向かって折り返されるように屈曲延出する外側曲折部72bと、外側曲折部72bの先端から互いに離間する方向に向かって折り返されるように屈曲延出する折り返し部72cと、が一体成形されたものである。
【0056】
そして、内側曲折部72aは、バネ解除凸部66の側面66aに沿って延出されている。また、外側曲折部72bは、ドライブ凸部68の他方の側面68bおよび中央凸部64の側面64aに沿って延出されている。さらに、2つの外側曲折部72bに、ウォームホイール16の他方の第1係合孔36b、およびロックプレート38の係合凹部46が介在された形になる。
【0057】
図9は、ドライブプレート41をクラッチ収納部18のエンド部18a側からみた斜視図である。
図3、
図4、
図9に示すように、ウォームホイール16の他面16b上に配置されたドライブプレート41は、略円板状に形成されたプレート本体50を有している。プレート本体50の径方向略中央には、センターシャフト28を挿通するための挿通孔51が形成されている。
【0058】
プレート本体50のウォームホイール16側の一面50aには、ウォームホイール16の2つの第1係合孔36a,36bに対応する部位に、それぞれ凸部52a,52bがウォームホイール16側に向かって突出形成されている。各凸部52a,52bは、ウォームホイール16の第1係合孔36a,36bと係合されてウォームホイール16の回転をドライブプレート41に伝達させるものである。また、各凸部52a,52bは、ロックプレート38の係合凹部46と係合されてロックプレート38を機能させたりするためのものである(詳細は後述する)。
【0059】
各凸部52a,52bは、径方向に沿う断面が、第1係合孔36a,36bの形状に対応するように、径方向外側に向かうに従って周方向に拡がるように略扇状に形成されている。また、各凸部52a,52bの周方向の幅は、各第1係合孔36a,36bの周方向の幅よりも小さく設定されている。そして、ウォームホイール16の他面16b上にドライブプレート41を配置した状態では、ウォームホイール16の各第1係合孔36a,36bに、ドライブプレート41の各凸部52a,52bが挿入されている。
【0060】
ここで、ウォームホイール16の各第1係合孔36a,36bにドライブプレート41の各凸部52a,52bが挿入されているので、ロックプレート38は、ドライブプレート41とクラッチ収納部18のエンド部18aとの間に配置された状態になる。また、ロックプレート38は、ウォームホイール16とクラッチ収納部18のエンド部18aとの間に配置された状態になる。
さらに、各凸部52a,52bの先端面には、それぞれロックプレート38の係合凹部46の傾斜面46aに対応するように、傾斜面52cが形成されている。傾斜面52cは、各凸部52a,52bが周方向中央に向かうに従って突出高さが高くなる先細りとなるように、形成されている。
【0061】
プレート本体50の凸部52a,52bとは反対側の他面50bには、外周縁に略円環状の凸部53が軸方向に沿って突出形成されている。この凸部53の外周面、プレート本体50の外周面、および凸部52a,52bの径方向外側面は、面一になっている。
また、プレート本体50の他面50bには、径方向中央に、ピニオンギア54が一体成形されている。ピニオンギア54は、例えば、パワーウインドウ装置等に設けられているギアに噛合される部分である。ピニオンギア54の径方向中央には、プレート本体50の挿通孔51に連通される挿通孔55が形成されている。これら挿通孔51,55に、センターシャフト28が挿通される。そして、センターシャフト28に、ドライブプレート41が回転自在に支持される。
【0062】
図2、
図4に示すように、センターシャフト28は、先端の雄ネジ部32がロックプレート38、ウォームホイール16、およびドライブプレート41を貫通し、このドライブプレート41のピニオンギア54から突出している。そして、雄ネジ部32にナット33が螺合されることにより、ロックプレート38、ウォームホイール16、およびドライブプレート41のセンターシャフト28からの抜けが規制される。また、ウォームホイール16の収納凹部39に収納されたブレーキバネ70も、収納凹部39への収納状態が維持される。
【0063】
図1、
