特許第6776444号(P6776444)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6776444自動車両のセンサ装置用マグネットユニット、マグネットユニットを有するセンサ装置、及びセンサ装置を有する自動車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6776444
(24)【登録日】2020年10月9日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】自動車両のセンサ装置用マグネットユニット、マグネットユニットを有するセンサ装置、及びセンサ装置を有する自動車両
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/12 20060101AFI20201019BHJP
   G01B 7/30 20060101ALI20201019BHJP
   G01L 3/10 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   G01D5/12 Q
   G01B7/30 M
   G01L3/10 305
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-517162(P2019-517162)
(86)(22)【出願日】2017年6月9日
(65)【公表番号】特表2019-517680(P2019-517680A)
(43)【公表日】2019年6月24日
(86)【国際出願番号】EP2017064097
(87)【国際公開番号】WO2017216051
(87)【国際公開日】20171221
【審査請求日】2019年2月6日
(31)【優先権主張番号】102016110774.3
(32)【優先日】2016年6月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508108903
【氏名又は名称】ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】グリート、スモルデルス
(72)【発明者】
【氏名】フランク、イェレムス
(72)【発明者】
【氏名】ディルク、ラフイ
(72)【発明者】
【氏名】エッケハルト、フレーリッヒ
【審査官】 吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】 特表2019−507495(JP,A)
【文献】 特開2013−61267(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102009039082(DE,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102011085290(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0020882(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00−5/252
G01B 7/00−7/34
G01L 3/00−3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両のステアリングシャフトの回転状態を特徴付ける測定変数を取得するためのセンサ装置用のマグネットユニット(10)であって、
‐ 前記マグネットユニット(10)は、スリーブ(11)と、前記スリーブ(11)にポジティブ・ロッキング式に接続されるマグネット要素(12)とを含み、
‐ 前記スリーブは、前記マグネットユニット(10)をステアリングシャフトの第1部分に接続するためのブッシュ形状取付セクション(11A)と、径方向外方に延在する接続フランジ(11B)であって、前記マグネット要素(12)に接続するための径方向外面(14)を有する少なくとも1つの切欠(11C)を含む接続フランジ(11B)とを含み、
‐ 前記マグネット要素(12)は、磁気有効マグネットセクション(12A)と、更に軸方向に延在する少なくとも1つの接続要素(12B)であって、前記スリーブ(11)に接続するための径方向内面(13)を含む接続要素(12B)とを含み、
‐ 前記マグネットユニット(10)がその意図される機能に応じた使用状態において使用される際に、前記マグネット要素(12)の少なくとも1つの接続要素(12B)は、前記スリーブ(11)の前記接続フランジ(11B)の少なくとも1つの切欠(11C)を通過して延在し、且つ、前記マグネット要素(12)の前記接続要素(12B)が、接線方向及び軸方向にけるポジティブ・ロッキング接続部を、前記スリーブ(11)の前記接続フランジ(11B)とともに形成するように構成される、
