(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る露光装置、及び画像形成装置の一例を
図1〜
図14に従って説明する。なお、図中に示す矢印Hは装置上下方向(鉛直方向)を示し、矢印Wは装置幅方向(水平方向)を示し、矢印Dは装置奥行方向(水平方向)を示す。
【0018】
(全体構成)
図13に示されるように、実施形態に係る画像形成装置10には、上下方向(矢印H方向)の下方から上方へ向けて、記録媒体としてのシート部材Pが収容される収容部14と、収容部14に収容されたシート部材Pを搬送する搬送部16と、収容部14から搬送部16によって搬送されるシート部材Pに画像形成を行う画像形成部20とが、この順で備えられている。
【0019】
〔収容部〕
収容部14には、画像形成装置10の装置本体10Aから装置奥行方向の手前側に引き出し可能な収容部材26が備えられており、この収容部材26にシート部材Pが積載されている。さらに、収容部材26には、収容部材26に積載されたシート部材Pを、搬送部16を構成する搬送経路28に送り出す送出ロール30が備えられている。
【0020】
〔搬送部〕
搬送部16には、収容部14から送り出されたシート部材Pが搬送される搬送経路28に沿ってシート部材Pを搬送する、複数の搬送ロール32が備えられている。
【0021】
〔画像形成部〕
画像形成部20には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの画像形成ユニット18Y、18M、18C、18Kが備えられている。なお、以後の説明では、Y、M、C、Kを区別して説明する必要が無い場合は、Y、M、C、Kを省略して記載することがある。
【0022】
各色の画像形成ユニット18は、装置本体10Aに対して夫々着脱可能とされている。そして、各色の画像形成ユニット18には、像保持体36と、像保持体36の表面を帯電する帯電部材38と、像保持体36に露光光を夫々照射する露光装置42とが備えられている。さらに、各色の画像形成ユニット18には、帯電した像保持体36に露光装置42が露光光を照射することで形成された静電潜像を現像してトナー画像とし、可視化する現像装置40が備えられている。
【0023】
また、画像形成部20には、図中矢印A方向に周回する無端状の転写ベルト22と、各色の画像形成ユニット18によって形成されたトナー画像を転写ベルト22に転写する一次転写ロール44とが備えられている。さらに、画像形成部20には、転写ベルト22に転写されたトナー画像をシート部材Pに転写する二次転写ロール46と、トナー画像が転写されたシート部材Pを加熱・加圧してトナー画像をシート部材Pに定着する定着ユニット50とが備えられている。
【0024】
なお、露光装置42の構成については、詳細を後述する。
【0025】
(画像形成装置の作用)
画像形成装置10では、次のようにして画像が形成される。
【0026】
先ず、電圧が印加された各色の帯電部材38は、各色の像保持体36の表面を予定の電位で一様にマイナス帯電する。続いて、外部から受け取った画像データに基づいて、露光装置42は、帯電した各色の像保持体36の表面に露光光を照射して静電潜像を形成する。
【0027】
これにより、データに対応した静電潜像が各色の像保持体36の表面に形成される。さらに、各色の現像装置40は、この静電潜像を現像し、トナー画像として可視化する。また、各色の像保持体36の表面に形成されたトナー画像は、一次転写ロール44によって転写ベルト22に転写される。
【0028】
そこで、収容部材26から送出ロール30によって搬送経路28へ送り出されたシート部材Pは、転写ベルト22と二次転写ロール46とが接触する転写位置Tへ送り出される。転写位置Tでは、シート部材Pが転写ベルト22と二次転写ロール46との間で搬送されることで、転写ベルト22の表面のトナー画像は、シート部材Pの表面に転写される。
【0029】
シート部材Pの表面に転写されたトナー画像は、定着ユニット50によってシート部材Pに定着される。そして、トナー画像が定着されたシート部材Pは、装置本体10Aの外部へ排出される。
