特許第6777049号(P6777049)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6777049-画像形成装置 図000002
  • 特許6777049-画像形成装置 図000003
  • 特許6777049-画像形成装置 図000004
  • 特許6777049-画像形成装置 図000005
  • 特許6777049-画像形成装置 図000006
  • 特許6777049-画像形成装置 図000007
  • 特許6777049-画像形成装置 図000008
  • 特許6777049-画像形成装置 図000009
  • 特許6777049-画像形成装置 図000010
  • 特許6777049-画像形成装置 図000011
  • 特許6777049-画像形成装置 図000012
  • 特許6777049-画像形成装置 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6777049
(24)【登録日】2020年10月12日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20201019BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20201019BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20201019BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20201019BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   B41J29/38 201
   B41J29/38 203
   B41J29/38 204
   B41J29/38 301
   B41J29/38 801
   B41J29/00 Z
   B41J29/42 F
   G03G21/00 370
   H04N1/00 C
   G03G21/00 386
【請求項の数】13
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-181097(P2017-181097)
(22)【出願日】2017年9月21日
(65)【公開番号】特開2019-55526(P2019-55526A)
(43)【公開日】2019年4月11日
【審査請求日】2019年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白石 貴紀
【審査官】 上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−279487(JP,A)
【文献】 特開2015−166911(JP,A)
【文献】 特開2011−173348(JP,A)
【文献】 特開2015−215732(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0097395(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 29/00
B41J 29/42
G03G 21/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用データが入力されるデータ入力部と、
前記印刷用データに基づき印刷を行い、印刷物を排出トレイに排出する印刷部と、
使用者を認証するための認証用情報を取得する取得部と、
前記排出トレイに手を伸ばす第1動作がなされたこと、前記排出トレイから手を離す第2動作がなされたこと、及び、前記排出トレイ上に印刷物があるか否かを判定するための検知部と、
報知を行う報知部と、
前記認証用情報に基づき使用者を認証し、
通常印刷用データが前記データ入力部に入力された場合、前記通常印刷用データに基づく印刷ジョブである通常印刷ジョブを前記印刷部に開始させ、
秘密印刷用データが前記データ入力部に入力された場合、前記秘密印刷用データに基づく印刷ジョブである秘密印刷ジョブを直ちに前記印刷部に開始させず、
認証されている使用者である被認証者が前記秘密印刷用データを入力した使用者であるとき、前記検知部の出力に基づき前記排出トレイに印刷物があるか否かを確認し、
前記排出トレイに印刷物があるとき、前記検知部の出力に基づき、前記排出トレイの全ての印刷物が前記排出トレイから移動されたことを認識してから、前記秘密印刷ジョブを前記印刷部に開始させる制御部と、を含み、
前記制御部は、前記秘密印刷ジョブの開始後、印刷物を前記排出トレイに戻すべきことを知らせるメッセージを前記報知部に報知させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記秘密印刷ジョブの開始前に前記排出トレイに印刷物があるとき、前記制御部は、前記排出トレイに残る全ての印刷物の移動が必要であることを知らせるメッセージを前記報知部に報知させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
印刷物を前記排出トレイに戻すべきことを知らせるメッセージを前記報知部に報知させるとき、前記制御部は、印刷物の移動場所を前記報知部に報知させることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
データを記憶する記憶部を含み、
前記制御部は、前記秘密印刷ジョブの開始時の前記被認証者を記録する秘密印刷実行者データを前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
印刷用データが入力されるデータ入力部と、
前記印刷用データに基づき印刷を行い、印刷物を排出トレイに排出する印刷部と、
使用者を認証するための認証用情報を取得する取得部と、
前記排出トレイに手を伸ばす第1動作がなされたこと、前記排出トレイから手を離す第2動作がなされたこと、及び、前記排出トレイ上に印刷物があるか否かを判定するための検知部と、
報知を行う報知部と、
前記認証用情報に基づき使用者を認証し、
通常印刷用データが前記データ入力部に入力された場合、前記通常印刷用データに基づく印刷ジョブである通常印刷ジョブを前記印刷部に開始させ、
秘密印刷用データが前記データ入力部に入力された場合、前記秘密印刷用データに基づく印刷ジョブである秘密印刷ジョブを直ちに前記印刷部に開始させず、
認証されている使用者である被認証者が前記秘密印刷用データを入力した使用者であるとき、前記検知部の出力に基づき前記排出トレイに印刷物があるか否かを確認し、
前記排出トレイに印刷物があるとき、前記検知部の出力に基づき、前記排出トレイの全ての印刷物が前記排出トレイから移動されたことを認識してから、前記秘密印刷ジョブを前記印刷部に開始させる制御部と、を含み、
前記秘密印刷ジョブの完了後、
前記制御部は、
前記検知部の出力に基づき印刷物が前記排出トレイに戻されたか否かを判定し、
印刷物が前記排出トレイに戻されないとき、他人の印刷物の持ち去りの可能性を警告する持ち去り警告を前記報知部に報知させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
印刷用データが入力されるデータ入力部と、
前記印刷用データに基づき印刷を行い、印刷物を排出トレイに排出する印刷部と、
使用者を認証するための認証用情報を取得する取得部と、
前記排出トレイに手を伸ばす第1動作がなされたこと、前記排出トレイから手を離す第2動作がなされたこと、及び、前記排出トレイ上に印刷物があるか否かを判定するための検知部と、
報知を行う報知部と、
前記認証用情報に基づき使用者を認証し、
通常印刷用データが前記データ入力部に入力された場合、前記通常印刷用データに基づく印刷ジョブである通常印刷ジョブを前記印刷部に開始させ、
秘密印刷用データが前記データ入力部に入力された場合、前記秘密印刷用データに基づく印刷ジョブである秘密印刷ジョブを直ちに前記印刷部に開始させず、
認証されている使用者である被認証者が前記秘密印刷用データを入力した使用者であるとき、前記検知部の出力に基づき前記排出トレイに印刷物があるか否かを確認し、
前記排出トレイに印刷物があるとき、前記検知部の出力に基づき、前記排出トレイの全ての印刷物が前記排出トレイから移動されたことを認識してから、前記秘密印刷ジョブを前記印刷部に開始させる制御部と、を含み、
複数の前記通常印刷ジョブの印刷物が、前記排出トレイで混載されているとき、
前記制御部は、
前記認証用情報に基づき、画像形成装置に近づいた者を認証し、
前記第1動作と前記第2動作がなされたと判定したとき、前記第2動作後、前記排出トレイから全ての前記通常印刷ジョブの印刷物が取り出されたか否かを判定し、
