特許第6777077号(P6777077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6777077
(24)【登録日】2020年10月12日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】光源装置および投射型表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20201019BHJP
   F21V 9/00 20180101ALI20201019BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20201019BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20201019BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20201019BHJP
【FI】
   G03B21/14 A
   F21V9/16
   F21S2/00 311
   F21Y115:10
   F21Y115:30
【請求項の数】13
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-519086(P2017-519086)
(86)(22)【出願日】2016年4月20日
(86)【国際出願番号】JP2016062496
(87)【国際公開番号】WO2016185861
(87)【国際公開日】20161124
【審査請求日】2019年4月18日
(31)【優先権主張番号】特願2015-99920(P2015-99920)
(32)【優先日】2015年5月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】特許業務法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石毛 正裕
(72)【発明者】
【氏名】小林 出志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 能久
(72)【発明者】
【氏名】森田 博紀
【審査官】 新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−238485(JP,A)
【文献】 特開2013−130605(JP,A)
【文献】 特開2013−101317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/14
F21S 2/00
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に構成された基板と、
前記基板の中央に配置された蛍光体層と、
前記蛍光体層に励起光を照射する光源と、
前記基板のうち、当該基板の中央以外の部分を支持する支持部と
を備えた
光源装置。
【請求項2】
前記支持部は、前記基板のうち、前記蛍光体層と非対向の部分を支持する
請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記支持部は、前記基板のうち、前記蛍光体層と非対向の部分だけを支持する
請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記支持部は、少なくとも前記蛍光体層と対向する部分に窪みが形成された第1凹部を有し、
前記第1凹部は、前記基板のうち、前記蛍光体層と対向する部分と、前記支持部との間に空隙を形成する
請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記支持部は、前記蛍光体層と非対向の部分に複数の凸部を有し、
複数の前記凸部は、前記基板のうち、前記蛍光体層と対向する部分と、前記支持部との間に空隙を形成する
請求項3に記載の光源装置。
【請求項6】
前記支持部は、前記基板のうち、前記蛍光体層と非対向の部分と、前記基板のうち、前記蛍光体層と対向する部分の一部とを支持する
請求項2に記載の光源装置。
【請求項7】
前記支持部は、前記蛍光体層と対向する部分に複数の第2凹部を有し、
各前記第2凹部は、前記支持部と前記基板との間に空隙を形成する
請求項6に記載の光源装置。
【請求項8】
前記支持部は、前記第1凹部の底面に、モータのシャフトを固定する固定部を有する
請求項に記載の光源装置。
【請求項9】
前記支持部は、前記第1凹部の底面のうち、前記固定部の周囲に、環状の第2凹部を有する
請求項8に記載の光源装置。
【請求項10】
前記基板および前記蛍光体層は、円板形状となっており、
前記蛍光体層は、前記基板と同心円状に配置されている
請求項2に記載の光源装置。
【請求項11】
前記基板は、円板形状となっており、
前記蛍光体層は、環形状となっており、前記基板と同心円状に配置されている
請求項2に記載の光源装置。
【請求項12】
当該光源装置は、前記支持部に連結されたモータを備え、
前記支持部は、前記モータの回転駆動力を前記基板に伝達するように構成されている
請求項2に記載の光源装置。
【請求項13】
回転可能に構成された基板と、
前記基板の中央に配置された蛍光体層と、
前記蛍光体層に励起光を照射する第1光源と、
前記基板のうち、当該基板の中央以外の部分を支持する支持部と、
前記蛍光体層に前記励起光を照射することにより前記蛍光体層から出力された第1の光に混ぜ合わせることにより白色光を生成することの可能な第2の光を生成する第2光源と、
前記第1の光および前記第2の光を混ぜ合わせることにより生成された白色光を映像信号に基づいて変調することにより画像光を生成する光変調部と、
前記光変調部で生成された前記画像光を投射する投射部と
を備えた
投射型表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光源装置および投射型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタ等の投射型表示装置に用いられる光源として、長寿命であり色域の広い固体光源が注目されている。近年では、固体光源の光を蛍光体に照射することにより蛍光体から発せられる光を利用する光源装置がプロジェクタ等に利用されている。
