(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態及び変形例についてこれらの記載順で説明する。
【0011】
≪本実施形態≫
<構成>
本実施形態の磁気センサ10は、一例として、磁石を有する移動体(図示省略)の位置を検出するためのセンサ、すなわち、位置センサとされている。本実施形態の磁気センサ10は、上記磁石に対して相対移動することで磁石が発生する外部磁場の変化を検出し、更に検出した当該変化に基づいて移動体の移動量を算出するようになっている。この場合、本実施形態の磁気センサ10は、後述する主軸(
図1AのX軸)を感度軸として、移動体が発生する主軸に沿った方向(主軸に平行な方向)からの磁場の変化を検出するようになっている。
以下の説明では、
図1Aにおいて、X軸(素子部20及び軟磁性体30の短手方向に沿った軸)を主軸、Y軸(素子部20及び軟磁性体30の長手方向に沿った軸)を他軸という。
【0012】
本実施形態の磁気センサ10は、
図1Aに示されるように、素子部20と、軟磁性体30とで構成される磁気抵抗効果素子部100を備えている。また、本実施形態の磁気センサ10は、
図1Bに示されるように、複数の磁気抵抗効果素子部100がブリッジ接続されているセンサ部200と、センサ部200と電気接続された入力端子310、グランド端子320、外部出力端子330、340等を有する集積回路300とを備えている。
【0013】
ここで、素子部20は、一例として、板状とされ、後述する磁気抵抗効果を有する材料で構成されている。また、素子部20は、その厚み方向から見ると、楕円形とされている。別言すれば、素子部20は、楕円形とされる素子部20の長軸方向及び短軸方向に直交する方向、すなわち、厚み方向から見ると、長尺状とされている。素子部20の長手方向は、楕円形としての素子部20の長軸方向と一致している。また、素子部20の短手方向は、素子部20の短軸方向と一致している。
図1Aでは便宜上模式的に図示しているが、実際の素子部20は、一例として、長軸の長さが約20μm、短軸の長さが約1μmとされる細長い楕円形とされている。なお、前述のとおり、本実施形態の素子部20は楕円形とされていることから、素子部20における長軸方向の端部領域22は、長軸方向の中央領域21側から徐々に幅が狭くなって端部でゼロになる。別言すると、端部領域22は、素子部20の長軸方向の中央から前記長手方向に離れるに従い徐々に幅が狭くなる。
軟磁性体30は、一例として、長尺とされている。軟磁性体30には、素子部20の形状(楕円形)と同じ形状の開口31が形成されている。軟磁性体30は、素子部20(及び自身の)厚み方向から見て、開口31内で素子部20と隙間を形成することなく素子部20を囲んでいる。すなわち、軟磁性体30は、少なくとも素子部20の端部領域22との間で隙間を形成せずに配置されている。なお、素子部20及び軟磁性体30は、基板(図示省略)上に配置されている。
【0014】
〔素子部〕
本実施形態の素子部20は、
図1Cに示されるように、一例として、一般的なスピンバルブ型の膜構成を有している。具体的には、素子部20は、外部磁場に応じて磁化方向が変化するフリー層151と、外部磁場に対して磁化方向が固定されたピンド層153と、フリー層151とピンド層153との間に位置し、フリー層151及びピンド層153に接するスペーサ層152と、スペーサ層152の反対側でピンド層153に隣接する反強磁性層154と、を有している。フリー層151、スペーサ層152、ピンド層153及び反強磁性層154は、上記基板上に積層されている。反強磁性層154は、ピンド層153との交換結合によってピンド層153の磁化方向を固定している。ピンド層153は、非磁性中間層を挟んで2つの強磁性層が設けられたシンセティック構造を有していてもよい。スペーサ層152は、Al2O3等の非磁性絶縁体からなるトンネルバリア層とされている。そのため、本実施形態の素子部20は、トンネル磁気抵抗効果(TMR)素子として機能する。すなわち、本実施形態の素子部20は、トンネル磁気抵抗効果を有する。なお、TMR素子は、例えば、GMR素子に比べて、MR変化率が大きく、ブリッジ回路の出力電圧を大きくすることができるという点で好ましい。
【0015】
〔軟磁性体〕
本実施形態の軟磁性体30は、
