特許第6776247号(P6776247)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6776247
(24)【登録日】2020年10月9日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】固体撮像装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20201019BHJP
   H04N 5/374 20110101ALI20201019BHJP
【FI】
   H01L27/146 D
   H04N5/374
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-539108(P2017-539108)
(86)(22)【出願日】2016年8月26日
(86)【国際出願番号】JP2016074915
(87)【国際公開番号】WO2017043330
(87)【国際公開日】20170316
【審査請求日】2019年8月8日
(31)【優先権主張番号】特願2015-177293(P2015-177293)
(32)【優先日】2015年9月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(72)【発明者】
【氏名】岩淵 信
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和弘
(72)【発明者】
【氏名】本園 健介
(72)【発明者】
【氏名】岩本 政利
【審査官】 小山 満
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−165650(JP,A)
【文献】 特開2007−299840(JP,A)
【文献】 特開2014−192348(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0132871(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0252183(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0291793(US,A1)
【文献】 特開2012−238648(JP,A)
【文献】 特開2012−064709(JP,A)
【文献】 特開2015−032640(JP,A)
【文献】 特開2009−099626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 5/374
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素が規則的に2次元的に配列された画素領域と、
前記画素領域の外側において、前記画素からの画像信号に対して信号処理を行う回路が配置される周辺回路領域と、
前記画素領域と前記周辺回路領域の間に配置される画素周辺領域と、
前記画素領域を覆い、第1の電位に接続されている第1の遮光物と、
前記周辺回路領域を覆い、前記第1の電位とは異なる電位である第2の電位に接続されている第2の遮光物と
を備え
前記第1の遮光物と前記第2の遮光物との間において、前記画素領域を囲む絶縁体領域が配置されており、
前記画素領域と前記絶縁体領域の間にある領域に、前記画素領域側への光の入射を抑制するための第1の膜と、前記周辺回路領域のうち、前記絶縁体領域よりも外側にある領域におけるSi基板の内部に、前記周辺回路領域側への光の入射を抑制するための第2の膜が埋め込まれている
固体撮像装置。
【請求項2】
前記第1の遮光物と前記第2の遮光物との間において、前記画素領域を囲む絶縁体領域が配置されている
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記第1の遮光物および第2遮光物のうち少なくとも1つは、タングステン、チタンを含む化合物、またはアルミで構成されている
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記絶縁体領域内におけるSi基板の表面を掘り込んで形成された埋め込み部が設けられている
請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記埋め込み部は、絶縁物が埋め込まれて形成されている
請求項4に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記第1の膜および前記第2の膜は、Si基板と屈折率が異なる膜で構成されている
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記第1の膜および前記第2の膜は、遮光膜で構成されている
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記遮光膜は、絶縁物と遮光物の積層構造である
請求項7に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記遮光膜は、タングステン、チタンを含む化合物、またはアルミで構成されている