図3に示すように、ケーシング11のギア収納部10には、このギア収納部10の開口部10aを閉塞するカバー56が設けられている。カバー56のドライブプレート41に対応する箇所には、このドライブプレート41を外部に露出させる開口部56aが形成されている。この開口部56aを介してドライブプレート41のみ露出されるので、ロックプレート38、ブレーキバネ70、およびウォームホイール16は、それぞれケーシング11のクラッチ収納部18内に完全に収納される。一方、ドライブプレート41は、プレート本体50の軸方向略中央から先端側が、カバー56から突出する。
【0064】
また、カバー56には、開口部56aの周縁に、この開口部56aとドライブプレート41との間のシール性を確保するための略円環状のシール部57が設けられている。このシール部57の内周縁に、ドライブプレート41の凸部53が摺接されている。これにより、カバー56の開口部56aとドライブプレート41との間のシール性が確保される。
【0065】
次に、ケーシング11にクラッチ機構4を組み付けた状態で、且つウォームホイール16に形成されている第1係合孔36a,36bの周方向中央、およびロックプレート38に形成されている係合凹部46の周方向中央に、ドライブプレート41の凸部52a,52bが位置している状態(以下、フリー状態という)について説明する。
図10は、クラッチ機構4のフリー状態を示す説明図である。
同図に示すように、ケーシング11にクラッチ機構4を組み付けた状態で、且つフリー状態では、ウォームホイール16の第1係合孔36a,36bの周方向内側面とドライブプレート41の凸部52a,52bの周方向外側面との間に、所定の微小クリアランスC1が形成される。
【0066】
また、フリー状態では、ロックプレート38の係合凹部46にドライブプレート41の凸部52a,52bが挿入され、係合凹部46と凸部52a,52bとが軸方向で突き合わされている。これに加え、係合凹部46の傾斜面46aと凸部52a,52bの傾斜面52cとの間に、周方向において所定の微小クリアランスC2が形成される。
【0067】
また、
図8に示すように、フリー状態では、ドライブプレート41の2つの凸部52a,52bのうち、一方の凸部52aの周方向外側面と、ウォームホイール16に形成されているドライブ凸部68の一方の側面68aとの間に、所定の微小クリアランスC3が形成される。
さらに、ウォームホイール16に形成されている第2係合孔62a,62bに、ロックプレート38に形成されているロックプレート第2解除凸部49が挿入される。そして、ウォームホイール16に形成されているロックプレート第1解除凸部65の周方向外側面とロックプレート第2解除凸部49との間に、微小クリアランスC4が形成される。
【0068】
また、フリー状態では、ドライブプレート41の2つの凸部52a,52bのうち、他方の凸部52bの周方向外側面と、ウォームホイール16に形成されているロックプレート第1解除凸部65の周方向外側面との間に、微小クリアランスC5が形成される。
さらに、ブレーキバネ70の内側曲折部72aとウォームホイール16に形成されているバネ解除凸部66の側面66aとの間に、微小クリアランスC6が形成される。
ここで、各微小クリアランスC1,C3〜C6の幅は、同一寸法に設定されている。
【0069】
また、
図7に示すように、フリー状態では、ブレーキバネ70の2つの外側曲折部72bの間に、ウォームホイール16の2つの第1係合孔36a,36bのうち、一方の第1係合孔36aに挿通されるドライブプレート41の凸部52aが介在される。フリー状態では、ブレーキバネ70にドライブプレート41の凸部52aによる押圧力はかからず、2つの外側曲折部72bに、凸部52aの径方向外側の角部52dが丁度接触した状態になる。
【0070】
(クラッチ機構の作用)
次に、
図7、
図10〜
図12に基づいて、クラッチ機構4の作用について説明する。なお、以下の説明において、車両に搭載されているパワーウインドウ装置に、減速機付モータ1を用いた場合について説明する。
上述したように、ケーシング11にクラッチ機構4を組み付けた状態では、クラッチ機構4は、
図7に示すように、フリー状態になっている。
【0071】
図11は、電動モータ2を駆動させた場合のクラッチ機構4の動作説明図である。
図10、
図11に示すように、電動モータ2を駆動させると、回転軸7、およびウォーム軸15を介してウォームホイール16が回転する(
図11における矢印Y1参照)。すると、ドライブプレート41の凸部52a,52bの周方向外側面に、それぞれ対応するウォームホイール16の各第1係合孔36a,36bの周方向内側面が当接する。
