【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、本発明は、スキャンジオメトリプランニングの方法に関する。方法は、コンピュータサーバに接続された少なくとも1つのスキャン撮像システムを提供するステップと、サーバ(コンピュータサーバとも呼ばれる)を制御して少なくとも1つのスキャン撮像システムと通信するステップと、少なくとも1つのスキャン撮像システムから得られた画像データからデータベースを構築するステップであって、画像データが、スキャンジオメトリを使用して取得したそれぞれの参照画像に関連してスキャンジオメトリを示すステップと、少なくとも1つのスキャン撮像システムのうちのスキャン撮像システムからのスキャンジオメトリ要求をサーバで受信するステップであって、要求がサーベイ画像を示し、サーベイ画像が、要求元のスキャン撮像システムを用いて患者の身体ボリュームを撮像することによって較正スキャン中に得られるステップと、サーベイ画像を参照画像と比較するステップと、参照画像のうちのサーベイ画像に一致する参照画像に関連するスキャンジオメトリを示すデータを要求元のスキャン撮像システムに送信するステップと、要求元のスキャン撮像システムを制御して、要求元のスキャン撮像システムで、提示スキャンジオメトリと、提示スキャンジオメトリの修正から得られる修正スキャンジオメトリとの一方を使用して、身体ボリュームの臨床スキャン中に撮像データを取得するステップと、修正スキャンジオメトリを撮像データの取得のために使用する場合に、要求元のスキャン撮像システムを制御して修正スキャンジオメトリをサーバに送信するステップとを含む。要求元のスキャン撮像システムは、サーバにスキャンジオメトリ要求を送信したスキャン撮像システムである。
【0007】
例えば、参照画像は、同じ又は異なるタイプの解剖学的構造を表す。各参照画像は、少なくとも参照画像が取得されたときに対象であった解剖学的構造を示す。解剖学的構造は、例えば、これらの構造の解剖学的モデル及び予想コントラストを使用して参照画像内において自動で特定される。
【0008】
例えば、スキャンジオメトリの定義オブジェクト用に確保された特有の色を使用して、参照画像の各々に関連するスキャンジオメトリを参照画像に取り込む。或いは、スキャンジオメトリを参照画像にタグ付けする、又は別のファイル若しくはデータセットに保存する。
【0009】
上記の特徴は、スキャンジオメトリプランニングの集中型自動アプローチを提供するという利点を有する。これにより、スキャン撮像システムで取得する画像データの精度が高まる。これは、画像データが、複数のスキャン撮像システムから得られた画像データの大きいサンプルから得られたスキャンジオメトリに基づくからである。
【0010】
別の利点は、スキャンジオメトリプランニングプロセスがコンピュータサーバで集中的に実行されるため、スキャン撮像システムで処理リソースを節約できることである。
【0011】
上記の特徴は、集中型スキャンジオメトリプランニング方法を使用して複数のスキャン撮像システムにわたって画像データを均一に取得することができるという利点をさらに有する。
【0012】
「物理的スキャン」、「臨床スキャン」、又は「メインスキャン」という用語は、T1強調画像などの意図した診断画像を撮像するためのスキャンを指し、較正スキャン用のMR信号を取得するためのスキャンは含まない。臨床スキャンは、較正スキャンよりも高い画像解像度で実行される。
【0013】
「較正スキャン」又は「プレスキャン」という用語は、画像の再構成などに使用される撮像条件及び/又はデータを決定するためのスキャンを指し、このスキャンは臨床スキャン又はメインスキャンとは別に実行される。較正スキャンは臨床スキャンの前に行われる。
【0014】
「スキャンジオメトリ」という用語は、患者の標的ボリューム又は解剖学的構造を説明する位置情報を指す。
【0015】
本明細書で使用されるとき「サーバ」又は「コンピュータサーバ」という用語は、データ、ファイル、アプリケーション、コンテンツ、又は他のサービスを1つ又は複数の他のデバイス又はエンティティに提供するように構成された形式にかかわらず、任意のコンピュータ部品、システム、又はエンティティを指す。
【0016】
一実施形態によれば、データベースの構築は所定の期間に実行され、方法は、少なくとも1つのスキャン撮像システムの各々を制御して、その期間の少なくとも一部で成功スキャンのみについての画像データの少なくとも一部を送信するステップをさらに含む。
