(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリプロピレン系接着剤が、前記共重合体(A)、(B)および(C)の合計100重量部に対し、不飽和カルボン酸およびその誘導体から選ばれる少なくとも1つで変性された変性ポリオレフィン(D)を0.1〜15重量部含む、請求項1に記載の電池用積層体。
前記共重合体(A)が、前記接着剤に含まれる共重合体(A)100重量%に対し、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体を10重量%以上含み、該α−オレフィンの炭素数は4以上である、請求項1または2に記載の電池用積層体。
前記変性ポリオレフィン(D)が、前記不飽和カルボン酸およびその誘導体に由来する構造単位を除いた構造単位100重量部に対し、不飽和カルボン酸およびその誘導体に由来する構造単位を0.01〜5重量部含有し、
さらに、変性ポリオレフィン(D)において、前記不飽和カルボン酸およびその誘導体に由来する構造単位を除いた構造単位におけるプロピレン由来の構造単位の含量が90〜100モル%である、
請求項2に記載の電池用積層体。
前記共重合体(B)は、ブテン由来の構造単位を10〜30モル%、プロピレン由来の構造単位を90〜70モル%含有し、ASTM D 1238に準拠して、温度230℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレートが0.1〜50g/10分である、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の電池用積層体。
前記金属製基材層(II)が、金、銅、鉄、クロム、亜鉛、コバルト、アルミニウム、チタン、錫、インジウム、マグネシウム、モリブデン、マンガンおよび珪素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の電池用積層体。
【発明を実施するための形態】
【0012】
≪電池用積層体≫
本発明の一実施形態に係る電池用積層体(以下「本積層体」ともいう。)は、
少なくとも下記要件(1)〜(4)を満たすポリプロピレン系接着剤層(I)と、金属製基材層(II)とを含む電池用積層体。
(1)前記接着剤が、
プロピレン系共重合体(A)を40〜94重量%、
ブテン含有共重合体(B)を3〜30重量%、
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)を3〜30重量%(但し、共重合体(A)、(B)および(C)の合計を100重量%とする。)含む
(2)前記共重合体(A)は、示差走査熱量計(DSC)によって測定される融点(TmA)が130℃以上の重合体であり、
前記接着剤に含まれる全ての共重合体(A)を構成する構造単位の総和100モル%に対する、エチレンに由来する構造単位の割合の総和が4〜25モル%である
(3)前記共重合体(B)は、エチレンに由来する構造単位の含量が1モル%未満であり、
DSCによって測定される融点(TmB)が100℃以下である
(4)前記共重合体(C)は、エチレンに由来する構造単位の含量が50〜99モル%である
【0013】
接着剤に含まれる共重合体(A)は、1種でも2種以上でもよく、接着剤に含まれる共重合体(B)も、1種でも2種以上でもよく、接着剤に含まれる共重合体(C)も、1種でも2種以上でもよい。
【0014】
<ポリプロピレン系接着剤>
前記ポリプロピレン系接着剤は、プロピレン系共重合体(A)を40〜94重量%、ブテン含有共重合体(B)を3〜30重量%、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)を3〜30重量%(但し、共重合体(A)、(B)および(C)の合計を100重量%とする。)含む。
前記ポリプロピレン系接着剤は、これらの共重合体を特定量で含むため、該接着剤から得られる接着剤層は、金属製基材層との常温下および高温雰囲気下での接着性にバランスよく優れる。
【0015】
[プロピレン系共重合体(A)]
前記プロピレン系共重合体(A)の、示差走査熱量計(DSC)によって測定される融点(TmA)は、130℃以上であれば特に限定されない。
TmAは、好ましくは130〜160℃である。
TmAが前記範囲にあることで、高温雰囲気下での接着性に優れる積層体を容易に得ることができる。
TmAは、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
【0016】
共重合体(A)としては、プロピレン由来の構造単位を有する共重合体であって、TmAが130℃以上であれば特に制限されず、プロピレン・α−オレフィン共重合体等が挙げられる。なお、前記共重合体(A)は、下記共重合体(C)および変性ポリオレフィン(D)とは異なる重合体である。
また、これらの共重合体の合成の際に、プロピレンまたはα−オレフィンと共重合可能な化合物を用いて得られる共重合体であってもよい。
該α−オレフィンとしては、炭素数2、4〜20のα−オレフィンが好ましく、炭素数2、4〜10のα−オレフィンがより好ましい。該α−オレフィンは、1種単独でもよく、2種以上でもよい。
【0017】
