(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6776298
(24)【登録日】2020年10月9日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】信号発生装置および信号発生方法と誤り率測定装置および誤り率測定方法
(51)【国際特許分類】
H04L 1/00 20060101AFI20201019BHJP
H04L 25/02 20060101ALI20201019BHJP
H04L 25/49 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
H04L1/00 C
H04L25/02 302Z
H04L25/49 L
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-100379(P2018-100379)
(22)【出願日】2018年5月25日
(65)【公開番号】特開2019-205112(P2019-205112A)
(43)【公開日】2019年11月28日
【審査請求日】2019年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】岩井 達也
【審査官】
阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−220756(JP,A)
【文献】
特開2010−252022(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0324320(US,A1)
【文献】
平林 文人 Fumihito Hirabayashi,高安定・広帯域波長可変160Gbit/s RZ光信号発生器の基盤技術開発 Development of 160Gbit/s RZ Optical Signal Generator with High Stability and Wideband Tunability,電子情報通信学会2005年通信ソサイエティ大会講演論文集2 PROCEEDINGS OF THE 2005 IEICE COMMUNICATIONS SOCIETY CONFERENCE,日本,社団法人電子情報通信学会 THE INSTITUTE OF ELECTRONICS,INFORMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS,2005年 9月 7日,B-12-11,P. 342
【文献】
Samsung,LDPC Shift Coefficients Design for BG1[online],3GPP TSG RAN WG1 adhoc_NR_AH_1706 R1-1711627,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_AH/NR_AH_1706/Docs/R1-1711627.zip>,2017年 6月27日
【文献】
アンリツ株式会社,高速PAM信号の発生とBER測定,Application Note,日本,2018年 2月,URL,https://dl.cdn-anritsu.com/ja-jp/test-measurement/files/Application-Notes/Application-Note/mp1900a-pam-ber-jf1000.pdf
【文献】
アンリツ株式会社,58G/64GbaudマルチチャネルPAM4 BERT,Product Introduction,日本,2019年10月,URL,https://dl.cdn-anritsu.com/ja-jp/test-measurement/files/Product-Introductions/Product-Introduction/mp1900a-64g-jl1500.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 1/00
H04L 25/02
H04L 25/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PAM4信号を発生する信号発生装置(2)において、
最上位ビット列信号を生成する第1の信号生成手段(12)と、
前記最上位ビット列信号と足し合わせて前記PAM信号を発生するための最下位ビット列信号を生成する第2の信号生成手段(13)と、
エラー挿入を許可するビットとエラー挿入を禁止するビットとを異なるビット情報で定義し、前記PAM4信号の4つのPAM4シンボルの遷移先を示すシンボル遷移情報に基づいて前記最上位ビット列信号と前記最下位ビット列信号それぞれのマスクパターンを生成するマスク生成手段(14)と、
