(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6776260
(24)【登録日】2020年10月9日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】流体ブリッジデバイス及びサンプル処理法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/00 20060101AFI20201019BHJP
G01N 35/08 20060101ALI20201019BHJP
G01N 35/10 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
G01N1/00 101F
G01N35/08 A
G01N35/10 B
【請求項の数】36
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-551590(P2017-551590)
(86)(22)【出願日】2016年4月1日
(65)【公表番号】特表2018-513371(P2018-513371A)
(43)【公表日】2018年5月24日
(86)【国際出願番号】US2016025748
(87)【国際公開番号】WO2016161385
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2019年3月29日
(31)【優先権主張番号】62/142,063
(32)【優先日】2015年4月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514273055
【氏名又は名称】セフェィド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ドリティ、 ダグラス ビー.
【審査官】
岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2004/0202581(US,A1)
【文献】
米国特許第06110674(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0206074(US,A1)
【文献】
特表2004−508542(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0098252(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00−1/44
G01N 35/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの別個のサンプル処理デバイス間で処理流体サンプルを輸送するための流体ブリッジであって、前記流体ブリッジは:
サンプル調製チャンバーを含まない1以上の流体チャネルを有する伸長した流体ブリッジであって、前記1以上のチャネルは、前記伸長した流体ブリッジの第一の端部と前記第一の端部とは反対側の第二の端部との間に長手方向に伸びる、流体ブリッジ;
前記1以上の流体チャネルが液密接合部で第一のサンプル処理デバイスと流体結合するように適合された、前記第一の端部上の1以上の液密継手、及び
前記1以上のチャネルが第二のサンプル処理デバイスと流体結合するように適合され、それによって、前記流体ブリッジが前記第一及び第二のサンプル処理デバイスの各々と結合された場合に、前記第一及び第二のサンプル処理デバイスが、前記1以上のチャネルを通して流体連結される、前記伸長した流体ブリッジの前記第二の端部上の1以上の液密継手
を含み、前記流体ブリッジは、前記第一のサンプル処理デバイスの外部に、そして前記第一のサンプル処理デバイスの外部にある前記第二のサンプル処理デバイスへと伸びるように充分な長さである、流体ブリッジ。
【請求項2】
前記流体チャネルの少なくとも1つと流体連結されている少なくとも1つのチャンバーをさらに含み、前記チャンバーはサンプル調製チャンバーではない、請求項1に記載の流体ブリッジ。
【請求項3】
互いの間に前記1以上の流体チャネルがある前記液密継手が前記第一又は第二のサンプル処理デバイスに取り付けられていない場合、前記1以上の流体チャネルが外部環境に開放されている、請求項1に記載の流体ブリッジ。
【請求項4】
前記第一のサンプル処理デバイスが、サンプル調製デバイスである、請求項1に記載の流体ブリッジ。
【請求項5】
前記流体ブリッジが、前記1以上の流体チャネルを通して輸送される流体の光学的検出が可能となるように、少なくとも部分的に半透明又は透明である材料を含む、請求項1に記載の流体ブリッジ。
【請求項6】
前記流体チャネルの少なくとも1つが、気体透過ベント及び気泡トラップの一方又は両方を含む、請求項1に記載の流体ブリッジ。
【請求項7】
前記1以上の流体チャネルの少なくとも1つが、各液密継手間の前記流体チャネルの長さ全体にわたって実質的に変動しない内腔断面積を有する、請求項1に記載の流体ブリッジ。
【請求項8】
前記1以上の流体チャネルの各々の前記断面積が、各液密継手間で実質的に一定のサイズ及び形状に維持されている、請求項7に記載の流体ブリッジ。
【請求項9】
前記1以上のチャネルが、少なくとも2つのチャネルを含み、前記少なくとも2つのチャネルの各々は、前記第一及び第二の端部の液密継手間に伸びている、請求項1に記載の流体ブリッジ。
【請求項10】
前記1以上のチャネルが、前記第一及び第二のサンプル処理デバイスと結合された場合、前記第一及び第二の端部の前記液密継手によって流体封止されており、前記第一又は第二のサンプル処理デバイスに取り付けられていない場合、前記液密継手を通して外部環境に開放されている、請求項1に記載の流体ブリッジ。
【請求項11】
前記第一及び第二の端部間の前記少なくとも2つのチャネルの各々の容積が、実質的に異なっていない、請求項9に記載の流体ブリッジ。
【請求項12】
前記少なくとも2つのチャネルの各々の容積が、実質的に異なっている、請求項9に記載の流体ブリッジ。
【請求項13】
前記ブリッジが、前記少なくとも2つのチャネルを分離する支持ウェブ構造体をさらに含む、請求項9に記載の流体ブリッジ。
【請求項14】
前記1以上のチャネルを前記第一のサンプル処理デバイスと流体結合するように、前記第一の端部の前記1以上の液密継手の各々が、前記第一のサンプル処理デバイス中の1以上の対応するポート内に丁度受けられるように寸法が合わせられたスタブを含む、請求項1に記載の流体ブリッジ。
【請求項15】
前記スタブの各々が、前記第一のサンプル処理デバイスの前記1以上の対応するポート内に丁度受けられる場合、摩擦フィッティングによって前記第一のサンプル処理デバイスと流体結合されるように寸法が合わせられている、請求項14に記載の流体ブリッジ。
【請求項16】
前記第一の端部に、又は前記第一の端部の近傍に、前記第一の端部の周囲に少なくとも部分的に伸びるフランジをさらに含み、前記フランジは、前記第一のサンプル処理デバイスの保持コンポーネントとのインターフェイス接続によって前記第一のサンプル処理デバイスと流体結合された場合に前記ブリッジを固定するように適合されている、請求項14に記載の流体ブリッジ。
【請求項17】
前記第二の端部の前記1以上の液密継手が、前記1以上のチャネルを前記第二のサンプル処理デバイスと流体結合するように、前記第二のサンプル処理デバイス中の1以上の対応するポート内に丁度受けられるように寸法が合わせられたスタブを含む、請求項14に記載の流体ブリッジ。
【請求項18】
前記流体ブリッジが、前記第二の端部に、又は前記第二の端部の近傍に、前記第二の端部の周囲に少なくとも部分的に伸びるフランジをさらに含み、前記フランジは、前記第二のサンプル処理デバイスの保持コンポーネントとのインターフェイス接続によって前記第二のサンプル処理デバイスと流体結合された場合に前記ブリッジを固定するように適合されている、請求項17に記載の流体ブリッジ。
【請求項19】
サンプルを処理するための使い捨てカートリッジであって、前記カートリッジは:
筐体内に含有され、可動式バルブ体によって流体相互連絡され、1以上の流体処理領域を含む複数のチャンバー;及び
前記カートリッジの前記筐体から伸び、前記カートリッジと別のデバイスとの液密接合部を形成するための液密継手を両端部に有し、前記カートリッジへ又は前記カートリッジから流体を輸送するように適合され、長手方向に伸びる1以上の流体チャネルを有する伸長した流体ブリッジ
を含み、前記伸長した流体ブリッジは、処理サンプルを独立した別のデバイスへ輸送することを可能とするために、サンプルを処理するための前記使い捨てカートリッジを受けるように構成されたカートリッジレシーバーの外部に伸びるのに充分な長さであり、
前記流体処理領域の少なくとも1つは、サンプル調製を行うように構成されている、使い捨てカートリッジ。
【請求項20】
前記流体ブリッジが、前記カートリッジと結合された場合、前記カートリッジがサンプル調製の過程でカートリッジレシーバー内に配置された場合に、調製サンプルの前記カートリッジからアッセイ処理デバイス又は付随するコンポーネントへの輸送を促進するために前記流体ブリッジが前記カートリッジレシーバーの通路を通って伸びるように充分な長さ及び寸法である、請求項19に記載のカートリッジ。
【請求項21】
前記流体ブリッジが、支持ウェブ構造体又はリブによって分離された少なくとも2つの流体チャネルを含む、請求項19に記載のカートリッジ。
【請求項22】
前記流体ブリッジが、増幅チャンバーを含む少なくとも1つのサンプル処理チャンバーをさらに含む、請求項19に記載のカートリッジ。
【請求項23】
サンプル調製を行うためのモジュールであって、前記モジュールは:
可動式バルブ体によって流体相互連絡された複数の処理チャンバーを含み、未調製サンプルを保持するように構成されたサンプル処理カートリッジ;
前記サンプル処理カートリッジを受け、前記サンプル処理カートリッジと取り外し可能に結合し、別個のアッセイ処理デバイスとインターフェイス接続するように構成されたカートリッジレシーバーであって、
前記可動式バルブ体を動かして前記複数のサンプル処理チャンバー間の流体相互連絡を変更するように構成されたカートリッジインターフェイスユニット、
前記可動式バルブ体の位置に応じて前記複数の処理チャンバー間で流体を移動させるための圧力を適用するための圧力インターフェイスユニット、及び
前記アッセイ処理デバイスと電子的に通信するように構成され、前記カートリッジインターフェイスユニット及び圧力インターフェイスユニットを制御して、前記サンプル処理カートリッジ内で前記未調製サンプルを調製サンプルに処理するように構成されたサンプル調製コントローラー
を含むカートリッジレシーバー;並びに
伸長しており、前記サンプル処理カートリッジと結合可能であり、前記カートリッジレシーバーの外部に伸びるのに充分な長さである流体ブリッジであって、前記調製サンプルの前記アッセイ処理デバイスへの輸送を促進するために前記サンプル処理カートリッジ及びアッセイ処理デバイスが流体結合される、長手方向に伸びた1以上の流体チャネルを有する流体ブリッジ
