(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6777022
(24)【登録日】2020年10月12日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20201019BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
G03G15/20 555
G03G15/20 535
G03G21/00 386
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-120265(P2017-120265)
(22)【出願日】2017年6月20日
(65)【公開番号】特開2019-3157(P2019-3157A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2019年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194146
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【弁理士】
【氏名又は名称】小河 卓
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 太朗
【審査官】
堀川 あゆ美
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−215173(JP,A)
【文献】
特開2012−233987(JP,A)
【文献】
特開2017−100303(JP,A)
【文献】
特開2016−033599(JP,A)
【文献】
特開平07−230231(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/013014(WO,A1)
【文献】
特開2005−227558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体と、
トナーで構成されたパターンが形成された用紙を搬送する際に加熱することによって前記パターンを前記用紙上に定着させる定着ローラーを具備し、前記画像形成装置本体に対して脱着可能とされた定着ユニットが用いられる画像形成装置であって、
前記定着ユニットにおいて、前記定着ローラーの温度を検出する温度センサが設けられ、
前記定着ユニットが装着された後に、前記温度センサによって検出された温度と予め設定された第1の閾値との大小関係によって、前記定着ユニットが前記画像形成装置本体に対して適正に装着されたか否かの判定をする制御部を具備し、
前記画像形成装置本体に、前記定着ユニットが装着された場合に前記定着ローラーの温度を検出する本体側温度センサが設けられ、
前記制御部は、
前記定着ユニットが装着された後に、前記温度センサによって検出された温度が予め設定された前記第1の閾値以上となり、かつ前記本体側温度センサによって検出された温度が予め設定された第2の閾値以上となった場合に、前記定着ユニットが前記画像形成装置本体に対して適正に装着されたと判定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記定着ユニットには、前記定着ローラー側に加圧され前記用紙を前記定着ローラーとの間で挟持して搬送する加圧ローラーが設けられ、前記定着ローラーと前記加圧ローラーとの間の圧力は、標準状態と、前記標準状態より低圧とされた圧解除状態の二種類に切り替え可能とされ、
前記定着ユニットにおける前記標準状態と前記圧解除状態の切り替えは、前記画像形成装置本体側から駆動されて行われ、
前記定着ユニットが前記標準状態、前記圧解除状態のいずれかであるかを検知する圧解除センサが前記定着ユニットに設けられたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記定着ユニットが前記標準状態、前記圧解除状態のいずれか一方の状態にあって前記画像形成装置本体に装着された後に、前記定着ユニットを前記標準状態、前記圧解除状態のいずれか他方の状態となるように駆動した後で、前記圧解除センサが前記他方の状態となったことを検知し、かつ前記温度センサによって検出された温度が前記第1の閾値以上となった場合に、前記定着ユニットが前記画像形成装置本体に対して適正に装着されたと判定することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記一方の状態は前記標準状態とされ、前記他方の状態は前記圧解除状態とされたことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成装置本体と、
トナーで構成されたパターンが形成された用紙を搬送する際に加熱することによって前記パターンを前記用紙上に定着させる定着ローラーを具備し、前記画像形成装置本体に対して脱着可能とされた定着ユニットが用いられる画像形成装置であって、
