(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のノズルと、前記複数のノズル内の液体に吐出エネルギーを付与する複数の駆動素子とを有する液体吐出ヘッドの、前記複数の駆動素子を駆動するためのヘッド駆動ICであって、
前記複数の駆動素子を駆動する駆動信号の生成に用いられる第1波形信号が入力される第1波形入力部と、
前記複数の駆動素子を駆動する駆動信号の生成に用いられる、前記第1波形信号と異なる第2波形信号が入力される第2波形入力部と、
前記第1波形入力部及び前記第2波形入力部において波形信号の入力を許容するか否かを切り換える入力切換回路と、
切換信号が入力される切換信号入力部と、
前記第1波形信号から、前記複数の駆動素子を駆動するための第1駆動波形を生成する第1駆動波形生成回路と、
前記第2波形信号から、前記複数の駆動素子を駆動するための第2駆動波形を生成する第2駆動波形生成回路と、
前記第1駆動波形を用いて、前記複数の駆動素子のうちの一部である複数の第1駆動素子を駆動する第1駆動信号を生成する第1駆動信号生成回路と、
前記第1駆動波形及び前記第2駆動波形のうちいずれかの駆動波形を用いて、前記複数の駆動素子のうちの前記複数の第1駆動素子とは別の複数の第2駆動素子を駆動する第2駆動信号を生成する第2駆動信号生成回路と、
前記切換信号入力部に入力された前記切換信号に応じて、前記第2駆動信号生成回路において、前記第1駆動波形及び前記第2駆動波形のうちどちらの駆動波形を用いて前記第2駆動信号を生成するかを切り換える波形切換回路と、を備え、
前記切換信号入力部には、互いに異なる第1切換信号及び第2切換信号のうち、いずれかの前記切換信号が入力され、
前記入力切換回路は、
前記切換信号入力部に前記第1切換信号が入力されているときに、前記第1波形入力部における前記第1波形信号の入力、及び、前記第2波形入力部における前記第2波形信号の入力の両方を許容し、
前記切換信号入力部に前記第2切換信号が入力されているときに、前記第1波形入力部における前記第1波形信号の入力を許容し、且つ、前記第2波形入力部における前記第2波形信号の入力を遮断する、ように切り換えを行い、
前記波形切換回路は、
前記切換信号入力部に前記第1切換信号が入力されているときに、前記第2駆動信号生成回路において、前記第2駆動波形を用いて前記第2駆動信号を生成し、
前記切換信号入力部に前記第2切換信号が入力されているときに、前記第2駆動信号生成回路において、前記第1駆動波形を用いて前記第2駆動信号を生成する、ように切り換えを行うことを特徴とするヘッド駆動IC。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0011】
(プリンタの全体構成)
本実施の形態は、同じ構造のドライバIC60(
図4、
図6参照)を備えた2種類のプリンタ1A、1Bに係るものである。本実施の形態に係る2種類のプリンタ1A、1Bは、いずれも、
図1に示すように、キャリッジ2、インクジェットヘッド3、搬送ローラ4、プラテン5などを備えている。キャリッジ2は、走査方向に延びた2本のガイドレール6に支持され、ガイドレール6に沿って走査方向に往復移動する。なお、以下では、
図1に示すように走査方向の右側及び左側を定義して説明を行う。また、プリンタ1Aと1Bとは、後述するように配線部材や制御回路の構成が異なるだけで、それ以外の構成はほぼ同じであるため、
図1〜
図3では、プリンタ1Aのみを示している。
【0012】
インクジェットヘッド3は、キャリッジ2に搭載され、その下面に形成された複数のノズル15からインクを吐出する。複数のノズル15は、走査方向と直交する搬送方向に配列されることによってノズル列9を形成している。また、インクジェットヘッド3には、4つのノズル列9が走査方向に並んで配置されている。複数のノズル15からは、右側のノズル列9を構成するものから、それぞれ、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクを吐出する。
【0013】
また、インクジェットヘッド3は、4本のチューブ19を介して、4つのインクカートリッジ18と接続されている。4つのインクカートリッジ18は、走査方向に配列されており、右側に配置されたものから、それぞれ、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクを貯留している。4つのインクカートリッジ18に貯留された4色のインクは、4本のチューブ19を介してインクジェットヘッド3に供給される。
【0014】
搬送ローラ4は、搬送方向におけるインクジェットヘッド3の両側に配置され、記録用紙Pを搬送方向に搬送する。プラテン5は、インクジェットヘッド3の下面と対向して配置され、搬送ローラ4に搬送される記録用紙Pを下方から支持する。
【0015】
そして、プリンタ1A、1Bでは、搬送ローラ4により記録用紙Pを搬送し、キャリッジ2を走査方向に移動させつつ、キャリッジ2とともに走査方向に移動するインクジェットヘッド3からインクを吐出させることにより、記録用紙Pに印刷を行う。
【0016】
