特許第6777024号(P6777024)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6777024
(24)【登録日】2020年10月12日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20201019BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20201019BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20201019BHJP
   B41J 5/30 20060101ALI20201019BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   B41J29/38 203
   B41J29/42 F
   B41J29/46 Z
   B41J5/30 Z
   G03G21/00 386
   G03G21/00 390
【請求項の数】15
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-121463(P2017-121463)
(22)【出願日】2017年6月21日
(65)【公開番号】特開2019-5933(P2019-5933A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2019年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮地 光
【審査官】 大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−251856(JP,A)
【文献】 特開2008−217073(JP,A)
【文献】 特開2011−142465(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0164886(US,A1)
【文献】 特開2004−005030(JP,A)
【文献】 特開2005−349694(JP,A)
【文献】 特開2010−147964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 5/30
B41J 29/42
B41J 29/46
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画面を表示し、ユーザーIDおよびパスワードの入力をユーザーから受け付ける操作パネルと、
前記入力画面に入力された入力ユーザーIDおよび入力パスワードを認識し、前記入力パスワードが正しいか否かを判断する制御部と、
記憶部と、を備え、
前記記憶部は、前記入力パスワードが間違っている旨の報知情報に含める情報の項目としてユーザーが予め登録ユーザーIDごとに設定した要報知項目を記憶し、
前記制御部は、前記報知情報を外部に報知するための報知処理を実行するとき、前記要報知項目に対応する情報を前記報知情報に含めることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記報知処理は複数存在し、
前記制御部は、前記入力パスワードが間違っていると判断すると間違い回数のカウント値をカウントアップするとともに、予め定められたリセット条件が満たされると前記間違い回数のカウント値をリセットし、
前記記憶部は、前記報知処理を実行するか否か、および、前記報知処理を実行する場合には複数の前記報知処理のいずれを実行するか、を前記間違い回数のカウント値ごとにユーザーが予め設定した設定情報を記憶しており、
前記制御部は、前記入力パスワードが間違っていると判断したとき、前記間違い回数の現在のカウント値と前記設定情報とに基づき前記報知処理を実行すべきか否かを判断し、前記報知処理を実行すべきと判断した場合、複数の前記報知処理のうち前記間違い回数の現在のカウント値に対応する前記報知処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
外部と通信するための通信部を備え、
複数の前記報知処理のうち1つは第1処理であり、
前記制御部は、前記第1処理を実行するとき、前記入力画面に現在入力されている前記入力ユーザーIDに対応付けられたアドレスを認識し、当該認識したアドレスへの前記報知情報の送信を前記通信部に行わせることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
外部と通信するための通信部を備え、
複数の前記報知処理のうち1つは第2処理であり、
前記制御部は、前記第2処理を実行するとき、予め登録された複数のアドレスのうち前記入力画面に現在入力されている前記入力ユーザーIDに対応付けられたアドレスとは異なるアドレスを認識し、当該認識したアドレスへの前記報知情報の送信を前記通信部に行わせることを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
用紙を搬送し、搬送中の用紙に印刷を行って用紙を排出する印刷部を備え、
複数の前記報知処理のうち1つは第3処理であり、
前記制御部は、前記第3処理を実行するとき、前記印刷部に印刷命令を与え、前記報知情報の用紙への印刷を前記印刷部に行わせることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、予め定められた終了条件が満たされるまで、前記報知情報の用紙への印刷を繰り返し前記印刷部に行わせることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記入力パスワードが間違っていると判断すると間違い回数のカウント値をカウントアップするとともに、予め定められたリセット条件が満たされると前記間違い回数のカウント値をリセットし、
前記制御部は、前記要報知項目に第1項目が含まれる場合、前記報知処理を行うとき、前記間違い回数の現在のカウント値を前記第1項目に対応する情報として前記報知情報に含めることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記要報知項目に第2項目が含まれる場合、前記報知処理を行うとき、現在の時刻を前記第2項目に対応する情報として前記報知情報に含めることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記要報知項目に第3項目が含まれる場合、前記報知処理を行うとき、前記入力画面に現在入力されている前記入力ユーザーIDを前記第3項目に対応する情報として前記報知情報に含めることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記入力パスワードが間違っていると判断すると間違い回数のカウント値をカウントアップするとともに、予め定められたリセット条件が満たされると前記間違い回数のカウント値をリセットし、
