(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6776257
(24)【登録日】2020年10月9日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】除細動の成功のための代謝に基づく予測方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/39 20060101AFI20201019BHJP
【FI】
A61N1/39
【請求項の数】19
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-550852(P2017-550852)
(86)(22)【出願日】2016年3月29日
(65)【公表番号】特表2018-510014(P2018-510014A)
(43)【公表日】2018年4月12日
(86)【国際出願番号】IB2016051757
(87)【国際公開番号】WO2016157071
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2019年3月27日
(31)【優先権主張番号】62/140,874
(32)【優先日】2015年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ナカガワ マイケル
【審査官】
宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−519446(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0331719(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0043675(US,A1)
【文献】
米国特許第05957856(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/32 − A61N 1/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の心調律を監視するECGモニタと、
前記ECGモニタと電気通信する除細動勧告コントローラであって、前記ECGモニタによって監視される前記患者の心調律状況を得て、前記患者の代謝的心臓状況を示す代謝的心臓データを受信して、前記ECGモニタによって監視される前記心調律を除く前記患者の前記代謝的心臓状況を得て、前記患者の前記心調律状況及び前記代謝的心臓状況に基づいて除細動勧告を生成する除細動勧告コントローラと、
を備えるシステムであって、
前記除細動勧告コントローラは、前記代謝的心臓データを好気性代謝閾値と比較して、前記患者の前記代謝的心臓状況を得る、システム。
【請求項2】
前記除細動勧告コントローラは、
前記患者の非ショック可能電気的心調律を示す前記心調律状況と、
前記患者の非ショック可能代謝的心臓状態を示す前記代謝的心臓状況と、
のうちの少なくとも1つに応じて、非ショック除細動勧告として前記除細動勧告を生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記除細動勧告コントローラは、
前記患者のショック可能心調律を示す前記心調律状況と、
前記患者のショック可能代謝的心臓状態を示す前記代謝的心臓状況と、
の双方に応じて、ショック除細動勧告として除細動ショック勧告を生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記除細動勧告コントローラは更に、前記ECGモニタによって監視される前記心調律を含む前記患者の電気的心臓状況を得て、
前記除細動勧告コントローラは、前記患者の前記心調律状況、前記代謝的心臓状況及び前記電気的心臓状況に基づいて前記除細動勧告を生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記除細動勧告コントローラは、
前記患者の非ショック可能電気的心調律を示す前記心調律状況と、
前記患者の非ショック可能代謝的心臓状態を示す前記代謝的心臓状況と、
前記患者の非ショック可能電気的心臓状態を示す前記電気的心臓状況と、
のうちの少なくとも1つに応じて、非ショック除細動勧告として前記除細動勧告を生成する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記除細動勧告コントローラは、
前記患者のショック可能電気的心調律を示す前記心調律状況と、
前記患者のショック可能代謝的心臓状態を示す前記代謝的心臓状況と、
前記患者のショック可能電気的心臓状態を示す前記電気的心臓状況と、
の全てに応じて、ショック除細動勧告として前記除細動勧告を生成する、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記除細動勧告コントローラは、前記患者の前記代謝的心臓状況を示す代謝的心臓データを受信し、
前記除細動勧告コントローラは、前記患者の前記代謝的心臓状況を得るために前記代謝的心臓データの傾向を監視する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記患者の前記代謝的心臓状況を得るために、前記除細動勧告コントローラと電気通信して、前記患者の前記代謝的心臓状況を示す代謝的心臓データを前記除細動勧告コントローラに提供するユーザ入力デバイスを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記患者の呼吸サンプルから得られる前記患者の前記代謝的心臓状況を示す代謝的心臓データを生成する呼気分析器を更に備え、