(インクジェットヘッド)
次に、インクジェットヘッド3について説明する。インクジェットヘッド3は、複数のノズル15や後述の複数の圧力室10などのインク流路が形成された流路ユニット21と、複数の圧力室10内のインクに圧力を付与する圧電アクチュエータ22とを備えている。
【0017】
<流路ユニット>
流路ユニット21は、4枚のプレート31〜34が積層されることによって形成されている。4枚のプレート31〜34のうち、上側3枚のプレート31〜33は、ステンレスなどの金属材料によって構成されている。最も下側のプレート34は、ポリイミドなどの合成樹脂、又は、プレート31〜33と同様の金属材料によって構成されている。
【0018】
プレート34には、複数のノズル15が形成されている。複数のノズル15は、上述したように4つのノズル列9を形成している。プレート31には、複数のノズル15に対して個別に、複数の圧力室10が形成されている。圧力室10は、走査方向を長手方向とする略楕円の平面形状を有し、その左端部において、対応するノズル15と重なっている。
【0019】
プレート32には、複数の圧力室10の右端部と重なる部分に、円形の複数の貫通孔12が形成されている。また、プレート32には、複数の圧力室10の左端部と重なる部分に、円形の複数の貫通孔13が形成されている。
【0020】
プレート33には、4つのノズル列9に対応する4つのマニホールド流路11が形成されている。各マニホールド流路11は、各ノズル列9に対応する複数の圧力室10にまたがって搬送方向に延び、これら複数の圧力室10の略右半分と重なっている。また、各マニホールド流路11には、搬送方向における下流側の端部に設けられたインク供給口8からインクが供給される。また、プレート33には、複数の貫通孔13と重なる部分に円形の複数の貫通孔14が形成されている。
【0021】
以上のような構成を有する流路ユニット21は、複数の圧力室10が、複数の貫通孔12を介してマニホールド流路11と連通している。また、各圧力室10は、貫通孔13、14を介してノズル15に連通している。これにより、流路ユニット21には、マニホールド流路11の出口から圧力室10を経てノズル15に至る複数の個別インク流路が形成されている。
【0022】
<圧電アクチュエータ>
圧電アクチュエータ22は、振動板41、圧電層42、共通電極43及び複数の個別電極44を備えている。振動板41は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との混晶であるチタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電材料からなり、複数の圧力室10を覆うように、流路ユニット21の上面に配置されている。なお、振動板41は、次に説明する圧電層42とは異なり、例えば合成樹脂など、圧電材料以外の絶縁性材料によって構成されていてもよい。圧電層42は、振動板41と同様の圧電材料からなり、振動板41の上面に複数の圧力室10にまたがって連続的に延びている。
【0023】
共通電極43は、振動板41と圧電層42との間のほぼ全域にわたって延びている。共通電極43は、常にグランド電位に保持されている。複数の個別電極44は、複数の圧力室10に対して個別に設けられ、圧電層42の上面に配置されている。個別電極44は、圧力室10よりも一回り小さい略楕円の平面形状を有し、対応する圧力室10の中央部と重なるように配置されている。各個別電極44は、後述するドライバIC60により、それぞれ、グランド電位及び所定の駆動電位VDD2(例えば、20V程度)のいずれか選択的に付与される。また、共通電極43及び複数の個別電極44がこのように配置されているのに対応して、圧電層42の各個別電極44と共通電極43とに挟まれた部分は、それぞれ、厚み方向に分極されている。
【0024】
そして、このような構造を有する圧電アクチュエータ22のうち、複数の圧力室10と重なる複数の部分が、対応する圧力室10内のインクに圧力(本発明の「吐出エネルギー」)を付与する複数の駆動素子40となっている。また、これら複数の駆動素子40のうち、ブラック、イエローのインクを吐出する、右から1、2番目のノズル列9を構成する複数のノズル15に対応する駆動素子40が、本発明の第1駆動素子に相当する。また、シアン、マゼンタのインクを吐出する、右から3、4番目のノズル列9を構成する複数のノズル15に対応する駆動素子40が、本発明の第2駆動素子に相当する。
【0025】
また、複数の個別電極44の右端部は、圧力室10と重ならない位置まで延び、その先端部が接続端子44aとなっている。接続端子44aの上面にはバンプ45が形成されている。
【0026】
プリンタ1Aでは、複数のバンプ45は、圧電アクチュエータ22の上方に配置された第1配線部材50Aと接続されている。また、第1配線部材50Aには、ドライバIC60が実装されている。そして、複数の個別電極44は、第1配線部材50Aに形成された配線を介して、ドライバIC60に接続されている。また、ドライバIC60は、第1配線部材50Aに形成された配線を介して、プリンタ1Aの本体側に設けられた制御回路70Aと接続されている。ここで、第1配線部材50Aは、
