特許第6776971号(P6776971)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6776971真空ポンプおよびポンプ一体型の電源装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6776971
(24)【登録日】2020年10月12日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】真空ポンプおよびポンプ一体型の電源装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 19/04 20060101AFI20201019BHJP
   F04D 29/58 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   F04D19/04 G
   F04D29/58 L
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-60632(P2017-60632)
(22)【出願日】2017年3月27日
(65)【公開番号】特開2018-162725(P2018-162725A)
(43)【公開日】2018年10月18日
【審査請求日】2019年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100084412
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 冬紀
(74)【代理人】
【識別番号】100202854
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 卓行
(72)【発明者】
【氏名】森山 伸彦
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−285993(JP,A)
【文献】 特開2004−270692(JP,A)
【文献】 特開2009−156096(JP,A)
【文献】 特開平10−205486(JP,A)
【文献】 特開2013−79602(JP,A)
【文献】 特開2015−59464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 19/04
F04D 29/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプモータを有し、吸気した気体を排気する排気機能部、および少なくとも2つの直流ヒータを有するポンプユニットと、
ポンプ制御部、前記ポンプ制御部に電力を給電するポンプ用電源、前記2つの直流ヒータを制御する直流ヒータ制御部、および、前記ポンプ用電源とは別個に設けられ、前記直流ヒータ制御部に電力を給電する1つの直流ヒータ電源を内蔵したポンプ一体型の電源装置とを備える真空ポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載の真空ポンプにおいて、
前記ポンプユニットは、交流ヒータをさらに有し、
前記電源装置は、前記交流ヒータを制御する交流ヒータ制御部を備える真空ポンプ。
【請求項3】
請求項2に記載の真空ポンプにおいて、
前記交流ヒータ制御部に電力を給電する第1の強電ラインと、前記ポンプ用電源に電力を給電する第2の強電ラインと、前記直流ヒータ電源に電力を給電する第3の強電ラインとが結線された共通強電ラインにノイズフィルタを設けた真空ポンプ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の真空ポンプにおいて、
前記ポンプユニットを構成するポンプ筐体と、前記電源装置を構成する電源装置筐体と、前記ポンプ筐体と前記電源装置筐体との間に介在される冷却装置とを有し、前記ポンプ制御部と、前記直流ヒータ制御部とは前記冷却装置に取り付けられている真空ポンプ。
【請求項5】
請求項1に記載の真空ポンプにおいて、
