(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0022】
図1は、本実施形態の配線基板を用いて製造された半導体装置を説明する図である。
図1に示されるように、半導体装置1は、積層体21と、半導体チップ22と、アンダーフィル24と、モールド樹脂25と、複数の外部接続端子31とを備えている。なお、積層体21の詳細については後述する。
【0023】
半導体チップ22は、例えば半導体基板表面に形成されるトランジスタ又はダイオード等を有する集積回路(IC又はLSI)であり、略直方体形状を有している。半導体チップ22に用いられる半導体基板は、例えばシリコン基板(Si基板)、窒化ガリウム基板(GaN基板)、又は炭化ケイ素基板(SiC基板)等の無機物を主成分とした基板が用いられる。本実施形態では、半導体基板としてシリコン基板が用いられる。シリコン基板を用いて形成される半導体チップ22の線膨張係数(CTE:Coefficient of Thermal Expansion)は、約2〜4ppm/℃(例えば3ppm/℃)である。本実施形態における線膨張係数は、例えば20℃〜260℃の温度範囲内における温度の上昇に対応して変化する長さとする。
【0024】
半導体チップ22の表面22aには、突起電極(バンプとも言う)23が設けられている。半導体チップ22は、この突起電極23を介して積層体21の一方の主面21aにて露出する配線パターン(図示せず)と電気的に接続している。突起電極23は、例えばAu、Ag、Cu、Al等の金属もしくはこれらの合金、CuにAuめっき等を施した金属複合体、又は、Sn、Sn−Pb、Sn−Ag、Sn−Cu、Sn−Ag−Cu、Sn−BiもしくはAu系等のはんだによって形成される。突起電極23は、半導体チップ22の領域内全体に配置されていてもよいし、半導体チップ22の周辺領域に配置されていてもよい。半導体チップ22と配線基板11とを互いに接続する方式としては、例えばワイヤボンディング方式又はフリップチップ方式が挙げられる。本実施形態では、実装面積の縮小化及び作業の効率化の観点から、フリップチップ方式によって半導体チップ22及び積層体21が互いに接続されている。
【0025】
アンダーフィル24は、半導体チップ22を積層体21上に固定及び封止するために用いられる接着剤である。アンダーフィル24としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂、及びマレイミド樹脂の内の1種又はこれらの樹脂の2種類以上が混合された樹脂に、フィラーとしてシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、又は酸化亜鉛等を加えた材料が用いられる。アンダーフィル24は、液状であってもよいし、フィルム状であってもよい。
【0026】
モールド樹脂25は、半導体チップ22を覆って封止及び保護するために用いられる封止樹脂である。モールド樹脂25としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂、及びマレイミド樹脂の内の1種又はこれらの樹脂の2種類以上が混合された樹脂に、フィラーとしてシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、又は酸化亜鉛等を加えた材料が用いられる。
【0027】
外部接続端子31は、積層体21の他方の主面21b上に設けられている。外部接続端子31は、積層体21内に設けられている配線パターンを介して半導体チップ22と電気的に接続している。外部接続端子31は、例えばSn、Sn−Pb、Sn−Ag、Sn−Cu、Sn−Ag−Cu、又はSn−Bi等のはんだによって形成される。外部接続端子31がはんだから形成される場合、外部接続端子31を形成する前に、積層体21の他方の主面21bにて配線パターンが露出した部分に、例えばNiめっき、Auめっき、又はSnめっきが施されてもよく、プレソルダー処理が施されてもよく、OSP(Organic Solderability Preservative)等の有機被膜処理が施されてもよい。
【0028】
図2は、本実施形態の配線基板を説明する図である。