マグネットユニット(10)において、
前記マグネットユニット(10)は、少なくとも1つの動作状態において、好適には基準大気温度にある場合の基準状態において、少なくとも1つの接続要素(12B)の前記径方向内面(13)が、前記スリーブ(11)の前記接続フランジ(11B)の対応する切欠(11C)の前記径方向外面(14)に対して径方向に離間するように構成され
前記スリーブ(11)と前記マグネット要素(12)とは、異なる熱膨張係数を有し、好適には、前記マグネット要素(12)の長さ及び/又は体積の熱膨張係数は、前記スリーブ(11)の長さ及び/又は体積の熱膨張係数より大きく、
特に、前記スリーブ(11)及び前記マグネット要素(12)は、基準大気温度にある場合の基準状態における前記スリーブ(11)と前記マグネット要素(12)との間の少なくとも1つのポジティブ・ロッキング接続部が、接線及び/又は軸方向において遊びがないように構成される、
ことを特徴とするマグネットユニット(10)。
【請求項2】
前記スリーブ(11)は、周方向に分散配置された少なくとも3つ、特に少なくとも4つの切欠(11C)を含み、
前記マグネット要素(12)は、好適には、切欠(11C)に対応する態様で分散配置された少なくとも3つ、特に少なくとも4つの接続要素(12B)を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のマグネットユニット(10)。
【請求項3】
前記マグネットユニット(10)がその意図される機能に応じた使用状態において使用されている時に、前記マグネット要素(12)の少なくとも1つの接続要素(12B)は、前記軸方向ポジティブ・ロッキング接続部を前記スリーブ(11)の前記接続フランジ(11B)とともに形成するように少なくとも1つのアンダーカットを含み、
前記接続要素(12B)は、好適には、フック形状、及び/又はT字形状、及び/又は錨形状の態様に構成される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のマグネットユニット(10)。
【請求項4】
自動車両のステアリングシャフトの回転状態を特徴付ける測定変数を取得するためのセンサ装置において、前記センサ装置は、請求項1乃至のいずれか一項に記載のマグネットユニット(10)を含む、ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項5】
センサ装置を有する自動車両において、前記センサ装置は請求項に従って構成される、ことを特徴とする自動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両のステアリングシャフトの回転状態を特徴付ける測定変数を取得するためのセンサ装置用のマグネットユニットに関する。マグネットユニットは、マグネットユニットをステアリングシャフトの第1部分に接続するためのスリーブを有し、前記マグネットユニットは、スリーブに接続されるとともに磁気有効マグネットセクションを有するマグネット要素も含む。更に、本発明は、自動車両のステアリングシャフトの回転状態を特徴付ける測定変数を取得するためのセンサ装置に関する。また、本発明は、このようなセンサ装置を有する自動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なマグネットユニットは、例えば、自動車両のステアリングシャフトにかかるトルクを測定するためのトルクセンサ装置において使用されている。このようなマグネットユニットが機能する態様は、例えばEP 0 1 269 133 B1号等の従来技術から、基本的に公知である。
【0003】
通常、マグネットユニットは、ステアリングシャフトの2つの部分であって、軸方向に互いに対向して配置される部分のうちの一方に取り付けられるように構成される。ステアリングシャフトの回転状態を確定するために、センサ装置を他方のシャフト部分に取り付けることも可能である。このセンサ装置は磁性ステータを有する。磁性ステータは、マグネットユニットのマグネット要素に径方向に対向して、それらの間に小さい空隙が存在するように配置されるように設けられる。このステータを使用して、マグネット要素において生じるとともにシャフトの回転状態に依存する磁束を、マグネット要素から、磁束伝導体を介して、ホールセンサ等のマグネットセンサに伝達することにより、センサ信号を生成することが可能である。
【0004】