シンボルエラーレートに応じて指定される前記最上位ビット列信号と前記最下位ビット列信号それぞれの各ビットに対応する前記マスクパターンのビット情報に基づいてエラーを挿入するエラー挿入手段(15)とを備えたことを特徴とする信号発生装置。
【請求項2】
PAM4信号を発生する信号発生方法において、
最上位ビット列信号を生成するステップと、
前記最上位ビット列信号と足し合わせて前記PAM信号を発生するための最下位ビット列信号を生成するステップと、
エラー挿入を許可するビットとエラー挿入を禁止するビットとを異なるビット情報で定義し、前記PAM4信号の4つのPAM4シンボルの遷移先を示すシンボル遷移情報に基づいて前記最上位ビット列信号と前記最下位ビット列信号それぞれのマスクパターンを生成するステップと、
シンボルエラーレートに応じて指定される前記最上位ビット列信号と前記最下位ビット列信号それぞれの各ビットに対応する前記マスクパターンのビット情報に基づいてエラーを挿入するステップとを含むことを特徴とする信号発生方法。
【請求項3】
請求項1の信号発生装置(2)と、
被測定物(W)への前記信号発生装置が発生するPAM4信号の入力に伴う前記被測定物からの信号を受けて誤り率を測定する誤り測定器(3)とを備えたことを特徴とする誤り率測定装置。
【請求項4】
請求項2の信号発生方法にて発生したPAM4信号を被測定物(W)に入力するステップと、
前記被測定物への前記PAM4信号の入力に伴う前記被測定物からの信号を受けて誤り率を測定するステップとを含むことを特徴とする誤り率測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望のPAM4信号を発生する信号発生装置および信号発生方法と、PAM4信号をテスト信号として被測定物(DUT:Device Under Test )に入力してビット誤り率(BER:Bit Error Rate)を測定する誤り率測定装置および誤り率測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IEEEで定められる100Gや400Gなどの規格においては、ビットレートの超高速化に応えるため、これまでのPAM2(NRZ)信号による伝送ではなく、PAM4信号による伝送が規定されている。
【0003】
PAM4信号は、例えば、下記特許文献1に示すように、2つの信号源を用いて最上位ビット列信号MSBと最下位ビット列信号LSBを生成した後、これらの信号を足し合わせることで0(00)、1(01)、2(10)、3(11)の4値の信号として発生することができる。
【0004】
ところで、物理層における信号劣化などの影響によるビットエラーを模擬することを考えた場合、これまでのNRZ信号では値の遷移が0→1、もしくは1→0しかないため、単純に信号発生装置の最終段でビットを反転することでビットエラーを模擬することができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018−033098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、PAM4信号の場合には、最上位ビット列信号MSBと最下位ビット列信号LSBによる2つのビットが存在する。このため、4つのPAM4シンボル0(00)、1(01)、2(10)、3(11)を単純に最終段でビット反転を行うと、0(00)→3(11)、1(01)→2(10)、2(10)→1(01)、3(11)→0(00)になる。
【0007】
そして、信号劣化などの影響を模擬するという上記前提条件においては、PAM4シンボルの遷移は1シンボルであると考えられるが、4つのPAM4シンボルを単純に最終段でビット反転を行うと、0(00)→3(11)や3(11)→0(00)のようにシンボルの遷移が1シンボルとならない場合があり、通常では起こり得ないエラーが挿入されてしまうという問題があった。このため、指定のPAM4シンボルとなるようにエラー挿入を制御することができる信号発生装置の提供が望まれていた。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、指定のPAM4シンボルとなるようにエラー挿入を制御することができる信号発生装置および信号発生方法と、エラー挿入が制御されたPAM4信号により誤り率測定を行うことができる誤り率測定装置および誤り率測定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載された信号発生装置は、PAM4信号を発生する信号発生装置2において、
最上位ビット列信号を生成する第1の信号生成手段12と、