前記制御部は、前記入力パスワードが正しいと判断したとき、前記間違い回数のカウント値を前回リセットしてから前記入力パスワードが正しいと今回判断するまでの期間内に前記入力パスワードが間違っていると判断していれば、前記期間内にカウントした前記間違い回数のカウント値を示す情報、前記期間内に前記入力パスワードが間違っていると判断したときの時刻を示す情報、および、前記期間内に前記入力パスワードが間違っていると判断したときに前記入力画面に入力されていた前記入力ユーザーIDを示す情報、のうち少なくとも1つを外部に報知する処理を行うことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記操作パネルは、前記入力画面に対して文字を入力するための文字入力キーを複数表示し、1文字ずつ、パスワードの入力を受け付け、
前記制御部は、前記入力パスワードが間違っていると判断したことによって前記操作パネルにパスワードの再入力の受け付けを行わせるとき、先行文字の入力完了から次文字の入力が可能になるまでの時間を予め定められた基準時間よりも長くする処理を前記操作パネルに行わせることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記操作パネルは、前記入力画面に対して文字を入力するための文字入力キーを複数表示し、1文字ずつ、パスワードの入力を受け付け、
前記制御部は、前記入力パスワードが間違っていると判断したことによって前記操作パネルにパスワードの再入力の受け付けを行わせるとき、互いに隣接する一方の前記文字入力キーおよび他方の前記文字入力キーの間隔を予め定められた基準間隔よりも大きくする処理を前記操作パネルに行わせることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記入力パスワードが間違っていると判断したとき、ユーザーにパスワードの確認を促すためのメッセージを前記操作パネルに表示させることを特徴とする請求項1〜12いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記操作パネルは、前記入力画面に対して文字を入力するための文字入力キーを複数表示し、1文字ずつ、パスワードの入力を受け付け、
前記制御部は、前記入力画面にパスワード用の文字が入力されるごとに、当該入力された文字が正しいか否かを判断し、正しいと判断したとき、前記入力画面の背景画像を予め定められた正解画像に切り替える処理を前記操作パネルに行わせ、間違っていると判断したとき、前記入力画面の背景画像を前記正解画像とは異なる画像に切り替える処理を前記操作パネルに行わせることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記操作パネルを操作している操作人物を撮影するカメラを備え、
前記制御部は、前記入力パスワードが間違っていると判断したときに前記カメラが撮影した撮影データを前記報知情報に含めることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パスワードの入力をユーザーから受け付ける画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザー認証機能を搭載した画像形成装置が知られている。このような画像形成装置は、たとえば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の画像形成装置は、パスワードが設定された印刷データに基づく印刷を行うのに際し、ユーザーからパスワードの入力を受け付ける。そして、当該画像形成装置は、入力パスワードが正しければ、パスワードが設定された印刷データに基づく印刷を行い、入力パスワードが間違っていれば、パスワードが設定された印刷データに基づく印刷を行わない。
【0004】
また、特許文献1の画像形成装置は、入力パスワードが間違っているとき、その旨を報知する。具体的には、予め定められたアドレスに報知情報を送信する。これにより、報知情報を受けた受信者は第3者(不審者)が画像形成装置を操作している可能性がある旨を知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−205374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
報知情報に含めたい情報はユーザーによって異なる。或る情報(ここでは、所定情報と称する)を報知情報に含めたいユーザーもいれば、所定情報が不要なユーザーもいる。あるいは、所定情報以外の情報を報知情報に含めたいユーザーもいる。
【0007】
しかし、通常では、画像形成装置に間違ったパスワードが入力されたときに画像形成装置が報知する報知情報には予め定められた情報のみが含められる。たとえば、報知情報に含められる情報はメーカーなどによって予め定められる。したがって、必要な情報が含まれていない報知情報(あるいは、不要な情報が含まれた報知情報)が画像形成装置から報知されるという不都合が生じ得る。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、報知情報を受けるユーザーが必要とする情報だけを報知情報に含めることが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一局面による画像形成装置は、入力画面を表示し、ユーザーIDおよびパスワードの入力をユーザーから受け付ける操作パネルと、入力画面に入力された入力ユーザーIDおよび入力パスワードを認識し、入力パスワードが正しいか否かを判断する制御部と、記憶部と、を備える。記憶部は、入力パスワードが間違っている旨の報知情報に含める情報の項目としてユーザーが予め設定した要報知項目を記憶する。制御部は、報知情報を外部に報知するための報知処理を実行するとき、要報知項目に対応する情報を報知情報に含める。
【0010】
本発明の構成では、要報知項目に対応する情報が報知情報に含められる。ここで、要報知項目はユーザーが予め設定した項目である。すなわち、ユーザーが受ける報知情報にはユーザーが予め設定した項目に対応する情報だけが含められる。これにより、ユーザーにとって必要な情報が含まれていない報知情報がユーザーに報知されるという不都合が発生するのを抑制することができる。また、ユーザーにとって不要な情報が含まれた報知情報がユーザーに報知されるという不都合が発生するのも抑制することができる。その結果、報知情報を受けるユーザーの利便性が向上する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の構成では、報知情報を受けるユーザーが必要とする情報だけを報知情報に含めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による画像形成装置の全体構成を示す図
