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前記ポリイソシアネート成分が、芳香族ジイソシアネートとポリエーテルポリオールとの反応生成物であるポリエーテルウレタンポリイソシアネートを含む、請求項1〜3いずれか1項に記載の2液硬化型接着剤。
【発明を実施するための形態】
【0013】
≪2液硬化型接着剤≫
本発明の2液硬化型接着剤は、イソシアネート基と水酸基との化学反応によって硬化する接着剤であり、ポリエーテルウレタンポリオール(A)と数平均分子量が500〜3,000のポリエステルポリオール(B)とを含むポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とを含み、ポリエステルポリオール(B)の含有量が、前記ポリエーテルウレタンポリオール(A)100質量部に対して1.0〜4.0質量部であることを特徴とする。
数平均分子量が500〜3,000のポリエステルポリオール(B)を所定範囲量含むことで、ポリエーテルウレタンポリオール(A)との相溶性を低下させることなく、高速塗工を行った場合においても、塗工ムラを抑制し残留溶剤が少なく、さらに接着力に優れる接着剤を得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0014】
<ポリオール成分>
本発明におけるポリオール成分は、ポリエーテルウレタンポリオール(A)及び、ポリエーテルウレタンポリオール(A)100質量部に対して1.0〜4.0質量部の数平均分子量が500〜3,000のポリエステルポリオール(B)を含む。ポリエステルポリオール(B)の含有量は、より好ましくは、ポリエーテルウレタンポリオール(A)100質量部に対して2.0〜4.0質量部である。2.0〜4.0質量部の範囲であると、より接着強度に優れるため好ましい。
【0015】
[ポリエーテルウレタンポリオール(A)]
ポリエーテルウレタンポリオールとして好ましくは、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとを水酸基過剰の条件下に反応させた反応生成物である、水酸基とウレタン結合とを有する化合物である。これらのポリエーテルウレタンポリオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
上記ポリエーテルポリオールは、水酸基とエーテル結合とを分子内に各々2つ以上有する化合物であればよい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコールのようなポリアルキレングリコール;ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体;プロピレンオキサイド・エチレンオキサイドランダムポリエーテル;が挙げられる。
また、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、シュークローズ等の低分子量ポリオール開始剤に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を付加重合した付加重合体をポリエーテルポリオールとして用いてもよい。
該付加重合体としては、例えば、プロピレングリコールプロピレンオキサイド付加体、グリセリンプロピレンオキサイド付加体、ソルビトール系プロピレンオキサイド付加体、シュークローズ系プロピレンオキサイド付加体が挙げられる。
【0017】
ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、好ましくは100以上5,000以下であり、より好ましくは300以上2,500以下である。これらのポリエーテルポリオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
上記ポリイソシアネートは、イソシアネート基を2つ以上有する化合物であればよい。
ポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、又は脂環族ポリイソシアネートが挙げられ、これらが変性された変性体であってもよい。
これらのポリイソシアネートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネート;ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート;が挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−又は1,4−キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、ω,ω′−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−又は1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート;が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートのような脂肪族ジイソシアネート;が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;が挙げられる。
【0020】
ポリイソシアネートの変性体としては、例えば、アロファネート型変性体、イソシアヌレート型変性体、ビウレット型変性体、アダクト型変性体が挙げられる。
【0021】
ポリエーテルウレタンポリオール(A)として好ましくは、数平均分子量100〜5,000の2官能若しくは3官能のポリアルキレングリコールと、芳香族ジイソシアネートとの反応生成物である。
