(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
[第1実施形態]
先ず、作業機1の全体構成を説明する。
図7は、本実施形態に係る作業機1の全体構成を示す概略側面図である。
図8は、作業機1の概略平面図である。本実施形態では、作業機1として旋回作業機であるバックホーが例示されている。
【0009】
図7、
図8に示すように、作業機1は、機体(旋回台)2と、走行装置3Aと、作業装置4とを備えている。機体2上にはキャビン5が搭載されている。キャビン5の室内には運転席6が設けられている。
本実施形態においては、作業機1の運転席6に着座した運転者(オペレータ)の前側(
図7、
図8の矢印A1方向)を前方、運転者の後側(
図7、
図8の矢印A2方向)を後方、運転者の左側(
図7の手前側、
図8の矢印B1方向)を左方、運転者の右側(
図7の奥側、
図8の矢印B2方向)を右方として説明する。
【0010】
また、前後方向K1に直交する方向である水平方向を機体幅方向K2(
図8参照)として説明する。機体2の幅方向の中央部から右部、或いは、左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向K2であって機体2の幅方向の中心から離れる方向のことである。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向K2であって機体2の幅方向の中心に近づく方向である。
【0011】
図7に示すように、走行装置3Aは、作動油を動力源として作動する装置(油圧走行装置)である。走行装置3Aは、左側に設けられた走行体(第1走行体)3Lと、右側に設けられた走行体(第2走行体)3Rとを有する。走行体3L及び走行体3Rは、駆動輪11aと、従動輪11bと、複数の転輪11eと、駆動輪11a、従動輪11b、および転輪11eを回転自在に支持するフレーム11cと、駆動輪11a、従動輪11b、および転輪11eに架け渡されたベルト11dとを有する。クローラ式の走行装置である。走行体3Lのフレーム11cには、第1走行モータMLが支持されており、第1走行モータMLの動力が走行体3Lの駆動輪11aに伝達される。走行体3Rのフレーム11cには、第2走行モータMRが支持されており、第2走行モータMRの動力が走行体3Rの駆動輪11aに伝達される。
【0012】
機体2は、走行装置3A上に旋回ベアリング8を介して縦軸(上下の方向に延伸する軸心)回りに旋回自在に支持されている。機体2は、油圧モータ(油圧アクチュエータ)からなる旋回モータMTによって旋回駆動される。機体2は、縦軸回りに旋回する旋回基板9と、ウエイト10とを有している。旋回基板9は、鋼板等から形成されており、旋回ベアリング8に連結されている。ウエイト10は、機体2の後部に設けられている。機体2の後部には、原動機E1が搭載されている。原動機E1は、ディーゼルエンジンである。なお、原動機E1は、電動モータであってもよいし、ディーゼルエンジン及び電動モータを有するハイブリッド型であってもよい。
【0013】
機体2は、機体幅方向K2の中央のやや右寄りの前部に支持ブラケット13を有している。支持ブラケット13には、スイングブラケット14が、縦軸回りに揺動自在に取り付けられている。スイングブラケット14には、作業装置4が取り付けられている。
図7に示すように、作業装置4は、ブーム15と、アーム16と、バケット(作業具)
17とを有している。
ブーム15の基部は、スイングブラケット14に横軸(機体幅方向に延伸する軸心)回りに回動自在に枢着されている。これによって、ブーム15が上下に揺動自在とされている。アーム16は、ブーム15の先端側に横軸回りに回動自在に枢着されている。これによって、アーム16が前後或いは上下に揺動自在とされている。バケット17は、アーム16の先端側にスクイ動作及びダンプ動作可能に設けられている。作業機1は、バケット17に代えて或いは加えて、油圧アクチュエータにより駆動可能な他の作業具(予備アタッチメント)を装着することが可能である。他の作業具(予備アタッチメント)としては、油圧ブレーカ、油圧圧砕機、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等が例示できる。
【0014】
スイングブラケット14は、機体2内に備えられたスイングシリンダの伸縮によって揺動自在とされている。ブーム15は、ブームシリンダC3の伸縮によって揺動自在とされている。アーム16は、アームシリンダC4の伸縮によって揺動自在とされている。バケット17は、バケットシリンダ(作業具シリンダ)C5の伸縮によってスクイ動作及びダンプ動作自在とされている。ドーザシリンダ、スイングシリンダ、ブームシリンダC3、アームシリンダC4、バケットシリンダC5は、油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)によって構成されている。
【0015】
また、作業装置4は、走行装置3Aの前部に装着されたドーザ装置7を含んでいる。ドーザ装置7は、ドーザシリンダを伸縮することにより昇降(ブレードを上げ下げ)させることができる。
図8に示すように、キャビン5内の運転席6の左側(一方)には、機体2に設けられた操縦台18Lが設けられている。また、運転席6の右側(他方)にも、機体2に設けられた操縦台18Rが設けられている。操縦台18L及び操縦台18Rは、作業操縦装置19が設けられている。作業操縦装置19は、操縦台18Lに取り付けられた作業操縦装置(第1作業操縦装置)19Lと、操縦台18Rに取り付けられた作業操縦装置(第2作業操縦装置)19Rとを有している。作業操縦装置19は、運転席6の右側、即ち、操縦台18Rの右に設けられた作業操縦装置(第3作業操縦装置)19Dを有してもよい。
【0016】
図1は、作業機の油圧アクチュエータを作動させる油圧回路(油圧システム)の概略を示している。
図1に示すように、作業機1の油圧システムは、ブームシリンダC3、アームシリンダC4、バケットシリンダC5、旋回モータMT等の作業系油圧アクチュエータと、第1走行モータML、第2走行モータMR等の走行系油圧アクチュエータとを作動させるシステムである。なお、
図1では、説明の便宜上、ドーザシリンダ及びスイングシリンダを制御する回路を省略している。
【0017】
作業機1の油圧システムは、第1油圧ポンプP1と、第2油圧ポンプP2と、複数の制御弁33を有している。第1油圧ポンプP1は、作業系油圧アクチュエータ及び走行系油圧アクチュエータに作動油を供給するポンプである。第1油圧ポンプP1は、例えば、定容量ポンプ、あるいは可変容量ポンプである。また、第2油圧ポンプP2は、信号用又は制御用等の作動油、即ち、パイロット油を供給するポンプである。複数の制御弁33は、作業系油圧アクチュエータ、走行系油圧アクチュエータを制御する弁である。複数の制御弁33には、油路34を介して第1油圧ポンプP1が接続されている。
【0018】
複数の制御弁33は、ブームシリンダC3を制御するブーム制御弁33C、アームシリンダC4を制御するアーム制御弁33D、バケットシリンダC5を制御するバケット制御弁33E、旋回モータMTを制御する旋回制御弁33F、第1走行モータMLを制御する第1走行制御弁33G、第2走行モータMRを制御する第2走行制御弁33Hを含んでいる。
【0019】
ブーム制御弁33Cは、油路43を介してブームシリンダC3に接続されている。アーム制御弁33Dは、油路44を介してアームシリンダC4に接続されている。バケット制御弁33Eは、油路45を介してバケットシリンダC5に接続されている。旋回制御弁33Fは、油路46を介して旋回モータMTに接続されている。第1走行制御弁33Gは、
