特許第6777033号(P6777033)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6777033
(24)【登録日】2020年10月12日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】エレベータ乗場ドアの解錠装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/16 20060101AFI20201019BHJP
【FI】
   B66B13/16 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-137614(P2017-137614)
(22)【出願日】2017年7月14日
(65)【公開番号】特開2019-18951(P2019-18951A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2019年4月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207826
【弁理士】
【氏名又は名称】尾畑 誠治
(72)【発明者】
【氏名】染田 雅弘
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−269895(JP,A)
【文献】 特開2014−156336(JP,A)
【文献】 特開2000−026051(JP,A)
【文献】 特開昭63−031987(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0116383(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗場側に設けられた固定手段と、乗場ドア側に設けられ、前記固定手段と係合することにより乗場ドアの開放を阻止する係合手段と、かごドア側に設けられ、前記固定手段と係合手段との係合を外すかご側係合装置と、乗場側からの操作によって前記固定手段と係合手段との係合を外す解錠手段とを備えたものにおいて、
前記係合手段は第1係合子と、前記第1係合子に対して回動可能に設けられた第2係合子とを有しており、
前記固定手段は前記第2係合子と係合する固定片と、前記第1係合子と係合する補助固定片を有しており、
前記解錠手段の操作によって前記第2係合子と前記固定片との係合が外される構成であり、
前記第2係合子と前記固定片との係合が外されて、前記乗場ドアが所定距離開くことにより、前記第1係合子と前記補助固定片が係合する構成であり、
前記第1係合子と前記補助固定片の係合が外れる状態になると、前記第2係合子と前記固定片の係合も外れる状態になる構成であり、
前記係合手段にはストッパが設けられており、このストッパにより、前記第2係合子の回動を制限する構成であることを特徴とするエレベータ乗場ドアの解錠装置。
【請求項2】
前記係合手段には補助解錠レバーが設けられており、この補助解錠レバーを操作することにより、前記第1係合子と前記補助固定片との係合が外れる構成であることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ乗場ドアの解錠装置。
【請求項3】
前記かご側係合装置は、前記かごドアが開かれるときに、前記第1係合子と前記補助固定片との係合が外れるように動作する構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレベータ乗場ドアの解錠装置。
【請求項4】
乗場側に設けられた固定手段と、乗場ドア側に設けられ、前記固定手段と係合することにより乗場ドアの開放を阻止する係合手段と、かごドア側に設けられ、前記固定手段と係合手段との係合を外すかご側係合装置と、乗場側からの操作によって前記固定手段と係合手段との係合を外す解錠手段とを備えたものにおいて、
前記係合手段は第1係合子と、前記第1係合子に対して回動可能に設けられた第2係合子とを有しており、
前記固定手段は前記第2係合子と係合する固定片と、前記第1係合子と係合する補助固定片を有しており、
前記解錠手段の操作によって前記第2係合子と前記固定片との係合が外される構成であり、
前記第2係合子と前記固定片との係合が外されて、前記乗場ドアが所定距離開くことにより、前記第1係合子と前記補助固定片が係合する構成であり、
前記第1係合子と前記補助固定片の係合が外れる状態になると、前記第2係合子と前記固定片の係合も外れる状態になる構成であり、
前記係合手段には補助解錠レバーが設けられており、この補助解錠レバーを操作することにより、前記第1係合子と前記補助固定片との係合が外れる構成であり、
前記係合手段は前記乗場ドア側に枢着された作動体を有しており、
