(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、プレス加工の分野においては、プレス装置で加工したプレス加工品を排出する際に、ベルトコンベア装置が用いられる。具体的には、搬送ロボットやフィーダ装置等の取り出し装置が、プレス装置で加工したプレス加工品をプレス装置から取り出してベルトコンベア装置の載置部に置き、ベルトコンベア装置がそのプレス加工品を下流側に搬送するというものである。
【0006】
このとき、プレス装置は一般的に大型であるため、取り出し装置がプレス装置からプレス加工品を取り出す位置と、床面に設置された一般的なベルトコンベア装置にプレス加工品を載置する位置との間には、大きな高低差が生じることになる。
したがって、この場合、取り出し装置は、高い位置から低い位置にプレス加工品を移動させるため、多くの搬送時間を要することになる。そうすると、ラインバランシングの観点から、取り出し装置の搬送時間にプレス加工の加工速度を合わせる必要があるため、結果としてプレス加工の生産性が低下することになる。
また、プレス装置で用いられる金型の高さが一様ではないため、取り出し装置がプレス加工品を取り出す位置は必ずしも一定とはならない。すなわち、ロット毎(金型毎)に、プレス装置からプレス加工品を取り出す位置が上下方向で変更になる可能性がある。
【0007】
これに対し、高所から低所へと被搬送物を搬送でき、且つ、取り出す位置の上下方向での変更に合わせて、被搬送物を載置する載置部の高さを調整可能なベルトコンベア装置の開発が求められている。
【0008】
ちなみに、上述した特許文献1又は2に記載の傾斜コンベアは、高所から低所への被搬送物を搬送するものではなく、載置部の高さを調整可能とはなっていない。
また、特許文献3記載のコンベア装置は、構造が複雑であり、載置部の高さが調整可能とはなっていない。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、比較的簡単な構造でありながら、高所から低所へと被搬送物を搬送でき、且つ、載置部の高さを調整可能なベルトコンベア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、第1枠体に挟まれた無端ベルトの上面の載置部を昇降移動可能とし、且つ、第1枠体に枢着された第2枠体の下流側の端部を、第1枠体よりも低所に固定された支持体に枢着することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明は、(1)高所にある載置部に載置した被搬送物を低所に搬送するためのベルトコンベア装置であって、被搬送物の搬送方向に延びる一対の第1枠体及び
第1枠体の下流側の一対の第2枠体と、第1枠体の上面よりも低所に固定された支持体と、第1枠体の上流側の端部に、両端が支持された第1可動プーリと、第1枠体の下流側の端部に、両端が支持された第2可動プーリと、第2枠体の下流側の端部に、両端が支持された駆動プーリと、第1可動プーリ、第2可動プーリ及び駆動プーリに架設された無端ベルトと、第1枠体に取り付けられたリフターと、を備え、
第1枠体がスライド機構を介してリフターに取り付けられており、該スライド機構が、レール部と、該レール部の長さ方向に沿ってスライド自在なスライダー部と、からなり、レール部及びスライダー部のうちのいずれか一方が第1枠体の下部に取り付けられ、他方がリフターの上部に取り付けられており、一対の第1枠体に挟まれた無端ベルトの上面が載置部となっており、無端ベルトが、第1可動プーリ、第2可動プーリ、又は、駆動プーリにより駆動されるものであり、第2枠体の上流側の端部が、第1枢着部で第1枠体に枢着され、第2枠体の下流側の端部が、第2枢着部で支持体に枢着され、第1枠体がリフターの駆動に基づいて昇降移動可能となって
おり、第1枠体が昇降移動する場合、スライド機構により第1枠体がリフターに対してスライドするベルトコンベア装置に存する。
【0013】
本発明は、(
2)第2可動プーリの下方には、補助プーリが設けられており、該補助プーリが、無端ベルトの下側を下方から支持している上記(1
)記載のベルトコンベア装置に存する。
【0014】
本発明は、(
3)第2可動プーリの回転軸と、第1枢着部の枢着軸とが同一軸となっており、駆動プーリの回転軸と、第2枢着部の枢着軸とが同一軸となっている上記(1)
又は(2)に記載のベルトコンベア装置に存する。
【0015】
本発明は、(