図2】本発明の一実施形態による画像形成装置のハードウェア構成を示す図
図3】本発明の一実施形態による画像形成装置が表示するログイン画面を示す図
図4】本発明の一実施形態による画像形成装置が表示するソフトウェアキーボードを示す図
図5】本発明の一実施形態による画像形成装置に記憶される設定情報について説明するための図
図6】本発明の一実施形態による画像形成装置が行う報知処理の流れを示すフローチャート
図7】本発明の一実施形態による画像形成装置が行う入力ミス防止処理(第1防止処理)について説明するための図
図8】本発明の一実施形態による画像形成装置が行う入力ミス防止処理(第2防止処理)について説明するための図
図9】本発明の一実施形態による画像形成装置が行う入力ミス防止処理(第3防止処理)について説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<装置構成>
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置100は、画像読取部1を備える。画像読取部1は、原稿Dを読み取って原稿Dの画像データを生成する。画像読取部1は、ランプ11やイメージセンサー12など原稿Dを光学的に読み取るための光学系部材を含む。ランプ11やイメージセンサー12などは、画像読取部1の筐体の内部に収容される。画像読取部1の筐体の上面には、コンタクトガラスCGが設けられる。そして、画像読取部1は、コンタクトガラスCG上に載置された原稿Dを読み取る。
【0014】
また、画像形成装置100は、印刷部2を備える。印刷部2は、給紙部21、画像形成部22および定着部23を含む。印刷部2は、用紙Pを搬送し、搬送中の用紙Pに画像(たとえば、後述する報知情報など)を印刷して印刷済み用紙Pを排出トレイETに排出する。
【0015】
給紙部21は、用紙カセットCAに収容された用紙Pを用紙搬送路(図1では、破線で示す)に給紙する。用紙搬送路に給紙された用紙Pは用紙搬送路に沿って搬送される。
【0016】
画像形成部22は、ブラック(K)、イエロー(Y)、シアン(C)およびマゼンタ(M)の各色にそれぞれ対応する画像形成ユニット22K、22Y、22Cおよび22Mを含む。画像形成ユニット22K、22Y、22Cおよび22Mは、それぞれ、対応する色のトナー像を形成し、中間転写ベルトに1次転写する。中間転写ベルトに転写されたトナー像は、搬送中の用紙Pに2次転写される。
【0017】
定着部23は、トナー像が転写された用紙Pを加圧および加熱する。これにより、用紙Pにトナー像が定着される。トナー像が定着された印刷済み用紙Pは、用紙搬送路に沿ってそのまま搬送され、排出トレイETに排出される。
【0018】
また、画像形成装置100は、操作パネル3を備える。操作パネル3は、タッチパネルディスプレイ31を含む。タッチパネルディスプレイ31は、ソフトウェアキーやメッセージなどを配した画面を表示し、表示画面(ソフトウェアキー)に対するタッチ操作をユーザーから受け付ける。また、操作パネル3は、複数のハードウェアキー32を含む。たとえば、ジョブの実行指示をユーザーから受け付けるためのスタートキーがハードウェアキー32として操作パネル3に設けられる。
【0019】
また、図2に示すように、画像形成装置100は、制御部4を備える。制御部4は、画像読取部1に接続され、画像読取部1の読取動作を制御する。また、制御部4は、印刷部2に接続され、印刷部2の印刷動作を制御する。さらに、制御部4は、操作パネル3に接続される。そして、制御部4は、タッチパネルディスプレイ31の表示動作を制御するとともに、タッチパネルディスプレイ31(ソフトウェアキー)に対するタッチ操作やハードウェアキー32に対する押下操作を検知する。
【0020】
制御部4は、CPU41およびメモリー42を含む。CPU41は、制御用のプログラムおよびデータに基づき動作し、各部を制御するための処理を行う。メモリー42は、CPU41を動作させるためのプログラムおよびデータを記憶する。
【0021】
また、画像形成装置100は、記憶部5を備える。記憶部5は、ROM(たとえば、EEPROM)やHDDなどの不揮発性の記憶デバイスを含む。制御部4は、記憶部5に接続され、記憶部5からのデータの読み出しや記憶部5へのデータの書き込みを行う。
【0022】
また、画像形成装置100は、通信部6を備える。通信部6は、通信用回路や通信用メモリー、通信用コネクターなどを含む。通信部6は、外部機器200と通信可能に接続される。制御部4は、通信部6に接続され、通信部6を介して外部機器200と通信し、外部機器200との間で各種情報を送受信する。画像形成装置100(通信部6)には、画像形成装置100のユーザーにより使用されるユーザー端末が通信可能に接続される。たとえば、ユーザー端末はパーソナルコンピューター(PC)である。ユーザー端末が携帯情報端末(スマートフォンおよびタブレット端末など)であってもよい。
【0023】
また、画像形成装置100は、カメラ7を備える。カメラ7は、操作パネル3を操作している操作人物(当該人物の顔)の撮影が可能な位置に設置される。操作パネル3にカメラ7が設置されてもよい。カメラ7は、制御部4により制御される。制御部4は、カメラ7が撮影した撮影データ(当該撮影データに含まれる操作人物の顔画像データ)の解析を行い、操作人物が存在するか否かを判断する。なお、画像形成装置100にカメラ7が設置されなくてもよい。
【0024】
<ユーザー認証>
画像形成装置100には複数種の機能が搭載されるが、そのうち所定機能については正規ユーザー(画像形成装置100の使用を許可されたユーザー)にのみ使用許可が与えられる。所定機能を使用したいユーザーは画像形成装置100にログインする必要がある。言い換えると、当該ユーザーはユーザー認証(本人確認)を受ける必要がある。画像形成装置100は、ユーザー認証の結果、ユーザー認証を受けたユーザーが正規ユーザーであることを確認できれば、ログインを許可する(所定機能の使用を許可する)。なお、画像形成装置100が非ログイン状態のときに、画像形成装置100に搭載された全機能の使用が禁止されてもよい。
【0025】
特に限定されないが、画像形成装置100に保存された画像データに基づく画像を用紙Pに印刷する機能などが所定機能とされる。一方で、簡単コピー機能などについては、画像形成装置100が非ログイン状態であっても使用可能である。簡単コピー機能で印刷を行う場合には、ユーザーはユーザー認証を受ける必要はない(後述するログイン画面310にユーザーIDやパスワードを入力しなくてもよい)。たとえば、簡単コピー機能に関する設定を行うための簡単コピー画面(図示せず)が準備される。簡単コピー画面では、印刷部数の設定や用紙サイズの設定(用紙カセットCAの選択)など特定の設定項目の設定だけの受け付けが行われる。簡単コピー機能では集約印刷や両面印刷などは行えない。
【0026】