前記ポンプユニットには、さらに前記2つの直流ヒータに加えて、1以上の直流ヒータを設けた真空ポンプ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の真空ポンプに用いられるポンプ一体型の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプおよびポンプ一体型の電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チャンバ内をターボ分子ポンプにより高真空にしてCVD成膜やエッチングを行う装置では、排気するガス種によっては、ポンプ内部でガスが凝縮してポンプ内に生成物が付着しやすい。このような生成物の付着が生じると、ロータバランスが悪化するなどの不都合が生じる。そのため、ポンプ本体をヒータで加熱することで生成物の付着を抑制するターボ分子ポンプが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−79602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献に記載のターボ分子ポンプでは、ヒータに交流電力を供給することでヒータを発熱させている。交流電力によるヒータの駆動回路は、一般的に、交流200Vの電源ラインが接続され、それぞれ直列に配置した漏電検知回路と、リレーと、電流センサと、ヒューズとを介してヒータに交流200Vの駆動電力を印加している。
また、複数の加熱対象箇所を複数のヒータで加熱することがある。複数のヒータを用いる場合、それぞれのヒータに駆動回路を設ける必要がある。しかし、上述したように交流電力によるヒータの駆動回路には、漏電検知回路と、リレーと、電流センサと、ヒューズとを設ける必要がある。そのため、ヒータの駆動回路を複数設けると、ターボ分子ポンプの電源装置の小型化が難しくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の一態様の真空ポンプは、ポンプモータを有し、吸気した気体を排気する排気機能部、および少なくとも2つの直流ヒータを有するポンプユニットと、ポンプ制御部、前記ポンプ制御部に電力を給電するポンプ用電源、前記2つの直流ヒータを制御する直流ヒータ制御部、および、前記ポンプ用電源とは別個に設けられ、前記直流ヒータ制御部に電力を給電する1つの直流ヒータ電源を内蔵したポンプ一体型の電源装置とを備える。
(2)上記態様の真空ポンプにおいて、好ましくは、前記ポンプユニットは交流ヒータをさらに有する。この態様では、前記電源装置は、前記交流ヒータを制御する交流ヒータ制御部を備える。
(3)交流ヒータを備えたさらに好ましい態様の真空ポンプは、前記交流ヒータ制御部に電力を給電する第1の強電ラインと、前記ポンプ用電源に電力を給電する第2の強電ラインと、前記直流ヒータ電源に電力を給電する第3の強電ラインとが結線された共通強電ラインを備え、この共通強電ラインにノイズフィルタが設けられている。
(4)上記(1)〜(3)の真空ポンプは、好ましくは、さらに、前記ポンプユニットを構成するポンプ筐体と、前記電源装置を構成する電源装置筐体と、前記ポンプ筐体と前記電源装置筐体との間に介在される冷却装置とを有する。この場合、前記ポンプ制御部と、前記直流ヒータ制御部とは前記冷却装置に取り付けられる。
(5)上記(1)の態様の真空ポンプのポンプユニットは、さらに前記2つの直流ヒータに加えて、1以上の直流ヒータを設けてもよい。
(6)本発明の他の態様は、上述した種々の態様の真空ポンプに用いられるポンプ一体型の電源装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、電源装置を小型化することができる。電源装置一体化した真空ポンプの小形化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】真空ポンプの一例であるターボ分子ポンプを示す図である。
図2】(a)はターボ分子ポンプ1の構成を示す図であり、(b)はターボ分子ポンプの電源装置の構成を示す図である。
図3】ターボ分子ポンプの変形例1についての電源装置の構成を示す図である。
図4】(a)は変形例2のターボ分子ポンプの構成を示す図であり、(b)は変形例2のターボ分子ポンプ1Aの電源装置200Aの構成を示す図である。
図5】(a)は実施形態2に係るターボ分子ポンプの構成を示す図であり、(b)は実施形態2に係るターボ分子ポンプの電源装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
(実施形態1)
図1は、本実施の形態の真空ポンプの一例であるターボ分子ポンプを示す図である。ターボ分子ポンプ1は、真空排気を行うポンプユニット100と、ポンプユニット100を駆動制御するコントロールユニット200とを備えている。コントロールユニット200を電源装置200と表記することもできる。実施形態1のターボ分子ポンプ1は、ポンプユニット100とコントロールユニット200が一体化された電源一体型真空ポンプである。ポンプユニット100とコントロールユニット200との間には冷却装置300が介在されている。冷却装置300は内部に冷却水を導入してコントロールユニット200を構成する発熱要素を冷却する。