を含むモジュール。
【請求項24】
前記カートリッジレシーバーが、前記サンプル処理カートリッジと結合された場合に、前記調製サンプルの前記カートリッジレシーバーから前記アッセイ処理デバイスへの輸送を促進する、前記流体ブリッジが通って伸びる通路を含む、請求項23に記載のモジュール。
【請求項25】
前記流体ブリッジが、支持ウェブ構造体又はリブによって分離された少なくとも2つの流体チャネルを含む、請求項23に記載のモジュール。
【請求項26】
前記流体ブリッジが、前記カートリッジレシーバーからある距離まで伸びるように、2インチよりも大きい長さである、請求項23に記載のモジュール。
【請求項27】
処理流体サンプルを輸送するための方法であって、前記方法は:
両端部の液密継手間に長手方向に伸びる1以上の流体チャネルを含み、第一のサンプル処理デバイスの外部に伸びるのに充分な長さである伸長した流体ブリッジの第一の端部を、前記第一のサンプル処理デバイスと結合させること;
前記流体ブリッジの反対側の端部を前記第一のサンプル処理デバイスとは別個の第二のサンプル処理デバイスと結合させて、前記第一のサンプル処理デバイスと前記第二のサンプル処理デバイスとの間で液密継手を作り出すこと;
前記流体サンプルを、前記第一のサンプル処理デバイスで処理すること;及び
前記第一のサンプル処理デバイスと前記第二のサンプル処理デバイスとの間に伸びる前記流体ブリッジを通して前記処理サンプルを流体移動させること
を含む方法。
【請求項28】
前記流体ブリッジを通して前記処理サンプルを流体移動させることが、前記第一のサンプル処理デバイスから前記第二のサンプル処理デバイスへ処理サンプルを移動させるための電子的命令を前記第一及び/又は第二のサンプル処理デバイスにより受けることを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記流体ブリッジを通して前記処理サンプルを流体移動させることが、前記電子的命令に応答して、前記第一のサンプル処理デバイス及び/又は前記第二のサンプル処理デバイスによる前記1以上の流体チャネルの少なくとも1つの加圧及び/又は減圧を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第一のサンプル処理デバイスがサンプル調製デバイスを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記第二のサンプル処理デバイスがアッセイ処理デバイスを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
未調製サンプルを処理するための方法であって、前記方法は:
可動式バルブ体によって流体相互連絡された複数の処理チャンバーを含むサンプル処理カートリッジをカートリッジレシーバーで受けること;
前記未調製サンプルを調製サンプルに処理するための電子的命令を、前記カートリッジレシーバーに通信可能に結合された前記カートリッジレシーバーとは別個のアッセイ処理デバイスから受けること;
前記未調製サンプルを前記調製サンプルに処理するために、
カートリッジインターフェイスユニットを動かして前記可動式バルブ体を動かし、前記複数のサンプル処理チャンバー間の流体相互連絡を変更することと、
圧力インターフェイスユニットに圧力を適用して、前記可動式バルブ体の位置に応じて、前記複数の処理チャンバー間で流体を移動させることと、
を含むサンプル調製方法を行うこと;及び
前記サンプル処理カートリッジから前記カートリッジレシーバーの外部に伸びるのに充分な長さ伸び、前記アッセイ処理デバイスと流体インターフェイス接続している伸長した流体ブリッジ中へ前記調製サンプルを流体移動させて、前記調製サンプルを前記アッセイ処理デバイスに提供すること
を含む方法。
【請求項33】
第一のサンプル処理デバイス;
前記第一のサンプル処理デバイスとは別個の第二のサンプル処理デバイス;及び
前記第一のサンプル処理デバイスと前記第二のサンプル処理デバイスとの間に結合された場合に前記第一及び第二のサンプル処理デバイス間での流体サンプルの輸送を促進するように、前記第一及び第二のサンプル処理デバイスの各々と結合可能である流体ブリッジ、
前記流体ブリッジは伸長しており、前記第一のサンプル処理デバイスの外部に、そして前記第二のサンプル処理デバイスへと伸びるように充分な長さである流体ブリッジ、
を含むシステム。
【請求項34】
前記第二のサンプル処理デバイスを含む複数のサンプル処理デバイスをさらに含み、前記第二のサンプル処理デバイスが前記複数のサンプル処理デバイスから選択可能であるように、前記流体ブリッジが前記サンプル処理デバイスのいずれとも流体結合するように構成されている、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記複数のサンプル処理デバイスが、異なる種類のサンプル処理デバイスを含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記流体ブリッジが:
サンプル調製チャンバーを含まない1以上の流体チャネルであって、前記1以上のチャネルは、前記流体ブリッジの第一の端部と前記第一の端部の反対側の第二の端部との間に伸びている、1以上の流体チャネル;
前記1以上の流体チャネルを、液密接合部で第一のサンプル処理デバイスと流体結合するように適合された前記第一の端部の1以上の液密継手、及び
前記流体ブリッジが前記第一及び第二のサンプル処理デバイスの各々と結合された場合に、前記第一及び第二のサンプル処理デバイスが前記1以上のチャネルを通して流体連結されるように、前記1以上のチャネルを第二のサンプル処理デバイスと流体結合するように適合された、前記流体ブリッジの前記第二の端部の1以上の液密継手
を含む請求項33に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全内容が参照により本明細書に援用される2015年4月2日に出願された米国仮特許出願第62/142,063号の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本出願は、各々についてその全内容があらゆる点で参照により本明細書に援用される「Fluid Control and Processing System」と題する2000年8月25日に出願された米国特許第6,374,684号、及び「Fluid Processing and Control」と題する2002年2月25日に出願された米国特許第8,048,386号全般に関連する。
【0003】
本発明は、流体操作全般に関し、より詳細には、サンプル処理デバイス間で流体サンプルを輸送するためのデバイス、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
臨床流体又は環境流体などの流体の分析は、一般的に、一連の処理工程が関与し、それには、流体サンプルの化学的、光学的、電気的、機械的、熱的、又は音響的処理が含まれ得る。ベンチトップ装置、携帯分析器、使い捨てカートリッジ、又はこれらの組み合わせに組み込まれるかどうかに関わらず、そのような処理には、典型的には、複雑な流体の集合及び処理アルゴリズムが関与する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
流体サンプルを処理するための従来のシステムは、前記流体サンプルを特定の処理工程に掛けるように各々が構成された一連の領域又はチャンバーを用いている。前記流体サンプルが、領域又はチャンバーから次の領域又はチャンバーへ順にシステムを通って流れるに従って、前記流体サンプルは、特定のプロトコルに従う処理工程を受ける。異なるプロトコルは、異なる構成を必要とすることから、そのような順次処理の配列を用いている従来のシステムは、多用途ではなく、又は異なるプロトコル、若しくは処理及び分析システムに容易に適合可能でもない。単一のデバイスでは、サンプルの分析に必要とされ得るすべての処理工程を実施するのに必要である機能を提供し得ない。その結果、ユーザーは、サンプルの処理に様々なデバイスを利用する必要があり得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、流体サンプルを操作するための、特に、第一及び第二のサンプル処理デバイス間で流体サンプルを輸送するための装置、システム、及び方法を提供する。本発明のある態様では、前記第一のサンプル処理デバイスは、サンプル調製に関し、前記第二のサンプル処理デバイスは、前記調製サンプルの分析、及び/又は前記サンプルのさらなる処理に関する。
【0007】
本発明のある実施形態は、第一のサンプル処理デバイスによって少なくとも部分的に調製された流体サンプルの、前記流体サンプル中の標的の検出などのさらなる処理又は分析のための第二のサンプル処理デバイスへの輸送を促進する方法、システム、及びデバイスを含む。ある態様では、本発明は、前記調製サンプルを、前記サンプル調製デバイスから前記処理及び/又は分析デバイスへ輸送することができる流体ブリッジデバイスを提供する。ある実施形態では、前記流体ブリッジは、前記ブリッジの両端部の液密継手間に伸びる1以上の流体フローコンジットを有する延長部材である。前記液密継手は、前記第一及び第二のサンプル処理デバイスの各々と、前記第一及び第二の処理デバイスを流体結合するように、液密接合部で結合するように適合されている。
【0008】
ある実施形態では、前記第一のサンプル処理デバイスは、カートリッジ内の流体移動を制御するための回転式バルブ構成を用い、流体サンプル処理領域と選択される前記カートリッジ中の複数のチャンバーとの間の流体連結を可能とするサンプル調製装置である。限定されない例示的チャンバーとしては、サンプルチャンバー、試薬チャンバー、廃液チャンバー、洗浄チャンバー、ライセートチャンバー、増幅チャンバー、及び反応チャンバーが挙げられ得る。前記流体サンプル処理領域及び前記チャンバーの間の流体フローは、前記回転式バルブの位置を調節することによって制御される。この方法により、前記装置中の流体の計量及び分布を、特定のプロトコルに応じて変動させることができ、このことによって、サンプル調製を、サンプルに付随し得る、又は異なる種類のサンプルに付随し得るプロトコルなどの様々なプロトコルに対して適合可能とすることができる。例えば、前記第一のサンプル処理装置は、細胞溶解のための手段を含んでよく、例えば、分析されるべき流体サンプル中の細菌及び細胞を溶解することができる超音波手段である。本発明での使用に適するさらなる溶解手段は、当業者に公知であり、化学的溶解、機械的溶解、及び熱的溶解が挙げられ得る。ある実施形態では、前記サンプルとしては、細菌、真核細胞、原核細胞、又はウィルス粒子が挙げられる。
【0009】