なお、画像形成装置100には、ユーザー認証に必要な認証情報が事前に登録される。認証情報は、正規ユーザーのユーザーIDおよび当該ユーザーIDに対応付けられたパスワードを含み、認証情報データベースDB1(図2参照)に格納される。認証情報データベースDB1は記憶部5に記憶される。複数人の正規ユーザーが存在する場合には、複数人の正規ユーザーにそれぞれ対応する複数の認証情報が認証情報データベースDB1に格納される。
【0027】
ユーザー認証を受けるとき、ユーザーは自身のユーザー情報(ユーザーIDおよび当該ユーザーIDに対応付けたパスワード)を入力する。ユーザー情報の入力の受け付けは操作パネル3が行う。
【0028】
操作パネル3は、ユーザー情報の入力を受け付けるとき、図3に示すようなログイン画面310を表示する。ログイン画面310は「入力画面」に相当する。なお、画像形成装置100が非ログイン状態のときには、ログイン画面310が初期画面として操作パネル3に表示される。
【0029】
ログイン画面310には、入力欄C311およびC312が配置される。操作パネル3は、ユーザーがユーザーIDを入力すると、当該ユーザーIDを入力欄C311に表示するとともに、ユーザーがパスワードを入力すると、当該パスワードを入力欄C312に表示する。
【0030】
また、ログイン画面310には、キーK311およびK312が配置される。操作パネル3は、キーK311またはK312に対してタッチ操作が行われると、図4に示すようなソフトウェアキーボード320をログイン画面310にポップアップ表示する。ソフトウェアキーボード320は、複数の文字入力キーCKを含む。なお、キーK311(図3参照)に対するタッチ操作で表示されるソフトウェアキーボード320は、ユーザー情報としてのユーザーIDの入力を受け付けるためのものであり、キーK312(図3参照)に対するタッチ操作で表示されるソフトウェアキーボード320は、ユーザー情報としてのパスワードの入力を受け付けるためのものである。操作パネル3は、ユーザーIDやパスワードの入力をユーザーから1文字ずつ受け付ける。なお、ソフトウェアキーボード320では、文字、数字および記号の入力が可能であり、これら文字、数字および記号を総じて文字と称する。
【0031】
さらに、操作パネル3が表示するログイン画面320(図3参照)には、ログインキーLKが配置される。ログインキーLKは、ユーザー認証の実行要求をユーザーから受け付けるためのキーである。
【0032】
制御部4は、ログインキーLKに対するタッチ操作を検知すると、操作パネル3がユーザー認証の実行要求を受け付けたと判断する。そして、制御部4は、ログイン画面310に入力されたユーザー情報と事前登録された認証情報とに基づき、ユーザー認証を行う。以下の説明では、ログイン画面310に入力されたユーザーIDおよびパスワードをそれぞれ入力ユーザーIDおよび入力パスワードと称し、事前登録されたユーザーIDおよびパスワードをそれぞれ登録ユーザーIDおよび登録パスワードと称する。
【0033】
制御部4は、ユーザー認証を行うとき、ユーザー情報と認証情報とを比較する。具体的には、制御部4は、入力ユーザーIDおよび入力パスワードを認識し、認証情報データベースDB1から、入力ユーザーIDと同じ登録ユーザーIDを検索する。入力ユーザーIDと同じ登録ユーザーIDが見つからなかった場合、制御部4は、ユーザー認証の実行を要求した要求ユーザーが正規ユーザーではないと判断する。
【0034】
入力ユーザーIDと同じ登録ユーザーIDが見つかった場合、制御部4は、入力ユーザーIDと同じ登録ユーザーIDに対応付けられた登録パスワードを認証用パスワードに設定する。そして、制御部4は、認証用パスワードと入力パスワードとを比較し、認証用パスワードと入力パスワードとが一致すれば、入力パスワードが正しいと判断する。すなわち、制御部4は、ユーザー認証の実行を要求した要求ユーザーが正規ユーザーであると判断する。この場合、制御部4は、画像形成装置100をログイン状態に移行させる処理を行う。
【0035】
制御部4は、認証用パスワードと入力パスワードとを比較した結果、認証用パスワードと入力パスワードとが一致しなければ、入力パスワードが間違っていると判断する。すなわち、制御部4は、ユーザー認証の実行を要求した要求ユーザーが正規ユーザーではないと判断する。この場合には、画像形成装置100はログイン状態に移行しない。
【0036】
たとえば、制御部4は、ログイン状態の画像形成装置100が使用されないまま予め定められた閾値時間が経過すると、画像形成装置100をログイン状態から非ログイン状態に移行させる。このとき、画像形成装置100を通常モードから省電力モード(スリープモード)に移行させてもよい。あるいは、制御部4は、画像形成装置100がログイン状態のとき、操作パネル3に対して所定操作が行われたことを検知すると、画像形成装置100を非ログイン状態に移行させる。
【0037】
<間違い回数>
制御部4は、入力パスワードが間違っていると判断した回数(以下、間違い回数と称する)をカウントする。間違い回数のカウント値は制御部4のメモリー42に記憶される。制御部4は、入力パスワードが間違っていると判断したとき、間違い回数のカウント値を1カウントアップする。入力パスワードが間違っていると制御部4が判断するごとに、間違い回数のカウント値が1ずつ累積加算されていく。
【0038】
制御部4は、予め定められたリセット条件が満たされたか否かを判断し、リセット条件が満たされたとき、間違い回数のカウント値をリセットする(リセット後の間違い回数のカウント値は0である)。たとえば、制御部4は、入力パスワードが正しいと判断したとき、リセット条件が満たされたとし、間違い回数のカウント値をリセットする。
【0039】
また、制御部4は、入力パスワードが間違っていると判断してからログイン画面310へのパスワードの再入力が行われることなく所定時間(たとえば、数十秒〜数百秒(たとえば、1分程度))が経過したとき、リセット条件が満たされたとし、間違い回数のカウント値をリセットする。たとえば、或るユーザーが非ログイン状態の画像形成装置100の操作パネル3に対して間違ったパスワードを入力すると間違い回数のカウント値がカウントアップされるが、その後、当該ユーザーが画像形成装置100の設置場所から立ち去り、所定時間が経過すると、間違い回数のカウント値がリセットされる。
【0040】
また、制御部4は、ログイン画面310からパスワードを入力しなくても遷移可能な画面(以下、特定画面と称する)への切替指示を操作パネル3が受け付けたとき、リセット条件が満たされたとし、間違い回数のカウント値をリセットする。特定画面の一例として簡単コピー画面が挙げられる。たとえば、操作パネル3には簡単コピーキーがハードウェアキー32として設けられる。簡単コピーキーは簡単コピー画面を操作パネル3に表示させるためのキーである。制御部4は、操作パネル3にログイン画面310が表示されている状態のとき(画像形成装置100が非ログイン状態のとき)、簡単コピーキーに対する押下操作を検知すると、ユーザーIDやパスワードがログイン画面310に入力されているか否かにかかわらず、操作パネル3の表示画面をログイン画面310から簡単コピー画面に遷移させる。そして、このとき、制御部4は、間違い回数のカウント値をリセットする。