図1に示すように、その幅方向が上下方向(
図1の紙面垂直方向)とほぼ平行となるような向きで、キャリッジ2から引き出され、プリンタ1Aの本体側に設けられた制御回路70Aと接続されている。
【0027】
一方、プリンタ1Bでは、複数のバンプ45は、圧電アクチュエータ22の上方に配置された第2配線部材50Bと接続されている。また、第2配線部材50Bには、第1配線部材50Aに実装されているのと同じ構造のドライバIC60が実装されている。そして、複数の個別電極44は、第2配線部材50Bに形成された配線を介して、ドライバIC60に接続されている。また、ドライバIC60は、第2配線部材50Bに形成された配線を介して、プリンタ1Bの本体側に設けられた制御回路70Bと接続されている。ここで、第2配線部材50Bは、
図1に示すように、その幅方向が上下方向とほぼ平行となるような向きで、キャリッジ2から引き出され、プリンタ1Bの本体側に設けられた制御回路70Bと接続されている。
【0028】
(ドライバIC)
ドライバIC60は、
図4、
図6に示すように、シフトレジスタ61、ラッチ回路62、マルチプレクサ63及び昇圧バッファ64、変換回路65、66、波形切換回路67、及び、スイッチング素子68を備えている。また、ドライバIC60は、端子60a〜60gを備えている。
【0029】
シフトレジスタ61には、端子60aから、複数の駆動素子40についての制御信号SINが入力される。制御信号SINは、シリアル信号として伝送される信号である。また、シフトレジスタ61には、端子60bからクロックCLKが入力される。シフトレジスタ61は、入力された制御信号SINを、クロックCLKと同期させて各ノズル15についてのパラレル信号に変換し、ラッチ回路62に出力する。ラッチ回路62は、ストローブ信号STBが入力されたときに、シフトレジスタ61から入力された制御信号をマルチプレクサ63に向けて出力する。
【0030】
マルチプレクサ63は、ラッチ回路62から入力された制御信号に応じて、複数の駆動素子40についての駆動波形を、昇圧バッファ64に出力する。マルチプレクサ63には、後述するように、波形切換回路67から、ブラックインクを吐出するノズル15に対応する7種類の駆動波形WAVE1k〜WAVE7k、イエローインクを吐出するノズル15に対応する7種類の駆動波形WAVE1y〜WAVE7y、シアンインクを吐出するノズル15に対応する7種類の駆動波形WAVE1c〜WAVE7c、マゼンタインクを吐出するノズル15に対応する7種類の駆動波形WAVE1m〜WAVE7mが入力される。ここで、駆動波形WAVE1k〜WAVE7k、WAVE1y〜WAVE7y、WAVE1c〜WAVE7c、WAVE1m〜WAVE7mは、それぞれ、グランド電位と所定電位VDD1(例えば、3.3V程度)との間で切り換わるパルス信号である。
【0031】
そして、マルチプレクサ63は、ブラックインクを吐出する複数のノズル15に対応する複数の駆動素子40について、それぞれ、制御信号に応じて7種類の駆動波形WAVE1k〜WAVE7kのいずれかを選択的に昇圧バッファ64に出力する。また、マルチプレクサ63は、イエローインクを吐出する複数のノズル15に対応する複数の駆動素子40について、それぞれ、制御信号に応じて7種類の駆動波形WAVE1y〜WAVE7yのいずれかを選択的に昇圧バッファ64に出力する。また、マルチプレクサ63は、シアンインクを吐出する複数のノズル15に対応する複数の駆動素子40について、それぞれ、制御信号に応じて7種類の駆動波形WAVE1c〜WAVE7cのいずれかを選択的に昇圧バッファ64に出力する。また、マルチプレクサ63は、マゼンタインクを吐出する複数のノズル15に対応する複数の駆動素子40について、それぞれ、制御信号に応じて7種類の駆動波形WAVE1m〜WAVE7mのいずれかを選択的に昇圧バッファ64に出力する。
出力する。
【0032】
昇圧バッファ64には、マルチプレクサ63から複数の駆動素子40についての駆動波形が入力され、端子60cから駆動電位VDD2が入力される。昇圧バッファ64は、マルチプレクサ63から入力された、複数の駆動素子40についての駆動波形を駆動電位VDD2に昇圧することによって、複数の駆動素子40を駆動するための駆動信号を生成し、複数の駆動素子40の個別電極44に出力する。これにより、各個別電極44の電位がグランド電位GNDと駆動電位VDD2との間で切り換えられ、複数の駆動素子40が駆動される。
【0033】
なお、本実施の形態では、シフトレジスタ61、ラッチ回路62、マルチプレクサ63、昇圧バッファ64及び変換回路65を合わせたものが、本発明の第1駆動信号生成回路と第2駆動信号生成回路とを合わせたものに相当する。
【0034】