4)リフターが、固定された基部と、該基部に対して昇降移動可能な昇降部と、該昇降部を駆動させるための駆動装置とを有し、昇降部にはガイドバーが設けられ、基部には把持孔が設けられ、ガイドバーが把持孔に拘束された状態で、摺動可能に挿入されている上記(1)〜(
3)のいずれか1つに記載のベルトコンベア装置に存する。
【0016】
本発明は、(
5)被搬送物が、プレス装置で加工されたプレス加工品であり、取り出し装置によりプレス装置から取り出されたプレス加工品を搬送するために用いられる上記(1)〜(
4)のいずれか1つに記載のベルトコンベア装置に存する。
【発明の効果】
【0017】
本発明のベルトコンベア装置においては、第1枠体に取り付けられたリフターを駆動させ、第1枠体を上昇させることにより、一対の第1枠体に挟まれた無端ベルトの上面の載置部を高所に配置することが可能となっている。
このとき、第2枠体は、第1枠体に枢着され、且つ、第2枠体の下流側の端部が、第1枠体よりも低所に固定された支持体に枢着されているので、傾斜した状態となる。
これらのことから、ベルトコンベア装置においては、高所にある載置部に載置した被搬送物を、無端ベルトにより、傾斜した第2枠体の間を通過して、低所に搬送することが可能となっている。
【0018】
本発明のベルトコンベア装置においては、第1枠体がリフターの駆動に基づいて昇降移動可能となっているので、載置部の高さを調整することが可能となっている。
なお、第2枠体は、第1枢着部で第1枠体に枢着され、第2枢着部で支持体に枢着されているので、第1枠体及び支持体に対し、回動自在となっている。このため、第2枠体を第1枠体の昇降移動に追従させることができる。
【0019】
ここで、リフターによる昇降移動が鉛直方向であるのに対し、載置部の昇降移動は、厳密には、第2枢着部を中心とする円弧方向であるため、載置部の昇降移動の際には、第1枠体とリフターとの間に負荷が生じる。
本発明のベルトコンベア装置においては、第1枠体を、レール部とレール部の長さ方向に沿ってスライド可能なスライダー部とからなるスライド機構を介して、リフターに取り付けることにより、載置部の昇降移動の際に、第1枠体とリフターとの間に付与される負荷を逃がすことができ、第2枠体20は無理なく、第2枢着部P2を中心に回動して傾斜することができる。
【0020】
本発明のベルトコンベア装置は、枠体、プーリ、無端ベルト及びリフターからなるものであるため、比較的簡単な構造でありながら、上述した効果を奏することができる。
【0021】
本発明のベルトコンベア装置においては、第2可動プーリの下方に、無端ベルトの下側を下方から支持する補助プーリを設けることにより、載置部を昇降移動させると共に、第2枠体を回動させる際に、無端ベルトの下側が弛んで、無端ベルトに付与されている張力が急激に失われることを防止することができる。
【0022】
本発明のベルトコンベア装置においては、第2可動プーリの回転軸と、枢着部の枢着軸とを同一軸とし、且つ、駆動プーリの回転軸と、第2枢着部の枢着軸とを同一軸とすることにより、装置をコンパクトにすることができる。
また、装置の設計や組み立ても比較的容易となる。
【0023】
本発明のベルトコンベア装置においては、リフターを、基部と昇降部と駆動装置とを有するものとし、昇降部のガイドバーを、基部の把持孔に拘束された状態で、摺動可能に挿入したものとすることにより、載置部を昇降移動させる際に、載置部が傾くことを確実に防止することができる。
【0024】
本発明のベルトコンベア装置においては、被搬送物が、プレス装置で加工されたプレス加工品であり、取り出し装置によりプレス装置から取り出されるプレス加工品を搬送するためのベルトコンベア装置として好適に用いられる。
この場合、取り出し装置がプレス装置からプレス加工品を取り出す位置と、載置部との高さを一致させることができ、且つ、高所にある載置部から低所にプレス加工品を搬送することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0027】
図1の(a)は、本発明に係るベルトコンベア装置の一実施形態を示す概略上面図であり、(b)は、(a)の概略正面図であり、(c)は、(a)のA−A断面図である。
図1の(a)〜(c)に示すように、本実施形態に係るベルトコンベア装置100は、図示しない被搬送物の搬送方向Yに延びる一対の第1枠体10及び一対の第2枠体20と、第1枠体10の上面よりも低所に固定された支持体30と、第1枠体10の上流側の端部に、両端が支持された第1可動プーリ11と、第1枠体10の下流側の端部に、両端が支持された第2可動プーリ12と、第2枠体20の下流側の端部に、両端が支持された駆動プーリ21と、第1可動プーリ11、第2可動プーリ12及び駆動プーリ21に架設された無端ベルトBと、第1枠体10に取り付けられたリフター40とを備える。