油路(第1油路)47を介して第1走行モータMLに接続されている。第2走行制御弁33Hは、油路(第2油路)48を介して第2走行モータMRに接続されている。
【0020】
ブーム制御弁33Cの受圧部には、ブーム電磁弁37Cが接続されている。アーム制御弁33Dの受圧部には、アーム電磁弁37Dが接続されている。バケット制御弁33Eの受圧部には、バケット電磁弁37Eが接続されている。旋回制御弁33Fの受圧部には、旋回電磁弁37Fが接続されている。第1走行制御弁33Gの受圧部には、前進電磁弁37G1及び後進電磁弁37G2が接続されている。第2走行制御弁33Hの受圧部には、前進電磁弁37H1及び後進電磁弁37H2が接続されている。
【0021】
即ち、複数の制御弁33には、それぞれの制御弁33に対応して、電磁弁37(37C、37D、37E、37F、37G1、37G2、37H1、あるいは37H2)が接続されている。各電磁弁37には、油路49を介して第2油圧ポンプP2が接続され、当該電磁弁37の開度に応じて当該電磁弁37に対応する制御弁33の受圧部に作用するパイロット圧が変化する。
【0022】
ブーム制御弁33C、アーム制御弁33D、バケット制御弁33E、旋回制御弁33F、第1走行制御弁33G、第2走行制御弁33Hは、例えば、直動スプール形の切換弁である。複数の制御弁33(33C、33D、33E、33F、33G、33H)のそれぞれは、当該制御弁33に対応する複数の電磁弁37を介して受圧部に作用するパイロット油によって、当該制御弁33に供給された作動油の方向等を切り換え、作業系油圧アクチュエータ(ブームシリンダC3、アームシリンダC4、バケットシリンダC5、旋回モータMT)、あるいは、走行系油圧アクチュエータ(第1走行モータML、第2走行モータMR)に供給される作動油の流量等を制御する。
【0023】
作業系油圧アクチュエータは、操作時にオペレータが把持する作業操縦装置19(作業操縦装置19L、作業操縦装置19R、作業操縦装置19D)によって操作される。作業操縦装置19Lは、操縦台18Lに揺動自在に支持された操作部材40Lと、操作部材40Lの揺動量を検出する第1操作検出部41Lとを有している。操作部材40Lは、操縦台18Lに対して中立位置から、前、後、右、左に揺動自在なレバーである。第1操作検出部41Lは、操作部材40Lの前、後、右、左の中立位置からの揺動量(操作量)を検出するポテンションメータである。
【0024】
操作部材40Lをオペレータ等が操作すると、操作部材40Lの操作量及び操作方向が第1操作検出部41Lにより検出され、検出された操作量及び操作方向は制御装置60に入力される。制御装置60は、操作部材40Lの操作量及び操作方向に応じて、旋回制御弁33Fの受圧部に接続された旋回電磁弁37Fのソレノイドを励磁し、当該旋回電磁弁37Fの開度を制御するか、あるいはアーム制御弁33Dの受圧部に接続されたアーム電磁弁37Dのソレノイドを励磁し、当該アーム電磁弁37Dの開度を制御する。例えば、制御装置60は、操作部材40Lの操作方向が左右方向である場合には旋回電磁弁37Fの開度を制御し、操作部材40Lの操作方向が前後方向である場合にはアーム電磁弁37Dの開度を制御する。その結果、旋回制御弁33Fの受圧部にパイロット圧が作用し、当該旋回制御弁33Fの位置が切り換えられ、当該位置に応じて旋回モータMTの回転方向が切り換えられるか、あるいは、アーム制御弁33Dの受圧部にパイロット圧が作用し、当該アーム制御弁33Dの位置が切り換えられ、位置に応じてアームシリンダC4が伸縮する。
【0025】
作業操縦装置19Rは、操縦台18Rに揺動自在に支持された操作部材40Rと、操作部材40Rの揺動量を検出する第2操作検出部41Rとを有している。操作部材40Rは、操縦台18Rに対して中立位置から、前、後、右、左に揺動自在なレバーである。第2操作検出部41Rは、操作部材40Rの前、後、右、左の中立位置からの揺動量(操作量)を検出するポテンションメータである。
【0026】
操作部材40Rをオペレータ等が操作すると、操作部材40Rの操作量及び操作方向が第2操作検出部41Rにより検出され、検出された操作量及び操作方向は制御装置60に入力される。制御装置60は、操作部材40Rの操作量及び操作方向に応じて、ブーム制御弁33Cの受圧部に接続されたブーム電磁弁37Cのソレノイドを励磁し、当該ブーム
電磁弁37Cの開度を制御するか、あるいは、操作部材40Rの操作量及び操作方向に応じて、バケット制御弁33Eの受圧部に接続されたバケット電磁弁37Eのソレノイドを励磁し、当該バケット電磁弁37Eの開度を制御する。例えば、制御装置60は、操作部材40Rの操作方向が左右方向である場合にはバケット電磁弁37Eの開度を制御し、操作部材40Rの操作方向が前後方向である場合にはブーム電磁弁37Cの開度を制御する。その結果、ブーム制御弁33Cの受圧部にパイロット圧が作用し、当該ブーム制御弁33Cの位置が切り換えられ、当該位置に応じてブームシリンダC3が伸縮するか、あるいはバケット制御弁33Eの受圧部にパイロット圧が作用し、当該バケット制御弁33Eの位置が切り換えられ、位置に応じてバケットシリンダC5が伸縮する。
【0027】
作業操縦装置19Dは、作業操縦装置19Rとは別に運転席6の右側に配置された操縦装置であって、ドーザ装置7を操作する。作業操縦装置19Dは、揺動自在に支持された操作部材40Dと、操作部材40Dの揺動量を検出する第3操作検出部41Dとを有している。操作部材40Dは、中立位置から、前、後に揺動自在なレバーである。第3操作検出部41Dは、操作部材40Dの前、後の中立位置からの揺動量(操作量)を検出するポテンションメータである。
【0028】
操作部材40Dをオペレータ等が操作すると、操作部材40Dの操作量及び操作方向が第2操作検出部41Rにより検出され、検出された操作量及び操作方向は制御装置60に入力される。制御装置60は、操作部材40Dの操作量及び操作方向に応じて、ドーザ制御弁の受圧部に接続されたドーザ電磁弁のソレノイドを励磁し、当該ドーザ電磁弁の開度を制御する。その結果、ドーザ制御弁の受圧部にパイロット圧が作用し、当該ドーザ制御弁の位置が切り換えられ、当該位置に応じてドーザシリンダが伸縮する。
【0029】
以上のように、作業操縦装置19(作業操縦装置19L、作業操縦装置19R、作業操縦装置19D)を操作することによって、機体2、ブーム15、アーム16、バケット(作業具)17、ドーザ装置7を操作することができる。
走行装置3A、即ち、走行系油圧アクチュエータ(第1走行モータML及び第2走行モータMR)は、走行操縦装置50によって操作される。走行操縦装置50は、操作量を変更可能な装置であって、操作量に応じて走行制御弁(第1走行制御弁33G、第2走行制御弁33R)の開度を変更することにより、第1走行モータML及び第2走行モータMRに供給する作動油の流量(供給量)を増減させる装置である。
【0030】
具体的には、走行操縦装置50は、第1走行ペダル(第1走行操作部)51Lと、第1走行検出部52Lと、第2走行ペダル(第2走行操作部)51Rと、第2走行検出部52Rとを有している。
まず、第1走行ペダル51L及び第1走行検出部52Lについて説明する。
第1走行ペダル51Lは、運転席6の前方で且つ左に配置され、且つ、第1走行モータMLの供給する作動油の流量を増減させる走行ペダルである。第1走行ペダル51Lは、運転席6の前方に設けられた横軸によって、前、後に揺動自在に支持されている。
【0031】
第1走行検出部52Lは、第1走行ペダル51Lの前、後の中立位置からの揺動量(操作量)を検出するポテンションメータである。即ち、第1走行検出部52Lは、第1走行ペダル51Lが前に揺動した場合は、前の操作量(前進操作量という)を検出する。また、第1走行検出部52Lは、第1走行ペダル51Lが後に揺動した場合は、後の操作量(後進操作量という)を検出する。
【0032】