変換回路65(本発明の「第1駆動波形生成回路」)には、端子60d(本発明の「第1波形入力部」)から第1波形信号FIRE1が入力可能となっている。第1波形信号FIRE1は、7種類の駆動波形W11〜W17及び7種類の駆動波形W21〜W27がシリアル信号として伝送される信号である。また、変換回路65には、端子60bからクロックCLKが入力される。変換回路65は、第1波形信号FIRE1が入力されたときに、入力された第1波形信号FIRE1を、クロックCLKと同期させてパラレル信号に変換することによって、駆動波形W11〜W17、W21〜W27を生成する。そして、生成した駆動波形W11〜W17、W21〜W27を波形切換回路67に出力する。ここで、駆動波形W11〜W17、W21〜W27は、それぞれ、グランド電位と所定電位VDD1との間で切り換わるパルス信号である。なお、本実施の形態では、駆動波形W11〜W17、W21〜W27が、本発明の第1駆動波形に相当する。
【0035】
変換回路66(本発明の「第2駆動波形生成回路」)には、端子60e(本発明の「第2波形入力部」)から第2波形信号FIRE2が入力可能となっている。第2波形信号FIRE2は、7種類の駆動波形W31〜W37及び7種類の駆動波形W41〜W47がシリアル信号として伝送される信号である。また、変換回路66には、端子60bからクロックCLKが入力される。変換回路66は、第2波形信号FIRE2が入力されたときに、入力された第2波形信号FIRE2を、クロックCLKと同期させてパラレル信号に変換することによって、駆動波形W31〜W17、W41〜W47を生成する。そして生成した駆動波形W31〜W17、W41〜W47を波形切換回路67に出力する。ここで、駆動波形W31〜W37、W41〜W47は、それぞれ、グランド電位と所定電位VDD1との間で切り換わるパルス信号である。なお、本実施の形態では、駆動波形W31〜W37、W41〜W47が、本発明の第2駆動波形に相当する。
【0036】
波形切換回路67には、端子60f(本発明の「切換信号入力部」)から切換信号SELが入力される。切換信号SELは、グランド電位の信号(本発明の「第1切換信号」)、又は、所定電位VDD1の信号(本発明の「第2切換信号」)のいずれかである。
【0037】
そして、波形切換回路67は、切換信号SELがグランド電位の信号であるときには、
図5に示すように、駆動波形W11〜W17を、駆動波形WAVE1k〜WAVE7kとして出力する。また、駆動波形W21〜W27を、駆動波形WAVE1y〜WAVE7yとして出力する。また、駆動波形W31〜W37を、駆動波形WAVE1c〜WAVE7cとして出力する。また、駆動波形W41〜W47を、駆動波形WAVE1m〜WAVE7mとして出力する。したがって、この場合には、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクを吐出するノズル15に対応する駆動素子40間で、駆動に用いる駆動波形を異ならせることができる。そして、この場合には、各色のインクを吐出するノズル15間で、インクの吐出タイミング等を異ならせることが可能となる。
【0038】
一方、波形切換回路67は、切換信号SELが所定電位VDD1の信号であるときには、
図7に示すように、駆動波形W11〜W17を駆動波形WAVE1k〜WAVE7kとして出力する。また、駆動波形W21〜W27を、駆動波形WAVE1y〜WAVE7y、WAVE1c〜WAVE7c及びWAVE1m〜WAVE7mとして出力する。したがって、この場合には、ブラックインクを吐出するノズル15に対応する駆動素子40と、カラー(イエロー、シアン、マゼンタ)インクを吐出するノズル15に対応する駆動素子40とで、駆動に用いる駆動波形を異ならせることができるが、イエロー、シアン、マゼンタのインクを吐出するノズル15に対応する駆動素子40間では、駆動に用いる駆動波形は共通となる。
【0039】
(スイッチング素子)
スイッチング素子68(本発明の「入力切換回路」)は、
図8に示すようなNch−MOSFETによって構成されている。スイッチング素子68は、基材となるP型半導体91と、P型半導体91上に配置された3つのN型半導体92〜94とを備えている。N型半導体92、93は、P型半導体91の一方向における両端部に配置され、ソース68a(本発明の「第1接続部」)、及び、ドレイン68b(本発明の「第2接続部」)を形成している。また、N型半導体92と93とは、P型半導体の上記一方向における中央部に位置する部分によって互いに隔てられている。N型半導体94は、P型半導体91のN型半導体92と93とを隔てている部分の表面に配置され、ゲート68c(本発明の「第3接続部」)を形成している。また、N型半導体94とP型半導体91との間には、絶縁のための酸化膜95が配置されている。なお、Nch−MOSFET自体は公知のものであるため、スイッチング素子68の構造についてのこれ以上の詳細な説明は省略する。
【0040】
スイッチング素子68のソース68aは、第2波形信号FIRE2が入力される端子60cと接続されている。スイッチング素子68のドレイン68bは、端子60gと接続されている。端子60gは、グランド電位に保持されている。これにより、ドレイン68bは、グランド電位(本発明の「定電位」)に保持されている。スイッチング素子68のゲート68cは、切換信号SELが入力される端子60dと接続されている。スイッチング素子68は、ゲート68cの電位が所定の閾値Vh以下のときに、ソース68aとドレイン68bとの導通を遮断し、ゲート68cの電位が所定の閾値Vhを超えているときに、ソース68aとドレイン68bとを導通させる。ここで、閾値Vhは、グランド電位と所定電位VDD1との間の電位(例えば、0.8〜0.9V程度)である。