また、ベルトコンベア装置100においては、第1枠体10と第2枠体20とが枢着されており、第1枠体10の上流側が自由端となっており、第2枠体20の下流側が支持体30に取り付けられた固定端となっている。なお、かかる支持体30は、第1枠体10の上面よりも低所で固定されている。
ここで、本明細書において、「上流側」とは、被搬送物の搬送方向に対して上流側を意味し、「下流側」とは、被搬送物の搬送方向に対して下流側を意味する。
【0028】
本実施形態に係るベルトコンベア装置100においては、一対の第1枠体10に挟まれた無端ベルトBの上面が、被搬送物が載置される載置部Tとなっている。
そして、載置部Tに載置された被搬送物は、無端ベルトBの回動によって、載置部Tから傾斜した第2枠体20の間を通過して、下流側の支持体30側まで搬送されることになる。
したがって、ベルトコンベア装置100においては、高所の載置部Tから低所の支持体30側まで、被搬送物を搬送することが可能となっている。
【0029】
一対の第1枠体10は、被搬送物の搬送方向Yに延びており、互いに平行となるように、水平の状態で配置されている。すなわち、載置部Tが水平面となるように、一対の第1枠体10が配置されることになる。
本実施形態に係るベルトコンベア装置において、「水平」とは、鉛直に対して直交する水平の意味だけではなく、装置の設置面に対して平行な水平の意味をも含む。
【0030】
ベルトコンベア装置100においては、第1枠体10の上流側の端部に、両端が支持された第1可動プーリ11が回動可能となるように取り付けられており、第1枠体10の下流側の端部に、両端が支持された第2可動プーリ12が回動可能となるように取り付けられている。すなわち、一対の第1枠体10の両端に可動プーリが取り付けられることになる。
【0031】
ベルトコンベア装置100においては、第1枠体10に両端が支持された第1支持板13が、被搬送物の搬送方向Yにおける第1可動プーリ11と第2可動プーリ12との間の空隙を極力塞ぐように取り付けられている。なお、かかる第1支持板13は、鉛直方向における無端ベルトBの上側と下側との間に配置される。これにより、載置部Tに被搬送物が載置される際に、被搬送物の重さ等により、無端ベルトBが過度に下方に撓むことを防止している。
【0032】
一対の第2枠体20は、被搬送物の搬送方向Yに延びており、互いに平行となるように、傾斜した状態で配置されている。すなわち、一対の第2枠体20は、一対の第1枠体10に挟まれた無端ベルトB上面の載置部Tと、第1枠体よりも低所(例えば床面)に固定された支持体30とを連結するように配置されているので、傾斜した状態となっている。
また、第2枠体20の下流側の端部には、両側の第2枠体20から下方に連続するように延設された正面視でU字状の収納部20aが設けられている。なお、第2枠体20及び収納部20aは、支持体30に対して回動し、傾斜角度が変わる。
【0033】
ベルトコンベア装置100においては、第2枠体20の上流側の端部が、第1枠体10の下流側の端部と第1枢着部P1で枢着されており、一方、第2枠体20の下流側の端部が、第1枠体10よりも低所に固定された支持体30に第2枢着部P2で枢着されている。すなわち、第2枠体20は、第1枠体10及び支持体30に対して回動自在となっている。このため、後述する第1枠体10の昇降移動の際には、第2枠体20は、第1枠体に追従するように、第1枢着部P1及び第2枢着部P2を中心に回動することになる。
【0034】
ベルトコンベア装置100においては、第2枠体20の下流側の端部に、両端が支持された駆動プーリ21が回動可能となるように取り付けられている。
また、かかる駆動プーリ21には、モータMが取り付けられており、当該モータMにより、駆動プーリ21が回動するようになっている。
なお、モータMは、例えば、上述した収納部20aの一部に取り付け固定される。
【0035】
ここで、第2可動プーリ12の回転軸と、第1枢着部P1の枢着軸とは同一軸となっている。すなわち、第2可動プーリ12は、第1枠体10の下流側の端部、及び、第2枠体20の上流側の端部に、回動可能となるように、両端が支持されており、第2枠体20は、第2可動プーリ12を中心に、第1枠体10に対して、回動自在となっている。