1つの態様では、サンプル処理は、前記流体サンプル中の標的分析物検出のための最終反応を促進するための初期サンプル調製工程から、中間処理工程、及び/又はさらなる処理工程が行われるサンプル処理工程を含む。例えば、サンプル処理は、ろ過、粉砕、細断、濃縮、デブリのトラップ、若しくは粗サンプルの精製、又は超音波処理又はその他の機械的若しくは化学的手段などの前記標的分析物のDNA又はRNAの断片化のための工程などの予備調製工程を含み得る。サンプル処理は、ろ過、増幅、又はDNA若しくはRNAのバイサルファイト処理、逆転写、又は断片化を含むがこれらに限定されない前記サンプル中の核酸のさらなる処理などの様々な中間処理工程を含み得る。サンプル処理はさらに、最終処理及び分析物検出工程を含んでよく、最終増幅、ろ過、及び前記標的分析物検出のための反応のための試薬との混合などであり、この検出には、光学的、化学的、及び/又は電気的検出が含まれ得る。ある実施形態では、前記第一のサンプル処理デバイスは、初期及び/又は中間処理工程を行うように構成され、一方前記第二のサンプル処理デバイスは、中間及び/又は最終処理を行うように構成され、本明細書で述べる処理のいずれか、又は標的分析物検出の技術分野の当業者であれば認識される処理などである。ある実施形態では、前記第一のサンプル処理デバイスは、前記全サンプル処理中の少なくとも第一の工程、及び前記標的分析物の検出を含み得る前記処理中の少なくとも続いての工程を行う前記第二のサンプル処理デバイスへの前記流体サンプルの輸送を行うように構成される。別の実施形態では、前記流体サンプルは、さらなる処理及び分析物の検出のために、前記第二のサンプル処理デバイスから前記第一のサンプル処理デバイスへ輸送されて戻されてもよい。
【0010】
ある実施形態では、前記第一のサンプル処理デバイスは、カートリッジ内の複数のチャンバー間の流体フローを制御するための流体制御及び処理システムであってよく、前記カートリッジは、流体置換チャンバー(fluid displacement chamber)と連続的に流体結合された流体サンプル処理領域を有するバルブ体を含む筐体を含む。前記流体置換チャンバーは、流体を前記流体置換チャンバー中へ引き込むために減圧され、前記流体置換チャンバーから流体を排出するために加圧される。前記流体サンプル処理領域は、各々が前記バルブ体の複数の外部ポートの1つと流体結合されている複数の流体処理ポートを含む。前記流体置換チャンバーは、前記外部ポートの少なくとも1つと流体結合されている。前記バルブ体は、前記外部ポートが前記複数のチャンバーと選択的に流体連結されて配置されるように、前記筐体内の前記複数のチャンバーに対して調節可能である。ある実施形態では、前記バルブ体は、1回に1つの外部ポートが前記複数のチャンバーの1つと流体連結されて配置されるように、前記複数のチャンバーを含む前記筐体に対して調節可能である。
【0011】
前記カートリッジのある実施形態では、前記流体サンプル処理領域は、前記流体置換チャンバーと少なくとも1つの流体ポートとの間に配置されてよい。「流体処理領域」の用語は、流体が、これらに限定されないが、化学的、光学的、電気的、機械的、熱的、又は音響的処理を含む処理に掛けられる領域を意味する。例えば、化学的処理は、触媒を含んでよく;光学的処理は、UV活性化を含んでよく;電気的処理は、電気穿孔又は電気泳動又は等電点電気泳動を含んでよく;機械的処理は、混合、ろ過、加圧、及び細胞破壊を含んでよく;熱的処理は、加熱又は冷却を含んでよく;音響的処理は、超音波の使用を含んでよい。ある実施形態では、前記流体処理領域は、前記流体の処理を促進するためのフィルターなどの動作部材を含んでよい。本発明での使用に適する限定されない例示的動作部材としては、マイクロ流体チップ、固相材料、フィルター又はフィルタースタック(filter stack)、親和性マトリクス、磁気分離マトリクス、サイズ排除カラム、キャピラリー管などが挙げられる。適切な固相材料としては、限定されないが、ビーズ、ファイバー、メンブレン、フィルターペーパー、溶解剤で含浸された溶解紙(lysis paper)、グラスウール、ポリマー、又はゲルが挙げられる。ある実施形態では、前記流体処理領域は、さらなる処理、例えば、前記第一の流体サンプル処理デバイスと前記流体ブリッジを通して流体結合されている第二の流体処理デバイス中でのさらなる処理のために、サンプルを調製するために用いられる。本発明での使用に適するさらなる作動部材は、当業者に公知である。ある実施形態では、エネルギー伝達部材が、前記流体サンプル処理領域と、それにエネルギーを伝達してそこに含有される流体を処理するために、操作可能に結合されている。ある実施形態では、前記バルブ体は、クロスオーバーチャネルを含み、前記バルブ体は、前記クロスオーバーチャネルが前記チャンバーの2つと同時に流体連結されて配置されるように、前記複数のチャンバーに対して調節可能である。前記カートリッジ筐体は、反応容器が取り付けられ得る1以上の移送ポートに伸びる1以上の分岐部を含んでよく、それによって、前記カートリッジのチャンバーから前記反応容器中への流体サンプルの移送が促進される。ある実施形態では、前記反応容器は、前記カートリッジの前記筐体から伸びる。これらの態様は、米国特許第8,048,386号を参照することによってさらに理解することができる。ある実施形態では、流体は、流体フローがいずれの特定の方法にも限定されないように、移送ポート中へ、又は移送ポートからのいずれの方向に流れてもよいことは理解される。例えば、1対の移送ポートを有する実施形態では、前記移送ポートを通しての前記反応容器のコンジット中への前記流体サンプルのフローを促進するために、前記1対の移送ポートのうちの一方に対して空気のポンプ注入、又は空気の排気が行われてよい。
【0012】
ある実施形態では、前記流体ブリッジは、両端部の1以上の液密継手間に伸びる1以上の流体チャネルを有する延長ブリッジを含む。前記延長ブリッジの第一の端部の前記1以上の液密継手は、液密接合部で第一のサンプル処理デバイスと結合するように適合されており、前記第一の端部の反対側にある前記延長ブリッジの第二の端部の前記1以上の液密継手は、第二のサンプル処理デバイスと結合するように適合されている。ある実施形態では、前記第一の端部の前記1以上の液密継手は、サンプルカートリッジの特定の構成を反応容器又は前記流体ブリッジのいずれかと共に用いることができるように、上述したものなどの反応容器との結合にも適している前記第一のサンプル処理デバイスのサンプル処理カートリッジの1以上の移送ポートと結合するように適合された流体インターフェイス内に含まれている。ある実施形態では、前記流体ブリッジは、サンプル調製チャンバーを含まない1以上の流体チャネルを有する延長ブリッジを含む。前記延長ブリッジは、各端部の前記1以上の液密継手を支持する平面フレームによって定められてよい。1つの態様では、前記平面フレームは、前記第一のサンプル処理デバイスに一方の端部で取り付けられた場合、前記ブリッジを支持するように充分に硬い材料を含む。前記流体ブリッジは、ポリマー系材料から、又は流体サンプルを輸送するのに適するいかなる材料から形成されていてもよい。
【0013】
ある実施形態では、前記1以上の流体チャネルは、前記流体ブリッジの前記両端部の対応する液密継手間の前記流体チャネルの長さ全体にわたって実質的に変動しない内腔断面積を有する。前記1以上の流体チャネルの各々の前記断面は、対応する液密継手間で実質的に一定のサイズ及び形状に維持されている。ある実施形態では、前記1以上の流体チャネルは、サンプル処理カートリッジ筐体中の2つの対応する移送ポート内で適切に受けられるように間隔が空けられ、寸法が合わせられた2つの間隔が空けられた流体チャネルを含む。ある実施形態では、前記ブリッジは、前記少なくとも2つのチャネルを分離する支持ウェブ構造体を含んでよい。ある実施形態では、前記ブリッジは、前記第一及び第二の端部間の前記少なくとも2つのチャネルの各々の容積が、実質的に異ならないように構成されていてよい。ある実施形態では、前記ブリッジは、前記少なくとも2つのチャネルの少なくとも1つの容積が、前記流体ブリッジの前記第一及び第二の端部間で実質的に異なる容積を有するように構成されてもよい。
【0014】
ある実施形態では、前記1以上の流体チャネルは、前記流体ブリッジ内にサンプル調製領域を含まないように適合されてもよく、このことは、前記流体チャネルが、細胞若しくはDNA鎖の破壊又は断片化のために適合された超音波チャンバー、又はシャープエッジ部など、前記流体サンプルからのデブリの初期ろ過、試薬との初期混合、及び/又は前記標的分析物のDNAの初期断片化などの初期サンプル調製工程のために構成された部分を含まないことを意味する。ある実施形態では、前記1以上の流体チャネルは、前記流体サンプルの一時的な保存又は回収のために用いられ得るものなど、混合、増幅、又は前記流体サンプルの温度制御の促進のために有用であり得る前記流体サンプルの制御されたフローを提供するために適合された1以上の領域を含んでよい。
【0015】
ある態様では、前記ブリッジの前記第一の端部の前記液密継手は、前記1以上のチャネルを前記第一のサンプル処理デバイスと流体結合するように、前記第一のサンプル処理デバイス中の1以上の対応するポート内に丁度受けられるように寸法が合わせられたスタブを含む。前記スタブは、前記第一のサンプル処理デバイス中の、又は前記第一のサンプル処理デバイス中に挿入されているカートリッジ筐体中の前記対応するポート内に摩擦フィッティングによって流体結合されるように寸法が合わせられ得る。ある実施形態では、前記ブリッジは、前記カートリッジ筐体上の少なくとも2つの移送ポート内に丁度受けられている前記ブリッジの前記第一の端部の2つの入り口スタブによって供給される少なくとも2つの流体チャネルを含む。前記第二の端部の前記液密継手も、前記第二のサンプル処理デバイス中の1以上の対応するポート内に丁度受けられるように寸法が合わせられたスタブを含むか、又はアダプターでインターフェイス接続して、前記第二のデバイスとの流体結合が促進されてよい。ある実施形態では、前記第二のデバイスは、容器又は貯蔵部である。
【0016】
ある実施形態では、前記流体ブリッジは、前記入り口スタブがそこから伸びるフランジを含み、前記フランジは、前記第一のサンプル処理デバイスの保持部材(retaining member)と係合可能であり、それによって、前記流体ブリッジの前記液密継手及び位置が、前記第一のサンプル処理デバイス又は前記第一のサンプル処理デバイスに挿入されているカートリッジと結合された場合に維持される。前記第一のサンプル処理デバイス又はカートリッジはまた、複数の移送ポートを取り囲むガスケットも含んでよく、前記ガスケットは、エラストマー材料などの成形可能材料から成り、それによって、前記流体ブリッジの前記第一の端部の前記入口部分が前記少なくとも2つの移送ポートと流体結合された場合、前記ガスケット部材は、液密継手が確保されるように、前記フランジの近接する向かい合った面と係合する。前記流体ブリッジの前記遠い側の端部は、第二の処理デバイスの類似の移送ポートと液密継手が形成されるように、類似又は同一の構造であってよく、又は、別の選択肢として、前記遠い側の端部は、様々な異なるデバイスの取り付けのために、異なる構成であってもよい。ある実施形態では、前記流体ブリッジの両端部での前記液密継手は、実質的に類似又は同一であり、前記第一及び/又は第二のサンプル処理デバイスは、前記流体ブリッジの前記遠い側の端部の様々な異なるサンプル処理デバイスとの取り付けを促進する1以上のアダプター又はアタッチメントを含んでよい。