前記定着ユニットにおいて、前記定着ローラーの温度を検出する温度センサが設けられ、
前記定着ユニットが装着された後に、前記温度センサによって検出された温度と予め設定された第1の閾値との大小関係によって、前記定着ユニットが前記画像形成装置本体に対して適正に装着されたか否かの判定をする制御部を具備し、
前記定着ユニットには、前記定着ローラー側に加圧され前記用紙を前記定着ローラーとの間で挟持して搬送する加圧ローラーが設けられ、前記定着ローラーと前記加圧ローラーとの間の圧力は、標準状態と、前記標準状態より低圧とされた圧解除状態の二種類に切り替え可能とされ、
前記定着ユニットにおける前記標準状態と前記圧解除状態の切り替えは、前記画像形成装置本体側から駆動されて行われ、
前記定着ユニットが前記標準状態、前記圧解除状態のいずれかであるかを検知する圧解除センサが前記定着ユニットに設けられ、
前記制御部は、
前記定着ユニットが前記標準状態、前記圧解除状態のいずれか一方の状態にあって前記画像形成装置本体に装着された後に、前記定着ユニットを前記標準状態、前記圧解除状態のいずれか他方の状態となるように駆動した後で、前記圧解除センサが前記他方の状態となったことを検知し、かつ前記温度センサによって検出された温度が前記第1の閾値以上となった場合に、前記定着ユニットが前記画像形成装置本体に対して適正に装着されたと判定し、
前記画像形成装置本体に、前記定着ユニットが装着された場合に前記定着ローラーの温度を検出する本体側温度センサと、外気温を検出する外気温センサと、が設けられ、
前記制御部は、
前記外気温センサによって検出された温度が予め設定された第3の閾値以上となった場合に、
前記定着ユニットが装着された後に、前記温度センサによって検出された温度が前記第1の閾値以上となり、かつ前記本体側温度センサによって検出された温度が予め設定され
た第2の閾値以上となった場合に、前記定着ユニットが前記画像形成装置本体に対して適正に装着されたと判定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記定着ユニットが適正に装着されなかったと判定された場合に、前記定着ユニットが適正に装着されていない旨の警告を発する表示部を具備することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記定着ユニットが前記画像形成装置本体に対して適正に装着されたか否かの判定が連続して行われた際に、前記定着ユニットが適正に装着されなかったと連続して判定された場合に、前記表示部は、前記定着ユニットに異常がある旨の警告を発することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーのパターンが転写された後の用紙を加熱してトナーを定着させる着脱式の定着ユニットが用いられる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等の画像形成装置においては、トナーで構成された画像パターンがまず感光体ドラム上に形成され、用紙(媒体)上にこの画像パターンが転写された後に、高温に維持された定着ローラーによって、この画像パターンが用紙に定着する。この際、用紙が定着ローラーと加圧ローラーで挟持されて搬送される際に、トナーの定着が行われる。定着ローラー等には経時劣化が発生する、あるいは定着ユニット内で用紙が詰まる(紙詰まりが発生する)こともある。このため、定着ローラーと加圧ローラーは定着ユニット内に設けられ、定着ユニットは、通常は画像形成装置の本体に対して脱着可能とされ、この脱着作業は使用者によって容易に行えるような構成とされる。
【0003】
定着ユニットにおいて、上記のような定着動作を安定して行わせるために、通常は加圧ローラーと定着ローラーの間には所定の圧力が印加される設定とされる。ただし、上記のように紙詰まりが発生した場合の対処時や、各種のメインテナンスを行うために、この圧力を通常よりも大幅に低減した状態(圧解除状態)もとりうるように、定着ユニットは構成される。また、定着ローラーにはその温度を高温の所定範囲に維持するためのヒーターや温度センサ等が設けられ、これらに対して電力を供給する、あるいはこれらとの間で電気的信号をやりとりするためのコネクタが、定着ユニットと本体との間に設けられる。こうした構成の定着ユニットの構造については、例えば特許文献1に記載されている。
【0004】
また、定着ユニットにおける定着ローラー等は本体側から機械的に駆動される場合もある。更に、前記のような定着ローラーと加圧ローラーの間の状態(通常状態、圧解除状態)の切り替えも、本体側に設けられた圧力切替用のモーターによって行われる場合もある。このような定着ユニットを適正に動作させるためには、定着ユニットを本体に対して適正に装着することが必要となる。使用者がこの定着ユニットを不適正に(不完全な形態で)装着した状態で画像形成装置を動作させた場合には、画像形成装置の本体側と定着ユニット側とのアライメントが崩れるために、画像不良や紙詰まり等が発生する場合があり、更には定着ユニットや画像形成装置の本体の損傷が発生する場合もある。
