(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0016】
まず、発明者らによって見出された半導体装置のゲート破壊の原因について説明する。これにより、実施形態に係る半導体装置をより明確にする。
【0017】
図1は、半導体装置を例示した平面図である。
図1に示すように、半導体装置100は、主面10を有する半導体基板30を備えている。
図1は、主面10側から見た平面図となっている。半導体基板30は、ウェル、拡散層等が形成された部分と、それ以外の基材部34とを含んでいる。例えば、半導体装置100は、P型の導電型の基材部34を備えている。
【0018】
以下の半導体装置では、半導体基板、ウェル、拡散層等の導電型(P型またはN型)を反転させた構成としてもよい。一方の導電型を第1導電型とし、他方の導電型を第2導電型とした場合に、第1導電型をP型、第2導電型をN型としてもよいし、反対に第1導電型をN型、第2導電型をP型としてもよい。
【0019】
半導体装置100は、主面10側から見て、例えば、矩形となっている。ここで、半導体装置100の説明の便宜のために、XYZ直交座標軸系を導入する。主面10に直交する方向をZ軸方向とする。+Z軸方向を、上方または主面10側ともいう。Z軸方向に直交する面に平行な面内において相互に直交する2つの方向をX軸方向及びY軸方向とする。矩形の半導体装置100の周縁の対向する1組の辺はX軸方向に沿っている。半導体装置100の周縁の対向するもう1組の辺はY軸方向に沿っている。
【0020】
半導体装置100を、+Z軸方向、すなわち、主面10側から見ると、主面10は、第1領域11、第2領域12及びI/O領域13を含んでいる。
【0021】
I/O領域13は、半導体装置100の周縁に設けられている。例えば、I/O領域13は、半導体装置100の+X軸方向側の辺及び−X軸方向側の辺、並びに、+Y軸方向側の辺及び−Y軸方向側の辺に沿って設けられている。I/O領域13は、半導体装置100以外の外部との信号等の入出力を行う素子が形成された領域である。
【0022】
第1領域11及び第2領域12は、例えば、I/O領域13に囲まれた中央部に設けられている。第1領域11は、第1領域11における半導体基板30にN型の導電型の深いウェル(深いNウェル20という。深いウェルともいう。)が形成された領域である。
【0023】
第2領域12は、主面10側から見て、第1領域11及びI/O領域13と異なる領域に設けられている。したがって、第2領域12における半導体基板30は、深いNウェル20を含んでいない。第2領域12は、例えば、第1領域11と、I/O領域13との間に設けられている。また、第2領域12は、第1領域11の内部に島状に形成され、第1領域11に周囲を取り囲まれてもよい。
【0024】
近年、MCU及びSOC等のように、半導体装置100は、高機能化及び高速化している。半導体装置100を低消費電力化するために、多電源設計を必要としている。多電源設計をするためには、第1導電型をP型とし、第2導電型をN型とし、P型の導電型の基材部34を含んだ半導体基板30を用いた方が容易となる場合がある。そのため、このような半導体基板30を用いて、多電源設計することが一般的に行われる。
【0025】
第1領域11における深いNウェル20は、例えば、基材部34からのノイズの影響を抑制する必要がある領域に形成される。また、深いウェル20は、低消費電力化を目的としたグラウンド側の電源を遮断する制御を行うために形成されることもある。
【0026】
第1領域11は、ロジック領域31、メモリ領域33等の所定の領域を含んでいる。第1領域11は、複数のロジック領域31を含んでもよいし、複数のSRAM領域、複数のSRAM用ロジック領域を含んでもよい。第2領域12は、ロジック領域32等の所定の領域を含んでいる。第2領域12は、複数のロジック領域32等を含んでもよい。
【0027】
第1領域11の所定の領域は、第2領域12の所定の領域と信号配線等の配線により接続されている。一例として、第1領域11のロジック領域31は、第2領域12のロジック領域32と信号配線により接続されている。第1領域11及び第2領域12における配線等による接続は、ロジック領域同士に限らない。第1領域11と第2領域12とは、複数の箇所で接続されてもよい。
【0028】
図2は、半導体装置100を例示した拡大図であり、
図1のA領域を示している。
図1及び
図2に示すように、半導体装置100の+Y軸方向側の部分において、第1領域11には、−Y軸方向側に凹んだ部分を含んでいる。第1領域11が−Y軸方向側に凹んだ部分に、第2領域12が−Y軸方向側に張り出している。第2領域12の張り出した部分には、ロジック領域32が設けられている。第1領域11の凹んだ部分の近傍には、ロジック領域31が設けられている。ロジック領域31とロジック領域32とは、Y軸方向に並んで配置されている。
【0029】
図3は、半導体装置100を例示した断面図である。なお、
図3の断面図は、模式的なものであり、
図2に示していない構成も付加されている。
図2及び
図3に示すように、ロジック領域31は、第1領域11に形成されている。よって、ロジック領域31における半導体基板30は、深いNウェル20を含んでいる。深いNウェル20は、基材部34上に形成されている。
【0030】
半導体基板30は、基材部34及び深いNウェル20の他に、P型の導電型の浅いウェル(浅いPウェル21という。第1浅いウェルともいう。)、N型の導電型の浅いウェル(浅いNウェル22という。第2浅いウェルともいう。)、P型の導電型の浅いウェル23(浅いPウェル23という。第3浅いウェルともいう。)及びN型の導電型の浅いウェル(浅いNウェル24という。第4浅いウェルともいう。)を含んでいる。また、半導体基板30は、N型の導電型の周回ウェル35を含んでもよい。
【0031】
浅いPウェル21及び浅いNウェル22は、半導体基板30を主面10側から見て、第1領域11、すなわち、深いNウェル20が形成された領域に形成されている。浅いPウェル21及び浅いNウェル22は、主面10側から見て、互いに異なる領域になるように、半導体基板30の主面10側の部分に形成されている。浅いPウェル21及び浅いNウェル22は、深いNウェル20上に形成されている。よって、半導体基板30は、主面10からの深さ方向において、深いNウェル20よりも浅い部分に形成された浅いPウェル21及び浅いNウェル22を含んでいる。
【0032】
周回ウェル35は、深いNウェル20の周縁(周囲・外周)に沿って、深いNウェル20の辺縁(へりの部分)の主面側に形成されてもよい。したがって、周回ウェル35は、浅いPウェル21及び浅いNウェル22を囲んでもよい。例えば、周回ウェル35は、複数の浅いPウェル21及び複数の浅いNウェルを含むロジック領域31を囲んでいる。周回ウェル35は、デザインルール上において形成される場合がある。
【0033】
浅いPウェル23及び浅いNウェル24は、半導体基板30を主面10側から見て、第2領域12、すなわち、深いNウェル20が形成されていない領域に形成されている。浅いPウェル23及び浅いNウェル24は、主面10側から見て、互いに異なる領域になるように、半導体基板30の主面10側の部分に形成されている。浅いPウェル23及び浅いNウェル24は、基材部34上に形成されている。よって、半導体基板30は、主面10からの深さ方向において、基材部34よりも浅い部分に形成された浅いPウェル23及び浅いNウェル24を含んでいる。
【0034】
深いNウェル20は、第1領域11に形成されている。よって、半導体基板30を主面10側から見て、深いNウェル20は、浅いPウェル23及び浅いNウェル24が形成された領域以外の領域であって、浅いPウェル21及び浅いNウェル22を含む領域に形成されている。半導体基板30は、主面10からの深さ方向において、浅いPウェル21及び浅いNウェル22よりも深い部分に形成された深いNウェル20を含んでいる。
【0035】
基材部34は、半導体基板30を主面10側から見て、浅いPウェル23、浅いNウェル24及び深いウェル20を含む領域に形成されている。半導体基板30は、主面10からの深さ方向において、浅いPウェル23、浅いNウェル24及び深いウェル20よりも深い部分に形成された基材部34を含んでいる。
