(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
入射した放射線の線量に応じた電気信号を発生させるセンサー素子と、前記電気信号を出力する第1のスイッチング素子と、初期化を行う第2のスイッチング素子とを有するピクセルが、マトリックス状に配置された基板と、
各行の前記ピクセルを順次選択する制御信号を出力する制御信号出力回路と、
前記第2のスイッチング素子に期間を限定して前記制御信号を与える制御期間限定回路と、
を備え、
同一行の前記ピクセルにおける前記第1のスイッチング素子を制御するために用いられる前記制御信号と、他の同一行の前記ピクセルにおける前記第2のスイッチング素子を制御するために用いられる前記制御信号とが同一であり、
前記制御期間限定回路は、同一行の各ピクセルからの前記電気信号の出力が連続して2回行われた後に、前記第2のスイッチング素子に前記制御信号を与えることを特徴とする放射線画像撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成の材質、形状、相対配置、加工法などはあくまで一例に過ぎず、これらによってこの発明の範囲が限定解釈されるべきではない。さらに、図面は模式的なものであり、寸法の比率、形状は現実のものとは異なる。
【0015】
なお、以下の説明においては、放射線画像撮像装置の一例として、アクティブピクセル型の放射線画像撮像装置を例に挙げて説明する。ただし、本発明は、アクティブピクセル型の放射線画像撮像装置に限定されないことは勿論である。また、本発明は、パッシブピクセル型の放射線画像撮像装置において、例えば、MIS(Metal Insulator Semiconductor)型のセンサー素子を光電変換素子として使う場合、各ピクセルに読み出しスイッチング素子とリセットスイッチング素子とを設ける場合などにも適用されることは勿論である。
【0016】
また、以下の説明においては、ピクセルが4行かつ4列のマトリックス状に配置された場合のみを一例に挙げて説明する。しかしながら、ピクセルの数は、必要に応じて適宜変更できることは言うまでもない。
【0017】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1について
図1〜
図3に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0018】
〈放射線画像撮像装置101の構成〉
図1は、本実施形態に係る放射線画像撮像装置101の構成を示すブロック図である。
【0019】
図1に示すように、放射線画像撮像装置101は、基板1と、複数のピクセル2と、制御信号入力部3と、シフトレジスタ4(制御信号出力回路)と、制御回路5と、複数の電流電圧変換アンプ10とを備えている。
【0020】
(基板1の構成)
基板1は、ガラス基板(ガラスパネル)であるが、これに限定されることはなく、プラスチック基板などであってもよい。
【0021】
ピクセル2は、基板1上に形成されており、4行かつ4列のマトリックス状に配置されている。また、基板1上には、読み出し信号線RDL1〜RDL4と、リセット信号線RSL1〜RSL4と、出力線OL1〜OL3とが形成されている。
【0022】
読み出し信号線RDL1〜RDL4は、第1行から第4行のピクセル2にそれぞれ接続されている。読み出し信号線RDL1〜RDL4は、それぞれ読み出し信号Read1〜Read4(制御信号)を各ピクセル2に入力するために設けられている。
【0023】
リセット信号線RSL1〜RSL4は、第1行から第4行のピクセル2にそれぞれ接続されている。リセット信号線RSL1〜RSL4は、それぞれリセット信号Reset1〜Reset4(制御信号)を各ピクセル2に入力するために設けられている。
【0024】
なお、以降の説明では、読み出し信号線RDL1〜RDL4、読み出し信号Read1〜Read4、リセット信号線RSL1〜RSL4およびリセット信号Reset1〜Reset4をそれぞれ代表して説明する場合、読み出し信号線RDL、読み出し信号Read、リセット信号線RSLおよびリセット信号Resetと称する。
【0025】
出力線OL1〜OL4は、第1列から第4列のピクセル2にそれぞれ接続されている。出力線OL1〜OL4は、それぞれ各ピクセル2から出力される電流Iout1〜Iout4を出力するために設けられている。
【0026】