前記除細動勧告コントローラは、前記患者の前記代謝的心臓状況を得るために、前記呼気分析器と通信して前記代謝的心臓データを受信する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記患者の血液サンプルから得られる前記患者の前記代謝的心臓状況を示す代謝的心臓データを生成する血液分析器を更に備え、
前記除細動勧告コントローラは、前記患者の前記代謝的心臓状況を得るために、血液分析器と通信して、前記代謝的心臓データを受信する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
患者の心調律状況を得る心調律分析器と、
前記患者の心調律を除く前記患者の代謝的心臓状況を得る代謝的心臓分析器と、
電気的心臓分析器及び前記代謝的心臓分析器と電気通信する除細動アドバイザであって、前記除細動アドバイザは更に、前記患者の前記心調律状況及び前記代謝的心臓状況に応じて除細動勧告を生成する、除細動アドバイザと、
を備える除細動勧告コントローラであって、
前記除細動勧告コントローラは、代謝的心臓データを好気性代謝閾値と比較して、前記患者の前記代謝的心臓状況を得る、除細動勧告コントローラ。
【請求項12】
前記除細動アドバイザは、
前記患者の非ショック可能電気的心調律を示す前記心調律状況と、
前記患者の非ショック可能代謝的心臓状態を示す前記代謝的心臓状況と、
のうちの少なくとも1つに応じて、非ショック除細動勧告として前記除細動勧告を生成し、
前記除細動アドバイザは、
前記患者のショック可能心調律を示す前記心調律状況と、
前記患者のショック可能代謝的心臓状態を示す前記代謝的心臓状況と、
の双方に応じて、ショック除細動勧告として除細動ショック勧告を生成する、請求項11に記載の除細動勧告コントローラ。
【請求項13】
前記患者の前記心調律を含む前記患者の電気的心臓状況を更に得る電気的活動分析器を更に備え、
前記除細動アドバイザは更に、前記電気的活動分析器と電気通信して、前記患者の前記心調律状況、前記代謝的心臓状況、及び前記電気的心臓状況に応じて前記除細動勧告を生成する、請求項11に記載の除細動勧告コントローラ。
【請求項14】
前記除細動アドバイザは、
前記患者の非ショック可能電気的心調律を示す前記心調律状況と、
前記患者の非ショック可能代謝的心臓状態を示す前記代謝的心臓状況と、
前記患者の非ショック可能電気的心臓状態を示す前記電気的心臓状況と、
のうちの少なくとも1つに応じて、非ショック除細動勧告として前記除細動勧告を生成し、
前記除細動アドバイザは、
前記患者のショック可能心調律を示す前記心調律状況と、
前記患者のショック可能代謝的心臓状態を示す前記代謝的心臓状況と、
前記患者のショック可能電気的心臓状態を示す前記電気的心臓状況と、
の全てに応じて、ショック除細動勧告として除細動ショック勧告を生成する、請求項13に記載の除細動勧告コントローラ。
【請求項15】
ECGモニタと除細動勧告コントローラとを備えるシステムの作動方法であって、
前記ECGモニタが患者の心調律を監視するステップと、
前記除細動勧告コントローラが、前記ECGモニタによって監視される前記患者の心調律状況を得るステップと、
前記除細動勧告コントローラが、前記ECGモニタによって監視される前記心調律を除く前記患者の代謝的心臓状況を得るステップと、
前記除細動勧告コントローラが、前記患者の前記心調律状況及び代謝的心臓状況に基づいて除細動勧告を生成するステップと、
前記除細動勧告コントローラが、代謝的心臓データを好気性代謝閾値と比較することによって、前記患者の前記代謝的心臓状況を得るステップと、
を有する、方法。
【請求項16】
前記除細動勧告コントローラが、
前記患者の非ショック可能電気的心調律を示す前記心調律状況と、
前記患者の非ショック可能代謝的心臓状態を示す前記代謝的心臓状況と、
のうちの少なくとも1つに応じて、非ショック除細動勧告として前記除細動勧告を生成し、
前記除細動勧告コントローラが、
前記患者のショック可能心調律を示す前記心調律状況と、
前記患者のショック可能代謝的心臓状態を示す前記代謝的心臓状況と、
の双方に応じて、ショック除細動勧告として除細動ショック勧告を生成する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記除細動勧告コントローラが、前記患者の前記心調律を含む前記患者の電気的心臓状況を得るステップと、
前記除細動勧告コントローラが、前記患者の前記心調律状況、前記代謝的心臓状況、及び前記電気的心臓状況に基づいて前記除細動勧告を生成するステップと、
を更に有する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記除細動勧告コントローラが、
前記患者の非ショック可能電気的心調律を示す前記心調律状況と、
前記患者の非ショック可能代謝的心臓状態を示す前記代謝的心臓状況と、
前記患者の非ショック可能電気的心臓状態を示す前記電気的心臓状況と、
のうちの少なくとも1つに応じて、非ショック除細動勧告として前記除細動勧告を生成し、
前記除細動勧告コントローラが、
前記患者のショック可能心調律を示す前記心調律状況と、
前記患者のショック可能代謝的心臓状態を示す前記代謝的心臓状況と、
前記患者のショック可能電気的心臓状態を示す前記電気的心臓状況と、