【0030】
(要部構成)
次に、露光装置42等について説明する。
【0031】
露光装置42は、LEDプリントヘッドであって、
図12に示されるように、像保持体36の下方に配置されている。
【0032】
そして、露光装置42は、
図1、
図3に示されるように、装置奥行方向(一方向)に延び、板面が上下方向を向いた基板60と、基板60の上方に配置され、装置奥行方向に延びているレンズアレイ62とを備えている。さらに、露光装置42は、装置奥行方向に延び、基板60及びレンズアレイ62が固定されている筐体66と、筐体66に嵌め込まれているU字状のU字部材64と、U字部材64に固定されている重り68とを備えている。
【0033】
〔基板〕
基板60は、板状の本体部70と、上方を向いた本体部70の上面70A(一方の面)に実装されている複数の発光素子72と、下方を向いた本体部70の下面70B(他方の面)に実装されている複数の発熱素子74(
図3参照)とを有している。
【0034】
さらに、基板60は、
図3に示されるように、本体部70の下面70Bに実装され、図示せぬハーネス側のコネクタと接続されるコネクタ76と、装置上下方向におけるU字部材64の位置を規制する規制部材の一例としての板バネ78とを有している。
【0035】
本体部70は、プリント配線基板であって、上方から見て装置奥行方向が延びる矩形状とされている。
【0036】
発光素子72は、発光ダイオード(LED)であって、
図1に示されるように、千鳥状に配置されて装置奥行方向に延びている。
【0037】
発熱素子74は、発光素子72の発光にともない発熱する能動素子又は受動素子である。本実施形態では、
図2に示されるように、発熱素子74として、各部を制御する集積回路74A(所謂ASIC)と、発光素子72に印加される電圧を制御する電圧制御素子74B(所謂電圧レギュレータ)とが、本体部70に実装されている。
【0038】
集積回路74Aは、装置奥行方向における筐体66の中央側に配置され、装置奥行方向における筐体66の中心線C(仮想線)と比して、装置奥行方向の手前側(図中左側)に配置されている。
【0039】
電圧制御素子74Bは、集積回路74Aと比して小さく、装置幅方向に並んで2個設けられている。そして、電圧制御素子74Bは、装置奥行方向における筐体66の中央側に配置され、筐体66の中心線Cと比して、装置奥行方向の奥側(図中右側)に配置されている。このように、集積回路74Aと電圧制御素子74Bとは、中心線Cを挟んで反対側に配置されている。
【0040】
コネクタ76は、集積回路74Aと比して装置奥行方向の手前側(図中左側)に配置され、
図3に示されるように、集積回路74Aと比して下方に突出している。
【0041】
板バネ78は、装置奥行方向に離れて一対設けられている。一方の板バネ78(以下「板バネ78A」)は、本体部70の下面70Bにおいて装置奥行方向の奥側の部分に配置され、他方の板バネ78(以下「板バネ78B」)は、装置奥行方向において、集積回路74Aとコネクタ76との間に配置されている。
【0042】
また、装置幅方向から見て、板バネ78Aと板バネ78Bとは、中心線Cに対して、対称形状とされている。そして、板バネ78A、78Bは、基端部が本体部70の下面70Bに固定され、屈曲しながら下方に延びている。
【0043】
〔レンズアレイ〕
レンズアレイ62は、
図1に示されるように、装置奥行方向に延びる直方体状とされている。また、装置奥行方向に直交するレンズアレイ62の断面形状は、装置上下方向に延びる矩形状とされている(
図5(A)参照)。さらに、レンズアレイ62には、複数のロッドレンズ82が千鳥状に配置されている。そして、夫々のロッドレンズ82は、夫々の発光素子72から出射された光を透過させて像保持体36(
図12参照)に結像するようになっている。
【0044】
〔筐体〕
筐体66は、樹脂材料である液晶ポリマーで成形され、装置奥行方向に延びている。さらに、筐体66には、装置上下方向に貫通する貫通孔84が形成され、この貫通孔84は、装置奥行方向に延びている。このように、筐体66は枠状とされている。