全ての前記通常印刷ジョブの印刷物が前記排出トレイから取り出されたと判定したとき、他人の印刷物の持ち去りの可能性を警告する持ち去り警告の報知を前記報知部に行わせることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
全ての前記通常印刷ジョブの印刷物が前記排出トレイから取り出されたとき、
前記制御部は、前記通常印刷ジョブの印刷物が前記排出トレイに戻されたか否かを判定し、
前記通常印刷ジョブの印刷物が前記排出トレイに戻されたと判定できるまで、前記持ち去り警告の報知を前記報知部に継続させることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
全ての前記通常印刷ジョブの印刷物が前記排出トレイから取り出されたとき、
前記制御部は、前記排出トレイからの印刷物の取り出しから予め定められた待ち時間が経過するまで、前記持ち去り警告を前記報知部に報知させず、前記待ち時間が経過してから持ち去り警告の報知を報知部に行わせることを特徴とする請求項又はに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記排出トレイにある前記通常印刷ジョブの印刷物の枚数である残り枚数を判定し、
前記残り枚数が多いほど、前記待ち時間を長くすることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
複数の前記通常印刷ジョブの印刷物が、前記排出トレイで混載されているとき、
前記制御部は、
前記第1動作から前記第2動作までの取り出し時間を測り、
前記第2動作後、前記排出トレイから全ての前記通常印刷ジョブの印刷物が取り出されておらず、かつ、前記被認証者の前記通常印刷ジョブが直近の前記通常印刷ジョブの場合、前記取り出し時間が予め定められた基準時間未満のとき前記持ち去り警告を前記報知部に報知させることを特徴とする請求項乃至の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記排出トレイに積載された用紙の合計重量を量るための重量センサーを含み、
複数の前記通常印刷ジョブの印刷物が、前記排出トレイで混載されているとき、
前記制御部は、
前記重量センサーの出力に基づき、前記第1動作時の重さである第1重量と前記第2動作後の重さである第2重量を認識し、
前記第2動作後、前記排出トレイから全ての前記通常印刷ジョブの印刷物が取り出されておらず、かつ、前記被認証者の前記通常印刷ジョブが、直近の前記通常印刷ジョブではないとき、前記被認証者の前記通常印刷ジョブの印刷枚数に基づき推定減少量を定め、
前記第2重量が前記第1重量よりも小さく、かつ、前記第1重量から前記第2重量を減じた値と前記推定減少量の差の絶対値が予め定められた許容値を超えているとき、前記持ち去り警告を前記報知部に報知させることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
印刷用データが入力されるデータ入力部と、
前記印刷用データに基づき印刷を行い、印刷物を排出トレイに排出する印刷部と、
使用者を認証するための認証用情報を取得する取得部と、
前記排出トレイに手を伸ばす第1動作がなされたこと、前記排出トレイから手を離す第2動作がなされたこと、及び、前記排出トレイ上に印刷物があるか否かを判定するための検知部と、
報知を行う報知部と、
前記認証用情報に基づき使用者を認証し、
通常印刷用データが前記データ入力部に入力された場合、前記通常印刷用データに基づく印刷ジョブである通常印刷ジョブを前記印刷部に開始させ、
秘密印刷用データが前記データ入力部に入力された場合、前記秘密印刷用データに基づく印刷ジョブである秘密印刷ジョブを直ちに前記印刷部に開始させず、
認証されている使用者である被認証者が前記秘密印刷用データを入力した使用者であるとき、前記検知部の出力に基づき前記排出トレイに印刷物があるか否かを確認し、
前記排出トレイに印刷物があるとき、前記検知部の出力に基づき、前記排出トレイの全ての印刷物が前記排出トレイから移動されたことを認識してから、前記秘密印刷ジョブを前記印刷部に開始させる制御部と、を含み、
前記検知部の出力に基づき、前記被認証者の前記通常印刷ジョブの実行中に前記排出トレイへの手の差し入れを認識したとき、
前記制御部は、前記排出トレイから手を離さないことの警告を前記報知部に報知させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
データを記憶する記憶部を含み、
前記報知部はスピーカーを含み、
前記制御部は、
使用者ごとの前記通常印刷ジョブ及び前記秘密印刷ジョブの累計実行回数と、前記持ち去り警告の報知の累計回数を示す累計回数データを前記記憶部に記憶させ、
前記累計回数データに基づき、前記被認証者の警告頻度を求め、前記警告頻度が大きいほど、前記持ち去り警告の報知時の前記スピーカーの音量を大きくすることを特徴とする請求項乃至11の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者を認証し、他人の印刷物の持ち去りを防ぐ画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷物は画像形成装置の排出トレイに排出される。使用者は画像形成装置に自分の印刷物を取りに行く。画像形成装置は、複数人で共用されることがある。他人の印刷物を誤って持ち去ってしまう場合がある。また、悪意のある者が、印刷物を意図的に持ち去る可能性もゼロではない。特に、秘密保持文書の持ち去りを防ぐ必要がある。他人の印刷物取得を防ぐための技術の一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1には、印刷データに従って記録媒体上に画像を形成して印刷物を出力し、画像形成装置の所定範囲内に存在する人物の動きを撮影した画像を解析し、人物の動作を特定し、解析結果に応じた報知を行い、出力印刷物を収得する動作が検知された場合であって、当該動作を行なった人物が印刷物の印刷を指示したユーザーでない場合、所定の警告を行なう画像形成装置が記載されている。この構成により、印刷物の第三者取得や印刷物の報知を防ごうとする(特許文献1:請求項1、請求項4、段落[0009]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−215732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置では、秘密を保持すべき文書(秘密保持文書)を印刷することがある。秘密保持文書の印刷者に印刷された秘密保持文書を確実に取得させる必要がある。また、秘密保持文書の持ち去りを確実に防ぐべきという問題がある。
【0006】
また、画像形成装置の排出トレイには、印刷ジョブの結果(印刷物)が排出される。複数人の複数の印刷ジョブの印刷物が1つの排出トレイに積まれることがある(印刷物の混載)。排出トレイに複数の印刷物が混載されている場合、使用者は排出トレイ上の用紙を選別する。そして、使用者は自分の印刷物を取り出す。しかし、選別ミスにより、他人の印刷物を持ち去ってしまう場合がある。
【0007】
特許文献1に記載の画像形成装置は、近くの人のモーション(動作)を解析する。しかし、特許文献1には、秘密保持文書の印刷に関する記載はない。また、特許文献1記載の技術は、排出トレイが混載状態の場合の持ち去りには対応できないという問題がある。
【0008】
本発明は、排出トレイの印刷物の有無を確認し、秘密保持文書を第三者に取得させず、他人の印刷物の持ち去りを防ぐ。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、データ入力部、印刷部、取得部、検知部、報知部、制御部を含む。前記データ入力部は、印刷用データが入力される。前記印刷部は、前記印刷用データに基づき印刷を行う。前記印刷部は印刷物を排出トレイに排出する。前記取得部は、使用者を認証するための認証用情報を取得する。前記検知部は、前記排出トレイに手を伸ばす第1動作がなされたこと、前記排出トレイから手を離す第2動作がなされたこと、及び、前記排出トレイ上に印刷物があるか否かを判定するための部分である。前記報知部は報知を行う。前記制御部は、前記認証用情報に基づき使用者を認証する。前記制御部は、通常印刷用データが前記データ入力部に入力された場合、前記通常印刷用データに基づく印刷ジョブである通常印刷ジョブを前記印刷部に開始させる。前記制御部は、秘密印刷用データが前記データ入力部に入力された場合、前記秘密印刷用データに基づく印刷ジョブである秘密印刷ジョブを直ちに前記印刷部に開始させない。前記制御部は、認証されている使用者である被認証者が前記秘密印刷用データを入力した使用者であるとき、前記検知部の出力に基づき前記排出トレイに印刷物があるか否かを確認する。前記制御部は、前記排出トレイに印刷物があるとき、前記検知部の出力に基づき、前記排出トレイの全ての印刷物が前記排出トレイから移動されたことを認識してから、前記秘密印刷ジョブを前記印刷部に開始させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、排出トレイの印刷物を移動させてから、秘密保持文書の印刷を開始することができる。秘密保持文書を第三者に取得させないようにすることができる。また、他人の印刷物の持ち去りを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る複合機の一例を示す図である。
