(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、図面を参照しつつ本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、各実施形態において同一又は対応する構成には、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0012】
(第1の実施形態)
(ヒートシール装置)
図1は、ヒートシール装置100を用いた第1の実施形態に係るヒートシール方法を示す概念図である。ヒートシール装置100は、レーザー光を透過する材質からなる加圧板11及び加圧板11に対向して配置された支持体12からなる加圧部10と、加圧板11を通して、加圧部10の間に挟み込まれたフィルム20にレーザー光40を照射可能なレーザー照射部30とを含む。加圧部10の間には、2軸延伸ポリエステル層を表面に含む積層体からなる第1のフィルム201と第2のフィルム202とが2軸延伸ポリエステル層が対向する状態で配置されている。なお、以下では、第1のフィルムと第2のフィルムとをまとめてフィルムと呼ぶこともある。また、各図におけるフィルム構造は、便宜上フィルムの膜厚を実際よりも誇張して記載している。
【0013】
加圧部10は加圧板11及び加圧板11に対向して配置された支持体12から構成される。加圧板11及び支持体12は、図示しない加圧機構により加圧部10の間に挟み込まれたフィルム20を、所定の荷重で厚み方向に加圧する機能を有する。本実施形態では、加圧機構は加圧板11に設けられ支持体12は固定されているが、フィルム20を加圧できれば加圧機構を支持体12のみに設けても良いし、加圧板11及び支持体12の両方に設けてもよい。フィルム20の加圧荷重は一般的なのヒートシールと同程度でよく、例えば、0.1MPa〜1.0MPa程度でよい。
【0014】
加圧板11はレーザー光40を透過する材質からなる板状部材である。加圧板11には、レーザー光40の波長に応じて様々な材質を用いることができる。後述するように、レーザー照射部30は赤外線波長のレーザー光40を照射するため、加圧板11の材質には赤外線透過率が高い、すなわち、赤外線吸収率が低い(70%未満)材質を用いることができる。加圧板11の材質には、例えば、フッ化カルシウム(CaF
2)、ゲルマニウム(Ge)、シリコン(Si)、サファイア(Al
2O
3)、ダイヤモンド、フッ化バリウム(BaF
2)、セレン化亜鉛(ZnSe)、硫化亜鉛(ZnS)、カルコゲナイドガラス、ポリオレフィン(各種ポリエチレン、ポリプロピレン等)等を用いることができる。また、必要に応じてこれら材質の複合体を用いてもよく、表面に反射防止コート等を施してもよい。
【0015】
支持体12は、加圧板11とともにフィルム20を挟み込んで加圧する機能を有する板状部材である。この機能を備えれば支持体12の材質は限定されず、剛性を有するスチール、アルミニウム合金、銅合金等でもよく、適度な弾性を有するプラスチック材料等を用いてもよい。
【0016】
レーザー照射部30には、周知のレーザー発振器を用いることができる。特に、エネルギーが効率的にフィルム20の2軸延伸ポリエステル層に吸収されやすい赤外線波長を含む炭酸ガスレーザーを発振できるレーザー発振器が好適である。レーザー照射部30は、図示しない制御部によりレーザー光40の出力、パルス幅等を調整して出力することができるように構成してもよい。レーザー照射部30の数は1台に限定されず、複数台を用いてもよい。レーザー照射部30は、レーザー光40を
図1に示すように加圧板11に直接照射してもよいし、回折光学素子、ミラー、レンズ等の光学素子を介して照射してもよい。
【0017】
レーザー照射部30は図示しない駆動機構を備えることで、加圧部10及びフィルム20におけるレーザー光40の照射位置を変化させることができる。これにより、レーザー照射部30はフィルム20上にレーザー光40を走査して、ヒートシール性が付与された領域(以下、ヒートシール領域という)を形成することができる。
図2は、形成されたヒートシール領域の例を示す平面図である。
図2の(a)には、パルス発振したレーザー光40を、線分形状のレーザースポット41として直線的に走査した様子を示す。
図2の(b)には、連続発振したレーザー光40を、円形状のレーザースポット42として蛇行走査した様子を示す。
図2の(c)には、連続発振したレーザー光40を、線分形状のレーザースポット41として直線的に走査した様子を示す。ヒートシール領域はこれに限定されず、レーザースポットの形状とレーザー光40の走査パターンの組み合わせにより任意に選択可能である。レーザー光40のスポット形状は、周知の回折光学素子、ミラー、レンズ等の光学素子を用いて様々に形成できる。