前記プロピレン・α−オレフィン共重合体における、α−オレフィン由来の構造単位の含量は、好ましくは1〜55モル%、より好ましくは2〜50モル%、特に好ましくは2〜45モル%である。
【0018】
金属製基材層との常温下および高温雰囲気下での接着性にバランスよく優れる接着剤層を容易に得ることができる等の点から、共重合体(A)は、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体を含むことが好ましい。
該α−オレフィンは、炭素数4以上のα−オレフィンであり、炭素数4〜20のα−オレフィンがより好ましく、金属製基材層との常温下および高温雰囲気下での接着性にバランスよく優れる接着剤層を容易に得ることができる等の点から、炭素数4〜10のα−オレフィンがさらに好ましく、1−ブテンが特に好ましい。該α−オレフィンは、1種単独でもよく、2種以上でもよい。
【0019】
前記プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体における、プロピレンに由来する構造単位の含量は、好ましくは45〜90モル%、より好ましくは50〜85モル%、特に好ましくは55〜80モル%である。
前記プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体における、エチレンに由来する構造単位の含量は、好ましくは5〜25モル%、より好ましくは10〜22モル%、特に好ましくは10〜20モル%である。
前記プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体における、α−オレフィンに由来する構造単位の含量は、好ましくは1〜30モル%、より好ましくは5〜28モル%、特に好ましくは10〜28モル%である。
【0020】
前記接着剤に含まれる全ての共重合体(A)を構成する構造単位の総和100モル%に対する、エチレンに由来する構造単位の割合の総和(以下「エチレン含量Z」ともいう。)は、4〜25モル%であり、好ましくは5〜20モル%、より好ましくは5〜15モル%である。
エチレン含量Zが前記範囲にあることで、金属製基材層との常温下および高温雰囲気下での接着性にバランスよく優れる接着剤層を容易に得ることができる。
【0021】
なお、前記エチレン含量Zは、接着剤に含まれる共重合体(A)が1種である場合には、該共重合体中のエチレンに由来する構造単位の割合のことをいう。
つまり、前記接着剤の原料として、1種の共重合体(A)を用いる場合、該共重合体としては、該共重合体中のエチレンに由来する構造単位の含量が4〜25モル%である共重合体を用いる。該共重合体のエチレンに由来する構造単位の含量の好ましい範囲は、前記エチレン含量Zと同様の範囲である。
【0022】
また、例えば、前記接着剤に含まれる共重合体(A)が2種の場合(接着剤が、a重量%の共重合体A−1[該共重合体A−1中のエチレンに由来する構造単位の割合:mモル%]、および、b重量%の共重合体A−2[該共重合体A−2中のエチレンに由来する構造単位の割合:nモル%]を含む場合)、エチレン含量Z(モル%)は、下記式で算出される値である。
エチレン含量Z=m×a/(a+b)+n×b/(a+b)
【0023】
前記接着剤の原料として、2種の共重合体(A)を用いる場合、それぞれの共重合体としては、該共重合体中のエチレンに由来する構造単位の含量が4〜25モル%である共重合体を用いてもよいし、該共重合体中のエチレンに由来する構造単位の含量が4〜25モル%を外れる共重合体を用いてもよい。
共重合体中のエチレンに由来する構造単位の含量が4〜25モル%を外れる共重合体を用いる場合には、前記式で算出されるエチレン含量Zが、4〜25モル%となるように、用いる共重合体(A)の使用割合を調節したり、用いる共重合体(A)として、エチレンに由来する構造単位の含量が所定の値である共重合体(A)を用いればよい。
【0024】
なお、前記接着剤に含まれる共重合体(A)が3種以上の場合も、エチレン含量Zは、前記2種の共重合体(A)を用いる場合と同様にして算出される。
【0025】
共重合体(A)のメルトフローレート(MFR)〔ASTM D 1238(温度:230℃、荷重:2.16kg)〕は、好ましくは0.1〜50g/10分、より好ましくは0.5〜10g/10分である。
MFRが前記範囲にあると、柔軟性と機械強度のバランスに優れ、より接着力の高い接着剤層を得ることができる。
【0026】
共重合体(A)のJIS K7112に基づき測定した密度は、好ましくは0.86〜0.91g/cm
3であり、より好ましくは0.87〜0.91g/cm
3である。
【0027】
共重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.5〜5.0、より好ましくは1.8〜4.0である。
分子量分布は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
【0028】
共重合体(A)の製造方法としては、特に限定されず、チーグラ・ナッタ触媒、メタロセン系触媒等の周知の触媒を用いた周知の方法にて製造できる。また、成形性を満足し、得られる積層体が使用に耐えうる強度を有するような共重合体が好ましく、本発明の効果を損なわない範囲において、立体規則性や分子量に特段の制限はない。