第1走行検出部52Lは、制御装置60に接続されている。第1走行検出部52Lによって検出された第1走行ペダル51Lの操作量(前操作量、後操作量)は、制御装置60に入力される。以降、第1走行ペダル51Lの操作量のことを総称して第1操作量、前操作量のことを第1前操作量、後操作量のことを第1後操作量という。
制御装置60は、第1操作量の大きさに応じて、前進電磁弁37G1又は後進電磁弁37G2に制御信号を出力して、前進電磁弁37G1又は後進電磁弁37G2の開度を設定する。例えば、第1走行ペダル51Lの第1前操作量の最大値(第1走行検出部52Lが検出した第1前操作量の最大値)を100%、第1走行ペダル51Lの中立時の第1前操作量(第1走行検出部52Lが検出した第1前操作量の最小値)を0%として百分率で表
した場合、制御装置60は、当該百分率で示される第1前操作量の数値に応じて、前進電磁弁37G1の開度を設定する。制御装置60は、例えば、第1前操作量が50%である場合には、前進電磁弁37G1の開度を50%にし、第1前操作量が100%である場合には、前進電磁弁37G1の開度を100%にする。
【0033】
同様に、第1走行ペダル51Lの第1後操作量の最大値を100%、第1走行ペダル51Lの中立時の第1後操作量を0%として百分率で表した場合、制御装置60は、当該百分率で示される第1後操作量の数値に応じて、後進電磁弁37G2の開度を設定する。制御装置60は、例えば、第1後操作量が50%である場合には、後進電磁弁37G2の開度を50%にし、第1後操作量が100%である場合には、後進電磁弁37G2の開度を100%にする。なお、当然の如く、第1前操作量と前進電磁弁37G1の開度との関係、第1後操作量と後進電磁弁37G2の開度との関係は、上述した値に限定されない。
【0034】
したがって、第1走行ペダル51Lを、例えば、オペレータが踏み込み、踏み込み量である第1操作量が第1走行検出部52Lによって検出されると、制御装置30は、踏み込み量に応じて前進電磁弁37G1又は後進電磁弁37G2の開度を設定する。そのため、第1走行制御弁33Gは前進電磁弁37G1又は後進電磁弁37G2の開度に応じて開き、第1走行制御弁33Gから油路47に流れる作動油の流量(第1供給量)を増減させる。即ち、走行操縦装置50の操作量によって、油路47から走行装置3Aの第1走行モータMLに供給する作動油の流量が増減し、走行装置3A(作業機)が左に曲がる際の走行速度を変更することができる。
【0035】
次に、第2走行ペダル51R及び第2走行検出部52Rについて説明する。
第2走行ペダル51Rは、運転席6の前方で且つ右に配置され、且つ、第2走行モータMRの供給する作動油の流量を増減させる走行ペダルである。第2走行ペダル51Rは、運転席6の前方に設けられた横軸によって、前、後に揺動自在に支持されている。
第2走行検出部52Rは、第2走行ペダル51Rの前、後の中立位置からの揺動量(操作量)を検出するポテンションメータである。即ち、第2走行検出部52Rは、第2走行ペダル51Rが前に揺動した場合は、前進操作量を検出する。また、第2走行検出部52Rは、第2走行ペダル51Rが後に揺動した場合は、後進操作量を検出する。
【0036】
第2走行検出部52Rは、制御装置60に接続されている。第2走行検出部52Rによって検出された第1走行ペダル51Lの操作量(前操作量、後操作量)は、制御装置60に入力される。以降、第2走行ペダル51Rの操作量のことを総称して第2操作量、前操作量のことを第2前操作量、後操作量のことを第2後操作量という。
制御装置60は、第2操作量の大きさに応じて、前進電磁弁37H1又は後進電磁弁37H2に制御信号を出力して、前進電磁弁37H1又は後進電磁弁37H2の開度を設定する。例えば、第2走行ペダル51Rの第2前操作量の最大値(第2走行検出部52Rが検出した第2前操作量の最大値)を100%、第2走行ペダル51Rの中立時の第2前操作量(第2走行検出部52Rが検出した第2前操作量の最小値)を0%として百分率で表した場合、制御装置60は、当該百分率で示される第2前操作量の数値に応じて、前進電磁弁37H1の開度を設定する。制御装置60は、例えば、第2前操作量が50%である場合には、前進電磁弁37H1の開度を50%にし、第2前操作量が100%である場合には、前進電磁弁37H1の開度を100%にする。
【0037】
同様に、第2走行ペダル51Rの第2後操作量の最大値を100%、第2走行ペダル51Rの中立時の第2後操作量を0%として百分率で表した場合、制御装置60は、当該百分率で示される第2後操作量の数値に応じて、後進電磁弁37H2の開度を設定する。制御装置60は、例えば、第2後操作量が50%である場合には、後進電磁弁37H2の開度を50%にし、第2後操作量が100%である場合には、後進電磁弁37H2の開度を100%にする。なお、当然の如く、第2前操作量と前進電磁弁37H1の開度との関係、第2後操作量と後進電磁弁37H2の開度との関係は、上述した値に限定されない。
【0038】
したがって、第2走行ペダル51Rを、例えば、オペレータが踏み込み、踏み込み量である第2操作量が第2走行検出部52Rによって検出されると、制御装置30は、踏み込み量に応じて前進電磁弁37H1又は後進電磁弁37H2の開度を設定する。そのため、
第2走行制御弁33Hは前進電磁弁37H1又は後進電磁弁37H2の開度に応じて開き、第2走行制御弁33Hから油路48に流れる作動油の流量(第2供給量)を増減させる。即ち、走行操縦装置50の操作量によって、油路48から走行装置3Aの第2走行モータMRに供給する作動油の流量が増減し、走行装置3A(作業機)が右に曲がる際の走行速度を変更することができる。
【0039】
さて、第1走行ペダル51L及び第2走行ペダル51Rを同時に操作すれば、制御装置60は、第1操作量及び第2操作量に応じて走行電磁弁(前進電磁弁37G1、37H1、後進電磁弁37G2、37H2)の開度を設定する。
具体的には、第1走行ペダル51L及び第2走行ペダル51Rを前側に踏み込めば、制御装置60は、踏み込み量である第1前操作量及び第2前操作量に応じて、前進電磁弁37G1、37H1の開度を設定する。この場合、前進時において、第1走行制御弁33Gから油路47に供給する作動油の流量が増減すると共に、第2走行制御弁33Hから油路48に供給する作動油の流量が増減する。その結果、第1走行モータML及び第2走行モータMRに供給する作動油の流量が増減し、走行装置3A(作業機)の前進時の走行速度を変更することができる。
【0040】
また、第1走行ペダル51L及び第2走行ペダル51Rを後側に踏み込めば、制御装置60は、踏み込み量である第1後操作量及び第2後操作量に応じて、後進電磁弁37G2、37H2の開度を設定する。この場合、後進時において、第1走行制御弁33Gから油路47に供給する作動油の流量が増減すると共に、第2走行制御弁33Hから油路48に供給する作動油の流量が増減する。その結果、第1走行モータML及び第2走行モータMRに供給する作動油の流量が増減し、走行装置3A(作業機)の後進時の走行速度を変更することができる。
【0041】
以上、走行操縦装置50によれば、第1走行ペダル51Lを操作することによって、第1走行制御弁33Gから油路47に供給する作動油の流量(第1供給量)を増減し、第2走行ペダル51Rを操作することによって、第2走行制御弁33Hから油路48に供給する作動油の流量(第2供給量)を増減することができる。即ち、走行操縦装置50によれば、当該走行操縦装置50の操作量に対応する走行装置3A(第1走行モータML、第2走行モータMR)への作動油の供給量である「第1供給量、第2供給量」を変更することができる。
【0042】
なお、