【0018】
フィルム20は第1のフィルム201と第2のフィルム202とから構成される。第1のフィルム201と第2のフィルム202とはどちらも、一例として、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)層(12μm)/低密度ポリエチレン(LDPE)層(20μm)/高密度ポリエチレン(HDPE)層(40μm)からなる積層体である。
【0019】
(ヒートシール方法)
ヒートシール装置100は以下の方法により、第1のフィルム201と第2のフィルム202とをヒートシールすることができる。
【0020】
初めに、第1のフィルム201と第2のフィルム202とを加圧板11と支持体12との間に挟み込む。この際、第1のフィルム201と第2のフィルム202とを、互いの2軸延伸PET層が対向する状態で重ねる。
【0021】
次に、第1のフィルム201と第2のフィルム202とを加圧部10により厚み方向に加圧しながら、レーザー照射部30により加圧板11を通してレーザー光40をフィルム20に照射する。加圧板11はレーザー光40を透過する材質により形成されているため、加圧板11を透過したレーザー光40は第1のフィルム201のHDPE層及びLDPE層を透過して、第1のフィルム201及び第2のフィルム202の2軸延伸PET層まで届く。
【0022】
このとき、フィルム20の2軸延伸PET層は、レーザー光40の照射により温度が上昇する。2軸延伸PETのような2軸延伸ポリエステルは、温度が上昇した部分の結晶化度が低下する。同時に、フィルム20は厚み方向に加圧されているため、この部分において、2軸延伸PET層どうしがヒートシールされる。
【0023】
加圧状態を保ったまま、レーザー照射部30の駆動機構によりレーザー光40をフィルム20上で走査する。この結果、第1のフィルム201と第2のフィルム202とが一定の領域にわたってヒートシールされる。
【0024】
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態に係るヒートシール方法を示す概念図である。第1の実施形態に係るヒートシール方法と第2の実施形態に係るヒートシール方法とはヒートシールするフィルムの層構成が異なる。
【0025】
本実施形態で用いられるフィルム21は第1のフィルム211と第2のフィルム212とから構成される。一例として、第1のフィルム211は、2軸延伸PET層(12μm)/アルミニウム箔(9μm)/カーボンブラックフィラー入りのHDPE層(50μm)からなる積層体である。また、第2のフィルム212はPETGの層単体からなるフィルムである。
【0026】
フィルム21をヒートシールする場合も、第1の実施形態と同様にヒートシール装置100を用いることができる。以下で、その方法を説明する。
【0027】
初めに、第1のフィルム211と第2のフィルム212とを加圧板11と支持体12との間に挟み込む。この際、第1のフィルム211は2軸延伸PET層が、第2のフィルム212に対向する状態で重ねられ、第1のフィルム211が加圧板11に対向するように配置される。
【0028】
次に、第1のフィルム211と第2のフィルム212とを加圧部11により厚み方向に加圧しながら、レーザー照射部30により加圧板11を通してレーザー光40をフィルム21に照射する。加圧板11はレーザー光40を透過する材質により形成されているため、加圧板11を透過したレーザー光40は第1のフィルム211のHDPE層を透過してアルミニウム箔まで届く。
【0029】
このとき、アルミニウム箔はレーザー光40を遮断するため、レーザー光40は2軸延伸PET層までは届かない。しかしながら、カーボンブラックフィラー入りHDPE層はレーザー光40により発熱するため、この熱によりアルミニウム箔が加熱される。アルミニウム箔の熱は2軸延伸PET層に伝導して、2軸延伸PET層の温度を上昇させる。この結果、温度が上昇した部分は、2軸延伸PET層の結晶化度が低下し、同時に加圧されているため、2軸延伸PET層と第2のフィルム212とはヒートシールされる。
【0030】
加圧状態を保ったまま、レーザー照射部30の駆動機構によりレーザー光40をフィルム20上で走査する。この結果、第1のフィルム211と第2のフィルム212とが一定の領域にわたってヒートシールされる。
【0031】
(第3の実施形態)