【0045】
装置奥行方向に直交する筐体66の断面形状は、
図5(A)に示されるように、筐体66の重心Gを通り、装置上下方向に延びる線Jに対して、対称形状とされている。そして、筐体66には、装置上下方向に延びる一対の壁部66Aが形成されている。
【0046】
筐体66に形成された貫通孔84の上端部(一端部)には、レンズアレイ62が図示せぬ接着剤(UV硬化型接着剤)によって固定されている。また、筐体66とレンズアレイ62との間の隙間には、レンズアレイ62の全周に亘って封止剤88が充填されている。このため、筐体66とレンズアレイ62との間から、埃等が筐体66の内部に侵入しないようになっている。
【0047】
また、筐体66には、貫通孔84の下端部の開口を広くするように、貫通孔84の全周に亘って段部84Aが形成されている。そして、発光素子72とレンズアレイ62とが対向するように、この段部84Aに、基板60が固定されている。具体的には、基板60は、前述した一対の壁部66Aに装置幅方向から挟まれており、
図7に示されるように、基板60の端部と壁部66Aとは、UV硬化型接着剤である接着剤90によって点付けされている。これにより、基板60が筐体66に固定されている。
【0048】
さらに、基板60の端部と壁部66Aとの間には、基板60の全周に亘って封止剤92が塗布され、筐体66と基板60との間から、埃等が筐体66の内部に侵入しないようになっている。なお、接着剤90によって基板60が点付けされている部分については、
図5(B)に示されるように、基板60が点付けされていない部分(
図5(A)参照)と比して、封止剤92が盛り上がっている。
【0049】
さらに、
図12に示されるように、筐体66において装置奥行方向の両端部には、上方を向いた平面部66Bが形成されている。そして、画像形成装置10は、平面部66Bと当たる一対の基準フレーム130と、筐体66を挟んで基準フレーム130の反対側に配置され、平面部66Bを基準フレーム130に夫々押し付ける一対の押付部材132とを備えている。
【0050】
このように、筐体66における装置奥行方向の両端側の部分が支持されることで、露光装置42は装置本体10Aに取り付けられている。
【0051】
〔U字部材〕
U字部材64は、板金(JIS G 3313 SECC)を折り曲げて形成され、
図1に示されるように、装置奥行方向に延びている。さらに、装置奥行方向に直交するU字部材64の断面形状は、
図5(A)に示されるように、本体部70の下面70B側が開放されたU字状とされている。具体的には、U字部材64は、板厚方向が装置幅方向を向いた一対の側板64Aと、一対の側板64Aの下端部を連結するとともに板厚方向が装置上下方向を向いた底板64Bとを含んで構成されている。
【0052】
さらに、
図2に示されるように、装置奥行方向におけるU字部材64の中心D1(図中参照)は、装置奥行方向における筐体66の中心D2と比して、筐体66の装置奥行方向の奥側(一端側)に位置している。そして、U字部材64の一端64Dは、筐体66の一端部(図中L1)に位置し、U字部材64の他端64Eは、筐体66の中心D2と比して、筐体66の他端側に位置している。このように、U字部材64は、筐体66の一端側に寄った位置に配置されている。ここで、筐体66の一端部(図中L1)とは、筐体66の全長L2(図中参照)を100%とした場合に、筐体66の一端部から全長L2の15%の長さまでの部位である。
【0053】
この構成において、装置上下方向(基板60の板厚方向)から見て、U字部材64は、集積回路74A、及び電圧制御素子74Bを覆っている。ここで、「覆う」とは、装置奥行方向において、U字部材64の一端64Dの他端64Eとの間に、対象の部材が配置されている状態である。さらに、
図3に示されるように、U字部材64の底板64Bが、板バネ78A、78Bの先端部に接触することで、基板60に対するU字部材64の上下方向の位置が、規制され(決められ)ている。これより、