図1に示すように、作業機1の油圧システムは、パイロット油を供給するパイロット油路49に接続されたアンロード弁90を備えている。アンロード弁90は、パイロット油を供給状態にする第1位置(ロード位置)90Aと、供給停止状態にする第2位置(アンロード位置)90Bとに切換可能な2位置切換弁である。アンロード弁90は、バネ92等によって第2位置90Bに付勢されている。アンロード弁90は、運転席6の側方に揺動自在に支持された操縦ロックレバー93の操作によって第1位置90A及び第2位置90Bに切り換え自在である。操縦ロックレバー93を運転席6の側方で下げた状態と、上げた状態とは当該操縦ロックレバー93の近傍に設けられた検出装置等によって検出され制御装置60に入力される。検出装置が操縦ロックレバー93の下げた状態が検出すると、制御装置60は、アンロード弁90のソレノイドを励磁して、当該アンロード弁90をロード位置90Aに切り換える。検出装置が操縦ロックレバー93の上げた状態が検出すると、制御装置60は、アンロード弁90のソレノイドを消磁して、当該アンロード弁90をアンロード位置90Bに切り換える。
【0043】
したがって、アンロード弁90がアンロード位置である場合、電磁弁(ブーム電磁弁37C、アーム電磁弁37D、バケット電磁弁37E、旋回電磁弁37F、前進電磁弁37G1、後進電磁弁37G2、前進電磁弁37H1、後進電磁弁37H2)に作動油(パイロット油)が供給されなくなるため、作業操縦装置19(19L、19R)による操縦操作ができなくなる。一方、アンロード弁90がロード位置である場合、電磁弁(ブーム電磁弁37C、アーム電磁弁37D、バケット電磁弁37E、旋回電磁弁37F、前進電磁弁37G1、後進電磁弁37G2、前進電磁弁37H1、後進電磁弁37H2)に作動油(パイロット油)が供給できるため、作業操縦装置19(19L、19R)による操縦操
作が可能となる。
【0044】
さて、
図1に示すように、第1走行モータMLと、第1走行制御弁33Gとを接続する油路47には、複数の第1開度調整弁71が設けられている。複数の第1開度調整弁71は、第1走行制御弁33Gから第1走行モータMLへ至る作動油の供給量、即ち、第1供給量を途中で変更する弁である。
具体的には、油路47は、前進時に第1走行制御弁33Gから第1走行モータMLに作動油を供給すると共に後進時に第1走行モータMLから第1走行制御弁33Gに作動油を排出する給排油路47aと、後進時に第1走行制御弁33Gから第1走行モータMLに作動油を供給すると共に前進時に第1走行モータMLから第1走行制御弁33Gに作動油を排出する給排油路47bとを含んでいる。第1開度調整弁71は、給排油路47a及び給排油路47bのそれぞれに設けられている。第1開度調整弁71は、制御装置60に接続されている。第1開度調整弁71は、制御装置60から出力された制御信号によって開度が変更する。第1開度調整弁71の開度によって、第1供給量が変更されて、変更後の第1供給量(第1変更供給量という)が第1走行モータMLに供給される。
【0045】
第2走行モータMRと、第2走行制御弁33Hとを接続する油路48には、複数の第2開度調整弁72が設けられている。複数の第2開度調整弁72は、第2走行制御弁33Hから第2走行モータMRへ至る作動油の供給量、即ち、第2供給量を途中で変更する弁である。
具体的には、油路48は、前進時に第2走行制御弁33Hから第2走行モータMRに作動油を供給すると共に後進時に第2走行モータMRから第2走行制御弁33Hに作動油を排出する給排油路48aと、後進時に第2走行制御弁33Hから第2走行モータMRに作動油を供給すると共に前進時に第2走行モータMRから第1走行制御弁33Gに作動油を排出する給排油路48bとを含んでいる。第2開度調整弁72は、給排油路48a及び給排油路48bのそれぞれに設けられている。第2開度調整弁72は、制御装置60に接続されている。第2開度調整弁72は、制御装置60から出力された制御信号によって開度が変更する。第2開度調整弁72の開度によって、第2供給量が変更されて、変更後の第2供給量(第2変更供給量という)が第2走行モータMRに供給される。
【0046】
制御装置60には、スイッチ操作部70が接続されている。スイッチ操作部70は、走行操縦装置50とは別に、走行装置3Aへの作動油の供給量を変更するスイッチ、即ち、作業機の走行速度を多段階に変更可能なスイッチである。詳しくは、スイッチ操作部70は、走行操縦装置50の操作量(第1操作量、第2操作量)に対応する走行装置3Aへの作動油の供給量(第1供給量、第2供給量)、即ち、第1走行制御弁33Gから出力された第1供給量、第2走行制御弁33Hから出力された第2供給量を多段階に変更することができるスイッチである。言い換えれば、スイッチ操作部70は、第1開度調整弁71及び第2開度調整弁72の開度を設定するスイッチである。さらに言い換えれば、スイッチ操作部70は、第1走行モータMLに入る第1変更供給量、第2走行モータMRに入る第2変更供給量を設定するスイッチである。
【0047】
スイッチ操作部70の操作信号は、制御装置60に入力される。
図2Aは、スイッチ操作部70で設定可能な変速段Fと、供給量(第1供給量、第2供給量)に対する変更供給量(第1変更供給量、第2変更供給量)の供給割合を示している。変速段Fと供給割合との関係は、予め設定された値であって、制御装置60の記憶部61等に格納されている。また、供給割合は、実質的に作業機1の走行速度の変速割合と同じであるため、供給割合と変速とを対応付けて説明を続ける。
【0048】
図2Aに示すように、例えば、変速段FはF1〜F5の5段階に設定され、最大変速段である変速段F5は、変速割合(供給割合)が100%であって、変更供給量は供給量と同じである。最小変速段である変速段F1は、変速割合(供給割合)が25%であって、変更供給量は供給量に対して25%の量である。変速段F1の変速割合は、例えば、予備アタッチメントを装着して、作業及び走行を行う場合の走行速度に合わせて設定されている。また、変速段F2の変速割合は、例えば、バケット17等で掬い上げた土砂等を運搬車に乗せる作業時の走行速度に合わせて設定されている。なお、変速段Fと変速割合(供
給割合)との関係は、上述した例に限定されない。
【0049】
スイッチ操作部70は、増速スイッチ70Aと、減速スイッチ70Bとを有している。増速スイッチ70Aは、変速段F、即ち、変更供給量を増加させるスイッチである。増速スイッチ70Aは、例えば、モーメンタリースイッチであって、押す毎に変速段Fが増加する。減速スイッチ70Bは、変速段F、即ち、変更供給量を減少させるスイッチである。減少スイッチ70Bは、例えば、モーメンタリースイッチであって、押す毎に変速段Fが減少する。
【0050】
増速スイッチ70A及び減速スイッチ70Bは、作業操縦装置19に設けられている。例えば、減速スイッチ70Bは、第1作業操縦装置19Lに設けられ、増速スイッチ70Aは、第2作業操縦装置19Rに設けられている。なお、増速スイッチ70Aは、第2作業操縦装置19Rに加えてドーザ装置7を操作する作業操縦装置19Dに設けてもよいし、作業操縦装置19Dのみに設けてもよい。
【0051】
また、スイッチ操作部70を、走行時にオペレータ等が把持する操縦装置に設けてもよい。具体的には、上述した走行操縦装置50の第1走行ペダル51L及び第1走行操作部51Rを、走行ペダルではなく、運転席6の前方等に揺動自在に支持された走行レバーで構成し、当該走行レバーにスイッチ操作部70を設ける。例えば、走行レバーを2本設ける場合、右側に配置した走行レバー51Rに増速スイッチ70Aを設け、左側に配置した走行レバー51Lに減速スイッチ70Bを設けることが好ましい。また、走行レバーを1本だけ設け、その1本の走行レバーに減速スイッチ70Bまたは増速スイッチ70Aのいずれか一方、あるいは減速スイッチ70Bおよび増速スイッチ70Aの両方を設けてもよい。なお、走行レバーの作動態様及び機能は、走行ペダルと同じである。
