【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1局面に係る紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置は、記憶部および新データセット生成処理部を備える。記憶部には、複数の基本データセットが記憶される。ここで、基本データセットには、少なくとも「紙葉類束の実画像を含む実画像データ」と「紙葉類束の厚みに関するデータ(以下「厚み関連データ」という。)」とが含まれている。なお、厚み関連データとしては、例えば、厚みの実寸値、厚みの相対値等である。また、「紙葉類束の厚み関連データ」は1種類のデータであってもよいし、複数種類のデータを含んでいてもよい。そして、この基本データセットでは、少なくとも上述の実画像データと厚み関連データとが関連付けられている。なお、ここでは、予め人手により実画像データから抽出処理された紙葉類束の領域データが基本データセットに含められてもよい。かかる場合、その基本データセットでは、上述の実画像データと、上述の厚み関連データと、上述の領域データとが相互に関連付けられることになる。新データセット生成処理部は、第1次新データセット生成処理を実行する。第1次新データセット生成処理では、
上述の実画像データにおいて紙葉類束の領域データが伸縮加工されると共に、その加工対象の実画像データに関連付けられた厚み関連データに伸縮の倍率が乗じられて、加工された領域データを含む画像データ(以下「加工画像データ」という。)に対応する新たな厚み関連データ(以下「第1次新厚み関連データ」という。)が生成され、第1次新厚み関連データが加工画像データに関連付けられて新たなデータセットが生成される。なお、ここで「領域データ」は、上述の通り、予め基本データセットにおいて他のデータと関連付けられていて、その基本データセットから呼び出されてもよいが、エッジ抽出プログラム等により「紙葉類束の実画像を含む実画像データ」から自動的に抽出されてもよい。そして、この新データセット生成処理部は、複数の基本データセットに対して第1次新データセット生成処理を繰り返して新たなデータセットを増産する。
【0007】
上述の通り、この紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置は、新たなデータセットを増産することができる。このため、増殖したデータセットを利用して深層学習に代表される機械学習を実施して判定モデルを生成し、処理しようとする紙葉類束(以下「処理対象紙葉類束」という。)をデジタル式のカメラで撮像してその処理対象紙葉類束の画像データを生成した後に、その処理対象紙葉類束の画像データ又は紙葉類束の領域データから、上記判定モデルによってその処理対象紙葉類束の厚み関連データを出力することができる。
【0008】
ところで、通常、上記判定モデルの作成には、多量の教師データが必要となるが、この教師データとして実画像データでまかなうのは現実的ではない。これに対して、本発明に係る特性判定用画像データ形成装置では、加工画像データが自動生成されながらその加工画像データに対応するデータセットが増殖される。このため、この特性判定用画像データ形成装置を利用することによって、極めて効率よく教師データを得ることができる。
【0009】
本発明の第2局面に係る紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置は、第1局面に係る紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置であって、新データセット生成処理部は、第2次新データセット生成処理をさらに実行する。第2次新データセット生成処理では、加工画像データにおいて少なくとも紙葉類束の領域データが加工されると共に、加工された領域データを含む画像データ(以下「再加工画像データ」という。)に対応する更に新たな厚み関連データ(以下「第2次新厚み関連データ」という。)が生成され、第2次新厚み関連データが再加工画像データに関連付けられて更に新たなデータセットが生成される。
【0010】
上述の通り、この紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置では、再加工画像データを含む新たなデータセットが生成される。このため、この紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置では、多種多様のデータセットを生成することができる。
【0011】
本発明の
第3局面に係る紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置は、記憶部および新データセット生成処理部を備える。記憶部には、複数の基本データセットが記憶される。ここで、基本データセットには、少なくとも「紙葉類束の実画像を含む実画像データ」と「紙葉類束の