請求項7に記載の固体撮像装置。
【請求項10】
裏面固体撮像装置である
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項11】
画素が規則的に2次元的に配列された画素領域と、
前記画素領域の外側において、前記画素からの画像信号に対して信号処理を行う回路が配置される周辺回路領域と、
前記画素領域と前記周辺回路領域の間に配置される画素周辺領域と、
前記画素領域を覆い、第1の電位に接続されている第1の遮光物と、
前記周辺回路領域を覆い、前記第1の電位とは異なる電位である第2の電位に接続されている第2の遮光物と
を備え
前記第1の遮光物と前記第2の遮光物との間において、前記画素領域を囲む絶縁体領域が配置されており、
前記画素領域と前記絶縁体領域の間にある領域に、前記画素領域側への光の入射を抑制するための第1の膜と、前記周辺回路領域のうち、前記絶縁体領域よりも外側にある領域におけるSi基板の内部に、前記周辺回路領域側への光の入射を抑制するための第2の膜が埋め込まれている固体撮像装置と、
前記固体撮像装置から出力される出力信号を処理する信号処理回路と、
入射光を前記固体撮像装置に入射する光学系と
を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体撮像装置および電子機器に関し、特に、製品歩留まりや信頼性リスクを軽減させることができるようにした固体撮像装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
裏面照射型固体撮像素子において、同じSi基板上に画素領域と周辺回路を形成するレイアウトを有するチップの場合、通常は周辺回路に形成されるTr.を含むデバイスに光が入ることで光電変換による電荷が発生してデバイス特性に影響を及ぼさないように周辺回路上には遮光物を裏側面に形成する。例えば、遮光性の高いメタルが周辺回路上に形成される。
【0003】
特許文献1においては、画素の外側の周辺回路上に遮光性メタルを形成するレイアウトを有しており、メタルの応力による膜剥がれやそれによるダスト発生を抑制するためにメタルの一部にスリットが形成されている。また、特許文献2においては、裏面上に形成する遮光メタルを電気的に安定するために裏面上にコンタクトを開口してSi基板中のグランド領域と遮光メタルを接続させることで遮光メタルをグラウンド接続させて、電荷が堪らないようにすることでプロセス中の異常放電や静電破壊を防止することができる構造を取っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−294390号公報
【特許文献2】特開2014−7427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、裏面側の加工工程においては、裏面Siを薄膜化する際に発生する研磨掘れや結晶欠陥などの表面の形状異常や洗浄や絶縁膜形成時のダスト付着により絶縁膜が十分な絶縁耐性をもつ膜厚や形状にならない場合が発生する。
【0006】
そのような異常部の上部に形成された遮光メタルと異常部を挟んだSi基板との間には通常は絶縁性が保たれる絶縁膜構造にはなっておらず、遮光メタルがグラウンドの電位でSi基板がN型基板の場合は電源電位に接続されている場合には電界が発生しており、信頼性劣化により絶縁性が弱い異常部で電気的なショートが発生し、製品の待機電流の増加や流れた電子の再結合時の発光による画素の暗電流の増加により製品特性の悪化となる恐れがある。
【0007】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、製品歩留まりや信頼性リスクを軽減させることができるものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一側面の固体撮像装置は、画素が規則的に2次元的に配列された画素領域と、前記画素領域の外側において、前記画素からの画像信号に対して信号処理を行う回路が配置される周辺回路領域と、前記画素領域と前記周辺回路領域の間に配置される画素周辺領域と、前記画素領域を覆い、第1の電位に接続されている第1の遮光物と、前記周辺回路領域を覆い、前記第1の電位とは異なる電位である第2の電位に接続されている第2の遮光物とを備え、前記第1の遮光物と前記第2の遮光物との間において、前記画素領域を囲む絶縁体領域が配置されており、前記画素領域と前記絶縁体領域の間にある領域に、前記画素領域側への光の入射を抑制するための第1の膜と、前記周辺回路領域のうち、前記絶縁体領域よりも外側にある領域におけるSi基板の内部に、前記周辺回路領域側への光の入射を抑制するための第2の膜が埋め込まれている。
【0020】