またポリエーテルウレタンポリオール(A)の重量平均分子量は、好ましくは15,000〜45,000である。
【0022】
本発明におけるポリエーテルウレタンポリオール(A)は、変性されていてもよく、ポリエーテルウレタンポリオールに酸無水物を反応させてカルボキシル基を導入したものであってもよい。
上記酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、無水メリト酸、無水トリメリット酸、トリメリット酸エステル無水物が挙げられる。トリメリット酸エステル無水物としては、例えば、炭素数2〜30のアルキレングリコール又はアルカントリオールを無水トリメリット酸でエステル化反応させてなるエステル化合物が挙げられ、具体的には、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、プロピレングリコールビスアンヒドロトリメリテート等が挙げられる。
【0023】
[数平均分子量が500〜3,000のポリエステルポリオール(B)]
ポリエステルポリオール(B)は、数平均分子量が500〜3,000であれば公知のポリエステルポリオールから選択することができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
ポリエステルポリオール(B)としては、例えば、カルボキシル基成分と水酸基成分とを反応させて得られるポリエステルポリオール;ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β−メチル−γ−バレロラクトン)等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオール;が挙げられる。
上記カルボキシル基成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の二塩基酸若しくはそれらのジアルキルエステル又はそれらの混合物が挙げられ、上記水酸基成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3′−ジメチロールヘプタン、1,9−ノナンジオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオール等のジオール類若しくはそれらの混合物が挙げられる。
これらのカルボキシル基成分及び水酸基成分は、各々1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
ポリエステルポリオール(B)は、ジイソシアネートを反応させたポリエステルウレタンポリオールであってもよいし、酸無水物を反応させてカルボキシル基を導入したものであってもよい。
ジイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、無水メリト酸、無水トリメリット酸、トリメリット酸エステル無水物が挙げられる。
トリメリット酸エステル無水物としては、例えば、炭素数2〜30のアルキレングリコール又はアルカントリオールを無水トリメリット酸でエステル化反応させてなるエステル化合物が挙げられ、具体的には、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、プロピレングリコールビスアンヒドロトリメリテート等が挙げられる。
【0026】
ポリエステルポリオール(B)の数平均分子量は、500〜3,000であることが重要であり、好ましくは、1000〜2,500である。数平均分子量が500未満であると十分な接着力が得られず、3,000を超えるとポリエーテルウレタンポリオールとの相溶性が低下し、塗工ムラの原因となる。
なお、本明細書における数平均分子量及び重量平均分子量は、昭和電工社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、溶媒としてテトロヒドロフランを用いて、標準ポリスチレン換算した値である。
ポリエステルポリオール(B)が、包装材に要求される各種物性を満たすために、複数のポリエステルポリオールを含む場合、ポリエステルポリオール(B)の数平均分子量は、各々のポリエステルポリオールの数平均分子量とその質量比率から求めることができる。
【0027】
ポリエステルポリオール(B)の酸価は、好ましくは10〜50mgKOH/gであり、より好ましくは10〜40mgKOH/gであり、さらに好ましくは20〜30mgKOH/gである。酸価が10mgKOH/g以上であると接着力がより向上し、50mgKOH/g以下であると、ポットライフに優れるため好ましい。
ポリエステルポリオール(B)が複数のポリエステルポリオールを含む場合、ポリエステルポリオール(B)の酸価は、各々のポリエステルポリオールの酸価とその質量比率から求めることができる。
【0028】
ポリエステルポリオール(B)として好ましくは、カルボキシル基成分と水酸基成分とを反応させて得られるポリエステルポリオールの水酸基の一部に、酸無水物を反応させてなる酸無水物変性体であり、該水酸基成分は、全水酸基成分100モル中、1,4−ブタンジオールを30〜70モル%含むことが好ましい。このようなポリエステルポリオールを用いることによって、接着力に優れ且つ高速塗工においても塗工ムラが発生せず残留溶剤の少ない接着剤組成物を得ることができる。
【0029】
[その他ポリオール]
本発明におけるポリオール成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエーテルウレタンポリオール(A)及びポリエステルポリオール(B)以外のポリオールを含有することができる。
