特許第6777345号(P6777345)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6777345
(24)【登録日】2020年10月12日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】薬剤散布用水上エアクッション艇
(51)【国際特許分類】
   A01M 7/00 20060101AFI20201019BHJP
   A01M 21/04 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   A01M7/00 E
   A01M21/04 C
   A01M7/00 T
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-562749(P2019-562749)
(86)(22)【出願日】2018年9月18日
(86)【国際出願番号】JP2018034465
(87)【国際公開番号】WO2019130680
(87)【国際公開日】20190704
【審査請求日】2020年1月24日
(31)【優先権主張番号】特願2017-254593(P2017-254593)
(32)【優先日】2017年12月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100194515
【弁理士】
【氏名又は名称】南野 研人
(72)【発明者】
【氏名】関 徳男
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−233985(JP,A)
【文献】 特開2009−240242(JP,A)
【文献】 特開2017−29012(JP,A)
【文献】 特開2015−204783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体、およびスカート部を有し、
前記スカート部は、
前記本体の底部の周囲に配置され、
前記本体は、
ボトル搭載部、ノズル噴射部、および噴射方向制御部を備え、
前記ボトル搭載部は、薬剤ボトルの搭載部であり、
前記ノズル噴射部は、前記スカート部の内部に、前記薬剤ボトル中の薬剤をノズル噴射する噴射部であり、
前記噴射方向制御部は、前記ノズル噴射部による噴射方向の制御部であり、前記本体の航行を制御する航行制御部を兼ねる
ことを特徴とする薬剤散布用水上エアクッション艇。
【請求項2】
さらに、前記本体の進行方向に向かって回転するロータを有する、請求項1記載の薬剤散布用水上エアクッション艇。
【請求項3】
さらに、噴射圧制御部を備え、
前記噴射圧制御部は、前記ノズル噴射部による噴射圧を制御する、請求項1または2記載の薬剤散布用水上エアクッション艇。
【請求項4】
最大幅が、苗の植え付け幅未満である、請求項1から3のいずれか一項に記載の薬剤散布用水上エアクッション艇。
【請求項5】
前記ボトル搭載部が、500〜750mL容量ボトル用の搭載部である、請求項1から4のいずれか一項に記載の薬剤散布用水上エアクッション艇。
【請求項6】
さらに、操縦端末からの操縦データを受信する受信部を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の薬剤散布用水上エアクッション艇。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水田に薬剤を散布する薬剤散布用水上エアクッション艇に関する。
【背景技術】
【0002】
水田への薬剤散布において、遠隔操作が可能なエアクッション艇(例えば、ホバークラフトともいう)が利用されている。前記エアクッション艇は、薬剤タンクが搭載され、遠隔操作により水田を航行させ、前記薬剤タンクから薬剤が散布される(特許文献1)。
【0003】
通常、水田に対しては、田植え後2〜3週間の間、初期除草期間として、雑草の種からの発芽を抑制する除草処理が行われ、その後、中期除草期間として、発芽した雑草を枯らす除草処理が行われる。しかしながら、前記エアクッション艇を使用した薬剤散布は、初期除草期間しか使用できないという問題がある。前記エアクッション艇は、水田に散布する大量の液体薬剤を搭載し、さらに、大型のプロペラ等の航行制御機構を搭載するため、ある程度の大きさが必要となる。このため、前記初期除草期間であれば、苗も大きくなっていないため、前記エアクッション艇の航行により苗を傷つけることはないが、前記中期除草期間には、航行により生育対象の稲が航行の障害物となり、航行中に稲を傷つけてしまうおそれがある。
【0004】
前記エアクッション艇は、高額ということもあり、短い期間しか使用できないとなると、個人農家等では利用できないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3156410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、例えば、初期除草期間に限らず使用でき、小型化可能で、薬剤の散布および航行制御も容易な薬剤散布用水上エアクッション艇の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の薬剤散布用水上エアクッション艇は、