【0017】
成功スキャンとは、取得した画像データが予想した結果に対応する、且つ/又は所定の標準データ取得基準を満たすスキャンである。
【0018】
所定の期間とは、実際には、データベースを構築する構築期間である。画像データを受信する(サーバにアップロードする)速度に応じて、この構築時間は数日、数週間、数か月、又はさらには1年若しくは数年である。この構築期間に、成功スキャンのみについての画像データがサーバに送信される(アップロードされる)、所定の期間の少なくとも一部があり、したがって、この少なくとも一部を成功期間とする。成功期間は、最初にユーザにより設定することができる。
【0019】
本実施形態は、ワークフローを容易にし、前の成功ジオメトリプランを効率的に使用するため有利である。
【0020】
一実施形態によれば、方法は、受信画像データ量をモニタリングするステップと、受信画像データ量が所定の最小サンプルサイズよりも大きくなる所与の時点を決定するステップと、その時点を使用して期間の少なくとも一部を動的に決定するステップとをさらに含む。例えば、期間の少なくとも一部は、データベースの構築が開始する時間である開始時間と、その時点である終了時間とを有する。最小サンプルサイズは、成功スキャンに対応するサンプルを有するように定義され、この成功スキャンは、そのサンプルにおいてスキャンジオメトリの要求に対してスキャンジオメトリを見つけ出す確率を高めるのに十分な大きさである。別の利点は、スキャン撮像システムが、成功スキャンに対応するデータだけでなく非成功スキャンに対応するデータも送信するように強要されないため、スキャンジオメトリを選択するために使用されるサンプルを増加させる(保存されたスキャンジオメトリは所与のスキャン撮像システムの非成功スキャンに対応するが、それでも他のスキャン撮像システムに使用可能であり、成功スキャンを生じさせる)ことである。
【0021】
すなわち、データベースの構築中、すなわち構築時間中の1つ又は複数の所与の時点に、データベースのデータ量を決定する。データ量は、設定した成功期間の終了前に、将来のジオメトリ要求についてのスキャンジオメトリをデータベース内のサンプルから見つけ出せる十分な可能性を有するのに既に十分なものになっている。この場合、設定した成功期間の残りを使用して、さらなる画像データ(すなわち、より多くの成功スキャンのものだけでなく、非成功スキャン(とされる)のものも)サーバに送信し続ける。設定した成功期間であっても、データ量が将来のジオメトリ要求を満たすのに十分な可能性を有するには不十分であると考えられる場合には、データ量が所定の最小サンプルサイズを超えることにより十分になるまで成功期間を延長する。したがって、データベースの構築時間内で、受信画像データ量は連続したデータベース構築を決定する主要な基準となる。
【0022】
一実施形態によれば、方法は、構築するステップと、要求を受信するステップとを並行して実行するステップと、構築するステップの後に受信するステップを実行するステップと、第1の期間の少なくとも一部が経過した後に構築するステップと要求を受信するステップとを並行して実行するステップとからなる群から選択された方法をさらに含む。本実施形態は、スキャンジオメトリプランニングの精度(データベースに構築されたデータ量のサイズに応じて決まる)とスキャンジオメトリプランニングを実行するのに必要な処理時間との均衡をもたらすため有利である。
【0023】
一実施形態によれば、方法は、サーバと少なくとも1つのスキャン撮像システムとの間のスキャン撮像システムのネットワークを確立するステップと、サーバと少なくとも1つのスキャン撮像システムとを制御して、サーバがマスターノードであり、少なくとも1つのスキャン撮像システムの各々が確立されたネットワークのスレーブノードであるマスター/スレーブ構成で動作するようにするステップとをさらに含む。これにより、例えばデータ交換のための共通の通信プロトコルを使用して、少なくとも1つのスキャン撮像システムとコンピュータサーバとの通信が容易になる。
【0024】
一実施形態によれば、画像データは、臨床スキャンを示すメタデータをスキャンジオメトリごとにさらに含み、メタデータを使用して比較が実行される。例えば、メタデータは、病変及び/又は解剖学的構造の標示を含む。本実施形態により、潜在的な病変を示したときに適切なジオメトリプランの自動提供が可能になる。
【0025】