図2】実施形態に係る複合機の一例を示す図である。
図3】実施形態に係る複合機の一例を示す図である。
図4】実施形態に係る印刷用データの送信の一例を示す図である。
図5】実施形態に係る秘密印刷ジョブ実行時の処理の一例を示す図である。
図6】実施形態に係る取り出し管理リストの一例を示す図である。
図7】実施形態に係る排出トレイからの通常印刷物の取り出し時の処理の流れの一例を示す図である。
図8】実施形態に係る排出トレイからの通常印刷物の取り出し時の処理の流れの一例を示す図である。
図9】実施形態に係る累計回数データの一例を示す図である。
図10】実施形態に係る複合機での持ち去り警告の音量設定の流れの一例を示す図である。
図11】実施形態に係る複合機での印刷ジョブ中の処理の一例を示す図である。
図12】実施形態に係る後処理装置の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1図12を用いて、本発明に係る画像形成装置を説明する。以下の説明では、画像形成装置として複合機100を例に挙げて説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0013】
(複合機100)
まず、図1図2に基づき、実施形態に係る複合機100を説明する。図1図2は、実施形態に係る複合機100の一例を示す図である。
【0014】
複合機100は制御部1、記憶部2、画像読取部3、操作パネル4、印刷部5、認証用カメラ6(取得部に相当)、検知部7、重量センサー8、通信部9(データ入力部に相当)を含む。検知部は検知用カメラ70を含む。
【0015】
制御部1は複合機100の各部を制御する。制御部1はCPU11、画像処理部12を含む。CPU11は演算、制御を行う。画像処理部12は画像処理を画像データに施す。記憶部2は不揮発性の記憶装置と揮発性の記憶装置を含む。記憶部2は不揮発性の記憶装置として、ROM21、ストレージ22(HDD又はSSD)を含む。記憶部2は揮発性の記憶装置としてRAM23を含む。記憶部2は制御用プログラムやデータを記憶する。
【0016】
原稿を読み取るジョブ(コピージョブ、スキャン保存ジョブ、スキャン送信ジョブ)のとき、制御部1は、原稿を画像読取部3に読み取らせる。画像読取部3は、原稿の画像データを生成する。
【0017】
制御部1は操作パネル4と通信可能に接続される。操作パネル4は、表示パネル41(報知部に相当)、タッチパネル42、ハードキー43、スピーカー44(報知部に相当)、表示灯45(報知部に相当)を含む。制御部1は表示パネル41の表示を制御する。制御部1は設定用の操作画像を表示パネル41に表示させる。操作画像は、例えば、ソフトキーやボタンである。制御部1は、タッチパネル42の出力に基づき、操作された操作画像を認識する。また、制御部1は、操作されたハードキー43を認識する。操作パネル4は使用者の操作(操作画像やハードキー43への操作)を受け付ける。スピーカー44は音を発する。制御部1は、スピーカー44に音声信号を入力する。スピーカー44は入力された音声信号に基づく音声を発する。表示灯45は、複合機100の状態を知らせるための光源である。表示灯45は、例えば、LEDである。
【0018】
印刷部5は用紙を搬送しつつ、用紙に印刷を行う。印刷部5は、印刷用データに基づき印刷を行い、印刷物を排出トレイ50に排出する。印刷部5は、給紙部5a、用紙搬送部5b、画像形成部5c、定着部5d、排出トレイ50を含む。
【0019】
制御部1は印刷部5の動作を制御する。制御部1は、給紙部5a、用紙搬送部5b、画像形成部5c、定着部5dの動作を制御する。給紙部5aは用紙を収容する。印刷ジョブのとき、制御部1は給紙部5aに用紙を供給させる。制御部1は、用紙搬送部5bに用紙を搬送させる。制御部1は、画像データに基づくトナー像を画像形成部5cに形成させる。制御部1は、形成したトナー像の搬送用紙への転写を画像形成部5cに行わせる。制御部1は、トナー像が転写された用紙への加熱、加圧を定着部5dに行わせる。これにより、用紙にトナー像が定着する。制御部1は、定着済(印刷済)の用紙を排出トレイ50まで用紙搬送部5bに搬送させる。印刷物が排出トレイ50に出力される。
【0020】
図1図2に示すように、複合機100は2つのカメラを有する。認証用カメラ6は、使用者を認証するための認証用情報を取得する。認証用カメラ6は、複合機100の背面側から前面方向を撮影する。認証用カメラ6は画像形成装置に近づく使用者を撮影する。一方、検知用カメラ70は排出トレイ50を撮影する。なお、図2では、排出トレイ50は不可視である。検知用カメラ70は、上方から排出トレイ50を撮影する。第1動作がなされたこと、第2動作がなされたこと、及び、排出トレイ50上に印刷物があるか否かを判定するため、検知用カメラ70は、排出トレイ50を撮影する。第1動作は、排出トレイ50に手を伸ばす動作である。第2動作は、排出トレイ50から手を離す動作である。重量センサー8は、排出トレイ50の用紙束の合計重量を量るためのセンサーである。制御部1は、重量センサー8の出力に基づき、用紙束の重さを認識する。
【0021】
通信部9はPCやサーバーのようなコンピューター200と通信する。通信部9は、ネットワークを介し、コンピューター200と通信する。通信部9は、通信に必要な回路(ハードウェア)、ソフトウェア206を含む。通信部9はコンピューター200から印刷用データを受信する。制御部1は、印刷用データに基づく印刷を印刷部5に行わせる。
【0022】
(使用者の認証)
次に、図3を用いて、実施形態に係る複合機100での使用者の認証の一例を説明する。図3は、実施形態に係る複合機100の一例を示す図である。
【0023】
認証用カメラ6は、第1レンズ61、第1イメージセンサー62、第1カメラモジュール63を含む。第1レンズ61は入射された光を第1イメージセンサー62に導く。第1イメージセンサー62は、面状に並べられた複数の受光素子を含む。第1イメージセンサー62の各受光素子は、受光量に応じたアナログ信号(画像信号)を出力する。第1イメージセンサー62の各受光素子は、一定周期でアナログ信号(画像信号)を出力する。第1カメラモジュール63は、第1イメージセンサー62が出力する画像信号に基づき、第1撮像データ(画像データ)を生成する。第1カメラモジュール63は、一定周期で第1撮像データを生成する。
【0024】
制御部1は、認証用カメラ6で撮影された画像データ(第1撮像データ、認証用情報に相当)に基づき、使用者を認証する。制御部1は、複合機100の前面に立つ使用者が誰であるかを判定する。使用者の認証のため、記憶部2は使用者情報D1を記憶する。使用者情報D1は、複合機100を使用できる者の顔画像データD2を含む。使用できる者が複数の場合、使用者情報D1は複数の顔画像データD2を含む。認証用カメラ6の撮影で得られた画像データを顔画像データD2として用いてもよい。
【0025】
使用者情報D1は、複合機100の使用を認める者に関して登録されたデータ(登録使用者データD3)を含む。登録使用者データD3は、ユーザー名、パスワード、アドレス、所属部門のような情報を含む。使用者は、登録使用者データD3に含める情報を操作パネル4に入力できる。各使用者の登録使用者データD3は、対応する顔画像データD2と関連付けられる。
【0026】
顔認証を行うとき、制御部1は、第1撮像データに対し顔検出処理を行う。顔検出処理により、制御部1は第1撮像データ中の顔領域を定める。なお、顔領域を検出できないとき、制御部1は第1撮像データに人は映っていないと判定する。顔領域を検出できたとき、制御部1は顔領域の特徴点検出処理を行う。制御部1は、目、鼻、口などの顔の特徴点の位置を定める。制御部1は、得られた特徴点位置を用いて顔領域の位置、大きさを正規化し、第1照合用データD4を生成する。また、制御部1は、それぞれの顔画像データD2について、予め、顔検出処理、特徴点検出処理を行っておく。そして、制御部1は、それぞれの顔画像データD2について、顔領域の位置、大きさの正規化し、第2照合用データD5を生成しておく。
【0027】
制御部1は、第1照合用データD4とそれぞれの第2照合用データD5を比較する。制御部1は、特徴点の位置や各特徴点の位置関係を比較する。そして、制御部1は一致度を算出する。第1照合用データD4の顔と第2照合用データD5の顔が似ていないほど、算出される一致度は小さくなる。
【0028】