前記作動体には前記第1係合子とストッパが設けられるとともに、前記第2係合子が枢着されており、前記第2係合子は前記ストッパによって一側にのみ回動可能であり、更に前記作動体には前記補助解錠レバーが設けられ、
前記第2係合子には前記解錠手段によって操作される解錠レバーが設けられたことを特徴とするエレベータ乗場ドアの解錠装置。
【請求項5】
乗場側に設けられた固定手段と、乗場ドア側に設けられ、前記固定手段と係合することにより乗場ドアの開放を阻止する係合手段と、かごドア側に設けられ、前記固定手段と係合手段との係合を外すかご側係合装置と、乗場側からの操作によって前記固定手段と係合手段との係合を外す解錠手段とを備えたものにおいて、
前記係合手段は第1係合子と、前記第1係合子に対して回動可能に設けられた第2係合子とを有しており、
前記固定手段は前記第2係合子と係合する固定片と、前記第1係合子と係合する補助固定片を有しており、
前記解錠手段の操作によって前記第2係合子と前記固定片との係合が外される構成であり、
前記第2係合子と前記固定片との係合が外されて、前記乗場ドアが所定距離開くことにより、前記第1係合子と前記補助固定片が係合する構成であり、
前記第1係合子と前記補助固定片の係合が外れる状態になると、前記第2係合子と前記固定片の係合も外れる状態になる構成であり、
前記かご側係合装置は、前記かごドアが開かれるときに、前記第1係合子と前記補助固定片との係合が外れるように動作する構成であり、
前記係合手段は前記乗場ドア側に枢着された作動体を有しており、
前記作動体には前記第1係合子とストッパが設けられるとともに、前記第2係合子が枢着されており、前記第2係合子は前記ストッパによって一側にのみ回動可能であり、更に前記作動体には前記補助解錠レバーが設けられ、
前記第2係合子には前記解錠手段によって操作される解錠レバーが設けられたことを特徴とするエレベータ乗場ドアの解錠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保守点検などで乗場ドアを乗場側から解錠するときに、乗場ドアを一時的に所定の距離以上開かないようにする装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、保守点検やかご内乗客の救助などで、エレベータの乗場ドアを乗場側から開く場合、エレベータに不慣れな管理人などが乗場ドアを開くと、当該乗場にかごがない場合には、乗場ドアが開いたときに昇降路に転落してしまう可能性があった。
この従来の乗場ドアの構造の一例を図7図10により説明する。図7は中央両開きの乗場ドア装置を昇降路側から見た正面図、図8図9図10は乗場ドア解錠装置の動作説明図である。
【0003】
図において、1は乗場の壁2に固定されたハンガーケース、3はハンガーケース1に固定されたレールである。4は一対の乗場ドア、5は乗場ドア4に固定されたドアハンガー、6はドアハンガー5に枢着されてレール3上を転動するハンガーローラである。
10はドアハンガー6の下部にボルト11によって固定された支持体、12は縦方向に伸びた縦片13と横方向に伸びた横片14を有するL字状の作動体であり、中間部が軸15によって支持体10に枢着されている。
【0004】
20はボルト21によってレール3に固定されたスイッチボックスで、下部には固定片22を有し、内部にはスイッチ23及びスイッチ23の接点24を備えている。
横片14の先端には、乗場ドア4の閉鎖時に固定片22と係合して乗場ドア4を施錠する鉤16が設けられ、更にその先には接点24を短絡するためのコンタクト17が設けられている。
【0005】
30は縦片13に枢着された解錠ローラ、31は軸15に設けられた作動ローラである。32は作動体12に設けられた折り曲げ部12aと、支持体10に設けられた折り曲げ部10aの間に設けられた圧縮ばねであり、作動体12を反時計方向に付勢している。
33は横片14に設けられた解錠レバーであり、下端部は断面L字状に曲げられて横部33aが形成され、乗場ドア4に空けられた鍵穴34の近くにまで伸びている。保守時などに解錠キー35を鍵穴34に挿入して、解錠キー35を回すと、図9に示すように解錠キー35が解錠レバー33の横部33aに当たって、解錠レバー33を操作できる配置になっている。
【0006】
40は図示省略したエレベータかごのドアに配置された固定係合板、41は同じく可動係合板であり、リンク機構やカム機構等による移動や、かごドアの開閉に伴う移動によって左右に動く。
【0007】
次に本装置の動作について説明する。図7図8は乗場ドア4が閉鎖し施錠されている状態を示している。
通常の動作の場合、エレベータかごが乗場に着床し、かごドアが乗場ドア4に対面すると、かごドアの固定係合板40及び可動係合板41は二点鎖線で示す位置にくる。
【0008】