本開示の一側面においては、画素が規則的に2次元的に配列された画素領域と、前記画素領域の外側において、前記画素からの画像信号に対して信号処理を行う回路が配置される周辺回路領域と、前記画素領域と前記周辺回路領域の間に配置される画素周辺領域と、前記画素領域を覆い、第1の電位に接続されている第1の遮光物と、前記周辺回路領域を覆い、前記第1の電位とは異なる電位である第2の電位に接続されている第2の遮光物とが備えられる。そして、前記第1の遮光物と前記第2の遮光物との間において、前記画素領域を囲む絶縁体領域が配置されており、前記画素領域と前記絶縁体領域の間にある領域に、前記画素領域側への光の入射を抑制するための第1の膜と、前記周辺回路領域のうち、前記絶縁体領域よりも外側にある領域におけるSi基板の内部に、前記周辺回路領域側への光の入射を抑制するための第2の膜が埋め込まれている。
【発明の効果】
【0021】
本技術によれば、製品歩留まりや信頼性リスクを軽減させることができる。
【0022】
なお、本明細書に記載された効果は、あくまで例示であり、本技術の効果は、本明細書に記載された効果に限定されるものではなく、付加的な効果があってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本技術を適用した固体撮像装置の概略構成例を示すブロック図である。
図2】固体撮像装置の構成例を示す断面図である。
図3】本技術の固体撮像装置の第1の構成例を示す断面図である。
図4図1の固体撮像装置を上から見た平面図である。
図5】本技術の固体撮像装置の第2の構成例を示す断面図である。
図6】本技術の固体撮像装置の第3の構成例を示す断面図である。
図7】本技術の固体撮像装置の第4の構成例を示す断面図である。
図8】本技術を適用したイメージセンサの使用例を示す図である。
図9】本技術を適用した電子機器の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態(イメージセンサの使用例)
3.第3の実施の形態(電子機器の例)
【0025】
<1.第1の実施の形態>
<固体撮像装置の概略構成例>
図1は、本技術の各実施の形態に適用されるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)固体撮像装置の一例の概略構成例を示している。
【0026】
図1に示されるように、固体撮像装置(素子チップ)1は、半導体基板11(例えばシリコン基板)に複数の光電変換素子を含む画素2が規則的に2次元的に配列された画素領域(いわゆる撮像領域)3と、周辺回路領域とを有して構成される。
【0027】
画素2は、光電変換素子(例えばフォトダイオード)と、複数の画素トランジスタ(いわゆるMOSトランジスタ)を有してなる。複数の画素トランジスタは、例えば、転送トランジスタ、リセットトランジスタ、および増幅トランジスタの3つのトランジスタで構成することができ、さらに選択トランジスタを追加して4つのトランジスタで構成することもできる。各画素2(単位画素)の等価回路は一般的なものと同様であるので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0028】
また、画素2は、画素共有構造とすることもできる。画素共有構造は、複数のフォトダイオード、複数の転送トランジスタ、共有される1つのフローティングディフュージョン、および、共有される1つずつの他の画素トランジスタから構成される。フォトダイオードは、光電変換素子である。
【0029】
周辺回路領域は、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5、水平駆動回路6、出力回路7、および制御回路8から構成される。
【0030】
制御回路8は、入力クロックや、動作モード等を指令するデータを受け取り、また、固体撮像装置1の内部情報等のデータを出力する。具体的には、制御回路8は、垂直同期信号、水平同期信号、およびマスタクロックに基づいて、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5、および水平駆動回路6の動作の基準となるクロック信号や制御信号を生成する。そして、制御回路8は、これらの信号を垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5、および水平駆動回路6に入力する。
【0031】
垂直駆動回路4は、例えばシフトレジスタによって構成され、画素駆動配線を選択し、選択された画素駆動配線に画素2を駆動するためのパルスを供給し、行単位で画素2を駆動する。具体的には、垂直駆動回路4は、画素領域3の各画素2を行単位で順次垂直方向に選択走査し、垂直信号線9を通して各画素2の光電変換素子において受光量に応じて生成した信号電荷に基づいた画素信号をカラム信号処理回路5に供給する。
【0032】
カラム信号処理回路5は、画素2の例えば列毎に配置されており、1行分の画素2から出力される信号を画素列毎にノイズ除去等の信号処理を行う。具体的には、カラム信号処理回路5は、画素2固有の固定パターンノイズを除去するためのCDS(Correlated Double Sampling)や、信号増幅、A/D(Analog/Digital)変換等の信号処理を行う。カラム信号処理回路5の出力段には、水平選択スイッチ(図示せず)が水平信号線10との間に接続されて設けられる。
【0033】
