(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記帯ピンチローラの軸線方向の両側方には、前記帯状部材の幅方向の端部に接する側部ガイドローラが設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載の管付き帯状部材製造装置。
前記第1凹溝が、前記第2凹溝よりも前記幅方向の第1側に配置され、かつ前記第1凹溝の前記第1側の開口縁が、前記第2凹溝の開口縁よりも溝底の側へ引っ込んでおり、
前記一方の帯ピンチローラの軸線が、前記第1側へ向かうにしたがって他方の帯ピンチローラに近づくように傾斜されていることを特徴とする請求項6に記載の管付き帯状部材製造装置。
前記第1凹溝が、前記第2凹溝よりも前記幅方向の第1側に配置され、かつ前記第1凹溝の前記第1側の開口縁が、前記第2凹溝の開口縁よりも溝底の側へ引っ込んで位置されており、
前記一方の帯ピンチローラが、前記第1側へ向かうにしたがって拡径されるテーパ状であることを特徴とする請求項6に記載の管付き帯状部材製造装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記管付き帯状部材における帯状部材と管体は、通常、互いに別のドラムから互いに異なる曲率の巻き癖が付いた状態で繰り出される。このため、管体を凹溝に精度良く嵌め込むのは容易でない。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、螺旋管状に成形可能な帯状部材の凹溝に管体を精度良く嵌め込み可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記問題点を解決するため、本発明に係る製造方法は、延び方向に沿う凹溝を有して螺旋管状に成形可能な帯状部材と、前記帯状部材に付設された管体を備えた管付き帯状部材を製造する方法であって、
前記帯状部材を一対の帯ピンチローラで挟むとともに前記延び方向に沿って搬送し、
前記管体を、一対の管ピンチローラで挟んだ後、前記一対の帯ピンチローラの一方と前記帯状部材との間に導入して前記凹溝に嵌め込むことを特徴とする。
当該製造方法によれば、管体を管ピンチローラに通すことによって、管体の経路を一定に保持でき、管体を帯状部材の凹溝に精度良く嵌め込むことができる。帯状部材と管体の巻き癖の曲率が異なっていても、管体を凹溝に確実に嵌め込むことができる。
管付き帯状部材は、例えば、下水管等の埋設管の内壁に螺旋管状にライニングされることによって、更生管として用いられる。管体に伝熱媒体を流すことによって、埋設管内の流体から採熱して冷暖房等に利用できる。
【0008】
本発明に係る製造装置は、延び方向に沿う凹溝を有して螺旋管状に成形可能な帯状部材と、前記帯状部材に付設された管体を備えた管付き帯状部材を製造する管付き帯状部材製造装置であって、
前記帯状部材を前記延び方向に沿って搬送可能に挟むとともに、前記管体を前記凹溝に嵌め込む一対の帯ピンチローラと、
前記嵌め込み前の管体を挟む一対の管ピンチローラと、
を備えたことを特徴とする。
当該装置によれば、管体を管ピンチローラに通すことによって、管体の経路を一定に保持でき、管体を帯状部材の凹溝に精度良く嵌め込むことができる。帯状部材と管体の巻き癖の曲率が異なっていても、管体を凹溝に確実に嵌め込むことができる。
【0009】
前記管ピンチローラと前記帯ピンチローラとの間の管体に張力を付与することが好ましい。前記管付き帯状部材製造装置が、前記管ピンチローラを介して前記管体に張力を付与する張力付与手段を、更に備えていることが好ましい。
これによって、管体の巻き癖を解消ないしは緩和できる。この結果、管体を帯状部材の凹溝に一層精度良く嵌め込むことができる。
前記張力付与手段が、摺擦手段を含むブレーキ機構によって構成されていてもよい。摺擦板手段を管ピンチローラと摺擦させて回転抵抗を発生させる。これによって、管ピンチローラと帯ピンチローラとの間の管体に張力を付与することができる。
前記張力付与手段が、一対の管ピンチローラの間隔調節手段を含んでいてもよい。一対の管ピンチローラどうしの間隔を狭めると、管ピンチローラと管体との間の摩擦抵抗が高まり、管ピンチローラと帯ピンチローラとの間の管体に張力を付与できる。
前記管ピンチローラがモータなどの回転駆動手段に接続されており、前記張力付与手段が、管ピンチローラの回転速度調節手段によって構成されていてもよい。管ピンチローラの回転速度を帯ピンチローラの回転速度より低速にすることによって、管ピンチローラと帯ピンチローラとの間の管体に張力を付与できる。
【0010】
前記帯ピンチローラの軸線方向の両側方には、前記帯状部材の幅方向の端部に接する側部ガイドローラが設けられていることが好ましい。
これによって、帯状部材の幅方向への位置ずれを防止でき、管体を凹溝に一層精度良く嵌め込むことができる。
【0011】
前記管付き帯状部材は、各々が前記管体を構成する第1管体及び第2管体を有し、
