特許第6776491号(P6776491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6776491-電極チップ交換装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6776491
(24)【登録日】2020年10月12日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】電極チップ交換装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 11/31 20060101AFI20201019BHJP
【FI】
   B23K11/31
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-140859(P2016-140859)
(22)【出願日】2016年6月29日
(65)【公開番号】特開2018-1268(P2018-1268A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】392014760
【氏名又は名称】新光機器株式会社
(72)【発明者】
【氏名】蕗澤 武夫
【審査官】 岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−262201(JP,A)
【文献】 特開平07−144284(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/034598(WO,A1)
【文献】 実開昭63−085387(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 11/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャンクに取付けた電極チップを取外す取外し装置と複数の電極チップを整列して収納し、供給口から挿入されるシャンクが電極チップに嵌合して電極チップをシャンクに取付けるマガジンとからなり、前記取外し装置の上面に、マガジンを、供給口が形成された一方端を他方端より低くなるように傾斜して取付けた電極チップの交換装置において、前記マガジンを、供給口を形成した前面側板側を後面側板側より高くなるように傾斜して取付けたことを特徴とする電極チップの交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポット溶接機のシャンクに取付けられた電極チップを脱着する電極チップの交換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属部材の溶接手段のひとつとしスポット溶接が広く利用されており、スポット溶接機では電極部としてシャンクに電極チップを取付けたものがあるが、電極チップを長時間使用していると、電極チップの先端形状が変形、摩耗して溶接品質の確保が難しくなるため、一定の処理時間或は一定の溶接打点数を超えると、電極チップを取外し、新品或は研磨処理した電極チップに交換して溶接品質を維持していた。
【0003】
従来、このような電極チップの交換装置として、図5に示すように、スライドユニット51に搭載した一対の取外し装置52を上下に配置するとともに、スライドユニット53に搭載し、複数の電極チップを整列して収納した一対のマガジン54を上下に、取外し装置51に隣接して配置し、溶接ガンの一対の電極チップを取外し装置1にて同時に取外し、マガジン54に収納された電極チップを同時に取付けていた。(特許文献1参照)
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2008/062549号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のものでは、内部に複数の電極チップが整列して収納されたマガジンに、電極チップを供給口まで供給するスプリング力等を利用した供給手段が必要であり、マガジンの構造が複雑になった。またシャンクを損傷させることなく電極チップを脱着するために、スライドユニットに取外し装置やマガジンを搭載していたので、構造が複雑で、交換装置が大型になるという問題があった。
【0006】
本発明は、前記の問題を解決し、構造が簡単かつ小型で、安価に製造でき、電極チップがマガジンの供給口から抜け落ちる恐れがない電極チップの交換装置を提供することを目的になされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の電極チップの交換装置は、シャンクに取付けた電極チップを取外す取外し装置と複数の電極チップを整列して収納し、供給口から挿入されるシャンクが電極チップに嵌合して電極チップをシャンクに取付けるマガジンとからなり、前記取外し装置の上面に、マガジンを、供給口が形成された一方端を他方端より低くなるように傾斜して取付けた電極チップの交換装置において、前記マガジンを、供給口を形成した前面側板側を後面側板側より高くなるように傾斜して取付けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
発明では、取外し装置の上面に、マガジンを、供給口が形成された一方端を他方端より低くなるように傾斜して取付けた電極チップの交換装置において、前記マガジンを、供給口を形成した前面側板側を後面側板側より高くなるように傾斜して取付けたのでマガジンに整列して収納されている電極チップは、電極チップが供給口から取出されると、残りの電極チップは自重によって滑り落ち供給口に供給されるので、電極チップを供給口に供給する供給手段が不要になりマガジンの構成が簡単になり、安価に製造でき、また、マガジンを、供給口を形成した前面側板側を後面側板側より高くなるように傾斜して取付けたので電極チップがマガジンの供給口から抜け落ちる恐れがないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態を示す正面図である。
