(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6776377
(24)【登録日】2020年10月9日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】ロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機及びそれを備えるエアコンシステム
(51)【国際特許分類】
F04C 29/04 20060101AFI20201019BHJP
F04C 23/00 20060101ALI20201019BHJP
F04C 29/00 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
F04C29/04 M
F04C23/00 E
F04C29/00 C
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-567305(P2018-567305)
(86)(22)【出願日】2017年2月9日
(65)【公表番号】特表2019-519722(P2019-519722A)
(43)【公表日】2019年7月11日
(86)【国際出願番号】CN2017073159
(87)【国際公開番号】WO2018000819
(87)【国際公開日】20180104
【審査請求日】2019年2月4日
(31)【優先権主張番号】201610509297.3
(32)【優先日】2016年6月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514027919
【氏名又は名称】グリー グリーン リフリジレーション テクノロジー センター カンパニー リミテッド オブ ズーハイ
【氏名又は名称原語表記】GREE GREEN REFRIGERATION TECHNOLOGY CENTER CO., LTD. OF ZHUHAI
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄 輝
(72)【発明者】
【氏名】胡 余生
(72)【発明者】
【氏名】孔 令超
(72)【発明者】
【氏名】杜 忠誠
(72)【発明者】
【氏名】楊 森
(72)【発明者】
【氏名】徐 嘉
(72)【発明者】
【氏名】任 麗萍
【審査官】
冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第103629112(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第105570128(CN,A)
【文献】
実開昭55−167592(JP,U)
【文献】
特開平11−125191(JP,A)
【文献】
特開2013−029059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 29/04
F04C 23/00
F04C 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリーシリンダ・ピストン式二段圧縮機からなるロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機であって、1段目ロータリーシリンダ(1)、第1のシリンダジャケット(2)、第1のピストン(3)、並びに、2段目ロータリーシリンダ(4)、第2のシリンダジャケット(5)、第2のピストン(6)、前記1段目ロータリーシリンダ(1)と前記2段目ロータリーシリンダ(4)との間に接続され、両段の間への気体供給によりエンタルピーを増加させるエンタルピー増加アセンブリ(7)、前記第1のシリンダジャケット(2)と前記第2のシリンダジャケット(5)との間に設けられる上仕切板(81)と下仕切板(82)を備え、
前記下仕切板(82)の内孔と外円との間に一定形状の凹溝が2つ設けられ、前記上仕切板(81)に合わせて、第1中間チャンバー(1201)及び1段目シリンダ吸気チャンバー(11)をそれぞれ形成し、
前記外円の一方側に、前記1段目シリンダ吸気チャンバー(11)と連通する下仕切板吸気ポート(21)が設けられ、他方側に、前記第1中間チャンバー(1201)と連通する下仕切板気体供給ポート(101)が設けられ、
前記下仕切板(82)の端面の一方側に、下シリンダ吸気ポート(1b)となる傾斜した切欠き口が設けられ、前記下シリンダ吸気ポート(1b)が前記1段目シリンダ吸気チャンバー(11)と連通し、かつ、前記1段目シリンダ吸気チャンバー(11)の吸気位置に対応する位置に、上仕切板吸気ポート(41)と対向して配置され、前記下仕切板(82)の端面の他方側に、排気溝となる凹溝が設けられ、
前記排気溝の近傍に下シリンダ排気ポート(1a)が設けられ、前記下シリンダ排気ポート(1a)は前記1段目シリンダ吸気チャンバー(11)の排気位置に対応し、前記下シリンダ排気ポート(1a)に排気バルブとバルブプレート遮断板が取り付けられていることを特徴とするロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機。
【請求項2】
前記エンタルピー増加アセンブリ(7)は、前記圧縮機の外部に設けられるエンタルピー増加部材(71)と、前記エンタルピー増加部材(71)を前記圧縮機の内部に接続させるエンタルピー増加パイプ(72)とを備えることを特徴とする請求項1に記載するロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機。
【請求項3】
前記上仕切板(81)の一方の面は、前記2段目ロータリーシリンダ(4)、前記第2のピストン(6)、前記第1のシリンダジャケット(5)に合わせ、他方の面は、前記下仕切板(82)に合わせ、
前記上仕切板(81)に、ある角度を有する上仕切板吸気ポート(41)が設けられ、前記上仕切板吸気ポート(41)は前記下仕切板(82)の前記1段目シリンダ吸気チャンバー(11)と連通し、且つ前記2段目ロータリーシリンダ(4)の吸気位置に対応することを特徴とする請求項1または請求項2に記載するロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機。