なお、本実施形態においては、各行のピクセル2に接続される読み出し信号線RDL1〜RDL4およびリセット信号線RSL1〜RSL4は、それぞれ1本の場合を例に挙げて説明しているが、この例に限定されない。各行の読み出し信号線RDLおよびリセット信号線RSLは、同一行に属するリセットトランジスタ115が同じリセット信号Resetで制御でき、同一行に属する読み出しトランジスタ117が同じ読み出し信号Readで制御できれば、複数本であってもよい。このような各行の読み出し信号線RDLおよびリセット信号線RSLの本数については、後述する実施形態2および3にも適用される。
【0027】
制御信号入力部3は、基板1上に設けられている。制御信号入力部3は、シフトレジスタ4の第1ないし第4の各出力段から出力される読み出し信号Read1〜Read4をそれぞれ読み出し信号線RDL1〜RDL4に入力する信号伝送経路を有している。また、制御信号入力部3は、シフトレジスタ4の第1出力段から出力される読み出し信号Read1をリセット信号線RSL4に入力する信号伝送経路を有している。また、制御信号入力部3は、シフトレジスタ4の第2出力段から出力される読み出し信号Read2をリセット信号線RSL1に入力する信号伝送経路を有している。また、制御信号入力部3は、シフトレジスタ4の第3出力段から出力される読み出し信号Read3をリセット信号線RSL2に入力する信号伝送経路を有している。また、制御信号入力部3は、シフトレジスタ4の第4出力段から出力される読み出し信号Read4をリセット信号線RSL3に入力する信号伝送経路を有している。
【0028】
(シフトレジスタ4の構成)
シフトレジスタ4は、OR回路41と、4つのD−FF(Dフリップフロップ)42とを有している。シフトレジスタ4は、例えば、シリコン集積回路によって形成されている。
【0029】
各D−FF42のクロック入力端子には、制御回路5から供給されるクロック信号CLが入力される。第1ないし第4の各出力段のD−FF42は、それぞれの出力端子Qから読み出し信号Read1〜Read4を出力する。第1出力段のD−FF42の出力端子Qは、第2出力段のD−FF42のデータ入力端子Dに接続されている。第2出力段のD−FF42の出力端子Qは、第3出力段のD−FF42のデータ入力端子Dに接続されている。第3出力段のD−FF42の出力端子Qは、第4出力段のD−FF42のデータ入力端子Dに接続されている。
【0030】
OR回路41の一方の入力端子には、制御回路5から供給されるスタート信号STが入力される。OR回路41の他方の入力端子には、第4出力段のD−FF42の出力端子Qから出力される読み出し信号Read4が入力される。OR回路41の出力端子は、第1出力段のD−FF42のデータ入力端子Dに接続されている。
【0031】
(制御回路5の構成)
制御回路5は、一定周期のクロック信号CLを出力する。また、制御回路5は、放射線画像撮像装置101の起動時に1回のみ、パルス状のスタート信号STを出力する。制御回路5は、スタート信号STおよびクロック信号CLをシフトレジスタ4に供給することにより、シフトレジスタ4の動作タイミングを制御する。
【0032】
(電流電圧変換アンプ10の構成)
電流電圧変換アンプ10は、各列のピクセル2の出力端子に接続された出力線OL1〜OL4に設けられている。電流電圧変換アンプ10は、出力線OL1〜OL4のそれぞれに出力される電流Iout1〜Iout4を出力電圧Vout1〜Vout4に変換する。
【0033】
なお、出力電圧Vout1〜Vout4は、図示はしないデータ処理部に出力される。データ処理部においては、4×4個の出力電圧Vout1〜Vout4に基づいて所定の処理を行うことにより、4×4の解像度の放射線撮像二次元画像を得る。
【0034】
(ピクセル2の構成)
図2は、放射線画像撮像装置101に設けられるピクセル2の回路構成を示す回路図である。
【0035】
図2に示すように、ピクセル2には、センサー素子107と、リセットトランジスタ115(第2のスイッチング素子)と、アンプトランジスタ116と、読み出しトランジスタ117(第1のスイッチング素子)とが設けられている。
【0036】
センサー素子107は、放射線、特にX線を電気信号(電荷またはホール)に直接変換する素子であり、入射した放射線の線量に応じた電気信号を発生させる。図示されているように、ピクセル2におけるセンサー素子107の一端には、バイアス電圧Vsbが与えられる。
【0037】
放射線がピクセル2に入射されると、センサー素子107には、電気信号が発生することにより、センサー素子107に接続されたアンプトランジスタ116のゲート電極の電圧が変化する。これは、電気信号が、アンプトランジスタ116のゲート電極に接続された静電容量に電荷として蓄積されるためである。この静電容量は、アンプトランジスタ116のゲート電極と固定電位(例えば、センサー素子107のバイアス電圧入力端子)の部分との間の静電容量である。具体的には、この静電容量は、アンプトランジスタ116のゲート電極の寄生容量およびセンサー素子107の端子間容量などで形成される。