の全てに応じて、ショック除細動勧告として除細動ショック勧告を生成する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記除細動勧告コントローラが、前記代謝的心臓データの傾向を監視するステップを更に有する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、心蘇生のための医療デバイス/システム(例えば、植え込み型除細動器及び体外式除細動器、特に、進化型除細動器/モニタ及び自動体外式除細動器)内に組み込まれたシステムに関する。本発明は、特に、患者の心臓の電気的活動及び好気性代謝に関する独立した情報を組み合わせることによって、患者の除細動の成功を予測することに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、心室細動(「VF」)及び心室頻拍(「VT」)は、蘇生手順が適切に患者に適用されない限り、不可逆的な心停止につながる可能性がある異常な心調律を含む患者の心不整脈の症状である。除細動は、そのような蘇生手順の1つであり、正常な灌流心調律を回復するために患者に電気ショックを治療的に加えることを含む。電気ショックが、異常な心臓リズムの正常な灌流心調律への変換を引き起こさない場合には、そのような電気ショックを不適切に加えることによって患者による回復を遅らせるか又は妨げる可能性があることが重大である。このため、患者の不適切な除細動を防がないまでも最小限にするために、除細動の成功を予測する心電図(「ECG」)ベースの予測方法が開発された。これらの予測方法は、成功率が限られていることがわかっている。
【0003】
特に、ECGのみの分析は、細胞膜活性からの電圧を測定し、これにより全体の細胞生存性を示すことができる。一方、細胞膜の活性化は、必ずしも、細胞内のアクチン−ミオシンの状態を示すものではない。細胞内の高エネルギーリン酸化合物(アデノシン三リン酸(「ATP」)及びクレアチンリン酸)の不十分な供給により、アクチン及びミオシン鎖が硬直状態に固定されたままになり得るが、細胞は、累積ECGに寄与する活動電位を生成することが可能である場合がある。パルスなし電気的活動(「PEA」)の場合に強調されているように、ECG活動の結果として心臓の機械的収縮が生じず、心筋状況を示すものとしてのECGの有用性が制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、代謝の副産物の独立した測定により、拍動リズムを回復するためのショック送達の有効性を判断する際のECGリズム分析をサポートすることができるという認識を前提としている。心筋が拍動リズムをサポートすることができないときにショックを阻止するか又は防ぐことにより、細胞が自身の機能を回復し始めるときにATPの限られた供給を消耗するのではなく、継続した回復を可能にする。
【0005】
より詳細には、代謝活動を低減するために細動が常にショックを与えられるべきであるか否か、又はショック伝達前に代謝を十分に再確立するためにショック前に心肺蘇生(「CPR」)が行われるべきであるか否かは、心臓が近時に灌流していたが悪化しているか否か、又は心臓が長期間の局所貧血後に回復しているか否かに依拠する。患者の代謝的心臓状況における傾向を判断することで、状況が改善しているか又は悪化しているかを示す一方、実際の瞬間測定値は、除細動の成功をサポートする最小閾値活動レベルが存在するか否かを示す。本発明は、電気的活動レベルに加えて、代謝的活動レベルの独立した測定を用いることを目的とする発明的原理を提供し、これは、回復プロセスを遅らせ得る不適切なショックを最小限にすることができる新規の特徴である。ECG及び独立した代謝分析を組み合わせることにより、エネルギーを消耗させるショック及びショックの送達時間なしで全体の細胞生存性を回復させる成果を最大限にすることができる。
【0006】
本発明は、細胞代謝が、ECG信号を生成する膜の電気的活動に加えて、細胞内深くの機械的収縮をサポートしなくてはならないという理解を組み込む。これは、蘇生中の心臓細胞の代謝的状態を判断するために、電気的活動のみよりも多くの測定が必要であることを強調する。細胞膜の電気的活動のみに基づく代謝的状態の尺度は、除細動ショックによる拍動リズムの回復確率を真に反映しない場合があるので、心筋の代謝的状態のより直接的な尺度を患者の症状の分析に加えることによって、患者の回復に役立つ。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの形態は、ECGモニタ及び除細動勧告コントローラを利用するシステムである。動作時に、ECGは患者の心調律を監視し、除細動勧告コントローラは、患者の心調律状況及び代謝的心臓状況に基づいて除細動勧告を生成する。除細動勧告コントローラは、ECGモニタによって監視される心調律状況を得て、ECGモニタによって監視される心調律を除く代謝的心臓状況を得る。
【0008】
任意選択で、除細動勧告コントローラは、ECGモニタによって監視される心調律を含む患者の電気的心臓状況を更に得て、患者の心調律状況、代謝的心臓状況、及び電気的心臓状況に基づいて除細動勧告を生成する。
【0009】
本発明の目的において、「除細動勧告」という用語は、患者の心臓に除細動ショックを加えるか否かの正式の通知を広く包含し、限定ではないが、テキスト/グラフィックディスプレイ、可聴通知、及び充電/非充電インジケーションを含む特定の医療デバイス/システムに適した任意の形態をとる。
【0010】
本発明の目的において、「心調律状況」という用語は、限定ではないが、心室細動(「VF」)及び心室頻拍(「VT」)(ここでは「ショック可能心調律」として知られる)を含む、除細動に適していることが知られている全ての心臓症状を広く包含し、更に、限定ではないが、心停止、正常洞調律、上室頻拍(ここでは「非ショック可能心調律」として知られる)を含む、除細動に適していないことが知られる全ての心臓症状を広く包含する。
【0011】
本発明の目的において、「代謝的心臓状況」という用語は、患者の心臓の好気性代謝が、患者の心臓による自己心拍再開(「ROSC」)をサポートするか否かの指標を広く包含し、「ショック可能心調律を除いて得られる」というフレーズは、患者の心臓の心調律から得られるものでない好気性代謝を広く包含する。
【0012】