一致度が予め定められた基準値を超える第2照合用データD5がない場合、制御部1は撮像された人物は複合機100の使用権限を有しないと判定する。この場合、使用者の認証は行われない。一方、制御部1は、一致度が基準値を超える第2照合用データD5がある場合、撮像されている者は、複合機100の使用権限を有すると判定する。この場合、制御部1は最も一致度が大きい第2照合用データD5に対応する使用者であると認証する。これにより、制御部1は複合機100の前面に立つ使用者が誰であるかを判定する。
【0029】
なお、認証用カメラ6を用いて、顔認証により使用者を認証する例を説明した。しかし、操作パネル4に入力されたパスワードに基づき、使用者を認証してもよい。この場合、使用者は、操作パネル4(タッチパネル42)を用いて、割り当てられたパスワードを入力する。制御部1は、記憶部2に記憶されるパスワードと入力されたパスワードが一致するか否かを確認する。一致したとき、制御部1は一致したパスワードに対応する使用者と認証する。制御部1は、複合機100の使用権限があると判定する。一致しないとき、制御部1は使用者を認証しない。制御部1は複合機100の使用権限がないと判定する。
【0030】
また、カードや携帯通信機器に登録された情報を読み取って使用者を認証してもよい。携帯通信機器は、例えば、スマートフォンである。この場合、複合機100に、情報を読み取るリーダーが設けられる。リーダーは、例えば、無線通信により、カードや携帯通信機器から情報を読み取る。制御部1は、記憶部2の情報と読み取った情報が一致するか否かを確認する。一致したとき、制御部1は、使用者は、一致した情報に対応する使用者と認証する。制御部1は、複合機100の使用権限があると判定する。一致しないとき、制御部1は使用者を認証しない。制御部1は、複合機100の使用権限がないと判定する。
【0031】
使用者が認証できないとき、制御部1は、操作パネル4をログアウト状態で保つ。ログアウト状態のとき、操作パネル4は各種設定を受け付けない。一方、使用者が認証できたとき、制御部1は、操作パネル4をログイン状態とする。ログイン状態のとき、操作パネル4は、使用者の各種設定を受け付ける。いったんログイン状態になると、ログアウト条件が満たされるまで、制御部1は操作パネル4をログイン状態で保つ。ログアウト条件は、例えば、操作パネル4への操作が無くなってから一定時間経過したこととできる。
【0032】
(検知部7の出力に基づく判定)
次に、図3を用いて、実施形態に係る検知部7の出力に基づく判定の一例を説明する。
【0033】
複合機100の検知部7は検知用カメラ70を含む。検知用カメラ70は、第2レンズ71、第2イメージセンサー72、第2カメラモジュール73を含む。第2レンズ71は、入射された光を第2イメージセンサー72に導く。第2イメージセンサー72は、面状に並べられた複数の受光素子を含む。第2イメージセンサー72の各受光素子は、受光量に応じたアナログ信号(画像信号)を出力する。第2イメージセンサー72の各受光素子は、一定周期でアナログ信号(画像信号)を出力する。第2カメラモジュール73は、第2イメージセンサー72が出力する画像信号に基づき、第2撮像データ(画像データ)を生成する。第2カメラモジュール73は、一定周期で第2撮像データを生成する。
【0034】
第2撮像データ(検知部7の出力)は、制御部1に入力される。制御部1は、第2撮像データに基づき、印刷物が排出トレイ50にあるか否かを判定する。また、制御部1は、第2撮像データに基づき、排出トレイ50への操作を検知する。制御部1は、第2撮像データが生成されるごとに、印刷部5が排出トレイ50にあるか否か、及び、排出トレイ50への操作を検知する。
【0035】
記憶部2は検知用データD6を記憶する。例えば、検知用データD6には、排出トレイ50の色と扱う画素値の範囲(トレイ色範囲)が定義される。制御部1は、第2撮像データのうち、トレイ色範囲内の画素値を有する画素を認識する。制御部1は、認識した画素の輪郭を求める。制御部1は、輪郭で囲んだ領域のうち、最も面積が広い領域を排出トレイ50領域と認識する。
【0036】
そして、制御部1は、排出トレイ50領域内の画素のうち、トレイ色範囲に属さない画素(用紙を示す画素)の数を認識する。用紙を示す画素の数が所定値以上のとき、制御部1は、排出トレイ50に印刷物があると判定してもよい。用紙を示す画素の数が所定値未満のとき、制御部1は、排出トレイ50に印刷物がないと判定する。あるいは、制御部1は、排出トレイ50領域内の画素のうち、用紙を示す画素の輪郭を求めてもよい。輪郭で囲われた領域内の画素数が所定値以上のとき、制御部1は排出トレイ50に印刷物があると判定してもよい。輪郭で囲う領域内の画素数が所定値未満のとき、制御部1は、排出トレイ50に印刷物がないと判定してもよい。なお、用紙の色は、白色であることが多い。用紙の有無を判定できるように、排出トレイ50の色は白色と十分に異なる色とされる。
【0037】
また、制御部1は、第2撮像データに基づき、排出トレイ50に向けて手の差し出された(第1動作がなされた)ことを判定する。また、制御部1は、第2撮像データに基づき、排出トレイ50から手が離れた(第2動作がなされた)ことを判定する。検知用データD6には、肌色と扱う画素値の範囲(肌色範囲)が定義される。制御部1は、第2撮像データのうち、肌色範囲の画素値を有する画素を認識する。制御部1は認識した画素の輪郭を求める。制御部1は輪郭で囲んだ領域のうち最も面積が広い領域を手領域と認識する。
【0038】
排出トレイ50領域と判定している領域に一定画素数以上の手領域が重なったとき、制御部1は、第1動作がなされたと判定する。第1動作がなされたと判定した後、排出トレイ50領域と判定している領域と重なる手領域が一定画素数未満となったとき、制御部1は、第2動作がなされたと判定する。
【0039】
なお、検知用カメラ70を用いずに印刷物が排出トレイ50にあるか否かを検知してもよい。例えば、排出トレイ50に用紙と接するセンサーを設けてもよい。この場合、用紙と接するセンサーの出力に基づき、制御部1は、排出トレイ50に印刷物があるか否かを認識する。
【0040】
また、検知用カメラ70を用いずに、排出トレイ50への操作を検知してもよい。例えば、排出トレイ50の上方かつ印刷物に触れる位置での手の有無により出力が変化するセンサーを用いることができる。例えば、焦電センサー(赤外線センサー)や超音波センサーを用いることができる。この場合、センサーの出力に基づき、制御部1は、第1動作がなされたこと、及び、第2動作がなされたことを判定する。
【0041】
(報知部)
次に、図1を用いて、実施形態に係る複合機100の報知部を説明する。報知部として、複合機100は、表示パネル41、スピーカー44、表示灯45を含む。制御部1は、必要に応じ、表示パネル41、スピーカー44、表示灯45に報知を行わせる。以下では、制御部1が表示パネル41、スピーカー44、表示灯45のそれぞれに報知を行わせる例を説明する。なお、表示パネル41、スピーカー44、表示灯45の一部のみを報知に用いてもよい。
【0042】
制御部1は、メッセージや警告を表示パネル41に表示させる。表示パネル41は、表示による報知を行う。制御部1は、メッセージや警告をスピーカー44に発音させる。スピーカー44は、音による通知を行う。制御部1は、報知時、表示灯45を点灯、消灯、又は、点滅させる。
【0043】
(印刷用データの送信)
次に、図4を用いて、実施形態に係る印刷用データの送信を説明する。図4は、実施形態に係る印刷用データの送信の一例を示す図である。
【0044】
複合機100の通信部9は、コンピューター200から印刷用データを受信する。制御部1は、印刷用データに基づき、印刷部5に印刷させる。コンピューター200は、例えば、処理部201、HDD202、ディスプレイ203、入力デバイス204、通信インターフェイス205を含む。
【0045】
処理部201は、CPU、ROM、RAM、その他の回路を実装する基板である。処理部201は、コンピューター200の動作を制御する。HDD202は、ソフトウェア206、ドライバーソフトウェア207を記憶する。ドライバーソフトウェア207は、複合機100に印刷用データに基づくジョブを行わせるために必要なソフトウェア206である。処理部201は、ディスプレイ203に画面、画像を表示させる。入力デバイス204は、例えば、キーボードやマウスである。通信インターフェイス205は、複合機100の通信部9と通信可能に接続される。
【0046】
起動しているソフトウェア206で印刷コマンドが実行されたとき、処理部201はドライバーソフトウェア207を起動させる。処理部201はドライバーソフトウェア207に基づき、印刷用データを生成する。処理部201はページ記述言語(PDL)で記述されたページデータ、印刷設定に関するデータを印刷用データに含める。処理部201は、通信部9に向けて生成した印刷用データを通信インターフェイス205に送信させる。