【0041】
また、制御部4は、カメラ7が撮影した撮影データに基づき操作人物(操作パネル3を操作している人物)が存在するか否かを判断する。そして、制御部4は、操作人物が存在する状態から操作人物が存在しない状態になったとき、リセット条件が満たされたと判断し、間違い回数のカウント値をリセットする。
【0042】
<報知処理>
制御部4は、入力パスワードが間違っていると判断したとき、入力パスワードが間違っている旨の報知情報を外部に報知するための報知処理を実行する。ただし、入力パスワードが間違っていると制御部4が判断した時点での間違い回数のカウント値によっては、制御部4による報知処理が行われない場合もある。詳細は後述する。
【0043】
(報知情報の内容)
まず、報知情報の内容について説明する。
【0044】
報知情報に含めることが可能な情報の項目は複数存在し、ユーザーによる項目設定で設定(選択)された項目の情報が報知情報に含められる。すなわち、報知情報に含める情報の項目をユーザーが任意に設定(選択)することができる。項目設定は操作パネル3がユーザーから受け付ける。あるいは、画像形成装置100に通信可能に接続された外部機器200からでも項目設定を行うことができる。
【0045】
たとえば、第1項目(間違い回数に関する項目)、第2項目(時刻に関する項目)および第3項目(ユーザーIDに関する項目)の3つが報知情報に含めることが可能な情報の項目として準備されており、ユーザーは第1〜第3項目から所望の項目を要報知項目として設定(選択)することができる。報知情報に含める情報の項目は1つでもよい。あるいは、報知情報に含める情報の項目は複数でもよい(第1〜第3項目の全ての項目の各情報を報知情報に含めることもできる)。なお、第1〜第3項目とは異なる項目の情報(たとえば、ログイン画面310に現在入力されている入力パスワードの文字数や文字種などを示す情報)を報知情報に含めることが可能であってもよい。
【0046】
また、画像形成装置100に事前登録された登録ユーザーIDが複数存在する場合、登録ユーザーIDごとに項目設定を行うことができる。ユーザーが要報知項目として設定した項目は登録ユーザーIDごとに項目データベースDB2(図2参照)に格納される。項目データベースDB2は記憶部5に記憶される。
【0047】
制御部4は、報知処理を行うとき、ログイン画面310に現在入力されている入力ユーザーIDを認識し、入力ユーザーIDに対応する要報知項目を認識する。そして、制御部4は、要報知項目に対応する情報を報知情報に含める。
【0048】
たとえば、要報知項目に第1項目(間違い回数に関する項目)が含まれているとする。この場合、制御部4は、報知処理を行うとき、間違い回数の現在のカウント値を報知情報に含めるべき情報として設定する。これにより、報知情報には間違い回数が含められるので、報知を受けた報知先ユーザーは間違い回数を知ることができる。
【0049】
また、要報知項目に第2項目(時刻に関する項目)が含まれているとする。この場合、制御部4は、報知処理を行うとき、現在の時刻を報知情報に含めるべき情報として設定する。これにより、入力パスワードが間違っていると制御部4が判断したときの時刻(間違い発生時の時刻)が報知情報に含められるので、報知を受けた報知先ユーザーは間違い発生時の時刻を知ることができる。
【0050】
また、要報知項目に第3項目(ユーザーIDに関する項目)が含まれているとする。この場合、制御部4は、報知処理を行うとき、ログイン画面310に現在入力されている入力ユーザーIDを報知情報に含めるべき情報として設定する。これにより、入力パスワードが間違っていると制御部4が判断したときにログイン画面310に入力されていた入力ユーザーID(間違い発生時のユーザーID)が報知情報に含められるので、報知を受けた報知先ユーザーは間違い発生時のユーザーIDを知ることができる。
【0051】
なお、画像形成装置100にカメラ7が設置されている場合、制御部4は、入力パスワードが間違っていると判断したとき、カメラ7が撮影した撮影データ(間違い発生時の撮影データ)を取得する。そして、制御部4は、間違い発生時の撮影データを報知情報に含める。間違い発生時の撮影データには、ログイン画面310に間違ったパスワードを入力した操作人物の顔画像データが含まれる。
【0052】
間違い発生時の撮影データを報知情報に含めてもよいが含めなくてもよい。たとえば、商業施設などに画像形成装置100が設置される場合には、カメラ7による撮影は行われない。また、間違い発生時の撮影データを報知情報に含める場合には、撮影データの背景領域にぼかし処理や塗りつぶし処理などが施される。
【0053】
(報知情報の報知先)
次に、報知情報の報知先について説明する。
【0054】
制御部4は、報知処理として、第1処理、第2処理および第3処理のいずれかを実行する。なお、第1〜第3処理とは異なる処理が報知処理として制御部4により実行されてもよい。たとえば、報知情報を配した報知画面を操作パネル3に表示するための処理が報知処理として制御部4により行われてもよい。また、画像形成装置100にスピーカーなどを含む音出力部を設置し、報知処理と共に音出力部から警告音を出力する処理が制御部4により行われてもよい。
【0055】
制御部4は、第1処理を実行するとき、ログイン画面310に現在入力されている入力ユーザーIDに対応付けられたアドレスを認識する。たとえば、画像形成装置100に認証情報(ユーザーIDおよびパスワード)を登録するときには、ユーザーIDに対応付けるアドレスの登録がユーザーに対して要求されるので、ユーザーは自身が使用する外部機器200であって画像形成装置100と通信可能な外部機器200(たとえば、PC)のアドレスを認証情報と共に登録する。当該アドレスはユーザーIDに対応付けられ、認証情報データベースDB1に格納される。これにより、制御部4により認識されるアドレスは入力ユーザーIDに対応するユーザーが使用する外部機器200のアドレスとなる。
【0056】
入力ユーザーIDに対応付けられたアドレスを認識すると、制御部4は、入力ユーザーIDに対応付けられたアドレスへの報知情報の送信を通信部6に行わせる。これにより、入力ユーザーIDに対応するユーザーにより使用される外部機器200が報知情報を受信する。報知情報を受信した外部機器200のディスプレイは報知情報を表示する。すなわち、入力ユーザーIDに対応するユーザーに対して報知情報が報知される(当該ユーザーが報知情報の報知先となる)。
【0057】