図1Aに示されるように、厚み方向から見ると、一例として、矩形状とされている。また、楕円形の開口31の長軸は、軟磁性体30の長手方向に沿っている。そのため、軟磁性体30は、
図1Aに示されるように、一例として、素子部20の長軸(図示省略)及び短軸(図示省略)に対して線対称とされている。
【0016】
軟磁性体30は、前述のとおり、素子部20の周囲に配置されることにより、磁気センサ10の感度を向上させる機能、すなわち、ヨークとしての機能を有する。本実施形態の軟磁性体30は、一例として、NiFe、CoFe、CoFeSiB、CoZrNb等で形成されている。
以下の説明では、軟磁性体30における素子部20の長軸方向の両端よりも外側にはみ出している部分をはみ出し領域34といい、軟磁性体30における端部以外の部分を非はみ出し領域32という(
図1A参照)。
【0017】
(中央領域)
図1Aでは便宜上模式的に図示しているが、実際の非はみ出し領域32の最小幅Wmは、一例として、素子部20の最大幅W0よりも広い。そのため、本実施形態の場合、非はみ出し領域32の最小幅Wmが素子部20の最大幅W0以下の場合に比べて、磁気センサ10の感度を高感度にしている。
【0018】
(端部)
長手方向の両方のはみ出し領域34の長さLは、一例として、非はみ出し領域32の最小幅Wm未満とされている。また、はみ出し領域34の長さLは、一例として、軟磁性体30の最大幅W0未満とされている。
【0019】
以上が、本実施形態の磁気センサ10の構成についての説明である。
【0020】
<作用効果>
次に、本実施形態の作用効果について、本実施形態(
図1A参照)と、比較形態(
図2参照)とを比較して説明する。当該比較は、
図3のグラフに示されるように、各磁気センサに定められた大きさの磁場を印加した場合に時間に対する各磁気センサの出力の測定により行った。なお、比較形態の説明において、本実施形態と同じ要素について説明する場合、本実施形態と同じ名称及び符号を用いる。
【0021】
〔測定方法〕
次に、測定の方法について
図3を参照しつつ説明する。
【0022】
本測定では、本実施形態の磁気センサ10と、比較形態の磁気センサ10Aとに対して、他軸方向に定められた大きさの磁場を印加する。そして、上記磁場を印加した場合の各磁気センサ10、10Aの出力を一例として0.1秒ごとに記録する。次いで、各磁気センサ10、10Aの出力のスペクトルを比較する。ここで、
図3のグラフでは、本実施形態の磁気センサ10と、比較形態の磁気センサ10Aのスペクトルとを示している。また、
図3では、各磁気センサ10、10Aの出力の最大値と最小値との差の1/2が1となるように、各出力のスペクトルが規格化されている。
【0023】
ここで、X軸方向を感度軸とする磁気センサは、理想的には、他軸方向からの磁場が印加された場合には出力がないことが好ましい。しかしながら、実際には、この磁気センサに他軸方向からの磁場を印加した場合、素子部20には軟磁性体30から主軸方向を向く不安定な磁場成分Bx(
図2参照)が印加される。そして、この磁気センサは、磁場成分Bxの印加により影響を受けて出力する。すなわち、
図3のグラフの各スペクトルは、各磁気センサ10、10Aにとって、他軸方向の磁場による出力ノイズに相当する。
以上により、各磁気センサ10、10Aの出力のスペクトルは、時間に対して平坦であるほどよい。さらに出力が低い、すなわち0に近いほどよい。なお、以降の説明では、他軸方向の磁場による出力ノイズを、単に、「出力ノイズ」と表記する。
【0024】
〔比較形態〕
比較形態の磁気センサ10Aの具体的な構成について
図2を参照しながら説明する。比較形態の磁気センサ10Aは、本実施形態の磁気センサ10の素子部20及び軟磁性体30に換えて素子部20A及び一対の軟磁性体30Aを備えている。素子部20Aは、一例として、長尺とされ、厚み方向から見ると矩形とされている。すなわち、比較形態の素子部20Aの長手方向の端側部分の幅は、本実施形態の場合と異なり、長手方向の中央側から外側の端部に亘って徐々に狭くなっていない。一対の軟磁性体30は、一例として、長尺とされ、素子部20の短手方向の両側に沿って配置されている。比較形態の磁気センサ10Aは、上記の点以外は本実施形態の磁気センサ10(
図1A参照)と同様の構成とされている。
【0025】
〔考察(作用効果の具体的な説明)〕
次に、本実施形態の磁気センサ10の出力スペクトルと、比較形態の磁気センサ10Aの出力スペクトルとを比較しての考察を説明する。