【0047】
制御部1は、通信部9が受信した印刷用データを記憶部2(ストレージ22)に記憶させる。制御部1は、PDLで記述されたデータに基づき、印刷用画像データ(ラスターデータ、ビットマップデータ)を生成する。制御部1は、印刷設定に基づき、印刷用画像データに必要な画像処理を行う。制御部1は、画像処理後の印刷用画像データに基づき、印刷部5に印刷させる。
【0048】
ここで、複合機100では、秘密印刷ジョブを行うことができる。秘密印刷ジョブは、プライベート印刷と称されることがある。秘密印刷ジョブを行うとき、使用者は、ドライバーソフトウェア207で秘密印刷ジョブの設定を行う。例えば、使用者は、印刷に必要なパスワードを入力する。ドライバーソフトウェア207での設定が完了したとき、コンピューター200は、秘密印刷用データを生成する。秘密印刷用データは、PDLで記述されたデータ、印刷設定に関するデータ、設定されたパスワードを含む。
【0049】
秘密印刷用データを受信したとき、制御部1は直ちに秘密印刷用データを開始しない。記憶部2(ストレージ22)に秘密印刷用データと秘密印刷用データを送信したコンピューター200のアドレスを保存する。被認証者と秘密印刷用データの送信者が一致し、かつ、適切なパスワードが操作パネル4に入力されたとき、制御部1は、秘密印刷用データに基づく印刷を印刷部5に開始させる。被認証者の登録アドレスと秘密印刷用データを送信したコンピューター200のアドレスが一致しているとき、制御部1は、被認証者と秘密印刷用データの送信者が一致していると判定する。複合機100の設置場所に秘密印刷用データの送信者がいない限り、制御部1は印刷を開始させない。秘密印刷用データに基づく印刷直後の印刷物を、秘密印刷用データの送信者に確実に受け取らせる。
【0050】
ドライバーソフトウェア207で秘密印刷ジョブの設定が行われないとき、処理部201は、通常印刷用データを生成する。通常印刷用データを受信したとき、制御部1は、記憶部2に通常印刷用データを記憶させる。そして、制御部1は、パスワードの入力なしに、通常印刷用データに基づく印刷を印刷部5に開始させる。通常印刷用データは直ちに実行される。
【0051】
(秘密印刷ジョブ実行時の処理)
次に、図5を用いて、実施形態に係る秘密印刷ジョブ実行時の処理の一例を説明する。図5は、実施形態に係る秘密印刷ジョブ実行時の処理の一例を示す図である。
【0052】
秘密印刷ジョブの開始前、制御部1は、秘密印刷ジョブの実行開始条件が全て満たされているか否かを確認する。まず、実行開始条件の1つめは、制御部1が、第1撮像データに基づき、複合機100の前面の使用者を認証していることである。条件の2つ目は、制御部1は、被認証者(ログイン中の使用者)と秘密印刷用データの送信者が一致していることである。条件の3つ目は、被認証者が秘密印刷用データに対応するパスワードを操作パネル4に入力したことである。
【0053】
図5のスタートの時点で、制御部1は、秘密印刷ジョブの実行開始条件が全て満たされていることを確認している。そして、制御部1は、検知部7の出力(第2撮像データ)に基づき、排出トレイ50に印刷物があるか否かを確認する(ステップ♯11)。
【0054】
排出トレイ50に印刷物がないとき(ステップ♯11のNo)、制御部1は、秘密印刷ジョブを印刷部5に開始させる(ステップ♯12)。制御部1は、印刷物に給紙、用紙搬送、トナー像形成、転写、定着、排出を行わせる。続いて、制御部1は、秘密印刷ジョブ開始時の被認証者を示す秘密印刷実行者データD7を記憶部2に記憶させる(ステップ♯13、図3参照)。具体的に、秘密印刷実行者データD7は、秘密印刷ジョブの実行開始時点(時間)、被認証者の名前、被認証者の顔画像データD2、被認証者の登録アドレスを含む。これにより、後日、問題が生じたとき、秘密印刷ジョブを実行した人物を確認することができる。最後のページの印刷に伴い、本フローは終了する(エンド)。
【0055】
排出トレイ50に印刷物があるとき(ステップ♯11のYes)、制御部1は、第1メッセージを報知部に報知させる(ステップ♯14)。第1メッセージは、排出トレイ50に残る全ての印刷物の移動が必要であることを知らせるメッセージである。制御部1は、表示パネル41に第1メッセージを表示させる。制御部1は、スピーカー44に第1メッセージを再生させる。これにより、使用者は、排出トレイ50から印刷物を移動させるべきことを知る。制御部1は、排出トレイ50から全ての印刷物が移動されたと判定できるまで、第1メッセージを報知させる。制御部1は、排出トレイ50に印刷物がないと判定できたとき、全印刷物が移動されたと判定する。
【0056】
使用者により印刷物が移動されるとき、制御部1は、第2撮像データに基づき、第1動作と第2動作を認識する。そして、制御部1は、移動確認用データD8を記憶部2に記憶させる(ステップ♯15、図3参照)。移動確認用データD8は、第1撮像データをまとめたデータである。第1動作がなされたと判定した時点から撮影期間が経過するまでの間に得られた第1撮像データが時間順にまとめられる。ここで、第1撮像データは周期的に生成される。そのため、移動確認用データD8は、被認証者の動作を認証用カメラ6が撮影した動画である。撮影期間は予め定められる。撮影期間は、印刷物を取り出し、別の場所に印刷物を置くまでの動作を撮影できる期間とされる。撮影期間は、例えば、十数秒〜数十秒である。
【0057】
第1撮像データとともに、別途、制御部1は、第2撮像データも移動確認用データD8として記憶部2に記憶させる。移動確認用データD8は、第1動作から撮影期間が経過するまでの間に得られた第2撮像データも含む。第2撮像データも時間順にまとめられる。第2撮像データは周期的に生成される。そのため、移動確認用データD8は、排出トレイ50の様子を撮影した動画をも含む。なお、制御部1は、第1撮像データと第2撮像データの何れか一方のみ移動確認用データD8として記憶部2に記憶させてもよい。
【0058】
使用者は排出トレイ50の全印刷物を取り除く。制御部1は、第2撮像データに基づき、排出トレイ50からの全印刷物の移動を認識する(ステップ♯16)。取り除かれたとき、制御部1は、秘密印刷ジョブを印刷部5に開始させる(ステップ♯17)。制御部1は、印刷物に給紙、用紙搬送、トナー像形成、転写、定着、排出を行わせる。そして、制御部1は、秘密印刷ジョブ開始時の被認証者を示す秘密印刷実行者データD7を記憶部2に記憶させる(ステップ♯18、図3参照)。
【0059】
続いて、制御部1は、秘密印刷ジョブの開始後、第2メッセージを報知部に報知させる(ステップ♯19)。第2メッセージは、印刷物を排出トレイ50に戻すべきことを知らせるメッセージである。制御部1は、秘密印刷ジョブが完了するまで、第2メッセージを報知させる。制御部1は、表示パネル41に第2メッセージを表示させる。制御部1は、スピーカー44に第2メッセージを再生させる。また、制御部1は、表示灯45を点消灯させてもよい。
【0060】
制御部1は、印刷ジョブの最後のページの給紙後、給紙から排出までの仕様上の所要時間が経過した時点で印刷ジョブが完了したと認識する。また、印刷済用紙の排出口に排出センサーを設けてもよい。制御部1は、排出センサーの出力に基づき、最後のページの印刷済用紙が排出された時、印刷ジョブが完了したと認識してもよい。
【0061】
操作パネル4は、秘密印刷ジョブの最後のページから何ページ前の給紙時点に第2メッセージを報知するかの設定を受け付ける。デフォルトでは、第2メッセージの報知時点は、最後のページの給紙時点とされる。なお、制御部1は、秘密印刷ジョブの1ページ目の給紙開始と同時に第2メッセージの報知を開始させてもよい。
【0062】
第2メッセージを報知するとき、制御部1は、印刷物の移動場所を報知部に報知させる。例えば、制御部1は、表示パネル41に移動確認用データD8を再生させる。制御部1は、印刷物移動時の動画を表示パネル41に表示させる。表示パネル41の費用時領域を2分割してもよい。この場合、制御部1は、一方の表示領域に第1撮像データを時系列順に再生させ、他方の表示領域に第2撮像データを時系列順に再生させてもよい。これにより、表示パネル41で2つの動画が再生される。
【0063】
秘密印刷ジョブの完了後、制御部1は、検知部7の出力に基づき、印刷物が排出トレイ50に戻されたか否かを判定する(ステップ♯110)。具体的に、制御部1は、第2撮像データに基づき、予め定められた戻し時間内に、排出トレイ50に用紙がある状態になったか否かを判定する。戻し時間は適宜定められる。戻し時間は、移動させた印刷物を排出トレイ50に戻すのに必要な時間である。例えば、戻し時間は、数秒〜数十秒の範囲内で定められる。
【0064】
戻し時間内に印刷物が戻されたとき(ステップ♯110のYes)、本フローは終了する(エンド)。戻し時間内に印刷物が戻されなかったとき(ステップ♯110のNo)、制御部1は持ち去り警告を報知部に報知させる(ステップ♯111)。そして、本フローは終了する(エンド)。