【0003】
上記光源装置は、例えば、蛍光体層と、蛍光体層に励起光を照射する固体光源とを備えている。蛍光体層の発光には、輝度飽和や温度消光という現象が存在する。これは、励起光の出力を高くした場合に、蛍光体層での変換損失の一部が熱に変わって蛍光体層が発熱し、蛍光変換効率が下がってしまう現象である。蛍光変換効率が低い状態では、効率のよい明るい光源装置は実現できない。そのため、蛍光体層は、熱伝導性の高い基板の表面に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−130605号公報
【発明の概要】
【0005】
ところで、蛍光体層は、熱伝導性の高い基板に取り付けられたモータによって回転される。蛍光体層で生じた熱が、基板を介してモータに伝達した場合、モータの温度上昇によって、モータの信頼性が低下するという問題があった。
【0006】
したがって、モータの温度上昇によるモータの信頼性の低下を抑制することの可能な光源装置および投射型表示装置を提供することが望ましい。
【0007】
本開示の一実施形態に係る光源装置は、回転可能に構成された基板と、基板の中央に配置された蛍光体層と、蛍光体層に励起光を照射する光源と、基板のうち、当該基板の中央以外の部分を支持する支持部とを備えている。
【0008】
本開示の一実施形態に係る投射型表示装置は、回転可能に構成された基板と、基板の中央に配置された蛍光体層と、蛍光体層に励起光を照射する第1光源と、基板のうち、当該基板の中央以外の部分を支持する支持部とを備えている。この投射型表示装置は、さらに、蛍光体層に励起光を照射することにより蛍光体層から出力された第1の光に混ぜ合わせることにより白色光を生成することの可能な第2の光を生成する第2光源と、第1の光および第2の光を混ぜ合わせることにより生成された白色光を映像信号に基づいて変調することにより画像光を生成する光変調部と、光変調部で生成された画像光を投射する投射部とを備えている。
【0009】
本開示の一実施形態に係る光源装置および投射型表示装置では、基板のうち、当該基板の中央以外の部分を支持する支持部が設けられている。これにより、支持部が、蛍光体層の配置された、基板の中央全体を支持している場合と比べて、蛍光体層で生じた熱が、基板を介してモータに伝達し難い。
【0010】
本開示の一実施形態に係る光源装置および投射型表示装置によれば、蛍光体層で生じた熱が基板を介してモータに伝達し難くなるようにしたので、モータの温度上昇によるモータの信頼性の低下を抑制することができる。なお、本開示の効果は、ここに記載された効果に必ずしも限定されず、本明細書中に記載されたいずれの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の第1の実施の形態に係る光源装置に用いられる蛍光体基板の断面構成例および平面構成例を表す図である。
図2図1の蛍光体基板の断面構成の一変形例を表す図である。
図3図1の蛍光体基板の断面構成の一変形例および平面構成の一変形例を表す図である。
図4図1の蛍光体基板に、アタッチメントを介してモータのシャフトを取り付けたときの断面構成例を表す図である。
図5図4において蛍光体基板に取り付けられた各部品を分解した様子を斜視的に表す図である。
図6図1の蛍光体基板に、アタッチメントを介してモータのシャフトを取り付けたときの断面構成例を表す図である。
図7図6において蛍光体基板に取り付けられた各部品を分解した様子を斜視的に表す図である。
図8図1の蛍光体基板に、アタッチメントを介してモータのシャフトを取り付けたときの断面構成例を表す図である。
図9図8において蛍光体基板に取り付けられた各部品を分解した様子を斜視的に表す図である。
図10図1の蛍光体基板に、アタッチメントを介してモータのシャフトを取り付けたときの断面構成例を表す図である。
図11図10において蛍光体基板に取り付けられた各部品を分解した様子を斜視的に表す図である。
図12図1の蛍光体基板に、アタッチメントを介してモータのシャフトを取り付けたときの断面構成例を表す図である。
図13図12において蛍光体基板に取り付けられた各部品を分解した様子を斜視的に表す図である。
図14】本開示の第1の実施の形態に係る光源装置の概略構成例を表す図である。
図15図14の光源装置における、蛍光体基板への励起光の照射の一例について説明するための図である。
図16図14の光源装置における、蛍光体基板への励起光の照射の一例について説明するための図である。
図17図14の光源装置における、蛍光体基板への励起光の照射の一例について説明するための図である。
図18図14の光源装置における、蛍光体基板への励起光の照射の一例について説明するための図である。
図19】本開示の第2の実施の形態に係る投射型表示装置の概略構成例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明は本発明の一具体例であって、本発明は以下の態様に限定されるものではない。また、本発明は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比などについても、それらに限定されるものではない。なお、説明は、以下の順序で行う。

1.第1の実施の形態(蛍光体基板、光源装置)
2.第2の実施の形態(投射型表示装置)
【0013】
<1.第1の実施の形態>
[構成]
本開示の第1の実施の形態に係る光源装置に用いられる蛍光体基板1の構成について説明する。蛍光体基板1は、本開示の「蛍光体基板」の一具体例に対応する。図1は、本技術の第1の実施の形態に係る蛍光体基板1の断面構成例および平面構成例を表したものである。蛍光体基板1は、例えば、後述の光源装置2の光変換部2A(図14参照)に適用可能なものである。蛍光体基板1は、基板20および蛍光体層10を備えている。
【0014】