【0041】
これにより、スイッチング素子68では、切換信号SELがグランド電位の信号のときに、ソース68aとドレイン68bとの導通は遮断される。これにより、端子60eはグランド電位には保持されず、端子60eから第2波形信号FIRE2の入力が可能となる。一方、切換信号SELが所定電位VDD1の信号のときに、ソース68aとドレイン68bとが導通する。これにより、端子60eがグランド電位に保持され、端子60eからの信号の入力が遮断される。
【0042】
(第1配線部材)
次に、第1配線部材50Aについて説明する。第1配線部材50Aは、第1配線部材50Aは、配線81a〜81gを備えている。また、第1配線部材50Aを介してドライバIC60と接続される制御回路70Aは、端子71a〜71gを有している。
【0043】
端子71aからは制御信号SINが出力される。配線81aは、端子60aと端子71aとを接続する。端子71bからはクロックCLKが出力される。配線81bは、端子60bと端子71bとを接続する。端子71cからは駆動電位VDD2が出力される。配線81cは、端子60cと端子71cとを接続する。端子71dからは、第1波形信号FIRE1が出力される。配線81d(本発明の「第1波形配線」)は、端子60dと端子71dとを接続する。端子71eからは、第2波形信号FIRE2が出力される。配線81e(本発明の「第2波形配線」)は、端子60eと端子71eとを接続する。端子71fからは、切換信号SELが出力される。制御回路70Aが出力する切換信号SELは、グランド電位の信号である。配線81f(本発明の「第1切換配線」)は、端子60fと端子71fとを接続する。端子71gからはグランド電位が出力される。配線81gは、端子60gと端子71gとを接続する。
【0044】
(第2配線部材)
次に、第2配線部材50Bについて説明する。第2配線部材50Bは、第1配線部材50Aと同様の配線81a〜81d、81f、81gを備えている。また、第2配線部材50Bを介してドライバIC60と接続される制御回路70Bは、制御回路70Aと同様の端子71a〜71d、71f、71gを有している。なお、制御回路70Bは、制御回路70Aとは異なり、第2波形信号FIRE2を出力する端子(端子71e相当の端子)を備えていない。また、これに対応して、第2配線部材50Bは、第1配線部材50Aとは異なり、第2波形信号FIRE2が伝送される配線(配線81e相当の配線)を備えていない。また、本実施の形態では、第2配線部材50Bの配線81fが、本発明の「第2切換配線」に相当する。
【0045】
(プリンタの製造方法)
次に、プリンタ1Aを製造する際の、キャリッジ2、インクジェットヘッド3、第1配線部材50A、ドライバIC60及び制御回路70Aを互いに組み付ける方法について説明する。これらを互いに組み付けるためには、
図9(a)に示すように、まず、ドライバIC60を、第1配線部材50Aの表面に実装する(S101)。これにより、端子60a〜60gが、それぞれ、配線81a〜81gと接続される。
【0046】
続いて、インクジェットヘッド3の上面に第1配線部材50Aを接合して、圧電アクチュエータ22の複数の個別電極44とドライバIC60とを接続させる(S102)。続いて、第1配線部材50Aと接合されたインクジェットヘッド3を、プリンタ1Aのキャリッジ2に取り付ける(S103)。そして、その後、第1配線部材50Aをプリンタ1Aの本体側に設けられた制御回路70Aと接続する(S104)。これにより、端子71a〜71gが、それぞれ、配線81a〜81gと接続される。
【0047】
次に、プリンタ1Bを製造する際の、キャリッジ2、インクジェットヘッド3、第2配線部材50B、ドライバIC60及び制御回路70Bを互いに組み付ける方法について説明する。これらを互いに組み付けるためには、
図9(b)に示すように、まず、ドライバIC60を、第2配線部材50Bの表面に実装する(S201)。これにより、端子60a〜60d、60f、60gが、それぞれ、配線81a〜81d、81f、81gと接続される。なお、端子60eは、第2配線部材50Bいずれの配線とも接続されない。
【0048】
続いて、インクジェットヘッド3の上面に第2配線部材50Bを接合して、圧電アクチュエータ22の複数の個別電極44とドライバIC60とを接続させる(S202)。続いて、第2配線部材50Bと接合されたインクジェットヘッド3を、プリンタ1Bのキャリッジ2に取り付ける(S203)。そして、その後、第2配線部材50Bをプリンタ1Bの本体側に設けられた制御回路70Bと接続する(S204)。これにより、端子71a〜71d、71f、71gが、それぞれ、配線81a〜81d、81f、81gと接続される。
【0049】