含んでもよいその他ポリオールとしては、例えば、数平均分子量が500未満のポリエステルポリオール若しくはポリエステルウレタンポリオール、数平均分子量が3,000を超えるポリエステルポリオール若しくはポリエステルウレタンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、ヒマシ油系ポリオール、フッ素系ポリオールが挙げられ、ポリオール中の水酸基の一部が酸変性された酸変性物であってもよい。
これらのその他ポリオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
<ポリイソシアネート成分>
本発明におけるポリイソシアネート成分は、イソシアネート基を2つ以上有する化合物であればよく、公知のポリイソシアネートから選択することができる。ポリイソシアネート成分としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、又はこれらの変性体が挙げられる。これらのポリイソシアネートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、及びこれらの変性体は、ポリエーテルウレタンポリオール(A)の項におけるポリイソシアネートの説明を援用することができる。
【0031】
本発明におけるポリイソシアネート成分として好ましくは、ポリイソシアネートの変性体として、上述のポリイソシアネート成分とポリオールとをイソシアネート基過剰の条件下に反応させた、イソシアネート基とウレタン結合とを有する反応生成物を含むものである。
上記ポリイソシアネートの変性体を形成するポリオールとしては、特に制限されず、公知のポリオールから選択することができ、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエステルウレタンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルウレタンポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、ヒマシ油系ポリオール、フッ素系ポリオールが挙げられる。
【0032】
ラミネート強度の観点から、ポリイソシアネート成分としてより好ましくは、上述のポリイソシアネート成分とポリエーテルポリオールとの反応生成物であり、さらに好ましくは、芳香族ジイソシアネートとポリエーテルポリオールとの反応生成物であるポリエーテルウレタンポリイソシアネートである。
上記芳香族ジイソシアネート及びポリエーテルポリオールは、ポリエーテルウレタンポリオール(A)におけるポリイソシアネート及びポリエーテルポリオールの説明を援用することができる。
【0033】
ポリイソシアネート成分の重量平均分子量は、好ましくは5,000〜30,000である。
【0034】
<溶剤>
本発明の接着剤は、溶剤型又は無溶剤型の接着剤として使用することができ、必要に応じて溶剤を含有してもよい。なお本明細書における「溶剤」とは、ポリオール成分やポリイソシアネート成分を溶解可能な溶解性の高い有機溶剤を指す。
上記溶解性の高い有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルオール、キシロール、n−ヘキサン、シクロヘキサンが挙げられる。
有機溶剤としてより好ましくは、ポリイソシアネート成分に対して不活性なものであり、例えば、酢酸エチル等のエステル系;メチルエチルケトン等のケトン系;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系;が挙げられる。
【0035】
本発明の接着剤の粘度は、常温〜150℃において好ましくは100〜10,000mPa・s、より好ましくは100〜5,000mPa・sであり、さらに好ましくは常温〜100℃において100〜10,000mPa・s、より好ましくは100〜5,000mPa・sである。常温〜100℃において100〜5,000mPa・sである場合は、無溶剤型の接着剤として用いることができる。
接着剤の粘度が上記範囲より高い場合は、上記有機溶剤で希釈してもよい。有機溶剤の含有量は所要される粘度によるが、一般的に、樹脂に対して15〜60質量%の範囲で含有することが望ましい。
【0036】
本発明の接着剤は、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を配合して得られる2液硬化型のウレタン系接着剤であって、ポリイソシアネート成分の配合量は、ポリオール成分を基準として好ましくは50〜250質量%の範囲であり、より好ましくは50〜200質量%の範囲であり、さらに好ましくは50〜100質量%の範囲である。
【0037】
また、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との配合割合は、前記イソシアネート成分が含有する全イソシアネート基と、前記ポリオール成分が含有する全水酸基との当量比[NCO/OH]が1.1〜5.0の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.3〜2.5の範囲である。
【0038】
本発明の接着剤は、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を配合した直後の酸価は、好ましくは5mgKOH/g以下であり、より好ましくは1mgKOH/g以下である。
【0039】
[その他成分]
本発明の接着剤は、接着剤又は包装材料に要求される各種物性を満たすために、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分以外のその他成分を含有してもよい。これらのその他成分は、ポリオール成分又はポリイソシアネート成分のいずれに配合してもよいし、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを配合する際に添加してもよい。これらのその他成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