損傷状態を示す損傷状態指標値データ」とが含まれている。また、「紙葉類束の
損傷状態を示す損傷状態指標値データ」は1種類のデータであってもよいし、複数種類のデータを含んでいてもよい。そして、この基本データセットでは、少なくとも上述の実画像データと
損傷状態指標値データとが関連付けられている。なお、ここでは、予め人手により実画像データから抽出処理された紙葉類束の領域データが基本データセットに含められてもよい。かかる場合、その基本データセットでは、上述の実画像データと、上述の
損傷状態指標値データと、上述の領域データとが相互に関連付けられることになる。新データセット生成処理部は、第1次新データセット生成処理を実行する。第1次新データセット生成処理では、
上述の実画像データにおいて紙葉類束の領域データの少なくとも一部が、少なくとも一つの置換画像で置換加工されると共に、置換画像に関連付けられた損傷状態指標値から、加工された領域データを含む画像データ(以下「加工画像データ」という。)に対応する
紙葉類束の新たな
損傷状態指標値データ(以下「第1次新
損傷状態指標値データ」という。)が生成され、第1次新
損傷状態指標値データが加工画像データに関連付けられて新たなデータセットが生成される。なお、ここで「領域データ」は、上述の通り、予め基本データセットにおいて他のデータと関連付けられていて、その基本データセットから呼び出されてもよいが、エッジ抽出プログラム等により「紙葉類束の実画像を含む実画像データ」から自動的に抽出されてもよい。そして、この新データセット生成処理部は、複数の基本データセットに対して第1次新データセット生成処理を繰り返して新たなデータセットを増産する。
【0012】
上述の通り、この紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置は、新たなデータセットを増産することができる。このため、増殖したデータセットを利用して深層学習に代表される機械学習を実施して判定モデルを生成し、処理しようとする紙葉類束(以下「処理対象紙葉類束」という。)をデジタル式のカメラで撮像してその処理対象紙葉類束の画像データを生成した後に、その処理対象紙葉類束の画像データ又は紙葉類束の領域データから、上記判定モデルによってその処理対象紙葉類束の
損傷状態指標値データを出力することができる。
【0013】
ところで、通常、上記判定モデルの作成には、多量の教師データが必要となるが、この教師データとして実画像データでまかなうのは現実的ではない。これに対して、本発明に係る特性判定用画像データ形成装置では、加工画像データが自動生成されながらその加工画像データに対応するデータセットが増殖される。このため、この特性判定用画像データ形成装置を利用することによって、極めて効率よく教師データを得ることができる。
【0014】
本発明の
第4局面に係る紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置は、
第3局面に係る紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置であって、新データセット生成処理部は、第2次新データセット生成処理をさらに実行する。第2次新データセット生成処理では、加工画像データにおいて少なくとも紙葉類束の領域データが加工されると共に、加工された領域データを含む画像データ(以下「再加工画像データ」という。)に対応する更に新たな状態指標値データ(以下「第2次新状態指標値データ」という。)が生成され、第2次新状態指標値データが再加工画像データに関連付けられて更に新たなデータセットが生成される。
【0015】
上述の通り、この紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置では、再加工画像データを含む新たなデータセットが生成される。このため、この紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置では、多種多様のデータセットを生成することができる。
【0016】
本発明の
第5局面に係る紙葉類束の特性判定用画像データ形成プログラムは、電子計算機に対して、基本データセット入力受付ステップおよび新データセット生成処理ステップを実行させるものである。基本データセット入力受付ステップでは、電子計算機に対して、複数の基本データセットを入力受付させる。ここで、基本データセットには、少なくとも「紙葉類束の実画像を含む実画像データ」および「紙葉類束の厚みに関するデータ(以下「厚み関連データ」という。)」が含まれている。そして、この基本データセットでは、少なくとも上述の実画像データと厚み関連データとが関連付けられている。なお、ここでは、予め人手により実画像データから抽出処理された紙葉類束の領域データが基本データセットに含められてもよい。かかる場合、その基本データセットでは、上述の実画像データと、上述の厚み関連データと、上述の領域データとが相互に関連付けられることになる。そして、基本データセット入力受付ステップにおいて基本データセットの入力が完了された後に、新データセット生成処理ステップが実行される。新データセット生成処理ステップでは、電子計算機に対して、
