(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(ホイール上に仕切り板を設けた光変換装置)
1−1.光変換装置の構成
1−2.投射型表示装置の構成
1−3.作用・効果
2.変形例
2−1.変形例1(仕切り板上および筐体の一部に吸塵パッドを設けた例)
2−2.変形例2(ホイールの背面に冷却フィンを設けた例)
2−3.変形例3(レンズホルダを仕切り板として用いた例)
2−4.変形例4(送風機を内蔵した例)
【0014】
<1.実施の形態>
図1Aは、本開示の一実施の形態に係る光変換装置(光変換装置10A)の平面構成を表したものであり、
図1Bは、
図1Aに示した光変換装置10AをY軸方向から見た場合の断面構成を表したものである。この光変換装置10Aは、例えば、後述する投射型表示装置1の光源光学系(光源装置)100の光変換装置10として用いられるものである(
図3,4参照)。
【0015】
(1−1.光変換装置の構成)
光変換装置10Aは、筐体114内に蛍光体ホイール110(光変換部)および熱交換器120(冷却部)が収容されている。蛍光体ホイール110は、表面に発光層として蛍光体層112が設けられた基板111と、基板111を回転駆動するモータ113と、光源部20から入射される光(青色レーザ光Lb)を蛍光体層112に集光する集光レンズ115,116とから構成されている(
図4参照)。本実施の形態では、蛍光体ホイール110上に、筐体114内の空間を隔てる仕切り部材(仕切り板130)が設けられた構成を有する。
【0016】
基板111は、例えば、円盤形状を有し、例えば、アルミニウム,サファイア,モリブデンなどの熱伝導率が比較的高い材料によって構成されている。基板111の中心には、蛍光体ホイール110を駆動するモータ113が接続され、基板111は、基板111の中心を通る法線を回転軸Oとし、この回転軸Oを中心として矢印C方向に回転可能となっている。
【0017】
蛍光体層112は、光源部20から入射される光に励起されて、その光の波長とは異なる波長域の光を発するものである。本実施の形態では、蛍光体層112は、例えば、約445nmの中心波長を持つ青色レーザ光Lbによって励起されて蛍光を発する蛍光物質を含んでおり、光源210から射出される青色レーザ光Lbの一部を、黄色光Lyに変換して出射する。このとき、基板111は、青色レーザ光Lbの照射によって加熱され、筐体内の空気を暖める。暖められた空気は、基板111の回転によって、基板111の回転方向Cと同じ方向A1に流れ、後述する熱交換器120によって冷却される。冷却された空気は、
図1Aに示した矢印A2の方向に循環され、冷却風として基板111上の蛍光体層112の、青色レーザ光Lbが集中する発光部Xを冷却する。
【0018】
蛍光体層112に含まれる蛍光物質としては、例えば、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体が用いられる。なお、蛍光物質の種類、励起される光の波長域、および励起により発生される可視光の波長域は限定されない。
【0019】
蛍光体ホイール110では、モータ113によって基板111が回転することにより、青色レーザ光Lbが照射される、蛍光体層112上の焦点位置が相対的に移動するようになる。これにより、蛍光体層112の同一の位置に励起光が長時間照射されることによる基板111および蛍光体層112の温度上昇や、温度上昇による蛍光体層112の劣化を避けることができる。
【0020】
なお、蛍光体層112から射出される黄色光Lyは、例えば、光源部20側に反射され、蛍光体ホイール110と光源210等との間に配置されたダイクロイックミラー213によって集光レンズ214側に反射される。このとき、黄色光Lyは、例えば、ダイクロイックミラー213を挟んで集光レンズ214に対向する位置に配置された青光源光学系215から発振される青色レーザ光Lbと合成されて白色光Lwとなる。
【0021】
熱交換器120は、青色レーザ光Lbの照射によって蛍光体が励起されて蛍光を出射す