基板20は、回転可能に構成されており、例えば、回転対称となっている。基板20は、後述のアタッチメント42を介してシャフト41に取り付けられたときに、例えば、後述のシャフト41の回転軸AX1を中心に回転対称となるような形状となっている。基板20は、例えば、図1(B)に示したように円板形状となっている。基板20は、熱伝導率の高い材料によって構成されており、例えば、金属・合金系材料、セラミックス系材料、セラミックス金属混合系、サファイア等の結晶類、ダイヤモンド、またはガラスなどによって構成されている。ここで、金属・合金系材料としては、例えば、Al、Cu、Mo、W、CuWなどが挙げられる。セラミックス系材料としては、例えば、SiC、AlN、Al23、Si34、ZrO2,Y23などが挙げられる。セラミックス金属混合系としては、例えば、SiC−Al、SiC−Mg、SiC−Siなどが挙げられる。
【0015】
基板20の直径D2は、例えば、20mm以上、100mm以下となっている。基板20の厚さは、例えば、0.3mm以上、2.0mm以下となっている。基板20は、単層で構成されていてもよいし、複数の層で構成されていてもよい。基板20が単層で構成されている場合、基板20が反射率の高い材料によって構成されていることが好ましい。基板20が複数の層で構成されている場合、基板20の上面を構成する層が反射率の高い材料によって構成されていることが好ましい。
【0016】
蛍光体層10は、基板20の中央に配置されている。蛍光体層10は、例えば、図1(B)に示したように円板形状となっており、基板10と同心円状に配置されている。蛍光体層10は、特定の波長の光が入射すると、その特定の波長の光(入射光)によって励起されて、入射光の波長とは異なる波長域の光を発するものである。蛍光体層10は、例えば、約445nmの中心波長を持つ青色光によって励起されて黄色の蛍光(黄色光)を発する蛍光物質を含んでいる。蛍光体層10は、例えば、青色光が入射すると、青色光の一部を、黄色光に変換するようになっている。蛍光体層10に含まれる蛍光物質は、例えば、YAG系蛍光体(例えばY3Al512)である。YAG系蛍光体は、約445nmの中心波長を持つ青色光によって励起されて黄色の蛍光(黄色光)を発する蛍光物質の1つである。蛍光体層10に含まれる蛍光物質がYAG系蛍光体である場合に、YAG系蛍光体にCeがドープされていてもよい。
【0017】
蛍光体層10は、YAG系蛍光体以外の酸化物蛍光体を含んで構成されていてもよい。蛍光体層10は、酸化物蛍光体以外の蛍光体を含んで構成されていてもよく、例えば、酸窒化物蛍光体、窒化物系蛍光体、硫化物蛍光体、または、シリケート系蛍光体を含んで構成されていてもよい。ここで、酸窒化物蛍光体は、例えば、BSON蛍光体(例えばBa3Si6122:Eu2+)である。窒化物系蛍光体は、例えば、CASN蛍光体(例えばCaAlSiN3:Eu)、または、SiAlON蛍光体である。硫化物蛍光体は、例えば、SGS蛍光体(例えばSrGa24:Eu)である。シリケート系蛍光体は、例えば、TEOS蛍光体(例えばSi(OC254)である。
【0018】
蛍光体層10は、例えば、粉体の蛍光体と、粉体の蛍光体を保持するバインダとを含んで構成されている。蛍光体層10は、例えば、粉体の蛍光体と、粉体の蛍光体を無機材料で固めたものであってもよい。蛍光体層10は、例えば、粉体の蛍光体と、粉体の蛍光体を保持するバインダとを含んだものを基板20上に塗布することにより形成されたものであってもよい。蛍光体層10は、例えば、粉体の蛍光体と、粉体の蛍光体を保持するバインダ(例えばセラミックス材料)とを含んだものを焼結することにより形成されたものであってもよい。なお、蛍光体層10に含まれる粉体の蛍光体は、例えば、上述した各種蛍光体である。蛍光体層10は、蛍光体材料で構成された多結晶板であってもよい。多結晶板は、蛍光体材料で構成された多結晶材を板状に加工することにより形成される。
【0019】
基板20および蛍光体層10は、基板20および蛍光体層10の線膨張係数の差が1mあたり、1×10-6cm/℃以下となる材料によって構成されていることが好ましい。蛍光体層10が、CeドープのYAG系蛍光体で構成された多結晶板である場合、蛍光体層10の線膨張係数は、1mあたり、約8.0x10-6m/℃となる。基板20が、チタン合金で構成されている場合、基板20の線膨張係数は、1mあたり、約8.4x10-6m/℃となる。従って、蛍光体層10が、CeドープのYAG系蛍光体で構成された多結晶板であり、かつ、基板20が、チタン合金で構成されている場合には、基板20および蛍光体層10の線膨張係数の差は、1mあたり、0.4×10-6cm/℃となる。つまり、蛍光体層10が、セラミックス材料によって構成された多結晶板であり、かつ、基板20が、チタン合金で構成されている場合には、基板20および蛍光体層10の線膨張係数の差が、1mあたり、1×10-6cm/℃以下となる。
【0020】
基板20が、線膨張係数の大きな材料、例えば、アルミニウム(1mあたり、23x10-6cm/℃)、ステンレス(1mあたり、17x10-6cm/℃)、銅(1mあたり、17x10-6cm/℃)で構成されていてもよい。ただし、この場合には、基板20および蛍光体層10の線膨張係数の差は、1mあたり、1×10-6cm/℃よりもはるかに大きな値となる。
【0021】
例えば、蛍光体層10をセラミックス材料で構成し、基板20をアルミニウムで構成したとする。さらに、例えば、蛍光体層10の直径を20mmとし、室温20℃にて、蛍光体層10の温度を200℃にし、基板20の温度を150℃としたとする。このときの膨張量は、それぞれ、
蛍光体層10: 14.4mm
基板20: 29.9mm
となり、膨張量の差が、概略15.5mmとなる。
【0022】
一方、例えば、蛍光体層10をセラミックス材料で構成し、基板20をチタン合金で構成したとする。さらに、例えば、蛍光体層10の直径を20mmとし、室温20℃にて、蛍光体層10の温度を200℃にし、基板20の温度を150℃としたとする。このときの膨張量は、それぞれ、
蛍光体層10: 14.4mm
基板20: 10.9mm
となり、膨張量の差が、概略3.5mmとなり、上記の膨張量の1/5にまで小さくなる。
【0023】