【0036】
例えば、ロジック領域31における深いNウェル20上には、X軸方向に延びた複数の浅いPウェル21が、Y軸方向に間隔を空けて形成されている。各浅いPウェル21の間には、浅いNウェル22が形成されている。したがって、X軸方向に延びた複数の浅いNウェル22もY軸方向に間隔を空けて配置されている。よって、ロジック領域31における深いNウェル20上には、X軸方向に延びた浅いPウェル21と、X軸方向に延びた浅いNウェル22とが、Y軸方向に交互に配置されている部分を含んでいる。
【0037】
例えば、ロジック領域32では、X軸方向に延びた複数の浅いPウェル23がY軸方向に間隔を空けて配置されている。各浅いPウェル23の間には、浅いNウェル24が配置されている。したがって、X軸方向に延びた複数の浅いNウェル24もY軸方向に間隔を空けて配置されている。よって、ロジック領域32の基材部34上には、X軸方向に延びた浅いPウェル23と、X軸方向に延びた浅いNウェル24とが、Y軸方向に交互に配置されている部分を含んでいる。
【0038】
第1領域11のロジック領域31以外の領域にも、深いNウェル20上に浅いPウェル21及び浅いNウェル22が形成されてもよい。例えば、メモリ領域33には、X軸方向に延びた複数の浅いPウェル21及びX軸方向に延びた複数の浅いNウェル22がY軸方向に間隔を空けて交互に配置されている。
【0039】
第1領域11において、ロジック領域31及びメモリ領域33は、機能及びタイミング設計の観点から半導体装置100に混載されている。設計上の傾向から、主面10側から見た浅いPウェル21及び浅いPウェル23の面積が大きくなっている。
【0040】
ロジック領域31の浅いPウェル21上には、N型の電界効果トランジスタ41が形成されている。電界効果トランジスタ41は、例えば、NMOSトランジスタである。電界効果トランジスタ41のゲート電極Gの両側に、N型の拡散層Nが形成されている。N型の拡散層Nの一方はソースであり、他方はドレインとなっている。このように、電界効果トランジスタ41の拡散層Nは、浅いPウェル21の主面10側に形成されている。
【0041】
ロジック領域31の浅いNウェル22上には、P型の電界効果トランジスタ42が形成されている。電界効果トランジスタ42は、例えば、PMOSである。電界効果トランジスタ42のゲート電極Gの両側に、P型の拡散層Pが形成されている。P型の拡散層Pの一方はソースであり、他方はドレインとなっている。このように、電界効果トランジスタ42の拡散層Pは、浅いNウェル22の主面10側に形成されている。
【0042】
ロジック領域31において、電界効果トランジスタ41及び42のドレイン電極Dは接続されている。電界効果トランジスタ41及び42をまとめてトランジスタ対Tr1という(トランジスタ対Tr1を、第1トランジスタ対ともいう)。トランジスタ対Tr1は、電界効果トランジスタ41及び42を含んでいる。トランジスタ対Tr1は、例えば、NMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタを含むCMOSトランジスタである。ロジック領域31には、複数のトランジスタ対Tr1〜Tr3が形成されている。
【0043】
ロジック領域32の浅いPウェル23上には、N型の電界効果トランジスタ43が形成されている。電界効果トランジスタ43は、例えば、NMOSトランジスタである。電界効果トランジスタ43のゲート電極Gの両側に、N型の拡散層Nが形成されている。N型の拡散層Nの一方はソースであり、他方はドレインとなっている。このように、電界効果トランジスタ43の拡散層Nは、浅いPウェル23の主面10側に形成されている。
【0044】
ロジック領域32の浅いNウェル24上には、P型の電界効果トランジスタ44が形成されている。電界効果トランジスタ44は、例えば、PMOSである。電界効果トランジスタ44のゲート電極Gの両側に、P型の拡散層Pが形成されている。P型の不純物層Pの一方はソースであり、他方はドレインとなっている。このように、電界効果トランジスタ44の拡散層Pは、浅いNウェル24の主面10側に形成されている。
【0045】
ロジック領域32において、電界効果トランジスタ43及び44のゲート電極Gは接続されている。電界効果トランジスタ43及び44をまとめてトランジスタ対Tr4という(トランジスタ対Tr4を第2トランジスタ対ともいう)。トランジスタ対Tr4は、電界効果トランジスタ43及び44を含んでいる。トランジスタ対Tr4は、例えば、NMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタを含むCMOSトランジスタである。ロジック領域32には、複数のトランジスタ対Tr4〜Tr6が形成されている。
【0046】
トランジスタ対Tr1と、トランジスタ対Tr4とは接続されている。例えば、トランジスタ対Tr1の出力と、トランジスタ対Tr4の入力とは接続されている。具体的には、トランジスタ対Tr1のドレイン電極Dは、トランジスタ対Tr4のゲート電極Gと、トランジスタ対間配線61によって接続されている。同様に、トランジスタ対Tr2とトランジスタ対Tr5、及び、トランジスタ対Tr3とトランジスタ対Tr6とは接続されている。例えば、トランジスタ対Tr2の出力と、トランジスタ対Tr5の入力とは接続され、トランジスタ対Tr3の出力と、トランジスタ対Tr6の入力とは接続されている。具体的には、トランジスタ対Tr2のドレイン電極Dは、トランジスタ対Tr5のゲート電極Gと、トランジスタ対間配線61によって接続されている。トランジスタ対Tr3のドレイン電極Dは、トランジスタ対Tr6のゲート電極Gとトランジスタ対間配線61によって接続されている。なお、各トランジスタ対Tr1〜3の入力と、各トランジスタ対Tr4〜6の出力とが接続されてもよい。
【0047】
このように、トランジスタ対間配線61は、トランジスタ対Tr1〜Tr3と、トランジスタ対Tr4〜Tr6とを接続する。半導体装置100は、トランジスタ対Tr1〜Tr6及びトランジスタ対間配線61も備えている。
【0048】
微細化された半導体装置100の製造プロセスにおいて、成膜工程及びエッチング工程は、プラズマを用いた処理を含む場合がある。プラズマを用いた処理によっては、半導体基板30が、6〜8Vに帯電する場合がある。そして、
図1〜
図3に示すように、深いNウェル20に蓄積された電荷量が大きい程、トランジスタ対Tr1〜Tr3のドレイン電極Dと、トランジスタ対Tr4〜Tr6のゲート電極Gとの間の電位が大きくなる。これにより、トランジスタ対Tr4〜Tr6に、ゲート破壊が発生する。例えば、トランジスタ対Tr4〜Tr6のゲートの絶縁膜に破壊が発生する。
【0049】
トランジスタ対Tr4〜Tr6のゲート破壊を抑制する例として、例えば、
図3に示すように、半導体装置100は、拡散タップ51及び52を備えてもよい。
【0050】
拡散タップ51は、浅いPウェル21の主面10側に形成されている。拡散タップ51は、P型の導電型の拡散層Pを含んでいる。浅いPウェル21上に形成された拡散タップ51は、タップ間配線62に接続されている。拡散タップ52は、浅いPウェル23の主面10側に形成されている。拡散タップ52は、P型の導電型の拡散層Pを含んでいる。浅いPウェル23上に形成された拡散タップ52は、タップ間配線62に接続されている。したがって、タップ間配線62は、拡散タップ51と、拡散タップ52とを接続する。
【0051】
タップ間配線62が属する配線層は、トランジスタ対間配線61が属する配線層よりも半導体基板30側に配置されている。すなわち、タップ間配線62が属する配線層は、トランジスタ対間配線61が属する配線層よりも下層となっている。
【0052】
このように、タップ間配線62が、トランジスタ対間配線61よりも下層なので、タップ間配線62は、トランジスタ対間配線61よりも先に形成されている。これにより、トランジスタ対Tr1〜Tr3のドレイン電極Dと、トランジスタ対Tr4〜6のゲート電極Gとをトランジスタ対間配線61で接続する前に、プラズマを用いた処理を行うことができる。よって、プラズマを用いた処理によって発生し、深いNウェル20に蓄積された電荷を、タップ間配線62を介して基材部34に移動させることができる。
