(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリイミドに対する良溶媒と貧溶媒とを含有するポリイミド溶液であって、前記ポリイミドが、主鎖中にシロキサンユニットを含むことを特徴とする多孔質ポリイミドフィルム形成用ポリイミド溶液。
気孔率が20体積%以上、90体積%以下、平均気孔径が10nm以上、2000nm以下の多孔質ポリイミドフィルムであって、前記ポリイミドが、主鎖中にシロキサンユニットを含むことを特徴とする多孔質ポリイミドフィルム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0012】
本発明では、主鎖中にシロキサンユニットを含むPI溶液を用いる。ここで、PIは、主鎖にイミド結合を有する耐熱性高分子またはその前駆体であり、通常、モノマ成分であるジアミン成分と、テトラカルボン酸成分および/またはトリカルボン酸成分とを重縮合することにより得られる。 これらのPIには、通常のPI(可溶性ポリイミド、非熱可塑性ポリイミド等)以外に、PI変性体であるポリアミドイミド、ポリエステルイミド、PI前駆体等が含まれ、PI前駆体、非熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、可溶性ポリイミド(SPI)が好ましく用いられる。
【0013】
PI前駆体とは、100℃以上の温度で加熱することによりイミド結合を生成するものであり、本発明においては、ポリアミック酸(以下、「PAA」と略記することがある)が好ましく用いられる。 PAAは、溶媒中でテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られる。 なお、PAAは、部分的にイミド化されていてもよい。
【0014】
PI前駆体(例えばPAA)は、主鎖中にシロキサンユニットを含む。このようにすることにより、熱イミド化して得られるPIの主鎖中に、シロキサンユニットを含ませることができる。
【0015】
シロキサンユニットを含むPAAは、シロキサンユニットを有しないテトラカルボン酸二無水物(以下、「TA」と略記することがある)やシロキサンユニットを有しないジアミン(以下、「DA」と略記することがある)と、シロキサンユニットを有するテトラカルボン酸二無水物(以下、「TA−1」と略記することがある)やシロキサンユニットを有するジアミン(以下、「DA−1」と略記することがある)とを共重合させることにより得られるPAAである。
【0016】
PAA溶液には、溶質であるPAAを溶解する良溶媒と、溶質には貧溶媒となる溶媒とを混合した混合溶媒が含有されている。ここで、良溶媒とは、25℃において、PAAに対する溶解度が1質量%以上の溶媒をいい、貧溶媒とは、25℃において、PAAに対する溶解度が1質量%未満の溶媒をいう。貧溶媒は、良溶媒よりも高沸点であることが好ましい。また、その沸点差は、5℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、50℃以上が更に好ましい。
【0017】
良溶媒としては、アミド系溶媒または尿素系溶媒が好ましく用いられる。アミド系溶媒の具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP 沸点:202℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF 沸点:153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc 沸点:166℃)が挙げられる。また、尿素系溶媒の具体例としては、テトラメチル尿素(TMU 沸点:177℃)、ジメチルエチレン尿素(沸点:220℃)が挙げられる。これらの良溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
貧溶媒としては、エーテル系溶媒が好ましく用いられる。エーテル系溶媒の具体例としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:162℃)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:216℃)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:275℃)、ジエチレングリコール(沸点:244℃)、トリエチレングリコール(沸点:287℃)、トリプロピレングリコール(沸点:273℃)、ジエチレングルコールモノメチルエーテル(沸点:194℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点:242℃)、トリエチレングルコールモノメチルエーテル(沸点:249℃)等の溶媒を挙げることができる。これらを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい
【0019】
混合溶媒中における貧溶媒の配合量としては、混合溶媒質量に対し、15〜95質量%とすることが好ましく、60〜90質量%とすることがより好ましい。このようにすることにより、基材への塗布後の乾燥工程において、効率よく相分離が起こり、高い気孔率を有する多孔質PIフィルムを得ることができる。