る蛍光体層112上の発光部Xおよび蛍光体が励起される際に生じる熱によって暖められた筐体114内の空気を冷却するためのものである。熱交換器120は、例えば、複数枚の金属製の放熱フィン121によって構成されており、筐体114内に吸熱部121Aが
、筐体114外に放熱部121Bが配置され、それぞれヒートパイプ122によって接続された構成を有する。
【0022】
仕切り板130は、上記のように、蛍光体ホイール110上に設けられると共に、筐体114内の空間を隔てるものであり、例えば、筐体114内に固定されている。具体的には、仕切り板130は、筐体114内の空間を、蛍光体ホイール110上の発光部Xを含む第1空間114Aと発光部Xを含まない第2空間114Bとに隔てるものである。蛍光体ホイール110上に仕切り板130を設けることにより、蛍光体ホイール110の回転によって生じる筐体114内の空気の流れが整流される。具体的には、青色レーザ光Lbの照射によって加熱された基板111により暖められた空気が、熱交換器120によって冷却される前に発光部Xに流入して、冷却風と混合し、発光部X周辺の冷却効率の低下を防ぐことが可能となる。
【0023】
仕切り板130は、非可燃性の材料、例えば金属板によって構成されている。蛍光体ホイール110上に設けられている仕切り板130の長さは、例えば、モータ113が蛍光体ホイール110の、青色レーザ光Lbの照射面側に設けられている場合には、基板111の外縁端面からモータ113の側面までの距離よりも長いことが好ましい。仕切り板130のモータ113側の端面P
INは、例えば、蛍光体ホイール110の回転方向が
図1Aに示した矢印方向に回転する場合には、
図1Aに示したように、蛍光体層112上の発光部Xとは反対側に傾いていることが好ましい。これにより、発光部Xから、基板111の回転方向と同じ方向A1に流れた暖められた空気が効率よく熱交換器120側に循環される。なお、蛍光体ホイール110の回転方向が
図1Aに示した矢印方向とは逆に回転する場合には、仕切り板130のモータ113側の端面P
INは、
図1Aとは反対方向の蛍光体層112上の発光部X側に傾いていることが好ましい。即ち、仕切り板130のモータ113側の端面P
INは、蛍光体ホイール110上を循環する空気が熱交換器120側に流れ込む方向に傾いていることが好ましい。これにより、発光部Xによって暖められた空気を効率よく冷却することが可能となる。
【0024】
更に、仕切り板130のモータ113側の端面P
INとは反対側の端面P
outは、
図1Aおよび
図1Bに示したように、熱交換器120まで延在していることが好ましい。これにより、筐体114内における空気の循環経路が長くなる。換言すると、仕切り板130は、
図1Bに示したように、例えば、蛍光体ホイール110上、具体的には、蛍光体ホイール110の照射面に対応する位置に設けられた第1領域130A(および後述する蛍光体ホイール110の背面(非照射面)に対応する位置に設けられた第2領域130B)と、熱交換器120に対応する位置に設けられた第3領域130Cとを有することが好ましい。これにより、青色レーザ光Lbの照射によって暖められた空気(暖風)が熱交換に120によって十分に冷却されたのち、冷却風として発光部Xに送風される。
【0025】
また、仕切り板130のモータ113側の端面P
INの位置は以下のように規定される。仕切り板130のモータ113側の端面P
INと蛍光体ホイール110の回転軸Oとの距離をP
IN−O、蛍光体層112の内周R
PINと蛍光体ホイール110の回転軸Oとの距離をR
PIN−O、モータ113の半径をR
Mとした場合、仕切り板130のモータ113側の端面P
INは、R
PIN−O>P
IN−O>R
Mであることが好ましい。また、仕切り板130のモータ113とは反対側の端面P
OUTの位置は、蛍光体層112の外周R
OUTと蛍光体ホイール110の回転軸Oとの距離をR
OUT−O、仕切り板130のモータ113とは反対側の端面P
OUTと蛍光体ホイール110の回転軸Oとの距離をP
OUT−Oとした場合、P
OUT−O>R
OUT−Oであることが好ましい。
【0026】
更に、仕切り板130は、
図1Aに示したように、基板111の外周側にいくほど、回転軸Oと、仕切り板130のモータ113側の端面P