図5(A)に示されるように、U字部材64の端部(開放端部)と、基板60及び封止剤92とが上下方向で離間している。また、この状態で、U字部材64は、一対の壁部66Aに挟まれ、貫通孔84に嵌め込まれている。そして、U字部材64は、筐体66の幅方向の最外部よりも内側に位置している。
【0054】
さらに、夫々の側板64Aの端部には、
図1、
図7に示されるように、装置奥行方向に間隔を空けて複数の半円状の切欠き94が形成されている。装置奥行方向における切欠き94の位置は、接着剤90によって基板60が点付けされている位置と同様の位置である。
【0055】
ここで、接着剤90によって基板60が点付けされている部分については、
図5(B)に示されるように、封止剤92が盛り上がっている。しかし、この接着剤90と対応する部分の側板64Aには、前述したように、切欠き94が形成されている。このため、封止剤92が盛り上がっている部分でも、U字部材64の端部と、基板60及び封止剤92とが上下方向で離間している。
【0056】
また、
図2、
図7に示されるように、底板64Bには、表裏を貫通する三個の貫通孔96A、96B、96Cが形成されている。この貫通孔96A、96B、96Cは、注入部の一例とされている。そして、
図4に示されるように、装置奥行方向において集積回路74Aと少なくとも一部が重なるように、貫通孔96Aは形成されている。具体的には、装置奥行方向において集積回路74Aが占める範囲H1と、装置奥行方向において貫通孔96Aが占める範囲H2とは、装置奥行方向において少なくも一部が重なっている。
【0057】
また、装置奥行方向において電圧制御素子74Bと少なくとも一部が重なるように、貫通孔96Bは形成されている。具体的には、装置奥行方向において電圧制御素子74Bが占める範囲H3と、装置奥行方向において貫通孔96Aが占める範囲H4とは、装置奥行方向において少なくも一部が重なっている。
【0058】
さらに、底板64Bにおいて装置奥行方向の奥側の部分(図中右側の部分)に、貫通孔96Cは形成されている。
【0059】
また、
図5(A)に示されるように、筐体66の壁部66Aには、下方を向いた端面67が形成されている。そして、U字部材64の側板64Aと端面67とは、UV硬化型接着剤である接着剤98によって点付けされている。この接着剤98は、壁部66Aから装置幅方向の外側に出ないように、端面67に塗布されている。このようにして、U字部材64は、筐体66に固定されている。
【0060】
〔重り〕
重り68は、
図7に示されるように、装置奥行方向に延びる直方体状で、U字部材64の板厚よりも厚い厚みを有する金属材料で構成されている。そして、筐体66の幅方向の最外部よりも内側においてU字部材64に対して固定されている。また、重り68は、底板64Bにおいて基板60側とは反対側の板面に固定されている。基板60側とは反対側の板面に固定されることで、重り68が基板60や基板60上の発熱素子74等の部品と干渉しない。
【0061】
具体的には、底板64Bにおいて貫通孔96Aと貫通孔96Bとの間の部分に、重り68は、かしめ工法を用いて固定されている。また、この重り68は、
図3に示されるように、装置奥行方向における筐体66の中心線Cと重なっている。換言すれば、装置奥行方向において、重り68は筐体66の中心と重なっている。 〔その他〕
発熱素子74に接触する接触樹脂102は、絶縁性を有する樹脂部材であって、
図3、
図4に示されるように、3箇所に配置されている。具体的には、集積回路74Aに接触する接触樹脂102(以下「102A」)、電圧制御素子74Bに接触する接触樹脂102(以下「102B」)、及び本体部70の装置奥行方向奥側の部分に接触する接触樹脂102(以下「102C」)が、装置奥行方向に離れて配置されている。接触樹脂102A、102Bは、接触部材の一例とされている。
【0062】
また、接触樹脂102は、
図6に示されるように、基板60、一対の壁部66A及びU字部材64で囲まれている。
【0063】
接触樹脂102Aは、