図4は、第3の実施形態に係るヒートシール方法を示す概念図である。第1の実施形態に係るヒートシール方法と第2の実施形態に係るヒートシール方法とはヒートシールするフィルムの層構成が異なる。
【0032】
本実施形態で用いられるフィルム22は第1のフィルム221と第2のフィルム222とから構成される。一例として、第1のフィルム221と第2のフィルム222とはどちらも、2軸延伸PET層(12μm)/LDPE層(20μm)/2軸延伸PET層(12μm)からなる積層体である。
【0033】
フィルム22をヒートシールする場合も、第1の実施形態と同様にヒートシール装置100を用いることができる。以下で、その方法を説明する。
【0034】
初めに、第1のフィルム221と第2のフィルム222とを加圧板11と支持体12との間に挟み込む。この際、第1のフィルム221と第2のフィルム222とは、互いの2軸延伸PET層が対向する状態で重ねられる。
【0035】
次に、第1のフィルム221と第2のフィルム222とを加圧部11により厚み方向に加圧しながら、レーザー照射部30により加圧板11を通してレーザー光40をフィルム22に照射する。加圧板11はレーザー光40を透過する材質により形成されているため、加圧板11を透過したレーザー光40は第1のフィルム221の2軸延伸PET層及びLDPE層を透過して、対向する第1のフィルム221の2軸延伸PET層及び第2のフィルム222の上面側の2軸延伸PET層まで届く。
【0036】
このとき、フィルム22の対向する2軸延伸PET層は、レーザー光40の照射により温度が上昇する。温度が上昇した部分は、結晶化度が低下する。同時に、フィルム22は厚み方向に加圧されているため、この部分において、対向する2軸延伸PET層どうしはヒートシールされる。
【0037】
加圧状態を保ったまま、レーザー照射部30の駆動機構によりレーザー光40をフィルム22上で走査する。この結果、第1のフィルム221と第2のフィルム222とがヒートシールされる。
【0038】
(第4の実施形態)
図5は、第4の実施形態に係るヒートシール方法を示す概念図である。第1の実施形態に係るヒートシール方法と第4の実施形態に係るヒートシール方法とはヒートシールするフィルムの層構成が異なる。
【0039】
本実施形態で用いられるフィルム23は第1のフィルム231と第2のフィルム232とから構成される。一例として、第1のフィルム231は2軸延伸PET(50μm)の層単体からなるフィルムである。また、第2のフィルム232はPETG(共重合PET)(100μm)の層単体からなるフィルムである。
【0040】
フィルム23をヒートシールする場合も、第1の実施形態と同様にヒートシール装置100を用いることができる。以下で、その方法を説明する。
【0041】
初めに、第1のフィルム231と第2のフィルム232とを加圧板11と支持体12との間に挟み込む。この際、第1のフィルム231が加圧板40の側になるように重ねる。
【0042】
次に、第1のフィルム231と第2のフィルム232とを加圧部11により厚み方向に加圧しながら、レーザー照射部30により加圧板11を通してレーザー光40をフィルム23に照射する。加圧板11はレーザー光40を透過する材質により形成されているため、加圧板11を透過したレーザー光40は第2のフィルム232まで届く。
【0043】
このとき、第1のフィルム231の2軸延伸PET層は、レーザー光40の照射により温度が上昇する。温度が上昇した部分は、結晶化度が低下する。同時に、フィルム23は厚み方向に加圧されているため、この部分において、2軸延伸PET層と第2のフィルムのPETGとはヒートシールされる。
【0044】
加圧状態を保ったまま、レーザー照射部30の駆動機構によりレーザー光40をフィルム23上で走査する。この結果、第1のフィルム231と第2のフィルム232とが一定の領域にわたってヒートシールされる。
【0045】
(第5の実施形態)
(ヒートシール装置)
図6は、第5の実施形態に係るヒートシール方法を示す概念図である。第1の実施形態に係るヒートシール方法と第5の実施形態に係るヒートシール方法とはヒートシール装置の構造が異なる。
【0046】
ヒートシール装置101は、レーザー光を透過する材質からなる加圧ローラー14及び加圧ローラー14に対向して配置された支持ローラー15からなる加圧部13と、加圧ローラー14の内周に配置され、加圧ローラー14を通して加圧部13の間に挟み込まれたフィルム20にレーザー光40を照射可能なレーザー照射部30とを含む。加圧部13の間には、2軸延伸PET層を表面に含む積層体からなる第1のフィルム21と第2のフィルム22とが2軸延伸PET層が対向する状態で配置されている。