制御部4は、第2処理を実行するとき、予め登録されたアドレス(入力ユーザーIDに対応付けられたアドレス以外のアドレス)を報知先アドレスとして認識する。たとえば、画像形成装置100の管理を担う管理ユーザーにより使用される外部機器200(たとえば、PC)のアドレスが予め登録される。また、報知先アドレスとなり得るアドレスは複数(少なくとも2つ)登録され、当該登録された複数の登録アドレスには優先順位が割り当てられる。
【0058】
入力ユーザーIDに対応付けられたアドレスが複数の登録アドレスのいずれとも異なる場合や、入力ユーザーIDに対応付けられたアドレスが優先順位の最も高い登録アドレスとは異なる場合、制御部4は、複数の登録アドレスのうち優先順位の最も高い登録アドレスを報知先アドレスとして認識する。入力ユーザーIDに対応付けられたアドレスが優先順位の最も高い登録アドレスと同じ場合、制御部4は、優先順位が第2位の登録アドレスを報知先アドレスとして認識する。なお、複数の登録アドレスのうち、入力ユーザーIDに対応付けられたアドレスとは異なる全ての登録アドレスが報知先アドレスとして制御部4により認識されてもよい。
【0059】
複数の登録アドレスのいずれかを報知先アドレスとして認識すると、制御部4は、報知先アドレス(登録アドレス)への報知情報の送信を通信部6に行わせる。これにより、報知先アドレスに対応する外部機器200のディスプレイに報知情報が表示される。すなわち、当該外部機器200を使用するユーザーに対して報知情報が報知される(当該ユーザーが報知情報の報知先となる)。
【0060】
制御部4は、第3処理を実行するとき、印刷部2に印刷命令を与え、報知情報の用紙Pへの印刷を印刷部2に行わせる。制御部4から印刷命令を受けた印刷部4は、報知情報を用紙Pに印刷し、報知情報が印刷された用紙Pを外部に排出する(排出トレイETに排出する)。これにより、画像形成装置100の操作パネル3を現在操作している人物や画像形成装置100の周囲に居るユーザーに対して報知情報が報知される。たとえば、画像形成装置100を現在操作している人物が画像形成装置100に不正アクセスしようとしている第3者(不審者)である場合には、報知情報を用紙Pに印刷し排出することにより、不正アクセスに関する監視が行われていることを第3者に認識させることができる(不正アクセスを諦めさせることができる)。
【0061】
なお、制御部4は、予め定められた終了条件が満たされるまで、報知情報の用紙Pへの印刷を繰り返し印刷部2に行わせる。これにより、報知情報が印刷された用紙Pが何枚も連続して画像形成装置100から排出される。すなわち、画像形成装置100が長期間にわたって用紙Pを排出し続ける。画像形成装置100が長期間にわたって用紙Pを排出し続けると、画像形成装置100に異常が発生していると画像形成装置100の周囲のユーザーに思わせることができるので、画像形成装置100に注目が集まる。これにより、第3者が画像形成装置100に不正アクセスしようとしていれば、確実に、不正アクセスを諦めさせることができる。
【0062】
たとえば、用紙カセットCAに収容された用紙残量を検知するための用紙残量センサーが画像形成装置100に設置される。用紙残量センサーの出力値は用紙カセットCAに収容された用紙残量に応じて出力値を変化させる。制御部4は、用紙残量センサーの出力値に基づき用紙残量を検知し、用紙カセットCAから用紙Pが無くなったことを検知したとき、終了条件が満たされたと判断する。あるいは、報知情報の印刷開始からの印刷枚数が所定枚数(たとえば、数十枚)に達したとき、終了条件が満たされたと制御部4が判断するようにしてもよい。なお、制御部4は、画像形成装置100にカメラ7が設置されている場合、操作人物が存在する状態から操作人物が存在しない状態になったとき、用紙残量や印刷枚数にかかわらず、終了条件が満たされたと判断する。
【0063】
ここで、記憶部5は、報知処理を実行するか否か、および、報知処理を実行する場合には複数の報知処理(第1〜第3処理)のいずれを実行するか、を間違い回数のカウント値ごとにユーザーが予め設定した設定情報30を記憶する。設定情報30の設定(登録)は操作パネル3がユーザーから受け付ける。あるいは、画像形成装置100に通信可能に接続された外部機器200からでも設定情報30の設定(登録)を行うことができる。
【0064】
また、画像形成装置100に事前登録された登録ユーザーIDが複数存在する場合、登録ユーザーIDごとに設定情報30の設定(登録)を行うことができる。ユーザーが設定した設定情報30は登録ユーザーIDごとに設定情報データベースDB3(図2参照)に格納される。設定情報データベースDB3は記憶部5に記憶される。
【0065】
図5に設定情報30の一例を示す。図5に示す例では、カウント値「1」に対応する実行/非実行の設定は「非実行」になっており、カウント値「2」、「3」および「4」に対応する実行/非実行の設定は「実行」になっている。また、カウント値「2」に対応する実行処理の設定は「第1処理」となっており、カウント値「3」に対応する実行処理の設定は「第2処理」となっており、カウント値「4」に対応する実行処理の設定は「第3処理」となっている。
【0066】
図5に示す例において、入力パスワードが間違っていると制御部4が判断したとき、間違い回数のカウント値が「1」であった場合には、制御部4は報知処理を実行せず、間違い回数のカウント値が「2」、「3」および「4」のいずれかであった場合には、制御部4は報知処理を実行する。
【0067】
間違い回数のカウント値が「2」であった場合、制御部4は第1処理を実行し、間違い回数のカウント値が「3」であった場合、制御部4は第2処理を実行し、間違い回数のカウント値が「4」であった場合、制御部4は第3処理を実行する。なお、制御部4は、第1〜第3処理のいずれかを実行するとき、ログイン画面310に現在入力されている入力ユーザーIDを認識する。また、制御部4は、項目データベースDB2の格納情報に基づき、当該認識した入力ユーザーIDに対応する要報知項目を認識する。そして、制御部4は、当該認識した要報知項目に対応する情報を報知情報に含める。
【0068】
(報知処理の流れ)
以下に、図6に示すフローチャートを参照し、制御部4により行われる報知処理の流れを説明する。図6に示すフローチャートのスタートは、入力パスワードが間違っていると制御部4が判断したとき(画像形成装置100へのログインに失敗したとき)である。
【0069】
たとえば、制御部4は、入力パスワードが間違っていると判断したとき、ログイン画面310に現在入力されている入力ユーザーIDを認識する。そして、制御部4は、認証情報データベースDB1の格納情報に基づき、入力ユーザーIDに対応するユーザーにより使用される外部機器200のアドレス(以下の説明では、入力ユーザーIDのアドレスと称する)を認識する。また、制御部4は、項目データベースDB2の格納情報に基づき、入力ユーザーIDに対応付けられた要報知項目を認識する。さらに、制御部4は、設定情報データベースDB3から、入力ユーザーIDに対応する設定情報30を抽出する。
【0070】