図4に示されるように、底板64Bにおいて貫通孔96Aが形成されている部分と集積回路74Aとの間に配置され、少なくとも集積回路74A、及びU字部材64に接触している。そして、貫通孔96Aを通して基板60側を見ると、接触樹脂102Aが集積回路74Aの少なくとも一部を覆っている。接触樹脂102Bは、底板64Bにおいて貫通孔96Bが形成されている部分と電圧制御素子74Bとの間に配置され、少なくとも電圧制御素子74B、及びU字部材64に接触している。そして、貫通孔96Bを通して基板60側を見ると、接触樹脂102Bが電圧制御素子74Bの少なくとも一部を覆っている。接触樹脂102Cは、底板64Bにおいて貫通孔96Cが形成されている部分と本体部70との間に配置され、少なくとも本体部70、及びU字部材64に接触している。
【0064】
この接触樹脂102としては、例えば、常温湿気硬化型接着剤が用いられる。
【0065】
この構成において、集積回路74A、及び電圧制御素子74Bで生じた熱は、接触樹脂102A、102Bを介してU字部材64に伝達され、U字部材64に伝達された熱は、接触樹脂102Cを介して本体部70に伝達されるようになっている。
【0066】
(製造方法)
次に、露光装置42を製造する製造方法について説明する。なお、
図8〜
図11に示す矢印UPは、鉛直方向の上方を示す。
【0067】
先ず、レンズ固定工程で、
図8(A)(B)に示されるように、レンズアレイ62の固定部分が上方に位置するように配置された筐体66に、レンズアレイ62を固定する。具体的には、レンズアレイ62の一部を上方から貫通孔84に挿入し、UV硬化型接着剤(図示省略)によって、レンズアレイ62を筐体66に点付けする。また、筐体66とレンズアレイ62との間の隙間に、封止剤88を充填する。これにより、レンズアレイ62が筐体66に固定される。
【0068】
さらに、基板固定工程で、
図9(A)(B)に示されるように、レンズ固定工程に対して上下を逆にした筐体66に、基板60を固定する。具体的には、基板60を段部84Aに載せ、接着剤90によって、基板60を壁部66Aに点付けする。また、紫外線を照射して接着剤90を硬化させる。その後、基板60と壁部66Aとの間に、封止剤92を塗布する。これにより、基板60が筐体66に固定される。
【0069】
さらに、部材固定工程で、
図10(A)(B)に示されるように、筐体66にU字部材64を固定する。具体的には、U字部材64の開放端部を基板60側に向け、一対の壁部66AでU字部材64の側板64Aを挟むように、U字部材64を貫通孔84に嵌め込む。そして、板バネ78の先端部にU字部材64を当て、U字部材64を位置決めする。また、接着剤98によって、U字部材64の側板64Aを壁部66Aの端面67に点付けする。さらに、紫外線を照射して接着剤98を硬化させる。これにより、U字部材64が筐体66に固定される。
【0070】
さらに、樹脂注入工程で、
図11(A)(B)に示されるように、貫通孔96A、96B、96Cから、硬化すると接触樹脂102となる軟質樹脂を流し込む。具体的には、ディスペンサの注入針120の先端部を、貫通孔96A、96B、96Cにさし込み、基板60、一対の壁部66A、及びU字部材64で囲まれた領域に、軟質樹脂を流し込む。そして、注入した樹脂を自然乾燥させ、硬化させることで、接触樹脂102が形成される。以上の工程によって、露光装置42が製造される。
【0071】
(作用)
次に、露光装置42の作用について説明する。
【0072】
画像形成装置10の画像形成動作が開始され、像保持体36の表面が帯電すると、露光装置42の外部から受け取った画像データに基づいて露光装置42は、発光素子72を発光させて像保持体36の表面に露光光を照射する(
図12参照)。そして、発光素子72の発光にともない、本体部70の下面70Bに実装されている集積回路74A、及び電圧制御素子74Bは、発熱する(
図3参照)。
【0073】