(シランカップリング剤)
本発明の接着剤は、耐熱水性を高めるため、さらにシランカップリング剤を含有することができる。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランのようなビニル基を有するトリアルコキシシラン;3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシランのようなアミノ基を有するトリアルコキシシラン;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランのようなグリシジル基を有するトリアルコキシシラン;が挙げられる。シランカップリング剤の添加量は、接着剤の固形分を基準として、好ましくは0.1〜5質量%であり、より好ましくは0.5〜3質量%である。
【0041】
(リンの酸素酸又はその誘導体)
本発明の接着剤は、耐酸性を高めるため、さらにリンの酸素酸又はその誘導体を含有することができる。リンの酸素酸又はその誘導体の内、リンの酸素酸としては、遊離の酸素酸を少なくとも1個有しているものであればよく、例えば、次亜リン酸、亜リン酸、オルトリン酸、次リン酸のようなリン酸類;メタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ポリリン酸、ウルトラリン酸のような縮合リン酸類;が挙げられる。また、リンの酸素酸の誘導体としては、例えば、上記のリンの酸素酸を遊離の酸素酸を少なくとも1個残した状態でアルコール類と部分的にエステル化されたものが挙げられる。これらのアルコールとしては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリンのような脂肪族アルコール;フェノール、キシレノール、ハイドロキノン、カテコール、フロログリシノールのような芳香族アルコール;が挙げられる。リンの酸素酸又はその誘導体の添加量は、接着剤の固形分を基準として、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.05〜5質量%であり、さらに好ましくは0.1〜1質量%である。
【0042】
(レベリング剤又は消泡剤)
本発明の接着剤は、積層体の外観を向上させるため、さらにレベリング剤又は消泡剤を含有することができる。レベリング剤としては、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、アクリル系共重合物、メタクリル系共重合物、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、アクリル酸アルキルエステル共重合物、メタクリル酸アルキルエステル共重合物、レシチンが挙げられる。
消泡剤としては、例えば、シリコーン樹脂、シリコーン溶液、アルキルビニルエーテルとアクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルとの共重合物が挙げられる。
【0043】
(反応促進剤)
本発明の接着剤は、ウレタン化反応を促進するため、さらに反応促進剤を含有することができる。反応促進剤としては、例えば、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジマレートのような金属系触媒;1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7のような3級アミン;トリエタノールアミンのような反応性3級アミン;が挙げられる。
【0044】
本発明の接着剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレーク等の無機充填剤、層状無機化合物、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤等)、防錆剤、増粘剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、フィラー、結晶核剤、硬化反応を調整するための触媒が挙げられる。
【0045】
本発明の接着剤は、被接着物同士の貼り合わせた後、20℃〜60℃の温度条件下にて硬化させることにより接着剤の硬化反応が進行し硬化物となる。接着剤の用途は、特定されるべきものではないが、複数のフィルム等の基材をラミネートして積層体とする際の接着剤として有用である。
【0046】
≪積層体、包装体≫
本発明の積層体は、第一の基材と第二の基材との間に、本発明の2液硬化型接着剤の層を積層してなるものであり、具体的には、本発明の2液硬化型接着剤が溶剤型である場合は、ドライラミネーターを用いて、第1の基材に塗布し、必要に応じて乾燥工程を経た後、塗布面に第2の基材を貼り合わせ、エージングで接着剤層を硬化させて得ることができる。2液硬化型接着剤が無溶剤型である場合は、ノンソルラミネーターを用いて、通常、ロールコーターを30℃〜90℃に加熱し、配合後粘度が40℃で300〜3000mPa・s程度の接着剤を用いることで、得ることができる。
接着剤の固形分塗布量は、好ましくは0.5〜6g/m
2であり、より好ましくは無溶剤型では1〜3g/m
2、溶剤型では1〜5g/m
2の範囲である。
【0047】
第1の基材としては、包装材に一般的に使用されるフィルム状基材が好ましく、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、NY(ナイロン)フィルム、OPP(2軸延伸ポリプロピレン)フィルム、ポリ塩化ビニリデン等のKコートフィルム、シリカ蒸着PETやアルミナ蒸着PETのような各種蒸着フィルム等のベースフィルムやアルミ箔が挙げられる。