蛍光体層10の直径D1は、例えば、3mm以上、60mm以下となっている。基板20の直径D2が20mmとなっているときに、蛍光体層10の直径D1は、例えば、3mmとなっている。基板20の直径D2が100mmとなっているときに、蛍光体層10の直径D1は、例えば、60mmとなっている。蛍光体層10は、単層で構成されていてもよいし、複数の層で構成されていてもよい。蛍光体層10が複数の層で構成されている場合、蛍光体層10のうち、基板20側の面(下面)を構成する層が反射率の高い材料を含んで構成されていてもよい。
【0024】
蛍光体基板1は、さらに、例えば、図1に示したように、基板20と蛍光体層10との間に、基板20および蛍光体層10を互いに固定する固定層30を備えていてもよい。固定層30は、例えば、有機接着材、または、無機接着剤、低融点ガラス、または半田を含んで構成されている。固定層30として用いられる有機接着材は、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、または、フッ素樹脂である。固定層30として用いられる無機接着材は、例えば、シリカ接着剤、アルミナ接着剤、または、セラミック系接着剤である。低融点ガラスは、例えば、フリットガラス、または、ケイ酸塩ガラスである。
【0025】
なお、例えば、図2に示したように、蛍光体基板1において、固定層30が省略されていてもよい。この場合、蛍光体層10は、固定層30を介さずに、基板20に直接、固定されている。この場合に、基板20および蛍光体層10に含まれるバインダがセラミックス材料を含んで構成されていてもよい。このとき、基板20および蛍光体層10は、例えば、セラミックス材料を含む複数の層を互いに貼り合わせた状態で焼結することにより形成されたものであってもよい。
【0026】
蛍光体基板1において、固定層30が省略されている場合に、基板20と蛍光体層10とは、例えば、常温接合またはオプティカルコンタクトによって互いに接合されていてもよい。常温接合には、表面活性化結合と、原子拡散接合とが存在する。表面活性化結合とは、物質の接合面を真空中で表面処理し、活性化することで、接着剤や熱、圧力などを加えずに2つの物質を接合する接合方法を指している。アルゴンスパッタなどにより、物質の接合面に存在する酸化物や不純物を除去することで、物質の接合面が活性化される。原子拡散接合とは、物質の接合面に超高真空中で微細結晶膜を形成し、2つの薄膜を真空中で重ね合わせることで、常温、無加圧、無電圧で2つの物質を接合する接合方法を指している。オプティカルコンタクトとは、精密研磨された平面同士を密着させることにより、平面の分子に相互作用を働かせ、平面の分子を内部の分子のように安定させる接合方法を指している。
【0027】
なお、蛍光体層10は、例えば、図3に示したように、蛍光体層10の中央に開口10Hを有する環形状となっていてもよい。このとき、蛍光体層10は、例えば、基板20と同心円状に配置されている。また、このとき、蛍光体層10の直径(外径)は、上述したD1と等しくなっている。蛍光体層10の内径(開口10Hの直径)は、蛍光体層10に照射する励起光の照射領域(後述の光照射領域10B(図14参照))の内径よりも小さくなっている。
【0028】
図4は、蛍光体基板1に、アタッチメント42を介してモータのシャフト41が取り付けられているときの、蛍光体基板1、アタッチメント42、シャフト41およびネジ43の断面構成例を表したものである。図5は、図4において蛍光体基板1に取り付けられた各部品を分解した様子を斜視的に表したものである。なお、図4には、図1に記載の蛍光体基板1に、アタッチメント42を介してモータのシャフト41が取り付けられている様子が例示されている。なお、図1に記載の蛍光体基板1の代わりに、図3に記載の蛍光体基板1に対して、アタッチメント42を介してモータのシャフト41が取り付けられていてもよい。
【0029】
アタッチメント42は、蛍光体基板1と、モータのシャフト41の先端とを互いに接続するためのものである。アタッチメント42は、本開示の「支持部」の一具体例に対応する。アタッチメント42は、回転可能に構成されており、例えば、回転対称となっている。アタッチメント42は、例えば、円板形状となっている。アタッチメント42は、基板20の中央以外の部分を支持するようになっている。アタッチメント42は、基板20のうち、蛍光体層10と非対向の部分を支持するようになっている。アタッチメント42は、例えば、図4に示したように、基板20のうち、蛍光体層10と非対向の部分だけを支持するようになっている。つまり、アタッチメント42は、例えば、基板20のうち、蛍光体層10の直下の部分を避けるようにして、基板20に固定される。
【0030】
シャフト41は、アタッチメント42の底面に固定され、例えば、接着剤などによってアタッチメント42の底面に固定される。アタッチメント42は、アタッチメント42がシャフト41に取り付けられたときに、例えば、シャフト41の回転軸AX1を中心に回転対称となるような形状となっている。アタッチメント42は、例えば、少なくとも蛍光体層10と対向する部分に窪みが形成された凹部42Aを有している。凹部42Aが、本技術の「第1凹部」「凹部」の一具体例に対応する。凹部42Aは、基板20のうち、蛍光体層10と対向する部分と、アタッチメント42との間に空隙を形成する。
【0031】
アタッチメント42は、例えば、アタッチメント42の外縁に、ネジ43を嵌め込むための複数の開口42Bを有している。基板20は、アタッチメント42が基板20に取り付けられたときに各開口42Bと対応する箇所に、ネジ43を嵌め込むための開口21を1つずつ有している。ネジ43が開口42Bおよび開口21に嵌め込まれることにより、アタッチメント42が基板20に固定される。なお、開口42B、開口21およびネジ43は、省略されてもよい。ただし、その場合には、アタッチメント42は、例えば、接着剤などを介して基板20に固定される。
【0032】
図6は、蛍光体基板1に、アタッチメント42を介してモータのシャフト41が取り付けられているときの、蛍光体基板1、アタッチメント42、シャフト41およびネジ43の断面構成例を表したものである。図7は、図6において蛍光体基板1に取り付けられた各部品を分解した様子を斜視的に表したものである。なお、図6には、図1に記載の蛍光体基板1に、アタッチメント42を介してモータのシャフト41が取り付けられている様子が例示されている。なお、図1に記載の蛍光体基板1の代わりに、図3に記載の蛍光体基板1に対して、タッチメント42を介してモータのシャフト41が取り付けられていてもよい。