【0017】
ある実施形態では、前記流体ブリッジは、その中を通る輸送の過程での前記流体サンプルのさらなる処理のための1以上の特徴を含んでよい。ある実施形態では、前記流体ブリッジは、前記流体チャネルの少なくとも1つと流体連結されている少なくとも1つの処理領域を含んでよく、ここで、前記処理領域は、サンプル調製チャンバーではない。ある実施形態では、前記流体ブリッジの少なくとも一部分は、前記1以上の流体チャネルを通して輸送される流体の光学的検出/識別が可能となるように、又は前記流体サンプルが前記ブリッジを通過していることを目視観察によって確認することが可能となるように、少なくとも部分的に、半透明又は透明である。ある実施形態では、前記ブリッジは、バイサルファイト処理などの化学的処理のためのチャンバー、予備増幅チャンバー、若しくはフィルターを例とする追加の処理工程を提供し得る1以上の特徴、又は気体透過ベント若しくは気泡トラップを例とする前記ブリッジ中の前記流体サンプルの通過を促進する特徴を含んでよい。
【0018】
ある実施形態では、前記流体ブリッジは、完全に若しくは部分的に不透明材料から形成されているか、又は前記デバイスの全体若しくは一部に不透明コーティングを含む。この態様は、前記デバイスを、又は少なくともその中の流体コンジットの一部分の内部を周囲光から保護する働きをし得る。ある実施形態では、前記流体ブリッジは、実質的に不透明であり、前記デバイスの選択された部分での光学的検出が可能となるように、透明又は半透明であるウィンドウ部分を含む。
【0019】
本発明のある実施形態では、前記流体ブリッジは、通路を有する第一のサンプル処理デバイスのカートリッジレシーバー内に搭載されたカートリッジと結合された場合に、前記延長ブリッジが、前記通路を通って前記第一のサンプル処理デバイスの前記カートリッジレシーバーの外側に伸びて、前記カートリッジから前記第一のサンプル処理デバイス近傍に配置された第二のサンプル処理デバイスへの前記調製サンプルの輸送を促進するのに充分な長さ及び寸法である。ある実施形態では、前記流体ブリッジは、前記1以上のチャネルを支持し、定める平面フレームを含む。前記平面フレームは、充分に硬い材料、典型的にはポリマー系材料を含み、それによって、前記ブリッジが前記カートリッジレシーバーの外側に伸びて、ユーザーが前記ブリッジの反対側の端部を所望される第二の流体サンプル処理デバイスに容易に取り付けることができるように、前記1以上の流体チャネルが支持される。この構成により、様々な異なる種類のデバイスを、前記デバイスが前記ブリッジ部材に接続可能である限りにおいて、前記第二のサンプル処理デバイスとして用いることが可能となる。ある態様では、前記ブリッジ部材は、前記第二のサンプル処理デバイスに直接接続されてよく、又は1以上のアダプターが、前記接続を容易とするために用いられてもよい。
【0020】
第一及び第二のサンプル処理デバイス間で流体サンプルを輸送する方法が、本明細書で提供される。限定されない例示的方法は、第一及び第二のサンプル処理デバイスを、1以上の流体チャネルを有する延長流体ブリッジを結合することによって流体結合すること;並びに前記第一及び/又は第二のデバイスに電子的命令を伝達することによって、前記流体ブリッジを通る前記流体サンプルのフローを発生させることを含む。ある態様では、前記1以上のチャネルを通る流体フローは、加圧/減圧によって、又は前記第一若しくは第二のサンプル処理デバイスによる前記流体サンプルの置換によって発生されてよい。前記ブリッジを通る前記流体サンプルの輸送のための前記命令は、前記第一及び第二のサンプル処理デバイスの一方又は両方によって受けられてよいことは理解される。例えば、ある実施形態では、前記流体チャネルは、前記第二の処理デバイスから減圧される。ある実施形態では、移動力は、第一のサンプル処理デバイスからの圧力及び前記第二の処理デバイスからの減圧であってよい。前記ブリッジを通る前記流体サンプルの移送のための移動力を前記第一及び第二のサンプル処理デバイスの一方又は両方に提供するのに、様々な別の選択肢としての構成が用いられてよいことは理解される。
【0021】
ある実施形態では、方法は、流体ブリッジが前記流体ブリッジの第一の端部で結合されている流体サンプリングデバイス中へ流体サンプルを導入すること;複数のデバイスから第二のサンプル処理デバイスを選択すること;並びに前記第一の端部の反対側にある前記流体ブリッジの第二の端部を、前記第二のサンプル処理デバイスに結合することを含む。そのような方法は、さらに、前記第一のサンプル処理デバイス中で第一のサンプル処理工程を行うこと;前記流体サンプルを、前記第一のサンプル処理デバイスから前記第二のサンプル処理デバイスへ、それらの間に結合されている前記流体ブリッジを通して輸送すること;並びに前記第二のサンプル処理デバイス内で第二のサンプル処理工程を行うことを含んでよい。ある実施形態では、前記流体サンプルの分析は、前記第二のデバイス内で行われてよく、又は前記流体は、前記流体ブリッジを通して輸送されて前記第一のサンプル処理デバイスへ戻されるか、若しくはさらに別のデバイスに輸送されてもよい。ある実施形態では、前記方法は、前記流体が前記流体ブリッジを通して輸送されている間に、又は前記流体ブリッジ内に含有されている間に、さらなるサンプル処理工程及び/又はサンプル分析工程を行うことを含んでもよい。ある実施形態では、前記流体ブリッジは、フィルター又は予備増幅チャンバーなどの1以上のサンプル処理特徴を含んでよい。ある実施形態では、前記流体ブリッジは、例えば、マイクロウェルアレイ、等電点電気泳動領域、又は光学検出ウィンドウなどのサンプル分析特徴を含んでよい。
【0022】
ある実施形態では、未調製サンプルを処理するための方法は:分析されるべき未調製流体サンプル、可動式バルブ体によって流体相互連絡された複数の処理チャンバーを含むサンプル処理カートリッジをカートリッジレシーバーに受ける工程;前記未調製サンプルを調製サンプルに処理するための電子的命令を、前記カートリッジレシーバーに結合されたアッセイ処理デバイスから受ける工程;サンプル調製方法を実施して、前記未調製サンプルを前記調製サンプルに処理する工程を含んでよい。ある実施形態では、前記サンプルの移動は:カートリッジインターフェイスユニットを動かして前記バルブ体を動かし、前記複数のサンプル処理チャンバー間の流体相互連絡を変更する工程;圧力インターフェイスユニットに圧力を適用して、前記バルブ体の位置に応じて、前記複数の処理チャンバー間で流体を移動させる工程;並びに前記サンプル処理カートリッジから伸び、前記アッセイ処理デバイスと流体インターフェイス接続している延長流体ブリッジ中へ前記調製サンプルを流体移動させて、前記調製サンプルを前記アッセイ処理デバイスに提供する工程を含んでよい。
【0023】
ある実施形態では、前記システムは、第一のサンプル処理デバイス、第二のサンプル処理デバイス、並びに前記第一及び第二のサンプル処理デバイス間の流体サンプルの輸送を、それらの間に結合された場合に促進するように前記第一及び第二のサンプル処理デバイスの各々と結合可能である流体ブリッジを含む。ある実施形態では、前記第二のサンプル処理デバイスは、ユーザーによって選択可能である複数のサンプル処理デバイスに含まれ、前記流体ブリッジは、前記複数のサンプル処理デバイス間で交換可能である。ある態様では、前記第二のサンプル処理デバイスが選択される前記複数のサンプル処理デバイスは、異なる種類のサンプル処理デバイスを含む。
【0024】
ある実施形態では、システムは、第一のサンプル処理デバイス、第二のサンプル処理デバイス、並びに延長ブリッジ、及びその両端部にある前記第一及び第二のサンプル処理デバイスの各々と流体結合可能である1以上の液密継手を含む流体ブリッジを含む。ある態様では、前記延長ブリッジは、前記延長ブリッジの第一の端部と第二の端部との間に伸びる1以上のチャネルを含む。ある実施形態では、前記1以上のチャネルは、サンプル調製チャンバーを含まない。いずれの端部の前記1以上の液密継手も、前記第一及び第二のサンプル処理デバイス間での流体サンプルの輸送を促進するように前記第一及び第二のサンプル処理デバイスの各々と前記流体ブリッジが結合される場合に、前記第一及び第二のサンプル処理デバイスが前記1以上のチャネルを通して流体連結されるように、前記1以上の流体チャネルを、前記第一のサンプル処理デバイス及び第二のサンプル処理デバイスと液密接合部で流体結合するように適合されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明の態様及び実施形態に従う、第一のサンプル処理デバイスと第二のサンプル処理デバイス/分析デバイスとの間に伸びて、それらの間の調製サンプルの輸送を促進する流体ブリッジデバイスの概略図である。
【
図2A】
図2Aは、従来のサンプル処理デバイス内での分析のための例示的なサンプル処理カートリッジ及び付随する反応容器を示す。
【
図2B】
図2Bは、従来のサンプル処理デバイス内での分析のための例示的なサンプル処理カートリッジ及び付随する反応容器を示す。
【
図2C】
図2Cは、従来のサンプル処理デバイス内での分析のための例示的なサンプル処理カートリッジ及び付随する反応容器を示す。
【
図2D】
図2Dは、従来のサンプル処理デバイス内での分析のための例示的なサンプル処理カートリッジ及び付随する反応容器を示す。
【
図3A】
図3Aは、本発明の態様及び実施形態に従う、前記第一のサンプル処理デバイスから選択された第二のサンプル処理デバイスへの前記流体サンプルの輸送を可能とするサンプル処理カートリッジと共に用いるための流体ブリッジを示す。
【
図3B】
図3Bは、本発明の態様及び実施形態に従う、前記第一のサンプル処理デバイスから選択された第二のサンプル処理デバイスへの前記流体サンプルの輸送を可能とするサンプル処理カートリッジと共に用いるための流体ブリッジを示す。
【
図3C】
図Cは、本発明の態様及び実施形態に従う、前記第一のサンプル処理デバイスから選択された第二のサンプル処理デバイスへの前記流体サンプルの輸送を可能とするサンプル処理カートリッジと共に用いるための流体ブリッジを示す。
【
図4A】
図4Aは、本発明の態様及び実施形態に従う例示的な流体ブリッジデバイスを示す。
【
図4B】
図4Bは、本発明の態様及び実施形態に従う例示的な流体ブリッジデバイスを示す。
【
図4C】
図4Cは、本発明の態様及び実施形態に従う例示的な流体ブリッジデバイスを示す。
【
図4D】
図4Dは、本発明の態様及び実施形態に従う例示的な流体ブリッジデバイスを示す。
【
図5A】
図5Aは、本発明の実施形態に従う、流体ブリッジとサンプル処理カートリッジシステムとの間の例示的な液密継手を示す。
【
図5B】
図5Bは、本発明の実施形態に従う、流体ブリッジとサンプル処理カートリッジシステムとの間の例示的な液密継手を示す。
【
図6】