【0005】
このため、定着ユニットが本体に適正に装着されたか否かを認識し、適正に装着されていない場合には、この画像形成装置の動作を不可とするような構成とされる。特許文献1には、こうした構成の画像形成装置が記載されている。定着ユニットが適正に装着されたか否かを判定するためには各種のセンサが必要となるところ、特許文献1に記載の画像形成装置においては、本来は他の目的で設けられたセンサを、定着ユニットが適正に装着されたか否かの判定のためにも用いている。
【0006】
具体的には、このためのセンサとして、定着ローラーと加圧ローラーの間の圧力の状況(通常状態(高圧)、圧解除状態(低圧))を検知する圧解除センサ(圧解除検知フラグ)と、用紙が定着ローラーと加圧ローラーの間を通過したことを検知する定着搬送センサ(転写材検知フラグ)とが用いられる。
【0007】
圧解除センサは、具体的には、上記のような定着ローラーと加圧ローラーの間の状況の変化に応じて回動し、通常状態においては光が透過したことを検知し、圧解除状態においては光が遮られたことを検知する光学センサとなっている。
【0008】
定着搬送センサは、用紙に対する定着動作が完了したか否かを判定するために、定着ローラーと加圧ローラーの直下に用紙があるか否かを検知する。定着搬送センサとしても加圧状態センサと同様の光学センサが用いられ、用紙がある(定着動作が行われている)場合には光が透過したことを検知し、用紙がない(定着動作が終了した)場合には光が遮られたことを検知するように設定されている。
【0009】
このように、圧解除センサ、定着搬送センサは、共に本来は定着ユニットの装着の適正、不適正の判定のために設けられたものではないが、特許文献1に記載の画像形成装置は、定着ユニットが適正に装着されたか否かにおいてもこれらのセンサが使用できるような構造とされ、圧解除センサ、定着搬送センサは離間した位置に設けられるため、特にそれぞれがある箇所において定着ユニットと本体との間の位置関係が適正であるか否かが判定できる。このため、定着ユニットの装着の適否を判定するためのセンサを新たに設ける必要がなく、この画像形成装置を安価とすることができる。
【0010】
特許文献1の
図12に示されるように、圧解除センサ、定着搬送センサが上記のような設定となっている場合には、圧解除センサ、定着搬送センサが共に遮光された状態である場合には定着ユニットが適正に装着され、圧解除センサ、定着搬送センサの一方で光が透過した場合には、この一方がある側で装着が不適正であり、両方で光が透過した場合には、両側で装着が不適正であると判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2016−71134号公報
【特許文献2】特許第5339750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記の構成においては、本来は他の目的で設けられた圧解除センサ、定着搬送センサを定着ユニットの装着の適否のために流用しているために、上記のような定着ユニットの装着の適否の判定をする際には、制限があった。例えば、上記の判定ができるためには、装着時において定着ローラーと加圧ローラーの間が圧解除状態であり、かつ定着ローラーと加圧ローラーの直下に用紙がないことを前提としていた。このため、定着ユニットが予めこのような状態になっていないと、正確な判定ができない、あるいは、例えば用紙がない場合においても加圧ローラーを駆動して確実にその直下に用紙がない状態とするための動作が必要であった。
【0013】
このため、無駄な動作を少なくして定着ユニットの装着の適否を判定できる安価な画像形成装置が望まれた。
【0014】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の画像形成装置は、画像形成装置本体と、トナーで構成されたパターンが形成された用紙を搬送する際に加熱することによって前記パターンを前記用紙上に定着させる定着ローラーを具備し、前記画像形成装置本体に対して脱着可能とされた定着ユニットが用いられる画像形成装置であって、前記定着ユニットにおいて、前記定着ローラーの温度を検出する温度センサが設けられ、前記定着ユニットが装着された後に、前記温度センサによって検出された温度と予め設定された第1の閾値との大小関係によって、前記定着ユニットが前記画像形成装置本体に対して適正に装着されたか否かの判定をする制御部を具備
し、前記画像形成装置本体に、前記定着ユニットが装着された場合に前記定着ローラーの温度を検出する本体側温度センサが設けられ、前記制御部は、前記定着ユニットが装着された後に、前記温度センサによって検出された温度が予め設定された前記第1の閾値以上となり、かつ前記本体側温度センサによって検出された温度が予め設定された第2の閾値以上となった場合に、前記定着ユニットが前記画像形成装置本体に対して適正に装着されたと判定することを特徴とする。