本発明の目的において、「ECGモニタ」という用語は、限定ではないが、Philips Heartstart MRx、Philips Heartstart XL+及びPhilips Efficia DFM100内に組み込まれるモニタを含む、患者の心臓のECGを生成及び表示(すなわち、監視)するための全ての既知のモニタを広く包含する。
【0013】
本発明の目的において、「除細動勧告コントローラ」という用語は、本明細書において後に説明されるように、本発明の様々な発明的原理の適用を制御するために医療デバイス/システム内に収容されるか又はこれにリンクされた特定用途向け主回路基板又は特定用途向け集積回路の全ての構造的構成を広く包含する。コントローラの構造的構成は、限定ではないが、プロセッサ、コンピュータ使用可能/コンピュータ可読ストレージ媒体、オペレーティングシステム、アプリケーションモジュール、周辺デバイスコントローラ、スロット及びポートを含む。
【0014】
本発明の目的において、「アプリケーションモジュール」という用語は、特定のアプリケーションを実行するための電子回路又は実行可能プログラム(例えば、実行可能ソフトウェア及び/又はファームウェア)からなる除細動勧告コントローラのコンポーネントを広く包含する。
【0015】
除細動勧告コントローラは、ECGモニタ又は除細動器と合体されてもよく、ECGモニタ及び除細動器は、システムのモジュール式コンポーネントであっても統合コンポーネントであってもよい。
【0016】
本発明の目的において、「除細動器」という用語は、限定ではないが、Philips Heartstart MRx、Philips Heartstart XL+及びPhilips Efficia DFM100内に組み込まれる除細動器を含む、患者の心臓に除細動ショックを送達するための全ての既知の除細動器デバイス及びシステムを広く包含する。
【0017】
除細動勧告コントローラは、代謝的心臓状況を示す代謝的心臓データを計算又は受信し(例えば、ユーザ入力デバイス、呼気分析器及び/若しくは血液分析器を組み込むか又はこれらに結合される)、代謝的心臓データを代謝的心臓閾値と比較し、及び/又は代謝的心臓データの傾向を監視して、患者の代謝的心臓状態を得る。
【0018】
本発明の目的において、「ユーザ入力デバイス」という用語は、限定ではないが、キーボード、キーパッド、及びグラフィカルユーザインタフェースを含む全ての既知のユーザ入力デバイスを広く包含する。
【0019】
本発明の目的において、「呼気分析器」という用語は、限定ではないが、CO
2モニタ及びO
2モニタを含む患者の心臓の好気性代謝を示すために患者呼気をサンプリングするための全ての既知の呼気分析器を広く包含し、それらを記述的に表す。
【0020】
本発明の目的において、「血液分析器」という用語は、限定ではないが、血中の乳酸の試験器、血中phレベルの試験器、血液ガス試験器、及びプレチスモグラフ監視を含む、患者の心臓の好気性代謝を示すために患者の血液を直接又は間接的にサンプリングするための全ての既知の血液分析器を広く包含し、これらを記述的に表す。
【0021】
本発明の第2の形態は、心調律分析器と、代謝的心臓分析器と、除細動アドバイザとを備えるアプリケーションモジュールを利用する除細動勧告コントローラである。動作時に、心調律分析器は、患者の心調律状況を得る。代謝的心臓分析器は、患者の心調律を除く患者の代謝的心臓状況を得る。そして、除細動アドバイザは、患者の心調律状況及び代謝的心臓状況に応じて除細動勧告を生成する。
【0022】
コントローラのこのスタンドアロン形式の場合、患者の心調律は、本明細書において上述したように、ECGモニタによって心調律分析器に提供されるか、又は代替的な非ECG源、特に、除細動の目的で非ショック可能調律を示す強い拍動性波形を検出することが可能な非ECG源に提供される。非ECG源の例は、限定ではないが、侵襲的血圧、インピーダンスプレチスモグラフィ、及びフォトプレチスモグラフィを含む。
【0023】
除細動勧告コントローラは、任意選択で、患者の心調律を含む患者の電気的心臓状況を得るために電気的心臓分析器を用いることができ、これによって、除細動アドバイザは、患者の心調律状況、代謝的心臓状況、及び患者の電気的心臓状況に応じて除細動勧告を生成する。本発明の目的において、細胞の電気的活動のみから得られる細胞の代謝的状況の推定はいずれも、電気的心臓状況の一形態と考えられ、このため、患者の心調律を除いて考えられる。
【0024】
本発明の上記の形態及び他の形態、並びに本発明の様々な特徴及び利点は、添付の図面と併せて読まれる本発明の様々な実施形態の以下の詳細な説明から更に明らかとなる。詳細な説明及び図面は、本発明を限定するのではなく単に例示するものであり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその等価物によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の発明的原理による除細動勧告方法の例示的な実施形態を表すフローチャートを示す。
【
図2】本発明の発明的原理による除細動勧告コントローラの例示的な実施形態のブロック図である。
【
図3A】本発明の発明的原理によるシステムの例示的な実施形態のブロック図を示す。
【
図3B】本発明の発明的原理によるシステムの例示的な実施形態のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の理解を容易にするために、
図1の以下の説明は、例示的な除細動勧告方法の基本的な発明的原理を教示する。
【0027】
本明細書における例示的な記載は、完全な例示的記載のために、心調律状況を有する電気的心臓状況及び代謝的心臓状況を組み込むことを目的としていることに留意することが重要である。それにもかかわらず、実際には、電気的心臓状況は、除細動勧告の目的で省かれる場合がある。
【0028】