図6は、本発明の態様及び実施形態に従う、外部処理及び/又は分析デバイスへの流体サンプルの輸送を促進するために、サンプルカートリッジ及び前記流体ブリッジと共に用いるように適合されたサンプル処理デバイスを示す。
【
図7A】
図7Aは、例示的なサンプルカートリッジ、及び
図6の前記サンプル調製及び分析デバイス内での前記カートリッジの使用を示す。
【
図7B】
図7Bは、例示的なサンプルカートリッジ、及び
図6の前記サンプル調製及び分析デバイス内での前記カートリッジの使用を示す。
【
図8A】
図8Aは、本発明の態様及び実施形態に従う、カートリッジ中で調製された流体サンプルの第二のサンプル処理デバイスへの輸送を促進するための流体ブリッジを有する例示的なサンプル処理カートリッジを示す。
【
図8B】
図8Bは、本発明の態様及び実施形態に従う、カートリッジ中で調製された流体サンプルの第二のサンプル処理デバイスへの輸送を促進するための流体ブリッジを有する例示的なサンプル処理カートリッジを示す。
【
図9】
図9は、本発明の態様及び実施形態に従う、第一のサンプル処理デバイスと第二のサンプル処理デバイスとの間で流体サンプルを輸送する方法を示す。
【
図10】
図10は、本発明の態様及び実施形態に従う、第一のサンプル処理デバイスと第二のサンプル処理デバイスとの間で流体サンプルを輸送する方法を示す。
【
図11A】
図11Aは、本発明の態様及び実施形態に従う流体ブリッジデバイスの別の選択肢としての実施形態を示す。
【
図11B】
図11Bは、本発明の態様及び実施形態に従う流体ブリッジデバイスの別の選択肢としての実施形態を示す。
【
図11C】
図11Cは、本発明の態様及び実施形態に従う流体ブリッジデバイスの別の選択肢としての実施形態を示す。
【
図11D】
図11Dは、本発明の態様及び実施形態に従う流体ブリッジデバイスの別の選択肢としての実施形態を示す。
【
図11E】
図11Eは、本発明の態様及び実施形態に従う流体ブリッジデバイスの別の選択肢としての実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、流体操作のための、特に、流体ブリッジによって第一のサンプル処理デバイスから第二のサンプル処理デバイスへ流体サンプルを輸送するためのシステム、デバイス、及び方法全般に関する。
【0027】
I.例示的システムの概説
1つの態様では、本発明は、第一及び第二の流体サンプリングデバイスの各々と流体結合可能であり、前記第一及び第二のデバイス間の1以上の流体コンジットを通しての流体サンプルの輸送を促進する1以上の流体コンジットを有する流体ブリッジに関する。ある実施形態では、前記第一のサンプリングデバイスは、流体サンプルの調製及び/又は分析のためのサンプル処理カートリッジを含み、前記流体ブリッジは、前記調製流体サンプルの、生物学的サンプルの分析又はそのさらなる処理に所望される様々なデバイスのいずれであってもよい前記第二の処理デバイスへの輸送を促進するように、前記サンプル処理カートリッジと流体結合している。ある実施形態では、前記1以上のコンジットは、サンプル調製領域を含まない。ある実施形態では、前記流体ブリッジは、1以上の特定領域などの様々な特徴を含んでよく、ここで、各領域は、サンプル処理手順又はサンプル分析手順のために適合されている。限定されない例示的なサンプル処理手順としては、ろ過、濃縮、インキュベーション、化学的処理、及び増幅が挙げられ得る。本発明での使用に適するさらなるサンプル処理手順は、当業者に公知である。限定されない例示的なサンプル分析手順としては、ハイブリダイゼーション、光学的識別、等電点電気泳動、抗体結合及び検出(例:ELISA)、配列決定、クロマトグラフィ、及び側方流動クロマトグラフィが挙げられ得る。本発明での使用に適するさらなるサンプル分析手順は、当業者に公知である。前記流体ブリッジは、前記流体サンプルの前記第二のサンプル処理デバイスへの輸送の過程で、さらなる処理工程を可能とするために、フィルター、トラップ、メンブレン、ポート、及びウィンドウを含む1以上の特徴をさらに含んでよい。
【0028】
A.第一のサンプル処理デバイス
前記第一のサンプル処理デバイスは、本明細書で述べる方法のいずれかに従う流体サンプルの調製及び/又は分析に関する処理工程を実施するように構成されたいかなるデバイスであってもよい。ある実施形態では、前記第一のサンプル処理デバイスは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイを例とする核酸増幅試験(NAAT)における核酸標的の検出などの分析のためにサンプルを調製するように構成されたサンプル調製デバイスである。流体サンプルの調製は、一般的に、一連の処理工程が含まれ、それらとしては、特定のプロトコルに従う化学的、電気的、機械的、熱的、光学的、又は音響的処理工程が挙げられ得る。そのような工程は、細胞捕捉、細胞溶解、分析物の結合、及び不要物質の結合などの様々なサンプル調製機能を行うために用いられてよい。そのようなサンプル調製デバイスは、前記サンプル調製工程を行うのに適する1以上のチャンバーを含むサンプル処理カートリッジを用いてよく、そのようなカートリッジは、「Fluid Control and Processing System」と題する2000年8月25日出願の米国特許第6,374,684号及び「Fluid Processing and Control」と題する2002年2月25日出願の米国特許第8,048,386号に示され、記載されている。
【0029】
本発明での使用に適するサンプル処理カートリッジは、前記調製流体サンプルが通って分析のための反応容器へ輸送され得る1以上の移送ポートを含んでよい。
図2A〜2Dは、サンプル調製及び分析の両方を行うサンプル処理デバイス100内でのサンプル調製及び分析を可能とする例示的なサンプル処理カートリッジ110及び付随する反応容器18を示す。
図2Aから分かるように、前記サンプル処理カートリッジ110は、サンプル分析のための反応容器18が取り付けられているサンプル調製のための1以上のチャンバーを有する主筐体を含む様々なコンポーネントを含む。前記サンプル処理カートリッジ110及び前記反応容器18が組み立てられた後(
図2Bに示されるように)、流体サンプルは、前記カートリッジのチャンバー内に投入され、前記カートリッジは、
図2Dに示される前記サンプル処理デバイス中に挿入される。次に、前記デバイスは、サンプル調製を行うのに必要である前記処理工程を行い、前記調製サンプルは、1対の移送ポートの1つを通して、前記カートリッジ筐体に取り付けられた反応容器の流体コンジット中へ移送される。前記調製流体サンプルは、前記反応容器18のチャンバー中へ輸送され(
図2C参照)、一方で、前記デバイス110の励起手段及び光学的検出手段が用いられて、細菌、ウィルス、病原体、トキシン、又はその他の標的を例とする目的の標的核酸分析物の存在又は非存在を示す光学的発光が検出される。そのような反応容器は、前記標的分析物の検出に用いるための様々な異なるチャンバー、コンジット、又はマイクロウェルアレイを含んでよいことは理解される。流体サンプルの分析のためのそのような反応容器の例示的使用は、本出願の譲渡人に譲渡された、その全内容があらゆる点で参照により本明細書に援用される「Cartridge for Conducting a Chemical Reaction」と題する2000年5月30日出願の米国特許第6,818,185号に記載されている。
【0030】
B.流体ブリッジ
ある実施形態では、本発明は、第一のサンプル処理デバイスに付随するサンプル処理カートリッジ筐体の1以上の移送ポートに流体結合され得る、調製流体サンプルを前記第一のデバイスの外部にある第二のサンプル処理デバイスへ輸送するのに用いるための流体ブリッジを含む。このことにより、単一のデバイスに付随する機能に前記サンプルの処理及び分析が制限される場合と比較して、前記サンプルの分析の汎用性を向上することができる。例えば、ユーザーは、前記第一のサンプル処理デバイスとは異なるデバイスを用いて分析又はさらなる処理を行いたいと考えるかもしれない。しかし、前記サンプルの調製は、手作業で行うには時間と労力が掛かるプロセスである場合があり、したがって、自動プロセスに従って前記サンプル調製工程を行うことができる前記第一のサンプル調製デバイス内でサンプル調製が行われれば、有利である。このことにより、前記サンプル調製プロセスが迅速化され、大量のサンプルの調製が可能となる。
図3A〜3Bに示されるように、前記反応容器の代わりに流体ブリッジデバイスを用いることにより、前記ユーザーは、前記第一のサンプル処理デバイスを用いて、サンプル処理カートリッジ110中で前記サンプルを調製することができ、その後、続いて、前記調製サンプルを、前記取り付けられた流体ブリッジ10を通して、
図3Bに示されるように、いくつかの処理デバイス200、200’、200’’のいずれであってもよい選択された第二のデバイスへ輸送することができる。そのようなデバイスは、前記流体ブリッジ10の遠心側の端部に直接結合されるように構成されていてよく、又は前記アッセイ若しくは処理デバイスと前記流体ブリッジ10との液密継手を促進する1以上のアダプターが用いられてもよい。
【0031】
ある実施形態では、前記流体ブリッジは、前記第一及び第二のサンプル処理デバイスの各々と同時に結合され、それによって、前記第一のデバイスは、前記第二のデバイスへの前記ブリッジを通しての前記流体サンプルの輸送を促進することができる。ある実施形態では、前記流体ブリッジデバイスは、異なるタイミングで前記第一及び第二のデバイスと結合されてもよい。例えば、流体ブリッジが取り付けられたサンプルカートリッジは、前記サンプルの調製のためにサンプル処理デバイス中に配置されてよく、次に、前記第一のサンプル処理デバイスから、前記流体ブリッジが取り付けられた状態で前記サンプルカートリッジが取り出され、次に、前記流体ブリッジの開放端部が前記第二のサンプル処理デバイスに取り付けられる。別の選択肢として、前記流体ブリッジは、前記第二の処理デバイスに取り付けられ、前記第一の処理デバイスに取り付けられていなくてもよい。そのような実施形態では、前記第一のサンプル処理デバイスからの調製サンプルを含有するカートリッジは、前記第一のデバイスから取り出され、前記第二のデバイスに既に取り付けられている前記流体ブリッジに接続されてよい。そのような実施形態では、前記第二のデバイスは、前記カートリッジデバイスから前記第二のデバイスへの輸送を促進するように構成されていてよい。
【0032】
C.第二のサンプル処理デバイス