【0038】
したがって、アンプトランジスタ116は、電気信号によるゲート電極の電圧変化を、ドレイン−ソース間の電流変化として出力する。言い換えると、アンプトランジスタ116は、電気信号によるアンプトランジスタ116のゲート電極の電圧変化に基づくアンプトランジスタ116のソース電極とドレイン電極との間を流れる電流の値を読み出す。
【0039】
リセットトランジスタ115は、ゲート電極にリセット信号線RSLを介してリセット信号Resetが供給されるとともに、ソース電極にピクセル2の外部からリセット用電圧ラインを介してリセット電圧Vbが与えられる。リセットトランジスタ115は、アンプトランジスタ116のゲート電極と、リセットトランジスタ115のドレイン電極とを、リセット信号Resetの有無に基づいて、導通状態あるいは遮断状態に制御する。リセットトランジスタ115は、アンプトランジスタ116のゲート電極の電位がリセット電圧Vbとなるように、アンプトランジスタ116のゲート電極と、リセットトランジスタ115のドレイン電極とを導通状態にすることにより、ピクセル2をリセットする。
【0040】
アンプトランジスタ116は、上記電気信号を増幅するトランジスタであって、その電源電圧はVdである。
【0041】
読み出しトランジスタ117は、アンプトランジスタ116のドレイン−ソース間の電流を、出力線OL1〜OL4を介してピクセル2の外部に出力するためのスイッチング素子である。読み出しトランジスタ117は、読み出し信号線RDLを介して供給される読み出し信号Readに基づいて、制御される。
【0042】
〈放射線画像撮像装置101の動作〉
図3は、放射線画像撮像装置101の動作を示すタイミングチャートである。
【0043】
図3に示すように、シフトレジスタ4は、第1ないし第4の出力段から出力した出力信号を、読み出し信号Read1〜Read4として、制御信号入力部3を介してそれぞれ読み出し信号線RDL1〜RDL4へ入力することで、行毎のピクセル2へ供給する。これにより、各フレームF1〜F4において、クロック信号CLの1クロックずつずれたタイミングで各行の信号読み出しが行われる。
【0044】
具体的には、第1行に属する4つのピクセル2((1,1)〜(1,4))における読み出しトランジスタ117は、読み出し信号Read1によって制御される。第2行に属する4つのピクセル2((2,1)〜(2,4))における読み出しトランジスタ117は、読み出し信号Read2によって制御される。第3行に属する4つのピクセル2((3,1)〜(3,4))における読み出しトランジスタ117は、読み出し信号Read3によって制御される。第4行に属する4つのピクセル2((4,1)〜(4,4))における読み出しトランジスタ117は、読み出し信号Read4によって制御される。
【0045】
一方、シフトレジスタ4は、リセット信号Reset1〜Reset4を、制御信号入力部3を介してそれぞれリセット信号線RSL1〜RSL4へ入力することで、行毎のピクセル2へ供給する。したがって、第1行に属する4つのピクセル2((1,1)〜(1,4))におけるリセットトランジスタ115は、リセット信号Reset1によって制御される。第2行に属する4つのピクセル2((2,1)〜(2,4))におけるリセットトランジスタ115は、リセット信号Reset2によって制御される。第3行に属する4つのピクセル2((3,1)〜(3,4))におけるリセットトランジスタ115は、リセット信号Reset3によって制御される。第4行に属する4つのピクセル2((4,1)〜(4,4))におけるリセットトランジスタ115は、リセット信号Reset4によって制御される。
【0046】
シフトレジスタ4は、制御回路5からのスタート信号STおよびクロック信号CLに基づいて、各出力段から出力する出力信号を決定する。シフトレジスタ4は、スタート信号STがHighになると、クロック信号CLに同期して、各出力段からクロック信号CLの1クロックずつずれる出力信号を出力する。制御信号入力部3は、各出力信号をそれぞれピクセル2の各行を順次選択する行選択信号として読み出し信号線RDL1〜RDL4に入力する。
【0047】
これにより、
図3に示すように、全てのピクセル2の信号読み出しを行う各フレームF1〜F4において、1クロックずつずれた読み出し信号Read1〜Read4が各行のピクセル2に与えられる。