前記帯状部材は、各々が前記凹溝を構成する第1凹溝及び第2凹溝を有し、前記第1、第2凹溝が、互いに前記帯状部材の幅方向に並んで形成されており、
前記一対の帯ピンチローラが、前記第1管体を前記第1凹溝に嵌め込むとともに、前記第2管体を前記第2凹溝に嵌め込むことが好ましい。
これによって、複数本の管体を帯状部材に精度良く嵌め込むことができる。複数の管体で採熱することによって、採熱効率を高めることができる。
【0012】
前記第1凹溝が、前記第2凹溝よりも前記幅方向の第1側に配置され、かつ前記第1凹溝の前記第1側の開口縁が、前記第2凹溝の開口縁よりも溝底の側へ引っ込んでおり、
前記一方の帯ピンチローラの軸線が、前記第1側へ向かうにしたがって他方の帯ピンチローラに近づくように傾斜されていることが好ましい。前記一方の帯ピンチローラが、前記第1側へ向かうにしたがって拡径されるテーパ状であってもよい。
これによって、複数の凹溝の開口の高さが違っても、複数の管体が互いにほぼ同時に凹溝内に嵌り込んでいくようにできる。要するに、第1凹溝側の管体が未だ挿入されていない段階で、第2凹溝側の管体が先に挿入されて第1凹溝の開口が狭まるように帯状部材が変形するのを防止できる。これによって、第1凹溝への管体の挿入が困難になるのを防止できる。
【0013】
本発明に係る管付き帯状部材は、前記凹溝の開口縁には、前記凹溝の幅方向の内側へ突出する係止突片が形成され、
前記係止突片における前記凹溝の溝底を向く面に窪みが形成されていることが好ましい。
これによって、係止突片を容易に変形させることができる。この変形によって管体を凹溝に容易に嵌め込むことができる。嵌め込み後は、係止突片によって管体を抜け止めでき、管体を凹溝内に安定的に保持できる。
【0014】
前記凹溝の開口縁には、前記凹溝の幅方向の内側へ突出する係止突片が形成され、
前記管体が、前記凹溝の溝底を含む内面と前記係止突片とに接していることが好ましい。
これによって、管体が凹溝の内部においてガタついたり変形したりするのを防止できる。帯状部材を螺旋管状に製管する際は、前記管体のガタつきや変形の防止によって、帯状部材と管体の周回長さに差が生じるのを防止又は緩和できる。これによって、管体が先に巻き終わって帯状部材が余ってしまうのを防止又は抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、螺旋管状に成形可能な帯状部材の凹溝に管体を精度良く嵌め込むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
[採熱システム2]
図6に示すように、本発明形態の管付き帯状部材9は、採熱システム2に適用される。採熱システム2は、採熱部2aと、熱利用部2bと、ヒーポンプ2cを備えている。採熱部2aは、下水設備3に構築されている。熱利用部2bは、例えば建物の冷暖房設備である。採熱部2aと熱利用部2bとの間にヒーポンプ2cが介在されている。採熱部2aが、下水等の流水3wから採熱する。ヒーポンプ2cがその熱を汲み上げて熱利用部2bへ渡す。これによって、熱利用部2bにおいて、前記下水設備3の熱を利用して冷暖房等を行うことができる。
なお、採熱システム2の詳細は、前掲特許文献3に開示されている。
【0018】
図6及び
図7に示すように、下水設備3における老朽化した埋設管3aの内壁に更生管3cがライニングされている。これによって、埋設管3aが更生されている。更生管3cは、前記管付き帯状部材9を螺旋管状に成形したものである。
【0019】
[管付き帯状部材9]
図1に示すように、管付き帯状部材9は、帯状部材90と、管体81,82を備えている。
帯状部材90の材料は、例えば硬質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の各種合成樹脂系材料である。帯状部材90は、押出成形機(図示せず)を用いた連続押出成形により長尺の帯状に形成されている。
【0020】
図2(a)に示すように、帯状部材90は、2つの帯板部91,92と、3つの壁93,94,95を有し、同図の紙面と直交する方向へ延びている。帯板部91,92は、それぞれ平帯状になっており、互いに表裏方向ないしは厚み方向(
図2(a)において上下)にずれ、かつ幅方向(
図2(a)において左右)にずれている。裏側帯板部91が、相対的に裏側(
図2(a)において上側)かつ幅方向の第1側(
図2(a)において右側)に配置されている。表側帯板部92が、相対的に表側(
図2(a)において下側)かつ幅方向の第2側(
図2(a)において左側)に配置されている。
【0021】
表側帯板部92には、接合突起96が形成されている。接合突起96は、表側帯板部92から裏側(
図2(a)の上側)へ突出されている。
【0022】
3つの壁93,94,95は、裏側帯板部91の幅方向に並んで、裏側帯板部91から表側(
図2(a)の下側)へ突出されている。これら3つの壁のうち、第2側(
図2(a)において左側)の連結壁95によって、帯板部91,92どうしが連結されている。