また、本明細書において、構成要素の説明を明確にするために、様々な構成要素が別個の異なる構成要素として示され、説明されていることに留意することも重要である。それにもかかわらず、実際には、そのような構成要素は、同じデバイス内に収容される場合があり、更には同じハードウェアによって及び/又は同じソフトウェア/ファームウェア内で実施される場合がある。
【0029】
図1を参照すると、フローチャート10は、除細動の成功の予測を決定する除細動勧告方法を表す。開始時に、処理工程S12A〜S12Cは、判定工程S14に入力を提供するために並行して実行される。
【0030】
特に、処理工程S12Aは、当該技術において既知のECGデータから得られる心調律分析を包含し、この分析の結果として、(1)ECG信号のショック可能心調律(例えば、VF又はVT)、又は(2)ECG信号の非ショック可能心調律(例えば、心停止)、の心調律状況CRSインジケータが得られる。
【0031】
処理工程S12Bは、当該技術において既知のECGデータから得られる電気的心臓分析を包含し、この分析の結果として、(1)自己心拍再開(「ROSC」)をサポートする可能性が高いECG信号の電気的活動、又は(2)存在する場合、ROSCをサポートする可能性が低いECG信号の電気的活動、の電気的心臓状況ECSインジケータが得られる。当該技術分野において既知のECG信号の電気的活動の範囲内での電気的活動の予測的特徴の例は、限定ではないが、振幅範囲、平均P−P振幅、平均振幅、振幅スペクトル分析、ピーク周波数、重心周波数、スペクトル平坦性測度、エネルギー、最大電力、重心電力、電力スペクトル分析、平均勾配及び中央勾配を含む。
【0032】
処理工程S12Cは、ECG信号と独立して代謝的心臓データMCDから得られる代謝的心臓分析を包含し、この分析の結果として、(1)ROSCをサポートする可能性が高い心臓の好気性代謝、又は(2)存在する場合、ROSCをサポートする可能性が低い心臓の好気性代謝、の代謝的心臓状況MCSインジケータが得られる。予測される代謝的心臓データの例は、限定ではないが、呼気終末二酸化炭素CO
2、並びに血中の乳酸及びph濃度を含む。
【0033】
判定工程S14は、心調律状況CRS、電気的心臓状況ECS及び代謝的心臓状態MCSの組み合わせに基づいた、除細動ショックが患者に送達されるべきか否かの判定を包含し、結果として、(1)ショック送達判定を推奨する判定、又は(2)ショック送達を推奨しない判定、の除細動勧告DAが得られる。より詳細には、ECG信号がショック可能心調律及びROSCのサポートを示し、且つ(AND)、ECG信号と独立した代謝的心臓データMCDもROSCをサポートする場合、状況の組み合わせは除細動の成功の予測をもたらし、結果としてショック送達を推奨する判定が得られる。そうではなく、ECG信号が非ショック可能心調律を示し、且つ/若しくはROSCをサポートしないか、又は(OR)、ECG信号と独立した代謝的心臓データMCDもROSCをサポートしない場合、状況の組み合わせは除細動の不成功の予測をもたらし、結果として、ショック伝達を推奨しない判定が得られる。
【0034】
フローチャート10の処理工程S16は、限定ではないが、(特に、ECG表示と併せた)テキスト/グラフィック表示、可聴メッセージ、ショック源の充電又は非充電の視覚インジケーションを含む、除細動勧告DAの通信を包含する。通信に対する反応は、ショックが拍動リズムを回復させる可能性が高いことの承認(すなわち、ショック送達)から、胸部圧縮の開始若しくは継続、又は蘇生努力の終了(すなわち、非ショック送達)に及ぶ。
【0035】
処理工程S16は、フローチャート10の終了まで工程S12A〜S12Cに戻る。
【0036】
本発明の理解を更に容易にするために、
図2の以下の説明は、
図1の基本的な発明的原理を例示的な除細動勧告コントローラ20に適用する。
【0037】
図2を参照すると、除細動勧告コントローラ20は、心調律分析器21、電気的心臓分析器22、代謝的心臓分析器23及び除細動アドバイザ24を用いる。
【0038】
心調律分析器21は、ECGデータ(
図1)を分析して、ECGデータがショック可能心調律SCR(例えば、記号的に示されるVF及びVT)を示すか、又は非ショック可能心調律NCR(例えば、記号的に示される心停止)を示すかを確認するための既知の技法を実行する。
【0039】
電気的心臓分析器22は、ECGデータ(
図1)の予測特徴を分析して、ECGデータが、ROSCをサポートするショック可能な電気的心臓状態SECSを示すか、又はROSCをサポートしない非ショック可能な電気的心臓状態を示すかを確認する。
【0040】
1つの実施形態では、電気的心臓分析器22は、予測特徴の瞬間測定値を、電気的活動閾値と比較し、それによって、記号的に示される電気的活動閾値を超える予測特徴はROSCのサポートを示し、記号的に示される電気的活動閾値未満の予測特徴は、ROSCのサポートを示さない。
【0041】
例えば、ECGデータの振幅スペクトル分析(「AMSA」)は、1.75の電気的活動閾値と比較される。
【0042】
代替的に、電気的活動閾値を超える予測特徴は、ROSCのサポートを示さず、電気的活動閾値未満の予測特徴は、ROSCのサポートを示す。
【0043】
実際には、各予測特徴のための電気的活動閾値は、感度(積極的除細動)と特異度(積極的圧迫)とのバランスをとるように選択されるべきであり、固定であっても可変であってもよい。
【0044】
また実際には、複数の予測特徴の組み合わせを分析して、ROSCのサポート又は非サポートを判断することができる。そのような組み合わせについて、予測特徴を等しく重み付けしてもしなくてもよい。
【0045】
別の実施形態では、電気的心臓分析器22は、記号的に示される予測特徴の傾向を分析し、それによって、記号的に示される予測特徴の上昇傾向は、ROSCのサポートを示し、記号的に示される予測特徴の下降傾向は、ROSCのサポートを示さない。