図2に示されるように、配線基板11は、支持体12と、剥離層13と、積層体21とを備えている。積層体21は、第1樹脂層14、配線パターン17、第2樹脂層18、及び接続端子19を有している。積層体21の厚さは、例えば0.001mm以上1mm以下であってもよく、0.01mm以上0.8mm以下であってもよく、0.03mm以上0.5mm以下であってもよく、0.001mm以上0.8mm以下であってもよく、0.001mm以上0.5mm以下であってもよく、0.01mm以上0.8mm以下であってもよく、0.01mm以上0.5mm以下であってもよい。積層体21の厚さが0.001mm以上であることによって、積層体21に設けられる配線パターン17を第1樹脂層14及び第2樹脂層18によって保護することができる。積層体21の厚さが1mm以下であることによって、支持体12と積層体21との線膨張率等の差に起因した配線基板11の反りを抑制できる。なお、本明細書における積層体21の厚さとは、第1樹脂層14の上面から第2樹脂層18又は配線パターン17の最上面に至るまでの厚み方向である。つまり、「厚さ」とは、配線基板11の主面に対する垂直方向に沿った長さとする。
【0029】
支持体12は、例えば光を透過する性質(透明性)を有する材料から構成される基板である。支持体12の主面12aは、例えば略矩形状、略円形状、又は略楕円形状等である。支持体12が透過する光の波長の範囲は、例えば300nm以上2000nm以下でもよく、300nm以上1100nm以下でもよい。支持体12は、例えばレーザー光のような特定の波長を透過する性質を有するものでもよい。支持体12は、例えばガラス基板が用いられる。ガラスとしては、例えば石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、ソーダガラス、又はサファイアガラス等が用いられる。ガラスの線膨張係数は、上述した半導体チップ22の線膨張係数と近い値であることが好ましく、例えば−1ppm/℃以上10.0ppm/℃以下(又は0.5ppm/℃以上5.0ppm/℃以下)である。JIS B 0601:2013に基づいた支持体12の主面12aにおける最大高さ粗さRzは、例えば0.01μm以上5μm以下でもよく、0.1μm以上3μm以下でもよい。支持体12の主面12aの最大高さ粗さRzが0.01μm以上であることによって、支持体12を準備するコストの増加を抑制することができる。支持体12の主面12aの最大高さ粗さRzが5μm以下であることによって、主面12aの凹凸に起因した配線パターン17の断線及び短絡等を抑制できる。
【0030】
剥離層13は、支持体12と積層体21とを互いに密着させるための層である。剥離層13は、支持体12の主面12a上の一部分に設けられており、光の照射により分解可能な樹脂を含んでいる。本実施形態における光はレーザー光であるので、剥離層13に含まれる樹脂として、レーザー光が照射されることによって熱分解可能な樹脂が用いられる。剥離層13に含まれる樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂、及びマレイミド樹脂の内の1種又はこれらの樹脂の2種類以上が混合された樹脂等が用いられる。また、剥離層13は、銅、ニッケル、金、銀、チタン、クロム、アルミニウム等の金属およびこれらの金属酸化物を含んでいてもよい。剥離層13の厚さは、例えば0.1μm〜10μmである。
【0031】
第1樹脂層14は、剥離層13上に設けられる樹脂層であり、開口部14aを有している。第1樹脂層14は、例えば感光性を有するポリイミド、ポリベンゾオキサゾール等の材料からなる。また、第1樹脂層14は、無機フィラー又は有機フィラーが含まれていてもよい。第1樹脂層14として、例えばエポキシ系の絶縁性樹脂等からなり感光性を有するソルダーレジストが用いられてもよい。第1樹脂層14の厚さは、例えば0.5μm〜30μmである。
【0032】
配線パターン17は、例えばAu、Cu、Ni等の金属から構成される導電層であり、第1樹脂層14及び支持体12上に設けられている。配線パターン17は、第1樹脂層14の開口部14aを介して支持体12と接触している。配線パターン17の厚さは、例えば1μm〜20μmである。
【0033】
第2樹脂層18は、第1樹脂層14、及び配線パターン17上に設けられる樹脂層であり、開口部18aを有している。第2樹脂層18は、例えばポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、ポリエチレンテレフタラート、ポリフェニレンオキシド、液晶ポリマー、又はシリコーン等の樹脂材料及びこれらの複合材料を含む。第2樹脂層18は、感光性材料であっても、非感光性の材料であってもよい。また、第2樹脂層18は、無機フィラー又は有機フィラーが含まれていてもよい。第2樹脂層18は、例えばエポキシ樹脂及びガラス繊維が組み合わせた材料を含んでもよい。第2樹脂層18として、例えばエポキシ系の絶縁性樹脂等からなるソルダーレジストが用いられてもよい。第2樹脂層18に設けられている開口部18aは、第1樹脂層14の開口部14aと重なっておらず、配線パターン17の一部を露出するように設けられている。第2樹脂層18の厚さは、例えば0.5μm〜30μmである。