本発明の画像形成装置において、前記定着ユニットには、前記定着ローラー側に加圧され前記用紙を前記定着ローラーとの間で挟持して搬送する加圧ローラーが設けられ、前記定着ローラーと前記加圧ローラーとの間の圧力は、標準状態と、前記標準状態より低圧とされた圧解除状態の二種類に切り替え可能とされ、前記定着ユニットにおける前記標準状態と前記圧解除状態の切り替えは、前記画像形成装置本体側から駆動されて行われ、前記定着ユニットが前記標準状態、前記圧解除状態のいずれかであるかを検知する圧解除センサが前記定着ユニットに設けられたことを特徴とする。
本発明の画像形成装置において、前記制御部は、前記定着ユニットが前記標準状態、前記圧解除状態のいずれか一方の状態にあって前記画像形成装置本体に装着された後に、前記定着ユニットを前記標準状態、前記圧解除状態のいずれか他方の状態となるように駆動した後で、前記圧解除センサが前記他方の状態となったことを検知し、かつ前記温度センサによって検出された温度が前記第1の閾値以上となった場合に、前記定着ユニットが前記画像形成装置本体に対して適正に装着されたと判定することを特徴とする。
本発明の画像形成装置において、前記一方の状態は前記標準状態とされ、前記他方の状態は前記圧解除状態とされたことを特徴とする
。
本発明の画像形成装置は、
画像形成装置本体と、トナーで構成されたパターンが形成された用紙を搬送する際に加熱することによって前記パターンを前記用紙上に定着させる定着ローラーを具備し、前記画像形成装置本体に対して脱着可能とされた定着ユニットが用いられる画像形成装置であって、前記定着ユニットにおいて、前記定着ローラーの温度を検出する温度センサが設けられ、前記定着ユニットが装着された後に、前記温度センサによって検出された温度と予め設定された第1の閾値との大小関係によって、前記定着ユニットが前記画像形成装置本体に対して適正に装着されたか否かの判定をする制御部を具備し、前記定着ユニットには、前記定着ローラー側に加圧され前記用紙を前記定着ローラーとの間で挟持して搬送する加圧ローラーが設けられ、前記定着ローラーと前記加圧ローラーとの間の圧力は、標準状態と、前記標準状態より低圧とされた圧解除状態の二種類に切り替え可能とされ、前記定着ユニットにおける前記標準状態と前記圧解除状態の切り替えは、前記画像形成装置本体側から駆動されて行われ、前記定着ユニットが前記標準状態、前記圧解除状態のいずれかであるかを検知する圧解除センサが前記定着ユニットに設けられ、前記制御部は、前記定着ユニットが前記標準状態、前記圧解除状態のいずれか一方の状態にあって前記画像形成装置本体に装着された後に、前記定着ユニットを前記標準状態、前記圧解除状態のいずれか他方の状態となるように駆動した後で、前記圧解除センサが前記他方の状態となったことを検知し、かつ前記温度センサによって検出された温度が前記第1の閾値以上となった場合に、前記定着ユニットが前記画像形成装置本体に対して適正に装着されたと判定し、前記画像形成装置本体に、前記定着ユニットが装着された場合に前記定着ローラーの温度を検出する本体側温度センサと、外気温を検出する外気温センサと、が設けられ、前記制御部は、前記外気温センサによって検出された温度が予め設定された第3の閾値以上となった場合に、前記定着ユニットが装着された後に、前記温度センサによって検出された温度が前記第1の閾値以上となり、かつ前記本体側温度センサによって検出された温度が予め設定された第2の閾値以上となった場合に、前記定着ユニットが前記画像形成装置本体に対して適正に装着されたと判定することを特徴とする。
本発明の画像形成装置は、前記定着ユニットが適正に装着されなかったと判定された場合に、前記定着ユニットが適正に装着されていない旨の警告を発する表示部を具備することを特徴とする。
本発明の画像形成装置は、前記定着ユニットが前記画像形成装置本体に対して適正に装着されたか否かの判定が連続して行われた際に、前記定着ユニットが適正に装着されなかったと連続して判定された場合に、前記表示部は、前記定着ユニットに異常がある旨の警告を発することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
上記の構成により、無駄な動作を少なくして定着ユニットの装着の適否を判定できる安価な画像形成装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を模式的に示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る画像形成装置において用いられる定着ユニットの構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の制御に関わる部分のブロック図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る画像形成装置における定着ユニットの装着の適否の判定を行う動作(その1)のフローチャートである。