ステップS1において、制御部4は、間違い回数のカウント値をカウントアップする。また、ステップS2において、制御部4は、間違い回数の現在のカウント値(カウントアップした後のカウント値)を認識する。
【0071】
ステップS3において、制御部4は、入力ユーザーIDに対応する設定情報30に基づき、間違い回数の現在のカウント値に対応付けられた実行/非実行設定の設定内容を認識する。そして、制御部4は、当該認識した実行/非実行設定が「実行」に設定されているか否かを判断する。その結果、実行/非実行設定が「実行」に設定されていると制御部4が判断した場合には、ステップS4に移行する。言い換えると、報知処理を実行すべきと制御部4が判断した場合に、ステップS4に移行する。図5に示した例では、間違い回数の現在のカウント値が「2」〜「4」であれば、ステップS4に移行する。
【0072】
なお、ステップS3において、実行/非実行設定が「非実行」に設定されていると制御部4が判断した場合には、本フローは終了する。実行/非実行設定が「非実行」に設定されている場合には、現時点では制御部4による報知処理は行われない。すなわち、制御部4は、報知処理を実行すべきでないと判断する。図5に示した例では、間違い回数の現在のカウント値が「1」であれば、本フローは終了する。
【0073】
ステップS4に移行すると、制御部4は、入力ユーザーIDに対応する設定情報30に基づき、間違い回数の現在のカウント値に対応付けられた実行処理設定の設定内容を認識する。そして、制御部4は、当該認識した実行処理設定が「第1処理」に設定されているか否かを判断する。その結果、実行処理設定が「第1処理」に設定されていると制御部4が判断した場合には、ステップS5に移行する。図5に示した例では、間違い回数の現在のカウント値が「2」であれば、ステップS5に移行する。
【0074】
ステップS5に移行した場合、制御部4は、第1処理を実行する。すなわち、制御部4は、入力ユーザーIDのアドレスへの報知情報(当該報知情報には入力ユーザーIDに対応付けられた要報知項目の情報が含められる)の送信を通信部6に行わせる。
【0075】
ステップS4において、実行処理設定が「第1処理」に設定されていないと制御部4が判断した場合には、ステップS6に移行する。ステップS6に移行すると、制御部4は、実行処理設定が「第2処理」に設定されているか否かを判断する。その結果、実行処理設定が「第2処理」に設定されていると制御部4が判断した場合には、ステップS7に移行する。図5に示した例では、間違い回数の現在のカウント値が「3」であれば、ステップS7に移行する。
【0076】
ステップS7に移行した場合、制御部4は、第2処理を実行する。すなわち、制御部4は、複数の登録アドレスのうち入力ユーザーIDのアドレスとは異なるアドレスへの報知情報(当該報知情報には入力ユーザーIDに対応付けられた要報知項目の情報が含められる)の送信を通信部6に行わせる。
【0077】
ステップS6において、実行処理設定が「第2処理」に設定されていないと制御部4が判断した場合には、ステップS8に移行する。実行処理設定が「第2処理」に設定されていないということは、実行処理設定が「第3処理」に設定されているということである。図5に示した例では、間違い回数の現在のカウント値が「4」であれば、ステップS8に移行する。
【0078】
ステップS8に移行した場合、制御部4は、第3処理を実行する。すなわち、制御部4は、報知情報(当該報知情報には入力ユーザーIDに対応付けられた要報知項目の情報が含められる)の用紙Pへの印刷を印刷部2に行わせる。
【0079】
本実施形態の画像形成装置100は、上記のように、ログイン画面310(入力画面)を表示し、ユーザーIDおよびパスワードの入力をユーザーから受け付ける操作パネル3と、ログイン画面310に入力された入力ユーザーIDおよび入力パスワードを認識し、入力パスワードが正しいか否かを判断する制御部4と、記憶部5と、を備える。記憶部5は、入力パスワードが間違っている旨の報知情報に含める情報の項目としてユーザーが予め設定した要報知項目を記憶する。制御部4は、報知情報を外部に報知するための報知処理を実行するとき、要報知項目に対応する情報だけを報知情報に含め、他の情報は報知情報に含めない。
【0080】
本実施形態の構成では、要報知項目に対応する情報が報知情報に含められる。ここで、要報知項目はユーザーが予め設定した項目である。すなわち、ユーザーが受ける報知情報にはユーザーが予め設定した項目に対応する情報だけが含められる。これにより、ユーザーにとって必要な情報が含まれていない報知情報がユーザーに報知されるという不都合が発生するのを抑制することができる。また、ユーザーにとって不要な情報が含まれた報知情報がユーザーに報知されるという不都合が発生するのも抑制することができる。その結果、報知情報を受けるユーザーの利便性が向上する。
【0081】
また、本実施形態では、上記のように、報知処理を実行するか否か、および、報知処理を実行する場合には第1〜第3処理のいずれを報知処理として実行するか、を間違い回数のカウント値ごとにユーザーが任意に設定することができるので、ユーザーの利便性がより向上する。
【0082】
たとえば、パスワードを入力しているユーザーが正規ユーザーであっても単純な入力ミスは発生し得る。単純な入力ミスが発生する度に報知情報が報知されると、報知情報を受けたユーザーは煩わしく感じる。このような不都合を抑制するため、設定情報30の設定をユーザーが任意に設定することが可能となっている。たとえば、図5に示した例のように、間違い回数のカウント値「1」に対応付ける実行/非実行設定を「非実行」に設定しておけば、1回目のパスワードの入力時に単純な入力ミスが発生しても、報知情報が報知されることはない。なお、後述するが、パスワードの入力ミスが1回でも発生すると、入力ミス防止機能が有効となる。したがって、単純な入力ミスが連続して発生するのを抑制することができる。
【0083】
パスワードの入力ミスが連続して発生している場合には、第3者(不審者)が画像形成装置100に不正アクセスしようとしている可能性がある。この場合、図5に示した例のように、間違い回数のカウント値「2」〜「4」に対応付ける実行/非実行設定を「実行」に設定しておけば、入力ミスが連続して発生したとき(入力パスワードが間違っていると制御部4が判断したとき)に報知情報が報知されるので、不正アクセスを未然に防ぐことができる。
【0084】
また、パスワードの入力ミスが発生したときの報知情報の報知先を入力ミスの回数(間違い回数のカウント値)に応じて変えることができるので、たとえば、入力ミスの回数が多い場合(不正アクセスの可能性が高い場合)には画像形成装置100の管理ユーザーに報知情報を報知する、といったことが行える。これにより、不正アクセスの可能性が高い場合、速やかに、その旨を画像形成装置100の管理ユーザーに報知することができる。
【0085】