【0046】
代替的に、予測特徴の上昇傾向にあるが低い値は、更なる回復を可能にするためのショックの推奨を遅らせることがROSCをより良好にサポートすることを示すことができ、予測特徴の高い値を有する下降傾向は、早期のショックを推奨することがROSCのより良好なサポートを与えることを示す。
【0047】
実際には、傾向を判断するための条件は、感度(積極的除細動)と特異度(積極的圧迫)とのバランスをとるように選択されるべきである。
【0048】
ここでも実際には、複数の予測特徴の組み合わせが、ROSCのサポート又は非サポートを判断するために分析される。そのような組み合わせのために、予測特徴は等しく重み付けされてもされなくてもよい。
【0049】
代謝的心臓分析器23は、ECGデータ(
図1)と独立して代謝的心臓データMCD(
図1)の予測特徴を分析し、代謝的心臓データMCDが、ROSCをサポートするショック代謝的心臓状態SMCSを示すか、又はROSCをサポートしない非ショック代謝的心臓状態NMCSを示すかを突き止める。
【0050】
1つの実施形態では、代謝的心臓分析器23は、予測特徴の瞬間測定値を好気性代謝閾値と比較し、それによって、記号的に示される好気性代謝閾値を超える予測特徴は、ROSCのサポートを示し、記号的に示される好気性代謝閾値未満の予測特徴は、ROSCのサポートを示さない。
【0051】
例えば、呼気終末CO
2の分圧が、10mmHgの好気性代謝閾値と比較される。
【0052】
代替的に、好気性代謝閾値を超える予測特徴は、ROSCのサポートを示さず、代謝閾値未満の予測特徴は、ROSCのサポートを示す。
【0053】
実際には、各予測特徴のための好気性代謝閾値は、感度(積極的除細動)と特異度(積極的圧迫)とのバランスをとるように選択されるべきであり、固定であっても可変であってもよい。
【0054】
また実際には、ROSCのサポート又は非サポートを判断するために、複数の予測特徴の組み合わせが分析される。そのような組み合わせのために、予測特徴は等しく重み付けされてもされなくてもよい。
【0055】
別の実施形態では、代謝的心臓分析器23は、記号的に示される予測特徴の傾向を分析し、それによって、記号的に示される予測特徴の上昇傾向は、ROSCのサポートを示し、記号的に示される予測特徴の下降傾向は、ROSCのサポートを示さない。
【0056】
代替的に、予測特徴の上昇傾向にあるが低い値は、更なる回復を可能にするためのショックの推奨を遅らせることがROSCをより良好にサポートすることを示すことができ、予測特徴の高い値を有する下降傾向は、早期のショックを推奨することがROSCのより良好なサポートを与えることを示す。
【0057】
実際には、傾向を判断するための条件は、感度(積極的除細動)と特異度(積極的圧迫)とのバランスをとるように選択されるべきである。
【0058】
ここでも実際には、複数の予測特徴の組み合わせが、ROSCのサポート又は非サポートを判断するために分析される。そのような組み合わせのために、予測特徴は等しく重み付けされてもされなくてもよい。
【0059】
除細動器アドバイザ24は、分析器21〜23からの信号を組み合わせて、除細動勧告DAを通信するか否かを、(1)ショック送達判定、又は(2)非ショック送達判定、として判定する。
【0060】
実際には、分析器21〜23からの信号は、除細動器アドバイザ24によって、決定された任意の方式で組み合わされ、除細動のための成功予測が得られる。
【0061】
1つの実施形態では、除細動器アドバイザ24は論理チャート25aを適用し、それによって、分析器21〜23からの各信号は、入力信号として利用される。
【0062】
この実施形態について、(1)心調律分析器21が非ショック心調律NCRを出力するか、又は(or)(2)電気的心臓分析器22が非ショック電気的心臓状態NECSを出力するか、又は(or)(3)代謝的心臓分析器23が非ショック代謝的心臓状態NMCSを出力する場合、除細動器アドバイザ24は、除細動勧告DAを、非ショック除細動勧告NDAとして通信する。
【0063】
そうではなく、(1)心調律分析器21がショック心調律CCRを出力し、且つ(and)(2)電気的心臓分析器22がショック電気的心臓状態SECSを出力し、且つ(and)(3)代謝的心臓分析器23がショック代謝的心臓状態SMCSを出力する場合、除細動器アドバイザ24は、除細動勧告DAを、ショック除細動勧告SDAとして通信する。
【0064】
別の実施形態では、除細動器アドバイザ24は論理チャート25aを適用し、それによって、心調律分析器21からの信号は、電気的心臓分析器22のためのイネーブル信号として用いられる。
【0065】
この実施形態について、心調律分析器21が非ショック心調律NCRを出力する場合、電気的心臓分析器22が無効にされ、非ショック電気的心臓状態NECSを自動的に出力し、この結果、除細動器アドバイザ24が、除細動勧告DAを、非ショック除細動勧告NDAとして通信する。
【0066】
そうではなく、心調律分析器21がショック心調律SCRを出力する場合、電気的心臓分析器22が有効にされ、それによって、(1)電気的心臓分析器22が非ショック電気的心臓状態NECSを出力するか、又は(or)(2)代謝的心臓分析器23が非ショック代謝的心臓状態NMCSを出力する場合、除細動器アドバイザ24は、除細動勧告DAを、非ショック除細動勧告NDAとして通信し、或いは(or)、(1)電気的心臓分析器22がショック電気的心臓状態SECSを出力し、且つ(and)(2)代謝的心臓分析器23がショック代謝的心臓状態SMCSを出力する場合、除細動器アドバイザ24は、除細動勧告DAを、ショック除細動勧告SDAとして通信する。
【0067】
本発明の理解をまた更に容易にするために、
図3A及び
図3Bの以下の説明は、