【0020】
PAA溶液としては、モノマであるテトラカルボン酸二無水物(TA−1およびTAの混合物、またはTAのみ)とジアミン(DA−1およびDAの混合物、またはDAのみ)とを略等モルで配合し、それを前記混合溶媒中、10〜70℃の温度で共重合反応させて得られる溶液を用いることができる。ここで、TA−1またはDA−1の使用量としては、0.5〜20モル%とすることが好ましく、1〜10モル%とすることがより好ましい。このようにすることにより、所定の共重合比率で主鎖中にシロキサンユニットを含んだPAAからなるPIとすることができる。このPAAは後述する乾燥工程で、所定の共重合比率で主鎖中にシロキサンユニットを含んだ非熱可塑性PIからなるPIとすることができる。 なお、前記モル%は、以下の式に従って算出された値をいう。
TA−1の使用量(モル%)=(TA−1のモル数/(TA−1のモル数+TAのモル数))×100
DA−1の使用量(モル%)=(DA−1のモル数/(DA−1のモル数+DAのモル数))×100
【0021】
TAの具体例としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、及び3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、PMDAおよびBPDAが好ましい。
【0022】
DAの具体例としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADE)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン(MDA)、4,4′−ジフェニルメタンジアミン(DMA)、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルメタン3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。 これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、DADE、BAPPが好ましい。
【0023】
TA−1の具体例としては、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)テトラメチルシロキサン二無水物、ポリ(3,4−ジカルボキシフェニル)テトラメチルシロキサン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)テトラエチルシロキサン二無水物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
DA−1の具体例としては、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等、および下記一般式(1)で表されるものが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのなかで、下記一般式(1)において、R1およびR2がトリメチレン基、R3、R4、R5およびR6がメチル基、nは3〜100であるもの(以下、「DASM」と略記することがある)が好ましく、これらの中で、数平均分子量が300〜5000のものがより好ましい。 これらのDASMは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、DASMは市販品を用いることができる。
【0025】
【化1】
(ただし、式中nは1以上の整数を示す。また、R1およびR2は、それぞれ同一または異なった、低級アルキレン基またはフェニレン基を示し、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ同一または異なった、低級アルキル基、フェニル基またはフェノキシ基を示す。)
【0026】
以上、PAAの例について述べたが、PAA以外のPI、例えばPAIやSPI等についても、PAAと同様の方法を用いることができる。
【0027】
シロキサンユニットを含むPAIは、トリカルボン酸成分(以下、「TA−3」と略記することがある)と、DAおよびDA−1とを共重合させることにより得られるPAIである。
【0028】
TA−3の具体例としては、例えば、トリメリット酸、ヘミメリット酸、 1,2,3‐ナフタレントリカルボン酸、1,6,7−ナフタレントリカルボン酸、1,4,5−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−シクロペンタントリカルボン酸、1,2,3−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−デカヒドロナフタレントリカルボン酸、1,2,5−デカヒドロナフタレントリカルボン酸およびこれらの無水物およびそのモノクロライドが挙げられる。 トリカルボン酸成分は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、トリメリット酸および無水トリメリット酸クロライド(TAC)が好ましい。なお、トリカルボン酸成分は、その一部がピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、またはビフェニルテトラカルボン酸等の成分で置換されたものを用いてもよい。