【0072】
ここで、各微小クリアランスC1,C3〜C6の幅は、同一寸法に設定されている(
図7、
図8、
図10参照)ので、ドライブプレート41の凸部52a,52bの周方向外側面に、それぞれ対応するウォームホイール16の各第1係合孔36a,36bの周方向内側面が当接するのと同時に、ドライブプレート41の一方の凸部52aの周方向外側面に、ウォームホイール16に形成されているドライブ凸部68の一方の側面68aが当接する。
また、これと同時に、ロックプレート38のロックプレート第2解除凸部49に、ウォームホイール16のロックプレート第1解除凸部65の周方向外側面が当接する。さらに、これと同時に、ドライブプレート41の他方の凸部52bの周方向外側面に、ウォームホイール16のロックプレート第1解除凸部65の周方向外側面が当接する。また、これと同時に、ブレーキバネ70の内側曲折部72aに、ウォームホイール16のバネ解除凸部66の側面66aが当接する。
【0073】
このような状態では、ロックプレート38に対するドライブプレート41の位置は、変化していない。つまり、ロックプレート38に形成されている係合凹部46の周方向中央に、ドライブプレート41の凸部52a,52bが位置している。このため、係合凹部46と凸部52a,52bとが軸方向で突き合わされているものの、係合凹部46の傾斜面46aと凸部52a,52bの傾斜面52cとの間に、周方向において所定の微小クリアランスC2が形成されている。この結果、ロックプレート38には何ら押圧力が作用せず、このロックプレート38の斜面38aとクラッチ収納部18に設けられているロックプレート受22の内周面22aとの間に、殆ど摩擦力が生じることがない。
【0074】
そして、この状態からさらにウォームホイール16が回転すると、このウォームホイール16がロックプレート38、ドライブプレート41、およびブレーキバネ70を押圧し、これらウォームホイール16、ロックプレート38、ドライブプレート41、およびブレーキバネ70が一体となって回転する。
【0075】
ここで、ブレーキバネ70の内側曲折部72aは、ブレーキ本体71の先端から径方向内側に、且つ互いに接近する方向に向かって折り返されるように屈曲延出されている。そして、内側曲折部72aを押圧するバネ解除凸部66の側面66aは、内側曲折部72aに沿った形になっている。このため、バネ解除凸部66によって押圧される内側曲折部72aには、径方向内側へ向かう力が作用し、ブレーキバネ70の全体が僅かに縮径するように変形する。この結果、ブレーキバネ70と、このブレーキバネ70が内嵌されている円筒部21の内周面21aとの間に、殆ど摩擦力が生じることがない。
【0076】
ウォームホイール16、ロックプレート38、ドライブプレート41、およびブレーキバネ70が一体となって回転すると、ドライブプレート41のピニオンギア54に連結されているパワーウインドウ装置(不図示)に電動モータ2の回転が出力される。すなわち、クラッチ機構4のうち、ウォームホイール16は、電動モータ2の回転軸7の回転がウォーム軸15を介して入力される駆動回転体の役割を有している。一方、ドライブプレート41は、駆動回転体であるウォームホイール16の回転をパワーウインドウ装置に出力する従動回転体の役割を有している。そして、これによってパワーウインドウ装置が駆動し、車両のウインドウガラスの開閉動作が行われる。
【0077】
図12は、外力により、ウォームホイール16よりも先にドライブプレート41が回転した場合のクラッチ機構4の動作説明図である。
同図に示すように、電動モータ2が停止状態であって、例えば、ウインドウガラスの自重や車両走行時の振動等の外力によりウインドウガラスが開こうとすると、パワーウインドウ装置を介してドライブプレート41に回転力が作用する。この場合、ウォームホイール16よりも先にドライブプレート41が回転することになる。
【0078】
ドライブプレート41に回転力が作用すると、ウォームホイール16、およびロックプレート38は停止したままの状態でドライブプレート41のみが回転し始める(
図12における矢印Y2参照)。すると、ドライブプレート41の一方の凸部52aによって、ブレーキバネ70の外側曲折部72bが押圧され、ブレーキバネ70の全体が僅かに拡径するように変形する。この結果、ブレーキバネ70と円筒部21の内周面21aとの間に摩擦力が生じ、ドライブプレート41の回転が阻害される。