本体、およびスカート部を有し、
前記スカート部は、
前記本体の底部の周囲に配置され、
前記本体は、
ボトル搭載部、ノズル噴射部、および噴射方向制御部を備え、
前記ボトル搭載部は、薬剤ボトルの搭載部であり、
前記ノズル噴射部は、前記スカート部の内部に、前記薬剤ボトル中の薬剤をノズル噴射する噴射部であり、
前記噴射方向制御部は、前記ノズル噴射部による噴射方向の制御部であり、前記本体の航行を制御する航行制御部を兼ねる
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、前記スカート部内への薬剤の噴射により、効果的な薬剤の拡散を可能とし、且つ、前記薬剤の噴射方向の制御によって、本体の航行制御も可能となる。このため、本発明の薬剤散布用水上エアクッション艇は、薬剤の拡散や航行のシステムを簡素化できるため、小型化も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態1における薬剤散布用ACV1の斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態1における薬剤散布用ACV1の斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態1における薬剤散布用ACV1の断面図である。
図4図4は、本発明の実施形態1の薬剤散布用ACV1の水田における使用状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の薬剤散布用水上エアクッション艇は、例えば、さらに、前記本体の進行方向に向かって回転するロータを有する。
【0011】
本発明の薬剤散布用水上エアクッション艇は、例えば、最大幅が、苗の植え付け幅未満である。
【0012】
本発明の薬剤散布用水上エアクッション艇は、例えば、さらに、噴射圧制御部を備え、前記噴射圧制御部は、前記ノズル噴射部による噴射圧を制御する。
【0013】
本発明の薬剤散布用水上エアクッション艇は、例えば、前記搭載部が、500〜750mL容量ボトル用の搭載部である。
【0014】
本発明の薬剤散布用水上エアクッション艇は、例えば、さらに、操縦端末からの操縦データを受信する受信部を有する。
【0015】
本発明によれば、例えば、水面航行する水上クッション艇の航行進路の補正、および薬剤のピンポイント散布等を実現させるために、画像解析用カメラ、および圃場のリモートセンシングを行うセンサーを搭載し、稲等の育成保全するための補助機能の搭載も可能となる。また、農業従事者の高齢化と労力不足が問題となっているが、本発明によれば、例えば、水田圃場内での作業において、除草剤等の薬剤散布の作業効率をあげ、散布量の軽減および除草効率の向上も可能になる。
【0016】
つぎに、本発明の実施形態について、図を用いて説明する。本発明は、下記の実施形態によって何ら限定および制限されない。以下の各図において、同一部分には、同一符号を付している。各実施形態の説明は、特に言及がない限り、互いの説明を援用できる。本発明の薬剤散布用水上エアクッション艇は、以下、薬剤散布用ACV(Air cushion vehicle)ともいう。
【0017】
[実施形態1]
図1図2、および図3に、本実施形態における薬剤散布用ACVの模式図を示す。図1は、薬剤散布用ACV1の斜視図であり、(A)は、薬剤ボトルの搭載前の状態を示し、(B)は、薬剤ボトル2を搭載した状態を示す。また、図2において、(A)は、薬剤散布用ACV1における本体10の上本体102の斜視図であり、(B)は、薬剤散布用ACV1における本体10の下本体101とスカート部20の斜視図である。図3は、水田30において使用状態である薬剤散布用ACV1の断面図である。
【0018】
薬剤散布用ACV1は、本体10、およびスカート部20を有する。本体10は、上本体102と下本体101とから形成され、上本体102は、下本体101の蓋部となっている。本体10は、例えば、軽量化の観点から、例えば、発泡ウレタン素材を利用することもできる。
【0019】
スカート部20は、エアクッションともいい、本体10の底部の周囲に配置されている。具体的には、スカート部20は、下本体101の底部の周囲から、下方向に向かって伸び、スカート部20で囲まれる領域は、空間領域である。スカート部20は、例えば、その側面に、さらに浮き輪を備えてもよい。前記浮き輪は、例えば、発泡ウレタン素材等があげられる。前記浮き輪を備えることによって、薬剤散布用ACV1の浮力を、さらに向上できる。
【0020】
薬剤散布用ACV1において、本体10には、ボトル搭載部11、ノズル噴射部14、噴射方向制御部15を備える。本体10は、さらに、任意で、ロータ12、カメラ13を備えてもよい。本体10は、例えば、さらにバッテリー17を備える。
【0021】