【0048】
また、制御信号入力部3は、シフトレジスタ4の第1出力段の出力信号をリセット信号Reset4としてリセット信号線RSL4に入力する。制御信号入力部3は、シフトレジスタ4の第2出力段の出力信号をリセット信号Reset1としてリセット信号線RSL1に入力する。制御信号入力部3は、シフトレジスタ4の第3出力段の出力信号をリセット信号Reset2としてリセット信号線RSL2に入力する。制御信号入力部3は、シフトレジスタ4の第4出力段の出力信号をリセット信号Reset3としてリセット信号線RSL3に入力する。
【0049】
これにより、
図3に示すように、各読み出し信号Read1〜Read4に対して1クロックずつずれたタイミングで出力されるリセット信号Reset1〜Reset4が各行のピクセル2に与えられる。
【0050】
放射線画像撮像装置101において、各行のピクセル2は、信号を読み出した後、上記のようにして出力されるリセット信号Reset1〜Reset4によってリセットされる。これにより、次にピクセル2から読み出される信号は、リセットから読み出されるまでに放射線により蓄積された電荷の電荷量に応じた大きさを有する信号となる。
【0051】
〈放射線画像撮像装置101の効果〉
本実施形態の放射線画像撮像装置101において、同一行のピクセル2から電気信号を読み出す読み出し信号Readと、他の同一行のピクセル2をリセットするリセット信号Resetとが同一である。具体的には、第1行のピクセル2の読み出しを行う読み出し信号Read1と、第4行のピクセル2をリセットするリセット信号Reset4とが同一である。また、第2行のピクセル2の読み出しを行う読み出し信号Read2と、第1行のピクセル2をリセットするリセット信号Reset1とが同一である。また、第3行のピクセル2の読み出しを行う読み出し信号Read3と、第2行のピクセル2をリセットするリセット信号Reset2とが同一である。また、第4行のピクセル2の読み出しを行う読み出し信号Read4と、第3行のピクセル2をリセットするリセット信号Reset3とが同一である。
【0052】
これにより、各行のピクセル2のリセット(初期化)が、その次の行のピクセル2から信号を読み出している期間中に行われる。それゆえ、リセットを行う期間を信号読み出しの期間と異なる期間に設けることがない。したがって、短時間で撮像動作を繰り返すことができる。
【0053】
なお、同一行のピクセル2から電気信号を読み出す読み出し信号Readと、他の同一行のピクセル2をリセットするリセット信号Resetとが同一となる組み合わせは、上記の例に限定されない。
【0054】
また、制御信号入力部3は、シフトレジスタ4の各出力段から出力される出力信号を上述のようにリセット信号線RSL1〜RSL4に入力するための信号入力経路を有するのみである。それゆえ、特許文献1に開示された放射線画像撮像装置における制御信号生成回路が有するAND回路やスイッチ素子を必要としない。したがって、放射線画像撮像装置の回路構成を簡素化することができる。
【0055】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、
図4および
図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0056】
〈放射線画像撮像装置102の構成〉
図4は、本実施形態に係る放射線画像撮像装置102の構成を示すブロック図である。
【0057】
図4に示すように、放射線画像撮像装置102は、基板1と、複数のピクセル2と、シフトレジスタ4と
、リセット信号生成回路6(制御期間限定回路)と、制御回路7と、複数の電流電圧変換アンプ10と、CDS(Correlated Double Sampling)回路12(差分回路)とを備えている。
【0058】
(リセット信号生成回路6の構成)
リセット信号生成回路6は、基板1上に設けられている。リセット信号生成回路6は、シフトレジスタ4の第1ないし第4の各出力段から出力される読み出し信号Read1〜Read4をそれぞれ読み出し信号線RDL1〜RDL4に出力する信号伝送経路を有している。また、リセット信号生成回路6は、4つのAND回路61を有している。
【0059】
AND回路61は、それぞれリセット信号線RSL1〜RSL4に対応している。リセット信号線RSL1に対応したAND回路61の出力端子はリセット信号線RSL1に接続されている。リセット信号線RSL2に対応したAND回路61の出力端子はリセット信号線RSL2に接続されている。リセット信号線RSL3に対応したAND回路61の出力端子はリセット信号線RSL3に接続されている。リセット信号線RSL4に対応したAND回路61の出力端子はリセット信号線RSL4に接続されている。