【0065】
持ち去り警告は、他人の印刷物の持ち去りの可能性を警告するメッセージである。制御部1は、表示パネル41に持ち去り警告を表示させる。制御部1は、スピーカー44に持ち去り警告を再生させる。制御部1は、「他人の印刷物を持ち去っている可能性があります」のようなメッセージを再生させる。また、制御部1は、持ち去り警告用の表示灯45を点消灯させる。制御部1は、予め定められた警告時間、持ち去り警告の表示と再生を続ける。持ち去り警告を報知するとき、制御部1は、複合機100の管理者のコンピューター200に向けて、持ち去り警告を報知したことを通信部9に送信させてもよい。持ち去り警告は、表示、音声、送信により行える(以下、同様)。これにより、他人の印刷物の持ち去りの可能性を使用者及び画像形成装置の周辺にいる者に知らせることができる。
【0066】
(通常印刷物の取り出し)
次に、図6図8を用いて、実施形態に係る排出トレイ50からの通常印刷物の取り出しについて説明する。図6は、実施形態に係る取り出し管理リストL1の一例を示す図である。図7図8は、実施形態に係る排出トレイ50からの通常印刷物の取り出し時の処理の流れの一例を示す図である。
【0067】
制御部1は、受信した通常印刷用データに基づき、通常印刷ジョブを開始する。その結果、複数の通常印刷ジョブの印刷物が排出トレイ50にたまることがある。複数人の通常印刷ジョブの印刷物が排出トレイ50に混載され得る。なお、被認証者は、秘密印刷ジョブの印刷物を確実に取得する。そのため、排出トレイ50にたまる印刷物は、通常印刷ジョブの印刷物のみとなる。印刷物を取りに来た使用者は、混載された排出トレイ50から、自分の印刷物を取り出す。このとき、他人の印刷物を誤って取り出すことがある。複数人の通常印刷ジョブの印刷物が混載しているとき、制御部1は、他人の印刷物の持ち去りを防ぐための処理を行う。
【0068】
ここで、制御部1は、各通常印刷ジョブについて、印刷物が排出トレイ50から取り出されたか否かを管理する取り出し管理リストL1を記憶部2に記憶させる(図3参照)。図6は、取り出し管理リストL1の一例を示す。完了した通常印刷ジョブであって、使用者が取りに来ていない印刷ジョブが取り出し管理リストL1に載せられる。取り出し管理リストL1には、印刷した使用者、通常印刷ジョブのジョブ名、印刷したページ数、用紙サイズ、通常印刷ジョブの実行日時が定義される。制御部1は、新たに完了した通常印刷ジョブを取り出し管理リストL1に追加する。また、制御部1は、印刷物を取りに来たと見なせる通常印刷ジョブを取り出し管理リストL1から除外する(詳細は後述)。
【0069】
図7のスタートは、複数の使用者の通常印刷ジョブの印刷物が排出トレイ50にたまった時点である。第1動作がないまま、複数の使用者の通常印刷ジョブを実行したとき、制御部1は、複数の使用者の印刷物が混載されていると認識する。
【0070】
まず、制御部1は、認証用情報(第1撮像データ)に基づき、使用者を認証できているか否かを確認する(ステップ♯21)。使用者を認証できていないとき(ステップ♯21のNo)、制御部1は第1動作がなされたか(手が差し出されたか)否かを判定する(ステップ♯22)。言い換えると、無関係の者が排出トレイ50に向けて手を伸ばしたか否かを確認する。
【0071】
第1動作がなされていないと判定したとき(ステップ♯22のNo)、フローは、ステップ♯21に戻る。第1動作がなされたと判定したとき(ステップ♯22のYes)、制御部1は、持ち去り警告を報知部に報知させる(ステップ♯23)。制御部1は、予め定められた警告時間、持ち去り警告の表示と再生を続ける。悪質な持ち去りの可能性があるので、制御部1は、スピーカー44の音量を最大としてもよい。そして、本フローは終了する(エンド)。
【0072】
一方、使用者を認証できたとき(ステップ♯21のYes)、第2撮像データに基づき、制御部1は、第1動作がなされたか否かを判定する(ステップ♯24)。第1動作がなされたと判定できないとき(ステップ♯24のNo)、フローはステップ♯21に戻る。第1動作がなされたと判定したとき(ステップ♯24のYes)、制御部1は、測定を開始する(ステップ♯25)。具体的に、制御部1は取り出し時間を測り始める(ステップ♯25)。取り出し時間は、第1動作がなされたと判定してから、第2動作がなされたと判定するまでの時間である。また、重量センサー8の出力に基づき、制御部1は第1重量を量る。第1重量は、第1動作がなされたと判定した時点の用紙束の重さである。
【0073】
制御部1は、第2撮像データに基づき、第2動作がなされたか否かの判定を続ける(ステップ♯26、ステップ♯26のNo→ステップ♯26)。第2動作がなされたと判定したとき(ステップ♯26のYes)、制御部1は、測定を確定する(ステップ♯27)。具体的に、制御部1は、第2動作がなされたと判定した時点に取り出し時間の測定を終了する。また、制御部1は、重量センサー8の出力に基づき、第2重量を量る。第2重量は、第2動作がなされたと判定した時点の排出トレイ50の用紙束の重さである。つまり、制御部1は取り出し時間と第2重量を確定する。第2撮像データに基づき、制御部1は、排出トレイ50から全ての印刷物が取り出されたか否かを確認する(ステップ♯28)。
【0074】
全ての印刷物が取り出されたとき(ステップ♯28のYes)、制御部1は、待ち時間を算出する(ステップ♯29)。待ち時間は、全ての印刷物が取り出されたと判定してから持ち去り警告を開始するまでの時間である。具体的に、制御部1は、取り出し管理リストL1に基づき、排出トレイ50に残されている通常印刷物の枚数である残り枚数を判定する。制御部1は、取り出し管理リストL1の各ジョブのページ数の合計値を残り枚数として求める。そして、制御部1は、残り枚数が多いほど、待ち時間を長くする。排出トレイ50の用紙が多いほど、印刷物の仕分けには手間がかかるためである。例えば、制御部1は、1枚当たりの待ち時間に残り枚数を乗じて、待ち時間を算出する。1枚当たりの待ち時間は予め定められる。
【0075】
制御部1は、全ての印刷物が移動されたと判定してから待ち時間が経過したとき、持ち去り警告を報知部に報知させる(ステップ♯210)。排出トレイ50の印刷物が被認証者の印刷物だけではないことが報知される。続いて、制御部1は、第2撮像データに基づき、印刷物が排出トレイ50に戻されたか否かを確認する(ステップ♯211)。言い換えると、制御部1は、排出トレイ50に用紙がある状態になったか否かを確認する。
【0076】
印刷物が排出トレイ50に戻されたと判定できないとき(ステップ♯211のNo)、フローは、ステップ♯210に戻る。印刷物が排出トレイ50に戻されたと判定できたとき(ステップ♯211のYes)、制御部1は持ち去り警告を報知部に停止させる(ステップ♯212)。そして、制御部1は、取り出し管理リストL1を更新する(ステップ♯213)。具体的に、制御部1は、取り出し管理リストL1から被認証者の通常印刷ジョブを削除する。そして、本フローは終了する(エンド)。
【0077】
印刷物が残っているとき(ステップ♯28のNo)、制御部1は、被認証者の通常印刷ジョブが直近に完了した通常印刷ジョブか否かを確認する(ステップ♯214)。直近の通常印刷ジョブのとき(ステップ♯214のYes)、被認証者の印刷物は、排出トレイ50の用紙束のうち、最も上の部分にある。印刷物をとるとき、被認証者は上から自分の印刷物をとる。自分の印刷物を取り出す作業にはある程度の時間を要すると考えられる。
【0078】
そこで、直近の通常印刷ジョブのとき(ステップ♯214のYes)、制御部1は取り出し時間が基準時間以上であるか否かを確認する(ステップ♯215)。基準時間は予め定められる。基準時間は、印刷物の選別、取り出しに最低必要と考えられる時間である。基準時間は、例えば、数秒〜十数秒の範囲内の何れかの時間とできる。
【0079】
時間をかけずに印刷物の選別が終わったとき、他人の印刷物の持ち去りの可能性が高い。そこで、取り出し時間が基準時間未満のとき(ステップ♯215のNo)、制御部1は、持ち去り警告を報知部に報知させる(ステップ♯216)。制御部1は、予め定められた警告時間、持ち去り警告の表示と再生を続ける。そして、制御部1は、取り出し管理リストL1を更新する(被認証者の通常印刷ジョブの削除、ステップ♯217)。そして、本フローは終了する(エンド)。一方、時間をかけて自己の印刷物を選別しているとき、他人の印刷物の持ち去っていない可能性が高い。そこで、取り出し時間が基準時間以上であるとき(ステップ♯215のYes)、警告を報知することなく、ステップ♯217に移行する。
【0080】
直近の通常印刷ジョブではないとき(ステップ♯214のYes)、制御部1は、推定減少量を求める(ステップ♯218)。推定減少量は、排出トレイ50にある用紙のうち、被認証者の通常印刷ジョブの印刷物の重さの推定値である。制御部1は、取り出し管理リストL1に基づき、被認証者の印刷物の合計枚数を求める。制御部1は、用紙1枚当たりの重さに合計枚数を乗じて推定減少量を求める。用紙1枚当たりの重さは、用紙サイズごとに予め定められる。