【請求項4】
前記排気バルブと前記バルブプレート遮断板は、バルブ用ねじによって前記下シリンダ排気ポート(1a)の溝内に固定され、前記バルブプレート遮断板が前記下シリンダ排気ポート(1a)を覆うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載するロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機。
【請求項5】
前記下仕切板(82)に、冷媒流入路(9)と気体供給通路(10)が設けられ、前記エンタルピー増加パイプ(72)は、前記下仕切板気体供給ポート(101)を介して、前記気体供給通路(10)と連通することを特徴とする請求項2に記載するロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機。
【請求項6】
前記1段目シリンダ吸気チャンバー(11)は、前記下仕切板吸気ポート(21)を介して、前記冷媒流入路(9)と連通し、前記第1中間チャンバー(1201)は前記気体供給通路(10)、及び前記1段目ロータリーシリンダ(1)の排気端とそれぞれ連通することを特徴とする請求項5に記載するロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機。
【請求項7】
ロータリーシリンダ・ピストン式二段圧縮機からなるロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機であって、1段目ロータリーシリンダ(1)、第1のシリンダジャケット(2)、第1のピストン(3)、並びに、2段目ロータリーシリンダ(4)、第2のシリンダジャケット(5)、第2のピストン(6)、前記1段目ロータリーシリンダ(1)と前記2段目ロータリーシリンダ(4)との間に接続され、両段の間への気体供給によりエンタルピーを増加させるエンタルピー増加アセンブリ(7)、前記第1のシリンダジャケット(2)と前記第2のシリンダジャケット(5)との間に設けられる上仕切板(81)と下仕切板(82)を備え、
前記下仕切板(82)は、内孔と外円との間に一定形状の凹溝が設けられ、前記上仕切板(81)に合わせて、第1中間チャンバー(1201)を形成し、
前記外円において径方向に、前記第1中間チャンバー(1201)と連通する下仕切板気体供給ポート(101)が設けられ、
前記下仕切板(82)の端面に排気溝となるもう一つの凹溝が設けられ、
前記排気溝の近傍に下シリンダ排気ポート(1a)が設けられ、前記下シリンダ排気ポート(1a)は1段目シリンダ吸気チャンバー(11)の排気位置に対応し、前記下シリンダ排気ポート(1a)に排気バルブとバルブプレート遮断板が取り付けられ、
前記圧縮機は下フランジ(13)を備え、前記下フランジ(13)の径方向に、一つの下フランジ吸気ポート(131)が追加して設けられ、前記下フランジ吸気ポート(131)の外円の径がハウジングの内径と同じであり、前記下フランジ(13)の端面に、径方向において前記下フランジ吸気ポート(131)と連通する下フランジ吸気ポート窪み溝(133)が設けられていることを特徴とするロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機。
【請求項8】
前記エンタルピー増加アセンブリ(7)は、前記圧縮機の外部に設けられるエンタルピー増加部材(71)と、前記エンタルピー増加部材(71)を前記圧縮機の内部に接続させるエンタルピー増加パイプ(72)とを備えることを特徴とする請求項7に記載するロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機。
【請求項9】
前記下仕切板(82)に気体供給通路(10)が設けられ、前記エンタルピー増加パイプ(72)は、前記下仕切板気体供給ポート(101)を介して前記気体供給通路(10)と連通し、前記圧縮機は更に液体分離器(20)を備え、且つ前記下フランジ(13)に冷媒流入路(9)が設けられ、前記液体分離器(20)は、前記下フランジ吸気ポート(131)を介して前記冷媒流入路(9)と連通していることを特徴とする請求項8に記載するロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機。
【請求項10】
前記冷媒流入路(9)は前記1段目ロータリーシリンダ(1)の吸気端と連通し、前記第1中間チャンバー(1201)は前記気体供給通路(10)、及び前記1段目ロータリーシリンダ(1)の排気端とそれぞれ連通することを特徴とする請求項9に記載するロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機。
【請求項11】
ロータリーシリンダ・ピストン式二段圧縮機からなるロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機であって、1段目ロータリーシリンダ(1)、第1のシリンダジャケット(2)、第1のピストン(3)、並びに、2段目ロータリーシリンダ(4)、第2のシリンダジャケット(5)、第2のピストン(6)、前記1段目ロータリーシリンダ(1)と前記2段目ロータリーシリンダ(4)との間に接続され、両段の間への気体供給によりエンタルピーを増加させるエンタルピー増加アセンブリ(7)、前記第1のシリンダジャケット(2)と前記第2のシリンダジャケット(5)との間に設けられる中間仕切板(83)、上フランジ(14)、下フランジ(13)、及び下カバー(15)を備え、
前記上フランジ(14)の端面は、2つの窪み溝が上フランジ吸気ポート(142)及び流通路(16)となるようにそれぞれ形成され、径方向において前記上フランジ吸気ポート(142)及び前記流通路(16)と連通している上フランジ気体供給ポート(1401)が設けられ、