以上に説明した実施の形態では、ドライバIC60において、端子60fから入力される切換信号SELがグランド電位の信号であるときに、スイッチング素子68のソース68aとドレイン68bとの導通が遮断される。これにより、端子60dからの第1波形信号FIRE1の入力と、端子60eからの第2波形信号FIRE2の入力の両方が許容される。また、このとき、ドライバIC60において、波形切換回路67は、駆動波形W11〜W17を駆動波形WAVE1k〜WAVE7kとして出力し、駆動波形W21〜W27を駆動波形WAVE1y〜WAVE7yとして出力し、駆動波形W31〜W37を駆動波形WAVE1c〜WAVE7cとして出力し、駆動波形W41〜W47を駆動波形WAVE1m〜WAVE7mとして出力する。これにより、ドライバIC60を、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクを吐出するノズル15に対応する駆動素子40間で、駆動に用いる駆動波形が異なる、プリンタ1Aのインクジェットヘッド3を駆動するドライバICとして用いることができる。
【0050】
一方で、ドライバIC60において、端子60fから入力される切換信号SELが所定電位VDD1の信号であるときには、スイッチング素子68のソース68aとドレイン68bとが導通する。これにより、端子60dからの第1波形信号FIRE1の入力は許容され、端子60eからの第2波形信号FIRE2の入力は遮断される。また、このとき、ドライバIC60において、波形切換回路67は、駆動波形W11〜W17を駆動波形WAVE1k〜WAVE7kとして出力し、駆動波形W21〜W27を駆動波形WAVE1y〜WAVE7y、WAVE1c〜WAVE7c、WAVE1m〜WAVE7mとして出力する。これにより、ドライバIC60を、ブラックインクを吐出するノズル15に対応する駆動素子40とカラーインクを吐出するノズル15に対応する駆動素子40間では、駆動に用いる駆動波形が異なるが、イエロー、マゼンタ、シアンのインクを吐出するノズル15に対応する駆動素子40間では、駆動に用いる駆動波形が共通となる、プリンタ1Bのインクジェットヘッド3を駆動するドライバICとして用いることができる。
【0051】
すなわち、本実施の形態では、ドライバIC60を、イエロー、シアン、マゼンタのインクを吐出するノズル15に対応する駆動素子40を、異なる駆動波形を用いて駆動する、プリンタ1Aのインクジェットヘッド3を駆動するドライバICとしても、イエロー、シアン、マゼンタのインクを吐出するノズル15に対応する駆動素子40を、共通の波形信号を用いて駆動する、プリンタ1Bのインクジェットヘッド3のドライバICとしても用いることができる。
【0052】
ここで、プリンタ1Aのインクジェットヘッド3を駆動するドライバIC、及び、プリンタ1Bのインクジェットヘッド3を駆動するドライバICを、それぞれ専用のドライバICとすることも考えられる。しかしながら、そうすると、それぞれのドライバICを別々に設計する必要があり、開発工数や開発コストの増大につながる。これに対して、本実施の形態では、上記のとおり、ドライバIC60を、プリンタ1Aのインクジェットヘッド3を駆動するドライバICとしても、プリンタ1Bのインクジェットヘッド3を駆動するドライバICとしても用いることができるため、ドライバICの開発工数や開発コストの増大を抑えることができる。
【0053】
また、本実施の形態では、ドライバIC60を、プリンタ1Bのインクジェットヘッド3を駆動するドライバICとして用いる場合に、スイッチング素子68のソース68aとドレイン68bとを導通させて端子60eをグランド電位に保持することで、端子60eから信号の入力を遮断している。これにより、端子からの信号の入力を遮断している状態で、端子60eの電位がノイズなどの影響によって不安定になってしまうのを防止することができる。
【0054】
また、本実施の形態では、スイッチング素子68では、ソース68aとドレイン68bとの導通を遮断するときの、ドレイン68b及びゲート68cの電位を同じグランド電位としている。ここで、Nch−MOSFETによって構成されたスイッチング素子68は、故障したときにドレイン68bとゲート68cとが短絡してしまうことがある。このとき、ドレイン68bとゲート68cで電位が同じであるため、ドレイン68bとゲート68cとが短絡しても、これらの間に大きな電流が流れてソース68aとドレイン68bとが導通してしまうことがない。これにより、プリンタ1Aにおいて、スイッチング素子68が故障して、ドレイン68bとゲート68cとが短絡しても、駆動波形W31〜W37が駆動波形WAVE1c〜WAVE7cとして出力され、駆動波形W41〜W47が駆動波形WAVE1m〜WAVE7mとして出力される状態から、駆動波形W21〜W27が駆動波形WAVE1c〜WAVE7c、WAVE1m〜WAVE7mとして出力される状態に切り換わってしまうのを防止することができる。
【0055】