【0009】
ポンプユニット100は、回転翼41と固定翼31とで構成されるターボポンプ段と、円筒部42とステータ32とで構成されるドラッグポンプ段(ネジ溝ポンプ段)とを有している。ネジ溝ポンプ段においては、ステータ32または円筒部42にネジ溝が形成されている。回転翼41および円筒部42はポンプロータ4に形成されている。ポンプロータ4はシャフト5に締結されている。ポンプロータ4とシャフト5とによって回転体ユニットRYが構成される。
【0010】
複数段の固定翼31は、軸方向に対して回転翼41と交互に配置されている。各固定翼31は、スペーサリング33を介してベース3上に載置される。ポンプケーシング30をベース3にボルト固定すると、積層されたスペーサリング33がベース3とポンプケーシング30の係止部30aとの間に挟持され、固定翼31が位置決めされる。ベース3には排気口38aを有する排気管38が設けられている。
【0011】
図1に示すターボ分子ポンプ100は磁気浮上式のターボ分子ポンプであり、回転体ユニットRYは、ベース3に設けられた磁気軸受34,35,36によって非接触支持される。磁気軸受34,35,36は磁気軸受装置102を構成する。
【0012】
回転体ユニットRYはポンプモータ101により回転駆動される。ポンプモータ101を単にモータ101とも呼ぶ。モータ101は、ステータ101aと、ロータ101bとを有する。磁気軸受が作動していない時には、回転体ユニットRYは非常用のメカニカルベアリング37a,37bによって支持される。
【0013】
一般にターボ分子ポンプでは、反応生成物の堆積を抑制するため、たとえばベースや排気管等をそれぞれヒータで加熱している。実施形態1のターボ分子ポンプ1において、ポンプケーシング30の外周には、固定翼31の温度を制御するためのヒータ52が設けられている。ベース3の外周には、ベース3の温度を制御するためのヒータ51が設けられている。排気管38の外周には、排気管38の温度を制御するためのヒータ53が設けられている。ベース3の温度は温度センサ56によって検出され、ポンプケーシング30(固定翼31)の温度は温度センサ57によって検出され、排気管38の温度は温度センサ58によって検出される。各温度センサ56、57、58による検出結果はコントロールユニット200に入力される。
なお、排気管38から排気される気体の圧力はターボ分子ポンプ1ではもっとも高い圧力であり、ターボ分子ポンプ1に吸気される気体中の不純物が昇華する温度がもっとも高い。そこで、実施形態1の真空ポンプ1においては、排気管38に装着されたヒータ53で加熱される温度は、他のヒータ51,52に比べて高い温度に設定される。そこで、ヒータ53はAC200Vで駆動する交流ヒータ(以下、ACヒータと呼ぶ)を採用してより高い温度まで排気管38を加熱可能とする。
【0014】
実施形態1の電源装置一体型真空ポンプを図1及び図2(a),(b)を参照してさらに詳細に説明する。図2(a)はターボ分子ポンプ1の構成を示す図であり、図2(b)はターボ分子ポンプ1の電源装置200の構成を示す図である。
ターボ分子ポンプ1は、ポンプユニット100と、ポンプユニット100と一体化された電源装置200とを有する。
【0015】
ポンプユニット100は、モータ101と、磁気軸受装置102と、2つの直流ヒータ(以下、DCヒータと呼ぶ)51,52と、AC200V電源を使用したACヒータ53と、モータ回転数を検出する回転数センサ61と、磁気軸受の変位を検出する5軸用の変位センサ群62と、温度センサ56,57,58とを有する。
電源装置200内には、モータ101および磁気軸受装置102を駆動制御するポンプ制御部201と、ACヒータ53をAC200Vで駆動するACヒータ制御部202と、DCヒータをDC48Vで駆動するDCヒータ制御部203と、CPU204と、DCヒータ電源205と、ポンプ用電源206とが設けられている。電源205,206はともにAC/DCコンバータを内蔵してAC200Vを降圧してDC電圧を出力する。
【0016】
ポンプ制御部201は、図2(b)に示すように、モータ駆動回路201aと、磁気軸受駆動回路201bとを有する。モータ駆動回路201aは、モータ101の駆動電力MTを制御する。磁気軸受駆動回路201bは、磁気軸受装置102の駆動電力MGを制御する。モータ101および磁気軸受装置102とポンプ制御部201とは、ポンプユニット100側に設けられたコネクタ191と、電源装置200側に設けられたコネクタ291と、2つのコネクタ191,291の間を接続するケーブル401とを介して接続される。