一実施形態によれば、データベースに保存された参照画像は、少なくとも1つのスキャン撮像システムでの較正スキャン中に得られた2Dサーベイ画像を含む。これは、3Dサーベイ画像と比べて取得プロセスを迅速化するという利点を有する。
【0026】
別の態様において、本発明は、コンピュータデバイスの少なくとも1つのプロセッサにより実行されたときにコンピュータデバイスに前記請求項の方法のステップを実行させる命令が保存された、非一過性のコンピュータ可読媒体に関する。
【0027】
別の態様において、本発明はスキャン撮像システムに関する。スキャン撮像システムは、
画像データをコンピュータサーバに送信し、画像データが、スキャン撮像システムでスキャンジオメトリを使用して取得されたそれぞれの参照画像に関連するスキャンジオメトリを示し、
スキャンジオメトリ要求をコンピュータサーバに送信し、要求がサーベイ画像を示し、サーベイ画像がスキャン撮像システムを用いて患者の身体ボリュームを撮像することによって較正スキャン中に得られ、
スキャンジオメトリを示すデータをコンピュータサーバから受信し、
スキャン撮像システムを用いて、提示スキャンジオメトリと、提示スキャンジオメトリの修正から得られる修正スキャンジオメトリとの一方を使用して、身体ボリュームの臨床スキャン中に撮像データを取得し、
修正スキャンジオメトリが撮像データを取得することのために使用される場合に、修正スキャンジオメトリをコンピュータサーバに送信するように構成されている。
【0028】
別の態様において、本発明は、前記実施形態による少なくとも1つのスキャン撮像システムとコンピュータサーバとを含むスキャンシステムのネットワークに関する。
【0029】
1つ又は複数のコンピュータ可読媒体の任意の組合せが使用される。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体又はコンピュータ可読記憶媒体である。本明細書で使用されるとき「コンピュータ可読記憶媒体」は、コンピュータデバイスのプロセッサにより実行可能な命令を保存する任意の有形記憶媒体を包含する。コンピュータ可読記憶媒体は、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体と呼ばれる。コンピュータ可読記憶媒体は有形コンピュータ可読媒体とも呼ばれる。一部の実施形態において、コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータデバイスのプロセッサによりアクセス可能なデータを保存することもできる。コンピュータ可読記憶媒体の例として、フロッピーディスク、磁気ハードディスクドライブ、固体ハードディスク、フラッシュメモリ、USBメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、光ディスク、光磁気ディスク、及びプロセッサのレジスタファイルが挙げられるが、これらに限定されない。光ディスクの例としては、コンパクトディスク(CD)及びデジタル多用途ディスク(DVD)、例えばCD−ROM、CD−RW、CD−R、DVD−ROM、DVD−RW、又はDVD−Rディスクが挙げられる。コンピュータ可読記憶媒体という用語は、ネットワーク又は通信リンクを介してコンピュータデバイスによりアクセス可能な様々なタイプの記録媒体も指す。例えば、モデム、インターネット、又はローカルエリアネットワークを介してデータを検索する。コンピュータ可読媒体で具体化されるコンピュータにより実行可能なコードは、無線、有線、光ファイバケーブル、RFなど、又は前記の適切な組合せを含むがこれらに限定されない任意の適切な媒体を使用して伝送される。
【0030】
コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータにより実行可能なコードがその中に、例えばベースバンドに、又は搬送波の一部として具体化された伝搬データ信号を含む。そのような伝搬信号は、電磁信号、光信号、又はそれらの適切な組合せを含むがこれらに限定されない様々な形態のいずれかである。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、プログラムを通信、伝搬、又は伝達して命令実行システム、装置、又はデバイスにより使用、又はこれらに関連して使用する任意のコンピュータ可読媒体である。
【0031】