【0033】
アタッチメント42は、例えば、図6図7に示したように、シャフト41の先端部分を嵌め込むための開口42Cを有している。開口42Cは、本開示の「固定部」の一具体例に対応する。開口42Cは、凹部42Aの底面に設けられており、モータのシャフト41を固定するものである。シャフト41は、シャフト41の先端部分が開口42Cに嵌め込まれることにより、アタッチメント42に固定される。このとき、シャフト41は、例えば、図6図7に示したように、シャフト41の先端部分に、開口42Cの形状および大きさに対応した凸部41Aを有していることが好ましい。
【0034】
図8は、蛍光体基板1に、アタッチメント44を介してモータのシャフト41が取り付けられているときの、蛍光体基板1、アタッチメント44、シャフト41およびネジ43の断面構成例を表したものである。図9は、図8において蛍光体基板1に取り付けられた各部品を分解した様子を斜視的に表したものである。なお、図8には、図1に記載の蛍光体基板1に、アタッチメント44を介してモータのシャフト41が取り付けられている様子が例示されている。なお、図1に記載の蛍光体基板1の代わりに、図3に記載の蛍光体基板1に対して、アタッチメント4を介してモータのシャフト41が取り付けられていてもよい。
【0035】
アタッチメント44は、蛍光体基板1と、モータのシャフト41の先端とを互いに接続するためのものである。アタッチメント44は、本開示の「支持部」の一具体例に対応する。アタッチメント44は、回転可能に構成されており、例えば、回転対称となっている。アタッチメント44は、例えば、円板形状となっている。アタッチメント44は、基板20の中央以外の部分を支持するようになっている。アタッチメント44は、基板20のうち、蛍光体層10と非対向の部分を支持するようになっている。アタッチメント44は、例えば、図8に示したように、基板20のうち、蛍光体層10と非対向の部分だけを支持するようになっている。つまり、アタッチメント44は、例えば、基板20のうち、蛍光体層10の直下の部分を避けるようにして、基板20に固定される。
【0036】
シャフト41は、アタッチメント44の底面に固定される。シャフト41は、例えば、後述の開口44Cなどによってアタッチメント44の底面に固定されてもよいし、接着剤などによってアタッチメント44の底面に固定されてもよい。アタッチメント44はシャフト41に取り付けられたときに、例えば、シャフト41の回転軸AX1を中心に回転対称となるような形状となっている。
【0037】
アタッチメント44は、例えば、アタッチメント44の上面の外縁に、ネジ43を嵌め込むための複数の凹部44Bを有している。アタッチメント44は、さらに、例えば、アタッチメント44の上面の外縁(すなわち、蛍光体層10と非対向の部分)に、複数の凸部44Aを有している。凸部44Aは、本開示の「凸部」の一具体例に対応する。複数の凸部44Aは、基板20のうち、蛍光体層10と対向する部分と、アタッチメント4との間に空隙を形成する。各凸部44Aは、上面に、1または複数の凹部44Bを有している。基板20は、アタッチメント44が基板20に取り付けられたときに各凹部44Bと対応する箇所に、ネジ43を嵌め込むための開口21を有している。ネジ43が凹部44Bおよび開口21に嵌め込まれることにより、アタッチメント44が基板20に固定される。なお、凹部44B、開口21およびネジ43は、省略されてもよい。ただし、その場合には、アタッチメント44の各凸部44Aが、例えば、接着剤などを介して基板20に固定される。
【0038】
図10は、蛍光体基板1に、アタッチメント42を介してモータのシャフト41が取り付けられているときの、蛍光体基板1、アタッチメント42、シャフト41およびネジ43の断面構成例を表したものである。図11は、図10において蛍光体基板1に取り付けられた各部品を分解した様子を斜視的に表したものである。なお、図10には、図1に記載の蛍光体基板1に、アタッチメント42を介してモータのシャフト41が取り付けられている様子が例示されている。なお、図1に記載の蛍光体基板1の代わりに、図3に記載の蛍光体基板1に対して、アタッチメント42を介してモータのシャフト41が取り付けられていてもよい。
【0039】
アタッチメント42は、例えば、図10図11に示したように、凹部42Aの底面のうち、シャフト41の固定される箇所(例えば、開口42C)の周囲に、環状の凹部42Dを有している。凹部42Dが、本開示の「第3凹部」の一具体例に対応する。これにより、例えば、図10の矢印に示したように、蛍光体層10(熱源)とシャフト41との距離が長くなる。
【0040】
図12は、蛍光体基板1に、アタッチメント45を介してモータのシャフト41が取り付けられているときの、蛍光体基板1、アタッチメント45、シャフト41およびネジ43の断面構成例を表したものである。図13は、図12において蛍光体基板1に取り付けられた各部品を分解した様子を斜視的に表したものである。なお、図12には、図1に記載の蛍光体基板1に、アタッチメント45を介してモータのシャフト41が取り付けられている様子が例示されている。なお、図1に記載の蛍光体基板1の代わりに、図3に記載の蛍光体基板1に対して、アタッチメント45を介してモータのシャフト41が取り付けられていてもよい。
【0041】
アタッチメント45は、蛍光体基板1と、モータのシャフト41の先端とを互いに接続するためのものである。アタッチメント45は、本開示の「支持部」の一具体例に対応する。アタッチメント45は、回転可能に構成されており、例えば、回転対称となっている。アタッチメント45は、例えば、円板形状となっている。アタッチメント45は、基板20の中央以外の部分を支持するようになっている。アタッチメント45は、基板20のうち、蛍光体層10と非対向の部分を支持するようになっている。アタッチメント45は、例えば、図12に示したように、基板20のうち、蛍光体層10と非対向の部分と、基板20のうち、蛍光体層10と対向する部分の一部とを支持するようになっている。
【0042】