【0081】
第1重量と第2重量に基づき、制御部1は、排出トレイ50の用紙束の重さが減りすぎているか否かを確認する(ステップ♯219)。具体的に、制御部1は、第2重量が第1重量よりも小さく、かつ、第1重量から第2重量を減じた値と推定減少量の差の絶対値が予め定められた許容値を超えているとき、減りすぎと判定する。許容値は、1〜数枚数分の用紙の重さとできる。制御部1は、許容値未満のとき、減りすぎではないと判定する。
【0082】
用紙束の重量が減りすぎているとき、他人の印刷物を持ち去っている可能性が高い。そこで、減りすぎと判定したとき(ステップ♯219のYes)、制御部1は、持ち去り警告を報知部に報知させる(ステップ♯220)。制御部1は、予め定められた警告時間、持ち去り警告の表示と再生を続ける。そして、制御部1は、取り出し管理リストL1を更新する(被認証者の通常印刷ジョブの削除、ステップ♯221)。そして、本フローは終了する(エンド)。一方、用紙束の重量が減りすぎと判定できないとき、他人の印刷物の持ち去っていない可能性が高い。そこで、減りすぎではないと判定したとき(ステップ♯219のNo)、警告を報知することなく、ステップ♯221に移行する。
【0083】
(持ち去り警告の音量設定)
次に、図9図10を用いて、実施形態に係る複合機100での持ち去り警告の音量設定の一例を説明する。図9は、実施形態に係る累計回数データD9の一例を示す図である。図10は、実施形態に係る複合機100での持ち去り警告の音量設定の流れの一例を示す図である。
【0084】
制御部1は、記憶部2に累計回数データD9を不揮発的に記憶させる(図3参照)。図9に示すように、累計回数データD9は、使用者ごとの通常印刷ジョブ及び秘密印刷ジョブの累計実行回数と、持ち去り警告報知の累計回数(以下、警告累計回数と称する)を含む。通常印刷ジョブ又は秘密印刷ジョブが実行されるごとに、制御部1は、対応する使用者の累計実行回数を更新する。また、持ち去り警告を行うごとに、制御部1は、対応する使用者の警告累計回数の値を更新する。累計実行回数、又は、警告累計回数を更新するとき、制御部1は、対応する回数値に1を加算する。
【0085】
図10のスタートは、持ち去り警告の報知の開始前の時点である。制御部1は、累計回数データD9を参照する(ステップ♯31)。制御部1は、被認証者の累計実行回数と警告累計回数を読み出す(ステップ♯32)。制御部1は、読み出した累計実行回数と警告累計回数に基づき、被認証者の警告頻度を求める(ステップ♯33)。具体的に、制御部1は、警告累計回数を累計実行回数で除して警告頻度(比率)を求める。
【0086】
制御部1は、警告頻度が大きいほど、持ち去り警告報知時のスピーカー44の音量を大きく設定する(ステップ♯34→エンド)。その結果、制御部1は、警告頻度が大きいほど、警告報知時のスピーカー44の音量を大きくする。例えば、音量の段階数に応じて、警告頻度が取り得る値の範囲を均等に分割する。例えば、警告頻度が取り得る値の範囲は、0%〜100%である。音量の段階数が5の場合、20%刻みで警告頻度が取り得る値の範囲を分割する。音量レベルが大きいほど、音量が大きい場合を説明する。
【0087】
例えば、警告頻度が0%以上20%未満の場合、制御部1は音量レベルを1とする。警告頻度が20%以上40%未満の場合、制御部1は音量レベルを2とする。警告頻度が40%以上60%未満の場合、制御部1は音量レベルを3とする。警告頻度が60%以上80%未満の場合、制御部1は音量レベルを4とする。警告頻度が80%以上の場合、制御部1は、音量レベルを5とする。これにより、持ち去り警告が報知される頻度が高い使用者に、持ち去りの可能性をより強く伝えることができる。
【0088】
(印刷ジョブ中の処理)
次に、図11を用いて、実施形態に係る複合機100での印刷ジョブ中の処理の一例を説明する。図11は、実施形態に係る複合機100での印刷ジョブ中の処理の一例を示す図である。
【0089】
図11のスタートは、被認証者が送信した印刷ジョブの実行中に第1動作がなされたと判定した時点である。本説明での印刷ジョブは、通常印刷ジョブと秘密印刷ジョブの何れでもよい。制御部1は、排出トレイ50から手を離さないことの警告を報知部に報知させる(ステップ♯41)。これにより、制御部1は、被認証者に印刷ジョブの全ページの取得を促す。制御部1は、印刷ジョブが完了するまで、手を離さないことの警告の報知を継続させる。なお、印刷ジョブ完了前に第2動作がなされたと判定したとき、制御部1は、スピーカー44の音量を上げてもよい。
【0090】
印刷ジョブが完了したとき、制御部1は、取り忘れが無いか確認すべきメッセージを報知部に報知させる(ステップ♯42→エンド)。これにより、制御部1は、取り忘れが確実に防止させる。制御部1は、予め定められたメッセージ時間、メッセージの表示と再生を続ける。
【0091】
(排出先が複数ある場合)
次に、図12を用いて、実施形態に係る排出トレイ50が複数ある場合の処理の一例を説明する。図12は、実施形態に係る後処理装置5eの一例である。
【0092】
複合機100に後処理装置5eが取り付けられることがある。図12に示す後処理装置5eは複合機100の左側面に取り付けられる。後処理装置5eは搬入口5fを備える。定着部5dを通過した印刷済用紙は、搬入口5fから後処理装置5e内に送り込まれる。制御部1は後処理装置5eの動作を制御する。
【0093】
後処理装置5eには、複数の排出トレイ50が設けられる。図3に示すように、後処理装置5eには、上部排出トレイ50a、第1排出トレイ50b、第2排出トレイ50cが設けられる。上部排出トレイ50aは後処理装置5eの上面に設けられる。第1排出トレイ50bは第2排出トレイ50cの上方に設けられる。第2排出トレイ50cは第1排出トレイ50bの下方に設けられる。後処理装置5e内に、複数の用紙搬送用のローラー対5gが設けられる。各ローラー対5gは、後処理装置5eに設けられたモーターの駆動力を受けて回転する。制御部1は各ローラー対5gを回転させる。制御部1は、後処理装置5eの内部で用紙を搬送させる。
【0094】
操作パネル4を操作し、排出先(使用する排出トレイ50)を設定することができる。コンピューター200で排出先を設定することもできる。用紙排出先の仕分けのため、第1仕分けガイド5hと第2仕分けガイド5iが設けられる。第1仕分けガイド5hと第2仕分けガイド5iに対しそれぞれモーター(不図示)が設けられる。各仕分けガイドはそれぞれ回動する。排出先の設定に応じ、制御部1は、第1仕分けガイド5hと第2仕分けガイド5iを回動させる。第1排出トレイ50bに排出する設定のとき、制御部1は搬送方向を第1排出トレイ50bに向かう方向とする(図3の矢印A)。上部排出トレイ50aに排出する設定のとき、制御部1は、搬送方向を上部排出トレイ50aに向かう方向とする(図3の方向B)。第2排出トレイ50cに排出する設定のとき、制御部1は、搬送方向を第2排出トレイ50cに向かう方向とする(図3の方向C)。
【0095】
排出トレイ50が複数設けられる場合、それぞれの排出トレイ50に対し、検知部7が設けられる。制御部1は、各検知部7の出力に基づき、各排出トレイ50上に印刷物があるか否かを判定する。また、制御部1は、各検知部7の出力に基づき、どの排出トレイ50に第1動作がなされたかを判定する。また、制御部1は、各検知部7の出力に基づき、どの排出トレイ50で第2動作がなされたかを判定する。また、制御部1は、各検知部7の出力に基づき、どの排出トレイ50の印刷物を移動させたかを判定する。また、制御部1は、排出トレイ50ごとに、取り出し管理リストL1を記憶部2に記憶させる。
【0096】
使用者を認証したとき、制御部1は、被認証者の通常印刷ジョブの印刷物が排出された排出トレイ50を報知部に報知させる。複数の排出トレイ50に被認証者の通常印刷ジョブの印刷物が排出されているとき、制御部1は、印刷物が排出されている複数の排出トレイ50を報知部に報知させる。被認証者の通常印刷ジョブの印刷物が排出された排出トレイ50が混載状態のとき、上述の図7図8に示す処理が実行される。
【0097】