【0060】
各AND回路61の一方の入力端子には、制御回路7から供給されるモード選択信号MSが入力される。リセット信号線RSL1に対応したAND回路61の他方の入力端子には、シフトレジスタ4の第4出力段の出力信号が入力される。リセット信号線RSL2に対応したAND回路61の他方の入力端子には、シフトレジスタ4の第1出力段の出力信号が入力される。リセット信号線RSL3に対応したAND回路61の他方の入力端子には、シフトレジスタ4の第2出力段の出力信号が入力される。リセット信号線RSL4に対応したAND回路61の他方の入力端子には、シフトレジスタ4の第3出力段の出力信号が入力される。
【0061】
(CDS回路12の構成)
CDS回路12は、連続する2つのフレームで同一行のピクセル2から読み出された2つの電気信号の差をとることによって、リセットにより各ピクセル2に発生したノイズを除去する。
【0062】
〈放射線画像撮像装置102の動作〉
図5は、放射線画像撮像装置102の動作を示すタイミングチャートである。
【0063】
図5に示すように、シフトレジスタ4は、第1ないし第4の出力段から出力した出力信号を、読み出し信号Read1〜Read4として、
リセット信号生成回路6を介してそれぞれ読み出し信号線RDL1〜RDL4へ入力することで、行毎のピクセル2へ供給する。これにより、実施形態1の放射線画像撮像装置101と同じく、各フレームF1〜F4において上記のタイミングで信号読み出しが行われる。
【0064】
また、モード選択信号MSは、
偶数番目のフレームF2,F4の読み出し期間が開始される一行前の行が選択される時刻から1フレーム期間の間“High”に制御される。したがって、この期間では、リセット信号ResetがAND回路61により遮断されずに出力されるため、ピクセル2のリセットが行われる。
【0065】
リセット信号生成回路6は、ある行のピクセル2の読み出しが行われる期間に、次に読み出しが行われる行のピクセル2がリセットされるように、リセット信号Reset1〜Reset4を出力する。具体的には、第4行のピクセル2が読み出し信号Read4によって読み出されている期間に、第1行のピクセル2がリセット信号Reset1によってリセットされる。第1行のピクセル2が読み出し信号Read1によって読み出されている期間に、第2行のピクセル2がリセット信号Reset2によってリセットされる。第2行のピクセル2が読み出し信号Read2によって読み出されている期間に、第3行のピクセル2がリセット信号Reset3によってリセットされる。第3行のピクセル2が読み出し信号Read3によって読み出されている期間に、第4行のピクセル2がリセット信号Reset4によってリセットされる。
【0066】
これにより、偶数番目のフレームF2,F4においては、第1行ないし第
4行のピクセル2の信号がリセット直後に読み出されるとともに、第2行ないし第4行のピクセル2がリセットされる。一方、奇数番目のフレームF1,F3においては、第1行ないし第4行のピクセル2の信号が読み出されるが、第2行ないし第4行のピクセル2はリセットされない。ただし、奇数番目のフレームF1,F3の最後の期間のみ、リセット信号Reset1がリセット信号生成回路6(AND回路61)から出力されることによって第1行のピクセル2がリセットされる。
【0067】
〈放射線画像撮像装置102の効果〉
本実施形態の放射線画像撮像装置102において、同一行のピクセル2から電気信号を読み出す読み出し信号Readと、他の同一行のピクセル2をリセットするリセット信号Resetとが同一である。具体的には、第1行のピクセル2の読み出しを行う読み出し信号Read1と、第2行のピクセル2をリセットするリセット信号Reset2とが同一である。また、第2行のピクセル2の読み出しを行う読み出し信号Read2と、第3行のピクセル2をリセットするリセット信号Reset3とが同一である。また、第3行のピクセル2の読み出しを行う読み出し信号Read3と、第4行のピクセル2をリセットするリセット信号Reset4とが同一である。また、第4行のピクセル2の読み出しを行う読み出し信号Read4と、第1行のピクセル2をリセットするリセット信号Reset1とが同一である。
【0068】
リセット信号Reset1〜Reset4は、AND回路61によって、それぞれモード選択信号MSの“High”と、読み出し信号Read4,Read1,Read2,Read3との論理積として得られる。したがって、リセット信号Reset1〜Reset4は、実質的にはこれらの読み出し信号Readと同一であると言える。