【0053】
しかしながら、
図3に示した半導体装置100においても、トランジスタ対Tr4〜Tr6に、ゲート破壊が発生する場合がある。そして、ゲート破壊の不良解析を進める中で、ゲート破壊が発生する現象は、深いNウェル20の面積に関わらず、
図1及び
図2に示すようなトランジスタ対Tr1〜Tr3の拡散層Nが形成された浅いPウェル21の面積に関係があることを、発明者らは見出した。
【0054】
すなわち、深いNウェル20上に形成された浅いPウェル21の面積が大きいほど、チャージアップしている電荷量が大きくなる。これにより、トランジスタ対Tr1〜Tr3のドレイン電極Dに接続されたトランジスタ対Tr4〜Tr6のゲート破壊が発生する。一方、深いNウェル20上に形成された浅いPウェル21の面積が小さければ、チャージアップしている電荷量が小さくなる。これにより、トランジスタ対Tr1〜Tr3のドレイン電極Dに接続されたトランジスタ対Tr4〜Tr6のゲート破壊が抑制されると考えられる。
【0055】
このことを確認するために、
図3に示す構造の等価回路を作成し、作成した等価回路を用いてシミュレーションを行う。
図4は、半導体装置100に形成された寄生バイポーラB1を例示した回路図であり、
図3に示した半導体装置100の構造の等価回路を示している。
【0056】
図3及び
図4に示すように、寄生バイポーラB1のベース、エミッタ及びコレクタは、深いNウェル20、浅いPウェル21及び基材部34によって形成されている。トランジスタ対Tr1とトランジスタ対Tr4との間で移動する電荷量は、浅いPウェル21に蓄積された電荷量と、深いNウェル20に蓄積された電荷量に依存すると考えられる。このような構成を用いて、半導体装置100のゲート破壊のシミュレーションを行う。
【0057】
図5は、半導体装置100のゲート破壊のシミュレーション結果を例示した図である。
図5において、チャージアップした電流密度を0.1A/m
2に設定する。
図5のDNウェル面積は、深いNウェル20の面積である。
図5のPウェル面積は、電界効果トランジスタ41の拡散層Nが形成された浅いPウェル21の面積である。抵抗R
PWGは、シミュレーション上のパラメータであり、蓄積された電荷が電流として流れる経路の抵抗を示している。OKはゲート破壊が抑制されることを示し、NGは、ゲート破壊が発生することを示している。
【0058】
解析チップAの場合には、深いNウェル20の面積は、7.5×10
7[μm
2]であり、浅いPウェル21の面積は、2.6×10
7[μm
2]である。解析チップAについて、ゲート破壊の発生をシミュレーションすると、抵抗R
PWGが1[kΩ]程度の小さい場合には、ゲート破壊が抑制され(OK)、抵抗R
PWGが1[MΩ]程度の大きい場合には、ゲート破壊が発生し(NG)、抵抗R
PWGが300[MΩ]の無限大程度の場合には、ゲート破壊が発生する(NG)。このように、浅いPウェル21の面積が大きいと、抵抗R
PWGを小さく抑えなければ、ゲート破壊が発生する。すなわち、ゲート破壊を抑制することが困難なことを示している。
【0059】
解析チップBの場合には、深いNウェル20の面積は、7.2×10
7[μm
2]であり、浅いPウェル21の面積は、2.5×10
5[μm
2]である。解析チップBについて、ゲート破壊の発生をシミュレーションすると、抵抗R
PWGが1[kΩ]程度の小さい場合には、ゲート破壊が抑制され(OK)、抵抗R
PWGが1[MΩ]程度の大きい場合には、ゲート破壊が抑制され(OK)、抵抗R
PWGが300[MΩ]の無限大程度の場合には、ゲート破壊が発生する(NG)。この場合でも、浅いPウェル21の面積が大きいので、抵抗R
PWGを小さく抑えなければ、ゲート破壊が発生する。すなわち、ゲート破壊を抑制することが困難なことを示している。
【0060】
解析チップCの場合には、深いNウェル20の面積は、3.5×10
7[μm
2]であり、浅いPウェル21の面積は、8.8×10
3[μm
2]である。解析チップCについて、ゲート破壊の発生をシミュレーションすると、抵抗R
PWGが1[kΩ]程度の小さい場合には、ゲート破壊が抑制され(OK)、抵抗R
PWGが1[MΩ]程度の大きい場合には、ゲート破壊が抑制され(OK)、抵抗R
PWGが300[MΩ]の無限大程度の場合には、ゲート破壊が抑制される(OK)。浅いPウェル21の面積が小さいと、ゲート破壊を抑制することができる。
【0061】
このように、深いNウェル20上に形成された浅いPウェル21の面積が大きいほど、トランジスタ対Tr4〜Tr6のゲート破壊が発生している。したがって、浅いPウェル21の面積が大きいほど、浅いPウェル21及び深いNウェル20にチャージアップする電荷量が大きくなると考えられる。よって、浅いPウェル21の面積を小さくすれば、チャージアップしている電荷量を小さくすることができると考えられる。これにより、トランジスタ対Tr4〜Tr6のゲート破壊を抑制することができると考えられる。以下に示す本実施形態は、上記の知見に基づいたものである。
【0062】
(実施形態1)
次に、実施形態1に係る半導体装置1を説明する。
図6は、実施形態1に係る半導体装置1を例示した平面図である。
図6に示す半導体装置1は、
図1の半導体装置100のA領域に相当する部分の拡大図となっている。半導体装置1も半導体装置100と同様に、第1領域11及び第2領域12を有している。第1領域11における半導体基板30は、深いNウェル20(深いウェル)を含んでいる。
【0063】
また、半導体基板30は、半導体基板30を主面10側から見て、互いに異なる領域になるように、半導体基板30の主面10側の部分に形成された浅いPウェル21(第1浅いウェル)、浅いNウェル22(第2浅いウェル)、浅いPウェル23(第3浅いウェル)及び浅いNウェル24(第4浅いウェル)を含んでいる。また、半導体基板30は、N型の導電型の周回ウェル35を含んでもよい。
【0064】
深いNウェル20は、浅いPウェル23及び浅いNウェル24が形成された領域以外の領域であって、浅いPウェル21及び浅いNウェル22を含む領域に形成されている。半導体基板30は、主面10からの深さ方向において、浅いPウェル21及び浅いNウェル22よりも深い部分に形成された深いNウェル20を含んでいる。
【0065】
周回ウェル35は、深いNウェル20の周縁(周囲・外周)に沿って、深いNウェル20の辺縁(へりの部分)の主面側に形成されてもよい。したがって、周回ウェル35は、浅いPウェル21及び浅いNウェル22を囲んでもよい。例えば、周回ウェル35は、複数の浅いPウェル21及び複数の浅いNウェル22を含むロジック領域31を囲んでいる。周回ウェル35は、デザインルール上において形成される場合がある。
【0066】
実施形態1に係る半導体装置1においては、第1領域11に形成された浅いPウェル21及び浅いNウェル22の構成が半導体装置100と異なっている。
図6に示すように、浅いPウェル21は、ロジック領域31の深いNウェル20上に複数形成されている。複数の浅いPウェル21は、X軸方向に延び、Y軸方向に並んで配置されている。
【0067】
浅いNウェル22は、各浅いPウェル21の間に形成された複数のX軸方向に延びた部分22aと、浅いPウェル21のX軸方向における両端側でY軸方向に延びた部分22bと、を含んでいる。浅いNウェル22は、部分22aと部分22bとがつながることにより一体化している。これにより、浅いNウェル22は、浅いPウェル21の領域における周縁に渡って囲むように配置されている。
【0068】
例えば、各浅いPウェル21の+X軸方向側及び−X軸方向側に形成された浅いPウェル21及び浅いNウェル22の形状は、レイアウト設計において用いられたバウンダリセル15を反映したものとなっている。
【0069】
図7は、実施形態1に係るバウンダリセル15を例示した平面図である。
図6及び
図7に示すように、浅いPウェル21及び浅いNウェル22を形成する際には、あらかじめ、レイアウト設計を行う。レイアウト設計には、セルを用いる。バウンダリセル15は、例えば、+Z軸方向から見て矩形をしている。矩形状をしたバウンダリセル15の4つの角のうち、一つの角の近傍に、浅いPウェル21の部分が形成されている。バウンダリセル15の浅いPウェル21の部分以外の部分は、浅いNウェル22となっている。このように、バウンダリセル15は、浅いPウェル21の部分と、浅いNウェル22の部分を含んでいる。