なお、入力パスワードが正しいと制御部4が判断したとき(画像形成装置100へのログインに成功したとき)、報知処理と同じような処理(以下、成功時報知処理と称する)が制御部4により実行されてもよい。
【0086】
具体的には、制御部4は、入力パスワードが正しいと判断したとき、間違い回数のカウント値を前回リセットしてから入力パスワードが正しいと今回判断するまでの期間である監視期間内に入力パスワードが間違っていると判断していれば、成功時報知処理を実行する。制御部4により成功時報知処理が実行された場合、所定情報が外部に報知される。なお、制御部4による成功時報知処理の実行を許可するか否かはユーザーが任意に選択することができる。
【0087】
特に限定されないが、制御部4は、監視期間内にカウントした間違い回数のカウント値を示す情報、監視期間内に入力パスワードが間違っていると判断したときの時刻を示す情報、および、監視期間内に入力パスワードが間違っていると判断したときにログイン画面310に入力されていた入力ユーザーIDを示す情報、のうち少なくとも1つを所定情報に含める。また、制御部4は、通信部6を介して、入力ユーザーIDのアドレスに所定情報を送信する。あるいは、入力ユーザーIDのアドレスとは異なるアドレス(たとえば、画像形成装置100の管理ユーザーにより使用される外部機器200のアドレス)に所定情報が送信されてもよい。
【0088】
<パスワード入力のミス防止>
制御部4は、入力パスワードが間違っていると判断したとき、それ以降のログイン画面310への文字の入力受付時(パスワードの再入力の受付時)に、パスワードの入力ミスを防止するための入力ミス防止処理を操作パネル3に行わせる。言い換えると、ログイン画面310に対してユーザーが間違ったパスワードを入力すると、入力ミス防止機能が自動的に有効になる(操作パネル3が入力ミス防止処理を行う)。なお、入力ミス防止機能が有効になっている状態で、ログイン画面310に対してユーザーが正しいパスワードを入力すると、入力ミス防止機能が自動的に無効になる。
【0089】
制御部4は、入力パスワードが間違っていると判断したことによって操作パネル3にパスワードの再入力の受け付けを行わせるとき、第1防止処理、第2防止処理、第3防止処理および第4防止処理のうち少なくとも1つの処理を入力ミス防止処理として操作パネル3に行わせる。第1〜第4防止処理の全てが行われてもよい。
【0090】
操作パネル3は、第1防止処理として、文字入力キーCKの入力間隔(時間間隔)を変更する処理を行う。たとえば、図7の上図に示すように、デフォルトでは、先行文字の入力が完了した完了時点から次文字の入力が可能になる入力可能時点までの時間T1は予め定められた基準時間に設定される。そして、操作パネル3が第1防止処理を行う構成の場合、ユーザーがログイン画面310に間違ったパスワードを入力すると、図7の下図に示すように、完了時点から入力可能時点までの時間が時間T1(基準時間)よりも長い時間T2になる。これにより、或る文字入力キーCKに対して意図せずダブルタッチ操作(同一箇所を素早く2回タッチする操作)を行っても、2回目のタッチ操作は無効となり、当該文字入力キーCKに対応する文字が続けて入力されることはない。
【0091】
また、操作パネル3は、第2防止処理として、複数の文字入力キーCKの各キー間隔(距離的な間隔)を変更する処理を行う。たとえば、図8の上図に示すように、デフォルトでは、互いに隣接する一方の文字入力キーCK1および他方の文字入力キーCK2の間隔D1は予め定められた基準間隔に設定される。そして、操作パネル3が第2防止処理を行う構成の場合、ユーザーがログイン画面310に間違ったパスワードを入力すると、図8の下図に示すように、文字入力キーCK1と文字入力キーCK2との間隔が間隔D1(基準間隔)よりも大きい間隔D2になる。図示しないが、横方向だけでなく、縦方向の間隔も大きくなる。これにより、文字入力キーCK1およびCK2に対して同時にタッチ操作が行われるのを抑制することができる。
【0092】
また、操作パネル3は、第3防止処理として、メッセージを表示する処理を行う。たとえば、操作パネル3は、入力パスワードが間違っていると制御部4が判断したとき(入力パスワードの再入力を受け付けるとき)、図9に示すような警告メッセージMGをログイン画面310にポップアップ表示する。パスワードの確認をユーザーに促すメッセージが警告メッセージMGとされる。これにより、パスワードの再入力の受付時に、パスワードの確認をユーザーに行わせることができる。
【0093】
また、操作パネル3は、第4防止処理として、ログイン画面310の背景画像(たとえば、背景の色や模様)を変更する処理を行う。たとえば、制御部4は、ログイン画面310の入力欄312に文字が1文字入力されるごとに、当該入力された入力文字が正しいか否かを判断する。そして、入力文字が正しいと判断した場合、制御部4は、ログイン画面310の背景画像を現在の画像から予め定められた正解画像に切り替える処理を第4防止処理として操作パネル3に行わせる。一方で、入力文字が間違っていると判断した場合、制御部4は、ログイン画面310の背景画像を現在の画像から正解画像とは異なる画像(不正解画像)に切り替える処理を第4防止処理として操作パネル3に行わせる。これにより、パスワードを入力しようとしているユーザーが正規ユーザーであれば、入力文字が間違っているか否かを当該ユーザーに認識させることができる。第3者が文字を入力した場合にもログイン画面310の背景画像が切り替わるが、第3者は入力文字が間違っているか否かを判断することができない。
【0094】
なお、正解画像の画像データはユーザーにより予め登録される。画像形成装置100に事前登録された登録ユーザーIDが複数存在する場合、登録ユーザーIDごとに正解画像の画像データが登録される。不正解画像の画像データは複数存在し、メーカーにより予め登録される。そして、制御部4は、入力文字が正しいと判断したとき、ログイン画面310に現在入力されている入力ユーザーIDに対応する正解画像を認識し、当該認識した正解画像を操作パネル3に表示させる。また、制御部4は、入力文字が間違っていると判断したとき、複数の不正解画像のいずれかを選択し、当該選択した不正解画像を操作パネル3に表示させる。
【0095】
操作パネル3が第1〜第4防止処理の少なくとも1つを行う構成では、ユーザーがログイン画面310に間違ったパスワードを入力した後(画像形成装置100へのログインに1回失敗した後)、ユーザーがログイン画面310にパスワードを再入力するとき、操作パネル3により入力ミス防止処理が行われるので、ユーザーがパスワードの入力を何回もミスするのを抑制することができる。
【0096】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0097】
2 印刷部
3 操作パネル
4 制御部
5 記憶部
6 通信部
100 画像形成装置
310 ログイン画面(入力画面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9