【0029】
DAの中では、DADE、MDAおよびDMAが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
DA−1の中では、数平均分子量が300〜5000のDASMが好ましい。DASMは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
PAI溶液は、前記混合溶媒中で、モノマであるTA−3と、DA−1およびDAの混合物とを、公知の方法で共重合反応させることにより、主鎖中にシロキサンユニットを含んだPAIからなるPIとすることができる。
ここで、DA−1の共重合比率としては、0.5〜20モル%とすることが好ましく、1〜10モル%とすることがより好ましい。
【0032】
SPI溶液は、固体状のSPIを前記した混合溶媒中に溶解させることにより得られる。 ここで、固体状のSPIは、良溶媒中で、テトラカルボン酸二無水物(TA−1およびTAの混合物、またはTAのみ)とジアミン(DA−1およびDAの混合物、またはDAのみ)とを、共重合反応させることにより得られるPAA溶液を、熱的または化学的にイミド化して、SPI溶液を得たのち、これを水、アルコール等の沈殿剤に加えて再沈殿し、これを、濾別、乾燥することにより得られる。 熱的にイミド化する場合は、水と共沸可能な溶媒を加えて加熱し、水を反応系外に除去しつつイミド化反応を行うことが好ましい。ここで、TA−1またはDA−1の使用量としては、0.5〜20モル%とすることが好ましく、1〜10モル%とすることがより好ましい。このようにすることにより、所定の共重合比率で、主鎖中にシロキサンユニットを含んだSPIからなるPIとすることができる。
【0033】
PI溶液は、良溶媒中で重合反応して溶液を得た後、これに貧溶媒を加える方法や、貧溶媒中で重合反応して懸濁液を得た後、これに良溶媒を加える方法で得ることもできる。
【0034】
PI溶液におけるPIの濃度は、3〜45質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
【0035】
PI溶液の30℃における粘度は0.01〜100Pa・sの範囲が好ましく、0.1〜50Pa・sがより好ましい。
【0036】
PI溶液には、必要に応じて、各種界面活性剤やシランカップリング剤のような公知の添加物を、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。また、必要に応じて、PI溶液に、PI以外の他の高分子を、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。
【0037】
PI溶液を、基材の表面に塗布し、常圧で、乾燥することにより、多孔質PIフィルムを形成させることができる。その後、基材から多孔質PIフィルムを剥離して多孔質PIフィルム単体とすることができる。また、基材上に形成された多孔質PIフィルムは、基材から剥離することなく、基材と積層一体化して使用することもできる。
【0038】
前記乾燥工程は、塗膜に含まれる溶媒を揮発させることにより相分離を誘起させて多孔質PI被膜を形成させる工程であり、乾燥温度としては、100〜200℃程度が好ましい。 なお、PIとして、PAAを用いる場合は、100〜200℃程度の乾燥後、温度を上げて追加乾燥を行い、熱イミド化をさらに進め、非熱可塑性PIとすることが好ましい。 その際の温度としては、350℃未満の温度、例えば300℃で行うことが好ましい。この温度を350℃以上とすると、PIに導入されたシロキサンユニットの一部が熱分解する虞がある。なお、この乾燥工程において、PAAは100%イミド化されている必要はなく、イミド化されていないPAA成分が残留していてもよい。
【0039】
前記基材としては、例えば、金属箔、金属線、ガラス板、プラスチックフィルム、各種織物、各種不織布等が挙げられ、前記金属としては、金、銀、銅、白金、アルミニウム等を用いることができる。これらは、多孔質であっても非多孔質であってもよい。この基材への塗液の塗布方法としては、ディップコータ、バーコータ、スピンコータ、ダイコータ、スプレーコータ等を用い、連続式またはバッチ式で塗布することができる。
【0040】
多孔質PIフィルムの厚みは通常1〜800μm程度であり、10〜500μm程度が好ましい。
【0041】
多孔質PIフィルムの気孔率は、20体積%以上、90体積%以下であり、30体積%以上、85体積%以下が好ましく、40体積%以上、80体積%以下であることがより好ましい。 なお、気孔率は以下の式を用いて算出された値を用いることができる。
気孔率(体積%)= 100−100×(W/D)/(S×T)
式中のSは多孔質PIフィルムの面積、Tはその厚み、Wはその質量、Dは対応する非多孔質PIフィルムの密度を示す。気孔率をこのような範囲とすることにより、PIフィルム固有の優れた力学的特性と耐熱性とを確保することができる。
【0042】