【0017】
ACヒータ制御部202は、AC200Vの強電ラインが接続される漏電検知回路202aと、リレー202bと、電流センサ202cと、ヒューズ202dとを有し、ACヒータ53に供給するヒータ駆動電力ACHを制御する。ACヒータ53とACヒータ制御部202とは、ポンプユニット100側に設けられたコネクタ192と、電源装置200側に設けられたコネクタ292と、2つのコネクタ192,292の間を接続するケーブル402とを介して接続される。
【0018】
DCヒータ制御部203は、2つのDCヒータ51,52に供給するヒータ駆動電力DCH1、DCH2を制御する不図示の2つのFETと、電流検出用の不図示の2つのシャント抵抗とを有する。DCヒータ51,52とDCヒータ制御部203とは、ポンプユニット100側に設けられたコネクタ193と、電源装置200側に設けられたコネクタ293と、2つのコネクタ193,293の間を接続するケーブル403とを介して接続される。
【0019】
ポンプ制御部201とDCヒータ制御部203は冷却装置300の下面の金属プレート上に接触して配置されている。ACヒータ制御部202は、熱伝動部材であるヒートシンク301により冷却装置300の下面に熱接触され、発熱した熱はヒートシンク301を介して冷却装置300で冷却される。
【0020】
CPU204には、ポンプユニット100の温度センサ56〜58からの温度信号T1〜T3と、回転数センサ61からのモータ回転数信号Rと、変位センサ群62からの5軸変位信号D1〜D5とが入力される。これらの入力信号に基づいて、CPU204は、モータ101と、磁気軸受装置102と、DCヒータ51,52と、ACヒータ53とをそれぞれ駆動する駆動信号を生成してスイッチング素子をオンオフ制御する。モータ駆動信号はモータ駆動回路201aに出力され、モータ101の回転を制御するスイッチングトランジスタをオンオフ制御する。磁気軸受駆動信号は磁気軸受駆動回路201bに出力され、磁気軸受の反発力、吸引力を制御するスイッチングトランジスタをオンオフ制御する。ACヒータ駆動信号はACヒータ制御部202に入力され、ACヒータ53による加熱箇所が所定温度に保持されるようにリレー202bのオンオフを制御してACヒータ53に供給するヒータ駆動電力ACHを制御する。DCヒータ駆動信号はDCヒータ制御部203に入力され、DCヒータ51,52による加熱箇所が所定温度に保持されるように不図示のFETをオンオフ制御してDCヒータ51,52に供給するヒータ駆動電力DCH1、DCH2を制御する。
【0021】
温度センサ56〜58、回転数センサ61および変位センサ群62とCPU204とは、ポンプユニット100側のコネクタ193と、電源装置200側のコネクタ293と、2つのコネクタ193,293の間を接続するケーブル403とを介して接続される。
【0022】
以上のように構成された真空ポンプにおいて、生成物の堆積を防止するためにポンプユニット100には2つのDCヒータ51,52と、1つのACヒータ53が設けられている。DCヒータ51,52を駆動制御する回路であるDCヒータ制御部203は、ACヒータ53を駆動制御する回路であるACヒータ制御部202のように大型の素子を必要とせず、小型の半導体スイッチ、たとえばFETを複数個設ければよく、DCヒータ制御部203はACヒータ制御部202に比べて小型である。そのため、ACヒータを3つ設けた真空ポンプの電源装置に比べて、電源装置200を小型化することができ、ポンプユニット100のケーシングやベースに一体的に設置することができる。
【0023】
上述した実施形態1の真空ポンプによれば、次の作用効果が得られる。
(1)実施形態1の真空ポンプは、ポンプモータ101を有し、吸気した気体を排気する排気機能部、2つの直流ヒータ51,52、および1つの交流ヒータ53を有するポンプユニット100と、ポンプ制御部201、およびポンプ制御部201に電力を給電するポンプ用電源206、上記2つの直流ヒータ51,52を制御する直流ヒータ制御部203、および直流ヒータ制御部203に電力を給電する直流ヒータ電源、交流ヒータ53を制御する交流ヒータ制御部202を内蔵したポンプ一体型の電源装置200とを備える。
このように実施形態1の真空ポンプは3つのヒータを必要とするが、そのうち2つは直流ヒータとしたので、3つすべてを交流ヒータとする場合に比べて電源装置を小型化できる。