市販の樹脂をそのまま利用することも可能である。
【0029】
前記ポリプロピレン系接着剤における共重合体(A)の含量は、共重合体(A)、(B)および(C)の合計100重量%に対し、40〜94重量%であり、好ましくは50〜85重量%、より好ましくは55〜80重量%である。
共重合体(A)の含量が前記範囲にあることで、金属製基材層との常温下および高温雰囲気下での接着性にバランスよく優れる接着剤層を容易に得ることができる。
【0030】
また、前記接着剤に含まれる共重合体(A)100重量%に対する、前記プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体の含量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは10〜80重量%、特に好ましくは20〜70重量%である。
プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体の含量が前記範囲にあることで、金属製基材層との常温下および高温雰囲気下での接着性にバランスよく優れる接着剤層を容易に得ることができる。
【0031】
[ブテン含有共重合体(B)]
前記ブテン含有共重合体(B)は、ブテンに由来する構造単位を含有し、エチレンに由来する構造単位の含量が1モル%未満である共重合体であるが、プロピレン・ブテン共重合体であることが好ましい。なお、前記共重合体(B)は、下記変性ポリオレフィン(D)とは異なる重合体である。
共重合体(B)のブテンに由来する構造単位の含量は、好ましくは10〜30モル%、より好ましくは12〜28モル%である。
共重合体(B)のプロピレンに由来する構造単位の含量は、好ましくは70〜90モル%、より好ましくは72〜88モル%である。
【0032】
共重合体(B)のDSCにより測定される融点(TmB)は、100℃以下、より好ましくは60〜100℃である。
TmBが前記範囲にあることで、常温下および高温雰囲気下での接着性にバランスよく優れる積層体を容易に得ることができる。
TmBは、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
【0033】
共重合体(B)のMFR〔ASTM D 1238(温度:230℃、荷重:2.16kg)〕は、好ましくは0.1〜50g/10分、より好ましくは0.5〜10g/10分である。
MFRが前記範囲にあると、柔軟性と機械強度のバランスに優れ、より接着力の高い接着剤層を得ることができる。
【0034】
共重合体(B)のJIS K7112に基づき測定した密度は、好ましくは0.86〜0.90g/cm
3であり、より好ましくは0.87〜0.90g/cm
3である。
【0035】
共重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.5〜5.0、より好ましくは1.8〜4.0である。
【0036】
共重合体(B)の製造方法としては、特に限定されず、チーグラ・ナッタ触媒、メタロセン系触媒等の周知の触媒を用いた周知の方法にて製造できる。また、成形性を満足し、得られる積層体が使用に耐えうる強度を有するような共重合体が好ましく、本発明の効果を損なわない範囲において、立体規則性や分子量に特段の制限はない。
市販の樹脂をそのまま利用することも可能である。
【0037】
前記ポリプロピレン系接着剤における共重合体(B)の含量は、共重合体(A)、(B)および(C)の合計100重量%に対し、3〜30重量%であり、好ましくは5〜30重量%、より好ましくは5〜25重量%である。
共重合体(B)の含量が前記範囲にあることで、金属製基材層との常温下および高温雰囲気下での接着性にバランスよく優れる接着剤層を容易に得ることができる。
【0038】
[エチレン・α−オレフィン共重合体(C)]
前記エチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、エチレンに由来する構造単位の含量が50〜99モル%である共重合体であれば特に限定されない。なお、前記共重合体(C)は、下記変性ポリオレフィン(D)とは異なる重合体である。
共重合体(C)のエチレンに由来する構造単位の含量は、好ましくは60〜95モル%、より好ましくは70〜90モル%である。
前記α−オレフィンとしては、炭素数3〜20のα−オレフィンが好ましく、炭素数3〜10のα−オレフィンがより好ましく、プロピレンまたはブテンが特に好ましい。共重合体(C)のα−オレフィンに由来する構造単位の含量は、好ましくは1〜50モル%、より好ましくは5〜40モル%、特に好ましくは10〜30モル%である。
前記α−オレフィンは、1種単独でもよく、2種以上でもよい。
【0039】
共重合体(C)のMFR〔ASTM D 1238(温度:230℃、荷重:2.16kg)〕は、好ましくは0.1〜70g/10分、より好ましくは0.5〜20g/10分である。
MFRが前記範囲にあると、柔軟性と機械強度のバランスに優れ、より接着力の高い接着剤層を得ることができる。
【0040】
共重合体(C)のJIS K7112に基づき測定した密度は、好ましくは0.85〜0.90g/cm