【0070】
図7に示すように、バウンダリセル15aは、+X軸方向側の辺と+Y軸方向側の辺とがなす角の近傍に浅いPウェル21が配置されている。バウンダリセル15bは、+X軸方向側の辺と−Y軸方向側の辺とがなす角の近傍に浅いPウェル21が配置されている。バウンダリセル15cは、−X軸方向側の辺と−Y軸方向側の辺とがなす角の近傍に浅いPウェル21が配置されている。バウンダリセル15dは、−X軸方向側の辺と+Y軸方向側の辺とがなす角の近傍に浅いPウェル21が配置されている。
【0071】
バウンダリセル15aを、X軸に対してミラー反転させるとバウンダリセル15bになる。バウンダリセル15aを、Z軸を回転軸として180°回転、すなわち、X軸に対してミラー反転及びY軸に対してミラー反転させるとバウンダリセル15cになる。バウンダリセル15aを、Y軸に対してミラー反転させるとバウンダリセル15dになる。
【0072】
バウンダリセル15aとバウンダリセル15bとをY軸方向に隣り合わせて接合させる。その際に、接合させたバウンダリセル15a及びバウンダリセル15bの+X軸方向側の辺の中央部に、浅いPウェル21の部分が形成されるようにする。この部分のY軸方向における長さは、浅いPウェル21のY軸方向の長さと同じ長さになっている。接合させたバウンダリセル15a及びバウンダリセル15bを、浅いPウェル21の−X軸方向側に配置させる。このとき、辺の中央部の浅いPウェル21の部分が、浅いPウェル21の−X軸方向側の端部と合致するように配置する。
【0073】
また、バウンダリセル15cとバウンダリセル15dとをY軸方向に隣り合わせて接合させる。その際に、接合させたバウンダリセル15c及びバウンダリセル15dの−X軸方向側の辺の中央部に、浅いPウェル21の部分が形成されるようにする。この部分のY軸方向における長さは、浅いPウェル21のY軸方向の長さと同じ長さになっている。接合させたバウンダリセル15c及びバウンダリセル15dを、浅いPウェル21の+X軸方向側に配置させる。このとき、辺の中央部の浅いPウェル21の部分が、浅いPウェル21の+X軸方向側の端部と合致するように配置する。
【0074】
接合させたバウンダリセル15a及びバウンダリセル15b、並びに、バウンダリセル15c及びバウンダリセル15dを、浅いPウェル21のX軸方向の両端部に配置する。これにより、浅いNウェル22は、浅いPウェル21の領域における周囲に渡って配置される。よって、浅いPウェル21は、浅いNウェル22によって周囲を取り囲まれる。このようにして、浅いNウェル22は、浅いPウェル21を、他の浅いPウェル21から分離する。
【0075】
このように、浅いNウェル22は、浅いPウェル21を取り囲んでいるので、浅いPウェル21の面積を、所定の面積よりも小さくすることができる。所定の面積は、例えば、半導体装置1の設計条件によって決定される。
【0076】
ここで、バウンダリセル15の形状を説明する。
図8は、実施形態1に係るバウンダリセル15を例示した平面図である。
図8に示すように、矩形をしたバウンダリセル15において、4つの角のうち、1つの角の近傍に、浅いPウェル21が形成されている。それ以外の部分に浅いNウェル22が形成されている。バウンダリセル15の浅いPウェル21の部分には、ダミー拡散層D1が配置されている。浅いNウェル22におけるダミー拡散層D1の+Y軸方向側には、ダミー拡散層D2が配置されている。バウンダリセル15における浅いPウェル21の部分及び浅いNウェル22の部分にまたがるようにY軸方向に延びた複数のダミーゲート層DGが配置されている。
【0077】
微細化した半導体装置の製造プロセスにおいて、レイアウト依存効果(LDE)におけるデバイス特性の変動が大きくなってきている。LDEを考慮し、且つ、浅いPウェル21を取り囲むように浅いNウェル22を配置する場合に、面積増加分を最小にする。そのため、すでに、LDEを考慮済としたFILLセルに対して、バウンダリセル15を配置させる。これにより、ダミー拡散層D1と浅いNウェル22との間の長さS1をレイアウトルールで最小とすることができる。また、浅いNウェル22のY軸方向に延びた部分22bのX軸方向における長さW1をレイアウトルールで最小とすることができる。
【0078】
図3に示す半導体装置100と同様に、
図6に示す半導体装置1において、電界効果トランジスタ41の拡散層Nは、浅いPウェル21の主面10側に形成され、電界効果トランジスタ42の拡散層Pは、浅いNウェル22の主面10側に形成されている。トランジスタ対Tr1(第1トランジスタ対)は、電界効果トランジスタ41及び42を含んでいる。トランジスタ対間配線61は、第1トランジスタ対と第2トランジスタ対とを接続している。例えば、第1トランジスタ対の出力と、第2トランジスタの入力とを接続している。具体的には、トランジスタ対Tr1のドレイン電極Dは、トランジスタ対Tr4のゲート電極Gと、トランジスタ対間配線61によって接続されている。同様に、トランジスタ対Tr2とトランジスタ対Tr5、及び、トランジスタ対Tr3とトランジスタ対Tr6とは接続されている。例えば、トランジスタ対Tr2の出力と、トランジスタ対Tr5の入力とは接続され、トランジスタ対Tr3の出力と、トランジスタ対Tr6の入力とは接続されている。さらに具体的には、トランジスタ対間配線61は、各トランジスタ対Tr1〜Tr3のドレイン電極Dと、トランジスタ対Tr4(第2トランジスタ)〜Tr6のゲート電極Gとを接続する。なお、トランジスタ対間配線61は、各トランジスタ対Tr1〜3の入力と、各トランジスタ対Tr4〜6の出力とを接続してもよい。本実施形態では、
図3に示した拡散タップ51及び52は、形成されなくてもよいし、形成されてもよい。その他の構成は、半導体装置100と同様の構成としてもよい。
【0079】
本実施形態によれば、浅いPウェル21の面積を、所定の面積よりも小さくすることができる。これにより、トランジスタ対Tr4〜Tr6のゲート破壊を抑制することができる。これは、浅いPウェル21の面積が小さいと、浅いPウェル21及び深いNウェル20にチャージアップされる電荷量を小さくすることができるためと推測される。
【0080】
さらに、この推測を推し進めれば、トランジスタ対間配線61は、電界効果トランジスタ41(第1電界効果トランジスタ)と、電界効果トランジスタ43(第2電界効果トランジスタ)または電界効果トランジスタ44(第3電界効果トランジスタ)とを接続してもよい。このように、深いNウェル20上に形成された電界効果トランジスタ41及び42、並びに、基材部34上に形成された電界効果トランジスタ43及び44が、相補型のトランジスタの構成になっていなくても、浅いPウェル21の面積が小さいために、電界効果トランジスタ43、または、電界効果トランジスタ44の破壊を抑制することができると考えられる。
【0081】
なお、トランジスタ対間配線61は、電界効果トランジスタ41の出力と、電界効果トランジスタ43または電界効果トランジスタ44の入力を接続してもよいし、電界効果トランジスタ41のドレイン電極と、電界効果トランジスタ43または電界効果トランジスタ44のゲート電極とを接続してもよい。
【0082】
また、バウンダリセル15a〜15dを用いることにより、浅いPウェル21及び浅いNウェル22をレイアウトする際に、容易にレイアウトすることができ、レイアウトルールに適合させることができる。
【0083】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る半導体装置を説明する。
図9は、実施形態2に係る半導体装置を例示した平面図である。
図9に示すように、半導体装置2において、浅いPウェル21は、ロジック領域31の深いNウェル20上に複数形成されている。複数の浅いPウェル21は、X軸方向に延び、X軸方向に並んで形成されている。また、複数の浅いPウェル21は、Y軸方向にも並んで形成されてもよい。
【0084】