第2の基材としては、包装材に一般的に使用されるフィルム状基材が好ましく、例えば、第1の基材で挙げた基材の他、CPP(無延伸ポリプロピレン)フィルム、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)のようなシーラントフィルムや、それらのアルミ蒸着若しくはシリカ蒸着フィルムが挙げられる。
【0048】
本発明の積層体の構成として、例えば、OPP/CPP、OPP/アルミ蒸着CPP、ナイロン/CPP、NY/LLDPE、PET/CPP、PET/アルミ蒸着CPP、PET/アルミ蒸着PET/CPP、PET/アルミ蒸着PET/LLDPE、PET/NY/CPP、アルミナ蒸着PET/NY/CPP、PET/アルミ/LLDPE、NY/アルミ/LLDPE、PET/アルミ/CPP、NY/アルミ/CPP、シリカ蒸着PET/NY/LLDPE、アルミナ蒸着PET/NY/CPP、PET/NY/PET/NY/アルミ/CPPが挙げられ、用途に応じて適宜選択できる。
【0049】
本発明の積層体は、さらに絵柄層を有していてもよい。絵柄層は、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者などの表示、その他などの表示や美感の付与のために、文字、数字、絵柄、図形、記号、模様などの所望の任意の印刷模様を形成する層であり、ベタ印刷層も含む。絵柄層は、従来公知の顔料や染料を用いて形成することができ、絵柄層の形成方法は特に限定されない。
一般的には、絵柄層は、顔料や染料等の着色剤を含む印刷インキを用いて形成される。印刷インキの塗工方法は特に限定されず、グラビアコート法、フレキソコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スピンコート法、インクジェット法等の方法により塗布することができる。これを放置するか、必要により送風、加熱、減圧乾燥、紫外線照射等を行うことにより印刷層を形成することができる。
絵柄層は、好ましくは0.1μm以上10μm以下、より好ましくは1μm以上5μm以下、さらに好ましくは1μm以上3μm以下の厚さを有するものである。
【0050】
本発明の積層体は、主に、食品、洗剤、薬剤、化粧品やトイレタリー業界の包装材料として使用することができる。該包装材料からなる容器を包装する2次包装体にも使用できる。
【実施例】
【0051】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、特に断りの無い限り「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0052】
[酸価(AV)]
酸価は、以下の手順で測定した。まず、共栓三角フラスコ中に試料(ポリエステルポリオール溶液)約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持した。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定した。酸価は次式により求めた。
酸価(mgKOH/g)=(5.611×a×F)/S
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
【0053】
[水酸基価(OHV)]
水酸基価は、以下の手順で測定した。まず、共栓三角フラスコ中に試料(ポリエステルポリオール溶液)約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解した。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続した。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定した。水酸基価は次式により求めた(単位:mgKOH/g)。
水酸基価(mgKOH/g)
=[{(b−a)×F×28.05}/S]+D
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
【0054】
[数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)]
数平均分子量及び重量平均分子量は、昭和電工社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、カラムとしてShodex GPC LF−604(Shodex社製)、RI検出器を装備したGPC(Shodex社製、GPC−104)で溶媒としてテトロヒドロフランを用いて、標準ポリスチレン換算した値を用いた。
【0055】
[残留溶剤]
残留溶剤量測定は、島津製作所製GC−8AFID型(水素炎イオン化検出器)ガスクロマトグラフィー(カラム:8G26−30(3.0m)ガラス製、充填剤PEG−1500)を用いた。まず、0.2m
2の大きさにカットした積層体を、細かく裁断して500mLフラスコに入れ、シリコンゴムで密栓後、80℃30分間加熱し、フラスコをオーブンから取り出し、ガスタイトシリンジを用いて1mLをガスクロマトグラフィーに注入した。予め得られた検量線を用いて、積層した試料の残留溶剤量を算出し、結果をmg/m
2で表示した。
【0056】
<ポリエーテルウレタンポリオール(A)の製造>
(合成例1)ポリエーテルウレタンポリオール(A1)