3であり、より好ましくは0.86〜0.89g/cm
3である。
【0041】
共重合体(C)の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.5〜5.0、より好ましくは1.8〜4.0である。
【0042】
共重合体(C)の製造方法としては、特に限定されず、チーグラ・ナッタ触媒、メタロセン系触媒等の周知の触媒を用いた周知の方法にて製造できる。また、成形性を満足し、得られる積層体が使用に耐えうる強度を有するような共重合体が好ましく、本発明の効果を損なわない範囲において、立体規則性や分子量に特段の制限はない。
市販の樹脂をそのまま利用することも可能である。
【0043】
前記ポリプロピレン系接着剤における共重合体(C)の含量は、共重合体(A)、(B)および(C)の合計100重量%に対し、3〜30重量%であり、好ましくは5〜28重量%、より好ましくは10〜25重量%である。
共重合体(C)の含量が前記範囲にあることで、金属製基材層との常温下および高温雰囲気下での接着性にバランスよく優れる接着剤層を容易に得ることができる。
【0044】
[変性ポリオレフィン(D)]
前記ポリプロピレン系接着剤は、得られる接着剤層と金属製基材層との接着性に優れる積層体を容易に得ることができる等の点から、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体で変性された変性ポリオレフィン(D)を含むことが好ましい。
該接着剤に含まれる変性ポリオレフィン(D)は、1種でも2種以上でもよい。
【0045】
変性ポリオレフィン(D)は、ポリオレフィン(以下「幹重合体」ともいう。該幹重合体は、変性ポリオレフィン(D)において、前記不飽和カルボン酸およびその誘導体に由来する構造単位を除いた構造単位でもある。)を不飽和カルボン酸および/またはその誘導体で変性して得られ、該不飽和カルボン酸および/またはその誘導体に由来する構造単位を含有する。
変性ポリオレフィン(D)では、幹重合体を2種以上用いてもよい。
【0046】
前記幹重合体としては、例えば、ポリプロピレン(d1)、エチレン・プロピレン・α−オレフィン共重合体(d2)およびエチレン・α−オレフィン共重合体(d3)が挙げられる。
【0047】
ポリプロピレン(d1)は、例えば、プロピレンの単独重合体および/またはプロピレン・α−オレフィン共重合体である。また、幾つかの異なるアイソタクティックポリプロピレンを含有していてもよい。
該α−オレフィンとしては、特に限定されないが、好ましくはエチレンおよび炭素数4〜20のα−オレフィンが挙げられ、これらのα−オレフィンは、1種単独でも2種以上であってもよい。好ましいα−オレフィンは、エチレンおよび炭素数4〜10のα−オレフィンであり、中でもエチレンおよび炭素数4〜8のα−オレフィンがより好適である。ここで、プロピレン・α−オレフィン共重合体における、プロピレンから導かれる構造単位の含有量は少なくとも50モル%以上であり100%未満である。
【0048】
ポリプロピレン(d1)の製造方法は、特に限定されず、チーグラ・ナッタ触媒、メタロセン系触媒等の周知の触媒を用いた周知の方法が挙げられる。
【0049】
ポリプロピレン(d1)としては、結晶性の重合体が好ましく、共重合体の場合には、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。また、成形性を満足し、得られる積層体が使用に耐えうる強度を有するような共重合体が好ましく、本発明の効果を損なわない範囲において、立体規則性や分子量に特段の制限はない。
市販の樹脂をそのまま利用することも可能である。
【0050】
エチレン・プロピレン・α−オレフィン共重合体(d2)は、例えば、プロピレン由来の構造単位を45〜89モル%、エチレン由来の構造単位を10〜25モル%、炭素数4〜20のα−オレフィン由来の構造単位を1〜30モル%含有する。
該α−オレフィンとしては、炭素数4〜10のα−オレフィンが好ましい。該α−オレフィンは、1種単独でもよく2種以上でもよい。
【0051】
共重合体(d2)において、エチレン由来の構造単位の含量は、好ましくは10〜22モル%、より好ましくは10〜20モル%であり、プロピレン由来の構造単位の含量は、好ましくは50〜85モル%、より好ましくは55〜80モル%であり、α−オレフィン由来の構造単位の含量は、好ましくは5〜28モル%、より好ましくは10〜28モル%である。
【0052】
共重合体(d2)の製造方法は、特に限定されず、チーグラ・ナッタ触媒、メタロセン系触媒等の周知の触媒を用いた周知の方法が挙げられる。
【0053】
共重合体(d2)としては、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。また、成形性を満足し、得られる積層体が使用に耐えうる強度を有するような共重合体が好ましく、本発明の効果を損なわない範囲において、立体規則性や分子量に特段の制限はない。
市販の樹脂をそのまま利用することも可能である。
【0054】
エチレン・α−オレフィン共重合体(d3)は、好ましくは、エチレン由来の構造単位を50〜99モル%、炭素数3〜20のα−オレフィン由来の構造単位を1〜50モル%含有する。