かごドアが開き始めると、固定係合板40は図8の右方(戸開方向)に移動し解錠ローラ30に接触する。更に、固定係合板40が右方に移動すると、解錠ローラ30も右方に移動し、作動体12は軸15を中心に時計方向に回転して、図9に示す位置になる。これによって、鉤16と固定片22との係合が外れるとともに、コンタクト17が接点24から離れて、スイッチ23がオフになり、エレベータの昇降運転が阻止される。
【0009】
また、図示省略したかごドアのリンク機構やカム機構等によって、可動係合板41が相対的に左方に移動して、作動ローラ31に接触する。これによって、固定係合板40と可動係合板41によって、解錠ローラ30と作動ローラ31を挟み、かごドアと乗場ドア4は同時に開く(図10)。閉じるときは逆の動作になる。
【0010】
次に、解錠キー35を使って、乗場から乗場ドア4を開ける場合について、図9により説明する。
乗場側(図9の向こう側)から解錠キー35を鍵穴34に挿入して、図9の反時計方向に回転する。これによって、解錠レバー33の横部33aが解錠キー35に押されて、解錠レバー33の下方が左方に動き、作動体12が軸15を中心に時計方向に回転する。
【0011】
これによって、既に説明したのと同様に、鉤16と固定片22との係合が外れるとともに、コンタクト17が接点24から離れて、スイッチ23がオフになり、エレベータの昇降運転が阻止される。また、当該乗場にかごがある場合には、固定係合板40と可動係合板41によって、解錠ローラ30と作動ローラ31を挟み、かごドアと乗場ドア4は同時に開く(図10)。
【0012】
このとき、エレベータに不慣れな管理人などが乗場ドア4を開くと、もし当該乗場にかごがない場合には、乗場ドア4が開いたときにできる空間42から、昇降路内に転落してしまう可能性がある。
そこで、このような事故を防止するために、乗場側から乗場ドア4を開く場合には、戸開の途中で一旦乗場ドア4を止める装置が考えられている。
【0013】
例えば、特許文献1に記載されたものは、乗場ドアの表面と側面の2箇所に鍵穴を設けた構成にしている。まず表面の鍵穴から解錠キーを挿入して操作し、乗場ドアを所定の距離だけ開けると、乗場ドアはその位置で一旦停止する。次に、側面の鍵穴に解錠キーを挿入して操作し、乗場ドアを完全に開けるものである。
この装置であれば、所定の距離だけ開くと乗場ドアは一旦停止するため、当該乗場にかごがあるかどうかを確認することができる。そのため、エレベータに不慣れな管理人などが乗場ドアを開く場合でも、誤って昇降路に転落する事故を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平9−175759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
前記装置の場合、乗場ドアの表面と側面の2箇所に鍵穴を設ける必要があるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、乗場側に設けられた固定手段と、乗場ドア側に設けられ、前記固定手段と係合することにより乗場ドアの開放を阻止する係合手段と、かごドア側に設けられ、前記固定手段と係合手段との係合を外すかご側係合装置と、乗場側からの操作によって前記固定手段と係合手段との係合を外す解錠手段とを備えたものにおいて、前記係合手段は第1係合子と、前記第1係合子に対して回動可能に設けられた第2係合子とを有しており、前記固定手段は前記第2係合子と係合する固定片と、前記第1係合子と係合する補助固定片を有しており、前記解錠手段の操作によって前記第2係合子と前記固定片との係合が外される構成であり、前記第2係合子と前記固定片との係合が外されて、前記乗場ドアが所定距離開くことにより、前記第1係合子と前記補助固定片が係合する構成であり、前記第1係合子と前記補助固定片の係合が外れる状態になると、前記第2係合子と前記固定片の係合も外れる状態になる構成であることを特徴としたものである。
【0017】
また本発明は、前記係合手段にはストッパが設けられており、このストッパにより、前記第2係合子の回動を制限する構成であることを特徴とするものである。
更に本発明は、前記係合手段には補助解錠レバーが設けられており、この補助解錠レバーを操作することにより、前記第1係合子と前記補助固定片との係合が外れる構成であることを特徴とするものである。
【0018】
また本発明は、前記かご側係合装置は、前記かごドアが開かれるときに、前記第1係合子と前記補助固定片との係合が外れるように動作する構成であることを特徴とするものである。