また、駆動プーリ21の回転軸と、第2枢着部P2の枢着軸とが同一軸となっている。すなわち、駆動プーリ21は、第2枠体20の下流側の端部、及び、支持体30に、回動可能となるように、両端が支持されており、第2枠体20は、駆動プーリ21を中心に、支持体30に対して、回動自在となっている。
このように、これらを同一軸とすることにより、装置の構造をシンプルにすることができると共に、装置をコンパクトにすることができるという利点がある。
また、装置の設計や組み立ても比較的容易となる。
【0036】
ベルトコンベア装置100においては、第2枠体20に両端が支持された第2支持板23が、被搬送物の搬送方向Yにおける第2可動プーリ12と駆動プーリ21との間の空隙を極力塞ぐように取り付けられている。なお、かかる第2支持板23は、搬送方向Yとは垂直な方向における無端ベルトBの上側と下側との間に配置される。これにより、上述した第1支持板13と同様に、載置部Tに被搬送物が搬送される際に、被搬送物の重さ等により、無端ベルトBが過度に下方に撓むことを防止している。
【0037】
支持体30は、床面に固定され、正面視でU字状となっており、両側の内壁面に、一対の第2枠体20が第2枢着部P2で枢着されている。
また、第2枠体20から下方に延設されたU字状の収納部20aは、支持体30の内側に内設された構成となっている。なお、支持体30は、第2枠体20及び収納部20aの回動を妨げない。
【0038】
ベルトコンベア装置100においては、無端ベルトBが、第1可動プーリ11、第2可動プーリ12及び駆動プーリ21に架設されている。
そして、無端ベルトBは、上述した駆動プーリ21により駆動される。なお、第1可動プーリ11及び第2可動プーリ12は自由回転するようになっていることから、駆動プーリ21の回動に基づいて、無端ベルトBが回動し、それに応じて、第1可動プーリ11及び第2可動プーリ12も回動することになる。このとき、無端ベルトBの上側は、被搬送物の搬送方向Yに移動する。
【0039】
ベルトコンベア装置100において、一対の第1枠体10に挟まれた無端ベルトBの下側には、無端ベルトBに付与されている張力を調整するためのテンションプーリ15が設けられている。これにより、無端ベルトBに付与されている張力を適宜調整することが可能となっている。
【0040】
また、ベルトコンベア装置100においては、第2可動プーリ12の下方に、補助プーリ12aが設けられている。具体的には、第1枠体10の下流側の端部の第2可動プーリ12の下方に、第2枠体20に両端が支持された補助プーリ12aが設けられている。
かかる補助プーリは、無端ベルトBの下側を下方から支持している。これにより、載置部Tを昇降移動させると共に、第2枠体20を回動させて傾斜させる際に、無端ベルトBの下側が弛み、無端ベルトBに付与されている張力が急激に失われることを防止することができる。
【0041】
図2は、本実施形態に係るベルトコンベア装置において第1枠体とリフターとを分解して示す概略部分斜視図である。
図2に示すように、ベルトコンベア装置100においては、第1枠体10がスライド機構50を介してリフター40に取り付けられている。
【0042】
スライド機構50は、スライダー部51と、レール部52とからなり、スライダー部51が、レール部52の長さ方向に沿ってスライド自在となっている。
そして、ベルトコンベア装置100においては、一対の第1枠体10それぞれの下部にスライダー部51が取り付けられており、各スライダー部51に対応するように、一対のレール部52が平行となるようにリフター40の上部に取り付けられている。
これにより、第1枠体10は、リフター40に対して、被搬送物の搬送方向Yの上流側又は下流側に往復移動可能となる。
【0043】
リフター40は、床面に固定された基部41と、該基部41に対して昇降移動可能な昇降部42と、該昇降部42を駆動させるための駆動装置43とを有する。なお、リフター40においては、駆動装置43としてモータ直結型スクリューネジを採用している。
【0044】
具体的には、リフター40においては、基部41にモータM2が取り付けられており、該モータM2から上方に向けて延びるようにネジ軸43aが取り付けられている。
一方、昇降部42には、ナット43bが取り付けられており、当該ナット43bにネジ軸43aが螺入されている。なお、上述したレール部52は、昇降部42の上面に設けられている。
そして、リフター40においては、基部41のモータM2がネジ軸43aを回動させると、ナット43bが昇降移動し、当該ナット43bと共に昇降部42も昇降移動するようになっている。