図2の除細動勧告コントローラを例示的な医療システムに組み込む。
【0068】
図3A及び
図3Bを参照すると、医療システムは、除細動勧告コントローラ20と、スピーカ26と、ECGモニタ40と、光学的ECGリード41(例えば、12誘導システム)と、ショック源50と、1対の電極パッド/パドル52と、キーボード60の形態のユーザ入力デバイスと、呼気分析器70と、呼吸デバイス71と、血液分析器80と、カテーテル81とを用いる。
【0069】
図3Aに示すような除細動勧告コントローラ20のECG分析部分は、心調律分析器21(
図2)及び電気的心臓分析器22(
図2)を組み込み、それぞれのCRS及びECS信号を、回路又はソフトウェア形式でANDゲートとして実行可能なフローチャート25aを実施する除細動アドバイザ24(
図2)に印加する。
【0070】
図3Bに示すような除細動勧告コントローラ20の代謝的分析部分は、MCS信号を除細動アドバイザ24に印加する代謝的心臓分析器23(
図2)を組み込む。
【0071】
図3Aを参照すると、電極パッド/パドル52が、当該技術において既知であるように、
図3Aに示すような前胸部−心尖部配置又は前胸部−後背部配置(図示せず)において患者30に伝導的に付けられるように構造的に構成される。電極パッド/パドル52は、除細動勧告コントローラ25による制御に従って、ショック源50から患者30の心臓31に除細動ショックを伝導し、患者30の心臓31の電気的活動をECGモニタ40に伝導する。代替的に又は同時に、当該技術分野において既知のECGリード33(例えば、四肢誘導セット、12誘導セット)が患者30に接続され、患者30の心臓31の電気的活動をECGモニタ40に伝導する。
【0072】
ECGモニタ40は、当該技術分野において既知であるように、患者30がショック可能心調律SCR(例えば、VF又はVT)又は非ショック可能心調律NCR(例えば、心停止又は正常洞調律)を受けていることを示すものとして、患者30の心臓31のECG波形を測定するように構造的に構成される。
【0073】
1つの実施形態において、ECGモニタ40は、心調律分析器21及び電気的心臓分析器22による分析のために、ECGデータを除細動勧告コントローラ20にストリーミングするためのデジタル信号プロセッサ(図示せず)を用いる。
【0074】
ショック源50は、当該技術分野において既知であるように、除細動勧告コントローラ25による制御に従って、患者30の心臓31に電極パッド/パドル52を介して除細動ショック51を送達するための電気エネルギーを蓄積するように構造的に構成される。実際には、除細動ショック51は、当該技術分野において既知の任意の波形を有する。そのような波形の例は、限定ではないが、単相減衰正弦波形(正の正弦波)51a及び
図3Aに示すような二相切頭指数波形51bを含む。
【0075】
1つの実施形態では、ショック源50は、充電ボタンの押下時に、高電圧充電器及び電源を介して高電圧を蓄積するために高電圧キャパシタンス(図示せず)を使用する。ショック源50は、高電圧キャパシタンスから電極パッド/パドル52に電気エネルギー充電の特定の波形を選択的に印加するための、切り替え/絶縁回路(図示せず)を更に使用する。
【0076】
図3Bを参照すると、キーボード60、呼気分析器70、及び血液分析器80は、代謝的心臓分析器23による分析のために、代謝的心臓データMCDを除細動勧告コントローラ20に提供する。より詳細には、限定ではないが、呼気終末二酸化炭素CO
2、並びに血中の乳酸及びph濃度を含む、患者30の好気性代謝のユーザ測定値によって得られる代謝的心臓データMCDを入力するために、キーボード60が利用される。呼吸デバイス71による呼気分析器70は、限定ではないが、呼気終末二酸化炭素CO
2を含む、患者30による呼気からの代謝的心臓データMCDを直接提供する。カテーテル81を介した血液分析器80は、限定ではないが、血中のCO
2、O
2、乳酸及びph濃度を含む、患者30によるサンプルからの代謝的心臓データMCDを提供する。より詳細には、カテーテル81は、大腿/股下領域においてアクセスされる大腿動脈を通じて挿入され、それによって、システムに接続されたポイントオブケア(POC)デバイスを用いて血液サンプルが採取され、分析される。代替的に、血液モニタリングは、体外式膜型人工肺(ECMO)手技中に血流内に配置された電極を用いて行われてもよい。
【0077】
図3A及び
図3Bを参照すると、除細動勧告コントローラ20は、無制限の多岐にわたる医療デバイス/システム構成で実施される。
【0078】
1つの実施形態では、除細動勧告コントローラ20は、
図3A及び
図3Bに示すようなECGモニタ40、ショック源50、呼気分析器70、及び血液分析器80とは別個の医療システム内のモジュラーコンポーネント(例えば、モジュラー進化型除細動器/モニタ)である。この実施形態について、除細動勧告コントローラ20は、医療デバイス/システムのためのマスタコントローラに組み込まれても組み込まれなくてもよい。
【0079】
第2の実施形態において、除細動勧告コントローラ20及びECGモニタは、医療システム(例えば、自動体外式除細動器)のコンポーネントであってもなくてもよい同じ医療デバイス内に組み込まれる。
【0080】
第3の実施形態では、除細動勧告コントローラ20及びショック源50は、医療システム(例えば、自動体外式除細動器)のコンポーネントであってもなくてもよい同じ医療デバイス内に組み込まれる。
【0081】
第4の実施形態では、呼気分析器70及び/又は血液分析器80は、除細動勧告コントローラ20に統合されてもされなくてもよく、又はマスタコントローラ内の除細動勧告コントローラ20と合体されてもよい。
【0082】
図1〜