実画像データにおいて紙葉類束の領域データを伸縮加工させると共に、その加工対象の実画像データに関連付けられた厚み関連データに伸縮の倍率を乗じさせて、加工された前記領域データを含む画像データ(以下「加工画像データ」という。)に対応する新たな厚み関連データ(以下「新厚み関連データ」という。)を生成させ、新厚み関連データを加工画像データに関連付けて新たなデータセットを生成させる。なお、ここで「領域データ」は、上述の通り、予め基本データセットにおいて他のデータと関連付けられていて、その基本データセットから呼び出されてもよいが、エッジ抽出プログラム等により「紙葉類束の実画像を含む実画像データ」から自動的に抽出されてもよい。そして、このプログラムは、電子計算機に、複数の基本データセットに対して新データセット生成処理ステップを繰り返させて新たなデータセットを増産させる。
【0017】
上述の通り、この紙葉類束の特性判定用画像データ形成プログラムを実行することによって、新たなデータセットを増産することができる。このため、増殖したデータセットを利用して深層学習に代表される機械学習を実施して判定モデルを生成し、処理しようとする紙葉類束(以下「処理対象紙葉類束」という。)をデジタル式のカメラで撮像してその処理対象紙葉類束の画像データを生成した後に、その処理対象紙葉類束の画像データ又は紙葉類束の領域データから、上記判定モデルによってその処理対象紙葉類束の厚み関連データを出力することができる。
【0018】
本発明の
第6局面に係る紙葉類束の特性判定用画像データ形成プログラムは、電子計算機に対して、基本データセット入力受付ステップおよび新データセット生成処理ステップを実行させるものである。基本データセット入力受付ステップでは、電子計算機に対して、複数の基本データセットを入力受付させる。ここで、基本データセットには、少なくとも「紙葉類束の実画像を含む実画像データ」および「紙葉類束の
損傷状態を示す損傷状態指標値データ」が含まれている。そして、この基本データセットでは、少なくとも上述の実画像データと
損傷状態指標値データとが関連付けられている。なお、ここでは、予め人手により実画像データから抽出処理された紙葉類束の領域データが基本データセットに含められてもよい。かかる場合、その基本データセットでは、上述の実画像データと、上述の
損傷状態指標値データと、上述の領域データとが相互に関連付けられることになる。そして、基本データセット入力受付ステップにおいて基本データセットの入力が完了された後に、新データセット生成処理ステップが実行される。新データセット生成処理ステップでは、電子計算機に対して、
実画像データにおいて紙葉類束の領域データの少なくとも一部を、少なくとも一つの置換画像で置換加工させると共に、置換画像に関連付けられた損傷状態指標値から、加工された前記領域データを含む画像データ(以下「加工画像データ」という。)に対応する
紙葉類束の新たな
損傷状態指標値データ(以下「新
損傷状態指標値データ」という。)を生成させ、新
損傷状態指標値データを加工画像データに関連付けて新たなデータセットを生成させる。なお、ここで「領域データ」は、上述の通り、予め基本データセットにおいて他のデータと関連付けられていて、その基本データセットから呼び出されてもよいが、エッジ抽出プログラム等により「紙葉類束の実画像を含む実画像データ」から自動的に抽出されてもよい。そして、このプログラムは、電子計算機に、複数の基本データセットに対して新データセット生成処理ステップを繰り返させて新たなデータセットを増産させる。
【0019】
上述の通り、この紙葉類束の特性判定用画像データ形成プログラムを実行することによって、新たなデータセットを増産することができる。このため、増殖したデータセットを利用して深層学習に代表される機械学習を実施して判定モデルを生成し、処理しようとする紙葉類束(以下「処理対象紙葉類束」という。)をデジタル式のカメラで撮像してその処理対象紙葉類束の画像データを生成した後に、その処理対象紙葉類束の画像データ又は紙葉類束の領域データから、上記判定モデルによってその処理対象紙葉類束の
損傷状態指標値データを出力することができる。
【0020】
本発明の