【
図5】本発明の実施の形態に係る画像形成装置における定着ユニットの装着の適否の判定を行う動作(その2)のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。本発明の実施の形態に係る画像形成装置1における定着カセット30及びこれに関わる構成以外の点については、特許文献1、2におけるものと同様である。
図1は、この画像形成装置1の構成を簡略化して示す図である。この画像形成装置1においては、給紙カセット11に収容された用紙Pが、ピックアップローラー12、搬送ローラー13Aによって搬送され、感光体ドラム21等を具備する画像形成部20に搬送される。画像形成部20では、静電力によって感光体ドラム21にトナーで構成された画像パターンが形成され、用紙Pが図中上側に搬送される際に、この画像パターンが用紙Pに転写される。画像形成部20の構成は、周知の画像形成装置と同様である。また、この画像形成装置1はモノクロ出力を行うため、
図1に示された例では黒色に対応した単一の画像形成部20(感光体ドラム21)が設けられているが、カラー画像を出力させる場合には、複数の色毎に画像形成部が設けられ、各画像形成部で形成された各色の画像パターンが同一の用紙Pに転写される構成とされる。
【0019】
トナーで構成された画像パターンが転写された用紙Pは、その上側で定着ローラー31、加圧ローラー32で挟持されて搬送される。この際、定着ローラー31の温度は高温の所定範囲に制御され、かつ、加圧ローラー32は、定着ローラー31側に所定の圧力で加圧されている。これによって、用紙P上に転写された画像パターンは、用紙Pに定着する。その後、用紙Pは、搬送ローラー13B、13Cによって、上側の排紙部40で排出される。定着ローラー31、加圧ローラー32は、着脱式の定着ユニット30中に設けられている。定着ユニット30の構成については後述する。
【0020】
また、この画像形成装置1においては、上記の動作を円滑に行わせるために上記の各部を制御するCPUである制御部50が設けられる。ユーザーは、最上部にあり複数の操作キーが設けられた操作パネル51を操作して各種の指示を制御部50に対して行わせる。この際、制御部50は、ディスプレイである表示部52において各種の情報を表示させる、あるいはユーザーに対する警告を表示することができる。
【0021】
以下では、
図1の構成における用紙Pと定着ユニット30以外の構成要素が一体化されたものを画像形成装置本体2とする。実際には画像形成装置本体2においては、定着ユニット30と同様に脱着可能な構成要素も存在するが、本願発明とは無関係であるため、以下では定着ユニット30のみが画像形成装置本体2に対して脱着可能であるものとする。
【0022】
図2は、この定着ユニット30の構造を示す斜視図である。前記の通り、この定着ユニット30においては、細長い円筒形状の定着ローラー31と加圧ローラー32とが、互いの回転軸が平行となり、かつ表面が接するように装着されている。
図2における右側には、この定着ユニット30が装着された際に画像形成装置本体2側から駆動されることによって定着ローラー31を回動させるローラー回転機構33が設けられ、加圧ローラー32は定着ローラー31の回動に伴って従動する。
【0023】
また、前記の通り、加圧ローラー32は定着ローラー31側に付勢されるが、これらの間の圧力は、高圧(通常状態)と低圧(圧解除状態)の2段階で切替可能とされる。この切り替え動作も、画像形成装置本体2側から駆動され、このための圧解除機構34が、定着ユニット30において図中左側に設けられる。圧解除機構34においては、特許文献2に記載の定着ユニットと同様に、偏心カムが画像形成装置本体2側から駆動されて回動し、これによって定着ローラー31に対する加圧ローラー32の相対的位置が微調整されることによって、上記の圧力が切り替えられる。この動作に際して、偏心カムが回転する方向は一定であり、回転に際して、通常状態と圧解除状態とが交互に切り替わる。
【0024】
なお、
図2においては、ローラー回転機構33を画像形成装置本体2側から駆動するローラー駆動機構14、圧解除機構34を画像形成装置本体2側から駆動する圧解除駆動機構15も便宜上示されている。前記の通り、ローラー駆動機構14、圧解除駆動機構15は実際には画像形成装置本体2側に設けられており、これらの制御は制御部50によって行われる。このため、定着ユニット30における定着ローラー31の駆動、通常状態と圧解除状態の切り替えは、制御部50によって制御することができる。
【0025】
また、特に圧解除機構34には、上記のようにこの定着ユニット30が通常状態(定着ローラー31と加圧ローラー32の間が高圧)であるか圧解除状態(定着ローラー31と加圧ローラー32の間が低圧)にあるかを検知するための圧解除センサ35が装着される。圧解除センサ35としては、特許文献2に記載の圧解除検知フラグと同様のものが用いられ、上記の偏心カムの動作によって透光/遮光が切り替えられるような設定とされた光学センサが用いられる。