シャフト41は、アタッチメント45の底面に固定される。シャフト41は、例えば、上述の開口42Cなどによってアタッチメント45の底面に固定されてもよいし、接着剤などによってアタッチメント45の底面に固定されてもよい。アタッチメント45は、アタッチメント45がシャフト41に取り付けられたときに、例えば、シャフト41の回転軸AX1を中心に回転対称となるような形状となっている。アタッチメント45は、例えば、蛍光体層10と対向する部分に複数の凹部45Aを有している。凹部45Aが、本技術の「第2凹部」の一具体例に対応する。各凹部45Aは、基板20と、アタッチメント45との間に空隙を形成する。
【0043】
アタッチメント45は、例えば、アタッチメント45の外縁に、ネジ43を嵌め込むための複数の開口45Bを有している。基板20は、アタッチメント45が基板20に取り付けられたときに各開口45Bと対応する箇所に、ネジ43を嵌め込むための開口21を1つずつ有している。ネジ43が開口45Bおよび開口21に嵌め込まれることにより、アタッチメント45が基板20に固定される。なお、開口45B、開口21およびネジ43は、省略されてもよい。ただし、その場合には、アタッチメント45は、例えば、接着剤などを介して基板20に固定される。
【0044】
(光源装置2)
次に、本開示の第1の実施の形態に係る光源装置2について説明する。図14は、上述の蛍光体基板1およびアタッチメント42,44,45を用いた光源装置2の概略構成例を表したものである。光源装置2は、上述の蛍光体基板1およびアタッチメント42,44,45を光変換部2Aに適用したものである。光源装置2は、光変換部2Aおよび光源部2Bを備えている。
【0045】
光源部2Bは、光変換部2Aに対して励起光L1を照射するためのものである。光源部2Bが、本開示の「光源」の一具体例に対応する。光源部2Bは、例えば、2つの光源111と、集光ミラー112,113,114と、ダイクロイックミラー115とを有している。各光源111は、蛍光体層10を励起させるのに適した波長範囲内に発光強度のピーク波長を有する光(励起光L1)を出射するようになっている。蛍光体層10が、400nm〜500nmの波長範囲内の波長を有する光(青色光)によって励起されて黄色の蛍光を発する蛍光物質を含んでいるとする。この場合、各光源111は、例えば、400nm〜500nmの波長範囲内に、発光強度のピーク波長を有する青色光を、励起光L1として出射する半導体レーザまたは発光ダイオードを含んで構成されている。
【0046】
集光ミラー112,113は、例えば、凹面反射鏡であり、2つの光源111から出射された光(励起光L1)を、集光ミラー114に向けて反射するとともに集光するようになっている。集光ミラー114は、例えば、凸面反射鏡であり、集光ミラー112,113からの反射光を略平行な光にして、蛍光体層10に向けて反射するようになっている。
【0047】
ダイクロイックミラー115は、所定の波長域の色光を選択的に反射し、それ以外の波長域の光を透過させるようになっている。ダイクロイックミラー115は、2つの光源111から出射された光(励起光L1)を透過し、蛍光体層10から出射された光(蛍光L2)を反射するようになっている。ダイクロイックミラー115は、また、後述の光源117から出射された光L3を透過するようになっている。ここで、ダイクロイックミラー115で反射された後の蛍光L2の進行方向と、光L3の進行方向とは、互いに等しくなっている。従って、ダイクロイックミラー115は、蛍光L2と光L3とを互いに混合し、混合光を所定の方向に出射するようになっている。光L3は、励起光L1と共通の波長範囲内に発光強度のピーク波長を有する光である。励起光L1が400nm〜500nmの波長範囲内に、発光強度のピーク波長を有する青色光である場合、光L3も、400nm〜500nmの波長範囲内に、発光強度のピーク波長を有する青色光である。
【0048】
光源部2Bは、光変換部2Aから出力された光(蛍光L2)に混ぜ合わせることにより白色光Lwを生成することの可能な光L3を生成するためのものでもある。光源部2Bは、さらに、例えば、1つの光源117と、集光レンズ116とを有している。光源117は、光L3を出射するようになっている。光源117は、光L3を出射する半導体レーザまたは発光ダイオードを含んで構成されている。集光レンズ116は、ダイクロイックミラー115で生成された混合光(白色光Lw)を集光し、他の光学システムに向けて出射するようになっている。
【0049】
光変換部2Aは、光源部2Bに対して、励起光L1の波長範囲とは異なる波長範囲内に、発光強度のピークを有する蛍光L2を出力するためのものである。光変換部2Aは、光源部2Bから出射された光を励起光L1として蛍光L2を光源部2Bに出力するようになっている。光変換部2Aは、蛍光体基板1と、アタッチメント42,44,45を介して蛍光体基板1と連結されたモータ121と、蛍光体基板1の上面と所定の間隙を介して対向する位置に配置された集光レンズ122とを有している。モータ121が、本開示の「モータ」の一具体例に対応する。アタッチメント42,44,45は、モータ121の回転駆動力を基板20に伝達するように構成されている。集光レンズ122は、光源部2Bから入力された励起光L1を集光して、蛍光体層10のうち所定の位置を照射するためのものである。集光レンズ122は、例えば、レンズ122aおよびレンズ122bを含んで構成されている。
【0050】
図15図16は、光源装置2における、蛍光体基板1への励起光L1の照射の一例を表したものである。集光レンズ122は、集光レンズ122で集光された後の励起光L1が蛍光体層10の上面の外縁を照射するように構成されている。ここで、蛍光体層10が回転していないときに、蛍光体層10において、励起光L1によって照射される部分を光照射点10Aとする。蛍光体層10が励起光L1によって照射される際には、蛍光体層10は、基板20と共に回転軸AX1を中心として回転するので、励起光L1は、蛍光体層10が回転している間、蛍光体層10の上面の外縁を環状に照射する。従って、光照射点10Aは、蛍光体層10が回転している間、蛍光体層10の上面の外縁を移動する。なお、図16の光照射領域10Bが、蛍光体層10の上面において、光照射点10Aが通過する環状の領域に相当する。