水平駆動回路6は、例えばシフトレジスタによって構成され、水平走査パルスを順次出力することによって、カラム信号処理回路5の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路5の各々から画素信号を水平信号線10に出力させる。
【0034】
出力回路7は、カラム信号処理回路5の各々から水平信号線10を通して順次に供給される信号に対し、信号処理を行って出力する。出力回路7は、例えば、バッファリングだけを行う場合もあるし、黒レベル調整、列ばらつき補正、各種デジタル信号処理等を行う場合もある。
【0035】
入出力端子12は、外部と信号のやりとりをするために設けられる。
【0036】
<固体撮像装置の構成例>
図2は、N型基板とグラウンドに接続された遮光メタルの間の絶縁膜に定常的に電界がかかる場合の固体撮像装置の構成例を示す断面図である。図2の例においては、裏面固体撮像装置の例が示されている。また、図2の例においては、記載されていないが、実際には、固体撮像装置1における、図中下部にトランジスタなどの配線層が配置されている。
【0037】
図2の例の固体撮像装置1においては、N型のSi基板21を用いて、N型の画素領域3とN型の周辺回路領域41の間は、電気的、光学的に画素領域3に影響がないように、ある幅を持ったP型の画素周辺領域42が形成されている。
【0038】
画素2と周辺回路が同じSi基板21面に形成される場合、画素領域3のみ光が入射されるように、周辺回路領域41上は、遮光物、一般的にはメタル(以下、遮光メタルと称する)25で覆う構造が適用される。具体的には、Si基板21の上には、下から順に、膜中固定電荷を有する絶縁膜22、例えば、SiO2からなる絶縁膜23、メタル層24、遮光メタル25、および絶縁膜26が形成されている。遮光メタル25は、例えば、タングステン、チタンを含む化合物、またはアルミなどからなる。
【0039】
画素周辺領域42は、加工時に帯電しないように予めグラウンド(GND)に接続されている。その画素周辺領域42の裏面上の絶縁膜22および23に開口部31を形成してコンタクトを形成することにより、遮光メタル25はグラウンド(GND)に接続できるようにされている。
【0040】
N型基板には、通常Si基板21内に電気的分離領域であるPN接合を形成するために周辺回路領域41に、正の電圧である電源電圧(例えば、4.5V)が印加される。したがって、正に帯電したN型Si基板21と、グラウンド(GND)に接続された遮光メタル25の間の絶縁膜23には、定常的に電界がかかることになる。
【0041】
<固体撮像装置の構成例>
図3は、本技術の固体撮像装置の第1の構成例を示す断面図である。
【0042】
図3の固体撮像装置1は、Si基板21の上には、絶縁膜22、絶縁膜23、メタル層24、および絶縁膜26が形成されている点、画素周辺領域42の裏面上の絶縁膜22および23に開口部31を形成してコンタクトが形成されている点は、図2の固体撮像装置1と共通している。
【0043】
図3の固体撮像装置1は、遮光メタル25の代わりに、画素領域3上の遮光メタル52と、周辺回路領域41上の遮光メタル53とが形成されている点、また、遮光メタル52および53との間に絶縁領域51が形成されている点、および周辺回路領域41の裏面上の絶縁膜22および23に開口部54を形成してコンタクトが形成されている点が、図2の固体撮像装置1と異なっている。遮光メタル52および53は、遮光メタル25と同様に、例えば、タングステン、チタンを含む化合物、またはアルミなどで構成される。なお、遮光メタル52および53は、同じ材料で構成されていてもよいし、同じ材料で構成されていなくてもよい。
【0044】
すなわち、図3の例においては、周辺回路領域41上の遮光メタル53とSi基板21とを同電位にして、遮光メタル53とSi基板21との間の絶縁膜22および23に電界が印加されないようにする。
【0045】
そのために、周辺回路領域41上の遮光メタル53をグラウンド(GND)接続せずに、周辺回路領域41の裏面上の絶縁膜22および23に開口部54を形成してコンタクトを形成することで、Si基板21に接続させる。さらに、画素領域3上の遮光メタル52は、グラウンド(GND)接続しているので、周辺回路領域41上の遮光メタル53との間にメタルを形成しない分断した領域(絶縁領域)51を設けることにより、周辺回路領域41上の遮光メタル53とショートしない構造となる。
【0046】
この構造およびレイアウトを適用することにより、周辺回路領域41上の遮光メタル53とSi基板21との間の絶縁膜22および23の一部において、例えば、下地のSi表面異常や絶縁膜中のダストが原因による絶縁体圧が低い箇所が発生したとしても、遮光メタル53とSi基板21が同電位になっているため、遮光メタル53とSi基板21間で電流が流れることはない。また、グラウンド(GND)との接続は、Si基板21中の画素領域3のP型領域と周辺回路領域41のN型領域との間にPN接合が形成されており、接合リーク以上の電流が発生することはない。
【0047】
図4は、図3の固体撮像装置の裏面側の平面図である。なお、図4の例において、Aに示される断面の例を、図3の固体撮像装置の断面図が示している。
【0048】
図4に示されるように、画素領域3上の遮光メタル52と、周辺回路領域41の遮光メタル53は、絶縁領域51により分断されている。