【0026】
ここで、特許文献2に記載の定着ユニットとは異なり、この定着ユニット30においては、初期状態(例えばこの定着ユニット30が未装着である状態)では、通常状態(定着ローラー31と加圧ローラー32の間が高圧)となるように設定されている。この状態は、ユーザーがこの定着ユニット30を画像形成装置本体2に装着した直後においても維持され、圧解除状態(定着ローラー31と加圧ローラー32の間が低圧の状態)とするためには、画像形成装置本体2側から圧解除駆動機構15によって圧解除機構34を駆動させる動作が必要となる。
【0027】
また、定着ローラー31の内部には、ヒーター(
図2において図示せず)と温度センサ(サーミスタ)36が設けられている。温度センサ36は、定着ローラー31の端部付近の内部に設けられている。ヒーターに画像形成装置本体2側から電力が供給されることによって、定着ローラー31の温度を高温に維持することができる。また、温度センサ36が画像形成装置本体2側の制御部50と電気的に接続されることによって、制御部50は、定着ローラー31の実際の温度を認識し、これをフィードバックしてヒーターを制御し、定着ローラー31の温度を高温の所定の範囲に維持することができる。あるいは、後述するように、温度センサ36で検出された温度を基にした他の制御を行うことができる。このため、ヒーターや圧解除センサ35、温度センサ36に接続された配線と画像形成装置本体2側とを接続するための定着ユニット側コネクタ(
図2において図示せず)が、この定着ユニット30側に設けられている。画像形成装置本体2側には、定着ユニット側コネクタと係合する本体側コネクタ(図示せず)が設けられている。
【0028】
このため、この画像形成装置1において、定着ユニット30が画像形成装置本体2に適正に装着された状態とは、ローラー回転機構33、圧解除機構34がそれぞれ画像形成装置本体2側におけるローラー駆動機構14、圧解除駆動機構15と適正に係合し、かつ定着ユニット側コネクタが本体側コネクタとが適正に係合した状態を意味する。これによって、上記の定着ユニット30側における動作、あるいは制御部50による定着ユニット30の適正な制御が可能となる。
【0029】
また、前記の温度センサ36とは別に、画像形成装置本体2側にも、定着ユニット30が適正に装着された場合において定着ローラー31の近傍に設けられ、温度を計測することのできる本体側温度センサ(サーミスタ)53が設けられている。前記の通り、温度センサ36は定着ローラー31の長手方向の端部付近に設けられるのに対して、本体側温度センサ53は、適正に装着された定着ローラー31の長手方向における中央部付近に設けられる。このため、制御部50は、温度センサ36、本体側温度センサ53によって、定着ローラー31における異なる箇所の温度を認識することができる。更に、画像形成装置本体2には、この画像形成装置1が設置された環境の外気温を検知する外気温センサ(サーミスタ)54も設けられる。前記の本体側温度センサ53とは逆に、外気温センサ54は、定着ユニット30が装着された際において定着ローラー31の温度の影響を受けないように、定着ユニット30から離間した箇所に設けられる。
【0030】
この画像形成装置1においては、定着ユニット30が画像形成装置2に装着された直後には、制御部50は、用紙Pに対する定着動作を行わせるという本来の動作を行わせる前に、定着ユニット30を以下に説明するように制御し、この定着ユニット30が適正に装着されたか否かを判定する。適正に装着されていないと判定された場合には、その旨を表示部52で表示させる。
【0031】
図3は、この際の画像形成装置1における制御に関わる構成を示すブロック図であり、
図4は、制御部50の動作(その1)を示すフローチャートである。なお、
図3においては、画像形成装置本体2において用紙Pの搬送のために用いられる各種のローラー(ピックアップローラー11、搬送ローラー13A等)は、用紙搬送機構60として示されており、
図2において示されていなかった定着ユニット30における定着ユニット側コネクタ37、定着ローラー31内のヒーター38も示されている。
図4においては、定着ユニット30が画像装置本体2に装着された直後の動作が示されている。このため、この動作は、定着ユニット30における正規の動作(用紙P上の画像の定着)が行われる前に行われる。
【0032】
まず、定着ユニット30が装着された場合に、定着ユニット側コネクタ37と本体側コネクタとが接続され、これらの間の電気的に接続される(S1)。これによって、制御部50は、定着ユニット30側のヒーター38に電流を流す制御を行う(S2)。これにより、電気的接続が適正に行われた場合には、定着ローラー31の温度は上昇するが、実際にはこの温度が上昇するためには、ある程度の時間を要する。
【0033】