多孔質PIフィルムの平均気孔径は、10nm以上、2000nm以下であり、20nm以上、1500nm以下が好ましい。平均気孔径は、多孔質PIフィルム断面のSEM(走査型電子顕微鏡)像を倍率5000〜20000倍で取得し、市販の画像処理ソフトにより、気孔部とPI部分とに分離して解析することにより確認することができる。なお、多孔質PIフィルムの気孔は、連続気孔であっても、独立気孔であってもよい。平均気孔径をこのような範囲とすることにより、通気性、誘電特性等、多孔質PIフィルム固有の優れた特性を確保することができる。
【0043】
多孔質PIフィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、アミノ変性シリコーン等のジアミン等の架橋成分が含有されていてもよい。
【0044】
多孔質PIフィルムを構成するPIのTgは、200℃以上であることが好ましく、220℃以上がより好ましい。このようにすることにより、良好な耐熱性を確保することができる。なお、Tgは、DSC(示差熱分析)で測定した値を用いることができる。
【実施例】
【0045】
以下に、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお本発明は実施例により限定されるものではない。
【0046】
〔実施例1〕
ガラス製反応容器に、窒素雰囲気下、DADE:0.97モル、DASM:0.03モル (数平均分子量約860:信越化学社製 KF−8010)、DMAcおよびテトラエチレングリコールジメチルエーテルからなる混合溶媒(DMAc/テトラエチレングリコールジメチルエーテルの混合比率は質量比で3/7とした)を投入して攪拌した。この溶液に、室温で、PMDA:1.03モルを徐々に加えた後、60℃で5時間重合反応させ、主鎖中にシロキサンユニットを導入したPAA溶液を得た。この溶液の固形分濃度は18質量%であった。前記ポリイミド前駆体溶液を、アルミニウム箔(厚み:150μm)上に、ドクターブレードを用いて塗布し、130℃で10分乾燥し塗膜を得た。続いて、窒素気流中、120分かけて300℃まで昇温し、300℃で60分追加乾燥してPAAをイミド化し、アルミ箔上に積層された厚み約120μmの多孔質PIフィルム(P−1)を得た。P−1の断面のSEM像(倍率10000倍)を
図1に示す。このPIは非熱可塑性であった。
P−1の気孔率は45体積%、平均気孔径は約1700nmであった。
【0047】
<実施例2>
ジアミンとして、「DADE:0.985モル、DASM:0.015モル (数平均分子量約4400:信越化学社製 KF−8012)」を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PAA溶液を作成し、実施例1と同様にしてアルミ箔上に積層された厚み約100μmの多孔質PIフィルム(P−2)を得た。このPIは非熱可塑性であった。
P−2の気孔率は体積41%、平均気孔径は約1300nmであった。
【0048】
<実施例3>
テトラカルボン酸二無水物として、「BPDA:1.03モル」を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PAA溶液を作成し、実施例1と同様にしてアルミ箔上に積層された厚み約80μmの多孔質PIフィルム(P−3)を得た。このPIは非熱可塑性であった。 P−3の気孔率は体積45%、平均気孔径は約1500nmであった。
【0049】
<実施例4>
混合溶媒として、NMPおよびテトラエチレングリコールジメチルエーテルからなる混合溶媒(NMP/テトラエチレングリコールジメチルエーテルの混合比率は質量比で2/8とした)こと以外は、実施例1と同様にしてアルミ箔上に積層された厚み約70μmの多孔質PIフィルム(P−4)を得た。このPIは非熱可塑性であった。 P−4の気孔率は体積47%、平均気孔径は約1600nmであった。
【0050】
<実施例5>
DMAc/テトラエチレングリコールジメチルエーテルの質量比を、4/6としたこと以外は、実施例1と同様にして、PAA溶液を作成し、実施例1と同様にしてアルミ箔上に積層された厚み約50μmの多孔質PIフィルム(P−5)を得た。このPIは非熱可塑性であった。 P−5の気孔率は体積41%、平均気孔径は約1900nmであった
【0051】
<比較例1>
モノマとして、DADE:1モル、PMDA:1.03モルを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PAA溶液を作成し、実施例1と同様にしてアルミ箔上に積層された厚み30μmの多孔質PIフィルム(P−6)を得た。このPIは非熱可塑性であった。P−6の断面のSEM像(倍率5000倍)を
図2に示す。
P−6の気孔率は47体積%、平均気孔径は約3000nmであった。
【0052】
<比較例2>
溶媒として、DMAcのみを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PAA溶液を作成し、実施例1と同様にしてアルミ箔上に積層された厚み約70μmのPIフィルム(P−7)を得たが、気孔は形成されていなかった。
【0053】
実施例で示したように、シロキサンユニットが含まれるPI溶液から得られる多孔質PIフィルムP−1〜P−5は、平均気孔径が2000nm以下の気孔が均一に形成されていることが判る。 これに対し、比較例の多孔質PIフィルムP−6は、相当量の気孔は形成されていても、平均気孔径が2000nm以下の微細な気孔は形成されていないことが判る。