前記最上位ビット列信号と足し合わせて前記PAM信号を発生するための最下位ビット列信号を生成する第2の信号生成手段13と、
エラー挿入を許可するビットとエラー挿入を禁止するビットとを異なるビット情報で定義し、前記PAM4信号の4つのPAM4シンボルの遷移先を示すシンボル遷移情報に基づいて前記最上位ビット列信号と前記最下位ビット列信号それぞれのマスクパターンを生成するマスク生成手段14と、
シンボルエラーレートに応じて指定される前記最上位ビット列信号と前記最下位ビット列信号それぞれの各ビットに対応する前記マスクパターンのビット情報に基づいてエラーを挿入するエラー挿入手段15とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載された信号発生方法は、PAM4信号を発生する信号発生方法において、
最上位ビット列信号を生成するステップと、
前記最上位ビット列信号と足し合わせて前記PAM信号を発生するための最下位ビット列信号を生成するステップと、
エラー挿入を許可するビットとエラー挿入を禁止するビットとを異なるビット情報で定義し、前記PAM4信号の4つのPAM4シンボルの遷移先を示すシンボル遷移情報に基づいて前記最上位ビット列信号と前記最下位ビット列信号それぞれのマスクパターンを生成するステップと、
シンボルエラーレートに応じて指定される前記最上位ビット列信号と前記最下位ビット列信号それぞれの各ビットに対応する前記マスクパターンのビット情報に基づいてエラーを挿入するステップとを含むことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載された誤り率測定装置は、請求項1の信号発生装置2と、
被測定物Wへの前記信号発生装置が発生するPAM4信号の入力に伴う前記被測定物からの信号を受けて誤り率を測定する誤り測定器3とを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載された誤り率測定方法は、請求項2の信号発生方法にて発生したPAM4信号を被測定物(W)に入力するステップと、
前記被測定物への前記PAM4信号の入力に伴う前記被測定物からの信号を受けて誤り率を測定するステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、指定のPAM4シンボルとなるようにエラー挿入を制御することができ、物理層における信号劣化などの影響によるビットエラーの模擬にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る信号発生装置を含む誤り率測定装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明に係る誤り率測定装置の信号発生装置にてエラー挿入したPAM4信号を発生する場合のフローチャートである。
【
図3】(a),(b)本発明に係る信号発生装置におけるエラー挿入前後のPAM4信号の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1に示すように、本実施の形態の誤り率測定装置1は、信号発生装置2と誤り測定器3を備えて概略構成され、既知パターンのPAM4信号をテスト信号として被測定物(DUT:Device Under Test )に入力してビット誤り率(BER:Bit Error Rate)を測定するものである。
【0017】
信号発生装置2は、
図1に示すように、設定手段11、第1の信号生成手段12、第2の信号生成手段13、マスク生成手段14、エラー挿入手段15、信号合成手段16を備えて概略構成され、指定のPAM4シンボルとなるようにエラー挿入を制御してPAM4信号を発生する。
【0018】
設定手段11は、シンボルエラーレート、シンボル遷移情報の設定を行う。この設定は、例えば、不図示の表示手段の設定画面上でユーザインタフェースを介して行うことができる。
【0019】
シンボル遷移情報は、エラー挿入を行う際のPAM4信号の4つのPAMシンボルの各シンボルごとの遷移先を示す情報である。例えば、物理層における信号劣化などの影響によるビットエラーを模擬する場合には、シンボル0(00)→シンボル1(01)、シンボル1(01)→シンボル2(10)、シンボル2(10)→シンボル1(01)、シンボル3(11)→シンボル2(10)のように、PAM4シンボルが1シンボルだけ遷移するようにシンボル遷移情報を設定する。
【0020】
なお、シンボルエラーレートやシンボル遷移情報は、不図示の記憶手段に予め保存記憶しておき、設定手段11によりユーザインタフェースを介して適宜選択設定することもできる。また、シンボル遷移情報は、1シンボルのみの遷移に限定されず、任意に設定することができる。
【0021】