数平均分子量約2,000の2官能ポリプロピレングリコール8部、数平均分子量約400の2官能ポリプロピレングリコール34部、数平均分子量約400の3官能ポリプロピレングリコール3部、トリレンジイソシアネート8部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート10部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら80〜90℃で3〜5時間加熱してウレタン化反応を行った。ウレタン反応中は、反応触媒として、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)を0.1%添加して反応促進を行い、反応完了後、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを0.3phr添加し、酢酸エチルで希釈して不揮発分70%に調整したポリエーテルウレタンポリオール(A1)の溶液を得た。溶液の粘度は6,000mPa・s/25℃であった。重量平均分子量は、22,000であった。
【0057】
(合成例2)ポリエーテルポリウレタンポリオール(A2)
数平均分子量約2,000の2官能ポリプロピレングリコール8部、数平均分子量約400の2官能ポリプロピレングリコール34部、数平均分子量約400の3官能ポリプロピレングリコール3部、トリレンジイソシアネート15部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら80〜90℃で3〜5時間加熱してウレタン化反応を行った。ウレタン反応中は、反応触媒として、ジブチルスズジラウレートを0.1%添加して反応促進を行い、反応完了後、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを0.3phr添加し、酢酸エチルで希釈して不揮発分70%に調整したポリエーテルウレタンポリオール(A2)の溶液を得た。溶液の粘度は7,000mPa・s/25℃であった。重量平均分子量は、35,000であった。
【0058】
(合成例3)ポリエーテルウレタンポリオール(A3)
数平均分子量約2,000の2官能ポリプロピレングリコール8部、数平均分子量約400の2官能ポリプロピレングリコール34部、数平均分子量約400の3官能ポリプロピレングリコール3部、トリレンジイソシアネート8部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート10部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら80〜90℃で3〜5時間加熱してウレタン化反応を行った。ウレタン反応中は、反応触媒として、ジブチルスズジラウレートを0.1%添加して反応促進を行い、反応完了後、酢酸エチルで希釈して不揮発分70%に調整したポリエーテルウレタンポリオール(A3)の溶液を得た。溶液の粘度は6,000mPa・s/25℃であった。重量平均分子量は、22,000であった。
【0059】
<ポリエステルウレタンポリオールの製造>
(合成例4)ポリエステルウレタンポリオール(X1)
イソフタル酸335部、セバシン酸148部、アジピン酸134部、エチレングリコール83部、ネオペンチルグリコール143部、1,6−ヘキサンジオール157部を仕込み、220〜260℃でエステル化反応を行った。所定量の水の留出後、徐々に減圧し1.333hPa以下で240〜260℃で5時間脱グリコール反応を行い、数平均分子量6,000、質量均分子量13,000、水酸基価17mgKOH/g、酸価0.5mgKOH/gのポリエステルポリオールを得た。さらにこのポリエステルポリオールの全量に対してイソホロンジイソシアネート10部を徐々に添加し、150℃で約2時間反応を行い、数平均分子量8,000、重量平均分子量20,000、水酸基価12mgKOH/g、酸価0.5mgKOH/gのポリエステルウレタンポリオールを得た。得られたポリエステルウレタンポリオールを酢酸エチルで希釈し、不揮発分55%のポリエステルウレタンポリオール(X1)の溶液を得た。溶液の粘度は800mPa・s/25℃であった。
【0060】
<ポリエステルポリオール(B)の製造>
(合成例5)ポリエステルポリオール(B1)
イソフタル酸325.8部、アジピン酸286.5部、エチレングリコール158.2部、1,4−ブタンジオール229.6部を仕込み、200〜230℃で6時間エステル化反応を行い、所定量の水の留出後、テトライソブチルチタネート0.01部を添加して徐々に減圧し、20〜30hPa、230〜250℃で6時間加熱し、グリコール成分の一部を留去し、エステル交換反応を行い、ポリエステルポリオールを得た。このポリエステルポリオールの全量に対して無水トリメリット酸25部を添加し、数平均分子量500、酸価22mg/KOHの、酸変性されたポリエステルポリオール(B1)を得た。
【0061】
(合成例6)ポリエステルポリオール(B2)
イソフタル酸325.8部、アジピン酸286.5部、エチレングリコール158.2部、1,4−ブタンジオール229.6部を仕込み、200〜230℃で6時間エステル化反応を行い、所定量の水の留出後、テトライソブチルチタネート0.01部を添加して徐々に減圧し、20〜30hPa、230〜250℃で6時間加熱し、グリコール成分の一部を留去し、エステル交換反応を行い、ポリエステルポリオールを得た。このポリエステルポリオールの全量に対して無水トリメリット酸30部を添加し、数平均分子量2,000、酸価21mg/KOHの、酸変性されたポリエステルポリオール(B2)を得た。
【0062】
(合成例7)ポリエステルポリオール(B3)