前記下フランジ(13)の径方向に、下フランジ吸気ポート(131)が追加し設けられ、前記下フランジ吸気ポート(131)の外円の径がハウジングの内径と同じであり、前記下フランジ(13)の端面に、下フランジ吸気ポート窪み溝(133)及び下フランジ排気ポート窪み溝(132)が設けられ、前記下フランジ吸気ポート窪み溝(133)が前記下フランジ吸気ポート(131)と連通し、前記下フランジ排気ポート窪み溝(132)の近傍に排気ポートが設けられ、前記下フランジ(13)の上端面に、前記排気ポートと連通し、前記下カバー(15)との間に第2中間チャンバー(1202)を形成する凹溝が設けられ、前記第2中間チャンバー(1202)の辺縁には、前記第2中間チャンバー(1202)の気体流通路(121)となるカシューナッツ形孔が設けられ、前記第2のシリンダジャケット(5)、前記中間仕切板(83)、及び前記第1のシリンダジャケット(2)の流通路と連通していることを特徴とするロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機。
【請求項12】
前記エンタルピー増加アセンブリ(7)は、前記圧縮機の外部に設けられるエンタルピー増加部材(71)と、前記エンタルピー増加部材(71)を前記圧縮機の内部に接続させるエンタルピー増加パイプ(72)とを備えることを特徴とする請求項11に記載するロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機。
【請求項13】
前記下フランジ(13)に冷媒流入路(9)が設けられ、前記上フランジ(14)に気体供給通路(10)が設けられ、前記エンタルピー増加パイプ(72)は前記気体供給通路(10)と連通することを特徴とする請求項12に記載するロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機。
【請求項14】
前記冷媒流入路(9)は前記1段目ロータリーシリンダ(1)の吸気端と連通し、前記第1のシリンダジャケット(2)、前記第2のシリンダジャケット(5)、及び前記中間仕切板(83)に、共通の流通路(16)が連通するように形成されており、前記流通路(16)の一端が前記第2中間チャンバー(1202)と連通すると共に、他端が前記上フランジ(14)における気体供給通路(10)と連通することを特徴とする請求項13に記載するロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14のいずれか1つに記載するロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機を備えることを特徴とするエアコンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧縮機の技術分野に属し、具体的には、ロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機及びそれを備えるエアコンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術では、一般的な圧縮機は、冷媒が1回圧縮されてエアコンシステムに入るものであったので、低温での冷房能力や高温での暖房能力が低かった。
【0003】
二段圧縮によるエンタルピー増加技術はエアコンシステムと熱ポンプシステムにおいて既にある程度適用されており、ローリングロータ式圧縮機において既に実現されており、また、ロータリーシリンダ圧縮機が先行して提案されているが、ロータリーシリンダ・ピストン式圧縮機には関連構造がない。
【0004】
従来の技術のロータリーシリンダ・ピストン式圧縮機及びエアコンシステムは、冷房能力や暖房能力が低下したり、システムの効率比と信頼性が低下するという技術的問題が存在する。このため、本発明は、ロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機及びそれを備えるエアコンシステムを検討して設計する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明が解決しようとする課題は、従来の技術におけるロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機の能率低下という欠陥を解消し、ロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機及びそれを備えるエアコンシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ロータリーシリンダ・ピストン式二段圧縮機からなるロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機であって、1段目ロータリーシリンダ、第1のシリンダジャケット、第1のピストン、並びに、2段目ロータリーシリンダ、第2のシリンダジャケット、 第2のピストンを備え、前記1段目ロータリーシリンダと前記2段目ロータリーシリンダとの間に接続され、両段の間への気体供給によりエンタルピーを増加させるエンタルピー増加アセンブリを更に備えるロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機を提供する。
【0007】
好ましくは、前記エンタルピー増加アセンブリは、前記圧縮機の外部に設けられるエンタルピー増加部材と、前記エンタルピー増加部材を前記圧縮機の内部に接続させるエンタルピー増加パイプとを備える。
【0008】
好ましくは、前記第1のシリンダジャケットと前記第2のシリンダジャケットとの間に設けられる仕切板を更に備える。好ましくは、前記仕切板は上仕切板と下仕切板を含む。
【0009】
好ましくは、前記下仕切板に、冷媒流入路と気体供給通路が設けられ、前記エンタルピー増加パイプは前記気体供給通路と連通する。
【0010】
好ましくは、前記下仕切板に凹溝が設けられ、前記凹溝と前記上仕切板との間に、1段目シリンダの吸気チャンバーと
第1中間チャンバーが形成されている。
【0011】
好ましくは、前記1段目シリンダの吸気チャンバーは前記冷媒流入路と連通し、前記
第1中間チャンバーは前記気体供給通路、及び前記1段目ロータリーシリンダの排気端とそれぞれ連通する。
【0012】
好ましくは、前記下仕切板に気体供給通路が設けられ、前記エンタルピー増加パイプは前記気体供給通路と連通し、前記圧縮機は更に下フランジを備え、且つ前記下フランジに冷媒流入路が設けられている。