第1の信号生成手段12は、第2の信号生成手段13が生成する最下位ビット列信号LSBと足し合わせてPAM4信号を生成するための最上位ビット列信号MSBを生成する。
【0022】
第2の信号生成手段13は、第1の信号生成手段12が生成する最上位ビット列信号MSBと足し合わせてPAM4信号を生成するための最下位ビット列信号LSBを生成する。
【0023】
マスク生成手段14は、第1の信号生成手段12にて生成された最上位ビット列信号MSBと第2の信号生成手段13にて生成された最下位ビット列信号LSBの対応するビット同士を足し合わせてPAM4信号を生成する。
【0024】
また、マスク生成手段14は、エラー挿入を許可するビットとエラー挿入を禁止するビットとを異なるビット情報(0、1)で定義し、シンボル遷移情報に基づいて最上位ビット列信号MSBのマスクパターンと最下位ビット列信号LSBのマスクパターンとをビット情報(0、1)にてそれぞれ生成する。例えば、ビット情報として、エラー挿入を許可するビットを0、エラー挿入を禁止するビットを1と定義し、シンボル遷移情報に基づいて最上位ビット列信号MSBのマスクパターンと最下位ビット列信号LSBのマスクパターンを生成する。そして、マスク生成手段14は、最上位ビット列信号MSB、最下位ビット列信号LSB、最上位ビット列信号MSBおよび最下位ビット列信号LSBそれぞれのマスクパターンをエラー挿入手段15に出力する。
【0025】
エラー挿入手段15は、エラー挿入要求情報により指定される最上位ビット列信号MSBと最下位ビット列信号LSBそれぞれの各ビットに対応するマスクパターンのビット情報を確認し、マスクパターンのビット情報がエラー挿入を許可するときに、そのビットにエラーを挿入する。
【0026】
なお、エラー挿入要求情報は、設定手段11にて設定されるシンボルエラーレートに応じて決まるもので、入力から何番目のビットにエラー挿入するか、エラー挿入を要求するビットを指定する情報である。
【0027】
信号合成手段16は、エラー挿入手段15によるエラー挿入後の最上位ビット列信号MSBと最下位ビット列信号LSBとを足し合わせてPAM4信号を出力する。このPAM4信号は、被測定物Wの誤り率を測定する際、既知パターンのテスト信号として被測定物Wに入力される。
【0028】
誤り測定器3は、信号発生装置2から既知パターンのテスト信号としてPAM4信号が被測定物Wに入力されると、このPAM4信号の入力に伴う被測定物Wからの信号を受けて誤り率を測定する。
【0029】
次に、上記のように構成される誤り率測定装置1の信号発生装置2において、指定のPAM4シンボルとなるようにエラー挿入を制御してPAM信号を発生する方法として、入力から3番目と6番目のビットにエラーを挿入してPAM4信号を発生する場合を例にとって説明する。
【0030】
なお、マスクパターンを生成する際のビット情報は、エラー挿入を許可するビットを「0」、エラー挿入を禁止するビットを「1」と定義する。
【0031】
まず、設定手段11にてシンボル遷移情報を設定する。例えば、シンボル0(00)→シンボル1(01)、シンボル1(01)→シンボル2(10)、シンボル2(10)→シンボル1(01)、シンボル3(11)→シンボル2(10)のように、1シンボルだけPAM4シンボルが遷移するようにシンボル遷移情報を設定する。
【0032】
また、設定手段11にてシンボルエラーレート(例えば1×10
-5)を設定する。例えば、入力から3番目と6番目のビット(右から3番目と6番目のビット)がエラー挿入を要求するビットとして指定されるようにシンボルエラーレートを設定する。
【0033】
以上の設定を終え、PAM信号を発生する場合には、第1の信号生成手段12が最上位ビット列信号MSBを生成し、第2の信号生成手段13が最下位ビット列信号LSBを生成する(ST1)。
【0034】
図1の例では、第1の信号生成手段12が「00202202」を最上位ビット列信号MSBとして生成する。また、第2の信号生成手段13が「10111000」を最下位ビット列信号LSBとして生成する。
【0035】
次に、マスク生成手段14では、第1の信号生成手段12にて生成された最上位ビット列信号MSBと第2の信号生成手段13にて生成された最下位ビット列信号LSBにおいて、対応するビット同士を足し合わせてPAM4信号を生成する(ST2)。
【0036】
図1の例では、最上位ビット列信号MSBが「00202202」、最下位ビット列信号LSBが「10111000」なので、
図3(a)に示すように、「10313202」をPAM4信号として生成する。
【0037】
また、マスク生成手段14は、シンボル遷移情報に基づいて最上位ビット列信号MSBのマスクパターンと最下位ビット列信号LSBのマスクパターンとをそれぞれ生成する(ST3)。
【0038】
例えば、