該α−オレフィンとしては、炭素数3〜10のα−オレフィンがより好適である。該α−オレフィンは、1種単独でもよく2種以上でもよい。
共重合体(d3)において、エチレン由来の構造単位の含量は、より好ましくは55〜98モル%、特に好ましくは60〜95モル%であり、α−オレフィンン由来の構造単位の含量は、より好ましくは2〜45モル%、特に好ましくは5〜40モル%である。
【0055】
共重合体(d3)の製造方法としては、特に限定されず、チーグラ・ナッタ触媒、メタロセン系触媒等の周知の触媒を用いた周知の方法が挙げられる。
【0056】
共重合体(d3)としては、結晶性の重合体が好ましく、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。また、成形性に優れ、得られる積層体が使用に耐えうる強度を有するような共重合体が好ましく、本発明の効果を損なわない範囲において、立体規則性や分子量に特段の制限はない。
市販の樹脂をそのまま利用することも可能である。
【0057】
前記幹重合体中におけるプロピレン由来の構造単位の含量は、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%である。
前記幹重合体中のプロピレン由来の構造単位の含量が前記範囲にあると、耐熱性に優れる接着剤層を容易に得ることができる。
【0058】
前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体としては、カルボン酸基を1つ以上有する不飽和化合物、カルボン酸基を有する不飽和化合物とアルキルアルコールとのエステル、無水カルボン酸基を1つ以上有する不飽和化合物等が挙げられる。
不飽和基としては、ビニル基、ビニレン基、不飽和環状炭化水素基等が挙げられる。
前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体としては、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物が好適であり、特にマレイン酸、ナジック酸またはこれらの酸無水物が好ましい。
不飽和カルボン酸および/またはその誘導体は、1種単独で使用することもできるし、2種以上を使用することもできる。
【0059】
変性ポリオレフィン(D)における、不飽和カルボン酸およびその誘導体に由来する構造単位の量は、前記幹重合体100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.05〜3.5重量部である。
不飽和カルボン酸およびその誘導体に由来する構造単位の量が前記範囲にあると、成形性と接着性とのバランスに優れる接着剤層を容易に得ることができる。
【0060】
前記幹重合体を変性する方法としては、特に制限されないが、幹重合体と不飽和カルボン酸および/またはその誘導体とを用いたグラフト重合が好ましい。
不飽和カルボン酸および/またはその誘導体をグラフトさせる方法については、特に限定されず、溶液法、溶融混練法等、従来公知のグラフト重合法を採用することができる。例えば、前記幹重合体を溶融し、そこに不飽和カルボン酸および/またはその誘導体を添加してグラフト反応させる方法、または、前記幹重合体を溶媒に溶解して溶液とし、そこに不飽和カルボン酸および/またはその誘導体を添加してグラフト反応させる方法等が挙げられる。
【0061】
また、変性ポリオレフィン(D)は、少量の不飽和カルボン酸および/またはその誘導体をグラフトした後、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体由来の構造を更にジアミン、カルボジイミド等で修飾してもよい。
【0062】
前記ポリプロピレン系接着剤における変性ポリオレフィン(D)の含量は、共重合体(A)、(B)および(C)の合計100重量部に対し、好ましくは0.1〜15重量部であり、より好ましくは1〜13重量部、特に好ましくは2〜12重量部である。
変性ポリオレフィン(D)の含量が前記範囲にあることで、金属製基材層との接着性に優れる接着剤層を容易に得ることができる。
【0063】
[その他の成分]
前記接着剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、剛性を調整する等の目的で、プロピレン単独共重合体、前記重合体(A)〜(D)以外の共重合体、またはスチレン系エラストマーなどを適宜含有していてもよい。また、成形性を調整する等の目的で、低密度ポリエチレン(LDPE)や線状低密度ポリエチレン(LLDPE)などを適宜含有していてもよい。
【0064】
その他、粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、光安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤、粘着付与剤、臭気吸着剤、抗菌剤、顔料、無機質および有機質の充填剤、種々の合成樹脂などの公知の添加剤を、必要に応じて含有していてもよい。
【0065】