通常、一般的なマグネットユニットは、永久磁石として構成された環状マグネット要素と、多くの場合更に金属スリーブとを有する。金属スリーブを介して、マグネットユニットは、ステアリングシャフトに接続され得る。スリーブをステアリングシャフトに、例えば、接着、溶着、かしめによって、又はプレス嵌め接続によって、回転不能に接続することが公知である。
【0005】
一方でマグネットユニットとステアリングシャフトとの間の永久的に回転不能な接続を得るという課題と、他方でマグネットユニットとスリーブとの間のできるだけ遊びのない且つ回転不能な接続を得るという課題とが、常に存在している。
【0006】
通常のマグネットユニットのマグネット要素は、通常、磁性粒子を多量に含有する合成材料から構成され、一般に合成材料射出成形方法を利用して製造される。一方で、マグネット要素をスリーブに直接的に射出成形すること、又は磁性材料をスリーブの周囲に射出成形することが知られている。他方で、スリーブとマグネット要素とをまず別個に製造し、次いで例えばこれら2部品を接着することにより、又はこれら2部品を別の合成材料を用いて一緒に射出成形することにより、両者を互いに接続することが知られている。
【0007】
磁性粒子の含有レベル(fill level)は一般に高いため、特に低温において、合成材料は一般に比較的脆弱であるか弾性が低い。スリーブとマグネット要素とが異なる熱膨張係数を有することを理由として、特に、マグネット要素がスリーブに直接的に射出成形される場合、又は磁性材料がスリーブの周囲に射出成形されている場合、溶融した合成材料が冷却されるにつれて、熱的に誘起された縮み応力が生じる可能性があり、この縮み応力がマグネット要素に形成されるクラック(ひび)の原因となり得る。
【0008】
更に、特にマグネット要素がスリーブに射出成形されている、又はスリーブに接着されている場合、作業中に温度変動が生じた場合、熱誘起応力がマグネットユニット内で生じる可能性があり、これは、また、マグネット要素に形成されるクラックの原因となり得る。
【0009】
このため、DE 10 2009 039 082 A1号において、スリーブとマグネット要素とをまず別個に製造し、次いで、これら2部品を互いに接着する代わりに、これら2部品をポジティブ・ロッキング式に互いに接続することが提案されている。スリーブは、この目的のためにブッシュ形状の本体を含む。本体は、径方向外方に延在するフランジであって、周方向に分散させた複数の切欠を含むフランジを有している。マグネット要素は、スリーブに対して同心的に構成されるとともにスリーブの外側に配置され、且つその端面に切欠に対応して構成された複数のドームを含む。これらのドームは、スリーブのフランジの切欠を通過して延在するとともに、フランジに、フランジに対してポジティブ・ロッキング式に接続される。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、代替的なマグネットユニット、好適には製造が特に単純なマグネットユニットを提供することである。具体的には、マグネット要素に熱誘起応力を原因とするクラックが形成されるリスクを減少させることが可能なマグネットユニットであって、少なくとも1つの動作状態において、接線方向において遊びのない回転不能な接続を確保することが同時に可能であるマグネットユニットを提供することである。
【0011】
この目的は、本発明に従って、各独立請求項に記載の特徴を有するマグネットユニットによって、センサ装置によって、及び自動車両によって達成される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項、詳細な説明、及び図面の主題であり、以下に更に説明される。
【0012】
自動車両のステアリングシャフトの回転状態を特徴付ける測定変数を取得するためのセンサ装置用の本発明によるマグネットユニットは、スリーブと、更に前記スリーブにポジティブ・ロッキング式に接続されるマグネット要素とを含む。前記スリーブは、前記マグネットユニットをステアリングシャフトの第1部分に接続するためのブッシュ形状取付セクションと、更に径方向外方に延在する接続フランジであって、前記マグネット要素に接続するための径方向外面を有する少なくとも1つの切欠を含む接続フランジとを含む。本発明による前記マグネットユニットの前記マグネット要素は、磁気有効マグネットセクションと、更に軸方向に延在する少なくとも1つの接続要素であって、前記スリーブに接続するための径方向内面を含む接続要素とを含む。
【0013】