【0045】
したがって、ベルトコンベア装置100においては、リフター40により、リフター40の昇降部42上面に設けられたスライド機構50を介して、第1枠体10(載置部T)が昇降移動することになる。なお、リフター40は、昇降部42を鉛直方向に昇降移動させるので、第1枠体10を予め水平に配置することにより、載置部Tを、水平が維持された状態で昇降移動させることが可能となる。
また、ベルトコンベア装置100においては、リフター40の駆動装置43として、モータ直結型スクリューネジを採用しているので、第1枠体10の位置の微調整を行うこともできる。すなわち、載置部Tの高さの微調整を行うことも可能となっている。
【0046】
リフター40において、昇降部42には、下方に向けて延びるガイドバー42aが複数設けられている。
一方、基部41には、各ガイドバー42aに対応する位置に、把持孔41aが複数設けられている。
そして、各ガイドバー42aは、対応する把持孔41aに拘束された状態で摺動可能に挿入されている。
したがって、リフター40においては、昇降部42の昇降移動に伴って、ガイドバー42aが把持孔41aに拘束された状態で、把持孔41aを摺動することになる。これにより、載置部Tを昇降移動させる際に、載置部Tが僅かに傾くことも確実に防止することができる。
【0047】
このように、ベルトコンベア装置100においては、載置部Tが常に水平面となるので、例えば、搬送ロボットやフィーダ装置等の取り出し装置により、プレス装置から取り出した被搬送物を載置部Tに載置する際には、被搬送物の一部ではなく下面全体を載置部Tの無端ベルトBに同時に接触させることができる。このため、被搬送物の一部が無端ベルトBに衝突することにより受ける衝撃を緩和することができる。
また、この場合、無端ベルトBが受ける衝撃も緩和することができる。
なお、例えば、載置部が傾斜している場合は、被搬送物を載置部に載置する際には、被搬送物の下面の一部が先に無端ベルトに接触し、被搬送物の下面の他部が後に無端ベルトに接触することになるため、跳ね返りの衝撃により、被搬送物の一部が変形する恐れがあり、場合によっては、無端ベルトから外に飛び出す恐れもある。また、この場合、無端ベルトもダメージを受けることになる。
【0048】
図3の(a)は、本実施形態に係るベルトコンベア装置において、リフターにより載置部が上昇する前の状態を示す説明図であり、(b)は、本実施形態に係るベルトコンベア装置において、リフターにより載置部が上昇した後の状態を示す説明図である。
ベルトコンベア装置100においては、
図3の(a)に示すリフター40が、第1枠体10を上昇させることにより、
図3の(b)に示すように、第1枠体10が押し上げられると共に、第2枠体20がより傾斜し、載置部Tを高い位置に設定することができる。なお、上述したように、載置部Tは、水平面が維持される。
【0049】
ここで、リフター40による昇降移動が鉛直方向であるのに対し、載置部Tの昇降移動は、厳密には、第2枢着部P2を中心とする円弧方向であるため、載置部Tの昇降移動の際には、第1枠体10が第2枠体20側に(
図3でいう右側)一定距離だけ引っ張られようとする。
ところが、第1枠体10と、リフター40との間にスライド機構50が設けられているので、第1枠体10は、下流側にスライドすることになる。これにより、第1枠体10とリフター40との間に付与される負荷を逃がすことができ、第2枠体20は無理なく、第2枢着部P2を中心に回動して傾斜することができる。
【0050】
したがって、ベルトコンベア装置100においては、載置部Tを上昇させる際には、第1枠体10はリフター40により上昇されながら、且つ、スライド機構50により下流側にスライドすることになる。なお、第1枠体10を下降させる際には、これとは逆の動きとなり、第1枠体10はリフター40により下降されながら、スライド機構50により上流側にスライドすることになる。
その後、駆動プーリ21により無端ベルトBが回動され、載置部Tに載置される図示しない被搬送物は、無端ベルトBにより、下流側に搬送される。
【0051】
これらのことにより、本実施形態に係るベルトコンベア装置100においては、高所にある載置部Tに載置した被搬送物を、無端ベルトBにより、傾斜した第2枠体の間を通過して、低所に搬送することが可能となっている。
また、枠体10,20,30、プーリ11,12,21、無端ベルトB及びリフター40からなるものであるため、比較的簡単な構造でありながら、上述した作用効果を奏することができる。
【0052】