【0034】
接続端子19は、第2樹脂層18の開口部18a内に設けられる端子であり、配線パターン17が半導体チップ22の突起電極23と電気的接続しやすいように設けられている。接続端子19は、例えば共晶はんだ又は鉛フリーはんだ(Sn−Ag、Sn−Cu、Sn−Ag−Cu、又はSn−Bi等)によって形成される。接続端子19は、種々の金属からなる導電層上に共晶はんだ又は鉛フリーはんだが設けられた端子でもよい。また、開口部18aに、Ni、Au、Sn等のめっき処理を施す、又はOSP等の有機被膜処理を施すことにより、接続端子19を形成してもよい。また、接続端子19は、配線パターン17に金めっきを行うことにより形成してもよい。この場合、接続端子19の導電性が向上すると共に、接続端子19の腐食が抑制される。半導体チップ22の突起電極23が金ボールバンプ(例えば、Au、Auを含む合金、もしくは表面にAuめっきを施した金属複合体による金バンプ、又は、Au系のはんだによって形成されたバンプ)である場合、当該突起電極23と金めっきが施された接続端子との接合性が向上する。
【0036】
まず、
図3A)に示されるように、支持体12の主面12a上に剥離層13を形成する。剥離層13は、例えば印刷法、真空プレス法、真空ラミネート法、ロールラミネート法、スピンコート法、ダイコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、又はフォトリソグラフィー法等の公知の方法にて形成される。
【0037】
次に、
図3Bに示されるように、剥離層13上に第1樹脂層14を設けた後、第1樹脂層14に開口部14aを形成する。第1樹脂層14は、例えば印刷法、真空プレス法、真空ラミネート法、ロールラミネート法、スピンコート法、ダイコート法、カーテンコート法、ローラーコート法等の公知の方法にて形成される。開口部14aは、例えば第1樹脂層14に対してフォトリソグラフィーを行い、第1樹脂層14の一部を除去することによって形成される。第1樹脂層14の一部を現像処理によって除去する際、剥離層13の一部もともに除去され、支持体12の表面の一部が露出する。現像処理には、例えばTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)水溶液、炭酸ナトリウム水溶液等のアルカリ性溶液が用いられる。
【0038】
次に、
図3Cに示されるように、第1樹脂層14及び支持体12上にシード層15を設ける。シード層15は、例えば無電解めっき法、スパッタ法、又はCVD法等によって形成される。シード層15は、例えば銅、ニッケル、金、銀、チタン、クロム、アルミニウム等の金属及びこれらの金属を組み合わせて形成されてもよい。本実施形態では、銅が用いられる。
【0039】
次に、
図4Aに示されるように、シード層15上に開口部16aを有するレジスト16を設ける。そして、開口部16aによって露出されたシード層15の一部に、例えばめっき処理を施すことによって当該一部を厚くする。ここで、シード層15における薄い領域を第1領域15aとし、厚い領域を第2領域15bとする。第1領域15aは、第1樹脂層14及びレジスト16の間に存在する領域である。第2領域15bは、例えばCu層、NiめっきがなされたCu層、AuめっきがなされたCu層、はんだめっきがなされたCu層、Al層、又はAg/Pd合金層等によって形成される。本実施形態では、コスト、電気特性、及び製造容易性の観点からCu層が用いられる。また、レジスト16としては、例えばネガ型又はポジ型のフォトレジストが用いられる。
【0040】
次に、
図4Bに示されるように、レジスト16及びシード層15における第1領域15aを除去することによって配線パターン17を形成する。レジスト16は、例えばリフトオフによって第1樹脂層14上から除去されてもよいし、エッチングによって除去されてもよい。第1領域15aは、例えばウェットエッチング又はドライエッチングによって除去される。第1領域15aが除去されることによって、第2領域15bが配線パターン17となる。第2領域15bの一部は、第1領域15aと同時にエッチングされてもよい。すなわち、本実施形態における配線パターン17は、セミアディティブ法によって形成される。セミアディティブ法とは、Cu層等のシード層を形成し、所望のパターンを有するレジストをシード層上に形成し、シード層における露出した部分を電解めっき法等により厚膜化し、レジストを除去した後、薄いシード層をエッチングして配線パターンを得る方法である。