「コンピュータメモリ」又は「メモリ」は、コンピュータ可読記憶媒体の例である。コンピュータメモリは、プロセッサから直接アクセス可能な任意のメモリである。「コンピュータ記憶装置」又は「記憶装置」は、コンピュータ可読記憶媒体のさらなる例である。コンピュータ記憶装置は、任意の不揮発性コンピュータ可読記憶媒体である。一部の実施形態において、コンピュータ記憶装置はコンピュータメモリでもあり、コンピュータメモリはコンピュータ記憶装置でもある。
【0032】
本明細書で使用されるとき「ユーザインターフェース」は、ユーザ又はオペレータがコンピュータ又はコンピュータシステムと対話できるようにするインターフェースである。「ユーザインターフェース」は「ヒューマンインターフェースデバイス」とも呼ばれる。ユーザインターフェースは、情報又はデータをオペレータに提供し、且つ/又はオペレータから受信する。ユーザインターフェースは、オペレータからの入力をコンピュータにより受信できるようにし、コンピュータからユーザに出力を提供する。言い換えると、ユーザインターフェースによりオペレータはコンピュータを制御又は操作することができ、インターフェースにより、コンピュータはオペレータの制御又は操作の結果を示すことができる。ディスプレイ又はグラフィカルユーザインターフェースへのデータ又は情報の表示は、情報をオペレータに提供する一例である。キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッド、ポインティングスティック、グラフィックタブレット、ジョイスティック、ゲームパッド、ウェブカメラ、ヘッドセット、ギアスティック、ハンドル、ペダル、ワイヤードグローブ、ダンスパッド、リモートコントロール、及び加速度計によるデータの受信はすべて、オペレータからの情報又はデータの受信を可能にするユーザインターフェース部品の例である。
【0033】
本明細書で使用されるとき「ハードウェアインターフェース」は、コンピュータシステムのプロセッサが外部コンピュータデバイス及び/又は装置と対話できる且つ/又はこれを制御できるようにするインターフェースを包含する。ハードウェアインターフェースにより、プロセッサは制御信号又は命令を外部コンピュータデバイス及び/又は装置に送信することができる。ハードウェアインターフェースにより、プロセッサは外部コンピュータデバイス及び/又は装置とデータ交換することもできる。ハードウェアインターフェースの例として、ユニバーサルシリアルバス、IEEE1394ポート、パラレルポート、IEEE1284ポート、シリアルポート、RS−232ポート、IEEE−488ポート、ブルートゥース(登録商標)接続、無線ローカルエリアネットワーク接続、TCP/IP接続、イーサネット(登録商標)接続、制御電圧インターフェース、MIDIインターフェース、アナログ入力インターフェース、及びデジタル入力インターフェースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書で使用されるとき「プロセッサ」は、プログラム又は機械により実行可能な命令を実行することのできる電子部品を包含する。「プロセッサ」を含むコンピュータデバイスへの言及は、2つ以上のプロセッサ又は処理コアを含む可能性があると解釈すべきである。プロセッサは、例えばマルチコアプロセッサである。プロセッサは、単一のコンピュータシステム内にある、又は複数のコンピュータシステムに分散されたプロセッサの集合も指す。また、コンピュータデバイスという用語は、1つ又は複数のプロセッサを各々含むコンピュータデバイスの集合又はネットワークを指す可能性があると解釈すべきである。多くのプログラムは、その命令を、同じコンピュータデバイス内にある、又はさらには複数のコンピュータデバイスに分散されている複数のプロセッサにより実行させる。
【0035】
本明細書において、磁気共鳴画像データは、磁気共鳴撮像スキャン中に磁気共鳴装置のアンテナによって対象者/対象物の原子スピンにより発せられる高周波信号の記録測定値として定義される。本明細書において、磁気共鳴撮像(MRI)画像は、磁気共鳴撮像データ内に含まれる解剖学的データの再構成された2次元又は3次元視覚化として定義される。この視覚化は、コンピュータを使用して実行される。
【0036】
組み合わせた実施形態が相互に排他的でない限り、本発明の前述した実施形態の1つ又は複数を組み合わせてもよいことを理解されたい。
【0037】
以下で、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について例としてのみ説明する。