イソフタル酸325.8部、アジピン酸286.5部、エチレングリコール158.2部、1,4−ブタンジオール229.6部を仕込み、200〜230℃で6時間エステル化反応を行い、所定量の水の留出後、テトライソブチルチタネート0.01部を添加して徐々に減圧し、20〜30hPa、230〜250℃で6時間加熱し、グリコール成分の一部を留去し、エステル交換反応を行い、ポリエステルポリオールを得た。このポリエステルポリオールの全量に対して無水トリメリット酸25部を添加し、数平均分子量3,000、酸価20mg/KOHの、酸変性されたポリエステルポリオール(B3)を得た。
【0063】
(合成例8)ポリエステルポリオール(B4)
イソフタル酸325.8部、アジピン酸286.5部、エチレングリコール158.2部、1,4−ブタンジオール229.6部を仕込み、200〜230℃で6時間エステル化反応を行い、所定量の水の留出後、テトライソブチルチタネート0.01部を添加して徐々に減圧し、20〜30hPa、230〜250℃で6時間加熱し、グリコール成分の一部を留去し、エステル交換反応を行い、ポリエステルポリオールを得た。このポリエステルポリオールの全量に対して無水トリメリット酸12部を添加し、数平均分子量2,000、酸価10mg/KOHの、酸変性されたポリエステルポリオール(B4)を得た。
【0064】
(合成例9)ポリエステルポリオール(B5)
イソフタル酸325.8部、アジピン酸286.5部、エチレングリコール158.2部、1,4−ブタンジオール229.6部を仕込み、200〜230℃で6時間エステル化反応を行い、所定量の水の留出後、テトライソブチルチタネート0.01部を添加して徐々に減圧し、20〜30hPa、230〜250℃で6時間加熱し、グリコール成分の一部を留去し、エステル交換反応を行い、ポリエステルポリオールを得た。このポリエステルポリオールの全量に対して無水トリメリット酸44部を添加し、数平均分子量2,000、酸価35mg/KOHの、酸変性されたポリエステルポリオール(B5)を得た。
【0065】
(合成例10)ポリエステルポリオール(B6)
イソフタル酸325.8部、アジピン酸286.5部、エチレングリコール158.2部、1,4−ブタンジオール229.6部を仕込み、200〜230℃で6時間エステル化反応を行い、所定量の水の留出後、テトライソブチルチタネート0.01部を添加して徐々に減圧し、20〜30hPa、230〜250℃で6時間加熱し、グリコール成分の一部を留去し、エステル交換反応を行い、ポリエステルポリオールを得た。このポリエステルポリオールの全量に対して無水トリメリット酸12部を添加し、数平均分子量300、酸価10mg/KOHの、酸変性されたポリエステルポリオール(B6)を得た。
【0066】
(合成例11)ポリエステルポリオール(B7)
イソフタル酸325.8部、アジピン酸286.5部、エチレングリコール158.2部、1,4−ブタンジオール229.6部を仕込み、200〜230℃で6時間エステル化反応を行い、所定量の水の留出後、テトライソブチルチタネート0.01部を添加して徐々に減圧し、20〜30hPa、230〜250℃で6時間加熱し、グリコール成分の一部を留去し、エステル交換反応を行い、ポリエステルポリオールを得た。このポリエステルポリオールの全量に対して無水トリメリット酸25部を添加し、数平均分子量4,000、酸価20mg/KOHの、酸変性されたポリエステルポリオール(B7)を得た。
【0067】
<ポリイソシアネートの製造>
(合成例12)ポリイソシアネート(C1)
数平均分子量約2,000の2官能ポリプロピレングリコール35部、数平均分子量約400の2官能ポリプロピレングリコール8部、数平均分子量約400の3官能ポリプロピレングリコール2部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート20部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら70〜80℃で4〜7時間加熱してウレタン化反応を行い、反応完了後、酢酸エチルで不揮発分75%に希釈して、ポリエーテルウレタンポリイソシアネート(C1)の溶液を得た。(C1)のイソシアネート基含有率は3.1%であり、粘度は3,000mPa・s/25℃であった。
【0068】
(合成例13)ポリイソシアネート(C2)
数平均分子量約2,000の2官能ポリプロピレングリコール23部、数平均分子量約400の2官能ポリプロピレングリコール18部、数平均分子量約400の3官能ポリプロピレングリコール1部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート30部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら70〜80℃で4〜7時間加熱してウレタン化反応を行い、反応完了後、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体8部を混合し、酢酸エチルで不揮発分80%に希釈して、ポリエーテルウレタンポリイソシアネート(C2)の溶液を得た。(C2)のイソシアネート基含有率は5.2%であり、粘度は2,5000mPa・s/25℃であった。
【0069】
(合成例14)ポリイソシアネート(C3)
1,3−キシリレンジイソシアネート(XDI)のトリメチロールプロパンアダクト体とイソホロンジイソシアネート(IPDI)のトリメチロールプロパンアダクト体とを、固形分質量比8:2の割合で配合したものを酢酸エチルで不揮発分60%に調整して、ポリイソシアネート(C3)の溶液を得た。(C3)のイソシアネート基含有率は9.3%であり、粘度は150mPa・s/25℃であった。
【0070】
<2液硬化型接着剤の製造>
[実施例1〜12、比較例1〜5]
上記合成例で得られたポリオール成分及びポリイソシアネート成分を、表1に示す配合量で配合し、不揮発分30%の2液硬化型接着剤を調整した。
【0071】