前記接着剤には、特に、粘着性を付与する目的で、いわゆる粘着付与剤を配合することが好ましい。該粘着付与剤としては、例えば、ロジン誘導体、テルペン樹脂、石油樹脂およびこれらの水素化物を挙げることができ、これらの中では、水素化テルペン樹脂、水素化石油樹脂が好ましい。
粘着付与剤の配合量は、接着剤100重量%に対し、好ましくは2〜30重量%である。
【0066】
[ポリプロピレン系接着剤]
前記接着剤は、前記共重合体(A)〜(C)、ならびに、必要に応じて前記変性ポリオレフィン(D)および前記その他の成分を、種々公知の方法、例えば、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダーなどで混合する方法、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどで溶融混練する方法が挙げられる。なお、必要により、前記混合で得られた混合物や溶融混錬で得られた溶融混練物を造粒または粉砕してもよい。
【0067】
前記接着剤のASTM D 1238(温度:230℃、荷重:2.16kg)に基づくMFRは、特に限定されないが、接着剤層(I)の成形性に優れる接着剤となる等の点から、好ましくは0.1〜100g/10分、より好ましくは0.1〜30g/10分である。
【0068】
前記接着剤のJIS K7112に基づき測定した密度は、好ましくは0.85〜0.91g/cm
3であり、より好ましくは0.86〜0.90g/cm
3である。
【0069】
<電池用積層体>
本積層体は、ポリプロピレン系接着剤層(I)と金属製基材層(II)とを有すれば特に制限されず、所望の用途に応じて他の層を有していてもよい。
本積層体は、本発明の効果をより発揮できる等の点から、前記接着剤層(I)と金属製基材層(II)とは接していることが好ましい。
なお、ポリプロピレン系接着剤層(I)は、前記ポリプロピレン系接着剤を用いて得られる層であり、ポリプロピレン系接着剤からなる層であることが好ましい。
【0070】
本積層体は、電池に使用されるが、該電池としては、太陽電池、リチウムイオン電池および燃料電池が好ましい。
本積層体の具体的な用途としては、太陽電池の封止材(ガラスとセル間の封止材)やアルミフレームの固定材、色素増感太陽電池の活物質同士を固定するバインダーや透明電極と活物質とを固定する接着層、リチウムイオン電池の包装材(アルミニウムとシーラントPPとの間の接着層)、タブリード材(アルミニウムや銅とシーラントPPとの間の接着層)、燃料電池セルのセパレーター(チタンやステンレスなど)同士の接着層、燃料電池セルのセパレーターと各種ガスケットとの間の接着層等が挙げられる。
【0071】
本積層体の厚みは、特に制限されず、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは5μm〜100mm、より好ましくは10μm〜50mmである。
【0072】
本積層体における接着剤層(I)と金属製基材層(II)との接着力(180°ピール法、引張試験機、23℃、クロスヘッドスピード:200mm/min)は、好ましくは50〜500N/20mm、より好ましくは100〜300N/20mmである。
該接着力が前記範囲にある積層体は、常温下での接着性に優れる積層体といえる。
【0073】
本積層体における接着剤層(I)と金属製基材層(II)との接着力(180°ピール法、引張試験機、110℃、クロスヘッドスピード:200mm/min)は、好ましくは50〜500N/20mm、より好ましくは60〜300N/20mmである。
該接着力が前記範囲にある積層体は、高温雰囲気下での接着性に優れる積層体といえる。
【0074】
本積層体は、前記ポリプロピレン系接着剤を溶融し、溶融状態で金属製基材層(II)と積層することによって製造することができる。また、溶融状態の前記ポリプロピレン系接着剤を金属フィルム、金属板、金属管等の金属製基材層(II)の表面上にコーティングする方法や、前記ポリプロピレン系接着剤から予めフィルムまたはシート状などに成形した接着剤層を形成し、該接着剤層と金属製基材層(II)とを接触させた状態で該接着剤層を溶融させることで積層体を製造することもできる。この際の接着剤層を溶融させるのに必要な熱エネルギーを供給する手段としては公知の手段が挙げられ、例えば、ヒートプレス、バーナー、高周波加熱、レーザー加熱が挙げられる。
【0075】
前記ポリプロピレン系接着剤層(I)の厚みは、特に制限されず、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、十分な接着性を有する電池用積層体を容易に得ることができる等の点から、好ましくは3〜500μm、より好ましくは10〜400μmである。
【0076】
[金属製基材層(II)]
前記金属製基材層(II)は、金、銅、鉄、クロム、亜鉛、コバルト、アルミニウム、チタン、錫、インジウム、マグネシウム、モリブデン、マンガンおよび珪素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む。
前記金属製基材層(II)は、これらのうち1つの元素からなる金属板や金属箔、これらのうち2つ以上の元素を含む合金からなる板や箔等が挙げられる。
前記元素としては、アルミニウム、鉄、ステンレス、チタン等が好ましい。
【0077】