前記第二のサンプル処理デバイスは、本明細書で述べる方法のいずれかに従う、又は当業者に公知の流体サンプルの調製及び/又は分析に関する処理工程を行うように構成されたいかなるデバイスであってもよい。ある実施形態では、前記第二のサンプル処理デバイスは、前記第一のサンプル処理デバイスと共通の筐体に内蔵されているか、又は中に配置されていてよい。例えば、前記第一及び第二のサンプル処理デバイスは、より大きい筐体にいずれも含有されている別々の独立したモジュールであってよい。ある実施形態では、前記第二のサンプル処理デバイスは、前記調製サンプルに対してサンプル分析を行うように構成された第二のサンプル処理カートリッジであってよい。そのような実施形態では、前記サンプル処理カートリッジは、前記調製サンプルに対して分析を行うための前記反応容器を含有する。上記のように、このシステム構成を用いることで、サンプルの前記処理を迅速化することができ、そこから、別々のアリコートを、異なる目的の分析物の存在又は非存在について前記サンプルを識別するための別々のカートリッジに送達することができる。ある実施形態では、前記調製サンプルは、第二のサンプル調製デバイスと、第三、第四、第五のサンプル調製デバイスなどとの間で分割されてよい。上記のように、前記続いてのデバイスの各々は、前記第一のデバイスの外部にあってよく、又はそれらは、前記第一のデバイスと共通の筐体に内蔵されているか、若しくは中に配置されていてもよい。ある実施形態では、前記第二のデバイスは、前記第一のデバイス内で処理されることになる分析カートリッジである。ある場合では、前記調製サンプルは、核酸、さらにはタンパク質について識別されてよい。そのような分析では、サンプルカートリッジであってよい少なくとも2つの連続するデバイスに対して、前記サンプルを分割することが必要となる。ある実施形態では、タンパク質の存在、及び前記タンパク質のグリコシル化度を特定することが所望され得る。ある実施形態では、核酸(メチル化状態を含む)、タンパク質、炭水化物、及び 若しくは脂質の検出又は分析のためのアッセイを構成することが所望され得る。
【0033】
ある実施形態では、前記第二のサンプル処理デバイスは、核酸増幅などのサンプル分析を行うデバイスである。本発明での使用に適する限定されない例示的な核酸増幅法としては、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)、逆転写PCR法(RT−PCR)、リガーゼ連鎖反応法、転写増幅法(TMA)、及び核酸配列ベース増幅法(NASBA)が挙げられる。本発明での使用に適するさらなる核酸試験は、当業者に公知である。流体サンプルの分析には、一般的に、特定のプロトコルに従う光学的又は化学的検出を含み得る一連の工程が関与する。ある実施形態では、前記第二のサンプル処理デバイスを用いて、既に引用され、その全内容が参照により本明細書に援用される米国特許出願第6,818,185号に記載の標的の分析及び検出に関する態様のいずれが行われてもよい。
【0034】
ある実施形態では、前記流体ブリッジは、両端部の間に伸びて、流体サンプルが前記第一のサンプル処理デバイスと流体結合された近接側の端部から前記第二のサンプル処理デバイスと流体結合された遠心側の端部へ遠心側へ向かって流れることを可能とする1以上の流体チャネル又はコンジットを有する延長構造体である。ある実施形態では、前記1以上の流体チャネルは、対応する液密継手液密継手間の前記流体チャネルの長さ全体にわたって実質的に変動しない断面積を有する。このことにより、前記チャネルを通る流体サンプルのフローを、より一定で予測可能とすることができ、前記ブリッジを通しての前記流体の輸送のより高い制御が可能となる。前記ブリッジを通しての流体輸送は、前記第一のサンプル処理デバイスによる処理が完了した後、前記第一及び/又は第二のサンプル処理デバイスのいずれを含んでいてもよい前記システムによる前記流体サンプルを輸送するための電子的命令を受けることによって行われる。前記1以上の流体チャネルを通しての前記流体サンプルの輸送は、前記チャネルの加圧/減圧によって、又は前記流体の置換によって行われてよい。ある実施形態では、前記流体の置換は、ある体積の空気の置換の結果として、ある量の流体サンプルの置換が発生するように、空気の置換によって行われてもよい。ある実施形態では、前記置換された流体の量は、前記置換された空気の量に等しい。ある実施形態では、前記置換された流体の量は、前記置換された空気の量よりも少ない。例えば、少なくとも2つの流体チャネルを有するブリッジの場合、1つの流体チャネルに対して空気の供給又は空気の脱気を行った結果として、他方の流体チャネルへの、又は他方の流体チャネルを通しての前記流体サンプルの輸送が行われてよい。ブリッジ部材が少なくとも2つのチャネルを有するある実施形態では、前記少なくとも2つのチャネルの各々は、実質的に異なっていない容積を有していてよい。ある実施形態では、前記少なくとも2つのチャネルの容積は、予め特定された量に従って、実質的に異なっていてもよい。ある実施形態では、前記流体フローチャネルを、上記で記載した前記反応容器を有する前記流体チャネルに類似のフロー寸法であるように構成することで(米国特許第6,374,684号参照)、反応容器を通しての流体サンプルの輸送と同じ機構を用いて、第二のサンプル処理デバイスへの輸送のために前記流体ブリッジ中へ流体サンプルが輸送され得る。当業者であれば、前記ブリッジを通しての前記流体サンプルの輸送が、本発明での使用に適するいかなる方法で行われてもよいことは理解される。
【0035】
II.流体ブリッジデバイスの構築例
図4A〜4Dは、本発明の態様及び実施形態の例示的な流体ブリッジデバイスを示す。
図4Aから分かるように、前記流体ブリッジ部材10は、互いに間隔が空けられ、両端部間に前記ブリッジ部材の長さにわたって延びる2つの流体チャネル又はコンジット1を含む。前記チャネルは、支持ウェブ構造体4によって分離され、支持されている。前記流体ブリッジは、流体サンプルの輸送に適して、前記サンプルの処理又は分析に干渉することのないいかなる材料から製造されてもよく、典型的には、不活性プラスチック又はポリマー系材料が用いられ得る。ある実施形態では、前記流体ブリッジの製造に用いられる材料は、前記材料を通してサンプル輸送の目視観察、及び/又は前記流体チャネルの光学的検出/モニタリングができるように、透明又は部分的に半透明の材料である。
【0036】
ある実施形態では、前記1以上のチャネルは、前記ブリッジの一方の端部の第一の液密継手及び反対側の端部の第二の液密継手から伸びる内腔を通っている。前記流体ブリッジは、第一及び/又は第二のサンプル処理デバイスによって置換され得る空気の体積により長さだけが限定され、前記ブリッジを通る流体輸送に影響する。ある実施形態では、前記流体ブリッジは、10フィート以上の長さである。ある実施形態では、前記流体ブリッジの長さは、10フィート未満であり、例えば、前記流体ブリッジは、10フィート、9フィート、8フィート、7フィート、6フィート、5フィート、4フィート、3フィート、2フィート、又は1フィートまでの長さを有してよい。ある実施形態では、前記流体ブリッジの長さは、1フィート未満である。例えば、前記流体ブリッジは、約30cm、29cm、28cm、27cm、26cm、25cm、24cm、23cm、22cm、21cm、20cm、19cm、18cm、17cm、16cm、15cm、14cm、13cm、12cm、11cm、10cm、9cm、8cm、7cm、6cm、5cm、4cm、3cm、2cm、又は1cmの前記スタブ間の長さを有してよい。
【0037】
ある実施形態では、前記ブリッジは、フランジ間で、約4cmなどの3〜5cmの長さを有し、前記流体チャネルは、平行に伸び、約1cmの間隔で分離されている。この構成により、
図4Aに示されるように、実質的に同じ構造の実質的に液密である継手が、各端部で可能となる。各チャネルの前記液密継手は、スタブ2によって定められ、各スタブは、前記第一又は第二のデバイスの対応する外部ポートに丁度受けられるように寸法が合わせられており、それによって、前記流体チャネル1と前記それぞれのデバイスの対応する流体チャネルとの液密継手が促進される。例えば、前記流体ブリッジ10の近接側端部のスタブ2は、前記調製流体サンプルの前記ブリッジ中へのフローのための入り口スタブとして働き、一方、遠心側の端部の前記スタブ2は、前記ブリッジから出て前記第二のサンプル処理デバイス中へ入る前記流体サンプルのフローのための出口スタブとして働く。ある実施形態では、前記入り口スタブは、2〜10mmの外径を有してよく、例えば、前記外径は、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10mmであってよい。典型的には、前記スタブの前記外径は、約3mmであり、前記フランジ3から約3mmなどの約2〜5mmの距離伸びており、それによって、
図2Aに示されるものなどのサンプル処理カートリッジとの液密継手が促進される。前記1以上のチャネルの各々の内径は、1mm〜5mmの範囲内であってよい。
【0038】
ある実施形態では、前記1以上の流体チャネルの各々は、前記ブリッジが前記第一及び第二のデバイスから取り外されている場合、各端部で開放されている。ある実施形態では、前記1以上のチャネルは、前記流体ブリッジの各端部での前記液密継手間に直接伸びており、その間には他の入り口又は出口ポートは存在せず、それによって、一方の側の入り口スタブから流入した流体は、反対側の出口スタブから排出される。前記1以上の流体チャネルが、取り外されている場合に、各端部で開放されているある実施形態では、前記チャネルは、前もって存在するいずれかの試薬、又はそこに含有される目的の分析物を結合するためのいずれかの手段などのいずれかのサンプル調製手段も有しない。ある実施形態では、前記1以上のチャネルは、いかなるチャンバー、バルブ、又はポートも前記近接側端部と遠心側の端部との間に存在せずに、液密継手間に伸びている。ある実施形態では、前記流体ブリッジは、前記近接側端部と遠心側の端部との間に、1以上のバルブ又はポートを含む。ある実施形態では、前記1以上のチャネルは、前記流体サンプルの処理又は分析に用いられ得る1以上のチャンバー又は領域を含んでいてよい。例えば、前記流体ブリッジは、前記サンプル中の核酸の熱増幅、側方流動クロマトグラフィを含む前記サンプルのろ過、ハイブリダイゼーション、及び又は1以上のアッセイ試薬との前記サンプルのインキュベーションのための1以上のチャンバー又は領域を含んでよい。前記1以上のチャネルが一方の端部で外部環境に対して開放されているある実施形態では、1以上のチャンバーを含む1以上のチャネルが、サンプル調製チャンバーとしての使用に適さなくなる可能性があり、それは、そのようなサンプル調製手段を、開放チャネル内に適切に含有させることができないからである。ある実施形態では、前記1以上の流体チャネルの各々は、前記第一又は第二のサンプル処理デバイスに取り付けられていない場合、前記液密継手を覆うフィルムシールによって、外部環境に対して閉じられている(封止されている)。そのような実施形態では、いずれのサンプル調製手段又はアッセイ試薬も、前記第一及び/又は第二の処理デバイスに取り付けられるまで、前記流体ブリッジ内に安全に含有されることになり、この場合、前記フィルムシールは、前記流体ブリッジを前記デバイスに接続する際に、破られるか又は除去される。
【0039】