また、この時点では、前記の通り、定着ユニット30は、通常状態となっている。このため、次に、制御部50は、定着ユニット30側の圧解除機構34を、圧解除となる側に駆動する(S3)。制御部50は、その後に実際に圧解除状態となったか否かを、圧解除センサ35によって認識することができる(S4)。圧解除状態となったことが圧解除センサ35によって確認されなかった場合(S4:No)には、圧解除機構34あるいは圧解除センサ35が適正に動作していないと判定されるため、制御部50は、定着ユニット30が適正に装着されていないと判定し(S5)、その旨を表示部52で表示させる(S6)。
【0034】
一方、圧解除状態となったことが確認された場合(S4:Yes)には、次に、温度センサ36で検出された温度がヒーター38によって上昇したか否かが判定される(S7)。ここで、温度が上昇したか否かは、検知された温度が室温よりも高いある閾値(第1の閾値)以上となったか否かによって判定することができる。ここで、この温度が上昇しなかったと判定された場合(S7:No)には、ヒーター38あるいは温度センサ36との間の電気的接続が適正になされていないと判定されるため、制御部50は、定着ユニット30が適正に装着されていないと判定し(S5)、その旨を表示部52で表示させる(S6)。
【0035】
温度が上昇したと判定された場合(S7:Yes)には、ヒーター38及び温度センサ36が適正に動作していると認められるため、上記のように圧解除機構34が適正に動作した(S4:Yes)ことも考慮し、制御部50は、定着ユニット30が適正に装着されたと判定する(S8)。この場合には、制御部50は、再び通常状態とするように圧解除機構34を駆動する(S9)。これによって、この定着ユニット30を用いて用紙P上の画像パターンを定着させることができる。
【0036】
なお、前記の通り、加圧ローラー32における通常状態と圧解除状態とは、偏心カムの回転で交互に切り替わるため、解除センサ35による判定(S4)に際しては、一時的にでも圧解除状態となった場合には、圧解除状態となった(S4:Yes)と認識することが好ましい。また、温度が上昇したか否かの判定(S7)は、ヒーター38に電流が流されて(S2)から所定時間の経過後に行う設定としてもよい。
【0037】
特許文献2に記載の技術と同様に、上記の画像形成装置1においても、定着ユニット30の装着の適正/不適正の判定のために用いられるのは、この判定のために設けられた専用の部品ではなく、他の目的で設けられた圧解除センサ35、温度センサ36である。すなわち、単純な構成によって、定着ユニット30の装着の適正/不適正を判定することができ、この画像形成装置1を安価とすることができる。
【0038】
ただし、特許文献2に記載の技術とは異なり、上記の動作において用いられる判定には、定着ローラー31付近における用紙Pの有無は無関係である。このため、上記の判定のために定着ローラー31(ローラー回転機構33)を駆動することは不要であり、短時間の間に圧解除機構34を駆動させることのみが要求される。また、ヒーター38への電力供給や温度センサ36による温度の検出は、定着ユニット30の装着の適正・不適正の判定のためのみに行われる動作ではなく、この画像形成装置1において常時行われる動作である。このため、上記の画像形成装置は、無駄な動作を少なくして定着ユニット30の装着の適否を判定することができる。
【0039】
なお、上記とは逆に、定着ユニット30における初期状態を圧解除状態としてもよい。この場合には、上記の圧解除機構34の駆動(S3)を通常状態となる側にして、圧解除センサ35によって通常状態を認識(S4)すればよい。
【0040】
図4のフローチャートにおいては、定着ユニット30の装着の適正・不適正の判定に際しては、圧解除センサ35、温度センサ36が用いられた。ここでは、特に、温度センサ36の出力を用いている点が特許文献2に記載の技術とは異なる。ここで、更に、画像形成装置本体2側に設けられた本体側温度センサ53も定着ユニット30の装着の適正/不適正の判定に用いることができる。特に、定着ヒーター30が適正に装着された場合において本体側温度センサ53が定着ローラー31と十分に近接するように配置すれば、定着ユニット30が適正に装着された場合には本体側温度センサ53で検知された温度は定着ローラー31の実際の温度(温度センサ36で検知された温度)に近く、定着ユニット30が適正に装着されなかった場合には本体側温度センサ53で検知された温度は定着ローラー31の実際の温度と乖離するような設定とすることができる。
【0041】
図5は、この場合における制御部50の動作(その2)を示すフローチャートである。この動作においては、ヒーター38に電流が流された(S2)後において、まず、定着ユニット30側の温度センサ36によって温度の上昇が認められ(S21:Yes)、かつ本体側温度センサ53によっても温度の上昇が認められた(S22:Yes)場合においてのみ、定着ユニット30が適正に装着されたと認識される(S8)。