【0013】
好ましくは、前記下仕切板に凹溝が設けられ、前記凹溝と前記上仕切板との間に
第1中間チャンバーが形成されている。
【0014】
好ましくは、前記冷媒流入路は前記1段目ロータリーシリンダの吸気端と連通し、前記
第1中間チャンバーは前記気体供給通路、及び前記1段目ロータリーシリンダの排気端とそれぞれ連通する。
【0015】
好ましくは、前記仕切板は中間仕切板を含み、前記圧縮機は更に上フランジと下フランジとを備え、且つ前記下フランジに冷媒流入路が設けられ、前記上フランジに気体供給通路が設けられ、前記エンタルピー増加パイプは前記気体供給通路と連通する。
【0016】
好ましくは、前記圧縮機は更に下カバーを備え、前記下フランジと前記下カバーとの間に
第2中間チャンバーが形成されている。
【0017】
好ましくは、前記冷媒流入路は前記1段目ロータリーシリンダの吸気端と連通し、前記第1のシリンダジャケット、前記第2のシリンダジャケット及び前記中間仕切板に、共通の流通路が連通するように形成されており、前記流通路の一端が前記
第2中間チャンバーと連通すると共に、他端が前記上フランジにおける気体供給通路と連通する。
【0018】
本発明は更に、前記ロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機を備えるエアコンシステムを提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明により提供されるロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機及びそれを備えるエアコンシステムは次の有益な効果を有する。即ち、本発明のロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機によれば、ロータリーシリンダ・ピストン式二段圧縮機を採用すること、及び両段の間にエンタルピー増加アセンブリを設ける構成により、ロータリーシリンダ・ピストン式圧縮機及びそれを備えるエアコンシステムにエンタルピー増加の作用を持たせて、システムにおける冷媒のエンタルピーの値を増加させ、冷房能力や暖房能力を向上させることにより、システムの効率比が高くなり、信頼性も高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施例1に係るロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機の組み立て構造を示す図である。
【
図2】本発明の実施例1に係るロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機のポンプアセンブリの分解構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施例1に係るロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機のポンプアセンブリの組立後の構成を示す図であり、その内、
図3(a)はポンプアセンブリの構成を示す斜視図であり、
図3(b)はポンプアセンブリの正面断面を示す図であり、
図3(c)は側面縦断面を示す図であり、
図3(d)は上シリンダの平面横断面を示す図であり、
図3(e)は
下シリンダの平面横断面を示す図である。
【
図4】本発明の実施例1に係るロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機の上仕切板の構成を示す図であり、その内、
図4(a)は上仕切板の斜視図であり、
図4(b)はその平面図であり、
図4(c)は
図4(b)のB−B矢視図である。
【
図5】本発明の実施例1に係るロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機の下仕切板の構成を示す図であり、その内、
図5(a)は下仕切板の斜視図であり、
図5(b)はその平面図であり、
図5(c)は
図5(b)のA−A矢視図であり、
図5(d)は
図5(a)の底面図である。
【
図6】本発明の実施例2に係るロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機の組み立て構造を示す図である。
【
図7】本発明の実施例2に係るロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機のポンプアセンブリの分解構成を示す図である。
【
図8】本発明の実施例2に係るロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機のポンプアセンブリの組立後の構成を示す図であり、その内、
図8(a)はポンプアセンブリの構成を示す斜視図であり、
図8(b)はポンプアセンブリの正面縦断面を示す図である。
【
図9】本発明の実施例2に係るロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機の上フランジの構成を示す図であり、その内、
図9(a)は上フランジの斜視図であり、
図9(b)はその平面図であり、
図9(c)は
図9(b)のC−C矢視図であり、
図9(d)は
図9(a)の底面図である。
【
図10】本発明の実施例2に係るロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機の下フランジの構成を示す図であり、その内、
図10(a)は下フランジの斜視図であり、
図10(b)はその平面図であり、
図10(c)は
図10(b)のD-D矢視図であり、
図10(d)は
図10(a)の底面図である。
【
図11】本発明の実施例2に係るロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機の上シリンダジャケットの構成を示す図であり、その内、
図11(a)は上シリンダジャケットの斜視図であり、
図11(b)はその平面図である。
【