浅いNウェル22は、浅いPウェル21を挟むように、浅いPウェル21のY軸方向の両側に形成され、X軸方向に延びた部分22aを含んでいる。また、浅いNウェル22は、浅いPウェル21のX軸方向における両端側でY軸方向に延びた部分22bを含んでいる。さらに、X軸方向に並んだ浅いPウェル21の間に配置された部分22cを含んでいる。浅いNウェル22は、部分22a、部分22b及び部分22cがつながることにより一体化している。
【0085】
例えば、X軸方向に並んで形成された浅いPウェル21の間の部分において、浅いPウェル21及び浅いNウェル22の形状は、レイアウト設計において用いられたブリッジセル16を反映したものとなっている。
【0086】
図10は、実施形態2に係るブリッジセルを例示した平面図である。
図9及び
図10に示すように、ブリッジセル16は、+Z軸方向から見て矩形をしている。矩形をしたブリッジセル16の4つの角のうち、隣り合った2つの角の近傍に浅いPウェル21が配置されている。ブリッジセル16の浅いPウェル21以外の部分は、浅いNウェル22となっている。このように、ブリッジセル16は、浅いPウェル21の部分と、浅いNウェル22の部分を含んでいる。
【0087】
ブリッジセル16aは、+X軸方向側の辺と+Y軸方向側の辺とがなす角、並びに、−X軸方向側の辺と+Y軸方向側の辺とがなす角の近傍に浅いPウェル21が配置されている。ブリッジセル16bは、+X軸方向側の辺と−Y軸方向側の辺とがなす角、並びに、−X軸方向側の辺と−Y軸方向側の辺とがなす角の近傍に浅いPウェル21が配置されている。ブリッジセル16aを、Z軸を回転軸としてXY平面で時計の針の回転方向に180°回転させるとブリッジセル16bになる。
【0088】
ブリッジセル16aとブリッジセル16bとをY軸方向に隣り合わせて接合させる。その際に、接合させたブリッジセル16a及びブリッジセル16bの+X軸方向側の辺の中央部及び−X軸方向側の辺の中央部に、浅いPウェル21の部分が配置されるようにする。この浅いPウェル21の部分のY軸方向における長さは、浅いPウェル21のY軸方向の長さと同じ長さになっている。接合させたブリッジセル16a及びブリッジセル16bを、浅いPウェル21のX軸方向における中央部に配置させる。このとき、辺の中央部の浅いPウェル21の部分が、浅いPウェル21のY軸方向における幅と合致するように配置する。
【0089】
接合させたブリッジセル16a及びブリッジセル16bを、浅いPウェル21のX軸方向における中央部に配置することにより、浅いNウェル22の部分22cは、浅いPウェル21をX軸方向に分割する。そして、浅いNウェル22は、浅いPウェル21の領域における周囲に渡って配置される。よって、浅いPウェル21は、浅いNウェル22によって周囲を取り囲まれる。このようにして、浅いNウェル22は、浅いPウェル21を、他の浅いPウェル21から分離する。
【0090】
このように、深いNウェル20上に形成された浅いNウェル22は、浅いPウェル21を囲んでいる。これにより、浅いPウェル21の面積を、所定の面積よりも小さくすることができる。所定の面積は、例えば、半導体装置2の設計条件によって決定される。
【0091】
ここで、ブリッジセル16の形状を説明する。
図11は、実施形態2に係るブリッジセル16を例示した平面図である。
図11に示すように、矩形をしたブリッジセル16において、4つの角のうち、隣り合った2つの角の近傍に、浅いPウェル21が形成されている。それ以外の部分に浅いNウェル22が形成されている。ブリッジセル16の浅いPウェル21の部分には、ダミー拡散層D1が配置されている。浅いNウェル22におけるダミー拡散層D1の+Y軸方向側には、ダミー拡散層D2が配置されている。ブリッジセル16における浅いPウェル21の部分及び浅いNウェル22の部分にまたがるようにY軸方向に延びた複数のダミーゲート層DGが配置されている。
【0092】
本実施形態でも、すでに、LDEを考慮済としたFILLセルに対して、ブリッジセル16を配置させる。これにより、ダミー拡散層D1と浅いNウェル22との間の長さS2をレイアウトルールで最小とすることができる。また、浅いPウェル21の間に配置された浅いNウェル22の部分22cのX軸方向における長さW2をレイアウトルールで最小とすることができる。
【0093】
図3の半導体装置100と同様に、
図9に示す半導体装置2において、電界効果トランジスタ41の拡散層Nは、浅いPウェル21の主面10側に形成され、電界効果トランジスタ42の拡散層Pは、浅いNウェル22の主面10側に形成されている。トランジスタ対Tr1は、電界効果トランジスタ41及び42を含んでいる。トランジスタ対間配線61は、トランジスタ対Tr1〜Tr3のドレイン電極Dと、トランジスタ対Tr4〜Tr6のゲート電極Gとを接続する。本実施形態では、
図3に示した拡散タップ51及び52は、形成されなくてもよいし、形成されてもよい。その他の構成は、半導体装置100及び半導体装置1と同様の構成としてもよい。
【0094】
本実施形態によれば、浅いPウェル21の面積を、実施形態1における面積よりもさらに小さくすることができる。実施形態1の構成でも、浅いPウェル21の面積を所定の面積よりも小さくすることができない場合には、実施形態2のブリッジセル16a及び16bを用いることにより、浅いPウェル21を分割することができる。これにより、浅いPウェル21の面積を所定の面積よりも小さくすることができる。よって、ゲート破壊を抑制することができる。また、ブリッジセル16a及び16bを用いることにより、浅いPウェル21及び浅いNウェル22をレイアウトする際に、容易にレイアウトすることができ、レイアウトルールに適合させることができる。この他の効果は、実施形態1の記載に含まれている。
【0095】
(変形例)
次に、実施形態2の変形例を説明する。本変形例は、囲みセルを用いた例である。
図12は、実施形態2の変形例に係る半導体装置を例示した平面図である。
図13は、比較例に係る半導体装置を例示した平面図である。
【0096】
図12に示すように、変形例の半導体装置2aにおいて、第1領域11における深いNウェル20上に、浅いNウェル22に囲まれた浅いPウェル21aが形成されている。浅いPウェル21aの+X軸方向側及び−X軸方向側の部分は、バウンダリセル15を反映した浅いPウェル21及び浅いNウェル22の形状となっている。また、浅いPウェル21aの−Y軸方向側の部分は、囲みセル17を反映した浅いPウェル21及び浅いNウェル22の形状となっている。
【0097】
囲みセル17は、例えば、矩形の形状となっている。囲みセル17は、セルの+Y軸方向側半分に浅いPウェル21が配置され、セルの−Y軸方向側半分に浅いNウェル22が配置されている。囲みセル17は、X軸方向に延びた浅いNウェル22に対して、間に浅いPウェル21を挟むように、浅いNウェル22の−Y軸方向側に配置されている。そのように配置することで、浅いNウェル22の間で、X軸方向に延びた浅いPウェル21aは形成される。
【0098】
そして、X軸方向に延びた浅いPウェル21の+X軸方向側及び−X軸方向側に、バウンダリセル15を配置する、これにより、浅いPウェル21aの領域における周縁に渡って、浅いNウェル22を配置することができる。なお、囲みセル17は、セルの−Y軸方向側半分に浅いPウェル21が配置され、セルの+Y軸方向側半分に浅いNウェル22が配置されてもよい。囲みセル17をX軸方向に沿って並べる個数は、浅いNウェル22の長さによる。
【0099】
このように、浅いNウェル22は、浅いPウェル21aを囲んでいる。これにより、浅いPウェル21aの面積を、所定の面積よりも小さくすることができる。所定の面積は、例えば、半導体装置2aの設計条件によって決定される。
【0100】
図12に示すように、電界効果トランジスタ45は、浅いPウェル21aの主面10側に形成され、電界効果トランジスタ46は、浅いNウェル22の主面10側に形成されている。トランジスタ対Tr7は、電界効果トランジスタ45及び46を含んでいる。
【0101】
電界効果トランジスタ47は、第2領域12における浅いPウェル23の主面10側に形成され、電界効果トランジスタ48は、第2領域12における浅いNウェル24の主面10側に形成されている。トランジスタ対Tr8は、電界効果トランジスタ47及び48を含んでいる。