【0079】
また、ロックプレート38が停止したままの状態であるので、ロックプレート38の係合凹部46の傾斜面46aに、ドライブプレート41の凸部52a,52bの傾斜面52cが当接する。この時点では、ウォームホイール16の各第1係合孔36a,36bの周方向内側面に、ドライブプレート41の凸部52a,52bの周方向外側面が当接されていない。また、ウォームホイール16に形成されているドライブ凸部68の一方の側面68aに、ドライブプレート41の一方の凸部52aの周方向外側面が当接されていない。
【0080】
ここで、係合凹部46の傾斜面46aは、係合凹部46の周方向中央に形成されている貫通孔47から係合凹部46の周方向両端に向かうに従ってウォームホイール16側に肉厚が増加している。一方、凸部52a,52bの傾斜面52cは、各凸部52a,52bが周方向中央に向かうに従って突出高さが高くなる先細りとなるように、形成されている。このため、ロックプレート38の係合凹部46の傾斜面46aとドライブプレート41の凸部52a,52bの傾斜面52cとが当接された状態から、さらにドライブプレート41が回転しようとすると、ロックプレート38がクラッチ収納部18のエンド部18a側に向かって押圧される。これにより、円筒部21のロックプレート受22の内周面22aとロックプレート38の斜面38aとの間に大きな摩擦力が生じ、ドライブプレート41の回転が阻止される。
【0081】
ところで、外力によるドライブプレート41の回転力が大きい場合、ウォームホイール16に形成されているドライブ凸部68の一方の側面68aにドライブプレート41の一方の凸部52aの周方向外側面が当接しても、さらにウォームホイール16と共にドライブプレート41が回転しようとする。仮にウォームホイール16が回転してしまうと、ロックプレート38のロックプレート第2解除凸部49に、ウォームホイール16のバネ解除凸部66が乗り上げてしまう。
【0082】
しかしながら、クラッチ機構4は、ロックプレート38の他にブレーキバネ70を備えているので、このブレーキバネ70のバネ力によってドライブプレート41の回転が抑制される。このため、外力によってドライブプレート41が回転しようとする際、ドライブプレート41が回りすぎて、ロックプレート第2解除凸部49にバネ解除凸部66が乗り上げてしまうことが防止される。すなわち、ブレーキバネ70は、外力によってドライブプレート41が回転しようとする場合において、このドライブプレート41の回転量を規制する回転量規制部として機能する。
【0083】
このように、上述のクラッチ機構4は、ウォームホイール16の一面16a側に配置され、ドライブプレート41の凸部52a,52bの先端と突き合わされる係合凹部46を有して凸部52a,52bと係合するロックプレート48を有している。ロックプレート48は、ロックプレート受22上(クラッチ収納部18のエンド部18a上)に載置されている。また、ウォームホイール16の一面16a側とロックプレート48との間で、且つ円筒部21の内周面21aに内嵌されるように、ブレーキバネ70が配置されている。ブレーキバネ70は、開口(2つの作用部72の間)に、ドライブプレート41の一方の凸部52aが介在するように略C字状に形成されている。また、ブレーキバネ70の作用部72に、ウォームホイール16のバネ解除凸部66が当接するように構成されている。
【0084】
このため、電動モータ2を駆動させてウォームホイール16を回転させると、このウォームホイール16の回転をスムーズにドライブプレート41に伝達することができる。これに対し、外力によってウォームホイール16よりも先にドライブプレート41が回転した場合、ロックプレート48に加え、ブレーキバネ70によって、ウォームホイール16が回転してしまうことを確実に防止できる。
【0085】
また、クラッチ機構4は、ウォームホイール16の一面16aに収納凹部39を形成し、この収納凹部39に、クラッチ収納部18に設けられている円筒部21、ロックプレート38、およびブレーキバネ70を収納している。さらに、収納凹部39の底面39aに、ロックプレート38のロックプレート第2解除凸部49やブレーキバネ70の作用部72に係合可能な係合凸部63を形成している。このため、ウォームホイール16の一面16aに、クラッチ機構4を構成する部品の大部分が収納され、このクラッチ機構4を小型化できる。
【0086】