【0052】
図7に示すように、操作部材40Rにはオペレータ等が把持するグリップ40R1が設けられ、グリップ40R1に増速スイッチ70Aが設けられている。操作部材40Lにはオペレータ等が把持するグリップ40L1が設けられ、グリップ40L1に減速スイッチ70Bが設けられている。
次に、スイッチ操作部70(増速スイッチ70A、減速スイッチ70B)の操作と、制御装置60の動作について説明する。
【0053】
制御装置60は、ノーマルモードと、アタッチメントモードとを有している。制御装置60において、ノーマルモードと、アタッチメントモードとの切換は、制御装置60に接続された表示装置によって行うことが可能である。表示装置は、例えば、液晶モニタから構成されており、様々なスイッチが取り付けられている。
制御装置60がノーマルモードである場合、当該制御装置60は、変速段F2〜F5と当該変速段F2〜F5に対応する変速割合(供給割合)を記憶部61から読み込み保持する。例えば、ノーマルモードにおいて、エンジンE1を始動した直後は、制御装置60の変速段Fは2番目に小さい変速段F2に設定される。制御装置60は、第1開度調整弁71及び第2開度調整弁72に制御信号を出力し、当該第1開度調整弁71及び第2開度調整弁72の開度を変速段F2に対応する開度に保持する。
【0054】
一方、制御装置60がアタッチメントモードである場合、当該制御装置60は、変速段F1〜F5と当該変速段F1〜F5に対応する変速割合(供給割合)を記憶部61から読み込み保持する。例えば、アタッチメントモードにおいて、エンジンE1を始動した直後は、制御装置60の変速段Fは最も小さい変速段F1に設定される。制御装置60は、第1開度調整弁71及び第2開度調整弁72に制御信号を出力し、当該第1開度調整弁71及び第2開度調整弁72の開度を変速段F1に対応する開度に保持する。
【0055】
ノーマルモード及びアタッチメントモードのいずれにおいても、オペレータ等によって増速スイッチ70Aが操作されると、制御装置60は増速スイッチ70Aの押された回数に応じて、変速段Fを1段ずつ増加させる。当然の如く、制御装置60は既に変速段Fが最大値である場合は増速スイッチ70Aが操作されても、変速段Fの最大値を保持する。制御装置60は、変速段Fが変更される毎に、第1開度調整弁71及び第2開度調整弁72に制御信号を出力し、第1開度調整弁71及び第2開度調整弁72の開度を変更後の変速段Fに対応する開度に保持する。
【0056】
また、オペレータ等によって減速スイッチ70Bが操作されると、制御装置60は減速スイッチ70Bの押された回数に応じて、変速段Fを1段ずつ減少させる。当然の如く、制御装置60は既に変速段Fが最小値である場合は減速スイッチ70Bが操作されても、変速段Fの最小値(ノーマルモードでは変速段F2、アタッチメントモードでは変速段F1)を保持する。制御装置60は、変速段Fが変更される毎に、第1開度調整弁71及び第2開度調整弁72に制御信号を出力し、第1開度調整弁71及び第2開度調整弁72の開度を変更後の変速段Fに対応する開度に保持する。
【0057】
したがって、スイッチ操作部70(増速スイッチ70A、減速スイッチ70B)を操作して、変速段Fを増減させることによって、第1走行モータML及び第2走行モータMRに入る作動油の流量、即ち、作業機1の走行速度を多段に変更することができる。
上述した実施形態では、走行操縦装置50は、第1走行操作部50Lと、第2走行操作部50Rとの2つの走行操作部を有しているが、第1走行モータMLと第2走行モータMRとを別々に駆動しない走行装置3Aである場合等は、1つの走行操作部を有していてもよい。また、走行操縦装置50は、第1走行検出部52Lと、第2走行検出部52Rとの2つの走行検出部を有しているが、走行操作部と同様に1つの走行検出部を有していてもよい。
【0058】
また、油圧システムには、第1開度調整弁71が複数設けられているが、第1油路47が作動油を循環させる油路である場合等は、第1開度調整弁71が1つであってもよい。また、油圧システムには、第2開度調整弁72が複数設けられているが、第2油路48が作動油を循環させる油路である場合等は、第2開度調整弁72が1つであってもよい。
図3A〜
図3Dは、走行速度を変更する油圧システムの変形例を示している。なお、
図3A〜
図3Dでは、説明に必要な油圧システムのみを示しており他の構成は省略している。
【0059】
図3Aに示す変形例は、第1開度調整弁71及び第2開度調整弁72を無くし、前進電磁弁37G1、後進電磁弁37G2、前進電磁弁37H1、後進電磁弁37H2を電磁比例弁(以降、走行電磁弁という)で構成した例である。走行電磁弁は、制御装置60に接続され、当該制御装置60によって制御される。具体的には、制御装置60は、例えば、
図2Bに示すように、走行操縦装置50の操作量に対する変更操作量の割合を示す変速割合を変速段F(F1〜F5)毎に記憶している。したがって、走行操縦装置50の操作量が制御装置60に入力されると、当該制御装置60は、操作量に対して変更割合を掛けることにより、変更開度を決定して、変更開度に基づく制御信号を走行電磁弁に出力する。走行電磁弁は、制御装置60から出力された制御信号に対応した開度になる。
【0060】
図3Bに示す変形例は、第1開度調整弁71及び第2開度調整弁72を無くし、第1走行制御弁33G及び第2走行制御弁33Hの受圧部を走行電磁弁に変更した例である。即ち、
図3Bの変形例は、第1走行制御弁33G及び第2走行制御弁33Hを電磁比例弁付きの制御弁に変更した例である。第1走行制御弁33G及び第2走行制御弁33Hにおける電磁比例弁(走行電磁弁)の動作は
図3Aの変形例と同様である。
【0061】
図3Cに示す変形例は、制御信号に基づいて走行速度が変化する走行装置3Bを示している。走行装置3Bは、斜板角度を変更するレギュレータ等が制御信号によって作動する油圧走行装置である。走行装置3Bは、作動油により回転する走行モータ(第1走行モータML、第2走行モータMR)を有している。第1走行モータML及び第2走行モータMRのレギュレータは、制御装置60から出力された走行制御値を示す制御信号によって作動する。走行制御値は、走行操縦装置50及びスイッチ操作部70によって決定される。
【0062】
具体的には、走行操縦装置50は、上述した実施形態と同様に制御装置60に接続された装置であって、走行装置3Bの走行制御値(斜板角度)を増減させる。スイッチ操作部70は、走行操縦装置50によって増減した走行制御値(斜板角度)を多段階に変更するスイッチである。
スイッチ操作部70は、走行操縦装置50の第1走行ペダル51Lに対する操作量に対応する第1走行モータMLのレギュレータの走行制御値と、走行操縦装置50の第1走行操作部51Rに対する操作量に対応する第2走行モータMRのレギュレータの走行制御値
とを多段階に変更可能である。
図2Cに示すように、制御装置60は、例えば、走行操縦装置50によって設定した斜板角度に対する変更斜板角度の割合を示す変速割合を変速段F(F1〜F5)毎に記憶している。
【0063】
したがって、走行操縦装置50の操作量が制御装置60に入力されると、当該制御装置60は、操作量に対応する斜板角度(走行制御値)を算出し、算出した走行制御値に変更割合を掛けることにより、最終的な斜板角度(走行制御値)を決定して、決定した走行制御値(変更走行制御値)をレギュレータに出力する。第1走行モータML及び第2走行モータMRのレギュレータは、制御装置60から出力された走行制御値(変更走行制御値)に応じて斜板角度を変更する。このように、第1走行モータML及び第2走行モータMRの斜板変更によって、作業機1の走行速度の変更を行うことができる。
【0064】