図12】本発明の実施例2に係るロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機の下シリンダジャケットの構成を示す図であり、その内、
図12(a)は下シリンダジャケットの斜視図であり、図
12(b)はその平面図である。
【
図13】本発明の実施例2に係るロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機の中間仕切板の構成を示す図であり、その内、
図13(a)は中間仕切板の斜視図であり、
図13(b)はその平面図である。
【
図14】本発明の実施例2に係るロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機の下カバーの構成を示す図であり、その内、
図14(a)は下カバーの斜視図であり、
図14(b)はその平面図である。
【
図15】本発明の実施例3に係るロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機の組み立て構造を示す図である。
【
図16】本発明の実施例3に係るロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機的ポンプアセンブリの分解構成を示す図である。
【
図17】本発明の実施例3に係るロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機的ポンプアセンブリ組立後の構成を示す図である。
【
図18】本発明の実施例3に係るロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機の下フランジの構成を示す図であり、その内、
図18(a)は下フランジの斜視図であり、
図18(b)はその平面図であり、
図18(c)は図
18(b)のE−E矢視図であり、図
18(d)は図
18(a)の底面図である。
【
図19】本発明の実施例3に係るロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機の下仕切板の構成を示す図であり、その内、
図19(a)は下仕切板の斜視図であり、
図19(b)はその平面図であり、
図19(c)は
図19(b)のF−F矢視図であり、
図19(d)は
図19(a)の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜19に示すように、本発明はロータリーシリンダ・ピストン式二段圧縮機からなるロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機であって、1段目ロータリーシリンダ1、第1のシリンダジャケット2、第1のピストン3、並びに、2段目ロータリーシリンダ4、第2のシリンダジャケット5、第2のピストン6を備え、前記1段目ロータリーシリンダ1と前記2段目ロータリーシリンダ4との間に接続され、両段の間への気体供給によりエンタルピーを増加させるエンタルピー増加アセンブリ7を更に備えるロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機を提供する。本発明のロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機によれば、ロータリーシリンダ・ピストン式二段圧縮機を採用すること、及び両段の間にエンタルピー増加アセンブリを設ける構成で、ロータリーシリンダ・ピストン式圧縮機及びそれを備えるエアコンシステムにエンタルピー増加の作用を持たせて、システムにおける冷媒のエンタルピーの値を増加させ、冷房能力や暖房能力を向上させることで、システムの効率比が高くなり、信頼性も高くなる。
【0022】
好ましくは、前記エンタルピー増加アセンブリ7は、前記圧縮機の外部に設けられるエンタルピー増加部材71と、前記エンタルピー増加部材71を前記圧縮機の内部に接続させるエンタルピー増加パイプ72とを備える。エンタルピー増加アセンブリはエンタルピー増加部材と、それと連通するエンタルピー増加パイプを備えることにより、エンタルピー増加部材で、エンタルピー増加パイプを介して圧縮機に中圧の冷媒を輸送して、気体を供給することによりエンタルピーを増加させる作用と効果を達成することができる。
【0023】
好ましくは、前記第1のシリンダジャケット2と前記第2のシリンダジャケット5との間に設けられる仕切板を更に備える。第1のシリンダジャケットと第2のシリンダジャケットとの間に仕切板を配置することで、両シリンダジャケット同士を離間・遮断させる作用を効果的に果たすことができ、同時に運動による干渉などの影響を生じさせず、振動と騒音を効果的に低減する。また、仕切板では、気体供給通路や低圧吸気通路を配置するための条件を構造面から提供することができる。
【0024】
好ましくは、前記仕切板は上仕切板81と下仕切板82を含む。仕切板を上下仕切板に分けて設置することで、上仕切板で上側のシリンダジャケットを離間・遮断すると共に、下仕切板で下側のシリンダジャケットを離間・遮断する。両仕切板の遮断作用により、運転中の両シリンダをより一層効果的に離間して、両板が相互に影響を与えることを防止することができる。そして、上、下仕切板によって、気体供給通路や低圧吸気通路を配置するための構造条件を提供することができる。
【0025】
好ましくは、前記下仕切板82に、冷媒流入路9と気体供給通路10が設けられ、前記エンタルピー増加パイプ72は前記気体供給通路10と連通する。これは本発明の実施例1の具体的な実施形態であり、下仕切板に冷媒流入路と気体供給通路を設置すると共に、エンタルピー増加パイプを気体供給通路と連通させることによって、下仕切板から外部の低圧高温の冷媒を圧縮機内へ導いて圧縮すると共に、下仕切板から中圧の冷媒を圧縮機内に導いて気体供給によるエンタルピー増加の作用を実現することができ、圧縮機及びエアコンシステムの冷房能力や暖房能力と効率を向上することができる。
【0026】
好ましくは、前記下仕切板82に凹溝が設けられ、当該凹溝と前記上仕切板81との間に1段目シリン
ダ吸気チャンバー11(即ち、下シリン
ダ吸気チャンバー)と第1中間チャンバー1201が形成されている。下仕切板に凹溝を設けることで、凹溝と上仕切板との間に上記の1段目