INを通る直線からの周方向の距離が回転方向下流側に大きくなることが好ましい。また、
図1Bに示したように、筐体114内の空間を隔てるように、仕切り板130の側面が筐体114に接していることが好ましい。これにより、青色レーザ光Lbの照射によって暖められた空気と、熱交換器120によって冷却された冷たい空気との混合を抑制することが可能となる。
【0027】
更にまた、仕切り板130は、
図1Bに示したように、蛍光体ホイール110の基板111を挟み込むように、照射面および非照射面の両方に配設することが好ましい。換言すると、仕切り板130のモータ113側の端面P
INには、蛍光体ホイール110の基板111を挟み込む間隙Gを設けることが好ましい。また、仕切り板130と基板111との間隔は、できるだけ狭い方が好ましい。このため、基板111を挟み込む仕切り板130の間隙Gの形状は、
図2Aに示したように、蛍光体層112に対向する位置に、蛍光体層112への接触を防ぐ凹部131を設けた形状としてもよい。これにより、仕切り板130は、蛍光体層112が設けられていない基板111上にできるだけ近接した位置まで近づけることが可能となる。また、光変換装置10Aに衝撃が加わった時に、仕切り板111と蛍光体層112との接触が回避される。なお、凹部131の形状は、凹部131の深さdが蛍光体層112に厚みtよりも深いことが好ましい。更に、仕切り板130は、
図2Bに示したように、蛍光体ホイール110の基板111を挟む間隙Gを中心に、両端が発光部Xを有する第1空間114A側に傾いていることが好ましい。具体的には、仕切り板130と基板111との成す角が90°以下とすることが好ましい。これにより、発光部Xで暖められた空気を効率よく熱交換器120側へ循環させることが可能となる。
【0028】
なお、非照射面側の蛍光体ホイール110(第2領域130B)の端面P'
INの位置は、
図1Bに示したように、蛍光体ホイール110を間に照射面側の端面P
INのZ軸方向の同一線上、換言すると、
図1Aに示したように、XY平面において照射面側の端面P
INと同じ位置となるように設けてもよいが、モータ113がない分、蛍光体ホイール110の回転軸Oに近傍まで延在させることができる。これにより、青色レーザ光Lbの照射によって加熱された基板111により暖められると共に、未冷却の空気の第1空間114A(具体的には、発光部X近傍)への混入がより制限される。よって、仕切り板130の第2領域130Bの端面P'
INの位置は、P
IN−O>P'
IN−Oであることが好ましい。
【0029】
(1−2.投射型表示装置の構成)
図3は、投射型表示装置の一例としてのプロジェクタ(プロジェクタ1)の構成例を表した概略図である。プロジェクタ1は、本技術に係る光変換装置10Aを備えた光源光学系100と、画像生成システム400と、投射光学系600とを有する。画像生成システム400は、照射された光をもとに画像を生成する画像生成素子410と、画像生成素子410に光源光学系100から射出された光を照射する照明光学系420とを有する。投射光学系600は、画像生成素子410により生成された画像を投射する。
【0030】
図4は、光源光学系100を構成する光源部20および光変換装置10の構成の一例を表した概略図である。光源部20は、例えば、複数のLDを備えた光源210と、光源210から射出された光を蛍光体ホイール110に集光させるための光学系としての集光ミラー211A,211Bおよび集光ミラー212と、光変換装置10から射出された光(黄色光Ly)と合成して白色光(Lw)するための青色レーザ光Lbを射出する青光源光学系215と、白色光(Lw)を合成すると共に、外部(例えば、画像合成システム側)に射出する光学系としてのダイクロイックミラー213および集光レンズ214とを有する。
【0031】
光源210は、例えば、400nm〜500nmの波長範囲内に発光強度のピーク波長を有する青色レーザ光Lbを発振可能な青色LDである。この青色LDは、所定の波長域の光を射出する1または複数の固体光源に相当する。光源210には、LDのほか、LED等の他の光源が用いられていてもよい。また、所定の波長も、上記400nm〜500nmに発光強度のピーク波長を有する青色レーザ光Lbに限定されるものではない。