【0069】
放射線画像撮像装置
102において、各行のピクセル2のリセットは、上記のようにして出力されるリセット信号Reset1〜Reset4によって、ある行のピクセル2の読み出しが行われる期間に、次に読み出しが行われる行のピクセル2に対して行われる。これにより、リセットを行う期間を信号読み出しの期間と異なる期間に設けることがない。したがって、短時間で撮像動作を繰り返すことができる。
【0070】
また、AND回路61によって、リセット信号Resetをピクセル2に与える期間が限定される。具体的には、モード選択信号MSが“High”である期間にのみ、リセット信号Resetが出力される。これにより、同一行の各ピクセル2からの電気信号の読み出し(出力)が連続して2回行われた後に、同一行の各ピクセル2にリセット信号Resetが与えられる。
【0071】
また、各行のピクセル2から読み出される信号は、その前のフレームでのリセットから以降に放射線により生成された信号が加算された信号である。
【0072】
CDS回路12は、奇数番目のフレーム(例えばフレームF3)で各行のピクセル2から読み出された電気信号の値から、直前の偶数番目のフレーム(例えばフレームF2)で同じピクセル2から読み出された電気信号の値を減算する。これにより、同じピクセル2に対する連続した2回の読み出しの間に放射線により生成された電気信号の値の変化量を計算することができる。このように、同一のピクセル2から2回出力される間の電気信号の変化量を計算する手法は、CDS(相関二重サンプリング)としてよく知られている。このように変化量を計算することによって、リセットにより各ピクセル2に発生したノイズを除去することができ、ノイズの小さい画像を取得できる。
【0073】
これに対し、従来のCDSでは、リセットを行うリセット期間と電気信号の読み出しを行う読み出し期間とが時間的に重ならない場合、CDSの処理のために、少なくとも3つの期間(リセット期間、第1読み出し期間および第2読み出し期間)が必要となる。これにより、第2読み出し期間の読み出し値から第1読み出し期間の読み出し値を減算することにより、画像データが生成される。
【0074】
本実施形態の放射線画像撮像装置102によれば、リセット期間と第1読み出し期間とがほぼ重なるため、画像生成に必要な時間を上記の3つの期間を必要とする例に対して2/3に短縮することができる。
【0075】
また、従来の他のCDSとして、第1リセット期間、第1読み出し期間、X線照射開始、第2リセット期間、第2読み出し期間の順に動作して、第2読み出し期間の読み出し値から第1読み出し期間の読み出し値を減算することで画像データを生成する方式もある。この方式では、画像生成に必要な時間がさらに増加する上、差分を取る2つの読み出し値が別々のリセット後の値であるため、リセットノイズが除去できない。
【0076】
なお、本実施形態では、
図5に示すように、奇数フレームからそれに続く偶数フレームで同一行のピクセル2から連続して電気信号を読み出している。これに限らず、偶数フレームからそれに続く奇数フレームで同一行のピクセル2から連続して電気信号を読み出すようにしてもよい。
【0077】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について、
図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1および2にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0078】
〈放射線画像撮像装置103の構成〉
図6は、本実施形態に係る放射線画像撮像装置103の構成を示すブロック図である。
【0079】
図6に示すように、放射線画像撮像装置103は、複数のピクセル2と、シフトレジスタ4と、制御信号入力部8と、制御回路9と、複数の電流電圧変換アンプ10と、基板11と、CDS回路12とを備えている。
【0080】
(基板11の構成)
基板11は、ガラス基板(ガラスパネル)であるが、これに限定されることはなく、プラスチック基板などであってもよい。
【0081】
ピクセル2は、基板11上に形成されており、4行かつ4列のマトリックス状に配置されている。また、基板11上には、読み出し信号線RDL1〜RDL4と、リセット信号線RSL1〜RSL4と、出力線OL1〜OL3とが形成されている。
【0082】