図3Dに示す変形例は、制御信号に基づいて走行速度が変化する走行装置3Cを示している。走行装置3Cは、作業機1の車軸等を電動によって回転する電動走行装置である。走行装置3Cは、走行モータ(第1走行モータML、第2走行モータMR)を有している。第1走行モータML及び第2走行モータMRは、電動モータであって、制御装置60から出力された走行制御値を示す制御信号によって回転数が変化する。走行制御値(回転数)は、走行操縦装置50及びスイッチ操作部70によって決定される。
【0065】
具体的には、走行操縦装置50は、上述した実施形態と同様に制御装置60に接続された装置であって、走行装置3Dの走行制御値(回転数)を増減させる。スイッチ操作部70は、走行操縦装置50によって増減した走行制御値(回転数)を多段階に変更するスイッチである。スイッチ操作部70は、走行操縦装置50の第1走行ペダル51Lに対する操作量に対応する第1走行モータMLの回転数と、走行操縦装置50の第1走行操作部51Rに対する操作量に対応する第2走行モータMRの回転数とを多段階に変更可能である。
【0066】
図2Dに示すように、制御装置60は、例えば、走行操縦装置50によって設定した回転数に対する変更回転数の割合である変速割合を変速段F(F1〜F5)毎に記憶している。したがって、走行操縦装置50の操作量が制御装置60に入力されると、当該制御装置60は、操作量に対応する回転数(走行制御値)を算出し、算出した回転数(走行制御値)に変更割合を掛けることにより、最終的な回転数(走行制御値)を決定して、決定した走行制御値(変更走行制御値)を第1走行モータML及び第2走行モータMRに出力する。このように、第1走行モータML及び第2走行モータMRの回転数を変更することにより、作業機1の走行速度の変更を行うことができる。
【0067】
本実施形態においては、作業機1は、走行装置3A、3Bと、走行操縦装置50と、走行操縦装置50の操作量に対応する走行装置3A、3Bへの作動油の供給量を多段階に変更可能なスイッチ操作部70と、を備えている。そのため、走行操縦装置50の操作量を調整しなくても、スイッチ操作部70を操作するだけで、走行装置3A、3Bへの作動油の供給量を多段に変更することができる。即ち、スイッチ操作部70による作動油の供給量の変更により、作業機1の走行速度を簡単に変更することができる。
【0068】
また、作業機1は、走行装置3C、3Dと、走行操縦装置50と、走行操縦装置50の走行制御値を多段階に変更可能なスイッチ操作部70とを備えている。そのため、走行操縦装置50の操作量を調整しなくても、スイッチ操作部70を操作するだけで、走行装置3C、3Dに対する走行制御値を変更することができる。即ち、スイッチ操作部70による走行制御値を変更により、作業機1の走行速度を簡単に変更することができる。
【0069】
また、作業機1は、作業装置4と、操作時に把持する作業操縦装置19を備え、スイッチ操作部70は、作業操縦装置19に設けられている。そのため、作業操縦装置19によって作業装置4の操作を行いながら、スイッチ操作部70の操作を行うことができる。
走行操縦装置50は、操作時に把持する操縦装置であり、スイッチ操作部70は、走行操縦装置50に設けられている。そのため、走行操縦装置50によって走行操作を行いながら、スイッチ操作部70の操作を行うことができる。特に、本実施形態では、操作時に把持する走行操縦装置50において、運転席6の一方に配置された第1走行
レバー51Lに減速スイッチ70Bを設け、運転席6の他方に配置された第2走行
レバー51Rに増速スイッチ70Aを設けている。そのため、オペレータが右手で増速スイッチ70Aを操作することで増速が行え、左手で減速スイッチ70Bを操作することで減速を行うことができる。
【0070】
また、スイッチ操作部70は、走行装置3Aへの作動油の供給量を増加させる増速スイッチ70Aと、走行装置3A、3Bへの作動油の供給量を減少させる減速スイッチ70Bとを備えている。そのため、増速スイッチ70A及び減速スイッチ70Bをそれぞれ操作するだけで、作業機1の走行速度を簡単に変更することができる。
作業操縦装置19は、運転席6の一方に配置された第1作業操縦装置19L、運転席6の他方に配置された第2作業操縦装置19Rと、を有し、作業操縦装置19Lに減速スイッチ70Bを設け、第2作業操縦装置19Rに増速スイッチ70Aを設けている。そのため、オペレータが右手で増速スイッチ70Aを操作することで増速が行え、左手で減速スイッチ70Bを操作することで減速を行うことができる。
【0071】
作業装置4はドーザ装置7を含み、第2作業操縦装置19Rとは別に、ドーザ装置7を操作する第3作業操縦装置19Dを運転席6の他方に設け、第3作業操縦装置19Dに増速スイッチ70Aを設けている。そのため、第3作業操縦装置19Dによってドーザ装置7を操作しながら、作業機1の走行速度の変更を行うことができる。
走行操縦装置50を揺動自在に支持された走行ペダルである場合には、オペレータが走行ペダルを踏み込むことによって簡単に作業機1の走行速度を変更することができる。例えば、第1走行ペダル51Lが第1走行ペダル、第2走行ペダル51Rが第2走行ペダルである場合、第1走行ペダル及び第2走行ペダルをそれぞれ左足及び右足で踏み込むことによって作業機1を前進又は後進させる一方で、左手で操作部材40Lを握り、右手で操作部材40Rを握りながら作業系アクチュエータを動かし、さらには、増速スイッチ70A及び減速スイッチ70Bを指で操作することにより、作業装置4の作業と、作業機1の走行速度の変更を簡単に行うことができる。
[第2実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態に係る作業機1を示している。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0072】
上述したように、作業機1は、バケット17に代えて或いは加えて、油圧アクチュエータにより駆動可能な他の作業具(予備アタッチメント)を装着することが可能である。
ブーム15の前部には、接続部材C6が設けられている。接続部材C6は、予備アタッチメントに装備された油圧機器と、ブーム15に設けられたパイプ等の第1管材とを接続する装置である。具体的には、接続部材C6の一端には、第1管材が接続可能で、他端には、予備アタッチメントの油圧機器に接続された第2管材が接続可能である。これにより、第1管材を流れる作動油は、第2管材を通過して油圧機器に供給される。
【0073】
以下、作業機1の油圧システムのうち、ドーザシリンダC1、スイングシリンダC2、予備アタッチメントについて詳しく説明する。
作業機1は、制御弁33として、ドーザシリンダC1を制御するドーザ制御弁33A、スイングシリンダC2を制御するスイング制御弁33B、予備アタッチメントを制御する予備制御弁33Iを含んでいる。
【0074】
ドーザ制御弁33Aは、油路101を介してドーザシリンダC1に接続されている。スイング制御弁33Bは、油路42を介してスイングシリンダC2に接続されている。予備制御弁33Iは、油路109、第1管材、第2管材及び接続部材C6を介して予備アタッチメントに接続されている。
ドーザ制御弁33Aの受圧部には、ドーザ電磁弁37Aが接続されている。スイング制御弁33Bの受圧部には、スイング電磁弁37Bが接続されている。予備制御弁33Iの受圧部には、予備電磁弁37Iが接続されている。
【0075】
即ち、上述した複数の制御弁33には、それぞれの制御弁33に対応して、電磁弁37(37A、37B、あるいは37I)が接続されている。各電磁弁37には、油路49を介して第2油圧ポンプP2が接続され、当該電磁弁37の開度に応じて当該電磁弁37に対応する制御弁33の受圧部に作用するパイロット圧が変化する。