更に本発明は、前記係合手段は前記乗場ドア側に枢着された作動体を有しており、前記作動体には前記第1係合子とストッパが設けられるとともに、前記第2係合子が枢着されており、前記第2係合子は前記ストッパによって一側にのみ回動可能であり、更に前記作動体には前記補助解錠レバーが設けられ、前記第2係合子には前記解錠手段によって操作される解錠レバーが設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、保守点検などでエレベータの乗場ドアを乗場側から解錠するときに、作業者が昇降路内へ転落することを防止するための装置を、比較的シンプルな構成で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態による中央両開きの乗場ドア装置を昇降路側から見た正面図である。
図2】本発明の実施の形態による乗場ドア解錠装置の動作説明図である。
図3】本発明の実施の形態による乗場ドア解錠装置の動作説明図である。
図4】本発明の実施の形態による乗場ドア解錠装置の動作説明図である。
図5】本発明の他の実施の形態による乗場ドア解錠装置の平面図及び正面図である。
図6】本発明の他の実施の形態による乗場ドア解錠装置の動作説明図であり、図5の要部断面図に相当する図である。
図7】従来の中央両開きの乗場ドア装置を昇降路側から見た正面図である。
図8】従来の乗場ドア解錠装置の動作説明図である。
図9】従来の乗場ドア解錠装置の動作説明図である。
図10】従来の乗場ドア解錠装置の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態を図1図4により説明する。図1は中央両開きの乗場ドア装置を昇降路側から見た正面図、図2図3図4は乗場ドア解錠装置の動作説明図である。各図において、図7図10と同一符号は同一のものを示している。
【0022】
図において、50は本実施の形態の作動体であり、前記の作動体12と同様に軸15によって支持体10に枢着されている。前記の従来技術と異なり、作動体50の横片51の先端には補助鉤52が形成されるとともに、ストッパ53が設けられている。
【0023】
54はロック体であり、従来の横片14と同様に鉤16、コンタクト17、及び解錠レバー33を備えている。ロック体54の一端は軸55によって横片51に枢着され、中間部はストッパ53で支持されている。
したがって、ロック体54は、ストッパ53よりも時計方向側には回転可能であるが、反時計方向側には回転不可能な構成になっている。56は作動体50に固定された補助解錠レバー、60はスイッチボックス20に固定された補助固定片である。
【0024】
次に本実施の形態の動作について説明する。図1図2は乗場ドア4が閉鎖し施錠されている状態を示している。
通常の動作の場合、エレベータかごが乗場に着床し、かごドアが乗場ドア4に対面すると、かごドアの固定係合板40及び可動係合板41は二点鎖線で示す位置にくる。
【0025】
かごドアが開き始めると、固定係合板40は図2の右方(戸開方向)に移動し解錠ローラ30に接触する。更に、固定係合板40が右方に移動すると、解錠ローラ30も右方に移動し、作動体50は軸15を中心に時計方向に回転する。また、ストッパ53に押されて、ロック体54も作動体50と一緒に時計方向に回転する。
これにより、鉤16は固定片22に係合しない位置に、また補助鉤52は補助固定片60に係合しない位置にくる。更にコンタクト17が接点24から離れて、スイッチ23がオフになり、エレベータの昇降運転が阻止される。
【0026】
また、図示省略したかごドアのリンク機構やカム機構等によって、可動係合板41が相対的に左方に移動して、作動ローラ31に接触する。これによって、固定係合板40と可動係合板41によって、解錠ローラ30と作動ローラ31を挟み、かごドアと乗場ドア4は同時に開く。閉じるときは逆の動作になる。
【0027】
次に、解錠キー35を使って、乗場から乗場ドア4を開ける場合について、図3により説明する。
乗場側(図3の向こう側)から解錠キー35を鍵穴34に挿入して、図3の反時計方向に回転する。これによって、解錠レバー33の横部33aが解錠キー35に押されて、解錠レバー33の下方が左方に動き、ロック体54が軸55を中心にして時計方向に回転する。
【0028】
これによって、鉤16と固定片22との係合が外れるとともに、コンタクト17が接点24から離れて、スイッチ23がオフになり、エレベータの昇降運転が阻止される。これにより乗場ドア4は戸開方向に移動可能になる。
【0029】
しかし、作動体50は元の位置のままであるから、図4に示すように、乗場ドア4を開くと、補助鉤52が補助固定片60に係合して停止する。つまり、乗場ドア4は所定の距離だけ開くと一旦停止する。
ここで、乗場ドア4が開いたときにできる空間42から、手を入れて、補助解錠レバー56を図4の左方に引くと、作動体50は軸15を中心にして時計方向に回転する。これによって、補助鉤52が上昇して、補助固定片60との係合が外れ、乗場ドア4は全開可能となる。