また、ブレーキバネ70は、略C字状のブレーキ本体71と、ブレーキ本体71の2つの先端にそれぞれ一体成形されている2つの作用部72と、により構成されている。2つの作用部72は、ブレーキ本体71の先端から径方向内側に、且つ互いに接近する方向に向かって折り返されるように屈曲延出する内側曲折部72aと、内側曲折部72aの先端から径方向外側に、且つ互いに接近する方向に向かって折り返されるように屈曲延出する外側曲折部72bと、外側曲折部72bの先端から互いに離間する方向に向かって折り返されるように屈曲延出する折り返し部72cと、により構成されている。そして、2つの外側曲折部72bの間に、ドライブプレート41の凸部52aが介在される。
【0087】
このため、内側曲折部72aにバネ解除凸部66が当接するとき、ブレーキバネ70に縮径変形する方向に向かう力が作用する。そして、このままドライブプレート41とブレーキバネ70とが一体となって回転するので、クラッチ収納部18の円筒部21とブレーキバネ70との間に、大きな摩擦力が発生してしまうことを確実に防止できる。このため、ウォームホイール16によってドライブプレート41を回転させる際、伝達効率が低減してしまうことを防止できる。
これに対し、ウォームホイール16よりも先にドライブプレート41が回転するとき、外側曲折部72bにより、ブレーキバネ70を確実に拡径変形させることができる。このため、クラッチ収納部18の円筒部21とブレーキバネ70との間に、大きな摩擦力を発生させることができ、ウォームホイール16が回転してしまうことを確実に防止できる。
【0088】
また、ロックプレート38に、ウォームホイール16側に向かって突出するロックプレート第2解除凸部49が形成されている。さらに、ウォームホイール16の係合凸部63は、ロックプレート第1解除凸部65を有している。そして、ロックプレート38の係合凹部46の傾斜面46aに、ドライブプレート41の凸部52a,52bの傾斜面52cが当接するよりも先に、ロックプレート38のロックプレート第2解除凸部49に、ウォームホイール16のロックプレート第1解除凸部65の周方向外側面が当接する。
このため、電動モータ2の回転によってウォームホイール16が回転するとき、円筒部21のロックプレート受22の内周面22aとロックプレート38の斜面38aとの間に大きな摩擦力が生じてしまうことを防止できる。よって、ウォームホイール16の回転を、より効果的にドライブプレート41に伝達することができる。
【0089】
また、クラッチ機構4は、ロックプレート38の他にブレーキバネ70を備えているので、このブレーキバネ70のバネ力によってドライブプレート41の回転が抑制される。このため、外力によってドライブプレート41が回転しようとする際、ドライブプレート41が回りすぎて、ロックプレート第2解除凸部49にバネ解除凸部66が乗り上げてしまうことが防止される。すなわち、ブレーキバネ70は、外力によってドライブプレート41が回転しようとする場合において、このドライブプレート41の回転量を規制する回転量規制部として機能する。したがって、部品点数を増加させることなく、ロックプレート第2解除凸部49にバネ解除凸部66が乗り上げてしまうことを確実に防止できる。この結果、製造コストを低減しつつ、信頼性の高いクラッチ機構4を提供できる。
また、近年需要が高まっている、外力による回転力によって電動モータ2の回転軸が回転してしまうことを、より確実に防止できるクラッチ付減速機4を提供できる。
【0090】
(第2実施形態)
次に、
図13に基づいて、本発明の第2実施形態について説明する。
図13は、第2実施形態におけるウォーム減速機203、およびクラッチ機構204の分解斜視図であって、前述の
図3に対応している。なお、第1実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明を省略する。
同図に示すように、前述の第1実施形態と本第2実施形態との相違点は、第1実施形態のウォームホイール16、ロックプレート38、およびドライブプレート41の形状と、第2実施形態のウォームホイール216、ロックプレート238、およびドライブプレート241の形状とが異なる点にある。
【0091】
より詳しくは、ウォームホイール216には、第1係合孔236、および第2係合孔262がそれぞれ1つずつ形成されている。これら第1係合孔236と第2係合孔262は、挿通孔35を中心に径方向で対向配置されている。