【0041】
また、
図4Bに示されるように、配線パターン17の形成後、第2樹脂層18を第1樹脂層14及び配線パターン17上に形成し、第2樹脂層18の一部に開口部18aを形成する。第2樹脂層18は、例えば印刷法、真空プレス法、真空ラミネート法、ロールラミネート法、スピンコート法、ダイコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、又はフォトリソグラフィー法等の公知の方法にて形成される。開口部18aは、例えば第2樹脂層18に対してレーザーの照射、又はフォトリソグラフィーを行い、第2樹脂層18の一部を除去することによって形成される。開口部18aの形成によって、配線パターン17の一部が露出される。
【0042】
最後に、
図4Cに示されるように、開口部18a内に接続端子19を形成する。接続端子19は、例えば共晶はんだ又は鉛フリーはんだを開口部18a内に供給することによって設けられる。以上によって、支持体12と、剥離層13と、第1樹脂層14、配線パターン17、第2樹脂層18及び接続端子19を含む積層体21とを有する配線基板11を形成する。
【0044】
まず、
図5Aに示されるように、支持体12、剥離層13、及び積層体21を有する配線基板11を準備し、例えばガラススクライバー等を用いて支持体12を切断する。配線基板11は、
図2又は
図4Cによって示される配線基板11と同等である。
【0045】
次に、
図5B、Cに示されるように、配線基板11を切断して小片化する。配線基板11は、支持体12の切断後、手で折るか、ランニングプライヤー等の工具を使うことによって小片化できる。配線基板11は、支持体のもう一方の主面より配線パターン17の観察ができるため、アライメントマーク用に形成した配線パターン17によって位置合わせし、支持体12の他方の主面21bから切断することができる。これによって、例えば300mm以上角のパネルにて配線基板11を製造した後、半導体チップ22搭載前に例えば150mm角等の小片に切断することが可能となる。
【0046】
次に、
図6Aに示されるように、配線基板11に複数の半導体チップ22を搭載する。具体的には、小片化後の配線基板11における積層体21の一方の主面21a上に、半導体チップ22をフリップチップ方式にて搭載する。半導体チップ22を配線基板11に搭載する際、半導体チップ22の突起電極23と配線基板11の接続端子19(
図2を参照)とが、互いに接続される。また、半導体チップ22及び配線基板11の間にアンダーフィル24を設けておくことによって、半導体チップ22及び配線基板11を固定及び封止する。アンダーフィル24は、半導体チップ22を配線基板11に搭載した後に、半導体チップ22及び配線基板11の間に供給してもよい。また、半導体チップ22又は配線基板11に予めアンダーフィル24を付着しておき、半導体チップを配線基板に搭載すると同時にアンダーフィル24による封止を完了させてもよい。例えば、加熱又は光照射による硬化処理をアンダーフィル24に施すことによって、アンダーフィル24による半導体チップ22及び配線基板11の固定及び封止を行う。アンダーフィル24は、必ずしも設けなくてもよい。
【0047】
次に、
図6Bに示されるように、積層体21の一方の主面21a上にモールド樹脂25を形成する。この際、モールド樹脂25によって半導体チップ22を埋設する。モールド樹脂25は、例えばトランスファーモールド法又はポッティング法等の公知の方法にて形成される。半導体チップ22は、モールド樹脂25によって封止されるように覆われていてもよい。この場合、半導体チップ22を封止樹脂であるモールド樹脂25によって保護することができると共に、半導体チップ22の積層体21からの脱離を抑制できる。
【0048】
次に、