<2液硬化型接着剤の評価>
得られた接着剤を用いて以下のとおり積層体を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0072】
[積層体(1−1)の作製:OPP/印刷層/接着剤層/VMCPP、塗工速度200m/分]
印刷インキ(東洋インキ(株)製、リオアルファR39藍、R631白)を、各々、酢酸エチル/IPA混合溶剤(質量比70/30)により、粘度が16秒(25℃、ザーンカップNo.3)となるように希釈した。
コロナ処理OPPフィルム(東洋紡製P−2161、厚み20μm)に対し、希釈した各印刷インキを、版深35μmのベタ版を備えたグラビア校正2色機にて、藍、白の順で印刷した。印刷速度は50m/分とし、乾燥は各ユニットにおいて50℃で行い、OPP/印刷層の積層体を得た。印刷層の厚みは1μmとした。
得られた積層体の印刷層上に、ラミネーターを用いて、上述で得られた接着剤を塗工速度200m/分で塗布し、乾燥オーブン(50℃−60℃−60℃の3連オーブン、炉長2.5m)を用いて溶剤を揮散させた後、接着剤塗布面を、厚み25μmのVMCPP(東レフィルム加工製2703、厚み25μm、アルミ蒸着無延伸ポリプロピレン)フィルムと貼り合わせて、積層体(1−1)を得た。接着剤の固形分塗布量は2.5g/m
2とした。
【0073】
[積層体(1−2)の作製:PET/印刷層/接着剤層/VMCPP、塗工速度150m/分]
コロナ処理OPPフィルムをコロナ処理PETフィルム(東洋紡製E5102、厚み12μm)に変更し、接着剤の塗工速度を200m/分から150m/分に変更し、乾燥オーブン(60℃−70℃−80℃の3連オーブン)に変更した以外は、積層体(1−1)と同様にして、積層体(1−2)を得た。
【0074】
[積層体(1−3)の作製:PET/印刷層/接着剤層/VMPET、塗工速度230m/分]
VMCPPフィルムを厚み12μmのVMPET(麗光製ダイアラスターH27、厚み12μm、アルミ蒸着PET)フィルムに変更し、接着剤の塗工速度を150m/分から230m/分に変更した以外は、積層体(1−2)と同様にして、積層体(1−3)を得た。
【0075】
[積層体(1−4)の作製:PET/印刷層/接着剤層/VMPET、塗工速度200m/分]
接着剤の塗工速度を230m/分から200m/分に変更した以外は、積層体(1−3)と同様にして、積層体(1−4)を得た。
【0076】
[積層体(1−5)の作製:PET/印刷層/接着剤層/VMPET、塗工速度150m/分]
接着剤の塗工速度を230m/分から150m/分に変更した以外は、積層体(1−3)と同様にして、積層体(1−5)を得た。
【0077】
[残留溶剤]
積層体(1−1)について残留溶剤量を測定し、以下の基準で評価した。
A:残留溶剤量が、1.0mg/m
2未満である(良好)
B:残留溶剤量が、1.0mg/m
2以上、2.0mg/m
2未満である(使用可)
C:残留溶剤量が、2.0mg/m
2以上である(使用不可)
【0078】
[ラミネート強度(PET/VMCPP間)]
積層体(1−2)を40℃で24時間保管して接着剤を硬化させた。硬化後の積層体から、15mm×300mmの大きさの試験片を切り出し、引張り試験機を用いて、温度20℃、相対湿度65%の条件下で、T型剥離により、剥離速度30cm/分で、PET/VMCPP間のラミネート強度(N/15mm)を測定した。5個の試験片の平均値を求め、以下の基準で評価した。
A:ラミネート強度が、1.5N/15mm以上(良好)
B:ラミネート強度が、1.0N/15mm以上、1.5N/15mm未満(使用可)
C:ラミネート強度が、1.0N/15mm未満(使用不可)
【0079】
[高速塗工性(PET/印刷層/接着剤層/VMCPP構成)]
塗工速度が各々230m/分、200m/分、150m/分である3つの積層体(1−3)〜(1−5)のラミネート外観を目視で観察し、斑点模様のような外観不良が発生しないものをA、極僅かに発生したものをB、発生したものをCとした。3つの積層体の結果を総合して以下の基準で評価した。
A:いずれの積層体もA判定(良好)
B:塗工速度230m/分でB又はC判定だが、200m/分でA判定(使用可)
C:塗工速度200m/分でB又はC判定だが、150m/分でA判定(使用不可)
D:塗工速度150m/分でB又はC判定(不良)
【0080】
【表1】
【0081】
表1によれば、数平均分子量が500〜3,000のポリエステルポリオール(B)をポリエーテルウレタンポリオール(A)100部に対して1.0〜4.0部含む本発明の接着剤は、接着力に優れ、且つ、200m/分の高速塗工においても塗工ムラが発生せずラミネート外観が良好であり、さらに残留溶剤が低減していた。
特に、ポリエステルポリオール(B)の酸価が20〜30mgKOH/gの範囲である場合に、アルミ蒸着フィルムへの密着強度と高速塗工性に優れていた。
また、芳香族ジイソシアネートとポリエーテルポリオールとの反応生成物であるポリエーテルウレタンポリイソシアネートを用いたものはラミネート強度に優れていた。
接着力に優れ且つ高速塗工においても塗工ムラが発生せず残留溶剤の少ない2液硬化型接着剤、並びに、該接着剤を用いた、接着力に優れ且つ外観良好な積層体及び包装体の提供。
上記課題は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを含む2液硬化型接着剤であって、前記ポリオール成分が、ポリエーテルウレタンポリオール(A)と、数平均分子量が500〜3,000のポリエステルポリオール(B)と、を含み、前記ポリエステルポリオール(B)の含有量が、前記ポリエーテルウレタンポリオール(A)100質量部に対して1.0〜4.0質量部である、2液硬化型接着剤によって解決される。