【0049】
<固体撮像装置の構成例>
図5は、本技術の固体撮像装置の第2の構成例を示す断面図である。
【0050】
図5の固体撮像装置1は、Si基板21の上には、下から順に、絶縁膜22、絶縁膜23、メタル層24、遮光メタル52および53、絶縁領域51、並びに絶縁膜26が形成されている点、画素周辺領域42の裏面上の絶縁膜22および23に開口部31を形成してコンタクトが形成されており、周辺回路領域41の裏面上の絶縁膜22および23に開口部54を形成してコンタクトが形成されている点は、図3の固体撮像装置1と共通している。
【0051】
図5の固体撮像装置1は、画素周辺領域42に遮光膜101−1が埋め込まれており、周辺回路領域41に遮光膜101−2が埋め込まれている点が、図3の固体撮像装置1と異なっている。
【0052】
遮光メタル25の代わりに、画素領域3上の遮光メタル52と、周辺回路領域41上の遮光メタル53との間に絶縁領域51が形成されている点、および周辺回路領域41の裏面上の絶縁膜22および23に開口部54を形成してコンタクトが形成されている点は、図3の固体撮像装置1と共通している。
【0053】
なお、遮光膜101−1および101−2を特に区別する必要がない場合、遮光膜101とまとめて称する。
【0054】
ここで、図3の例に示された構成は、電源電圧のSi基板に接続された遮光メタル53とグラウンド接続した画素領域3上の遮光メタル52との間に電気的な絶縁領域51を設けている。ただし、実際には、絶縁領域51を形成するために、通常は、遮光メタルで覆われる箇所に、遮光しない領域である絶縁領域51が設けられているので、光が入ったときに、画素2内や周辺回路内のデバイス領域に光が入って、光電変換された電子がデバイス特性に影響を及ぼすことがある。
【0055】
その対策の1つとして、十分な距離を開口部からデバイス領域の間に設けることであるが、図5に示すように、遮光物もしくはSiと屈折率の異なる膜として、遮光膜101−1および101−2を設けることもできる。このようにすることにより、入射した光を全反射もしくはデバイス領域側へ入りにくいように光を屈折させる構造を有することができる。
【0056】
遮光膜101−1および101−2は、例えば、タングステン、チタンを含む化合物、またはアルミなどの金属膜や、Siと屈折率の異なるものとして、例えば、SiO2膜などであってもよい。また、遮光膜101−1および101−2は、絶縁物と遮光物の積層構造であってもよい。その際の遮光物も、例えば、タングステン、チタンを含む化合物、またはアルミなどの金属膜や、Siと性質の異なるものとして、例えば、SiO2膜などであってもよい。
【0057】
なお、図5の例においては、遮光膜101が、絶縁領域51を挟んで左右にある領域、すなわち、画素領域3側と周辺回路領域41側に1つずつ形成される例が示されているが、画素領域3よりも外側であれば、複数本設置してもよい。
【0058】
これによって、遮光メタルを分断した領域から光が入っても直接画素領域3側や周辺回路領域41側に光が入ることを抑制することができる。この結果、安定したデバイス特性や周辺回路動作を得ることができる。
【0059】
<固体撮像装置の構成例>
図6は、本技術の固体撮像装置の第3の構成例を示す断面図である。
【0060】
図6の固体撮像装置1は、Si基板21の上には、下から順に、絶縁膜22、絶縁膜23、メタル層24、遮光メタル52および53、絶縁領域51、並びに絶縁膜26が形成されている点、画素周辺領域42の裏面上の絶縁膜22および23に開口部31を形成してコンタクトが形成されており、周辺回路領域41の裏面上の絶縁膜22および23に開口部54を形成してコンタクトが形成されている点は、図3の固体撮像装置1と共通している。
【0061】
図6の固体撮像装置1は、周辺回路領域41に、Si基板埋め込み部152が埋め込まれている点とが図3の固体撮像装置1と異なっている。なお、図6の例においては、説明の便宜上、Si基板21と絶縁膜22との間に、P型反転層151が記載されている。このP型反転層151は、負の固定電荷を持つ絶縁膜22により常に裏面Si界面に形成されるものであり、図3図5の例においては特に記載されていないが、実際には、図3図5の例においても裏面Si界面に常に形成されている。
【0062】
Si基板埋め込み部152は、画素周辺領域42の外側である周辺回路領域41において、P型反転層151を分断するため、Si基板21を掘り込むようにドライエッチング加工され、絶縁膜を埋め込んで形成されている。すなわち、例えば、4.5V側からグラウンド側へ4.5Vのコンタクトで発生した電子がGND側へ流れ込む裏面界面に結成された一部のP反転層151が切断される。特に、高電圧条件(例えば、4.5V以上)で効果がある。
【0063】
ここで、裏面Si表面上に固定電荷を有する膜である絶縁膜22を成膜して、裏面Si表面ポテンシャルを変調させることで、界面準位を起因として発生する電荷による画素の案電流特性を抑制する構成を適用すると、裏面Si表面が変調されることで発生するP型反転層151によって周辺回路領域41上と画素2内との間が接続されることになる。