【0032】
集光ミラー211A,211Bは、光源210に配置された複数のLDから射出される光の光束を略平行にすると共に、集光ミラー212に集中させる凹面反射面を有するものである。集光ミラー212は、集光ミラー211A,211Bによって集中した光を蛍光体ホイール110へ反射させるものである。
【0033】
ダイクロイックミラー213は、所定の波長域の色光を選択的に反射し、それ以外の波長域の光を透過させる性質を有する。具体的には、例えば、光源210から射出され、集光ミラー211A,211Bおよび集光ミラー212を介した青色レーザ光Lbは、ダイクロイックミラー213を透過して後述する蛍光体ホイール110に形成された蛍光体層112に照射され、蛍光体が励起される。励起された蛍光体は、例えば、赤色波長域から緑色波長域までを含む波長域の光(即ち、黄色光Ly)を出射する。この黄色光Lyは、ダイクロイックミラー213によって集光レンズ214側に反射される。
【0034】
画像生成システム400は、
図4に示したように、例えば、インテグレータ素子430と、偏光変換素子440と、集光レンズ450とを有する。インテグレータ素子430は、二次元に配列された複数のマイクロレンズを有する第1のフライアイレンズ431およびその各マイクロレンズに1つずつ対応するように配列された複数のマイクロレンズを有する第2のフライアイレンズ432を含んでいる。
【0035】
光源光学系100からインテグレータ素子430に入射する光(平行光)は、第1のフライアイレンズ431のマイクロレンズによって複数の光束に分割され、第2のフライアイレンズ432における対応するマイクロレンズにそれぞれ結像される。第2のフライアイレンズ432のマイクロレンズのそれぞれが、二次光源として機能し、輝度が揃った複数の平行光を、偏光変換素子440に入射光として照射する。
【0036】
インテグレータ素子430は、全体として、光源光学系100から偏光変換素子440に照射される入射光を、均一な輝度分布に整える機能を有する。
【0037】
偏光変換素子440は、インテグレータ素子430等を介して入射する入射光の偏光状態を揃える機能を有する。この偏光変換素子440は、例えば、光源光学系100の出射側に配置された集光レンズ450等を介して、青色レーザ
光LbB3、緑色光G3および赤色光R3を含む出射光を出射する。
【0038】
照明光学系420は、ダイクロイックミラー460および470、ミラー480、490および500、リレーレンズ510および520、フィールドレンズ530R、530Gおよび530B、画像生成素子としての液晶ライトバルブ410R、410Gおよび410B、ダイクロイックプリズム540を含んでいる。
【0039】
ダイクロイックミラー460および470は、所定の波長域の色光を選択的に反射し、それ以外の波長域の光を透過させる性質を有する。
図4を参照して、例えば、ダイクロイックミラー460は、赤色光R3を選択的に反射する。ダイクロイックミラー470は、ダイクロイックミラー460を透過した緑色光G3および青色レーザ光LbB3のうち、緑色光G3を選択的に反射する。残る青色レーザ光LbB3が、ダイクロイックミラー470を透過する。これにより、光源光学系100から出射された光(白色光Lw)が、異なる色の複数の色光に分離される。
【0040】
分離された赤色光R3は、ミラー480により反射され、フィールドレンズ530Rを通ることによって平行化された後、赤色光の変調用の液晶ライトバルブ410Rに入射する。緑色光G3は、フィールドレンズ530Gを通ることによって平行化された後、緑色光の変調用の液晶ライトバルブ410Gに入射する。青色レーザ光LbB3は、リレーレンズ510を通ってミラー490により反射され、さらにリレーレンズ520を通ってミラー500により反射される。ミラー500により反射された青色レーザ光LbB3は、フィールドレンズ530Bを通ることによって平行化された後、青色レーザ光Lbの変調用の液晶ライトバルブ410Bに入射する。
【0041】