ある実施形態では、前記ブリッジは、第一のデバイスのカートリッジが予め取り付けられて提供され、それによって、前記液密継手が、前記カートリッジの1以上の対応する流体移送ポートと結合され、一方前記ブリッジの反対側端部の前記液密継手は、開放されたままである。ある実施形態では、前記ブリッジは、前記第一のデバイスのカートリッジに、前記カートリッジの1以上の対応する流体移送ポートと液密継手が結合された状態で取り付けられ、一方前記ブリッジの反対側端部の前記液密継手は、封止されている。ある実施形態では、サンプル調製において用いることができる試薬、ウィルス溶解のための手段、又は目的の分析物を結合するための手段(例:試薬ビーズ)が、前記カートリッジ又は第一のデバイスの1以上のチャンバー内に含有されていてよい。前記ブリッジにより、ユーザーは、前記カートリッジ又は第一のデバイスを、さらなるサンプル処理を行う様々な他の試薬又は様々な他の手段を含み得る第二のサンプル処理デバイスに、所望に応じて、選択的に結合することが可能となる。ある実施形態では、前記流体ブリッジは、サンプル処理のための試薬を含有してよく、前記端部の各々は、前記対応する第一及び第二のサンプル処理デバイスに接続されるまで封止されている。
【0040】
ある実施形態では、前記流体ブリッジ10の各コンジットは、一方又は両方の端部に、前記流体ブリッジを前記サンプル処理カートリッジ及び 又は前記第二のサンプル処理デバイスに取り付ける際に使用するための前記ブリッジの周囲の円周方向に伸びるフランジ3を含んでよい。
図5Aに示される液密継手は、フランジ3から伸びるスタブ2を含むが、本発明での使用に適する様々な他の液密継手が考案され得ること、及び各端部の前記液密継手が、特定の種類のデバイスとの流体結合に必要とされる場合、互いに異なり得ることは理解される。本発明での使用に適する限定されない例示的な液密継手(としては、ルアーロック接続、スナップフィット接続、摩擦フィッティング、クリックフィット接続、及びスクリューオン接続が挙げられる。本発明での使用に適する液密継手のさらなる種類は、当業者に公知である。ある実施形態では、前記流体ブリッジは、第一の種類の液密継手を有する前記流体ブリッジと、別の種類の液密継手を有する流体サンプル処理デバイスとの接続を促進する1以上のアダプターを含んでよい。前記流体ブリッジの接続を促進する限定されない例示的なアダプターは、
図4Aに示される。
【0041】
ある実施形態では、前記流体ブリッジ10は、例えば
図4Bに示されるように、前記流体フローチャネルの1以上と流体連結されている1以上の処理特徴を含んでよい。ある実施形態では、前記流体ブリッジは、前記流体サンプルを前記第二のサンプル処理デバイスへ輸送する過程でさらなる処理工程を可能とするために、1以上のチャンバー、フィルター、トラップ、メンブレン、ポート、及びウィンドウを含む1以上の処理特徴を含んでよい。例えば、
図4Bに示されるように、前記流体ブリッジは、チャンバー5を含んでよく、これは、例えば、核酸増幅を行うための増幅チャンバーとして用いることができる。チャンバー5のさらなる用途は、当業者に明らかであり、ろ過、クロマトグラフィ、ハイブリダイゼーション、インキュベーション、バイサルファイト処理を例とする化学的処理などが挙げられ得る。前記チャンバー5により、特定のプロトコルにおいて、必要に応じてさらなる処理又は分析のための前記流体サンプルの一部の蓄積が可能となる。ある実施形態では、前記チャンバーは、
図4Cに示される透明マイクロアレイ反応チャンバーなどの少なくとも部分的に透明であるウィンドウを含み、それによって、前記流体サンプルが前記ブリッジを通って輸送される過程で、前記チャンバーを通して前記流体サンプル中の目的の分析物の光学的検出が可能となる。この特徴は、複数の分析物の存在若しくは非存在のスクリーニングをする場合、又は複数の検出工程を必要とし得る分析において、又は特定のターゲット若しくは目的の分析物の検出後に前記流体サンプルのさらなる処理及び/若しくは分析を必要とし得る分析において、特に有利である。
【0042】
ある実施形態では、1以上のさらなる特徴が、前記流体ブリッジに組み込まれてよい。前記流体ブリッジに組み込まれてよい限定されない例示的なさらなる特徴は、
図4Dに示される。これらの特徴としては、フィルター7、気泡トラップ又は気体透過ベント8、及び外部ポート9が挙げることができる。ある実施形態では、フィルター7を例とする固相材料は、前記流体サンプルがそこを通過する際に前記流体サンプルから成分(例:細胞、芽胞、微生物、ウィルス、核酸、タンパク質、脂質、炭水化物など)を捕捉するために配置されてよい。前記固相材料は、スクリーン、メッシュ、メンブレンの形状であってよく、又はクロマトグラフィカラム、若しくは前記サンプルのろ過若しくは濃縮での使用に適する他の構造体を含んでもよい。気泡トラップ又は気体透過ベント8は、前記流体サンプルの輸送の過程で前記流体チャネル中に形成され得るいずれの気体若しくは空気の気泡も実質的に除去するために用いることができる。前記流体ブリッジ上の前記外部ポート9は、必要に応じて前記流体フローチャネルにアクセスするために用いられてよく、例えば、前記外部ポートは、特定のプロトコルにおいて、必要に応じて、前記流体フロー内に、又は前記流体ブリッジのチャンバー内に物質を投入するために用いることができる。ある実施形態では、前記流体ブリッジの前記外部ポートは、前記処理サンプルのアリコートを、それが前記ブリッジを通って流れる際に取り出すために用いることができる。前記外部ポートはまた、様々な他の経路に沿った前記流体サンプルの流れを促進するために用いることもでき、例えば、別のブリッジが、前記外部ポート9に接続されてよく、それによって、前記流体サンプルは、異なる標的の同時分析を促進するために、複数の経路に沿って異なるデバイスへ同時に向けられ得る。ある実施形態では、1以上の前記流体フロー経路が複数の流体フローチャネルに分割されている流体ブリッジを用いることによって、この手法が用いられてよい。ある実施形態では、さらなる特徴としてバルブが追加される。
図4A〜4Dに示される特徴の各々は、本明細書で述べる本発明に従う流体ブリッジデバイス10内に、いかなる数又は組み合わせで用いられてもよいことは理解される。
【0043】
III.流体ブリッジと処理デバイスとの間の流体インターフェイス
図2A〜2D及び3A〜3Cに示される前記サンプル処理カートリッジ110の様々な態様は、サンプル処理カートリッジの特定の態様についてより詳細に述べた米国特許第6,374,684号を参照することによってさらに理解することができる。そのようなカートリッジデバイスは、前記カートリッジの前記チャンバーに接続された回転式流体制御バルブなどの流体制御デバイスを含む。前記回転式流体制御バルブの回転により、チャンバーと前記バルブとの流体連結が可能となり、それによって、分析用に前記サンプルを調製するために必要に応じて特定のプロトコルに従って様々な化合物を提供することができる異なるチャンバーへの、前記カートリッジに投入されたサンプルのフローが制御される。前記回転式バルブを作動させるために、典型的には、ステッピングモーターなどのモーターが、前記バルブの特徴と係合して所望されるサンプル調製プロトコルに従って前記バルブの動き及びその結果としての前記流体サンプルの移動を制御するドライブトレインと結合される。特定のサンプル調製プロトコルに従う前記回転式バルブの流体測定及び分配機能は、あらゆる点で本明細書に援用される米国特許第6,374,684号に示されている。
【0044】
ある実施形態では、前記サンプル処理カートリッジ110は、前記反応容器18を通る前記流体サンプルのフローを促進するために、2つの移送ポートを含む。
図5Aに示される実施形態では、前記流体ブリッジは、前記サンプル処理カートリッジの前記2つの移送ポート112内に丁度受けられるように寸法が合わせられ間隔が空けられた対応する入り口スタブ2を有する2つの流体フローチャネルを含む。シールガスケット113が、前記移送ポート112を取り囲んでいてよく、その一方又は両方は、前記移送ポート内の前記入り口スタブ2の液密封止を促進するように、エラストマー材料から形成されていてよい。前記フランジ3は、前記フランジの近接側に向いた面が、前記第一のサンプル処理デバイスの前記移送ポートの周囲に伸びるガスケット113と係合し、一方前記第一のサンプル処理デバイスの保持部材130が、前記フランジの遠心側に向いた面と係合し、それによって前記1以上の流体チャネルの各々と前記第一及び/又は第二のサンプル処理デバイスとの液密継手が確保されるように、寸法が合わせられる。ある実施形態では、
図5A〜5Bに示されるように、前記保持部材130は、上に本体カートリッジが搭載される前記サンプル処理カートリッジのベース部131に組み込まれており、それによって、前記流体ブリッジ10は、組み立て時に前記サンプル処理カートリッジに取り付け、流体結合することができ、
図5Bに示されるように、組み立てられた状態でユーザーに提供することができる。ある実施形態では、前記サンプル処理カートリッジは、前記処理サンプルをカートリッジシステム110から第二の流体処理デバイスへ輸送するために前記流体ブリッジデバイス10が流体結合する少なくとも2つの移送ポート112を含む。ある実施形態では、前記サンプル処理カートリッジは、1つだけの外部移送ポートを有してよく、その場合、前記カートリッジと共に使用するための前記対応する流体ブリッジは、単一の流体チャネルを含む。
【0045】
ある実施形態では、前記流体ブリッジは、上述した前記サンプル処理カートリッジを有するサンプル調製デバイスを含む。ある実施形態では、前記流体ブリッジは、本明細書で述べる前記流体ブリッジ部材の有利な態様を提供するために、あらゆる方法で様々な他の種類のサンプル処理デバイスの特徴に従って構成される。例えば、前記第二のサンプル処理デバイスと接続する前記流体ブリッジの前記遠心側の端部は、特定のデバイスとインターフェイス接続するように特に構成されてよい。そのような特定の特徴としては、前記ブリッジがインターフェイス接続する移送ポートの数、前記スタブの形状及び/又はサイズ、接続の種類などが挙げられ得る。
【0046】
ある実施形態では、本発明は、サンプル調製及び分析が第一のサンプル処理デバイス内で可能であるか、又は前記デバイスでサンプル調製を行い、調製流体サンプルを、前記サンプル処理カートリッジが前記第一のデバイスに搭載された状態で前記流体ブリッジを通して第二のデバイスに輸送することが可能であるように改変された第一のサンプル処理デバイスを含んでよい。そのような改変された第一のサンプル処理デバイスの例は、
図6に示される。前記第一のサンプル処理デバイス300は、前記サンプル処理カートリッジのバルブと係合し、前記サンプルの調製のために所望されるプロトコルに従って、前記カートリッジの本体の様々なチャンバー中へ前記流体サンプルを移動させることによって処理を促進する機構310を含む。前記デバイスは、さらに、特定の分析物の存在又は非存在に関して前記サンプルを識別するための光学的識別手段を含んでよい。
【0047】
ある実施形態では、前記光学的識別手段は、目的の標的にハイブリダイズさせたプローブ上の蛍光部分を励起するための、典型的にはLEDデバイスである光学的励起手段320、及び標的と結合された場合に、前記サンプルが分析されている目的である前記標的の存在を示す前記プローブから発せられる蛍光を検出するための検出手段322を含む。