【0064】
仮に製品の経年劣化による裏面に形成された膜中固定電荷量の変動やSi表面異常や、絶縁膜の膜質異常によって、上記P型反転層151の変調度が劣化した場合、界面準位の影響による電荷が増加してP型反転層151を経由してリーク電流として流れる恐れがある。その量が大きいと製品の待機消費電流や発光によって画素特性の暗電流が悪化する恐れも考えられる。
【0065】
そこで、Si基板21を掘り込むように、Si基板埋め込み部152をドライエッチング加工で形成してP型反転層151を分断する構造をとることにより、界面で発生した電荷が流れるリークパスを遮断することが可能となる。したがって、製品の待機消費電流や発光による画素特性の暗電流の悪化を抑制することができる。
【0066】
なお、上記説明においては、Si基板21として、Nsub基板を使用した例を説明してきたが、Psub基板を用いた場合にも本技術を適用することが可能である。
【0067】
<固体撮像装置の構成例>
図7は、本技術の固体撮像装置の第4の構成例を示す断面図である。
【0068】
図7の固体撮像装置1は、Si基板21の上には、下から順に、絶縁膜22、絶縁膜23、メタル層24、遮光メタル25、絶縁領域51、並びに絶縁膜26が形成されている点、画素周辺領域42の裏面上の絶縁膜22および23に開口部31を形成してコンタクトが形成されている点は、図3の固体撮像装置1と共通している。
【0069】
図7の固体撮像装置1は、Si基板21として、Psub基板が用いられている点が、図3の固体撮像装置1と異なっている。
【0070】
すなわち、この場合、Si基板21の画素周辺領域42と同様に、周辺回路領域41がP型領域である。したがって、図3乃至図6の例(Ndub基板が用いられている例)の構造を適用しなくても、周辺回路領域41上の遮光メタル25とSi基板21はグラウンド接続となる。
【0071】
以上のように、本技術においては、裏面の遮光メタルとその下の基板電位とを同電位にする構造をとるようにした。
【0072】
このような本技術を適用することにより、周辺回路上の遮光メタルとSi基板との間の絶縁膜の一部において、例えば、下地のSi表面異常や絶縁膜中のダストが原因による絶縁耐性が低い箇所が発生したとしても、遮光メタルとSi基板が同電位になっているため、遮光メタル、Si基板間で電流が流れることはなく、グラウンド(GND)との接続は、Si基板中の画素領域のP型領域と周辺回路領域のN型領域とのPN接合が形成されており、接合リーク以上の電流が発生することはない。
【0073】
周辺回路領域において、遮光メタルと基板間に電界がつかないためショートすることが原理的になくなるため、裏面工程の遮光メタル形成までの工程で発生するSi表面異常やダスト発生による製品歩留まりや信頼性リスクを軽減させることが可能となる。
【0074】
なお、上記説明においては、裏面固体撮像装置の例について説明してきたが、表面固体撮像装置にも本技術は適用することができる。
【0075】
また、以上においては、本技術を、CMOS固体撮像装置に適用した構成について説明してきたが、CCD(Charge Coupled Device)固体撮像装置といった固体撮像装置に適用するようにしてもよい。
【0076】
<2.第2の実施の形態(イメージセンサの使用例)>
図8は、上述の固体撮像装置を使用する使用例を示す図である。
【0077】
上述した固体撮像装置(イメージセンサ)は、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
【0078】
・ディジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
【0079】
<3.第3の実施の形態(電子機器の例)>
<電子機器の構成例>
【0080】
さらに、本技術は、固体撮像装置への適用に限られるものではなく、撮像装置にも適用可能である。ここで、撮像装置とは、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等のカメラシステムや、携帯電話機等の撮像機能を有する電子機器のことをいう。なお、電子機器に搭載されるモジュール状の形態、すなわちカメラモジュールを撮像装置とする場合もある。
【0081】
ここで、図9を参照して、本技術の電子機器の構成例について説明する。
【0082】
図9に示される電子機器500は、固体撮像装置(素子チップ)501、光学レンズ502、シャッタ装置503、駆動回路504、および信号処理回路505を備えている。固体撮像装置501としては、上述した本技術の第1の実施の形態の固体撮像装置1が設けられる。これにより、電子機器500の固体撮像装置501の製品歩留まりや信頼性リスクを軽減させることができる。
【0083】
光学レンズ502は、被写体からの像光(入射光)を固体撮像装置501の撮像面上に結像させる。これにより、固体撮像装置501内に一定期間信号電荷が蓄積される。シャッタ装置503は、固体撮像装置501に対する光照射期間および遮光期間を制御する。
【0084】