また、乗場ドア4を全開状態から全閉状態にするには、単に乗場ドア4を閉じるだけでよい。
【0030】
このように、戸開時には、所定の距離だけ開くと乗場ドア4は一旦停止するため、エレベータに不慣れな管理人などが乗場ドア4を開く場合でも、誤って昇降路に転落する事故を防止することができる。
【0031】
上記のように、本実施の形態は、スイッチボックス20への補助固定片60の追加と作動体50の構造変更だけで実現することができるため、従来のような複雑な構造にする必要がない。そのため、既設のエレベータにも容易に実施することができる。
【0032】
次に本発明の他の実施の形態について、図5図6により説明する。図5(a)は乗場ドア解錠装置の平面図、図5(b)は同じく正面図、図6は乗場ドア解錠装置の動作説明図であり、図5の要部断面図に相当する図である。各図において、図1図4と同一符号は同一のものを示している。
【0033】
図において、70は横片51に設けられた補助解錠レバーであり、下端部は断面L字状に曲げられて横部70aが形成され、鍵穴34の近くにまで伸びている。
71は横片51に設けられたストッパであり、前記ストッパ53と同等の機能を果たすものである。従って、ロック体54は、図5(b)において、ストッパ71よりも時計方向側には回転可能であるが、反時計方向側には回転不可能な構成になっている。
【0034】
通常の動作の場合、即ち、かごドアの固定係合板40及び可動係合板41によって戸開動作を行なう場合は前記の実施の形態と同じである。
【0035】
次に、解錠キー35を使って、乗場から乗場ドア4を開ける場合について説明する。
乗場側(図6の左方)から解錠キー35を鍵穴34に挿入して、図5(b)の反時計方向に回転する。これによって、解錠レバー33の横部33aが解錠キー35に押されて、解錠レバー33の下方が図5(b)の左方に動き、ロック体54が軸55を中心にして時計方向に回転する。
【0036】
これによって、鉤16と固定片22との係合が外れるとともに、コンタクト17が接点24から離れて、スイッチ23がオフになり、エレベータの昇降運転が阻止される。これにより乗場ドア4は戸開方向に移動可能になる。
しかし前記実施の形態と同じく、作動体50は元の位置のままであるから、乗場ドア4を開くと、補助鉤52が補助固定片60に係合して停止する。つまり、乗場ドア4は所定の距離だけ開くと一旦停止する。
【0037】
ここで、図6の二点鎖線で示すように、解錠キー35で補助解錠レバー70が操作可能になる位置まで、解錠キー35を押し込み、解錠キー35を図5(b)の反時計方向に回転する。これによって、補助解錠レバー70の横部70aが解錠キー35に押されて、補助解錠レバー70の下方が図5(b)の左方に動き、作動体50は軸15を中心にして時計方向に回転する。これによって、補助鉤52が上昇して、補助固定片60との係合が外れ、乗場ドア4は全開可能となる。
また、乗場ドア4を全開状態から全閉状態にするには、単に乗場ドア4を閉じるだけでよい。
【0038】
本実施の形態においても、戸開時には、所定の距離だけ開くと乗場ドア4は一旦停止するため、エレベータに不慣れな管理人などが乗場ドア4を開く場合でも、誤って昇降路に転落する事故を防止することができる。
また、本実施の形態は、補助解錠レバー70を鍵穴35の近くに配置するとともに、解錠レバー33の横部33aと補助解錠レバー70の横部70aが干渉しない位置に配置しているため、解錠キー35によって、解錠レバー33と補助解錠レバー70の両方を操作することができる。
【0039】
前記の実施の形態においては、スイッチボックス20はレール3に固定しているが、これに限ることはなく、乗場側、即ちエレベータが設置される建物や塔などの固定側に固定すればよい。
また、図1図4の実施の形態において、補助解錠レバー56の、作動体50への取付位置は、図1の位置に限ることはなく、図5のように、横片51の先端側に設ければ、空間42から手を入れて操作する場合に操作しやすくなる。更に、補助解錠レバー56の形状も、手で操作しやすい形状であればよい。
【0040】
また、ドアは中央両開きドアでも、片側開ドアでも何れのタイプのドアであっても本発明を適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0041】
4 乗場ドア
10 支持体
16 鉤
17 コンタクト
20 スイッチボックス
22 固定片
24 接点
33 解錠レバー
34 鍵穴
35 解錠キー
40 固定係合板
41 可動係合板
50 作動体
52 補助鉤
53,71 ストッパ
54 ロック体
56,70 補助解錠レバー
60 補助固定片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10