図6には、前記光学的励起手段320及び検出手段322が、前記サンプルカートリッジが存在する通路315の側壁上に配置されて示されるが、前記流体サンプルが、前記分析物の励起及び検出を可能とするのに充分に前記励起手段及び検出手段に到達可能である限りにおいて、これらの要素が、様々な他の位置に配置されてもよいことは理解される。例えば、前記励起手段及び検出手段は、前記通路315の底面若しくは上面に組み込まれていてもよく、又は前記第一のサンプル処理デバイスの外部筐体とは別で、それに対して着脱可能又は移動可能であるまったく異なるコンポーネントに含まれていてもよい。これらの特徴により、従来の反応容器18を有する従来のサンプル処理カートリッジ中のサンプルの分析、又は前記第一の改変処理デバイス300中での前記サンプルの調製及びそれに続く前記流体ブリッジ10を用いた第二の処理デバイスへの輸送が可能となる。そのような実施形態では、前記反応容器及び前記流体ブリッジの両方を収容するように、前記サンプル処理カートリッジ上の前記移送ポートを再配置する必要があり得る。ある実施形態では、前記第一のデバイス中での調製及び分析が完了した後、前記サンプルは、前記反応容器から引き抜かれて前記カートリッジの前記チャンバーの1つへ戻すことができ、続いて、前記反応容器は、前記流体ブリッジと取り換えることができ、次に、前記サンプルは、本明細書で述べるように、前記第二のサンプル処理デバイスへ移送することができる。
【0048】
図7A〜7B及び8A〜8Bは、反応容器18を有するサンプル処理カートリッジによる
図6に示される別の選択肢としてのサンプル処理カートリッジデバイス300の使用、さらには
図4Aに示されるものなどの流体ブリッジが取り付けられたサンプル処理カートリッジによる前記デバイス300の使用を示す。前記デバイス300は、前記流体ブリッジ10が前記デバイス300の外側に伸びて第二のデバイスとの結合を促進しそれへの輸送を可能とする通路又は貫通路を含む。
図7Aに示されるように、前記改変サンプル処理デバイスにより、従来のサンプル処理カートリッジデバイスを挿入し、サンプル調製から分析までの処理を行うことが可能となる。
図7Bに示されるように、前記改変デバイス300では、流体ブリッジデバイス10が取り付けられたサンプル処理カートリッジと共に用いられる場合、ユーザーが所望する場合、前記第一のデバイス300をサンプル調製だけに用い、処理及び分析のために第二のデバイスへ輸送することが可能である。これらの最後に、前記流体ブリッジは、少なくとも2センチメートルの長さ、好ましくは、少なくとも4センチメートルの長さを有することが望ましいが、4センチメートルを超える様々な他の長さも、本発明の範囲内で実現され得る。
【0049】
IV.使用方法
1つの態様では、流体ブリッジを用いることによって第一のサンプル処理デバイスと第二のサンプル処理デバイスとの間で流体サンプルを輸送する方法が本明細書で提供される。そのような流体ブリッジは、本明細書で述べる前記サンプル処理カートリッジなどの第一のサンプル処理デバイスから、様々な異なる種類の処理及び/又は分析デバイスが挙げられ得る選択された第二のサンプル処理デバイスへの流体サンプルの輸送を促進するように、様々な寸法及び長さに従って構成されていてよい。前記第一のサンプル処理デバイスによって提供される以上にはサンプル処理が必要とされない特定のアッセイでは、アッセイ分析デバイスは、前記第一のサンプル処理デバイスに取り付けられている端部とは反対側の前記ブリッジの端部に結合(直接又は間接的に)されてよい。例えば、反応容器、マイクロアレイデバイス、又はバイオセンサーデバイスが、前記ブリッジの前記第二の端部に取り付けられ得る。特定の他のアッセイでは、さらなる処理工程(例:増幅、ろ過など)を行うことが、又は典型的な反応容器によって提供されるよりも大規模又は複雑である第二のサンプル処理デバイスによって提供される分析を行うことが所望され得る。
【0050】
図9〜10は、本発明の実施形態に従う例示的方法を示す。
図9に示される前記方法は:流体ブリッジの第一の端部を第一のサンプル処理デバイスと結合する工程であって、前記ブリッジ部材は、両端部の液密継手間に伸びる1以上の流体チャネルを含む、工程800;前記流体ブリッジの反対側の端部を第二のサンプル処理デバイスと結合し、それによって、前記第一のサンプル処理デバイスと前記第二のサンプル処理デバイスとの間に液密継手を作り出す工程802;処理サンプルを前記第一のデバイスから前記第二のデバイスへ移動させるための電子的命令を受ける工程804;及び前記第一のサンプル処理デバイスと前記第二のサンプル処理デバイスとの間に伸びる前記延長ブリッジを通して前記処理サンプルを流体移動させる工程806を含む。ある実施形態では、前記第一のサンプル処理デバイスは、サンプル調製デバイスを含み、一方前記第二のデバイスは、所望される標的を検出するための前記サンプルの分析を行うために、又は前記調製サンプルのさらなる処理のために用いられてよい。
【0051】
ある実施形態では、前記処理サンプルの前記延長ブリッジを通しての流体移動は、典型的には、前記処理サンプルを輸送するための電子的命令を受けた後、前記第一及び第二のサンプル処理デバイスの一方又は両方によって行われる。前記サンプルの輸送は、前記第一の処理デバイスから、前記ブリッジの流体チャネルを通して、前記第二のサンプル処理デバイスへの前記サンプルの流体フローが引き起こされるように、前記1以上のチャネルの少なくとも1つの加圧又は減圧によって行われてよい。例えば、前記第一及び第二のサンプル処理デバイスの対応する流体移送ポートに取り付けられた場合に流体回路を形成する1対の流体チャネルを有するブリッジ部材の場合、前記第一又は第二のデバイスによって前記ブリッジの1つの流体チャネルから空気が引き抜かれてよく、それによって、前記第一のサンプル処理デバイスのチャンバーから流体サンプルが引き抜かれ、前記ブリッジの他方の流体チャネルを通った後、前記第二のサンプル処理デバイスに流入する。
【0052】
図9に示される例示的な方法は:延長流体ブリッジの第一の端部を第一のサンプル処理デバイスと結合する工程であって、前記延長ブリッジ部材は、両端部の液密継手間に伸びる1以上の流体チャネルを含む、工程900;前記延長流体ブリッジの反対側の端部を選択された第二のサンプル処理デバイスと結合し、それによって、前記第一のサンプル処理デバイスと前記第二のサンプル処理デバイスとの間に液密継手を作り出す工程902;前記第一のサンプル処理デバイスを用い、サンプル調製プロトコルに従ってサンプルの処理を行う工程904;前記第一のデバイスで調製された前記流体サンプルの、前記流体ブリッジを通しての前記第二のサンプル処理デバイスへの輸送を行う工程906;所望に応じて行われてよい、前記流体ブリッジの1以上の特徴を用いて、そこを通しての輸送の過程で、前記調製サンプルをさらに処理する工程908;並びに前記流体ブリッジを通して受けた前記調製サンプルの分析を、所望される標的の検出のための前記第二のサンプル処理デバイスで行う工程910を含む。前記ブリッジ中の1以上の特徴による前記調製サンプルのさらなる処理としては、フィルター若しくは他の適切な固相材料若しくはメンブレンを用いたろ過又は濃縮、1以上の増幅チャンバーを用いた増幅、1以上のチャンバー又は領域を用いた化学的処理、又は気体透過メンブレン若しくは気泡トラップによる蓄積された気体又は空気の除去が挙げられ得る。
【0053】
図11A〜11Eは、本発明の様々な態様に従う流体ブリッジデバイスの別の選択肢としての実施形態である。
図11Aは、1つの流体コンジット又はチャネル1が2つの流体チャネルに分割されている流体ブリッジ10’を示す。図から分かるように、上側の入り口スタブ2は、2つの別々の出口スタブ2にフィードする2つの別々のチャネル1に分割される流体チャネルにフィードする。下側のチャネル1は、入り口スタブ2から出口スタブ2まで伸びる単一のチャネルのままである。前記分割されたチャネルが、第二及び第三のデバイスに同時に取り付け可能となるように、2つの異なるインターフェイスまで伸びるように構成されてもよいことは理解される。
図11Bは、入り口スタブ2から出口スタブ2まで伸びる単一の流体チャネル1を含む流体チャネルデバイス10’’を示す。そのような実施形態は、前記流体ブリッジ10’’を、2つのインターフェイスポートを有する従来のデバイスに固定可能となるように、疑似上側スタブ(faux upper stub)などのさらなる特徴を含んでよい。流体ブリッジ10’’は、さらに、そのような実施形態の剛性を維持するために、構造ウェブ4を含む。
図11Cは、3つ以上の流体チャネルを有する実施形態を示す。図から分かるように、流体ブリッジ10’’’は、対応する入り口及び出口スタブ2の間に伸びる3つの別々の流体チャネル1を含む。
図11Dは、2つの別々の入り口スタブ2が、2つの流体チャネルをフィードし、それらが組み合わされて単一の流体チャネル1となって出口スタブ2から出る流体ブリッジ10’’’’を示す。
図11Eは、前記入口及び出口スタブ2の間で直径が変動する流体チャネル1を含む流体ブリッジ10’’’’’を示す。図から分かるように、上側のチャネル1は、入り口スタブ2から出口スタブ2で出るまで、断面が増加している。この実施形態では、出口スタブ2は、入り口スタブ2よりも大きいが、他の実施形態では、出口スタブ2は、入り口スタブ2と同じサイズであってもよい。下側のチャネル1も、サイズが変動しており、断面積は、入り口スタブ2からより小さい出口スタブ2に向かって減少している。同様に、下側のチャネル1の入り口及び出口スタブは、同じ又は異なるサイズであってもよい。これらの特徴を用いて、前記流体サンプルが前記流体ブリッジの前記出口スタブから出る速度を変化させることができる。ある実施形態では、1つのチャネルの直径の増加は、他方のチャネルの直径の減少に対応していてよく、それによって、合計の流体交換は、同じ一定の直径である流体チャネルを有する流体ブリッジデバイスの場合と実質的に同一に維持される。本明細書で述べる特徴のいずれも、特定の用途に対して所望される様々な他の組み合わせに従って、流体ブリッジデバイス中で改変され、及び/又は組み合わされてもよいことは理解される。
【0054】
上記明細書において、本発明が、その具体的実施形態を参照して記載されるが、当業者であれば、本発明がそれに限定されないことは認識される。上述した本発明の様々な機能、実施形態、及び態様は、独立して、又は組み合わせて用いられてよい。さらに、本発明は、本明細書のより広い趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書で述べるものを以外の様々な環境及び用途で用いられてもよい。本明細書及び図面は、したがって、限定ではなく、実例として見なされるべきである。「含む(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」の用語は、本明細書で用いられる場合、本技術分野の非限定的用語として読まれることを特に意図していることは認識される。