【0051】
ところで、励起光L1のエネルギー分布がガウシアン分布となっているとする。この場合、励起光L1のビーム径は、中心強度の1/e2(=13.5%)以上の強度を持つ光束の直径に相当する。ここで、光照射点10Aの直径が、励起光L1のビーム径に等しいとする。このとき、光照射領域10Bの線幅は、光照射点10Aの直径と等しいので、光照射領域10Bの線幅は、励起光L1のビーム径に等しくなる。
【0052】
ここで、励起光L1の全エネルギーの99.9%以上が、励起光L1のビーム径の1.52倍の直径の光束の中にある。従って、集光レンズ122が、励起光L1のビーム径(光照射点10Aの直径)の1.52倍の直径の光束が蛍光体層10の上面を照射するように、配置されていることが好ましい。励起光L1のビーム径(光照射点10Aの直径)が、光変換効率などの観点から3mmとなっているとする。このとき、集光レンズ122は、蛍光体層10の上面の端縁から、2.28mm(=3mm×1.52/2)以上離れた位置に光照射点10Aの中心が位置するように、配置されていることが好ましい。
【0053】
なお、集光レンズ122が、蛍光体層10の上面の端縁から、2.28mm(=3mm×1.52/2)だけ離れた位置に、光照射点10Aの中心が位置するように、配置されていてもよい。このとき、励起光L1のビーム径(光照射点10Aの直径)の1.52倍の直径の光束は、蛍光体層10の上面の端縁と、蛍光体層10の上面の端縁から4.56mm(=2.28mm×2)離れた位置との間の帯状の領域を照射することになる。従って、この場合には、蛍光体層10のうち、蛍光体層10の上面の端縁から4.56mmよりも遠く離れた部分は、励起光L2の生成には寄与していないことになる。そのため、蛍光体層10は、励起光L2の生成に寄与する部分だけで構成されていてもよく、例えば、図17図18に示したように、開口10Hを有する環形状となっていてもよい。このとき、蛍光体層10の線幅は、励起光L1のビーム径(光照射点10Aの直径)の1.52倍の直径よりも大きくなっている。励起光L1のビーム径(光照射点10Aの直径)が、光変換効率などの観点から3mmとなっている場合には、蛍光体層10の線幅は、4.56mmよりも大きくなっている。
【0054】
[効果]
次に、本実施の形態の蛍光体基板1および光源装置2の効果について説明する。
【0055】
通常、蛍光体層の発光には、輝度飽和や温度消光という現象が存在する。これは、励起光の出力を高くした場合に、蛍光体層での変換損失の一部が熱に変わって蛍光体層が発熱し、蛍光変換効率が下がってしまう現象である。蛍光変換効率が低い状態では、効率のよい明るい光源装置は実現できない。そのため、蛍光体層は、熱伝導性の高い基板の表面に設けられる。
【0056】
ところで、蛍光体層と、蛍光体層が設けられている基板とは、接着層などを介して互いに固定されていたり、常温接合やオプティカルコンタクトなどによって直接、互いに固定されていたりする。そのため、蛍光体層および基板のそれぞれの熱膨張に起因する応力により基板に反りが発生し、励起光の焦点位置がずれてしまった場合には、蛍光変換効率が悪化する虞がある。
【0057】
しかし、本実施の形態では、基板20の中央に蛍光体層10が配置されている。これにより、蛍光体層10および基板20のそれぞれの熱膨張に起因する応力により基板20に反りが発生した場合であっても、基板の外縁、または基板全体に蛍光体層が配置されている場合と比べて、蛍光体層10の変位量を少なくすることができる。その結果、熱膨張に起因する焦点位置のずれを低減することができる。
【0058】
また、本実施の形態において、基板20および蛍光体層10が、基板20および蛍光体層10の線膨張係数の差が1×10-6cm/℃以下となる材料によって構成されている場合には、基板および蛍光体層が、基板および蛍光体層10の線膨張係数の差が1×10-6cm/℃を超える材料によって構成されている場合と比べて、蛍光体層10の変位量を少なくすることができる。その結果、熱膨張に起因する焦点位置のずれを低減することができる。
【0059】
また、通常、蛍光体層は、熱伝導性の高い基板に取り付けられたモータによって回転される。蛍光体層で生じた熱が、基板を介してモータに伝達した場合、モータの温度上昇によって、モータの信頼性が低下する虞がある。
【0060】
しかし、本実施の形態では、基板20のうち、基板20の中央以外の部分を支持するアタッチメント42,44,45が設けられている。これにより、アタッチメントが、蛍光体層10の配置された、基板20の中央全体を支持している場合と比べて、蛍光体層10で生じた熱が、基板20を介してモータ121に伝達し難い。その結果、モータ121の温度上昇によるモータ121の信頼性の低下を抑制することができる。
【0061】
<2.第2の実施の形態>
[構成]
次に、本開示の第の実施の形態に係るプロジェクタについて説明する。プロジェクタは、本開示の「投射型表示装置」の一具体例に対応する。図19は、本開示の第の実施の形態に係るプロジェクタの概略面構成例を表したものである。プロジェクタは、上述の光源装置2を備えている。プロジェクタは、さらに、画像生成システムおよび投射光学系を備えている。
【0062】
画像生成システムは、上述の光源装置2から出射された光(白色光Lw)を映像信号に基づいて変調することにより複数色の画像光を生成し、生成した複数色の画像光を合成した上で、投影光学系に出射するようになっている。画像生成システムは、照明光学系10、画像生成部20および画像合成部30を有している。投射光学系は、画像生成システムから出射された画像光(合成された画像光)をスクリーンなどに投射するようになっている。画像生成システムは、本開示の「光変調部」の一具体例に対応する。投射光学系は、本開示の「投射部」の一具体例に対応する。
【0063】