液晶ライトバルブ410R、410Gおよび410Bは、画像情報を含んだ画像信号を供給する図示しない信号源(例えば、PC等)と電気的に接続されている。液晶ライトバルブ410R、410Gおよび410Bは、供給される各色の画像信号に基づき、入射光を画素毎に変調し、それぞれ赤色画像、緑色画像および青色画像を生成する。変調された各色の光(形成された画像)は、ダイクロイックプリズム540に入射して合成される。ダイクロイックプリズム540は、3つの方向から入射した各色の光を重ね合わせて合成し、投射光学系600に向けて出射する。
【0042】
投射光学系600は、複数のレンズ610等を有し、ダイクロイックプリズム540によって合成された光を図示しないスクリーンに照射する。これにより、フルカラーの画像が表示される。
【0043】
(1−3.作用・効果)
前述したように、固体光源としてLDを用い、このLDから射出されるレーザ光を励起光として蛍光体から異なる波長域の光を出射させて利用する光変換装置を用いた投射型表示装置が開発されている。このように、レーザ光を励起光として用いた投射型表示装置では、レーザ光の照射によって光変換装置が加熱、具体的には、蛍光体および蛍光体が成膜された基板が大きく加熱されるが、蛍光体の光変換効率の温度特性、蛍光体を基板上に形成するためのバインダ等の耐熱性のために温度上昇を抑える必要があった。このため、蛍光体が設けられた部材(例えば、蛍光体ホイール)を回転させてレーザ光が照射される位置を変化させることで蛍光体の劣化を抑えたり、空気の循環経路が設けられた密閉容器に光変換装置を収容してレーザ光の照射位置の冷却効率を向上させる等、様々な改善がなされている。しかしながら、その構造上、レーザ光の照射によって暖められた空気が熱交換器によって冷却される前にレーザ光の照射位置に流れ込んでしまう等、レーザ光の照射位置(発光部)およびホイールを十分に冷却することは困難であった。
【0044】
これに対して、本実施の形態では、筐体114に収容された蛍光体ホイール110上に仕切り板130を設け、筐体114内の空間を隔てるようにした。具体的には、仕切り板130によって、筐体114の空間を、励起光である青色レーザ光Lbが集光する発光部Xを含む第1空間と、発光部Xを含まない第2空間とに隔てるようにした。これにより、筐体114内を循環する空気の流れ、具体的には、青色レーザ光Lbの照射によって加熱された基板111により暖められた空気の流れを整流することが可能となる。
【0045】
以上のように、本実施の形態では、筐体114に収容された蛍光体ホイール110上に、筐体114の空間を、外部から入射される青色レーザ光Lbが照射される発光部Xを含む第1空間と発光部Xを含まない第2空間とに隔てる仕切り板130を設けるようにした。これにより、青色レーザ光Lbの照射によって蛍光体層112およびその周辺基板が加熱され、これによって暖められた空気(暖風)が、蛍光体ホイール110上で冷却用の空気(冷却風)と混合することを防ぐと共に、この暖風を熱交換器120へ循環させることが可能となる。よって、光変換装置10A内の暖められた空気を効率よく冷却することができると共に、青色レーザ光Lbが照射され、黄色光Lyを出射する発光部Xの冷却効率が向上する。また、これにより、消費電力を低減することが可能となる。よって、信頼性の向上した光源装置(光源光学系100)および投射型表示装置(プロジェクタ1)を提供することが可能となる。
【0046】
なお、筐体114は、筐体114の内部と外部とが遮断された密閉容器でもよいし、筐体114の一部に外部と繋がる開口等が設けられたものでもよい。
【0047】
<2.変形例>
以下に、本開示の変形例(変形例1〜4)について説明する。なお、以下に説明する変形例において、上記実施の形態と同様の構成については同じ番号を付し、その説明を省略する。
【0048】
(2−1.変形例1)
図5は、本開示の上記実施の形態の変形例(変形例1)に係る光変換装置10Bの平面構成を表したものである。この光変換装置10Bは、例えば、上述したプロジェクタ1の光源光学系(光源装置)100に含まれる光変換装置10として用いられるものである(
図3,4参照)。本変形例では、筐体114内を循環する空気の流れが急激に変化する場所に吸塵部材を設けた点が上記実施の形態とは異なる。
【0049】