【0026】
図3のグラフによると、比較形態の場合、測定開始から数秒後(
図3のグラフでは測定開始から3秒〜4秒後)に出力が大きく変化していた。すなわち、出力のスペクトルに飛びが発生していた。ここで、飛びとは、
図3中の符号NDの部分を意味する。これに対して、本実施形態の場合、出力のスペクトルの飛びNDは観測されなかった。そのため、本実施形態の磁気センサ10は、比較形態の磁気センサ10Aに比べて、出力ノイズが小さかった。
ここで、本明細書では、出力ノイズのうち0.1(秒)間に前述のように規格化した出力の変化量が0.001以上の場合、すなわち、0.1(秒)間に規格化した出力の変化率が0.1(%)以上の場合を前述の「飛びND」と定義する。そして、本実施形態の場合、比較形態の場合に比べて出力ノイズが小さい理由は、以下のように考えられる。すなわち、比較形態の素子部20Aの長手方向の端部領域の幅は、本実施形態の場合と異なり、長手方向の中央領域側から端部側に離れるに従い徐々に狭くなっておらず、端部は素子部20の短手方向に沿った平面とされている(
図2参照)。
そのため、素子部20Aの長手方向の端部領域では、
図2の拡大図に示されるように、短手方向を向く不安定な磁場成分Bxが発生すると考えられる。その結果、比較形態の場合、
図3に示されるように、出力のスペクトルに飛びNDが発生したと考えられる。
これに対して、本実施形態の磁気センサ10の場合、素子部20をその厚み方向から見ると素子部20は長軸方向を主軸方向とする楕円形とされている(
図1A参照)。別言すると、本実施形態の素子部20の幅は、厚み方向から見て、長手方向の中央側から長手方向に離れるに従い徐々に狭くなる形状とされている。そのため、本実施形態の素子部20の長手方向の端部領域22には、比較形態のような短手方向を向く不安定な磁場成分Bx(
図2参照)が発生し難く、発生したとしても比較形態の場合に比べて小さい。その結果、本実施形態の場合、
図3に示されるように、比較形態の場合に発生した出力のスペクトルに飛びNDが観測されなかったと考えられる。
したがって、本実施形態の磁気センサ10は、出力ノイズを低減させる(又は飛びNDの発生を抑制する)ことができる。本効果は、本実施形態の場合のように軟磁性体30の最小幅Wmが素子部20の最大幅W0よりも広い場合に、出力ノイズが大きくなることから、特に有効といえる。また、本効果は、本実施形態のように、素子部20がトンネル磁気抵抗効果を有する場合にS/N比を大きくできる点で特に有効といえる。
なお、本実施形態の磁気センサ10の場合、軟磁性体30が開口31内で素子部20と隙間を形成することなく素子部20を囲んでいることの効果については後述する。
【0027】
以上が、本実施形態の磁気センサ10の作用効果についての説明である。また、以上が、本実施形態の磁気センサ10についての説明である。
【0028】
≪第1変形例≫
次に、第1変形例の磁気センサ10Bについて
図4を参照しつつ説明する。ここで、
図4は本変形例の磁気センサ10Bの構成を示す。
【0029】
本変形例の磁気センサ10Bは、本実施形態の磁気センサ10の軟磁性体30が素子部20から離間している一対の軟磁性体30Bとされている。本変形例の磁気センサ10Bは、上記の点以外、本実施形態の磁気センサ10と同様の構成とされている。
【0030】
本変形例の磁気センサ10Bの出力ノイズは、本実施形態の磁気センサ10の場合(
図3のグラフ参照)の出力ノイズと同等であった(図示省略)。そして、本変形例の場合、比較形態の場合に観察されたような出力の飛びND(
図3参照)は観測されなかった。
以上より、本変形例の磁気センサ10Bは、前述の比較形態の磁気センサ10Aに比べて、出力ノイズを低減させる(又は飛びNDの発生を抑制する)ことができる。ここで、本変形例の場合に本実施形態の場合と同様の効果を有する理由は、本変形例の素子部20が本実施形態の素子部20と同じために、本変形例の場合に
図2を用いて説明した磁場成分Bxの発生が起こり難いといえるためと考えられる。
【0031】
なお、本変形例の測定の結果、以下のことがわかった。すなわち、本変形例は、本実施形態と同様に出力ノイズを低減させることができるものの、本実施形態ほどの感度がない(図示省略)。この理由は、本実施形態の場合、本変形例の場合と異なり、軟磁性体30が開口31内で素子部20を隙間なく囲んでいるために、磁場成分Bxの発生が起こり難かったためと考えられる。