(2)実施形態1の真空ポンプは、ポンプユニットを構成するポンプ筐体30と、電源装置200を構成する電源装置筐体と、ポンプ筐体30と電源装置筐体との間に介在される冷却装置300とを有し、ポンプ制御部201と直流ヒータ制御部203とは冷却装置300に取り付けられている。
ポンプ制御部201と直流ヒータ制御部203を冷却装置300で直接冷却することにより、電源装置内の回路発熱を抑制できる。
【0024】
(実施形態1の変形例1)
図3を参照して、実施形態1の電源装置一体型真空ポンプの変形例1について説明する。図3は、ターボ分子ポンプ1の変形例1についての電源装置200の構成を示す図である。
本変形例1では、ACヒータ制御部202に交流電力を給電する強電ラインHL1と、DCヒータ電源205に交流電力を給電する強電ラインHL2と、ポンプ用電源206に交流電力を給電する強電ラインHL3とを共通化した強電ラインHC0にフィルタ281が設けられている。フィルタ281は、AC200Vの電源ラインを通じて侵入、漏洩するノイズを抑制するための電源用EMCフィルタである。
【0025】
(1)実施形態1の変形例1の真空ポンプでは、AC200Vが給電される3つの電源の共通ラインHC0にフィルタ281を設けたので、3つの電源にそれぞれフィルタを個別に設ける必要が無く、小型の電源装置を構成することができる。
【0026】
(実施形態1の変形例2)
図4(a),(b)を参照して、実施形態1の電源装置一体型真空ポンプの変形例2について説明する。図4(a)はターボ分子ポンプ1Aの構成を示す図であり、図4(b)はターボ分子ポンプ1Aの電源装置200Aの構成を示す図である。
本変形例2では、排気管38(図1参照)を加熱するヒータとして、AC200Vで駆動するACヒータ53に代えてDC48Vで駆動するDCヒータ54を用いる。すなわち、ACヒータをDCヒータに代え、3つのDCヒータを使用した真空ポンプにも本発明を適用できる。
本変形例2では、ACヒータ制御部202が廃止される。DCヒータ制御部203は、3つのDCヒータ51,52,54に供給するヒータ駆動電力DCH1,DCH2,DCH3を制御する不図示の3つのFETと、電流検出用の不図示の3つのシャント抵抗とを有する。
(1)実施形態1の変形例2の真空ポンプでは、3つのヒータのすべてを直流ヒータとしたので、電源装置200Aは実施形態1の電源装置200よりもさらに小型化が可能である。
【0027】
(実施形態2)
図5(a),(b)を参照して、電源装置一体型真空ポンプの実施形態2について説明する。以下の説明では、実施形態1の変形例2と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、実施形態1の変形例2と同じである。
【0028】
図5(a)は実施形態2に係るターボ分子ポンプ1Bの構成を示す図であり、図5(b)はターボ分子ポンプ1Bの電源装置200の構成を示す図である。実施形態2の電源装置一体型真空ポンプは、上述した実施形態1の変形例2のターボ分子ポンプ1AからDCヒータ52が廃止される。すなわち、実施形態2に係るターボ分子ポンプ1Bにおいて、ポンプユニット100Bには2つのDCヒータ51,54が設けられている。
【0029】
実施形態2の電源装置200B内には、ポンプ制御部201と、DCヒータ制御部203と、CPU204と、DCヒータ電源205と、ポンプ用電源206とが設けられている。DCヒータ制御部203は、2つのDCヒータ51,54に供給するヒータ駆動電力DCH1,DCH3を制御する不図示の2つのFETと、電流検出用の不図示の2つのシャント抵抗とを有する。
(1)ヒータが2つだけ必要な場合、実施形態2の真空ポンプのように2つのヒータを直流ヒータとすれば、2つの交流ヒータを使用する場合に比べて、電源装置を小型化できる。
【0030】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。たとえが、本発明に冷却装置は必須ではない。本発明の一つの態様は真空ポンプであり、他の態様は上述した電源装置である。
【符号の説明】
【0031】
1,1A,1B:ターボ分子ポンプ、51:ヒータ(直流ヒータ、DCヒータ)、52:ヒータ(直流ヒータ、DCヒータ)、53:ヒータ(交流ヒータ、ACヒータ)、100,100A,100B:ポンプユニット、101:ポンプモータ、200、200A,200B:コントロールユニット(電源装置)、201:ポンプ制御部、202:ACヒータ制御部、203:DCヒータ制御部、204:CPU、205:DCヒータ電源、206:ポンプ用電源、300:冷却装置
図1
図2
図3
図4
図5