制御信号入力部8は、基板11上に設けられている。制御信号入力部8は、シフトレジスタ4の各出力段から出力される出力信号に基づいて、読み出し信号線RDL1〜RDL4にそれぞれ読み出し信号Read1〜Read4を入力するとともに、リセット信号線RSL1〜RSL4にそれぞれリセット信号Reset1〜Reset4を入力する。制御信号入力部8は、実施形態1における制御信号入力部3または実施形態2におけるリセット信号生成回路6である。
【0083】
シフトレジスタ4は、基板11上に形成されている。
【0084】
(制御回路9の構成)
制御回路9は、実施形態1における制御回路5または実施形態2における制御回路7である。
【0085】
〈放射線画像撮像装置103の効果〉
放射線画像撮像装置103において、シフトレジスタ4は、基板11上に形成されている。これにより、基板11上に、ピクセル2を構成するトランジスタと同じプロセスでシフトレジスタ4を形成することができる。これにより、
実施形態1または2のように、シフトレジスタ4を基板1の外部に、シリコン集積回路などの形態で設けなくてもよい。また、基板11とシフトレジスタ4との間に信号接続線を設ける必要もなくなる。したがって、放射線画像撮像装置103の製造コストを低減することができる。
【0086】
なお、ピクセル2のピッチが狭く、このような狭いピクセルピッチに対応した出力端子を有するシフトレジスタ4を基板11上に設けることが困難である場合には、実施形態1または2のように、シフトレジスタ4は基板1の外部に設けられることが好ましい。
【0087】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る放射線画像撮像装置は、入射した放射線の線量に応じた電気信号を発生させるセンサー素子107と、前記電気信号を出力する第1のスイッチング素子(読み出しトランジスタ117)と、初期化を行う第2のスイッチング素子(リセットトランジスタ115)とを有するピクセル2が、マトリックス状に配置された基板1,11と、各行の前記ピクセル2を順次選択する制御信号(読み出し信号Read1〜Read4)を出力する制御信号出力回路と、を備え、同一行の前記ピクセル2における前記第1のスイッチング素子を制御するために用いられる前記制御信号(読み出し信号Read1〜Read4)と、他の同一行の前記ピクセル2における前記第2のスイッチング素子を制御するために用いられる前記制御信号(リセット信号Reset1〜Reset4)とが同一である。
【0088】
上記の構成によれば、同一行のピクセルにおける第1のスイッチング素子が制御される電気信号の読み出し期間に、他の同一行のピクセルにおける第2のスイッチング素子を制御することで初期化を行うことができる。それゆえ、初期化期間を読み出し期間と異なる期間に設けることがない。したがって、短時間で撮像動作を繰り返すことができる。
【0089】
本発明の態様2に係る放射線画像撮像装置は、上記態様1において、前記第2のスイッチング素子に期間を限定して前記制御信号を与える制御期間限定回路(リセット信号生成回路6)をさらに備えていてもよい。
【0090】
上記の構成によれば、必要に応じて初期化を行う期間と行わない期間とを設けることができる。
【0091】
本発明の態様3に係る放射線画像撮像装置は、上記態様2において、前記制御期間限定回路が、同一行の各ピクセル2からの前記電気信号の出力が連続して2回行われた後に、前記第2のスイッチング素子に前記制御信号を与え、前記放射線画像撮像装置は、同一行の各ピクセルから連続して2回出力される前記電気信号の差をとる差分回路(CDS回路12)をさらに備えていてもよい。
【0092】
上記の構成によれば、短い読み出し期間でCDSの処理を行うことで、画像を生成することができる。
【0093】
本発明の態様4に係る放射線画像撮像装置は、上記態様1から3の何れかにおいて、前記制御信号出力回路が前記基板1の外部に形成されていてもよい。
【0094】
上記の構成は、例えば、ピクセルのピッチが狭く、このような狭いピクセルピッチに対応した出力端子を有する制御信号出力回路を基板に設けることが困難である場合に好適に用いることができる。
【0095】
本発明の態様5に係る放射線画像撮像装置は、上記態様1から3の何れかにおいて、前記制御信号出力回路が前記基板11に形成されていてもよい。
【0096】
上記構成によれば、制御信号出力回路を基板の外部に、例えば、シリコン集積回路などの形態で設けなくてもよい。また、基板と制御信号出力回路との間に信号接続線を設ける必要もなくなる。
【0097】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。