【0102】
トランジスタ対間配線61は、トランジスタ対Tr7のドレイン電極Dと、トランジスタ対Tr8のゲート電極Gとを接続する。本変形でも、
図3に示した拡散タップ51及び52は、形成されなくてもよいし、形成されてもよい。その他の構成は、半導体装置100、半導体装置1及び2と同様の構成としてもよい。
【0103】
本変形例によれば、電界効果トランジスタ45の拡散層が形成された浅いPウェル21aの面積を、所定の面積よりも小さくすることができる。これにより、トランジスタ対Tr8のゲート破壊を抑制することができる。
【0104】
これに対して、
図13に示すように、比較例に係る半導体装置101においては、深いNウェル20上に、一本のX軸方向に延びた浅いNウェル22が形成されている。浅いNウェル22の周りには、浅いPウェル21bが拡がっている。例えば、メモリ領域等の他の領域の浅いPウェル21と共通となっている場合もある。
【0105】
比較例では、浅いPウェル21b及び浅いNウェル22がストライプ状に形成されていない。よって、バウンダリセル15及びブリッジセル16だけでは、浅いPウェル21bの周縁を浅いNウェル22で囲むことが困難になっている。したがって、浅いPウェル21bの面積を所定の面積よりも小さくすることができない。これにより、トランジスタ対Tr8のゲート破壊を抑制することができない。
【0106】
(実施形態3)
次に、実施形態3に係る半導体装置を説明する。
図14は、実施形態3に係る半導体装置を例示した平面図である。
図14に示すように、半導体装置3は、拡散タップ51(第1拡散タップ)及び拡散タップ52(第2拡散タップ)を有している。拡散タップ51及び52は、P型の導電型の拡散層を含んでいる。拡散タップ51は、浅いPウェル21の主面10側に形成されている。また、拡散タップ52は、浅いPウェル23の主面10側に形成されている。そして、拡散タップ51と、拡散タップ52とは、タップ間配線62(第1タップ間配線)により接続されている。タップ間配線62が属する配線層は、トランジスタ対間配線61が属する配線層よりも半導体基板30側に配置されている。
【0107】
したがって、トランジスタ対Tr1〜Tr3と、トランジスタ対Tr4〜6とをトランジスタ対間配線61で接続する前、具体的には、一例として、トランジスタ対Tr1〜Tr3のドレイン電極Dと、トランジスタ対Tr4〜6のゲート電極Gとをトランジスタ対間配線61で接続する前に、プラズマを用いた処理を行うことができる。プラズマを用いた処理によって発生し、深いNウェル20及び浅いPウェル21に蓄積された電荷を、タップ間配線62を介して基材部34に移動させることができる。
【0108】
タップ間配線62によって電荷を移動させることにより、浅いPウェル21の面積を、実施形態1及び2で用いた所定の面積よりも大きくすることができる。タップ間配線62によって接続されていない場合には、深いNウェル20及び浅いPウェル21に電荷が蓄積されるままになる。そして、トランジスタ対Tr1〜Tr3のドレイン電極Dと、トランジスタ対Tr1〜Tr3のゲート電極Gとが接続されたときに、電荷がトランジスタ対Tr1〜Tr31に流れる。
【0109】
実施形態1及び2のように、浅いPウェル21の面積が所定の第1閾値よりも小さい場合には、深いNウェル20及び浅いPウェル21に蓄積された電荷量が小さいものと考えられる。よって、第1閾値よりも小さい面積であれば、ゲート破壊を抑制することができる。
【0110】
これに対して、本実施形態においては、浅いPウェル21の面積を第1閾値よりも大きい第2閾値まで拡げることができる。このように第2閾値を第1閾値よりも大きくすることができるので、設計の選択肢を広げることができる。これにより、半導体装置3の主面10を有効に活用することができる。
【0111】
拡散タップ51は、X軸方向に延びた浅いPウェル21のX軸方向における端部に設けられている。例えば、浅いPウェル21の主面10上に形成される種々の配線層のうち、下層側の配線層は、バッファ、NAND等の素子のために用いられる。したがって、拡散タップ51を、浅いPウェル21のX軸方向における端部に形成することにより、それらの素子との物理的な障害を避け、素子の配置の自由度を高めることができる。この他の効果は、実施形態1及び2の記載に含まれている。
【0112】
(実施形態4)
次に、実施形態4に係る半導体装置を説明する。本実施形態は、電源遮断スイッチを有する半導体装置の例である。
図15は、実施形態4に係る半導体装置を例示した平面図である。
図16は、実施形態4に係る半導体装置を例示した平面図であり、
図15のB領域における拡大図を示している。
図17は、実施形態4に係る半導体装置の電源遮断スイッチを例示した回路図である。
図18は、実施形態4に係る半導体装置を例示した断面図である。なお、
図18の断面図は、模式的なものである。
【0113】
図15に示すように、半導体装置4の主面10の中央部には、第2領域12が設けられている。そして、第1領域11は、第2領域12の内部に島状に形成され、第2領域12に周囲を取り囲まれている。第1領域11と第2領域12とは信号配線等の配線により接続されている。第1領域11と第2領域12とは、複数の箇所で接続されてもよい。半導体装置4は、電源分離領域と、非電源分離領域を有している。例えば、第1領域11は、電源分離領域となっている。
【0114】
図16に示すように、半導体装置4は、電源遮断スイッチ70を備えている。電源遮断スイッチ70は、例えば、第1領域11と、第2領域12との境界の近傍に形成されている。第1領域11において、深いNウェル20上に浅いPウェル21及び浅いNウェル22が形成されている。
【0115】
浅いPウェル21上には、電界効果トランジスタ41が形成されている。浅いNウェル22上には、電界効果トランジスタ42が形成されている。トランジスタ対Tr1は、電界効果トランジスタ41及び42を含んでいる。
【0116】
第2領域12において、基材部34上に浅いPウェル23及び浅いNウェル24が形成されている。浅いPウェル23上には、電界効果トランジスタ43が形成されている。浅いNウェル24には、電界効果トランジスタ44が形成されている。トランジスタ対Tr4は、電界効果トランジスタ43及び44を含んでいる。トランジスタ対間配線61は、トランジスタ対Tr1のドレイン電極Dと、トランジスタ対Tr4のゲート電極Gとを接続している。
【0117】
図17に示すように、第1領域11は、電源分離領域となっている。第1領域11にトランジスタ対Tr1が形成されている。トランジスタ対Tr1を構成する電界効果トランジスタ42のソースはV
DDに接続され、電界効果トランジスタ41のソースはV
SSMに接続されている。一方、トランジスタ対Tr4における電界効果トランジスタ44のソースはV
DDに接続され、電界効果トランジスタ43のソースはV
SSに接続されている。そして、V
SSMと、V
SSとの間に、電源遮断スイッチ70が設けられている。例えば、グランド側の電源配線に電源遮断スイッチ70が設けられている。電源遮断領域である第1領域11のグランド側電圧Vssmは、非電源遮断領域のグランド側電圧Vssと異なっている。したがって、電源遮断スイッチ70は、トランジスタ対Tr1の電源配線と、トランジスタ対Tr4の電源配線と、の間の導通を制御している。電源遮断スイッチ70の導通の制御は、例えば、制御部CTLによって行われる。電源遮断スイッチ70によって、導通を遮断することにより、トランジスタ対Tr1の電源配線と、トランジスタ対Tr4の電源電圧と、を異なるようにすることができる。
【0118】
本実施形態の半導体装置4では、トランジスタ対Tr1の電源電圧と、トランジスタ対Tr4の電源電圧とが異なっているため、第1領域11の浅いPウェル21と、第2領域12の浅いPウェル23とを、例えば、タップ間配線62により接続することができない。そこで、電源遮断スイッチ70を用いて、タップ間配線62のように、深いNウェル20及び浅いPウェル21に蓄積された電荷を基材部34側に移動させる。
【0119】