【0047】
ヒートシール装置100とヒートシール装置101との相違は加圧部の構造である。加圧部13は加圧ローラー14及び加圧ローラー14に対向して配置された支持ローラー15から構成される。加圧ローラー14及び支持ローラー15は、図示しない加圧機構により加圧部13の間に挟み込まれたフィルム20を、所定の荷重でフィルム20の厚み方向に加圧する機能を有する。また、加圧ローラー14及び支持ローラー15はそれぞれ図示しない回転機構を備えて、両者が回転することにより、挟み込まれたフィルム20を一定方向に送り出す機能を有する。この構造により、ヒートシール装置101は、フィルム20を加圧しながら一定方向に移動させることが可能となる。
【0048】
加圧ローラー14も加圧板11と同様にレーザー光40を透過する材質からなる。また、支持ローラー15も支持体12と同様の材質を用いることができる。
【0049】
(ヒートシール方法)
ヒートシール装置101は以下の方法により、第1のフィルム21と第2のフィルム22とをヒートシールすることができる。
【0050】
初めに、第1のフィルム21と第2のフィルム22とを加圧ローラー14と支持ローラー15との間に挟み込む。この際、第1のフィルム21と第2のフィルム22とは、互いの2軸延伸PET層が対向する状態で重ねられる。
【0051】
次に、第1のフィルム21と第2のフィルム22とを加圧ローラー14により厚み方向に加圧しながら、レーザー照射部30により加圧ローラー14を通してレーザー光40をフィルム20に照射する。加圧ローラー14はレーザー光40を透過する材質により形成されているため、加圧ローラー14を透過したレーザー光40は第1のフィルム21のHDPE層及びLDPE層を透過して、第1のフィルム201及び第2のフィルム202の2軸延伸PET層まで届く。この結果、加圧されている部分は、第1の実施形態と同様に、第1のフィルム201と第2のフィルム202との2軸延伸PET層がヒートシールされる。
【0052】
加圧状態を保ったまま、加圧部13の回転機構によりレーザー光40の照射されたフィルム20を送り出す。この結果、第1のフィルム201と第2のフィルム202とはレーザー照射部30に対して相対的に移動するため、レーザー光40がフィルム20上を走査することで、第1のフィルム201と第2のフィルム202とが一定の領域にわたってヒートシールされる。
【0053】
以上で説明したヒートシール装置100、101を用いたヒートシール方法によれば、キセノンランプよりも安全性の高いレーザー発振器を用いて、2軸延伸ポリエステルフィルムどうしを、ヒートシールすることができる。また、ヒートシール領域をレーザー照射により制御可能であるため、シールバーを用いてヒートシールを行う従来技術と較べて、複雑な形状でヒートシール領域を設定可能である。また、レーザー照射部30の駆動制御を変更することでヒートシール領域を容易に変更できる。また、フィルムへのヒートシール性の付与とヒートシールとを同時に行うため加工時間は大幅に低減する。また、レーザー光の照射によりフィルムを短時間で加熱するため、熱によるフィルムへのダメージが少ない。また、加圧と加熱を同時に行うため、加熱直後にフィルム温度が低下した状態で加圧することによるシール不良が発生しない。また、2軸延伸ポリエステルの層を含むフィルムにレーザー光を照射することによりヒートシール性付与した場合、経時や熱によりヒートシール性が低下するという問題があるが、本方法を用いればヒートシール性の付与とヒートシールとを同時に行うためこのような問題が生じない。
【0054】
本発明で用いるフィルムは各実施形態に開示した構成に限定されず、レーザー光の照射によりヒートシール性を付与することができる2軸延伸ポリエステルの層単体又は2軸延伸ポリエステルの層を表面に含む積層体からなる第1のフィルムと、第1のフィルムにヒートシール可能な非結晶性ポリエステル等の層単体またはこれを表面に含む積層体からなる第2のフィルムとを備えれば様々な組合せが可能である。例えば、第1、第3、第5の実施形態で開示したように、第1のフィルム及び第2のフィルムのいずれもが2軸延伸ポリエステルの層を表面に含み、レーザー光の照射により両フィルムに同時にヒートシール性を付与し、ヒートシールできる構造としてもよいし、第2、第4の実施形態で開示したように、第2のフィルムにあらかじめヒートシール性を備えるPETG等の層を表面に含むフィルムを用いて、レーザー光の照射では第1のフィルムにのみヒートシール性を付与し、ヒートシールできる構造としてもよい。また、第1のフィルム及び第2のフィルムの少なくとも一方がアルミニウム層のようなレーザー光を遮る層を有していて2軸延伸ポリエステルの層にまでレーザー光が届かなくても、レーザー光を吸収して発熱するカーボンブラックフィラー等を含む層を有し、この層にレーザー光が照射できれば、ヒートシールを可能にすることができる。