前記金属製基材層(II)の厚みは、特に制限されず、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは2μm〜100mm、より好ましくは5μm〜50mmである。
【0078】
[他の層]
前記他の層としては、無機物層、熱可塑性樹脂層、ガスバリア層等が挙げられる。
【0079】
前記無機物層としては、金属製基材層(II)の表面を被覆する層であることが好ましい。
該無機物層としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、例えば、前記金属製基材層(II)を構成する元素として挙げた金属元素を1つ以上含む酸化物、窒化物、窒酸化物、硫化物、リン化物、リン酸化物、リン窒化物およびリン窒酸化物などの無機化合物からなる層が挙げられる。
該金属元素としては、アルミニウム、鉄、ステンレス、チタン等が好ましい。
【0080】
前記熱可塑性樹脂層としては、下記バリア層以外の種々の熱可塑性樹脂からなる層、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル、ポリウレタンからなる層が挙げられ、具体的には、グラフト変性されていないポリプロピレンからなる層、熱可塑性プロピレン系エラストマーからなる層、ポリエステル系樹脂からなる層等が挙げられる。
【0081】
前記ポリエステル系樹脂からなる層は、該層を形成する原料の組成を調整して、印刷性や易接着性、蒸着性を付与した層であってもよい。
【0082】
前記ポリエステル系樹脂としては、具体的には、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などのジカルボン酸やオキシカルボン酸(例:p−オキシ安息香酸)と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコールとを重縮合させて得られる樹脂等が挙げられる。
前記ジカルボン酸、オキシカルボン酸および脂肪族グリコールはそれぞれ、1種または2種以上を用いることができる。
【0083】
前記ポリエステル系樹脂の代表例としては、PET、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)が挙げられる。また、該樹脂は、ホモポリマーの他に、30モル%以下の第三成分を含有するコポリマーであってもよい。
【0084】
前記ガスバリア層としては、特に制限されず、ガスバリア性を有する種々公知の樹脂、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアクリロニトリルなどのバリア性に優れる樹脂を用いたバリア樹脂層が挙げられる。
【0085】
前記EVOHとしては、好ましくは、エチレン含有率15〜70モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化して得られるケン化度90〜100%の重合体が挙げられる。
【0086】
前記PAとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン11、MXDナイロン、アモルファスナイロン、共重合ナイロンが挙げられる。
【0087】
本積層体が、前記他の層を有する場合の構成例としては特に制限されないが、基材層(II)/接着剤層(I)/バリア層;基材層(II)/接着剤層(I)/バリア層/接着剤層(I)/基材層(II);基材層(II)/接着剤層(I)/バリア層/接着剤層(I)/熱可塑性樹脂層などの積層体が挙げられる。
【実施例】
【0088】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施例に何ら制約されない。
【0089】
[MFR]
ASTM D1238に従い、230℃、2.16kg荷重の下、MFRを測定した。
【0090】
[密度]
JIS K7112に準拠して密度を測定した。
【0091】
[融点(Tm)]
下記方法により示差走査熱量測定することで、下記接着剤の原料として用いた共重合体のTmを測定した。
試料5mg程度を専用アルミパンに詰め、(株)パーキンエルマー製DSCPyris1またはDSC7を用い、30℃から200℃まで320℃/minで昇温し、200℃で5分間保持した後、200℃から30℃まで10℃/minで降温し、30℃でさらに5分間保持し、次いで10℃/minで昇温する際の吸熱曲線より融点を求めた。
測定時に、複数のピークが検出された場合は、最も高温側で検出されるピーク温度を融点(Tm)と定義した。
【0092】
[ポリマーの組成]
下記接着剤の原料として用いた共重合体中のプロピレン由来の構造単位、エチレン由来の構造単位およびα−オレフィン由来の構造単位の含量は、
13C−NMRにより以下の装置および条件にて測定した。
プロピレン、エチレンおよびα−オレフィン由来の構造単位の含量の定量化は、日本電子(株)製JECX400P型核磁気共鳴装置を用い、溶媒として重オルトジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20容量%)混合溶媒を用い、試料濃度を60mg/0.6mL、測定温度を120℃、観測核を