吸塵部材は、上記のように、筐体114内を循環する空気の流れが急激に変化する場所に設けることが好ましく、例えば、発光部Xで暖められた空気が第1空間114Aから第2空間114Bに流れ込む位置に吸塵部材として吸塵パッド132を設けることが好ましい。また、励起光である青色レーザ光Lbおよび蛍光光である黄色光Lyの一次散乱光が直接当たらない箇所、例えば、仕切り板130の第2空間114Bに面する面に吸塵パッド133を設けることが好ましい。吸塵パッド132,133は、静電フィルタや不織布あるいは、多孔質フィルタ等が挙げられる。
【0050】
以上のように、本変形例では、筐体114内を循環する空気の流れが急激に変化する場所、例えば、発光部Xで暖められた空気が第1空間114Aから第2空間114Bに流れ込む位置や、青色レーザ光Lb等の励起光および黄色光Ly等の蛍光の一次散乱光が直接当たらない仕切り板130の第2空間114Bに面する面に吸塵パッド132,133を設けるようにした。これにより、筐体114内に発生する埃等が吸塵パッド132,133によって吸着され、発光部Xや集光レンズ115等の後述する光学部品(例えば、
図7A参照)への埃等の焼き付きを低減させることが可能となる。
【0051】
よって、上記実施の形態における効果に加えて、光変換効率を向上させると共に、蛍光体ホイール110の寿命が長くなるという効果を奏する。更に、光学部品(例えば、集光レンズ115)の光透過率の低下が低減されるという効果を奏する。
【0052】
(2−2.変形例2)
図6は、本開示の上記実施の形態の変形例(変形例2)に係る光変換装置10Cの断面構成を表したものである。この光変換装置10Cは、例えば、上述したプロジェクタ1の光源光学系(光源装置)100に含まれる光変換装置10として用いられるものである(
図3,4参照)。本変形例では、蛍光体ホイール110の基板111の背面にフィン117を設けた点が上記実施の形態および変形例1とは異なる。
【0053】
フィン117は、例えば、アルミニウム等の比較的熱伝導性がよく、軽量な金属によって構成することが好ましい。このように、熱伝導性の良いフィン117を基板111に接合することで、青色レーザ光Lbの照射によって加熱される蛍光体層112の熱が効率よく放熱される。なお、このとき、仕切り板130には、蛍光体ホイール110の基板111を挟み込む間隙Gの他に、フィン117を挟み込む間隙G'を設けることが好ましい。
【0054】
以上のように、蛍光体ホイール110の基板111の背面にフィン117を設けることにより、蛍光体ホイール110の冷却効率をさらに向上させることが可能となる。
【0055】
(2−3.変形例3)
図7Aは、本開示の上記実施の形態の変形例(変形例3)に係る光変換装置10Dの平面構成を表したものであり、
図7Bは、
図7Aに示した光変換装置10Dの断面構成を表したものである。この光変換装置10Dは、例えば、上述したプロジェクタ1の光源光学系(光源装置)100に含まれる光変換装置10として用いられるものである(
図3,4参照)。本変形例では、光源210と蛍光体ホイール110との間に配置された集光レンズ115を保持するレンズホルダ134が、上記仕切り板130を兼ねている点が、上記実施の形態等とは異なる。
【0056】
なお、レンズホルダ134は、単独でも筐体114内の空気の流れを整流し、青色レーザ光Lbの照射によって暖められ、蛍光体ホイール110の回転によって循環された空気が、熱交換器120によって冷却される前に発光部Xへ流入するのを防ぐことができるが、
図7Aおよび
図7Bに示したように仕切り板130と組み合わせることにより、蛍光体層112上の発光部Xおよび青色レーザ光Lbの照射によって暖められた空気がより冷却される。よって、発光部Xおよび筐体114内の空気の冷却効率を向上させることが可能となる。なお、
図7Aに示したレンズホルダ134の面S1が、上記実施の形態等の蛍光体ホイール110上に設けられている仕切り板111に相当する。
【0057】
(2−4.変形例4)
図8Aは、本開示の上記実施の形態の変形例(変形例4)に係る光変換装置10Eの平面構成を表したものであり、
図8B,
図8Cはそれぞれ、
図8Aに示した光変換装置10EのII−II線(