また、ロックプレート238には、ウォームホイール216の第1係合孔236に対応する位置に、係合凹部246が1つ形成されている。さらに、ロックプレート238には、ウォームホイール216の第2係合孔62に対応する位置に、ロックプレート第2解除凸部49が1つ形成されている。
また、ドライブプレート241には、ウォームホイール216の第1係合孔236に対応する位置に、凸部252が1つ形成されている。
【0092】
このように、第2実施形態では、クラッチ機構204に、第1係合孔236、第2係合孔262、係合凹部246、ロックプレート第2解除凸部49、および凸部252がそれぞれ1つずつ設けられている。
したがって、上述の第2実施形態によれば、前述の第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第2実施形態のクラッチ機構204は、第1実施形態と比較して構造が簡素化されるので、この分、クラッチ機構204の製造コストを低減することが可能になる。
【0093】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、ドライブプレート41,241に、凸部52a,52b,252を設け、ロックプレート48,248に、係合凹部46,246を設ける場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ロックプレート48,248に凸部52a,52b,252を設け、ドライブプレート41,241に、係合凹部46,246を設けてもよい。
【0094】
また、上述の実施形態では、クラッチ機構4に設けたブレーキバネ70を、外力によってドライブプレート41,241が回転しようとする場合のドライブプレート41,241の回転量を規制する回転量規制部として機能させる場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ロックプレート第2解除凸部49にバネ解除凸部66が乗り上げてしまうことを防止するためにドライブプレート41,241の回転量を規制する回転量規制部を、別途設けてもよい。
【0095】
さらに、上述の第1実施形態のクラッチ機構4に、第1係合孔36a,36b、第2係合孔62a,62b、係合凹部46、ロックプレート第2解除凸部49、および凸部52a,52bを設けた場合について説明した。また、上述の第2実施形態のクラッチ機構204に、第1係合孔236、第2係合孔262、係合凹部246、ロックプレート第2解除凸部49、および凸部252をそれぞれ1つずつ設けた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、各々個数は任意に設定することが可能である。
【0096】
また、上述の実施形態では、センターシャフト28に形成された雄ネジ部32にナット33を螺合し、これにより、センターシャフト28からのロックプレート38、ウォームホイール16、およびドライブプレート41の抜けを規制する場合について説明した。しかしながら、センターシャフト28からのロックプレート38、ウォームホイール16、およびドライブプレート41の抜けを規制できればよい。例えば、ナット33に代えてセンターシャフト28にピンや楔を設け、これによって、センターシャフト28からのロックプレート38、ウォームホイール16、およびドライブプレート41の抜けを規制してもよい。
【0097】
さらに、上述の実施形態では、ブレーキバネ70は、略C字状のブレーキ本体71と、ブレーキ本体71の2つの先端にそれぞれ一体成形されている2つの作用部72と、が一体成形されたものである場合について説明した。そして、2つの作用部72は、ブレーキ本体71の先端から径方向内側に、且つ互いに接近する方向に向かって折り返されるように屈曲延出する内側曲折部72aと、内側曲折部72aの先端から径方向外側に、且つ互いに接近する方向に向かって折り返されるように屈曲延出する外側曲折部72bと、外側曲折部72bの先端から互いに離間する方向に向かって折り返されるように屈曲延出する折り返し部72cと、が一体成形されたものである場合について説明した。
しかしながら、これに限られるものではなく、ブレーキバネ70は、軸方向からみて略C字状に形成され、その開口にドライブプレート41の他方の凸部52b、または凸部252が介在していればよい。また、バネ解除凸部66が当接することにより、ウォームホイール16と一体となってブレーキバネ70が回転するように形成されていればよい。