ドーザ制御弁33A、スイング制御弁33B、予備制御弁33Iは、例えば、直動スプール形の切換弁である。複数の制御弁33(33A、33B、33I)のそれぞれは、他の作業系アクチュエータ同様、当該制御弁33に対応する電磁弁37を介して受圧部に作用するパイロット油によって、当該制御弁33に供給された作動油の方向等を切り換え、供給される作動油の流量等を制御する。
【0076】
制御装置60は、ノーマルモード(第1モード)と、アタッチメントモードと、モアモード(第2モード)とを有している。モアモードとは、予備アタッチメントとしてモアが装着された場合に選択されるモードである。モアモードでは、作業しながら走行する際、低速走行を行い、高速走行を要さない。ここで、モアとは、牧草の刈取を行う草刈機である。制御装置60において、ノーマルモードと、アタッチメントモードと、モアモードの切換は、制御装置60に接続された表示装置によって行うことが可能である。
【0077】
制御装置60がモアモードである場合、当該制御装置60は、変速段F0〜F5と当該変速段F0〜F5に対応する変速割合(供給割合)を記憶部61から読み込み保持する。
図5Aに示すように、例えば、変速段FはF0〜F5の6段階に設定され、最大変速段である変速段F5は、変速割合が100%であって、変更供給量は供給量と同じである。最小変速段である変速段F0は、変速割合が15%であって、変更供給量は供給量に対して15%の量である。変速段F0の変速割合は、例えば、予備アタッチメントを装着して走行しながら作業を行う場合の走行速度に合わせて、必要量の作動油を走行モータML,MR供給できるように設定されている。これにより、走行に用いられる作動油の流量を必要最小限に留めることができるので、モア(予備アタッチメント)に供給される作動油の流量を安定して確保できる。
【0078】
なお、変速段Fと変速割合との関係は、上述した例に限定されず、例えば、表示装置によって供給割合の設定変更ができるようにしてもよい。また、変速割合の設定変更を行うことのできるタイミングについても特に限定されず、例えば、非走行時のみとしてもよく、予備アタッチメントの非作動時のみとしてもよく、予備アタッチメントの作動中にも行えるようにしてもよい。
【0079】
例えば、モアモードにおいて、エンジンE1を始動した直後は、制御装置60の変速段Fは最も小さい変速段F0に設定される。制御装置60は、第1開度調整弁71及び第2開度調整弁72に制御信号を出力し、当該第1開度調整弁71及び第2開度調整弁72の開度を変速段F0に対応する開度に保持する。
また、モアモードにおいて、予備制御弁33Iの開度を最大にするよう後述するスライド操作部100Aを操作すると、予備制御弁33Iの開度は最大開度で保持される。言い換えれば、予備アタッチメントに供給する作動油の量を最大にするようスライド操作部100Aを操作すると予備アタッチメントに対する作動油吐出量は最大吐出量で保持される。再度、上述の操作をすれば、当該保持が解除される。なお、スライド操作部100Aの操作量と予備制御弁33Iの開度との関係はこれに限るものではない。例えば、予備制御弁33Iの開度を最大にするようにスライド操作部100Aを操作した後、再度同じ操作が行われるまで予備制御弁33Iの開度を最大開度に保持するのではなく、スライド操作部100Aの操作量に予備制御弁33Iの開度を連動させるようにしてもよい。
【0080】
ノーマルモード、アタッチメントモード及びモアモードのいずれにおいても、オペレータ等によって増速スイッチ70Aが操作されると、制御装置60は増速スイッチ70Aの押された回数に応じて、変速段Fを1段ずつ増加させる。当然の如く、制御装置60は既に変速段Fが最大値である場合は増速スイッチ70Aが操作されても、変速段Fの最大値を保持する。制御装置60は、変速段Fが変更される毎に、第1開度調整弁71及び第2開度調整弁72に制御信号を出力し、第1開度調整弁71及び第2開度調整弁72の開度を変更後の変速段Fに対応する開度に保持する。
【0081】
また、オペレータ等によって減速スイッチ70Bが操作されると、制御装置60は減速スイッチ70Bの押された回数に応じて、変速段Fを1段ずつ減少させる。当然の如く、制御装置60は既に変速段Fが最小値である場合は減速スイッチ70Bが操作されても、変速段Fの最小値(ノーマルモードでは変速段F2、アタッチメントモードでは変速段F
1、モアモードでは変速段F0)を保持する。制御装置60は、変速段Fが変更される毎に、第1開度調整弁71及び第2開度調整弁72に制御信号を出力し、第1開度調整弁71及び第2開度調整弁72の開度を変更後の変速段Fに対応する開度に保持する。
【0082】
したがって、スイッチ操作部70(増速スイッチ70A、減速スイッチ70B)を操作して、変速段Fを増減させることによって、第1走行モータML及び第2走行モータMRに入る作動油の流量、即ち、作業機1の走行速度を多段に変更することができる。
図5B〜
図5Dは、
図3B〜
図3Dに示した走行速度を変更する油圧システムの変形例に対応するモアモードの場合の変速割合について示している。即ち、
図3A及び
図3Bに示す変形例においては、例えば、
図5Bに示すように、制御装置60は、走行操縦装置50の操作量に対する変更操作量の割合を示す変速割合を変速段F(F0〜F5)毎に記憶している。
図3Cに示す変形例においては、
図5Cに示すように、制御装置60は、例えば、走行操縦装置50によって設定した斜板角度に対する変更斜板角度の割合を示す変速割合を変速段F(F0〜F5)毎に記憶している。
図3Dに示す変形例においては、
図5Dに示すように、制御装置60は、例えば、走行操縦装置50によって設定した回転数に対する変更回転数の割合である変速割合を変速段F(F0〜F5)毎に記憶している。
【0083】
以上のように、作業機1の制御装置60は、ノーマルモードと、アタッチメントモードと、モアモードを有している。このため、作業機1にモア等の予備アタッチメントを接続した場合に、作業機1に改造や車速調整することなく、予備アタッチメントの作業をしながら走行する際に、当該作業時の走行速度に適した量の作動油を供給することができる。
なお、本実施形態では、ノーマルモードでは変速段FをF1〜F5の5段階に設定し、モアモードの場合にF1よりも低速のF0を追加してF0〜F5の6段階に設定しているが、これに限るものではない。例えば、モアモードの場合にF0〜F4の5段階、あるいはF0〜F4の4段階としてもよい。あるいは、モアモードの場合に、F1〜F5に対応する変速割合をノーマルモードと異なる値に設定してもよい。例えば、ノーマルモードではF1=25%、F2=40%、F3=60%、F4=80%、F5=100%に設定し、モアモードではF1=15%、F2=25%、F3=40%、F4=60%、F5=80%に設定するようにしてもよい。
【0084】
また、本実施形態では、第2モードとしてモアモードが用いられる場合について説明したが、第2モードはこれに限るものではなく、走行しながら作業を行う他のモードであってもよい。
さて、制御装置60には、
図6Aに示すように、操作部100が備えられている。
操作部100は、操作時にオペレータが把持する作業操縦装置19に設けてられている。具体的には、第1作業操縦装置19Rの操作部材40Rにはオペレータ等が把持するグリップ40R1が設けられており、グリップ40R1にはスライド操作部100A、スイッチ101A、及び増速スイッチ70Aが設けられている。また、第2作業操縦装置19Lの操作部材40Lにはオペレータ等が把持するグリップ40L1が設けられており、グリップ40L1にはスライド操作部100B、スイッチ101B、及び減速スイッチ70Bが設けられている。なお、操作部100の構成は、上述した例に限定されず、例えば、第1作業操縦装置19Rのみに設けられていても良いし、第2作業操縦装置19Lのみに設けられていても良い。増速スイッチ70Aは、グリップ40R1の中途部且つ機体前方側に設けられている。具体的には、グリップ40R1を把持したオペレータ等の人差し指が重なる位置に設けられている。増速スイッチ70Aは、トリガスイッチである。スライド操作部100Aは、グリップ40R1の上側且つ機体後方側に設けられている。具体的には、グリップ40R1を把持したオペレータ等の親指が重なる位置に設けられている。プッシュスイッチ101Aは、例えばタクトスイッチ等からなり、グリップ40R1を把持したオペレータ等が親指で押圧操作できるようにスライド操作部100Aの近傍(例えばスライド操作部100Aの下方)に備えられている。