本体10のボトル搭載部11には、薬剤が収容された薬剤ボトル2が搭載される。薬剤ボトル2に収容される薬剤の種類は、特に制限されず、例えば、原液散布タイプのフロアブル系除草剤等があげられる。本発明は、例えば、後述するように、ノズル噴射によって薬剤を用水に拡散できることから、原液散布型の薬剤の散布に適している。また、このように原液散布型の薬剤を使用することによって、例えば、搭載する薬剤ボトルの容量を小型化できるため、薬剤散布用ACV1の小型化も可能である。
【0022】
ボトル搭載部11の形状は、特に制限されず、例えば、搭載した薬剤ボトル2が固定できればよい。ボトル搭載部11に搭載可能な薬剤ボトル2の大きさは、特に制限されない。前述のように、例えば、前記フロアブル系除草剤を使用することで、小型化が可能であることから、薬剤ボトル2の大きさは、例えば、500〜750mL容量とすることもできる。従来の希釈して散布する薬剤の場合、例えば、25〜50Lの薬剤タンクを搭載することもあるため、本発明によれば、搭載する薬剤ボトル2の大きさを、例えば、100分の1程度に抑制することも可能である。前記フロアブル系除草剤のボトルは、通常、500〜750mL容量であり、また、一本のボトルで約一反の水田に散布できるような商品が一般的である。このため、本発明によれば、これらのボトルを搭載することで、1本あたりの水田面積を想定した薬剤散布も可能である。
【0023】
薬剤散布用ACV1において、ノズル噴射部14は、ボトル搭載部11に搭載した薬剤ボトル2中の薬剤を、スカート部20の内部に、ノズル噴射する噴射部である。ノズル噴射部14は、スカート部20の内部に導出しており、チューブを介して、前記搭載した薬剤ボトル2と、直接的または間接的に連通している。ノズル噴射部14のノズル形状は、特に制限されず、例えば、シリンダノズルがあげられ、具体例として、ポンプ圧シリンダノズルがあげられる。ノズル噴射部14のノズル先端は、例えば、その軸方向が、水面に対して傾斜して配置されていることが好ましい。これにより、例えば、スカート部20の内部における噴射角度を制御でき、斜め方向の気流圧力で、浮上航行および方向制御が可能であり、また、水田の水中における前記薬剤のかきまぜ効果を得ることも可能である。さらに、ノズル噴射部14を有することによって、例えば、空気と薬剤とを混合噴射して、浮上航行の動力として利用することが可能であるため、大型エンジンおよびエンジン駆動用の燃料の搭載が不要である。このため、航行の基本的な駆動は、例えば、バッテリー電力で補い、重量のあるエンジンおよび燃料(例えば、ガソリンとエンジンオイルとの混合燃料)等の搭載を不要にでき、軽量小型化が可能である。
【0024】
薬剤散布用ACV1を水田に配置すると、図3に示すように、スカート部20の内部の空間は、水田30の水面と接する状態となる。そして、ノズル噴射部14により、スカート部20の内部の水面に、直接、前記薬剤を噴射することによって、前記水面に前記薬剤を拡散させることができる。さらに、ノズル噴射部14によって、スカート部20の内部の水面に、前記薬剤を噴射することによって、薬剤散布用ACV1を浮上させることができる。
【0025】
薬剤散布用ACV1によれば、前記薬剤の噴射は、スカート部20の内部の水面に行われるため、例えば、前記薬剤の空中飛散等を抑制し、薬剤による除草効果を向上することができる。ノズル噴射部14の数は、特に制限されず、1個でも、2個以上でもよい。
【0026】
薬剤散布用ACV1は、さらに、ノズル噴射部14の噴射方向を制御する噴射方向制御部15を備える。噴射方向制御部15によれば、例えば、ノズル先端の回転、ノズル先端の水面に対する傾斜角度の変更等を行うことができる。噴射方向制御部15は、本体10の航行を制御する航行制御部を兼ねる。噴射方向制御部15は、例えば、方向制御のサーボモータである。前記サーボモータによれば、例えば、図3に示すように、ノズル噴射部14のノズル先端を回転(図3において矢印R方向)させ、薬剤の噴射方向(図3において矢印Y方向)を変えることができる。薬剤散布用ACV1を旋回させる場合、例えば、ノズル噴射部14の回転によって、薬剤の噴射方向を変えればよい。具体的には、例えば、右に旋回させる場合は、例えば、ノズル噴射部14のノズル先端を、右後方向に向け、左に旋回させる場合、例えば、ノズル噴射部14のノズル先端を、左後方向に向ける。
【0027】
前記ノズル噴射制御部は、さらに、ノズル噴射部14の噴射圧を制御する噴射圧制御部を含んでもよい。前記噴射圧制御部は、ノズル噴射部14による噴射圧の制御部であり、本体10の航行を制御する航行制御部を兼ねる。前記噴射圧制御部としては、例えば、噴射ポンプ部18があげられる。前記噴射圧制御部によれば、例えば、噴射圧を相対的に増加させることによって、航行速度を相対的に促進でき、噴射圧を相対的に減少させることによって、航行速度を相対的に減退できる。薬剤散布用ACV1を回転させる際には、例えば、ノズル噴射部14からの噴射圧を強くして、前記噴射ポンプは回したままにして、薬剤ボトル2からの薬剤を投入するコックバルブを閉じて、薬剤散布を一時停止することが好ましい。
【0028】