図2図1の上面図である。
図3】電極チップを取外す方法を説明する図である。
図4】電極チップを取付ける方法を説明する図である。
図5】従来例を示す斜視図である
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図1乃至図4に基づいて説明する。
1はスポット溶接機のロボットアーム先端に取付けられた溶接ガン2に取付けられたシャンク3の先端から電極チップ4を取外す、電極チップ4の取外し装置であり、取外し装置1の先端には、固定爪5と、該固定爪5の基部に軸6にて回動可能に可動爪7が設けられており、該可動爪7が軸6を中心に回動することにより、可動爪7が固定爪5に対して図3(ロ)で示す開いた状態になる。この取外し装置1の固定爪5と可動爪7が開閉する機構の詳細は本出願人による出願PCT/JP2004/011688に記載されている。
【0011】
8は複数の電極チップ4を整列して収納するマガジンであり、マガジン8は、前面側板9の一方端に電極チップの供給口となる切欠き部10を形成した、U字形樋状の本体11と、該本体11の一方端開口を覆う側板部12の下方に取付け板部13を形成するとともに、中間部に本体10の底面を載置し、ねじ14にて取付ける載置板部15を突設した一方端側板16と、本体10の他方端開口を覆う他方端側板17と、本体10の上面開口を覆う着脱可能なカバー18とから構成されている。
【0012】
前記、マガジン8を取外し装置1に取付けるには、取外し装置1の上面先端部に、ねじ19にて固定した取付け金具20にマガジン8の一方端側板16の取付け板部13を沿わせてねじ21にて固定するが、このとき、マガジン8の供給口10が形成された一方端を他方端より低くなるよう傾斜するように一方側側板部16が形成されるとともに、供給口10の形成された前面側板9側が後面側板22側より高くなるよう傾斜して取付けてあり、収納した電極チップ4が、自重によって常に供給口10に供給されるとともに、電極チップ4が供給口10より抜け落ちる恐れがない。尚、前記実施の形態では、一方端から下方端への傾斜角度aは30°であり、また前面側板9側から後面側板22側への傾斜角度bは10°になっている。
【0013】
尚、シャンク3の先端に電極チップ4の取付け部25が形成され、電極チップ4を取付けた場合、電極チップ4の後端と取付け部25の後端との間に溝部26が形成される。
【0014】
次に、前記実施の形態における電極チップの交換装置の交換方法を説明すると、図3(イ)に示すように溶接ガン2の電極チップ4が取付けられている一方のシャンク3を電極チップ4の後端の溝部26が取外し装置1の可動爪7が閉じた状態の固定爪5、可動爪7に対応するように位置させ、シャンク3の軸と直角方向に移動し、図3(ロ)に示すように電極チップ4を取付けたときに形成される溝部26を固定爪5、可動爪7の切欠き溝である挿入溝27、28に挿入し、シャンク3が固定爪5、可動爪7の挿入溝27、28の正常な位置に挿入されると、可動爪7が回動し固定爪5から開いた状態となり、電極チップ4は一方のシャンク3から外れた後、一方のシャンク3が固定爪5、可動爪7の挿入溝27、28から外れた図3(イ)の位置に戻る。さらにこの後、溶接ガン2が180°回転し、他方のシャンク3の溝部26を可動爪7が閉じた状態の固定爪5、可動爪7に対応し、一方シャンク3から電極チップ4を外したのと同様にして電極チップ4を他方のシャンク3から外す。
【0015】
尚、シャンク3の溝部26を固定爪5、可動爪7の挿入溝27、28に挿入するのに、シャンク3側を動かして挿入、または固定爪5、可動爪7を前進させて挿入のどちらでも良い。
【0016】
次に、溶接ガン2を動作して、図4(イ)に示すように一方のシャンク3の電極チップ4の取付け部25をマガジン8の供給口10に対応させ、シャンク3を軸方向に移動し、図4(ロ)で示すように、一方のシャンク3の電極チップ4の取付け部25をマガジン8の供給口10から挿入し、シャンク3の電極チップ4の取付け部25をマガジン8内の電極チップ4の嵌合穴29に嵌合して一方のシャンク3に電極チップ4を取付けた後、溶接ガン2は図4(イ)の位置に戻る。この後溶接ガン2は180°回転し、他方のシャンク3の電極チップ4の取付け部25を、マガジン8の供給口10に対応し、一方のシャンク3に電極チップ4を取付けたのと同様にして他方のシャンク3に電極チップ4を取付けて電極チップ4の交換を完了する。
【0017】
本発明では、取外し装置1の上面に、マガジン8を、供給口10が形成された一方端を他方端より低くなるように傾斜して取付けた電極チップの交換装置において、前記マガジン8を、供給口10を形成した前面側板9側を後面側板22側より高くなるように傾斜して取付けたのでマガジン8に整列して収納されている電極チップ4は、電極チップ4が供給口10から取出されると、残りの電極チップ4は自重によって滑り落ち供給口10に供給されるので、電極チップ4を供給口10に供給する供給手段が不要になりマガジン8の構成が簡単になり、安価に製造でき、また、マガジン4を、供給口10を形成した前面側板9側を後面側板22側より高くなるように傾斜して取付けたので、電極チップ4がマガジン8の供給口10から抜け落ちる恐れがない。
【0018】
以上のように、本発明では、構成が簡単かつ小型で、安価に製造でき、さらに電極チップがマガジンの供給口から抜け落ちる恐れがない電極チップの交換装置を提供できる。
【符号の説明】
【0019】
1 取外し装置
2 溶接ガン
3 シャンク
4 電極チップ
5 固定爪
7 可動爪
8 マガジン
9 前面側板
10 供給口
図1
図2
図3
図4
図5