駆動回路504は、固体撮像装置501の信号転送動作およびシャッタ装置503のシャッタ動作を制御する駆動信号を供給する。駆動回路504から供給される駆動信号(タイミング信号)により、固体撮像装置501は信号転送を行う。信号処理回路505は、固体撮像装置501から出力された信号に対して各種の信号処理を行う。信号処理が行われた映像信号は、メモリなどの記憶媒体に記憶されたり、モニタに出力される。
【0085】
なお、本明細書において、上述した一連の処理を記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0086】
また、本開示における実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0087】
また、以上において、1つの装置(または処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(または処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部を他の装置(または他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。つまり、本技術は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0088】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、開示はかかる例に限定されない。本開示の属する技術の分野における通常の知識を有するのであれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例また修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0089】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1) 画素が規則的に2次元的に配列された画素領域と、
前記画素領域の外側において、前記画素からの画像信号に対して信号処理を行う回路が配置される周辺回路領域と、
前記画素領域と前記周辺回路領域の間に配置される画素周辺領域と、
前記画素領域を覆い、第1の電位に接続されている第1の遮光物と、
前記周辺回路領域を覆い、前記第1の電位とは異なる電位である第2の電位に接続されている第2の遮光物と
を備える固体撮像装置。
(2) 前記第1の遮光物と前記第2の遮光物との間において、前記画素領域を囲む絶縁体領域が配置されている
前記(1)に記載の固体撮像装置。
(3) 前記第1の遮光物および第2遮光物のうち少なくとも1つは、タングステン、チタンを含む化合物、またはアルミで構成されている
前記(1)または(2)に記載の固体撮像装置。
(4) 前記絶縁体領域内におけるSi基板の表面を掘り込んで形成された埋め込み部が設けられている
前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(5) 前記埋め込み部は、絶縁物が埋め込まれて形成されている
前記(4)に記載の固体撮像装置。
(6) 前記画素領域と前記絶縁体領域内の間にある領域におけるSi基板の内部に、埋め込み遮光膜が埋め込まれている
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(7) 前記周辺回路領域側への光の入射を抑制するための膜は、Si基板と屈折率が異なる膜で構成されている
前記(6)に記載の固体撮像装置。
(8) 前記周辺回路領域側への光の入射を抑制するための膜は、遮光膜で構成されている
前記(6)に記載の固体撮像装置。
(9) 前記遮光膜は、絶縁物と遮光物の積層構造である
前記(8)に記載の固体撮像装置。
(10) 前記遮光膜は、タングステン、チタンを含む化合物、またはアルミで構成されている
前記(8)に記載の固体撮像装置。
(11) 裏面固体撮像装置である
前記(1)乃至(10)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(12) 規則的に2次元的に配列された画素と、
垂直加算を行う際に、垂直加算対象の画素のうちの一方が、撮像以外の機能を有する特殊画素である場合、前記垂直加算対象の画素のどちらかのみを出力する垂直加算回路と
を備える固体撮像装置と、
前記固体撮像装置から出力される出力信号を処理する信号処理回路と、
入射光を前記固体撮像装置に入射する光学系と
を有する電子機器。
【符号の説明】
【0090】
1 固体撮像装置, 2 画素, 3 画素領域, 4 垂直駆動回路, 9 垂直信号線, 21 Si基板, 22 絶縁膜, 23 絶縁膜, 24 メタル層, 25 遮光メタル, 26 絶縁膜, 31 開口部, 41 周辺回路領域, 42 画素周辺領域, 51 絶縁領域, 52 遮光メタル, 53 遮光メタル, 54 開口部, 101,101−1,101−2 遮光膜, 151 P型反転層, 152 Si基板埋め込み部, 500 電子機器、 501 固体撮像装置, 502 光学レンズ, 503 シャッタ装置, 504 駆動回路, 505 信号処理回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9