以上により、本実施形態の磁気センサ10は、本変形例の磁気センサ10Bに比べて、高感度である。別の見方をすると、本実施形態の磁気センサ10は、前述の比較形態の磁気センサ10Aに比べて、感度を向上させつつ出力ノイズを低減させることができる。
【0032】
以上が、本変形例の磁気センサ10Bについての説明である。
【0033】
≪第2変形例≫
次に、第2変形例の磁気センサ10Cについて
図5を参照しつつ説明する。本変形例の磁気センサ10Cは、本実施形態の磁気センサ10における、その長手方向(素子部20の長軸方向)の両端部分が、素子部20の短軸方向に沿って切断された形状となっている。すなわち、本変形例の素子部20Cは、素子部20Cの厚み方向から見て少なくともその長軸方向の両端部分以外の部分が楕円形の一部とされている。別の見方をすると、本変形例の素子部20Cの端部領域22Cの幅は、中央領域21C側から徐々に狭くなる。
また、本変形例の磁気センサ10Cの軟磁性体30Cは切断された形状になっていることにより一対とされている。すなわち、本変形例の一対の軟磁性体30Cは、素子部20Cの厚み方向から見て、素子部20Cの短軸方向の両側で対をなしつつ当該両側と隙間なく配置されている。別の見方をすると、一対の軟磁性体30Cは、素子部20CをX方向の両側から挟んで端部領域22CのY軸方向の端以外の部分との間で隙間を形成せずに配置されている。本変形例の磁気センサ10Cは、上記の点以外は本実施形態の磁気センサ10(
図1A参照)と同様の構成とされている。
【0034】
本変形例の素子部20Cは、厚み方向から見て楕円形ではないもの、楕円形に近い楕円状といえる。そして、本変形例の素子部20Cの長手方向の端側部分の幅は、前述の比較形態の素子部20A(
図2参照)と異なり、長手方向の中央側から外側の端に亘って徐々に狭くなっている。そのため、本変形例の素子部20Cの長手方向の端部領域22Cには、比較形態のような短手方向を向く不安定な磁場成分Bx(
図2参照)が発生し難い又は発生したとしても比較形態の場合に比べて小さいと考えられる。すなわち、本変形例は、磁場成分Bxが発生し難く、飛びNDがなく、出力ノイズが小さい。
また、本変形例の素子部20Cは、前述の比較形態の磁気センサ10Bの場合(
図4参照)と異なり、軟磁性体30Cとの間で隙間を形成していない。そのため、本変形例の磁気センサ10Cは、第1変形例の磁気センサ10Bに比べて、高感度であると推認される。
以上より、本変形例の磁気センサ10Cは、素子部20がその厚み方向から見るとその短軸方向を主軸方向とする楕円状とされ、且つ、素子部20Cが軟磁性体30Cとの間で隙間を形成していないことにより、感度を向上させつつ出力ノイズを低減させることができると推認される。
なお、本変形例の磁気センサ10Cは、本実施形態の場合(
図1A参照)と異なり、素子部20Cの長手方向の両端よりも外側で軟磁性体30Cが繋がっていない。そのため、本変形例の磁気センサ10Cの場合、本実施形態の磁気センサ10のように軟磁性体30における一方側の非はみ出し領域32から他方側の非はみ出し領域32にはみ出し領域34を経由して磁束が流れることがない。
したがって、本変形例の磁気センサ10Cの場合、本実施形態の磁気センサ10の場合に比べて、短手方向の磁場が素子部20Cの短手方向の一方側の軟磁性体30Cから他方側の軟磁性体30Cに流れ難く素子部20Cに印加され易い点で有効といえる。
【0035】
以上が、本変形例の磁気センサ10Cについての説明である。
【0036】
以上のとおり、本発明の特定の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的範囲には、例えば、下記のような形態も含まれる。
【0037】
例えば、本実施形態では、素子部20の形状と軟磁性体30の開口31の形状とは、同じであるとして説明した(
図1A参照)。しかしながら、少なくとも素子部20がその長手方向の中央領域側から端部に亘って徐々に幅が狭くなる形状とされ、且つ、開口31内に素子部20を配置していれば、素子部20の形状と開口31の形状とは同じでなくてもよい。例えば、
図6Aの第3変形例の磁気センサ10Dのように、開口31の形状が厚み方向から見て矩形状であってもよい。本変形例の場合であっても、前述の比較形態の場合に比べて、出力ノイズを低減させることができるといえる。