図18に示すように、深いNウェル20の主面10側における浅いPウェル21及び浅いNウェル22が形成された領域以外の領域には、浅いPウェル25(第5浅いウェル)が形成されている。浅いPウェル25上には、電界効果トランジスタ49が形成されている。すなわち、電界効果トランジスタ49のソース及びドレインとなる一方の拡散層N及び他方の拡散層Nは、浅いPウェル25の主面10側に形成されている。電界効果トランジスタ49は、電源遮断用のトランジスタである。
【0120】
浅いPウェル21の主面10側には、P型の拡散層Pを含んだ拡散タップ53(第3拡散タップ)が形成されている。浅いPウェル23の主面10側には、P型の拡散層Pを含んだ拡散タップ54(第4拡散タップ)が形成されている。そして、電界効果トランジスタ49のドレインと、拡散タップ53とはスイッチ配線63によって接続されている。電界効果トランジスタ49のソースと、拡散タップ54とは、スイッチ配線64によって接続されている。
【0121】
スイッチ配線63が属する配線層及びスイッチ配線64が属する配線層は、トランジスタ対間配線61が属する配線層よりも半導体基板30側に配置されている。すなわち、スイッチ配線63及びスイッチ配線64の方が、トランジスタ対間配線61よりも下層に形成されている。したがって、半導体装置4の製造工程において、スイッチ配線63及びスイッチ配線64が、トランジスタ対間配線61よりも先に形成されている。
【0122】
電界効果トランジスタ49は、ゲート電極に電圧を印加しない状態で、一方の拡散層Nと他方の拡散層Nとの間にチャネル電流が流れるように形成されている。半導体装置4の製造工程において、スイッチ配線63及びスイッチ配線64が形成された時点で、電界効果トランジスタ49のゲート電極には電圧が印加されていない。
【0123】
しかしながら、電界効果トランジスタ49は、ゲート電極に電圧を印加しない状態でも、一方の拡散層Nから他方の拡散層Nへチャネル電流が流れる。よって、トランジスタ対間配線61で接続する前に、プラズマを用いた処理を行っても、深いNウェル20及び浅いPウェル21に蓄積した電荷を、電界効果トランジスタ49のチャネルを介して、基材部34側に移動させることができる。半導体装置4が形成された後に、制御部CTLによって、電界効果トランジスタ49のゲート電極に電圧を印加する。これにより、第1領域11を電源分離領域とすることができる。
【0124】
図18に示すように、深いNウェル20の主面10側における浅いPウェル21及び浅いNウェル22が形成された領域以外の領域において、電源遮断スイッチ70の近傍には、浅いNウェル26(第6浅いウェル)が形成されている。浅いNウェル26の主面10側には、N型の拡散層Nを含んだ拡散タップ55(第5拡散タップ)が形成されている。浅いNウェル22の主面10側には、N型の拡散層Nを含んだ拡散タップ56(第6拡散タップ)が形成されている。そして、タップ間配線65は、拡散タップ55と、拡散タップ56とを接続している。
【0125】
タップ間配線65が属する配線層は、トランジスタ対間配線61が属する配線層よりも半導体基板30側に配置されている。すなわち、タップ間配線65の方が、トランジスタ対間配線61よりも下層に形成されている。したがって、半導体装置4の製造工程において、タップ間配線65が、トランジスタ対間配線61よりも先に形成されている。
【0126】
図18に示すように、タップ間配線65を形成することにより、浅いPウェル21、浅いNウェル26及び浅いPウェル25によって、寄生のPNPバイポーラB2が形成されている。寄生のバイポーラB2によって、深いNウェル20及び浅いPウェル21に蓄積された電荷を放電することができる。
【0127】
また、浅いNウェル26の主面10側には、N型の拡散層Nを含んだ拡散タップ57が形成されている。浅いNウェル24の主面10側には、N型の拡散層Nを含んだ拡散タップ58が形成されている。そして、タップ間配線66は、拡散タップ57と、拡散タップ58とを接続している。
【0128】
タップ間配線66が属する配線層は、トランジスタ対間配線61が属する配線層よりも半導体基板30側に配置されている。このような構成とすることにより、トランジスタ対Tr4のチャネル電流を利用して、深いNウェル20及び浅いPウェル21に蓄積された電荷を放電することができる。よって、半導体装置4においては、トランジスタ対Tr4〜Tr6のゲート破壊を抑制することができる。
【0129】
このように、電源遮断スイッチ70を用いることによって、半導体装置4の一部の領域を、他の部分から遮断し、電源を分離することができる。これにより、半導体装置4において、貫通電流、リーク電流の発生を抑制することができる。
【0130】
例えば、CPU、グラフィック用モジュール等の素子を半導体装置4に混載する場合に、当該素子が形成される領域には、深いNウェル20を形成する。例えば、基材部34からのノイズを抑制するために深いNウェル20上に当該素子が形成される。また、多電源化するために深いNウェル20上に当該素子が形成される。そうすると、主面10において深いNウェル20が占める割合が大きくなる。そこで、当該素子が作動しない場合には、その領域を電源遮断スイッチ70により遮断することにより、低消費電力化することができる。これ以外の効果は、実施形態1〜3の記載に含まれている。
【0131】
(実施形態5)
次に、実施形態5に係る半導体装置を説明する。本実施形態の半導体装置は、電源遮断スイッチ70を有している。それに加えて、浅いNウェル22は、浅いPウェル21の領域の周縁に渡って囲んでいる。
図19は、実施形態5に係る半導体装置5を例示した平面図である。
【0132】
図19に示すように、半導体装置5において、浅いPウェル21の領域の周縁は、浅いNウェル22によって囲まれている。例えば、バウンダリセル15を反映した形状となっている。なお、バウンダリセル15を反映した形状に限らず、ブリッジセル16または囲みセル17を反映した形状としてもよい。
【0133】
半導体装置5においては、浅いPウェル21の面積を小さくすることができるので、トランジスタ対Tr4〜Tr6のゲート破壊をさらに抑制することができる。これ以外の効果は、実施形態1〜4の記載に含まれている。
【0134】
(実施形態6)
次に、実施形態6を説明する。本実施形態は、半導体装置の製造方法である。
図20は、実施形態6に係る半導体装置の製造方法を例示したフローチャート図である。
図20に示すように、半導体装置の製造方法を、レイアウトを設計する第1工程(ステップS11)及び製造プロセスを行う第2工程(ステップS12)に分けて説明する。
【0135】
図20のステップS11に示すように、まず、レイアウトを設計する第1工程について説明する。
図21は、実施形態6に係る半導体装置の製造方法において、レイアウトを設計する第1工程を例示したフローチャート図である。
図22〜
図24は、実施形態6に係るレイアウトを設計する第1工程における判定結果を例示した図である。
【0136】
レイアウトを設計する第1工程においては、半導体基板30を主面10側から見て、互いに異なる領域になるように、半導体基板30の主面10側に形成される浅いPウェル21、浅いNウェル22、浅いPウェル23及び浅いNウェル24と、浅いPウェル23及び浅いNウェル24が形成された領域以外の領域であって、浅いPウェル21及び浅いNウェル22を含む領域に形成される深いNウェル20と、のレイアウトの設計を含んでいる。
【0137】
また、レイアウトを設計する第1工程において、浅いNウェル22を、浅いPウェル21の領域における周縁に渡って囲むようにレイアウトする。例えば、浅いPウェル21を、X軸方向に延びるようにレイアウトする。そして、バウンダリセル15を、浅いPウェル21のX軸方向における端部側に配置する。または、ブリッジセル16を、浅いPウェル21のX軸方向における中央部に配置する。さらに、レイアウトを設計する第1工程は、以下に示す浅いPウェル21のレイアウトの設計フローを含んでいる。
【0138】
図21のステップS21に示すように、まず、深いNウェル20上の浅いPウェル21の面積が、所定の第1閾値以上か判定する。浅いPウェル21の面積が所定の第1閾値よりも小さい(Noの)場合には、
図21のステップS25に示すように、設計上その浅いPウェル21は、合格であると判定される。