シリンダ吸気チャンバー
11と
第1中間チャンバー
1201を形成することができ、圧縮機の低圧吸気保存と中圧気体供給のための条件を提供することができる。
【0027】
好ましくは、前記1段目シリン
ダ吸気チャンバー11は前記冷媒流入路9と連通し、前記第1中間チャンバー1201は前記気体供給通路10、及び前記1段目ロータリーシリンダ1の排気端とそれぞれ連通する。1段目シリン
ダ吸気チャンバー
11が冷媒流入路
9と連通することで、外部から冷媒流入路
9を介して圧縮機に進入した低圧低温の冷媒を1段目シリン
ダ吸気チャンバー
11の中に保存することができ、1段目
ロータリーシリンダ
1に更に送って圧縮するための条件を提供できる。
第1中間チャンバー
1201は気体供給通路
10と1段目ロータリーシリンダ
1の排気端とそれぞれ連通することで、1段目ロータリーシリンダ
1の排気端から排出された冷媒を、
第1中間チャンバー
1201の中で気体供給通路
10からの冷媒に混合させながら保存することができ、中圧気体供給混合の作用を果たし、2段目の圧縮に移行するための条件を提供する。
【0028】
好ましくは、前記下仕切板82に気体供給通路10が設けられ、前記エンタルピー増加パイプ72は前記気体供給通路10と連通し、前記圧縮機は更に下フランジ13を備え、且つ前記下フランジ13に冷媒流入路9が設けられている。これは本発明の実施例
3の具体的な実施形態であり、下仕切板に気体供給通路を設置すると共に、エンタルピー増加パイプ
72を気体供給通路
10と連通させることによって、下仕切板
82から中圧の冷媒を圧縮機の中に導いて気体供給によるエンタルピー増加の作用を実現することができ、圧縮機及びエアコンシステムの冷房能力や暖房能力と効率を向上することができる。また、下フランジ
13に冷媒流入路を設置することによって、下フランジ
13から外部の低圧高温の冷媒を圧縮機の中に導いて圧縮することができる。
【0029】
好ましくは、前記下仕切板82に凹溝が設けられており、前記凹溝と前記上仕切板81との間に第1中間チャンバー1201が形成されている。下仕切板
82に凹溝が開設されることによって、凹溝と上仕切板
81の間に上記の1段目
シリンダ吸気チャンバー
11と
第1中間チャンバー
1201を形成することができ、圧縮機の低圧吸気保存と中圧気体供給のための条件を提供することができる。
【0030】
好ましくは、前記冷媒流入路9は前記1段目ロータリーシリンダ1の吸気端と連通し、前記第1中間チャンバー1201は前記気体供給通路10、及び前記1段目ロータリーシリンダ1の排気端とそれぞれ連通する。1段目シリンダの吸気チャンバーが冷媒流入路と連通することで、外部から冷媒流入路を介して圧縮機に進入した低圧低温の冷媒を1段目シリンダに送って圧縮することができ、
第1中間チャンバー
1201を気体供給通路
10と1段目ロータリーシリンダ
1の排気端とそれぞれ連通することで、1段目ロータリーシリンダ
1の排気端から排出された冷媒を、
第1中間チャンバー
1201の中で気体供給通路
10からの冷媒に混合させながら保存することができ、中圧気体供給混合の作用を果たし、2段目の圧縮に移行するための条件を提供できる。
【0031】
好ましくは、前記仕切板は中間仕切板83を含み、前記圧縮機は更に上フランジ14と下フランジ13とを備え、且つ前記
下フランジ13に冷媒流入路9が設けられ、前記上フランジ14に気体供給通路10が設けられ、前記エンタルピー増加パイプ72は前記気体供給通路10と連通する。これは本発明の実施例
2の具体的な実施形態であり、上フランジ
14に気体供給通路
10を設置すると共に、エンタルピー増加パイプ
72を気体供給通路
10と連通させることによって、上フランジ
14から中圧の冷媒を圧縮機の中に導いて気体供給によるエンタルピー増加の作用を実現することができ、圧縮機及びエアコンシステムの冷房能力や暖房能力と効率を向上することができる。また、下フランジ
13に冷媒流入路
9を設置することによって、下フランジ
13から外部の低圧高温の冷媒を圧縮機の中に導いて圧縮することができる。
【0032】
好ましくは、前記圧縮機は更に下カバー15を備え、前記下フランジ13に
凹溝が設けられ、前記
凹溝と前記下カバー15との間に第2中間チャンバー1202が形成されている。下フランジ
13に
凹溝が開設されることによって、
凹溝と下カバー
15との間に上記の1段目
シリンダ吸気チャンバー
11と
第2中間チャンバー
1202を形成することができ、圧縮機の低圧吸気保存と中圧気体供給のための条件を提供することができる。
【0033】
好ましくは、前記冷媒流入路9は前記1段目ロータリーシリンダ1の吸気端と連通し、前記第1のシリンダジャケット2、前記第2のシリンダジャケット5、及び前記中間仕切板83に、共通の流通路16が連通するように形成されており、前記流通路16の一端が前記第
1中間チャンバー
1201と連通すると共に、他端が前記上フランジ14における気体供給通路10と連通する。1段目シリンダの吸気端を冷媒流入路と連通させることで、外部から冷媒流入路を介して圧縮機に進入した低圧低温の冷媒を1段目シリンダに送って圧縮することができ、第1のシリンダジャケット、前記第2のシリンダジャケットと前記中間仕切板に共通の流通路が連通するように形成され、当該流通路の一端が前記
第1中間チャンバー
1201と連通すると共に、他端が前記上フランジ
14における気体供給通路
10と連通することで、流通路
9を介して
第1中間チャンバー
1201を気体供給通路
10と連通させることができ、中間チャンバーから排出された冷媒を、気体供給通路からの冷媒に混合させながら保存することができ、中圧気体供給混合の作用を果たし、2段目の圧縮に移行するための条件を提供する。
【0034】
本発明は更に、前記ロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機を備えるエアコンシステムを提供する。本発明のロータリーシリンダ・エンタルピー増加・ピストン式圧縮機を備えるエアコンシステムによれば、ロータリーシリンダ・ピストン式二段圧縮機を採用すること、及び両段の間にエンタルピー増加アセンブリを設ける構成で、ロータリーシリンダ・ピストン式圧縮機及びそれを備えるエアコンシステムにエンタルピー増加の作用を持たせて、システムにおける冷媒のエンタルピーの値を増加させ、冷房能力や暖房能力を向上させることで、システムの効率比が高くなり、信頼性も高くなる。