【0085】
減速スイッチ70Bは、グリップ40L1の中途部且つ機体前方側に設けられている。具体的には、グリップ40L1を把持したオペレータ等の人差し指が重なる位置に設けられている。減速スイッチ70Bは、トリガスイッチである。スライド操作部100Bは、
グリップ40L1の上側且つ機体後方側に設けられている。具体的には、グリップ40L1を把持したオペレータ等の親指が重なる位置に設けられている。プッシュスイッチ101Bは、例えばタクトスイッチ等からなり、グリップ40L1を把持したオペレータ等が親指で押圧操作できるように、スライド操作部100Bの近傍(例えばスライド操作部100Bの下方)に備えられている。
【0086】
スライド操作部100A,100Bは、作業装置4への作動油の供給量、即ち、制御弁33から出力された作動油の供給量を変更する操作ができる操作装置である。言い換えれば、スライド操作部100A,100Bは、制御弁33に接続された電磁弁の開度を設定する操作装置である。スライド操作部100A,100Bは、例えばスライドボリュームのように、移動量(操作量)を検出することができる可変抵抗器である。スライド操作部100A,100Bの操作信号は、制御装置60に入力される。スライド操作部100A,100Bを一方方向に摺動すると、制御装置60は、電磁弁を開くよう制御する。スライド操作部100A,100Bを他方方向に摺動させると、制御装置60は、電磁弁を閉めるよう制御する。
【0087】
本実施形態では、
図6Bに示すようにスライド操作部100Aは、予備アタッチメントの操作に用いられる。スライド操作部100Bは、スイングシリンダC2の操作に用いられる。なお、
図6Bに示したスライド操作部100A、100Bと操作対象は、単なる例示に過ぎず、例えば、スライド操作部100Aをスイング角度の操作に用いてもよいし、スライド操作部100Bを予備アタッチメントの操作に用いてもよい。
【0088】
本実施形態では、スライド操作部100Aの操作により、予備電磁弁37Iの開度を設定でき、予備制御弁33Iを介して予備アタッチメントに出力される作動油の供給量を変更できる。
また、スライド操作部100Bの操作により、スイング電磁弁37Bの開度を設定でき、スイング制御弁33Bを介してスイングシリンダC2に出力される作動油の供給量を変更できる。
【0089】
具体的に説明すると、スライド操作部100Aをオペレータ等が操作すれば、スライド操作部100Aが操作量及び操作方向を検出し、検出した操作量及び操作方向に対応する操作信号を制御装置60に出力する。制御装置60は、スライド操作部100Aの操作量及び操作方向に応じて、予備制御弁33Iの受圧部に接続された予備電磁弁37Iのソレノイドを励磁し、当該予備電磁弁37Iの開度を制御する。その結果、予備制御弁33Iの受圧部にパイロット圧が作用し、当該予備制御弁37Iの位置が切り換えられ、当該位置に応じて予備アタッチメントが作動する。また、予備制御弁33Iの開度を最大にするようにスライド操作部100Aを操作すると、当該開度で保持される。言い換えれば、予備アタッチメントに供給する作動油の量を最大にするように操作すると、当該最大吐出量で保持される。再度、上述の操作をすれば、当該保持が解除される。
【0090】
また、スライド操作部100Bをオペレータ等が操作すると、スライド操作部100Bが操作量及び操作方向を検出し、検出した操作量及び操作方向に対応する操作信号を制御装置60に出力する。制御装置60は、スライド操作部100Bの操作量及び操作方向に応じて、スイング制御弁33Bの受圧部に接続されたスイング電磁弁37Bのソレノイドを励磁し、当該スイング電磁弁37Bの開度を制御する。その結果、スイング制御弁33Bの受圧部にパイロット圧が作用し、当該スイング制御弁37Bの位置が切り換えられ、当該位置に応じてスイングシリンダC2が伸縮する。また、スイング制御弁33Bの開度を最大にするようにスライド操作部100Bを操作すると、当該開度で保持される。言い換えれば、スイングシリンダC2に供給する作動油の量を最大にするように操作すると、当該最大吐出量で保持される。再度、上述の操作をすれば、当該保持が解除される。
【0091】
また、グリップ40L1に備えられたプッシュスイッチ101Bを押圧操作することにより、警告音を発するホーンを操作できるようになっている。なお、ホーンの機能をグリップ40R1に備えられたプッシュスイッチ101Aに割り当ててもよい。増速スイッチ70A、減速スイッチ70Bについては上述した通りである。
図6Cは変形例を示している。この変形例は、予備アタッチメントとして、第1予備ア
タッチメントと第1予備アタッチメントと異なる第2予備アタッチメントとを備えている場合の各スイッチに対する機能の割り当ての一例を示している。スライド操作部100Aは、第1予備アタッチメントへの作動油の供給量の操作に用いられる。スライド操作部100Bは、スイングシリンダC2及び第2予備アタッチメントへの作動油の供給量の操作に用いられる。グリップ40R1に設けられたプッシュスイッチ101Aは、スライド操作部100BをスイングシリンダC2の操作に用いるか第2予備アタッチメントの操作に用いるか切換操作に用いられる。即ち、当該プッシュスイッチ101Aの操作信号に応じて、制御装置60は、スライド操作部100Bの操作対象を、スイングシリンダC2又は第2予備アタッチメントに切り換える。
【0092】
なお、
図6B及び
図6Cに示した各スイッチの操作対象機器は単なる例示に過ぎない。例えば、スライド操作部100Aは、第1予備アタッチメント及び第2予備アタッチメントへの作動油の供給量を操作する操作装置であってもよいし、スライド操作部100Bは、第1予備アタッチメント及びスイングシリンダC2への作動油の供給量を操作する操作装置であってもよい。また、予備アタッチメントが単一であるなど、スライド操作部100Bの切換を要さない場合は、グリップ40R1に設けられたプッシュスイッチに、バケット角度の維持を行う操作等に割り当ててもよい。
【0093】
以上のように、作業機1は、第1作業操縦装置19L及び第2作業操縦装置19Rの少なくともいずれかには、作業装置4への作動油の供給量を変更させる操作部100が設けられている。これによって、第1作業操縦装置19L及び第2作業操縦装置19Rから持ち替えることなく、ブーム15、アーム16、予備アタッチメント等の油圧作業装置及びスイングシリンダC2を操作できる。このため、作業装置4及び油圧機器C2の同時操作が容易となる。
【0094】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。上述した実施形態では、走行装置は、クローラ式の走行装置であったが、これに代え、前輪、後進を有する車輪式の走行装置であってもよい。上述した実施形態では、第1走行制御弁33G、第2走行制御弁33Hによって、第1走行モータML、第2走行モータMRを駆動するものであったがこれに代え、原動機E1の動力等によって駆動する走行ポンプによって、第1走行モータML及び第2走行モータMRを駆動する方式(Hydro Mechanical Transmission)であってもよい。