【0038】
また、本実施形態では、軟磁性体30が素子部20との間に隙間を形成することなく配置されているとして説明した(
図1A参照)。しかしながら、少なくとも素子部20がその長手方向の中央領域側から端部に亘って徐々に幅が狭くなる形状とされていれば、
図6Bの第4変形例の磁気センサ10E及び
図6Dの第6変形例の磁気センサ10Gのように、軟磁性体30と素子部20との間に隙間が形成されていてもよい。本変形例の場合であっても、前述の比較形態の場合に比べて、出力ノイズを低減させることができるといえる。
【0039】
また、本実施形態では、素子部20は感度軸方向と直交する方向を長軸方向とする楕円形であるとして説明した。すなわち、素子部20における長手方向の両方の端部領域22は、それぞれ長手方向の中央領域側から両端部に亘って徐々に幅が狭くなるとして説明した(
図1A参照)。しかしながら、
図6Cの第5変形例の磁気センサ10Fのように、素子部20の長手方向の一方の端部領域22のみが長手方向の中央領域から端部に亘って徐々に幅が狭くなる構成であってもよい。本変形例の場合、前述の比較形態(素子部20Aの長手方向の両端部分の幅が長手方向の中央側から両端に亘って同じ幅である。
図2参照)の場合に比べて、出力ノイズを小さくすることができると考えられる。以上より、本変形例の場合、感度を向上させつつ出力ノイズを低減させることができるといえる。
【0040】
また、本実施形態では、素子部20の形状と軟磁性体30の開口31の形状とは、同じであるとして説明した(
図1A参照)。しかしながら、少なくとも素子部20がその長手方向の中央領域側から端部に亘って徐々に幅が狭くなる形状とされていれば、
図6Dの第6変形例の磁気センサ10Gのように、素子部20の形状と開口31の形状とが異なる形状であってもよい。本変形例の場合であっても、前述の比較形態の場合に比べて、出力ノイズを低減させることができるといえる。
【0041】
また、第1変形例では、一対の軟磁性体30Bが素子部20を素子部20の短手方向の両側で挟むように配置されているとして説明した。しかしながら、軟磁性体30Bが素子部20を挟むように配置されていれば、軟磁性体30Bは対をなしていなくてもよい。例えば、
図6Eの第7変形例の磁気センサ10Hのように、軟磁性体30BがU字状であってもよい。本変形例の場合であっても、前述の比較形態の場合に比べて、出力ノイズを低減させることができるといえる。
【0042】
また、本実施形態では、素子部20を構成するスペーサ層をトンネルバリア層とし、素子部20をTMR素子であるとして説明した。しかしながら、素子部20を構成するスペーサ層をCuなどの非磁性金属からなる非磁性導電層とし、素子部20を巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)としてもよい。また、素子部20を異方性磁気抵抗素子(AMR素子)としてもよい。これらの変形例の場合であっても、比較形態の場合に比べて、感度を向上させつつ出力ノイズを低減させることができるといえる。
【0043】
また、本実施形態では、軟磁性体30の非はみ出し領域32の最小幅Wmが、素子部20の最大幅W0よりも広いとした(
図1A参照)。しかしながら、非領域32の最小幅Wmは素子部20の最大幅W0以下であってもよい。軟磁性体30を配置することにより磁気センサ10の感度の向上のトレードオフとして出力ノイズが発生することを鑑みると、本変形例の場合であっても前述の実施形態の効果を奏するといえる。
【0044】
なお、本実施形態及び第1〜第8変形例のうちの一形態に他の形態の要素を組み合せた形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、第7変形例(
図6E)の磁気センサ10Hの素子部20に換えて第6変形例の要素(菱形状の素子部20)を組み合せた変形例も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0045】
また、本実施形態の磁気センサ10は、一例として、位置センサであるとして説明した。しかしながら、主軸方向に印加される磁場を検出する構成であれば、本実施形態の磁気センサ10は位置センサでなくてもよい。例えば、磁気センサ10は、角度センサ、エンコーダその他のセンサであってもよい。