照明光学系10は、上述の光源装置2から出射された光(白色光Lw)を複数の色光に分解するものである。照明光学系10は、例えば、インテグレータ素子11、偏光変換素子12、集光レンズ13、ダイクロイックミラー14,15およびミラー16〜18を有している。インテグレータ素子11は、例えば、フライアイレンズ11aおよびフライアイレンズ11bを有している。フライアイレンズ11aは、2次元配置された複数のマイクロレンズを有している。フライアイレンズ11bも、2次元配置された複数のマイクロレンズを有している。フライアイレンズ11aは、上述の光源装置2から出射された光(白色光Lw)を複数の光束に分割し、フライアイレンズ11bにおける各マイクロレンズに結像させるようになっている。フライアイレンズ11bは、二次光源として機能し、輝度の揃った複数の平行光を、偏光変換素子12に入射させるようになっている。ダイクロイックミラー14,15は、所定の波長域の色光を選択的に反射し、それ以外の波長域の光を透過させるようになっている。ダイクロイックミラー14は、例えば、赤色光を選択的に反射するようになっている。ダイクロイックミラー15は、例えば、緑色光を選択的に反射するようになっている。
【0064】
画像生成部20は、外部から入力された各色に対応する映像信号に基づいて、照明光学系10によって分解された各色光を変調し、各色の画像光を生成するものである。画像生成部20は、例えば、赤色光用のライトバルブ21、緑色光用のライトバルブ22、青色光用のライトバルブ23を有している。赤色光用のライトバルブ21は、外部から入力された赤色に対応する映像信号に基づいて、照明光学系10から入力された赤色光を変調し、赤色の画像光を生成するものである。緑色光用のライトバルブ22は、外部から入力された緑色に対応する映像信号に基づいて、照明光学系10から入力された緑色光を変調し、緑色の画像光を生成するものである。青色光用のライトバルブ23は、外部から入力された青色に対応する映像信号に基づいて、照明光学系10から入力された青色光を変調し、青色の画像光を生成するものである。
【0065】
画像合成部30は、画像生成部20で生成された各色の画像光を合成し、カラー画像光を生成するものである。
【0066】
[効果]
次に、本実施の形態のプロジェクタの効果について説明する。
【0067】
本実施の形態では、光源として、上記実施の形態の光源装置2が用いられている。これにより、上記実施の形態の光源装置2において、熱膨張に起因する焦点位置のずれを低減することができるので、プロジェクタから出射されるカラー画像光の輝度が所望の値よりも低くなるのを抑制することができる。
【0068】
以上、3つの実施の形態を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記各実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。なお、本明細書中に記載された効果は、あくまで例示である。本開示の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されるものではない。本開示が、本明細書中に記載された効果以外の効果を持っていてもよい。
【0069】
例えば、上記実施の形態では、本開示をプロジェクタ5の光源装置に適用する例が説明されていたが、例えば、本開示を照明装置に適用することももちろん可能である。照明装置としては、例えば、車両等のヘッドライドなどが挙げられる。
【0070】
また、例えば、本開示は以下のような構成を取ることができる。
(1)
回転可能に構成された基板と、
前記基板の中央に配置された蛍光体層と、
前記蛍光体層に励起光を照射する光源と、
前記基板のうち、当該基板の中央以外の部分を支持する支持部と
を備えた
光源装置。
(2)
前記支持部は、前記基板のうち、前記蛍光体層と非対向の部分を支持する
(1)に記載の光源装置。
(3)
前記支持部は、前記基板のうち、前記蛍光体層と非対向の部分だけを支持する
(1)または(2)に記載の光源装置。
(4)
前記支持部は、少なくとも前記蛍光体層と対向する部分に窪みが形成された第1凹部を有し、
前記第1凹部は、前記基板のうち、前記蛍光体層と対向する部分と、前記支持部との間に空隙を形成する
(3)に記載の光源装置。
(5)
前記支持部は、前記蛍光体層と非対向の部分に複数の凸部を有し、
複数の前記凸部は、前記基板のうち、前記蛍光体層と対向する部分と、前記支持部との間に空隙を形成する
(3)に記載の光源装置。
(6)
前記支持部は、前記基板のうち、前記蛍光体層と非対向の部分と、前記基板のうち、前記蛍光体層と対向する部分の一部とを支持する
(1)または(2)に記載の光源装置。
(7)
前記支持部は、前記蛍光体層と対向する部分に複数の第2凹部を有し、
各前記第2凹部は、前記支持部と前記基板との間に空隙を形成する
(6)に記載の光源装置。
(8)
前記支持部は、前記第1凹部の底面に、モータのシャフトを固定する固定部を有する
(5)に記載の光源装置。
(9)
前記支持部は、前記第1凹部の底面のうち、前記固定部の周囲に、環状の第2凹部を有する
(8)に記載の光源装置。
(10)
前記基板および前記蛍光体層は、円板形状となっており、
前記蛍光体層は、前記基板と同心円状に配置されている
(1)ないし(9)のいずれか1つに記載の光源装置。
(11)
前記基板は、円板形状となっており、
前記蛍光体層は、環形状となっており、前記基板と同心円状に配置されている
(1)ないし(9)のいずれか1つに記載の光源装置。
(12)
当該光源装置は、前記支持部に連結されたモータを備え、
前記支持部は、前記モータの回転駆動力を前記基板に伝達するように構成されている
(1)ないし(11)のいずれか1つに記載の光源装置。
(13)
回転可能に構成された基板と、
前記基板の中央に配置された蛍光体層と、
前記蛍光体層に励起光を照射する光源と、
前記基板のうち、当該基板の中央以外の部分を支持する支持部と、
前記光源から出射された前記励起光を映像信号に基づいて変調することにより画像光を生成する光変調部と、
前記光変調部で生成された前記画像光を投射する投射部と
を備えた
投射型表示装置。
【0071】
本出願は、日本国特許庁において2015年5月15日に出願された日本特許出願番号第2015−099920号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願のすべての内容を参照によって本出願に援用する。
【0072】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19