このようにして、前記マグネットユニットがその意図される機能に応じた使用状態において使用される際に、前記マグネット要素の少なくとも1つの接続要素は、前記スリーブの前記接続フランジの少なくとも1つの切欠を通過して延在し、且つ前記マグネット要素の前記接続要素が、接線方向及び軸方向にけるポジティブ・ロッキング接続部を、前記スリーブの前記接続フランジとともに形成するように構成される。本発明によれば、前記マグネットユニットは、少なくとも1つの動作状態において、好適には基準環境温度にある場合の基準状態において、少なくとも1つの接続要素の前記径方向内面が、前記スリーブの前記接続フランジの対応する切欠の前記径方向外面に対して径方向に離間するように構成される。
【0014】
「マグネットユニットのその意図される機能に応じた使用状態」という用語は、本発明に関して、マグネット要素が、接線方向及び軸方向においてポジティブ・ロッキング式にスリーブに接続されている状態を意味するものとして理解される。
【0015】
接続フランジの切欠のうちの少なくとも1つが、径方向外方に開放した態様で構成されることが好適である。全ての切欠が開放切欠として構成されることが、特に好適である。しかしながら、場合により、少なくとも1つの切欠が細長孔として、特に径方向に配向された細長孔として構成されることが有利なこともある。この場合、特に、少なくとも1つの動作状態において、対応する接続要素の1つの径方向外面を、また、細長孔の径方向内面に対して径方向に離間して位置させることが好適である。換言すれば、少なくとも1つの動作状態において、特に基準状態において、前記径方向外面は、前記内側孔縁部、更に外側孔縁部の両方に対して、離間して配置される。
【0016】
少なくとも1つの接続要素、好適には全ての接続要素の径方向内面が、本発明によれば、スリーブの接続フランジの対応する切欠の径方向外面に対して径方向にそれぞれ離間して配置されているため、温度変化があった場合に、マグネット要素は、スリーブによって邪魔されることなく、径方向に収縮する又は縮むことが可能となる。換言すれば、本発明によれば、接続要素が切欠内において径方向に配設されない、具体的には内方を向かない事によって、マグネット要素は、ほぼ支障なく収縮する又は縮むことが可能となる。スリーブの接続フランジの切欠が、径方向外方に開放するように構成されている場合、及び/又は、細長孔の形状において接続要素に対して細長孔の外側孔縁部又は径方向内側面が十分に距離を置いて構成されている場合、マグネット要素は、温度変化があった場合、同様に支障なく膨張することが可能である。
【0017】
したがって、本発明によるマグネットユニットの使用により、非常に単純な態様で、マグネット要素内でクラックが形成される原因となり得る熱誘起応力が、マグネット要素に生じることを減少させることができる。スリーブ及びマグネット要素の対応する構成の場合、特に、接続要素と切欠との間に径方向に対応して大きい距離が置かれる場合、熱誘起応力が生じることを大いに防止することができる。
【0018】
本発明によるマグネットユニットの1つの有利な実施形態において、前記スリーブは、周方向に分散配置された少なくとも3つ、特に同様に少なくとも4つの切欠を含み、前記マグネット要素は、好適には、前記切欠に対応する態様で分散配置された少なくとも3つ、特に少なくとも4つの接続要素を含む。切欠及び/又は接続要素が、周方向において均一に分散配置されることが特に好適である。複数のポジティブ・ロッキング接続部が外縁の周囲に分散配置されるとともに、それぞれが切欠と接続要素とによって形成されることにより、マグネット要素とスリーブとの間の横方向又は接線方向のずれ(変位)を防止することが可能となる。複数のポジティブ・ロッキング接続部を周方向において均一に分散配置することにより、個々のポジティブ・ロッキング接続部に均一に力を分散することが可能となる。
【0019】
本発明によるマグネットユニットの他の有利な実施形態において、前記スリーブと前記マグネット要素とは、異なる熱膨張係数を有し、好適には、前記マグネット要素の長さ及び/又は体積の熱膨張係数、前記スリーブの長さ及び/又は体積の熱膨張係数り大きい。これにより、前記スリーブ及び前記マグネット要素は、好適には、基準大気温度にある場合の基準状態における前記マグネット要素と前記スリーブとの間の少なくとも1つのポジティブ・ロッキング接続部が、接線及び/又は軸方向において遊びがないように構成される。
【0020】
マグネット要素とスリーブとの間のポジティブ・ロッキング接続部が好適には接線方向及び/又は軸方向において遊びがない基準大気温度とは、好適には15℃乃至30℃、特に20℃乃至25℃の温度範囲にあり、好適には20℃又は23℃である。
【0021】