【0035】
次に、本発明の作動原理と好ましい実施例を説明する。
【0036】
本発明は、ダブルシリンダ式ロータリー圧縮機を基にして2段のエンタルピー増加技術を採用するものであり、具体的に以下のように実施する。
【実施例1】
【0037】
実施例1は
図1〜5に示されている。
【0038】
圧縮機のポンプは全体として、主に上フランジ14、回転軸17、
第2のピストン6、
2段目ロータリーシリンダ4、
第2のシリンダジャケット5、上ニードルベアリングホルダアセンブリ18、下フランジ13、
第1のピストン3、
1段目ロータリーシリンダ1、
第1のシリンダジャケット2、下ニードルベアリングホルダアセンブリ19、上仕切板81、下仕切板82から構成されており、組立方式は
図2に示されている。
【0039】
上仕切板81は、規定の粗さ要求を満たす平板であり、一方の面を
2段目ロータリーシリンダ、
第2のピストン、
第2のシリンダジャケットに合わせると共に、他方の面を下仕切板82に合わせる。中央部に、回転軸のピストン支持部の直径よりやや大きい貫通孔が開けられていると共に、下仕切板
82の
1段目シリンダ吸気チャンバー
11と連通し、且つ
2段目ロータリーシリンダの吸気位置に対応した位置に、ある角度を有する上
仕切板吸気ポート41が設けられている。以上は
図4と
図3に示されている。
【0040】
下仕切板82は、内孔と外円との間に、一定形状の凹溝が2つ設けられており、上仕切板81に合わせて、
第1中間チャンバー
1201及び
1段目シリンダ吸気チャンバー
11をそれぞれ形成している。外円の一方側に
1段目シリンダ吸気チャンバー
11と連通する
下仕切板吸気ポート21が設けられ、他方側に
第1中間チャンバー
1201と連通する
下仕切板気体供給ポート
101が開けられている。下仕切板
82の端面に下シリンダ吸気ポートとなる傾斜した切欠き口が開けられており、当該傾斜した切欠き口が
1段目シリンダ吸気チャンバー
11と連通し、かつ、
1段目シリンダチャンバー
11の吸気位置に対応した位置に、上仕切板吸気ポート
41と対向して配置されている。下仕切板
82の端面の他方側に排気溝となる凹溝が設けられ、排気溝の近傍に
下シリンダ排気ポート
1aが設けられ、
下シリンダ排気ポート
1aは
1段目シリンダチャンバー
11の排気位置に対応している。
下シリンダ排気ポート
1aに排気バルブとバルブプレート遮断板が取り付けられ、バルブプレートとバルブプレート遮断板は、排気バルブのバルブプレートが
下シリンダ排気ポート
1aを覆うようにバルブ用ねじによって
下シリンダ排気ポート
1aの溝内に固定されている。以上は
図5に示されている。
【0041】
圧縮機の作動原理として、冷媒が液体分離器
20から下仕切
板吸気ポート
21を介して吸気チャンバーに進入してから、下シリンダ吸気ポート
1bを介してシリンダチャンバーに進入し、
1段目ロータリーシリンダ
1で圧縮された後、下シリンダ排気ポート
1aを介して
第1中間チャンバー
1201に進入する。これで、冷媒の1段目圧縮が完了する。エンタルピー増加用の供給気体はエンタルピー増加部材から下仕切板における気体供給ポート
101を介して
第1中間チャンバー
1201に進入し、1段目で圧縮された冷媒と混合して2段目の圧縮吸気温度を低くした後、上仕切板におけ
る吸気ポート
41を介して上シリンダのチャンバーに進入し、最後に
2段目ロータリーシリンダ
4で圧縮されてから、上フランジ排気ポート
141から排気され、2段目の圧縮が完了する。以上は
図1と
図3に示されている。
【実施例2】
【0042】
実施例2は
図6〜14に示されている。
【0043】
圧縮機のポンプは回転軸17、上フランジ14、
第2のシリンダジャケット5、
2段目ロータリーシリンダ4、
第2のピストン6、上ニードルベアリングホルダアセンブリ18、中間仕切板83、
第1のシリンダジャケット2、
1段目ロータリーシリンダ1、
第1のピストン3、下ニードルベアリングホルダアセンブリ19、下フランジ13、下カバー15から構成されており、組立方式は
図7に示されている。
【0044】
上フランジは単シリンダ・ベアリングの構成を有し、
流通路
16と
上フランジ吸気ポート
142が追加されている。上フランジ
14の端面(
2段目ロータリーシリンダ4に合わせる)には、2つの窪み溝が
上フランジ吸気ポート
142及
び流通路
16としてそれぞれ設けられている。径方向に、
上フランジ気体供給ポート
1401となる孔が開けられており、
上フランジ吸気ポート
142及び流通路
16である窪み溝と連通している。以上は
図9に示されている。
【0045】
下フランジ
13は、径方向に
下フランジ吸気
ポート131が追加して設置されていると共に、
下フランジ吸気
ポート131における外円の径がハウジングの内径と一致するように構成されており、下フランジ13の端面(
1段目ロータリーシリンダ
1に合わせる)に
下フランジ吸気ポート窪み溝133と
下フランジ排気ポート窪み溝132が設けられており、
下フランジ吸気ポート窪み溝133が径方向の
下フランジ吸気
ポート131と連通するように構成されている。
下フランジ排気ポート窪み溝132の近傍に排気ポートが設けられており、下フランジ
13の上端面に、
前記排気ポートと連通し、下カバー
15との間に第2中間チャンバー1202を形成する
凹溝が設けられている。
第2中間チャンバー
1202の辺縁には、第2中間チャンバー1202の気体流通路
121となる
第1のシリンダジャケット、中間仕切板、
第2のシリンダジャケットの流通路と連通するカシューナッツ形孔が開けられている。以上は
図10に示されている。
【0046】
第2、第1のシリンダジャケット及び中間仕切板のそれぞれには、下フランジにおける
第2中間チャンバー
1202の流通路に対応して連通する流通路が追加されている。