ここで、画像形成動作によって生じる、装置本体10A内の駆動部材の振動が、露光装置42に伝達される。前述したように、筐体66における装置奥行方向の両端側の部分が支持されることで、露光装置42は装置本体10Aに取り付けられている。また、筐体66は樹脂材料で構成されているため、筐体66が金属材料で構成されている場合と比して曲げ剛性が低い。また、装置奥行方向に直交するレンズアレイ62の断面形状は、
図5(A)に示されるように、装置上下方向に延びる矩形状とされ、筐体66には、装置上下方向に延びる一対の壁部66Aが形成されている。このため、露光装置42の上下方向の曲げ剛性が、露光装置42の幅方向の曲げ剛性と比して高くなっている。これにより、露光装置は、装置幅方向に振動しやすくなっている(
図14の矢印F参照)。
以上のような構成であるため、画像形成動作によって生じる、装置本体10A内の駆動部材の振動が、露光装置42に伝達された場合に、露光装置42が振動しやすく、とりわけ、画像形成動作に伴う画像形成装置の振動と露光装置42の固有振動とによる共振が発生した場合に顕著に振動する。
【0074】
しかし、装置奥行方向に延びるU字部材64が筐体66の貫通孔84に嵌め込まれている。このU字部材64が、筐体66の曲げ剛性を高めることで、U字部材64が備えられていない場合と比して、露光装置42の振動が低減する。
【0075】
また、U字部材64は、露光装置42の固有振動数をずらす重りとして機能し、U字部材64を有さない場合の露光装置42と比して、画像形成装置の振動との共振が発生しにくい方向に、露光装置42の固有振動数をずらすことで、露光装置42の振動を低減する。
【0076】
更に、U字部材64は、マスダンパー(質量ダンパー)として機能し、U字部材64を有さない場合の露光装置42と比して、露光装置42の振動を低減する。
【0077】
このように、露光装置42の振動が抑制されることで、振動が抑制されない場合と比して、出力画像の品質低下が抑制される。
【0078】
また、U字部材64に固定されている重り68は、U字部材64と同様に、画像形成装置の振動との共振が発生しにくい方向に露光装置42の固有振動数をずらす機能と、マスダンパー(質量ダンパー)として機能を果たす。そして、U字部材64を有するが重り68を有さない場合の露光装置42と比して、露光装置42の振動をより低減する。重り68は、U字部材64のみでは露光装置42の振動を所望の範囲内に低減できない場合に設けられる。U字部材64は板状の金属材料であり、板厚を厚くすることで重さを増やすことができる。しかし、U字部材64を厚くすると、基板60や基板60上の発熱素子74等の部品と干渉しやすくなる。そこで、U字部材64とは別に重り68を設けることで振動を低減する。
また、重り68は、装置奥行方向において、筐体66の中心と重なるように配置されている。このため、装置奥行方向において、筐体66の中心と重りとが重なって配置されていない場合と比して、同じ重さの重りを配置する場合であっても、装置奥行方向において筐体66(露光装置42)の中心が腹となる振動(例えば、一次モードの振動)が抑制される。
【0079】
ここで、前述したように、発光素子72の発光にともない、本体部70の下面70Bに実装されている集積回路74A、及び電圧制御素子74Bは、発熱する。装置上下方向から見て、U字部材が、集積回路74A、及び電圧制御素子74Bを覆っていな場合には、装置奥行方向において、基板60に温度むらが生じてしまう。そして、温度の高い部分の本体部70に実装されている発光素子72の光量が、温度の低い部分の本体部70に実装されている発光素子72の光量と比して、小さくなる。この場合には、装置奥行方向において、発光素子72の光量むらが生じてしまう。
【0080】
しかし、装置上下方向から見て、U字部材64は、集積回路74A、及び電圧制御素子74Bを覆っている。このため、集積回路74A、及び電圧制御素子74Bの熱は、U字部材64に伝達される。これにより、U字部材64が、集積回路74A、及び電圧制御素子74Bを覆っていない場合と比して、基板60に生じる、装置奥行方向(基板の長手方向)の温度むらが抑制される。
【0081】