図7Aに示されるように、支持体12を介して剥離層13にレーザー光Lを照射する。支持体12全体に渡ってレーザー光Lを照射してもよいし、支持体12の所望の位置にレーザー光Lを照射してもよい。本実施形態では、剥離層13内の樹脂を確実に分解する観点から、直線的に往復させながら支持体12全体にレーザー光Lを照射する。レーザー光Lは、例えば300nm以上2000nm以下の波長を有してもよく、300nm以上1500nm以下の波長を有していてもよく、300nm以上1100nm以下の波長を有していてもよい。レーザー光Lを出射する装置の一例として1064nmの波長の光を出射するYAGレーザー装置、532nmの波長の2倍高調波YAGレーザー装置、又は780〜1300nmの波長の光を出射する半導体レーザー装置等が挙げられる。支持体12は透明性を有しており、レーザー光Lを透過する。よって、支持体12を透過したレーザー光Lのエネルギーは、剥離層13に吸収される。吸収されたレーザー光Lのエネルギーは、剥離層13内にて熱エネルギーに変換される。この熱エネルギーによって、剥離層13の樹脂は熱分解温度に達し、熱分解する。これによって、剥離層13が支持体12と積層体21とを剥離することが可能となる。
【0049】
次に、
図7Bに示されるように、積層体21から支持体12を剥離する。支持体12を積層体21から剥離する方法は、手動でもよいし機械を用いて行ってもよい。積層体21に剥離層13が付着している場合、積層体21から剥離層13を除去する。例えば、積層体21の剥離層13と接していた面21aに粘着テープを貼り付けた後ピールすることにより、剥離層13と接していた面21a上に残存していた剥離層13を積層体21から除去する。また、剥離層13と接していた面21aを過マンガン酸カリウム水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液の混合溶液等に浸漬して剥離層13を除去してもよいし、当該混合溶液を剥離層と接していた面21aにスプレーすることによって剥離層13を除去してもよい。また、剥離層13と接していた面21aをアセトン又はメチルエチルケトン等の有機溶剤に浸漬して剥離層13を除去してもよいし、当該有機溶剤を剥離層13と接していた面21aにスプレーすることによって剥離層13を除去してもよい。以上により、
図7Cに示されるように、積層体21から支持体12及び剥離層13を除去する。
【0050】
図8Aは、支持体12及び剥離層13を除去した積層体21を説明する図である。積層体21は、
図7Cによって示される積層体21と同等である。積層体21の剥離層13と接していた面21aには、配線パターン17の一部が露出している。
【0051】
次に、
図8Bに示されるように、第1樹脂層14の開口部14aから露出した配線パターン17に、接続パッド20を設ける。接続パッド20は、例えばAu、Cu、Ni、Sn等の金属及びこれらの金属を組み合わせて構成されている。接続パッド20の厚さは、例えば0.001μm〜20μmである。より好ましくは、1μm〜10μmである。接続パッド20は、必ずしも設けなくてもよい。また、第1樹脂層14の開口部14aから露出した配線パターン17には、プレソルダー処理、OSP等の有機被膜処理が施されてもよい。
【0052】
次に、
図9Aに示されるように、積層体21の他方の主面21b上に複数の外部接続端子31を形成する。具体的には、積層体21の接続パッド20(
図8Bを参照)に相当する部分に、外部接続端子31を形成する。例えばはんだボール搭載法等によって外部接続端子31を形成する。
【0053】
次に、
図9Bに示されるように、モールド樹脂25にダイシングテープ33を貼り付けた後、各半導体チップ22の間の領域に位置する積層体21及びモールド樹脂25を切断し、個片化する。例えばダイシングソー又はレーザー等を用いて積層体21及びモールド樹脂25を切断する。以上により、
図9Cに示されるように、配線基板11を用いて形成された半導体装置1が製造される。
【0054】
以上に説明した本実施形態に係る配線基板11では、半導体装置1における半導体チップ22が外部装置と接続するための外部接続部材として機能する積層体21を備えている。これにより、半導体チップ22と外部接続部材を有する配線基板11とを別々に製造することができるため、半導体装置1の製造効率の改善に供される。また、この配線基板11では支持体12が透明性を有している。これにより、支持体12を介して剥離層13に光が照射されることによって樹脂が分解する。したがって、半導体チップ22と配線基板11の積層体21とを接合した後に、容易に支持体12を積層体21から剥離することができ、当該配線基板11を用いて製造される半導体装置1の薄型化が可能になる。更に支持体12を有する配線基板11を用いて半導体装置1を製造することによって、配線基板11のハンドリングを容易にすることができる。更に、剥離層13が支持体12の主面の一部分にのみ形成されており、配線パターン17の一部分は支持体12に接触しているため、支持体12のもう一方の主面より、配線パターン17の観察が可能である。したがって、半導体チップ搭載前等に配線基板11を切断する場合、アライメントマーク用に形成した配線パターンによって位置合わせし、支持体12のもう一方の主面から切断することができる。