ロータ12は、本体10の進行方向(矢印X方向)に向かって回転するロータである。ロータ12は、例えば、本体10の前方に配置してもよいし、後方に配置してもよいが、進行方向の前方に配置することで、航行する水田をならすこともできる。また、例えば、ロータ12が水田の雑草等に接触することによる雑草検知が可能であり、水田における雑草、浮遊物等を、水中に押し込んだり、隆起した土壌を水中にかき込むこともでき、水田の水面に散布される薬剤の除草効果を、さらに向上することもできる。
【0029】
ロータ12の形状は、特に制限されず、例えば、ロータ12の表面に、軸方向に向かう螺旋状の凹凸(ヘラ状ともいう)を有することが好ましい。
【0030】
また、ロータ12は、例えば、右ロータと左ロータを有し、それぞれ別個に、変速ギアにより回転数を制御できることが好ましい。このように、前記右ロータと前記左ロータとを、それぞれ別個に制御し、ノズル噴射部14の噴射方向の制御と組み合わせることによって、例えば、薬剤散布用ACV1の旋回を制御することもできる。具体例として、薬剤散布用ACV1を左方向に旋回させる場合、例えば、前記右ロータは、前方向(進行方向)への回転とし、且つ、回転速度を高速化し、前記左ロータは、後方向への逆回転とし、さらに、ノズル噴射部14のノズルを回転させ、噴射方向を左斜め後方向とする。これによって、薬剤散布用ACV1を左方向に旋回させることができる。また、薬剤散布用ACV1を右方向に旋回させる場合、例えば、前記左ロータは、前方向(進行方向)への回転とし、且つ、回転速度を高速化し、前記右ロータは、後方向への逆回転とし、さらに、ノズル噴射部14のノズルを回転させ、噴射方向を右斜め後方向とする。これによって、薬剤散布用ACV1を右方向に旋回させることができる。
【0031】
ロータ12は、例えば、さらに、その支軸に、圧力センサーが搭載された圧力センサー搭載部16を備えてもよい。これによって、例えば、航行中にロータ12に接した障害物を検知することができる。また、ロータ12で水面に隆起した土壌を踏み下げて水中へ巻き込むときは、例えば、回転速度を上げて耕耘する機能にも役立つことから、前記圧力センサー(ロータ12の上下動の圧力を検知)によるトリガー機能(きっかけ)とすることも可能となる。
【0032】
薬剤散布用ACV1において、カメラ13は、例えば、水田の前方を確認できるように、本体10の上本体102の上方に配置されていることが好ましい。カメラ13の種類は、特に制限されず、例えば、画像解析用途の高解像度カメラ等が利用できる。このようにカメラ13を搭載し、画像解析することによって、例えば、雑草が繁殖しやすい水位の浅い箇所、雑草が多く繁殖している箇所等にピンポイントで薬剤を散布することにより、全体的な薬剤散布量を軽減することも可能となる。
【0033】
薬剤散布用ACV1の大きさは、特に制限されず、例えば、図4に示すように、最大幅は、例えば、水田30における苗31の植え付け幅(W)未満であることが好ましい。このような幅にすることで、例えば、中期除草期間においても、航行により稲を傷つけることを抑制できる。
【0034】
薬剤散布用ACV1の航行は、例えば、操縦端末により行うことができる。この場合、薬剤散布用ACV1は、例えば、通信回線網を介して、前記操縦端末と接続可能であり、前記操縦端末からの操縦データを受信する受信部を有する。前記操縦端末は、特に制限されず、例えば、プロポ、スマートフォン、タブレット等があげられる。
【0035】
前記通信回線網は、特に制限されず、例えば、公知の無線通信手段を利用したネットワークを使用でき、例えば、操作端末よりリモートセンシングデータをクラウド送信する場合に、前記操作端末として、スマートフォン等を利用できる形態が好ましい。前記ネットワークとしては、例えば、WiFi、LAN(Local Area Network)等があげられる。
【0036】
薬剤散布用ACV1は、例えば、以下のようにして使用できる。まず、薬剤散布用ACV1の搭載部11に、薬剤ボトル2を搭載する。そして、水田において、薬剤散布用ACV1を航行させながら、ノズル噴射部14により、スカート部20の内部の水面に、薬剤をノズル噴射する。その際、噴射方向制御方向15により、ノズル噴射部14からの噴射方向を制御することで、薬剤散布用ACV1の航行方向を制御することができる。
【0037】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。
【0038】
この出願は、2017年12月28日に出願された日本出願特願2017―254593を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によれば、前記スカート部内への薬剤の噴射により、効果的な薬剤の拡散を可能とし、且つ、前記薬剤の噴射方向の制御によって、本体の航行制御も可能となる。このため、本発明の薬剤散布用水上エアクッション艇は、薬剤の拡散や航行のシステムを簡素化できるため、小型化も可能となる。
【符号の説明】
【0040】
1 薬剤散布用水上エアクッション艇
10 本体
101 下本体
102 上本体
11 ボトル搭載部
12 ロータ
13 カメラ
14 ノズル噴射部
15 噴射方向制御部
16 圧力センサー搭載部
17 バッテリー
18 噴射ポンプ
20 スカート部
2 ボトル
30 水田
31 苗

図1
図2
図3
図4