図8B)およびIII−III線(
図8C)における断面構成を表したものである。
図8Dは、
図8Aに示した光変換装置10EのVI−VI線から光変換装置10Eを見たものである。この光変換装置10Eは、例えば、上述した投射型表示装置1の光源光学系(光源装置)100に含まれる光変換装置10として用いられるものである(
図3,4参照)。本変形例では、蛍光体ホイール110の背面側に、熱交換器120と共に送風機(ファン140)が配置された点が上記実施の形態等とは異なる。
【0058】
本変形例の光変換装置10Eでは、
図8Bおよび
図8Cに示したように、筐体114に隔壁114Cが設けられており、これにより、筐体114内は、蛍光体ホイール110を配置された空間と、熱交換器120およびファン140が配置された空間とに隔てられている。熱交換器120は、筐体114内に設置された吸熱部121A、筐体114外に設置された放熱部121Bおよび吸熱部121Aと放熱部121Bとを接続するヒートパイプ122から構成されている。本変形例の光変換装置10Eでは、蛍光体ホイール110とは隔てられた空間において、発光部Xを含まず第2空間114Bに対応する位置に吸熱部121Aが、
図8Dの矢印B
3で示したように、吸熱部121Aで冷却された空気を吸い込む位置にファン140が配置されている。なお、蛍光体層112上の発光部Xにおいて暖められた空気は、蛍光体ホイール110の回転によって循環され、
図8Bの矢印
B2に示したように、第2空間114Bにおいて吸熱部121Aに流れ込み、放熱フィン121およびヒートパイプ122によって吸熱されて冷却される。ヒートパイプ122は、筐体114外においてファン150から送風される風(矢印B
4)によって冷却される。
【0059】
このように、筐体114内にファン140を配置することにより、筐体114内を循環する風量を多くして、冷却性能を向上させることが可能となる。更に、ファン140を発光部X側(第1空間114A)に、熱交換器120を、筐体114内を循環する空気の下流側(第2空間114B)に配置することにより、効率よく発光部Xを冷却することできると共に、発光部Xで暖められた空気の冷却効率を向上させることが可能となる。
【0060】
なお、本技術は、上記実施形態および変形例1〜4に限定されず、例えば、変形例1〜4で説明した要件をそれぞれ組み合わせて他の種々の実施形態を実現することができる。例えば、
図8Cに示したように、変形例4で示した光変換装置10Eのファン140の発光部Xへの送風口付近に吸塵パッド141を設けるようにしてもよい。これにより、熱交換器120によって冷却され、ファン140によって発光部Xへ送風される空気(矢印B
1)中に含まれる埃等が除去され、発光部Xへの埃等の焼きつきを防ぐことが可能となる。
【0061】
また、上記実施の形態等では、光源210から照射された青色レーザ光Lbによって励起された蛍光体から射出される黄色光Lyを光源210側に反射する、いわゆる反射型の蛍光体ホイール110を例に説明したが、これに限らず、例えば、青色レーザ光Lbを透過すると共に、蛍光体から射出される黄色光Lyを基板111の背面に射出する、いわゆる透過型の蛍光体ホイールを用いるようにしてもよい。
【0062】
更に、
図3に示すプロジェクタ1では、透過型液晶パネルを用いて構成された画像生成システム400が
搭載されている。しかしながら反射型液晶パネルを用いても画像生成システムを構成することは可能である。画像生成素子として、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)等が用いられてもよい。さらには、ダイクロイックプリズム540に代わり、偏光ビームスプリッター(PBS)やRGB各色の映像信号を合成する色合成プリズム、TIR(Total Internal Reflection)プリズム等が用いられてもよい。
【0063】
また、上記実施の形態等では、照明装置の各構成要素(光学系)を具体的に挙げて説明したが、全ての構成要素を備える必要はなく、また、他の構成要素を更に備えていてもよい。
【0064】