13C(100MHz)、シーケンスをシングルパルスプロトンデカップリング、パルス幅を4.62μ秒(45°パルス)、繰り返し時間を5.5秒、積算回数を8000回、29.73ppmをケミカルシフトの基準値とする条件下で測定した。
【0093】
[エチレン含量Z]
下記接着剤に用いた共重合体(A)の使用量と、前記ポリマーの組成で測定した該共重合体(A)中のエチレンに由来する構造単位の含量とから、前記式に基づいて、接着剤に含まれる共重合体(A)を構成する構造単位の総和100モル%に対する、エチレンに由来する構造単位の割合の総和(エチレン含量Z)を算出した。
【0094】
[不飽和カルボン酸およびその誘導体に由来する構造単位の量]
不飽和カルボン酸およびその誘導体に由来する構造単位の量(グラフト量)は、赤外線吸収分析装置により、該構造単位に由来するピーク(無水マレイン酸を用いた場合は1790cm
-1)の強度を測定し、予め作成した検量線を用いて定量した。
【0095】
[重量平均分子量(Mw)、および分子量分布(Mw/Mn)]
下記接着剤の原料として用いた共重合体のMwおよびMw/Mnは、東ソー(株)製TSKgelGMH6−HT×2本およびTSKgelGMH6−HTL×2本(カラムサイズはいずれも直径7.5mm、長さ300mm)を直列接続したカラムを用い、液体クロマトグラフィー(Waters社製、Alliance/GPC2000型)を用いて測定した。移動相媒体は、0.025重量%の酸化防止剤(ブチルヒドロキシトルエン、武田薬品工業(株)製)含有o−ジクロロベンゼンを用い、試料濃度を0.15%(V/W)、流速を1.0mL/分、温度を140℃とする条件下で測定を行った。標準ポリスチレンは、分子量が500〜20,600,000の場合については東ソー(株)製を用いた。
得られたクロマトグラムはWaters社製データ処理ソフトEmpower2を用い、公知の方法によって、標準ポリスチレンサンプルを使用した検量線を用いて解析することで、数平均分子量(Mn)、MwおよびMw/Mnを算出した。
【0096】
(使用したポリオレフィン)
実施例および比較例において使用したポリオレフィンを以下に示す。なお、特に断らない限り、これらポリオレフィンは、いずれも常法に従い重合を行い調製した。
【0097】
[プロピレン系共重合体(A)]
・PP:ランダムポリプロピレン
(MFR=7.0g/10分、密度=0.90g/cm
3、エチレン含量=3mol%、プロピレン含量=96mol%、ブテン含量=1mol%、融点=140℃)
・PBER:エチレン・プロピレン・α−オレフィン共重合体
(MFR=7.0g/10分、密度=0.87g/cm
3、エチレン含量=13mol%、プロピレン含量=68mol%、ブテン含量=19mol%、融点=140℃、Mw/Mn=2.1)
【0098】
[ブテン含有共重合体(B)]
・PBR−1:プロピレン・ブテンランダム共重合体
(MFR=7.0g/10分、密度=0.88g/cm
3、プロピレン含量=74mol%、ブテン含量=26mol%、融点=75℃、Mw/Mn=2.1)
・PBR−2:プロピレン・ブテンランダム共重合体
(MFR=7.0g/10分、密度=0.89g/cm
3、プロピレン含量=85mol%、ブテン含量=15mol%、融点=98℃、Mw/Mn=2.2)
【0099】
[エチレン・α−オレフィン共重合体(C)]
・EPR:エチレン・α−オレフィン共重合体
(MFR=8.0g/10分、密度=0.87g/cm
3、エチレン含量=80mol%、プロピレン含量=20mol%、Mw/Mn=2.1)
・EBR:エチレン・α−オレフィン共重合体
(MFR=8.0g/10分、密度=0.87g/cm
3、エチレン含量=85mol%、ブテン含量=15mol%、Mw/Mn=2.1)
【0100】
[変性ポリオレフィン(D)]
・変性PP:変性アイソタクティックホモポリプロピレン
(MFR=100g/10分、 密度0.90g/cm
3、無水マレイン酸グラフト量=3.0wt%)
【0101】
[実施例1]
<プロピレン系接着剤の製造>
PP(45重量%)と、PBER(20重量%)と、PBR−1(10重量%)と、EPR(20重量%)と、変性PP(5重量%)とを、一軸押出機を用いて230℃で溶融混練し、プロピレン系接着剤を得た。得られたプロピレン系接着剤のMFRは8.2g/10分であり、密度は0.89g/cm
3であった。
【0102】
<電池用積層体の製造と接着力>
Tダイ付き押出成形機により、実施例1で得られた接着剤から厚さ50μmのフィルムを成形した。得られたフィルムを厚み300μmの2枚のアルミ箔で挟み、ヒートシーラーにて160℃、0.1MPaの条件で5秒間ヒートシールした。得られた多層フィルムを20mm幅に切り、アルミ箔と接着剤層との接着力(単位:N/20mm)を、引張試験機を使用して、180°ピール法にて、室温23℃下または110℃下で測定した。クロスヘッドスピードは200mm/minとした。結果を表1に示す。
【0103】
[実施例2〜4、比較例1〜3]
表1に示す配合処方に従ってプロピレン系接着剤を調製した以外は、実施例1と同様の方法で接着剤を調製し、得られた接着剤を用いて積層体を製造し、その接着力を測定した。結果を表1に示す。
【0104】
【表1】