【0047】
下カバー
15は規定の粗さ要求を満たす平板であり、一方の面に下フランジ
13に合わせて
第2中間チャンバー
1202を形成し、中央部に貫通孔が開けられ、下フランジ
13よりやや大きく形成されている。以上は
図14に示されている。
【0048】
圧縮機の作動原理として、冷媒が液体分離器
20から下フランジ吸気ポート
131を通して、下シリンダ吸気ポート1bを介して下シリンダチャンバーに進入し、
1段目ロータリーシリンダ
1で圧縮された後、下シリンダ排気ポート
1aを介して
第2中間チャンバー
1202に進入し、これで、冷媒の1段目の圧縮が完了する。
第2中間チャンバー
1202内の冷媒は
第二中間チャンバー気体流通路121、
第1のシリンダジャケットの流通路、中間仕切板の流通路、
第2のシリンダジャケットの流通路及び上フランジの流通路
16を介して上フランジの吸気路に進入し、
上フランジ気体供給ポート
1401から進入した冷媒と混合して2段目の圧縮吸気温度を低くした後、
2段目ロータリーシリンダのチャンバーに進入し、最後に
2段目ロータリーシリンダにより圧縮されて、上フランジ排気ポート
141から排気され、2段目の圧縮が完了する。以上は
図8に示されている。
【実施例3】
【0049】
実施例3は
図15〜19に示す。
【0050】
圧縮機のポンプは回転軸17、上フランジ14、
第2のシリンダジャケット5、
2段目ロータリーシリンダ4、
第2のピストン6、上ニードルベアリングホルダアセンブリ18、上仕切板81、下仕切板82、
第1のシリンダジャケット2、
1段目ロータリーシリンダ1、
第1のピストン3、下ニードルベアリングホルダアセンブリ19、下フランジ13などから構成されており、組立方式は
図16に示されている。
【0051】
実施例1との相違として、下フランジ
13には、径方向に1つの
下フランジ吸気
ポート131が追加されていると共に、
下フランジ吸気
ポート131における外円の径がハウジングの内径と一致するように構成されており、下フランジ
13の端面(
1段目ロータリーシリンダ
1に合わせる面)には、径方向の
下フランジ吸気
ポート131と連通する
下フランジ吸気ポート窪み溝133が開設されている。以上は
図18に示されている。
【0052】
下仕切板
82は、内孔と外円との間に、一定形状の凹溝が設けられており、上仕切板に合わせて、
第1中間チャンバー
1201を形成する。外円において、径方向に
第1中間チャンバー
1201と連通する
下仕切板気体供給ポート
101が設けられている。下仕切板
82の端面に排気溝となる
もう一つの凹溝が設けられ、排気溝の近傍に
下シリンダ排気ポート
1aが設けられている。
下シリンダ排気ポート
1aが
1段目シリンダ
吸気チャンバー
11の排気位置に対応して、
下シリンダ排気ポート
1aに排気バルブとバルブプレート遮断板が取り付けられており、バルブプレートとバルブプレート遮断板は、排気バルブのバルブプレートが
下シリンダ排気ポート
1aを覆うようにバルブ用ねじによって
下シリンダ排気ポート
1aの溝内に固定されている。
以上は図19に示されている。
【0053】
圧縮機の作動原理として、冷媒が液体分離器
20から下フラン
ジ吸気ポート
131を通して、下シリン
ダ吸気ポート
1bを介して
1段目シリンダ
吸気チャンバー
11に進入し、
1段目ロータリーシリンダ
1で圧縮された後、下シリンダ排気ポート
1aを介して下仕切板
82の
第1中間チャンバー
1201に進入し、これで、冷媒の1段目圧縮が完了する。エンタルピー増加用の供給気体はエンタルピー増加部材から下仕切板における
下仕切板気体供給ポート
101を介して
第1中間チャンバー
1201に進入し、1段目で圧縮された冷媒と混合して2段目の圧縮吸気温度を低くした後、上仕切板
81における上
仕切板吸気ポー
41を介して上シリンダチャンバーに進入し、最後に
2段目ロータリーシリンダ
4により圧縮されてから、上フランジ排気ポートから排気され、2段目の圧縮が完了する。以上は
図17に示されている。
【0054】
矛盾を生じない前提で、上記の各有利な形態を自由に組み合せたり重ね合わせることができるのは、当業者が容易に理解できるところである。以上に述べたのは本発明の比較的好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の精神と原則内において、如何なる修正、同等の置換と改良等も本発明の保護範囲に包含されるべきである。以上に述べたのは本発明の好ましい実施の形態に過ぎず、注意しなければならないのは、本技術分野における通常の技術当業者にとって、本発明の技術原理から逸脱しない前提で、様々な改良と変形が可能であり、これらの改良と変形も本発明の保護範囲の一部として見なされるべきである。
【符号の説明】
【0055】
1 1段目ロータリーシリンダ (下シリンダともいう)
1a 下シリンダ排気ポート
1b 下シリンダ吸気ポート
2 第1のシリンダジャケット (下シリンダジャケットともいう)
3 第1のピストン (下ピストンともいう)
4 2段目ロータリーシリンダ(上シリンダともいう)
41 上
仕切板吸気ポート
5 第2のシリンダジャケット(上シリンダジャケットともいう)
6 第2のピストン (上ピストンともいう)
7 エンタルピー増加アセンブリ
71 エンタルピー増加部材
72 エンタルピー増加パイプ
81 上仕切板
82 下仕切板
83 中間仕切板
9 冷媒流入路
10 気体供給通路
101
下仕切板気体供給ポート
11 1段目シリンダ吸気チャンバー(下シリンダ吸気チャンバーともいう)
1201 第1中間チャンバー
1202 第2中間チャンバー
121
第二中間チャンバー気体流通路
13 下フランジ
131 下フランジ吸気ポート
132 下フランジ排気ポート
窪み溝
133
下フランジ吸気ポート窪み溝
14 上フランジ
141 上フランジ排気ポート
142 上フランジ吸気ポート
1401 上フランジ気体供給ポート
15 下カバー
16 流通路
17 回転軸
18 上ニードルベアリングホルダアセンブリ
19 下ニードルベアリングホルダアセンブリ
20 液体分離
器
21
下仕切板吸気ポート