このようにして、実施形態に係る画像形成装置(複合機100)は、データ入力部、印刷物、取得部、検知部7、報知部、制御部1を含む。データ入力部は、印刷用データが入力される。印刷部5は、印刷用データに基づき印刷を行う。印刷部5は印刷物を排出トレイ50に排出する。取得部は、使用者を認証するための認証用情報を取得する。検知部7は、排出トレイ50に手を伸ばす第1動作がなされたこと、排出トレイ50から手を離す第2動作がなされたこと、及び、排出トレイ50上に印刷物があるか否かを判定するための部分である。報知部は報知を行う。制御部1は、認証用情報に基づき使用者を認証する。制御部1は、通常印刷用データがデータ入力部に入力された場合、通常印刷用データに基づく印刷ジョブである通常印刷ジョブを印刷部5に開始させる。制御部1は、秘密印刷用データがデータ入力部に入力された場合、秘密印刷用データに基づく印刷ジョブである秘密印刷ジョブを直ちに印刷部5に開始させない。制御部1は、認証されている使用者である被認証者が秘密印刷用データを入力した使用者であるとき、検知部7の出力に基づき排出トレイ50に印刷物があるか否かを確認する。制御部1は、排出トレイ50に印刷物があるとき、検知部7の出力に基づき、排出トレイ50の全ての印刷物が排出トレイ50から移動されたことを認識してから、秘密印刷用データに基づく印刷ジョブである秘密印刷ジョブを印刷部5に開始させる。
【0098】
秘密印刷用データを入力した被認証者(秘密印刷ジョブの実行者)が排出トレイ50に残る全ての印刷物を移動させたとき、秘密保持文書の印刷を開始することができる。従って、秘密保持文書の印刷直後に、秘密印刷ジョブの実行者に、秘密保持文書のみを取得させることができる。秘密の漏洩を防ぐことができる。第3者が秘密保持文書を取得することを防ぐことができる。また、排出トレイ50にあった全印刷物をいったん移動させるので、秘密保持文書の取り出し時に、誤って他人の印刷物を持ち去ることもない。
【0099】
秘密印刷ジョブの開始前に排出トレイ50に印刷物があるとき、制御部1は第1メッセージを報知部に報知させる。第1メッセージは、排出トレイ50に残る全ての印刷物の移動が必要であることを知らせるメッセージである。これにより、排出トレイ50を空の状態にしなければ、秘密保持文書の印刷が開始されないことを知らせることができる。
【0100】
制御部1は、秘密印刷ジョブの開始後、印刷物を排出トレイ50に戻すべきことを知らせる第2メッセージを報知部に報知させる。これにより、秘密印刷ジョブの実行者に、他人の印刷物を排出トレイ50に戻すべきことを知らせることができる。移動させた印刷物が放置されることを防ぐことができる。
【0101】
第2メッセージを報知部に報知させるとき、制御部1は、印刷物の移動場所を報知部に報知させるこれにより、印刷物を移動させた場所を秘密印刷ジョブの実行者に知らせることができる。秘密保持文書の印刷者に移動場所を教えることができる。
【0102】
画像形成装置はデータを記憶する記憶部2を含む。制御部1は、秘密印刷ジョブの開始時の被認証者を記録する秘密印刷実行者データD7を記憶部2に記憶させる。問題が発生した場合、秘密保持文書の印刷時に秘密保持文書を受領した者を確認することができる。
【0103】
秘密印刷ジョブの完了後、制御部1は、検知部7の出力に基づき印刷物が排出トレイ50に戻されたか否かを判定する。印刷物が排出トレイ50に戻されないとき、制御部1は、他人の印刷物の持ち去りの可能性を警告する持ち去り警告を報知部に報知させる。これにより、排出トレイ50に印刷物を戻さない場合、警告を出すことができる。秘密印刷ジョブの実行者に印刷物を戻すべきことを知らせることができる。また、画像形成装置の周囲の人に印刷物の持ち去りの可能性を知らせることができる。
【0104】
複数の通常印刷ジョブの印刷物が、排出トレイ50で混載されているとき、制御部1は、認証用情報に基づき、画像形成装置に近づいた者を認証する。第1動作と第2動作がなされたと判定したとき、制御部1は、第2動作後、排出トレイ50から全ての通常印刷ジョブの印刷物が取り出されたか否かを判定する。全ての通常印刷ジョブの印刷物が排出トレイ50から取り出されたと判定したとき、制御部1は、他人の印刷物の持ち去りの可能性を警告する持ち去り警告の報知を報知部に行わせる。これにより、認証されている使用者以外の印刷物が排出トレイ50上の用紙束に含まれていることを知らせることができる。全ての印刷物を持ち去ると、他人の印刷物の持ち去りになることを知らせることができる。他人の印刷物が誤って持ち去られることを防ぐことができる。
【0105】
全ての通常印刷ジョブの印刷物が排出トレイ50から取り出されたとき、制御部1は、通常印刷ジョブの印刷物が排出トレイ50に戻されたか否かを判定する。制御部1は、通常印刷ジョブの印刷物が排出トレイ50に戻されたと判定できるまで、持ち去り警告の報知を報知部に継続させる。これにより、排出トレイ50から取り出した他人の印刷物を戻すまで、警告を出し続けることができる。
【0106】
自分の印刷物を取り出すため、排出トレイ50から全印刷物をいったん取り出す者がいる。全印刷物をいったん取り出した時点で持ち去り警告が報知されることを煩わしいと感じる使用者もいる。そこで、全ての通常印刷ジョブの印刷物が排出トレイ50から取り出されたとき、制御部1は、排出トレイ50からの印刷物の取り出しから予め定められた待ち時間が経過するまで、持ち去り警告を報知部に報知させない。制御部1は、待ち時間が経過してから持ち去り警告の報知を報知部に行わせる。これにより、排出トレイ50からの全ての印刷物を取り出した直後から、持ち去り警告を出さないようにすることができる。使用者に煩わしさを感じさせない。
【0107】
排出トレイ50の用紙の枚数が多いほど、印刷物の束から自分の印刷物を取り出す時間は長くなりやすい。そこで、制御部1は、排出トレイ50にある通常印刷ジョブの印刷物の枚数である残り枚数を判定する。制御部1は、残り枚数が多いほど、待ち時間を長くする。これにより、排出トレイ50上の用紙の枚数に応じ、待ち時間を変化させることができる。排出トレイ50に残る枚数が多く、仕分け(選別)に時間がかかる場合、待ち時間を長くすることができる。
【0108】
複数の通常印刷ジョブの印刷物が、排出トレイ50で混載されているとき、制御部1は、第1動作から第2動作までの取り出し時間を測る。制御部1は、第2動作後、排出トレイ50から全ての通常印刷ジョブの印刷物が取り出されておらず、かつ、被認証者の通常印刷ジョブが直近の通常印刷ジョブの場合、取り出し時間が予め定められた基準時間未満のとき持ち去り警告を報知部に報知させる。これにより、排出トレイ50への手の出し入れの時間に基づき、持ち去り警告を出すか否かを定めることができる。取り出し時間が短い場合、使用者は印刷物の束から適当に用紙を取り出したとみなせる。印刷物の束から適当に用紙を取り出した使用者に持ち去り警告を報知することができる。これにより、他人の印刷物の持ち去りを防ぐことができる。
【0109】
画像形成装置は、排出トレイ50に積載された用紙の合計重量を量るための重量センサー8を含む。複数の通常印刷ジョブの印刷物が、排出トレイ50で混載されているとき、制御部1は、重量センサー8の出力に基づき、第1動作時の重さである第1重量と第2動作後の重さである第2重量を認識する。第2動作後、排出トレイ50から全ての通常印刷ジョブの印刷物が取り出されておらず、かつ、被認証者の通常印刷ジョブが、直近の通常印刷ジョブではないとき、制御部1は、被認証者の通常印刷ジョブの印刷枚数に基づき推定減少量を定める。第2重量が第1重量よりも小さく、かつ、第1重量から第2重量を減じた値と推定減少量の差の絶対値が予め定められた許容値を超えているとき、制御部1は持ち去り警告を報知部に報知させる。これにより、使用者の手の出し入れの前後の用紙の重さに基づき、持ち去り警告を出すか否かを定めることができる。想定以上に重量が減った場合、持ち去り警告を報知することができる。これにより、他人の印刷物の持ち去りを防ぐことができる。
【0110】
また、検知部7の出力に基づき、被認証者の通常印刷ジョブの実行中に排出トレイ50への手の差し入れを認識したとき、制御部1は、排出トレイ50から手を離さないことの警告を報知部に報知させる。これにより、これから印刷されるページの印刷物を使用者に確実に取得させることができる。
【0111】
繰り返し警告を受けている使用者には、強く注意喚起を行うことが好ましい。そこで、
制御部1は、使用者ごとの通常印刷ジョブ及び秘密印刷ジョブの累計実行回数と、持ち去り警告の報知の累計回数を示す累計回数データD9を記憶部2に記憶させる。制御部1は、累計回数データD9に基づき、被認証者の警告頻度を求める。制御部1は、警告頻度が大きいほど、持ち去り警告の報知時のスピーカー44の音量を大きくする。これにより、持ち去り警告の報知頻度が高い使用者ほど、持ち去り警告の音量を大きくすることができる。誤って他人の印刷物を持ち去ることを防ぐことができる。
【0112】
本発明の範囲は実施形態の説明に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0114】
100 複合機(画像形成装置) 1 制御部
2 記憶部 41 表示パネル(報知部)
44 スピーカー(報知部) 45 表示灯(報知部)
5 印刷部 50 排出トレイ
6 認証用カメラ(取得部) 7 検知部
70 検知用カメラ(検知部) 8 重量センサー
9 通信部(データ入力部) D7 秘密印刷実行者データ
D9 累計回数データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12