また、本実施の形態では、第1配線部材50Aが、第2波形信号FIRE2が伝送される配線81eを備えているのに対して、第2配線部材50Bは、第2波形信号FIRE2が伝送される配線を備えていない。これにより、第2配線部材50Bを、第1配線部材50Aのよりも幅の狭いものとすることができる。プリンタ1A、1Bでは、上述したように、配線部材50A、50Bが、その幅方向が上下方向とほぼ平行となるような向きでキャリッジ2から引き出されて制御回路70A、70Bと接続されている。そのため、配線部材の幅が広いほど、プリンタは上下方向に大型化する。これに対して、本実施の形態では、上述したように、第2配線部材50Bを第1配線部材50Aよりも幅の狭いものとすることができるため、第2配線部材50Bを有するプリンタ1Bを、第1配線部材50Aを有するプリンタ1Aよりも高さを低いものとすることができる。
【0056】
ここで、プリンタでは、ユーザによって、(a)サイズが多少大きくなっても印刷品質を高くすることが要求されることもあり、(b)印刷品質は多少悪くなってもサイズを小型化することが要求されることもある。
【0057】
プリンタ1Aでは、第1配線部材50Aが、第2波形信号FIRE2が伝送される配線81eを備えていることにより、インクの色毎に異なる駆動波形を用いて駆動信号を生成することができ、印刷品質を高くすることができる。ただし、プリンタ1Aは、上述したように、第2配線部材50Bよりも幅の広い第1配線部材50Aを備えているため、プリンタ1Bと比較すると、上下方向の長さが長くなり、大型化してしまう。
【0058】
これに対して、プリンタ1Bでは、第2配線部材50Bが、第2波形信号FIRE2が伝送される配線を備えておらず、カラー3色についての駆動信号を共通の駆動波形を用いて生成するため、プリンタ1Aと比較すると印刷品質は悪くなってしまう。ただし、プリンタ1Bは、上述したように、第1配線部材50Aよりも幅の狭い第2配線部材50Bを備えているため、プリンタ1Aと比較すると、上下方向の長さを短くすることができ、大型化を抑えることができる。
【0059】
このように、本実施の形態では、ドライバIC60を、上記(a)の要求を満たすプリンタ1Aを構成するドライバICとしても、上記(b)の要求を満たすプリンタ1Bを構成するドライバICとしても用いることができる。
【0060】
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。
【0061】
上述の実施の形態では、スイッチング素子68のドレイン68bがグランド電位に保持されているのに対して、制御回路70Aの端子71fから出力される切換信号SELがグランド電位の信号であったが、これには限られない。例えば、スイッチング素子68のドレイン68bがグランド電位以外の定電位に保持され、制御回路70Aの端子71fから出力される切換信号SELが上記定電位の信号であってもよい。あるいは、制御回路70Aの端子71fから出力される切換信号SELは、上記閾値Vh以下で、且つ、スイッチング素子68のドレイン68bの電位とは異なる電位の信号であってもよい。
【0062】
また、上述の実施の形態では、Nch−MOSFETによってスイッチング素子68を構成したが、これには限られない。Nch−MOSFET以外のトランジスタによってスイッチング素子68を構成してもよい。この場合でも、スイッチング素子68が、切換信号SELが入力される部分の電位がグランド電位となっているときに、端子60eと端子60gとの導通を遮断するものであれば、プリンタ1Aにおいて、スイッチング素子68が故障して、ドレイン68bとゲート68cとが短絡しても、駆動波形W31〜W37が駆動波形WAVE1c〜WAVE7cとして出力され、駆動波形W41〜W47が駆動波形WAVE1m〜WAVE7mとして出力される状態から、駆動波形W21〜W27が駆動波形WAVE1c〜WAVE7c及びWAVE1m〜WAVE7mとして出力される状態に切り換わってしまうのを防止することができる。また、スイッチング素子68は、トランジスタ以外の素子によって形成されていてもよい。
【0063】
また、上述の実施の形態では、端子60eグランド電位に保持するか否かによって、端子60eから変換回路66への信号の入力を許容するか遮断するかを切り換えたが、これには限られない。
【0064】
変形例1では、
図10(a)、(b)に示すように、ドライバ1C101において、端子60eと変換回路66との間に、スイッチング素子102(本発明の「入力切換回路」)が接続されている。スイッチング素子102はトランジスタなどによって構成されている。また、スイッチング素子102には、端子60fから切換信号SELが入力されるようになっている。そして、スイッチング素子102は、切換信号SELが所定電位VDD1の信号であるときに、端子60eと変換回路66とを導通させることで、端子60eから変換回路66への第2波形信号FIRE2の入力を許容する。また、スイッチング素子102は、切換信号SELがグランド電位の信号であるときに、端子60eと変換回路66との導通を遮断することで、端子60eから変換回路66への信号の入力を遮断する。また、変形例1では、上述の実施の形態とは異なり、
図10(a)に示すように、プリンタ1Aの制御回路70Aの端子71fから出力される切換信号SELが、所定電位VDD1の信号(本発明の「第1切換信号」)である。また、
図10(b)に示すように、プリンタ1Bの制御回路70Bの端子71fから出力される切換信号SELが、グランド電位の信号(本発明の「第2切換信号」)である。