図1において、PAM4信号「10313202」の入力から3番目のビット(右から3番目のビット)に着目すると、PAM4シンボルがシンボル2(10)である。そして、シンボル遷移情報がシンボル2(10)→シンボル1(01)なので、シンボル2(10)をシンボル1(01)に遷移させるには、最上位ビット列信号MSBと最下位ビット列信号LSBの3番目のビットにエラー挿入する必要がある。このため、最上位ビット列信号MSBのマスクパターンと最下位ビット列信号LSBのマスクパターンの3番目のビットは、両方ともエラー挿入を許可する情報「0」となる。
【0039】
また、
図1において、PAM4信号「10313202」の入力から6番目のビット(右から6番目のビット)に着目すると、PAM4シンボルがシンボル3(11)である。そして、シンボル遷移情報がシンボル3(11)→シンボル2(10)なので、シンボル3(11)をシンボル2(01)に遷移させるには、最上位ビット列信号MSBの6番目のビットはエラー挿入せず、最下位ビット列信号LSBの6番目のビットにエラー挿入する必要がある。このため、最上位ビット列信号MSBのマスクパターンの6番目のビットは、エラー挿入を禁止する情報「1」となり、最下位ビット列信号LSBのマスクパターンの6番目のビットは、エラー挿入を許可する情報「0」となる。
【0040】
そして、
図1の例では、PAM4シンボルが1シンボルだけ遷移するように設定されたシンボル遷移情報に基づいて最上位ビット列信号MSBのマスクパターンが「01101010」、最下位ビット列信号LSBのマスクパターンが「00000000」として生成される。
【0041】
次に、エラー挿入手段15では、エラー挿入要求情報により指定される最上位ビット列信号MSBと最下位ビット列信号LSBそれぞれの各ビットに対応するマスクパターンのビット情報を確認する。そして、マスクパターンのビット情報がエラー挿入を許可する情報であれば、そのビットにエラーを挿入する(ST4)。
【0042】
図1の例では、エラー挿入要求情報により指定されるビットが3番目と6番目なので、最上位ビット列信号MSBと最下位ビット列信号それぞれのマスクパターンの3番目と6番目のビット情報を確認する。そして、最上位ビット列信号MSBについては、マスクパターンの3番目のビット情報がエラー挿入を許可する情報「0」なので、3番目のビットにエラーを挿入する。また、最下位ビット列信号LSBについては、マスクパターンの3番目と6番目のビット情報がエラー挿入を許可する情報「0」なので、3番目と6番目のビットにエラーを挿入する。
【0043】
次に、信号合成手段16は、エラー挿入手段15にてエラー挿入されると、最上位ビット列信号MSBと最下位ビット列信号LSBの対応するビット同士を足し合わせてPAM4信号を出力する(ST5)。
【0044】
図1の例では、エラー挿入後の最上位ビット列信号MSBが「00202002」、最下位ビット列信号LSBが「10011100」なので、
図3(b)に示すように、「10213102」をエラー挿入後のPAM4信号として出力する。
【0045】
そして、上記のようにして信号発生装置2から発生するPAM4信号は、誤り率を測定する際のテスト信号として被測定物Wに入力される。誤り測定器3は、PAM4信号が被測定物Wに入力されると、被測定物WへのPAM4信号の入力に伴う被測定物Wからの信号を受けて誤り率を測定する。
【0046】
ところで、上述した実施の形態では、エラー挿入の許可と禁止を示すビット情報として、エラー挿入を許可するビットを0、エラー挿入を禁止するビットを1と定義してマスクパターンを生成しているが、定義を逆転させてもよい。すなわち、エラー挿入を許可するビットを1、エラー挿入を禁止するビットを0と定義してマスクパターンを生成することもできる。
【0047】
このように、本実施の形態によれば、任意のPAM4シンボルにエラーを挿入した際に、指定のPAM4シンボルとなるようにエラー挿入を制御することができる。これにより、物理層における信号劣化などの影響によるビットエラーの模擬やエラー耐性の試験にも対応することができる。
【0048】
以上、本発明に係る信号発生装置および信号発生方法と誤り率測定装置および誤り率測定方法の最良の形態について説明したが、この形態による記述及び図面により本発明が限定されることはない。すなわち、この形態に基づいて当業者等によりなされる他の形態、実施例及び運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0049】
1 誤り率測定装置
2 信号発生装置
3 誤り測定器
11 設定手段
12 第1の信号生成手段
13 第2の信号生成手段
14 マスク生成手段
15 エラー挿入手段
16 信号合成手段
W DUT(被測定物)