本発明によるマグネットユニットの他の有利な実施形態において、前記マグネットユニットがその意図される機能に応じた使用状態において使用されている時に、前記マグネット要素の少なくとも1つの接続要素は、前記軸方向ポジティブ・ロッキング接続部を前記スリーブの前記接続フランジとともに形成するように少なくとも1つのアンダーカットを含み、前記接続要素は、好適には、フック形状、及び/又はT字形状、及び/又は錨形状態様において構成される。
【0022】
本発明によるマグネットユニットのスリーブは、好適には、金属を含む、及び/又は金属から製造される。スリーブは、好適には、深絞り成形方法によって製造される。スリーブは、これがステアリングシャフトの一部にプレス嵌め方法によって取り付けられ得る、又はステアリングシャフトの上記一部に溶接され得るように構成されることが好適である。或いは、スリーブは、ステアリングシャフトの上記一部にかしめられる、又は接着されてもよいが、ステアリングシャフトに対してプレス嵌め接続又は溶接接続によって接続されることが特に有利であることが判明している。
【0023】
マグネット要素のマグネットセクションは、好適には、また、管状又は環状態様において特に周方向に閉鎖して構成される、又は、管状又は環状マグネットセクションの態様、又は従来技術から公知の従来の環状マグネットの態様と同様の態様で機能するように構成されることが好適であり、マグネットセクションは、好適にはスリーブに対して同心的に配置される。
【0024】
本発明によるマグネットユニットのマグネット要素は、好適には、磁性粒子を多量に含有する合成材料を含む、及び/又はそのような合成材料から構成される。マグネット要素は、好適には、合成材料射出成形方法を利用して製造される。マグネット要素が、スリーブに対する射出成形によって、及び/又はスリーブの周囲に射出成形されることによって製造され、このようにしてスリーブに接続されていることが特に好適である。
【0025】
マグネット要素をスリーブに射出成形すること、及び/又はこれをスリーブの周囲に射出成形することによるマグネット要素の取付の代替方法として、マグネット要素をスリーブとは別個にまず製造して、次いでこれをポジティブ・ロッキング式にスリーブに接続することも可能である。本例において、マグネット要素も好適には合成材料射出成形方法を利用して製造される。これにより、マグネット要素は、好適には、ドーム形状態様において構成されるがアンダーカットは有さない接続要素を有してまず製造される。この結果、マグネット要素をスリーブに対して軸方向に変位させることにより、接続要素をスリーブの接続フランジの対応する切欠に挿入することができる、又は前記接続要素を切欠を通過させて案内することができる。
【0026】
接続要素が以下のように構成されることが好適である。すなわち、特に前記接続要素をスリーブの接続フランジの切欠に挿入または案内した後に、軸方向ポジティブ・ロッキング接続部を作成するために必要なアンダーカットが作成されるように、前記接続要素が変形し得る。これにより、特にこうしてマグネット要素とスリーブとの間に作成されるポジティブ・ロッキング接続部が、基準状態において接線方向及び/又は軸方向において遊びがないように、接続要素は、好適には、かしめ、熱かしめ(hot caulking)、又は超音波かしめ(ultrasound caulking)によって変形するように構成される。
【0027】
かしめ、特に熱かしめ、又は超音波かしめによる合成接続要素の変形は、従来技術から広く公知であり、この点については更に言及しない。
【0028】
自動車両のステアリングシャフトの回転状態を特徴付ける測定変数を取得するための本発明によるセンサ装置は、本発明によるマグネットユニットを含む。
【0029】
センサ装置を有する本発明による自動車両は、本発明によるマグネットユニットを有する本発明によるセンサ装置を含む。
【0030】
マグネットユニットに関して提示された有利な実施形態及びそれらの利点は、本発明によるセンサ装置、及び本発明による自動車両に同様に適用される。
【0031】
本発明の更なる特徴が、請求項、図面、及び図面の説明に開示される。上記の全ての特徴及び特徴の組合せ、並びに下記の図面の説明に記載の、及び/又は図面にのみ図示された全ての特徴及び特徴の組合せは、開示された各組合せのみならず他の組合せにおいても、或いは独立して利用され得る。
【0032】
本発明を、例示的な有利な実施形態を使用して、添付図面を参照しつつ更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明によるマグネットユニットの例示的な第1実施形態の斜視図。
図2図1に示す本発明によるマグネットユニットの長手方向断面図。
図3図1及び2に示す本発明によるマグネットユニットの、スリーブとマグネット要素との間のポジティブ・ロッキング接続部の領域における横断面図。