更にまた、上記実施の形態等では、本開示の光変換装置の用途として、投射型等の表示装置を例に挙げて説明したが、これには限られず、例えばステッパ等の露光装置にも適用することが可能である。
【0065】
また、本技術に係る投射型表示装置として、上記プロジェクタ以外の装置が構成されてもよい。また投射型表示装置ではない装置に本技術に係る照明装置が用いられてもよい。
【0066】
なお、本技術は以下のような構成を取ることも可能である。
(1)回転軸を中心に回転可能な光変換部と、前記光変換部を冷却する冷却部と、前記光変換部および前記冷却部を収容する筐体と、前記光変換部上に設けられると共に、前記筐体内の空間を隔てる仕切り部材とを備えた光変換装置。
(2)光変換部は、外部から入射する励起光によって発光する発光部を有し、前記仕切り部材は、前記筐体内の空間を、前記発光部を含む第1空間と、前記発光部を含まない第2空間とに隔てる、前記(1)に記載の光変換装置。
(3)前記冷却部によって冷却された空気は、前記発光部を含む前記第1空間から前記第2空間に循環する、前記(2)に記載の光変換装置。
(4)前記仕切り部材は、前記発光部で暖められ前記光変換部の回転によって流れる空気が、前記発光部に流入するのをさえぎるように配されている、前記(3)に記載の光変換装置。
(5)前記仕切り部材は、前記励起光が照射される前記光変換部の照射面および非照射面に配設されている、前記(2)乃至(4)のいずれか1つに記載の光変換装置。
(6)前記光変換部は、前記回転軸を中心に回転する基板と、前記基板上に設けられると共に、前記発光部を含む発光層とを有し、前記仕切り部材は、前記発光層に対向する位置に凹部を有する、前記(2)乃至(5)のいずれか1つに記載の光変換装置。
(7)前記仕切り部材は、前記光変換部上から前記冷却部に延在している、前記(1)乃至(6)のいずれか1つに記載の光変換装置。
(8)前記仕切り部材と、前記光変換部の回転面との成す角は、90°以下である、前記(1)乃至(7)のいずれか1つに記載の光変換装置。
(9)前記光変換部は、照射面に、前記励起光を集光すると共に、保持部材に保持された集光レンズを有し、前記保持部材が前記仕切り部材を兼ねている、前記(2)乃至(8)のいずれか1つに記載の光変換装置。
(10)吸塵部材を有する、前記(2)乃至(9)のいずれか1つに記載の光変換装置。
(11)前記吸塵部材は、前記第2空間側の前記仕切り部材の少なくとも一部に設けられている、前記(10)に記載の光変換装置。
(12)前記吸塵部材は、前記第2空間側の前記筺体の少なくとも一部に設けられている、前記(10)または(11)に記載の光変換装置。
(13)前記仕切り部材は、前記筐体に固定されている、前記(1)乃至(12)のいずれか1つに記載の光変換装置。
(14)前記仕切り部材は板状である、前記(1)乃至(13)のいずれか1つに記載の光変換装置。
(15)1または2以上の光源と、前記光源から出射される光の波長を変換する光変換装置を含む光源光学系を備え、前記光変換装置は、回転軸を中心に回転可能な光変換部と、前記光変換部を冷却する冷却部と、前記光変換部および前記冷却部を収容する筐体と、前記光変換部上に設けられると共に、前記筐体内の空間を隔てる仕切り部材とを有する光源装置。
(16)1または2以上の光源と、前記光源から出射される光の波長を変換する光変換装置を含む光源光学系と、入力された映像信号に基づいて前記光源光学系からの光を変調することにより、画像光を生成する画像生成光学系と、前記画像生成光学系で生成された画像光を投射する投射光学系とを備え、前記光変換装置は、回転軸を中心に回転可能な光変換部と、前記光変換部を冷却する冷却部と、前記光変換部および前記冷却部を収容する筐体と、前記光変換部上に設けられると共に、前記筐体内の空間を隔てる仕切り部材とを有する投射型表示装置。
【0067】
本出願は、日本国特許庁において2015年4月22日に出願された日本特許出願番号2015−087846号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願の全ての内容を参照によって本出願に援用する。
【0068】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。