【0055】
また、支持体12の線膨張係数は、−1ppm/℃以上10ppm/℃以下であってもよい。この場合、半導体チップ22はシリコン基板等の無機物を主成分とした基板によって製造されているので、半導体チップ22の線膨張係数と支持体12の線膨張係数とが互いに近い値となる。このため、配線基板11に半導体チップ22を搭載した際に発生する位置ずれを抑制することができる。したがって、半導体チップ22が配線基板11に搭載不可能となること、及び半導体チップ22と配線基板11とを接合する部分が破壊することが抑制される。
【0056】
また、支持体12はガラス基板であってもよい。この場合、支持体12を安価で強度を高くすると共に、支持体12の大型化が容易にできる。また、支持体12の表面の粗さを容易に調整することができる。
【0057】
支持体12の主面12aの最大高さ粗さRzは、0.01μm以上5μm以下であってもよい。この場合、支持体12上に設けられる積層体21の凹凸が小さくなるため、配線パターン17の断線及び短絡等を抑制できる。
【0058】
また、剥離層13の厚さは、0.1μm以上10μm以下であってもよい。0.1μm未満では、支持体と積層体との密着力が弱くなり、レーザー光を照射する前に剥離するおそれがある。10μmを越える場合は、レーザー光の照射によって、剥離層を分解・除去しきれないおそれがある。
【0059】
また、積層体21の厚さは、0.001mm以上1mm以下であってもよい。この場合、積層体21における配線パターン17を第1樹脂層14及び第2樹脂層18によって保護できると共に、配線基板11の反りを抑制できる。
【0060】
また、光はレーザー光Lであってもよい。この場合、剥離層13内の樹脂が分解するために必要な熱エネルギーを十分に加えることができる。
【0061】
また、本実施形態に係る配線基板11を用いて製造される半導体装置1は、支持体12が除去された積層体21と、表面22aに突起電極23が設けられており、当該突起電極23を介して積層体21の配線パターン17に接続される半導体チップ22と、を備えている。この半導体装置1では、半導体チップ22と外部接続部材である積層体21とが別々に製造されているため、半導体装置1の製造効率が改善される。また、配線基板11における支持体12が積層体21から除去されていることによって、半導体装置1の薄型化が可能になる。
【0062】
また、配線パターン17と半導体チップ22とは、はんだを含む接続端子19を介して互いに接続されていてもよい。この場合、配線パターン17と半導体チップ22との間に位置ずれが発生した場合であっても、接続端子19が含むはんだによってずれを埋めることができ、半導体チップ22と積層体21との間に発生する接続不良を抑制できる。
【0063】
本発明による配線基板、半導体装置及び配線基板、半導体装置の製造方法は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態及び変形例を適宜組み合わせてもよい。また、積層体21に積層される半導体チップ22は、個片化される配線基板11の領域に複数搭載されてもよい。また、積層体21には、半導体チップ22以外の部材(例えばコンデンサ等の受動部品)が搭載されていてもよい。
【0064】
また、例えば第1樹脂層14における開口部14aと第2樹脂層18における開口部18aとは、互いに重なっていてもよい。更に、例えば積層体21における接続端子19は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0065】
また、配線基板11における配線パターン17は、セミアディティブ法に限らず、例えばサブトラクティブ法又はフルアディティブ法等の公知の方法にて形成される。ここで、サブトラクティブ法とは、Cu層等の導体層上に所望のパターンを有するレジストを形成して不要な導体層をエッチングした後、レジストを剥離して配線パターンを得る方法である。また、フルアディティブ法は、樹脂層上に無電解めっき触媒を吸着させ、所望のパターンのレジストを樹脂層上に形成し、このレジストを絶縁膜として残したまま触媒を活性化させ、無電解めっき法によりレジスト開口部内にCu等の導体を析出させた後、レジストを除去して所望の配線パターンを得る方法である。