第7局面に係る紙葉類束の特性判定用画像データ形成方法は、電子計算機に対して、基本データセット入力受付ステップおよび新データセット生成処理ステップを実施させるものである。基本データセット入力受付ステップでは、電子計算機に対して、複数の基本データセットを入力受付させる。ここで、基本データセットには、少なくとも「紙葉類束の実画像を含む実画像データ」および「紙葉類束の厚みに関するデータ(以下「厚み関連データ」という。)」が含まれている。そして、この基本データセットでは、少なくとも上述の実画像データと厚み関連データとが関連付けられている。なお、ここでは、予め人手により実画像データから抽出処理された紙葉類束の領域データが基本データセットに含められてもよい。かかる場合、その基本データセットでは、上述の実画像データと、上述の厚み関連データと、上述の領域データとが相互に関連付けられることになる。そして、基本データセット入力受付ステップにおいて基本データセットの入力が完了された後に、新データセット生成処理ステップが実行される。新データセット生成処理ステップでは、電子計算機に対して、
実画像データにおいて紙葉類束の領域データを伸縮加工させると共に、その加工対象の実画像データに関連付けられた厚み関連データに伸縮の倍率を乗じさせて、加工された前記領域データを含む画像データ(以下「加工画像データ」という。)に対応する新たな厚み関連データ(以下「新厚み関連データ」という。)を生成させ、新厚み関連データを加工画像データに関連付けて新たなデータセットを生成させる。なお、ここで「領域データ」は、上述の通り、予め基本データセットにおいて他のデータと関連付けられていて、その基本データセットから呼び出されてもよいが、エッジ抽出プログラム等により「紙葉類束の実画像を含む実画像データ」から自動的に抽出されてもよい。そして、この方法では、電子計算機に、複数の基本データセットに対して新データセット生成処理ステップを繰り返させることにより新たなデータセットが増産される。
【0021】
上述の通り、この紙葉類束の特性判定用画像データ形成方法を実施することによって、新たなデータセットを増産することができる。このため、増殖したデータセットを利用して深層学習に代表される機械学習を実施して判定モデルを生成し、処理しようとする紙葉類束(以下「処理対象紙葉類束」という。)をデジタル式のカメラで撮像してその処理対象紙葉類束の画像データを生成した後に、その処理対象紙葉類束の画像データ又は紙葉類束の領域データから、上記判定モデルによってその処理対象紙葉類束の厚み関連データを出力することができる。
【0022】
本発明の
第8局面に係る紙葉類束の特性判定用画像データ形成方法は、電子計算機に対して、基本データセット入力受付ステップおよび新データセット生成処理ステップを実施させるものである。基本データセット入力受付ステップでは、電子計算機に対して、複数の基本データセットを入力受付させる。ここで、基本データセットには、少なくとも「紙葉類束の実画像を含む実画像データ」および「紙葉類束の
損傷状態を示す損傷状態指標値データ」が含まれている。そして、この基本データセットでは、少なくとも上述の実画像データと
損傷状態指標値データとが関連付けられている。なお、ここでは、予め人手により実画像データから抽出処理された紙葉類束の領域データが基本データセットに含められてもよい。かかる場合、その基本データセットでは、上述の実画像データと、上述の
損傷状態指標値データと、上述の領域データとが相互に関連付けられることになる。そして、基本データセット入力受付ステップにおいて基本データセットの入力が完了された後に、新データセット生成処理ステップが実行される。新データセット生成処理ステップでは、電子計算機に対して、
実画像データにおいて紙葉類束の領域データの少なくとも一部を、少なくとも一つの置換画像で置換加工させると共に、置換画像に関連付けられた損傷状態指標値から、加工された前記領域データを含む画像データ(以下「加工画像データ」という。)に対応する
紙葉類束の新たな
損傷状態指標値データ(以下「新
損傷状態指標値データ」という。)を生成させ、新
損傷状態指標値データを加工画像データに関連付けて新たなデータセットを生成させる。なお、ここで「領域データ」は、上述の通り、予め基本データセットにおいて他のデータと関連付けられていて、その基本データセットから呼び出されてもよいが、エッジ抽出プログラム等により「紙葉類束の実画像を含む実画像データ」から自動的に抽出されてもよい。そして、この方法では、電子計算機に、複数の基本データセットに対して新データセット生成処理ステップを繰り返させることにより新たなデータセットが増産される。
【0023】
上述の通り、この紙葉類束の特性判定用画像データ形成方法を実施することによって、新たなデータセットを増産することができる。このため、増殖したデータセットを利用して深層学習に代表される機械学習を実施して判定モデルを生成し、処理しようとする紙葉類束(以下「処理対象紙葉類束」という。)をデジタル式のカメラで撮像してその処理対象紙葉類束の画像データを生成した後に、その処理対象紙葉類束の画像データ又は紙葉類束の領域データから、上記判定モデルによってその処理対象紙葉類束の
損傷状態指標値データを出力することができる。