また、接触樹脂102Aが、集積回路74A、及びU字部材64に接触し、接触樹脂102Bが、電圧制御素子74B、及びU字部材64に接触している。このため、集積回路74Aの熱は、接触樹脂102Aを介してU字部材64に伝達され、電圧制御素子74Bの熱は、接触樹脂102Bを介してU字部材64に伝達される。これにより、接触樹脂102A、102Bが設けられていない場合と比して、基板60に生じる、装置奥行方向の温度むらが抑制される。
【0082】
また、基板60に生じる、装置奥行方向の温度むらが抑制されることで、基板60に生じる温度むらが抑制されない場合と比して、装置奥行方向における発光素子72の光量むらが抑制される。
【0083】
また、接触部材としての接触樹脂102は、絶縁性を有する樹脂部材である。このため、接触部材が、例えば、絶縁性を有さない導電性ペースト等である場合と比して、発熱素子74の導電部を避けることなく接触樹脂102が配置される。
【0084】
また、画像形成装置10においては、露光装置42を備えていない場合と比して、露光装置42の振動が抑制されることで、出力画像の品質低下が抑制される。
【0085】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、露光装置42は、重り68を備えているが、重り68を備えなくてもよい。この場合には、重り68を備えることで生じる作用は、生じない。
また、上記実施形態では、重り68は、装置奥行方向に延びる直方体状をしているが、重りとしての機能を有していれば任意の形状で構わない。
また、上記実施形態では、重り68は、底板64Bにおいて基板60側とは反対側の板面に固定されているが、基板60側の面に固定されてもよい。この場合には、基板60側とは反対側の板面に固定されることで生じる作用は、生じない。
【0086】
また、上記実施形態では、重り68は、かしめ工法で固定されているが、ネジ止めや溶接等の他の工法を用いてU字部材64に対して固定されてもよい。
また、上記実施形態では、この重り68は、
図3に示されるように、装置奥行方向における筐体66の中心線Cと重なっているが、必ずしも筐体66の中心線Cと重なっている必要はなく、装置奥行方向の任意の位置に固定されていてもよい。この場合には、装置奥行方向における筐体66の中心線Cと重なっていることで生じる作用は、生じない。
【0087】
また、上記実施形態では、装置上下方向において、U字部材64が、集積回路74A、及び電圧制御素子74Bを覆ったが、集積回路74A、及び電圧制御素子74Bを覆わなくてもよい。この場合には、U字部材64が、集積回路74A、及び電圧制御素子74Bを覆うことで生じる作用は、生じない。
【0088】
また、上記実施形態では、装置上下方向において、U字部材64が、集積回路74A、及び電圧制御素子74Bを覆ったが、集積回路74A、及び電圧制御素子74Bの少なくとも一方を覆えばよい。この場合は、覆われなかった部材の熱が、U字部材64に伝達されることで生じる作用は、生じない。
【0089】
また、上記実施形態では、露光装置42は、接触樹脂102A、102Bを備えたが、接触樹脂102A、102Bを備えなくてもよい。この場合には、接触樹脂102A、102Bを備えることで生じる作用は、生じない。
【0090】
また、上記実施形態では、露光装置42は、接触樹脂102A、102Bを備えたが、接触樹脂102A、及び接触樹脂102Bの少なくとも一方を備えていればよい。この場合は、備えられなかった接触樹脂102よって生じる作用は、生じない。
【0091】
また、接触部材の一例である接触樹脂102は、絶縁性を有する樹脂部材であったが、接触部材が例えば、導電性を有する導電性ペーストであってもよい。しかし、この場合には、接触部材が絶縁性を有することで生じる作用は、生じない。
【0092】
また、上記実施形態では、発光素子72は、千鳥状に配置され、装置奥行方向に延びたが、千鳥状に配置されていなくてもよく、装置奥行方向に延びるように配置されていればよい。
【0093】
また、上記実施形態では、特に説明しなかったが、
U字部材64の長手方向は、装置奥行方向でなくてもよい。