【0055】
また、ヒートシール装置100、101で用いた支持体12及び支持ローラー15をレーザー光の透過できる材質により形成することで、支持体12及び支持ローラー15側からレーザー光を照射できるように構成してもよい。
【0056】
さらに、ヒートシール装置100では、レーザー照射部30をフィルムに対して移動することでレーザー光の走査を行ったが、フィルムをレーザー照射部30に対して移動できるようにすることでレーザー光の走査を行ってもよい。
【実施例】
【0057】
実施例
、参考例および比較例に係るヒートシール方法により作製した積層体のシール強度を評価した。
【0058】
(
参考例1)
第1の実施形態で用いたフィルム20をヒートシールした。ヒートシール装置100を用いて、加圧板11の材質にはCaF2を使用した。レーザー照射部30により、出力60Wの炭酸ガスレーザーをパルス発振させて、幅0.2mm×長さ15mmの線分形状のスポットを1000mm/secの速度で幅方向に走査した。ヒートシール領域の形状は、
図2の(a)に示す形状となった。ヒートシール時の荷重は0.2MPaとした。
【0059】
(実施例2)
第2の実施形態で用いたフィルム21をヒートシールした。ヒートシール装置100を用いて、加圧板11の材質にはZnSeを使用した。レーザー照射部30により、出力25Wのファイバーレーザーを連続発振させて、直径0.2mmの円形状のスポットを1000mm/secの速度で蛇行走査した。ヒートシール領域の形状は、
図2の(b)に示す形状となった。ヒートシール時の荷重は0.5MPaとした。
【0060】
(
参考例3)
第3の実施形態で用いたフィルム22をヒートシールした。ヒートシール装置100を用いて、加圧板11の材質にはダイヤモンドを使用した。レーザー照射部30により、出力60Wの炭酸ガスレーザーを連続発振させて、幅0.2mm×長さ15mmの線分形状のスポットを1000mm/secの速度で幅方向に走査した。ヒートシール領域の形状は、
図2の(c)に示す形状となった。ヒートシール時の荷重は0.7MPaとした。
【0061】
(
参考例4)
第4の実施形態で用いたフィルム23をヒートシールした。ヒートシール装置100を用いて、加圧板11の材質にはカルコゲナイドガラスを使用した。レーザー照射部30により、出力25Wの炭酸ガスレーザーを連続発振させて、直径0.2mmの円形状のスポットを1000mm/secの速度で蛇行走査した。ヒートシール領域の形状は、
図2の(b)に示す形状となった。ヒートシール時の荷重は0.1MPaとした。
【0062】
(
参考例5)
第5の実施形態で用いたフィルム20をヒートシールした。ヒートシール装置101を用いて、加圧ローラー14の材質にはカルコゲナイドガラスを使用した。レーザー照射部30により、出力25Wの炭酸ガスレーザーをパルス発振させて、加圧ローラー14及び支持ローラー15によりフィルム20を送り出すことで、幅0.2mm×長さ15mmの線分形状のスポットを1000mm/secの速度で幅方向に走査した。ヒートシール領域の形状は、
図2の(a)に示す形状となった。ヒートシール時の荷重は0.3MPaとした。
【0063】
(比較例1)
従来技術に係るヒートシール装置を用いて、フィルム20をヒートシールした。初めに、シールバーによりフィルム20の温度を160℃まで加熱し、その後、2秒間加圧した。
【0064】
(比較例2)
ヒートシール装置100の加圧板11を、赤外線吸収率が70%のガラス板に置き換えたヒートシール装置を準備して、フィルム20を
参考例1と同条件でヒートシールした。
【0065】
(比較例3)
フィルム202の2軸延伸PET層をLDPE(25μm)に置き換えたフィルムを用いて、
参考例1と同条件でヒートシールを行った。
【0066】
(評価結果)
JIS Z1707 7.5に基づいて、作製した積層体を15mm幅の短冊状に切り取り、各フィルムを引張試験機に取り付けてヒートシール部が破断する引張応力をシール強度として測定した。なお、試験速度は300mm/minとした。
【0067】
参考例1
、3〜5
および実施例2で作製された積層体はすべてシール強度が5N以上あり、十分なシール強度が得られたことが確認できた。一方で、比較例1〜3で作製された積層体はいずれもシール強度が5N未満となり必要なシール強度が得られなかった。