【0065】
また、上述の実施の形態では、端子60fに、切換信号SELとして、グランド電位の信号を入力するか、所定電位VDD1の信号のいずれを入力するかを切り換えることで、端子60eから変換回路66への信号の入力を許容するか遮断するかを切り換えたが、これには限られない。例えば、端子60fに、所定電位VDD1の切換信号SELを入力させるか、端子60fを解放して切換信号SELが入力されないようにするかを切り換えることで、端子60eから変換回路66への信号の入力を許容するか遮断するかを切り換えてもよい。
【0066】
また、上述の実施の形態では、プリンタ1Aにおいて、第1配線部材50Aの配線81fにより、端子60fと端子71fとが接続され、プリンタ1Bにおいて、第2配線部材50Bの配線81fにより、端子60fと端子71fとが接続されるようにしたが、これには限られない。変形例2では、
図11(a)、(b)に示すように、プリンタ1Aにおいて、ドライバIC111の一端部に、複数の端子112が1列に並んでいる。複数の端子112は、所定電位VDD1が入力される端子112a、グランド電位が入力される端子112b、及び、切換信号SELが入力される端子112c(本発明の「切換信号入力部」)を含んでいる。端子112cは、端子112aと端子112bとの間に配置されている。なお、複数の端子112のうち、端子112a〜112c以外の端子は、例えば、上述の実施の形態の端子60a〜60eと同様の端子などであるが、ここではこれらの説明を省略する。
【0067】
また、プリンタ1Aの制御回路113A、及び、プリンタ1Bの制御回路113Bには、一端部に複数の端子114が1列に並んで配置されている。複数の端子114は、所定電位VDD1を出力する端子114a、及び、グランド電位を出力する端子114bを含んでいる。なお、複数の端子114のうち、端子114a、114b以外の端子は、例えば、上述の実施の形態の、端子71a〜71eと同様の端子などであるが、ここではこれらの説明を省略する。
【0068】
また、プリンタ1Aでは、
図11(a)に示すように、第1配線部材115Aに、複数の端子112と複数の端子114とを接続する複数の配線116が形成されている。複数の配線116は、端子112aと端子114aとを接続する配線116aと、端子112bと端子114bとを接続する配線116bとを含んでいる。また、配線116aは、端子112aと端子112cとを短絡させている。これにより、端子112cから入力される切換信号SELの電位がグランド電位となる。なお、この場合には、配線116aが、本発明の「第1切換配線」に相当する。また、複数の配線116のうち、端子116a、116b以外の配線は、例えば、上述の実施の形態の、配線81a〜81eと同様の端子などであるが、ここではこれらの説明を省略する。
【0069】
一方、プリンタ1Bでは、
図11(b)に示すように、第2配線部材115Bに、複数の端子112と複数の端子114とを接続する複数の配線117が形成されている。複数の配線117は、端子112aと端子114aとを接続する配線117aと、端子112bと端子114bとを接続する配線117bとを含んでいる。また、配線117bは、端子112bと端子112cとを短絡させている。これにより、端子112cから入力される切換信号SELの電位が所定電位VDD1となる。なお、この場合には、配線117bが、本発明の「第2切換配線」に相当する。また、複数の配線117のうち、端子117a、117b以外の端子は、例えば、上述の実施の形態の、配線81a〜81eと同様の端子などであるが、ここではこれらの説明を省略する。
【0070】
また、上述の実施の形態では、ドライバIC60が波形切換回路67を備えていたが、ドライバICは、波形切換回路67を備えていなくてもよい。この場合でも、例えば、ドライバICを、プリンタ1AのドライバIC、及び、インクジェットヘッドが2列のノズル列9を有しているプリンタのドライバICのいずれかとして用いることができる。
【0071】
また、上述の実施の形態では、全ての駆動素子40に対して、1組のシフトレジスタ61、ラッチ回路62、マルチプレクサ63及び昇圧バッファ64が設けられており、これらが、本発明の第1駆動信号生成回路と第2駆動信号生成回路とを兼ねていたが、これには限られない。例えば、ブラック、イエローのインクを吐出する複数のノズル15に対応する複数の駆動素子40に対して、本発明の第1駆動信号生成回路としての、1組のシフトレジスタ61、ラッチ回路62、マルチプレクサ63及び昇圧バッファ64が設けられ、シアン、マゼンタのインクを吐出する複数のノズル15に対応する複数の駆動素子40に対して、本発明の第2駆動信号生成回路としての、1組のシフトレジスタ61、ラッチ回路62、マルチプレクサ63及び昇圧バッファ64が設けられていてもよい。
【0072】
また、以上では、ノズルからインクを吐出して印刷を行うプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。ノズルからインク以外の液体を吐出する、プリンタ以外の液体吐出装置に本発明を適用することも可能である。