図3を参照すると、当業者は、限定ではないが、より高いパーセンテージの除細動ショック及び蘇生試行の成功、より短い蘇生時間、不適切なショックによる傷害の機会及び/又はROSCを達成するのに長い時間がかかる機会の低減、より短い蘇生時間による救助者の疲労の低減を含む、本発明の多数の利点を理解するであろう。
【0083】
更に、本明細書において提供される教示に鑑みて当業者は理解するように、本開示/明細書に記載される、及び/又は
図1〜
図3に表される特徴、要素、コンポーネント等は、電子コンポーネント/回路、ハードウェア、実行可能ソフトウェア及び実行可能ファームウェアの様々な組み合わせで、特に、本明細書に記載されるようなコントローラのアプリケーションモジュールとして実現され、単一の要素又は複数の要素において組み合わされる機能を提供することができる。例えば、
図1〜
図3に示される/図示される/表される様々な特徴、要素、コンポーネント等の機能は、専用のハードウェアの使用を通じてだけでなく、適切なソフトウェアに関連してソフトウェアを実行することができるハードウェアの使用を通じて提供することができる。プロセッサにより提供されるとき、この機能は、単一の専用のプロセッサにより、単一の共有プロセッサにより、又は複数の個別のプロセッサにより提供することができる。個別のプロセッサの幾つかは、共有及び/又は多重化することができる。更に、「プロセッサ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアを排他的に参照するものとして解釈されるべきでなく、限定ではないが、デジタル信号プロセッサ(「DSP」)ハードウェア、メモリ(例えば、ソフトウェアを格納する読出し専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、不揮発性記憶装置等)、並びにプロセスを実行及び/又は制御することができる(及び/又は構成可能な)実質的に任意の手段及び/又は機械(ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、回路、これらの組み合わせ等を含む)を黙示的に含むことができる。
【0084】
更に、本発明の原理、側面及び実施形態並びにその特定の実施例を述べる本明細書における全ての記載は、その構造的等価物及び機能的等価物の双方を含むものとして意図される。更に、そのような等価物は、現在既知の等価物だけでなく、将来開発される等価物(例えば、構造に関係なく、同じ又は実質的に類似する機能を実行することができるよう開発される任意の要素)との双方を含むことが意図される。こうして、例えば、本明細書において与えられる教示に鑑みて、当業者であれば、本明細書に提示される任意のブロック図が、本発明の原理を実現する図式的なシステム要素及び/又は回路の概念的な表示を表すことを理解されたい。同様に、当業者であれば、本明細書において与えられる教示に鑑みて、任意のフローチャート、フロー図等は、コンピュータ可読記憶媒体で実質的に表すことができ、このため処理機能を持つコンピュータ、プロセッサ又は他のデバイスによって、このようなコンピュータ又はプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず実行することができる、様々なプロセスを表すことができることを理解されたい。
【0085】
更に、本発明の例示的な実施形態は、例えばコンピュータ又は任意の命令実行システムによる使用又はこれに関連した使用のためのプログラムコード及び/又は命令を提供する、コンピュータ使用可能及び/又はコンピュータ可読記憶媒体からアクセス可能なコンピュータプログラム製品又はアプリケーションモジュールの形をとることができる。本開示によれば、コンピュータ使用可能又はコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、命令実行システム、装置又はデバイスによる使用又はこれに関連した使用のためのプログラムを含むか、格納するか、通信するか、伝播するか又は運搬することができる任意の装置とすることができる。このような例示的な媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線若しくは半導体システム(又は、装置若しくはデバイス)、又は伝搬媒体とすることができる。コンピュータ可読媒体の例は、例えば、半導体又はソリッドステートメモリ、磁気テープ、リムーバブルコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、フラッシュ(ドライブ)、リジッド磁気ディスク及び光学ディスクを含む。光学ディスクの現在の例は、読出し専用メモリコンパクトディスク(CD−ROM)、読出し/書込みコンパクトディスク(CD−R/W)及びDVDを含む。更に、今後開発される任意の新規のコンピュータ可読媒体が、本発明及び開示の例示的な実施形態に従って使用又は参照されるコンピュータ可読媒体としてもみなされるべきであることを理解されたい。
【0086】
除細動の成功を予測するための新規で進歩性のあるシステム及び方法の好ましい例示的な実施形態(この実施形態は、限定ではなく説明的であることが意図される)が説明されてきたが、
図1〜
図3を含めた本明細書において提供される教示に鑑みて、当業者により修正及び変更を行うことができる点に留意されたい。したがって、本明細書に開示される実施形態の範囲に含まれる本開示の好ましく例示的な実施形態において/これに対して、変更を行うことができることを理解されたい。
【0087】
更に、本開示によるデバイスにおいて使用/実現されるようなデバイス等を組み込む及び/又は実現する、対応する及び/又は関連するシステムも想定され、本発明の範囲内にあると考えられる。更に、本開示によるデバイス及び/又はシステムを製造及び/又は使用する対応する及び/又は関連する方法も想定され、本発明の範囲内にあると考えられることが想定される。