本実施形態に係るベルトコンベア装置100においては、取り出す位置の上下方向での変更に合わせて、被搬送物を載置する載置部の高さを調整可能となっている。このため、被搬送物が、プレス装置で加工されたプレス加工品であり、取り出し装置によりプレス装置から取り出されたプレス加工品を搬送するためのベルトコンベア装置として好適に用いられる。
すなわち、金型の段取り替えに応じて、取り出し装置が、プレス装置からプレス加工品を取り出す位置が上下方向で変更になる場合であっても、当該取り出す位置と、ベルトコンベア装置の載置部との高さを一致させることができ、且つ、高所にある載置部から低所にプレス加工品を搬送することができる。
これにより、搬送ロボットやフィーダ装置等の取り出し装置による搬送時間を極力短縮することができ、結果としてプレス加工の生産性を向上させることができる。
【0053】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0054】
本実施形態に係るベルトコンベア装置100においては、第1枠体10の下流側の端部に、両端が支持された第2可動プーリ12を備えているが、第2枠体20の上流側の端部に、両端が支持された第2可動プーリ12を備えていてもよい。
【0055】
本実施形態に係るベルトコンベア装置100においては、第2枠体20の下流側の端部に、両端が支持された駆動プーリ21を備えているが、第1可動プーリ11又は第2可動プーリ12にモータMを連結させ、いずれかを無端ベルトBを駆動させるためのプーリとしてもよい。なお、この場合、駆動プーリ21は、自由回転させることになる。
【0056】
本実施形態に係るベルトコンベア装置100においては、第1枠体10に両端が支持された第1支持板13が、被搬送物の搬送方向Yにおける第1可動プーリ11と第2可動プーリ12との間に取り付けられているが、必ずしも必須ではない。
同様に、第2枠体20に両端が支持された第2支持板23が、被搬送物の搬送方向Yにおける第2可動プーリ12と駆動プーリ21との間に取り付けられているが、必ずしも必須ではない。
【0057】
本実施形態に係るベルトコンベア装置100においては、第2可動プーリ12の回転軸と、第1枢着部P1の枢着軸とは同一軸となっているが、別軸であってもよい。
同様に、駆動プーリ21の回転軸と、第2枢着部P2の枢着軸とが同一軸となっているが、別軸であってもよい。
【0058】
本実施形態に係るベルトコンベア装置100においては、第2枠体20の下流側の端部に収納部20aが設けられているが、必ずしも必須ではない。
【0059】
本実施形態に係るベルトコンベア装置100においては、第1可動プーリ11、第2可動プーリ12及び駆動プーリ21に1本の無端ベルトBが架設されているが、無端ベルトを複数本並べてこれらに架設してもよい。
【0060】
本実施形態に係るベルトコンベア装置100においては、載置部Tに載置された被搬送物を、下流側の支持体30側まで搬送されることになっているが、第2枠体20の下流側の端部に、別のコンベアを連結又は隣接させ、被搬送物を更に下流側に搬送するものとしてもよい。
【0061】
本実施形態に係るベルトコンベア装置100においては、スライダー部51が第1枠体10の下部に取り付けられ、レール部52がリフター40の上部に取り付けられているが、スライダー部51がリフター40の上部に取り付けられ、レール部52が第1枠体10の下部に取り付けられていてもよい。すなわち、レール部52及びスライダー部51のうちのいずれか一方が第1枠体10の下部に取り付けられ、他方がリフター40の上部に取り付けられていればよい。
【0062】
本実施形態に係るベルトコンベア装置100においては、リフター40の駆動装置43としてモータ直結型スクリューネジを採用しているが、これに限定されない。
例えば、ボールネジ、ラックピニオン、直動シリンダ、リニアモータ、シザーリフタ、ジャッキ等を採用することができる。
【0063】
本実施形態に係るベルトコンベア装置100においては、リフター40の昇降部42にガイドバー42aを設け、基部41に把持孔41aを設け、ガイドバー42aを把持孔41aに挿入した構成としているが、これは必ずしも必須ではない。
【0064】
本実施形態に係るベルトコンベア装置100は、並設して用いることも可能である。この場合、取り出し位置が異なる2枚の被搬送物を、同時に搬送することが可能となる。
例えば、1枚のワークをプレス加工し、立体形状の異なる2枚のプレス加工品を同時に製造した場合、両プレス加工品を同時に搬送することができる。