【0066】
また、第2樹脂層18上に、新たな配線パターンと第3樹脂層とを形成してもよい。つまり、積層体21は、樹脂層を3層有してもよい。更に、上述した配線パターン及び樹脂層の形成を繰り返すことによって、配線パターン及び樹脂層が多数積層された積層体21を形成することもできる。
【実施例】
【0067】
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0068】
(配線基板)
実施例では、まず、支持体12の主面12a上に剥離層13を形成した。支持体12として、ガラス(OA−10G(日本電気硝子株式会社製)、1.1mm厚)を使用した。支持体12の線膨張係数は、約4ppm/℃であった。支持体12の主面12a上の剥離層13は、3M Light−To−Heat−Conversion(LTHC)Release Coating(住友スリーエム株式会社製)を用いて形成した。剥離層13は、スピンコート法により形成した。
【0069】
次に、剥離層13上に第1樹脂層14を設けた後、当該第1樹脂層14に開口部14aを形成した。第1樹脂層14は、スピンコート法によって剥離層13上に形成した。第1樹脂層14として、フォトニースLT−6500TS(東レ株式会社製)を使用した。開口部14aは、フォトリソグラフィー法により設けた。第1樹脂層14の一部をTMAH水溶液によって現像する際、剥離層13の一部もともに除去され、支持体12の表面の一部が露出した。
【0070】
次に、セミアディティブ法によって配線パターン17を形成した。配線パターン17の材料はCuとした。また、配線パターン17を形成した後、第2樹脂層18を形成し、開口部18aを第2樹脂層18に設けた。第2樹脂層18は、スピンコート法によって第1樹脂層14及び配線パターン17上に形成した。第2樹脂層18として、フォトニースLT−6500TS(東レ株式会社製)を使用した。開口部18aは、フォトリソグラフィー法により設けた。
【0071】
最後に、開口部18a内にOSP処理を施し、接続端子19を形成することによって、積層体21を有する配線基板11を得た。第1樹脂層14、第2樹脂層18及び配線パターン17からなる積層体21の厚さは、約0.07mmだった。
【0072】
(半導体装置)
次に、得られた配線基板11を小片化し、小片化後の配線基板11に半導体チップ22を搭載した。半導体チップ22には、Cuポストの先端にSn−3.5Agはんだ層を形成した突起電極23を有しているものを用いた。また、半導体チップ22の線膨張係数は、約3ppm/℃であった。配線基板11には予めアンダーフィル24を供給しておいた。半導体チップ22の突起電極23と配線基板11の接続端子19との位置合わせを行った後、半導体チップ22を配線基板11に圧着させ、加熱した。この後、半導体チップ22を含む配線基板11の上面を、トランスファーモールド法により、モールド樹脂25を用いて封止した。そして、配線基板11の支持体12側より、直線的に往復させながら支持体全体に1064nmのYAGレーザーを照射し、支持体12を配線基板11より取り除いた。
【0073】
次に、積層体21の他方の主面21bには、配線パターン17の一部が露出しており、この部分にNi、Auめっきを施し、接続パッド20を形成した。
【0074】
次に、積層体21の接続パッド20にSn−3Ag−0.5Cuはんだボールを搭載し、外部接続端子31を形成した。この構成体をダイシングテープに貼り付け、ダイシングすることによって、
図1に示される半導体装置1を得た。
【0075】
(X線透視装置による観察)
上記のようにして作成された半導体装置1について、X線透視装置(株式会社ユニハイトシステム製、XVA−160α)にて観察を行った。半導体装置1を観察した結果、半導体チップ22の突起電極23と配線基板11の接続端子19との間には、設計値から約3μmの位置ずれが生じていた。ここで、半導体装置の形成に用いられる配線基板の支持体として、樹脂の中で線膨張係数が比較的低いポリイミド製の支持体を用いた場合、半導体チップの突起電極と当該配線基板の接続端子との間には、通常、設計値から約15μmの位置ずれが生じる。このような支持体の材質による位置ずれの違いは、ポリイミド製の支持体の線膨張係数は約12〜50ppm/℃であり、半導体チップの線膨張係数(約2〜4ppm/℃)と大きく異なるからだと考えられる。したがって、配線基板にガラス製の支持体を用いた方が、樹脂製の支持体を用いるよりも、半導体チップと配線基板との間に発生する位置ずれが小さくなっていることが確認できた。