【0042】
一方、温度センサ36による温度の上昇が認められない(S21:No)、あるいは本体側温度センサ53による温度の上昇が認められない(S22:No)場合には、定着ユニット30は適正に装着されていない(S5)と判定される。なお、上記において、本体側温度センサ53による温度が上昇したか否か(S22)の判定基準としては、前記と同様に、本体側温度センサ53で検出された温度が室温よりも高いある閾値(第2の閾値)以上となったか否かによって判定することができる。温度センサ36における第1の閾値、本体側温度センサ53における第2の閾値としては、異なる値を設定することができる。
【0043】
この動作においては、圧解除センサ35は用いられず、圧解除機構34は駆動されない。このため、定着ユニット30の装着の適正/不適正の判定に際しての消費電力を更に低減することができる。
【0044】
なお、
図4、
図5のフローチャートによって、装着が不適正であると認識され(S5)、警告(S6)を発した場合においては、ユーザーによって定着ユニット30の装着が再び行われる。この際、圧解除機構34、圧解除センサ35の故障によって、圧解除の状態(低圧)とならない(
図4におけるS4:No)場合や、温度センサ36による温度上昇が確認できない場合(
図4におけるS7:No、
図5におけるS21:No)等、定着ユニット30側が故障している場合や、画像形成装置本体2側が故障している場合もある。この場合には、この状態で定着ユニット30を再度装着しても、同様の結果となる。このため、例えば、
図4、
図5のフローチャートの動作を複数回行わせ、装着が適正でないと連続して認識された(S5)場合には、定着ユニット30自身、あるいは画像形成装置本体2側に何らかの問題がある旨を表示部52で表示させることが好ましい。
【0045】
また、
図4、5のどちらの動作を行わせるかを適宜使い分ける設定とすることもできる。この判断基準として、外気温センサ54によって検知された外気温(この画像形成装置1が置かれた環境の温度)を採用することができる。例えば、外気温が低い場合においては、装着前の画像形成装置本体2の温度は低くなっており、ヒーター38に電力が投入されてから本体側温度センサ53の温度が十分に上昇する(第2の閾値以上となる)までには、特に長時間を要する。このため、検知された温度のみを判定基準に用いる
図5の動作によっては、定着ユニット30が適正に装着されているにも関わらず、適正に装着されていないと判定される(S5)可能性が高まる。一方、
図4の動作における定着ユニット30が圧解除状態となったか否かの判定(S4)は、外気温とは無関係である。このため、外気温が低い場合に適正な判定を行うためには、
図4の動作が好ましい。
【0046】
一方、前記の通り、
図4の動作においては圧解除機構34を駆動させることが必要であるために、
図5の動作を行わせる場合よりも消費電力が大きくなる。このため、外気温センサ54によって検知された外気温が高い場合には
図5の動作を行い、外気温が低い場合には
図4の動作を行う設定とすることもできる。この動作の切り替えの温度(第3の閾値)は、
図5の動作を行った際の定着ユニット30の装着の適正/不適正の判定のエラー発生状況の温度依存性を考慮して、設定することができる。
【0047】
例えば画像形成部20における動作も、外気温に応じて最適化することができ、このために外気温センサ54を用いることもできる。このため、外気温センサ54も、定着ユニット30の装着の適正/不適正の判定のみに用いられる部品ではない。
【0048】
また、
図5の動作においては、圧解除センサ35、圧解除機構34は用いられない。このため、
図5の動作は、圧解除機構を具備しない、あるいは圧解除機構が画像形成装置本体側から制御されない定着ユニットが用いられる画像形成装置においても適用が可能であり、温度が制御される定着ローラーを具備し、画像形成装置本体に対して脱着可能とされた定着ユニットが用いられれば、適用が可能である。
【0049】
逆に、上記の圧解除センサによる判定(S4)、温度センサによる判定(S7、S21)、本体側温度センサによる判定(S22)を全て組み合わせ、これらが全てYesとなった場合に、装着が適正であると判定させることもできる。あるいは、例えばヒーター38に流れる電流等、他の要素も取り入れることもできる。
【符号の説明】
【0050】
1 画像形成装置
2 画像形成装置本体
11 給紙カセット
12 ピックアップローラー
13A、13B、13C 搬送ローラー
14 ローラー駆動機構
15 圧解除駆動機構
20 画像形成部
21 感光体ドラム
30 定着カセット
31 定着ローラー
32 加圧ローラー
33 ローラー回転機構
34 圧解除機構
35 圧解除センサ
36 温度センサ
37 定着ユニット側コネクタ
38 ヒーター
40 排紙部
50 制御部
51 操作パネル
52 表示部
53 本体側温度センサ
54 外気温センサ
60 用紙搬送機構
P 用紙