図22に示すように、浅いPウェル21の面積が小さいので、トランジスタ対Tr4のゲート破壊を抑制することができる。
【0139】
一方、浅いPウェル21の面積が所定の第1閾値以上の(Yesの)場合には、
図21のステップS22に示すように、トランジスタ対間配線61があるか判定する。トランジスタ対間配線61は、浅いPウェル21に形成されたトランジスタ対Tr1と、浅いPウェル23に形成されたトランジスタ対Tr4との間の配線である。
【0140】
トランジスタ対間配線61がない(Noの)場合には、浅いPウェル21は、トランジスタ対Tr4のゲート破壊に関係がないので、
図21のステップS25に示すように、設計上、その浅いPウェル21は、合格であると判定される。
【0141】
一方、トランジスタ対間配線61がある(Yesの)場合には、
図21のステップS23に示すように、トランジスタ対間配線61よりも、下層に、タップ間配線62があるか判定される。
【0142】
トランジスタ対間配線61よりも、下層に、タップ間配線62がない(Noの)場合には、
図21のステップS26に示すように、設計上、その浅いPウェル21は、不合格であると判定される。
【0143】
一方、トランジスタ対間配線61よりも、下層に、タップ間配線62がある(Yesの)場合には、
図21のステップS24に示すように、浅いPウェル21の面積が、所定の第2閾値以下か判定する。第2閾値は、第1閾値よりも大きい値となっている。浅いPウェル21の面積が所定の第2閾値よりも大きい(Noの)場合には、
図21のステップS26に示すように、設計上、その浅いPウェル21は、不合格であると判定される。
図23に示すように、この場合には、トランジスタ対Tr4のゲート破壊を抑制することができない。
【0144】
一方、浅いPウェル21の面積が所定の第2閾値以下の(Yesの)場合には、
図21のステップS25に示すように、設計上その浅いPウェル21は、合格であると判定される。
図24に示すように、深いNウェル20及び浅いPウェル21に蓄積された電荷は、タップ間配線62を介して基材部34に移動させることができる。
【0145】
図21のステップS25及びステップ26において判定がされた後は、
図21のステップS27に示すように、他に判定されるべき浅いPウェル21はあるか判定される。他に判定されるべき浅いPウェル21がある(Yesの)場合には、
図21のステップS21に戻り、次の浅いPウェル21に対して判定が続けられる。他に判定されるべき浅いPウェル21がない(Noの)場合には、処理を終了する。このようにして、レイアウト設計が行われ、製造される半導体装置のレイアウトが決定される。
【0146】
次に、
図20のステップS12に示すように、レイアウトを設計する第1工程において決定されたレイアウトに基づいて製造プロセスを行う。
図25は、実施形態6に係る半導体装置の製造方法において、製造プロセスを行う第2工程を例示したフローチャート図である。
【0147】
図25のステップS31に示すように、浅いPウェル21及び23、浅いNウェル22及び24、深いNウェル20並びに基材部34を半導体基板30に形成する。具体的には、浅いPウェル21、浅いNウェル22、浅いPウェル23及び浅いNウェル24と、主面10からの深さ方向において、浅いPウェル21及び浅いNウェル22よりも深い部分に形成される深いNウェル20と、浅いPウェル23、浅いNウェル24及び深いNウェル20を含む領域に形成され、主面10からの深さ方向において、浅いPウェル23、浅いNウェル24及び深いNウェル20よりも深い部分に形成される基材部34と、を半導体基板30に形成する。例えば、リソグラフィ技術及びイオン注入技術等を用いて、これらを形成する。
【0148】
浅いPウェル21を形成する際には、浅いPウェル21の面積が、レイアウトを設計する第1工程において判定された第1閾値よりも小さくなるように、浅いPウェル21を形成してもよい。
【0149】
また、場合によっては、浅いPウェル21を形成する際には、浅いPウェル21の面積が、レイアウトを設計する第1工程において判定された第1閾値以上かつ第2閾値以下となるように、浅いPウェル21を形成する。
【0150】
また、浅いPウェル21及び浅いPウェル23を形成した後に、浅いPウェル21の主面10側に拡散タップ51を形成し、浅いPウェル23の主面10側に拡散タップ52を形成してもよい。その場合には、トランジスタ対間配線61を形成するよりも先に、拡散タップ51と拡散タップ52とを接続するタップ間配線62を形成する。
【0151】
次に、
図25のステップS32に示すように、トランジスタ対Tr1〜Tr3及びトランジスタ対Tr4〜Tr6を形成する。具体的には、浅いPウェル21の主面10側に拡散層Nが形成された電界効果トランジスタ41と、浅いNウェル22の主面10側に拡散層Pが形成された電界効果トランジスタ42とを含むトランジスタ対Tr1〜Tr3、及び、浅いPウェル23の主面10側に拡散層Nが形成された電界効果トランジスタ43と、浅いNウェル24の主面10側に拡散層Pが形成された電界効果トランジスタ44とを含むトランジスタ対Tr4〜Tr6を形成する。
【0152】
次に、
図23のステップS33に示すように、トランジスタ対間配線61を形成する。具体的には、各トランジスタ対Tr1〜Tr3のドレイン電極Dと、各トランジスタ対Tr4〜Tr6のゲート電極Gとを接続するトランジスタ対間配線61を形成する。そして、所定の工程を付加することにより半導体装置は製造される。
【0153】
本実施形態によれば、深いNウェル20上に形成された浅いPウェル21の面積を小さくすることができる。よって、基材部34上に形成されたトランジスタ対Tr4〜Tr6のゲート破壊を抑制することができる。浅いPウェル21の面積に応じて、拡散タップ51及び52を付加する等の対応をすることができる。これにより、浅いPウェル21の面積の閾値を大きくすることができ、設計の自由度を向上させることができる。
【0154】
また、バウンダリセル15及びブリッジセル16等を用いることにより、レイアウト設計を容易にすることができる。さらに、レイアウトを設計する工程において、あらかじめ、ゲート破壊を回避することができる。よって、製造歩留まり及び製品信頼性を向上させることができる。
【0155】
以下に示す事項も上記の実施形態から導くことができる技術的範囲に含まれる。
(付記1)
主面を有する半導体基板を備え、
前記半導体基板は、
前記半導体基板を主面側から見て、互いに異なる領域になるように、前記半導体基板の前記主面側の部分に形成された第1導電型の第1浅いウェル、第2導電型の第2浅いウェル、第1導電型の第3浅いウェル及び第2導電型の第4浅いウェルと、
前記第3浅いウェル及び前記第4浅いウェルが形成された領域以外の領域であって、前記第1浅いウェル及び前記第2浅いウェルを含む領域に形成され、前記主面からの深さ方向において、前記第1浅いウェル及び前記第2浅いウェルよりも深い部分に形成された第2導電型の深いウェルと、
前記第1浅いウェル及び前記第2浅いウェルを囲むように、前記深いウェルの周縁に沿って、前記深いウェルの辺縁の主面側に形成された第2導電型の周回ウェルと、
前記第3浅いウェル、前記第4浅いウェル及び前記深いウェルを含む領域に形成され、前記主面からの深さ方向において、前記第3浅いウェル、前記第4浅いウェル及び前記深いウェルよりも深い部分に形成された第1導電型の基材部と、
を含み、
前記第1浅いウェルの主面側に第2導電型の拡散層が形成された第2導電型の第1電界効果トランジスタと、
前記第3浅いウェルの主面側に第2導電型の前記拡散層が形成された第2導電型の第2電界効果トランジスタ、または、前記第4浅いウェルの主面側に第1導電型の前記拡散層が形成された第1導電型の第3電界効果トランジスタと、
前記第1電界効果トランジスタと、前記第2電界効果トランジスタ、または、前記第3電界効果トランジスタとを接続するトランジスタ間配線と、
をさらに備え、
前記第2浅いウェルは、前記第1浅いウェルの領域における周縁に渡って囲むように形成された、
半導体装置。
【0156】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。