図4】スリーブとマグネット要素と間にポジティブ・ロッキング接続部が形成される前の図1乃至3に示す本発明によるマグネットユニットを示す図。
図5図1乃至4に示す本発明によるマグネットユニットのスリーブの単独斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、スリーブ11とマグネット要素12とを有する本発明によるマグネットユニット10の例示的な第1実施形態を示す。スリーブ11は、マグネットユニットをステアリングシャフト(図示せず)の第1部分に取り付けるためのブッシュ形状取付セクション11Aを含む。前記スリーブは、また、径方向外方に延在することで当該スリーブ11をマグネット要素12に接続する接続フランジ11Bを含む。
【0035】
本発明によるマグネットユニット10のマグネット要素12は、また、ブッシュ形状又は管形状態様で構成された有効マグネットセクション12Aを含む。本例において、前記マグネットユニットは、周方向において均等に分散配置された4つの接続要素12Bを含む。これに対応して、スリーブ11は、その接続フランジ11Bにおいて同様に周方向において均等に分散配置された4つの切欠11Cを含む。図2乃至5も参照されたい。マグネット要素12の接続要素12Bは、前記切欠を通過して軸方向にそれぞれ案内される。
【0036】
接続要素12Bは、これらがスリーブ11の接続フランジ11Bとともに、接線方向並びに軸方向の両方においてポジティブ・ロッキング接続部を形成するように構成される。接続要素12Bは、それぞれこの目的のためにT字形状又は錨形状態様に構成され、対応するアンダーカットを含む。
【0037】
本発明によれば、接続要素12Bは、それらの径方向内面13が、対応する切欠11Cの径方向外面14に対して径方向に離間して配置されるように構成され、この結果、マグネット要素は、温度変動があった場合に、径方向内方に支障なく収縮し得る。換言すれば、前記マグネット要素は支障なく縮み得る。切欠11Cが径方向外方に開放する態様で構成されていることにより、マグネット要素12は、また、径方向外方に支障なく膨張し得る。図3は、接続要素12Bの離間構成、特には、接続要素12Bの径方向内面13と切欠11Cの径方向外面との間の間隔を、特に明瞭に示す。
【0038】
本発明によるマグネットユニット10の例示的な本実施形態の場合、接続要素12Bとスリーブ11の接続フランジ11Bとの間のポジティブ・ロッキング接続部は、更に、基準環境温度が20℃である場合の基準状態において、前記接続部が接線方向及び軸方向の両方において遊びがないように構成される。
【0039】
上記の創造的なマグネットユニット10を製造するために、スリーブ11及びマグネット要素12は、それぞれまず別個に製造される。図4を参照されたい。マグネット要素12の接続要素12Bは、まず全体的なマグネット要素として、合成材料射出成形方法を利用して、アンダーカットを有さないドーム形状又はウェブ形状接続要素として最初に製造される。次いで、スリーブ11とマグネット要素12とが軸方向に互いに接合され、これにより、接続要素12Bはスリーブ11の切欠11Cに挿入される、又は、前記接続要素は切欠を通過して案内される。更なるステップにおいて、接続要素12Bは、変形方法によって、特には熱かしめによって、図1及び2に明瞭に示す接続要素12BのT字形状又は錨形状が、それぞれが軸方向ポジティブ・ロッキング構成を形成するアンダーカットを有して作製されるように、変形される。
【0040】
或いは、本発明によるマグネットユニット10を製造するように、マグネット要素をスリーブに射出成形することも当然ながら可能である。この目的のために、対応する射出成形ツールは、接続要素の径方向内面のそれぞれが、関連付けられる切欠の径方向外面まで延在することなく、本発明によれば、対応する切欠の径方向外面に対して径方向に間隔を置いて射出成形されるように、構成されなければならない。これにより、マグネット要素は径方向に支障なく縮み得るため、結果として熱誘起応力がマグネット要素内で生じることを回避することができる、又は、マグネット内のこのような熱誘起応力のリスクが大幅に削減され得る。
【0041】
説明された例示的実施形態に対する多くの構成変形例が、請求項の範囲を逸脱せずに可能であることは当然である。
【符号の説明】
【0042】
10 本発明によるマグネットユニット
11 スリーブ
11A ブッシュ形状取付セクション
11B 接続フランジ
11C 切欠
12 マグネット要素
12A 有効マグネットセクション
12B 接続要素
13 接続要素の径方向内面
14 切欠の径方向外面
図1
図2
図3
図4
図5