【0023】
残りの2つの壁93,94は、裏側帯板部91とだけ連なる片持ち壁になっている。 中間壁94の表側の端面(
図2(a)において下端面)は、表側帯板部92の表側面とほぼ面一になっている。
【0024】
第1側(
図2(a)において右側)の溝付き壁93は、概略Ω字状の断面になっている。溝付き壁93には、接合溝93aが形成されている。接合溝93aは、溝付き壁93の表側の端面(
図2(a)の下端面)に開口されている。溝付き壁93の表側の端面は、中間壁94の表側の端面よりも裏側帯板部91の側(
図2(a)において上側)へ引っ込んでいる。その引っ込み高さは、表側帯板部92の厚みに対応する。
斜板部97が、溝付き壁93から幅方向の第1側かつ裏側(
図2(a)の右上)へ延び出ている。
【0025】
帯状部材90は、螺旋管状に製管可能である。
すなわち、
図6及び
図7に示すように、下水設備3において、帯状部材90は、埋設管3aの内壁に沿って螺旋状に巻回され、かつ一周違いに隣接する縁どうしが接合されることによって、更生管3cとなっている。
詳しくは、
図7に示すように、表側帯板部92が、一周違いの溝付き壁93の表側に被さり、かつ該表側帯板部92の接合突起96が、前記一周違いの接合溝93aに嵌合されている。壁93,94に高低差を設けておくことによって、表側帯板部92の表側面と、一周違いの中間壁94の表側端面どうしを面一にできる。
また、裏側帯板部91の第2側の端部と連結壁95との角部90gには、一周違いの斜板部97の先端部が係止されている。
【0026】
図7に示すように、下水設備3の更生管3cにおいては、帯状部材90の表裏方向ないしは厚み方向が、更生管3cの径方向(
図7の上下方向)へ向けられている。表側帯板部92は、更生管3cの内周側(
図7の下側)へ向けられ、下水等の流水3wの流路に面する。裏側帯板部91は、更生管3cの外周側(
図7の上側)へ向けられ、埋設管3aの内壁と対面されている。埋設管3aの内壁と更生管3cの外周面との間には、モルタル等の裏込め材3bが充填されている。
【0027】
更生管3cを採熱部2aとして利用するために、帯状部材90には以下の構成が具備されている。
図2(a)に示すように、帯状部材90には、2条(複数条)の凹溝98,99が形成されている。これら凹溝98,99は、互いに帯状部材90の幅方向に並び、帯状部材90と同方向へ延びている。壁93,94どうし間の第1凹溝98が、壁94,95どうし間の第2凹溝99よりも幅方向の第1側(
図2(a)の右側)に配置されている。裏側帯板部91における壁93,94間の部分によって第1凹溝98の溝底91aが構成されている。裏側帯板部91における壁94,95間の部分によって第2凹溝99の溝底91bが構成されている。凹溝98,99は、帯状部材90の表側(
図2(a)の下側)へ開口されている。
前述した壁93,94の高低差に対応して、第1凹溝98の壁93側(第1側)の開口縁が、該凹溝98の壁94側の開口縁、及び第2凹溝99の両壁94,95側の開口縁よりも溝底91a,91bの側(
図2(a)の上側)へ引っ込んでいる。
【0028】
第1凹溝98の両側の開口縁には、それぞれ係止突片98fが形成されている。各係止突片98fは、凹溝98の幅方向の内側へ突出されている。係止突片98fの厚みは、突出方向に沿ってほぼ一定である。前述した壁93,94の高低差に対応して、壁93側の係止突片98fが、壁94側の係止突片98fよりも溝底91a,91bの側(
図2(a)の上側)へ引っ込んでいる。
【0029】
第2凹溝99の両側の開口縁には、それぞれ係止突片99fが形成されている。各係止突片99fは、凹溝99の幅方向の内側へ突出されている。一対の係止突片99fが、第2凹溝99の開口を挟んで対峙している。各係止突片99fは、先端へ向かうにしたがって裏側(溝底91b側)へ盛り上がっている。逆に言うと、係止突片99fの厚みが、当該係止突片99fが設けられた壁94,95に近づくにしたがって小さくなっている。係止突片99fの裏面(溝底91b側を向く面)に窪み99dが形成されている。
【0030】
図2(b)に示すように、帯状部材90に2本(複数本)の管体81,82が付設されている。管体81,82としては、可撓性を有する断面円形の丸パイプが用いられている。管体81,82の材料としては、好ましくは保温性の樹脂や、金属と樹脂の複合材料が用いられている。かかる材料として、例えば、積水化学工業株式会社製、商品名エスロペックス、又は商品名エスロメタックスを用いることができる。
【0031】
2つの管体81,82は、帯状部材90に沿って延びるとともに、互いに帯状部材90の幅方向に並んでいる。
第1管体81は、第1凹溝98に嵌め込まれている。第1管体81の外周面が、第1凹溝98の溝底91aを含む内面と一対の係止突片98fとに接している。第1凹溝98の開口から第1管体81が部分的に露出されている。
第2管体82は、第2凹溝99に嵌め込まれている。第2管体82の外周面が、第2凹溝99の溝底91bを含む内面と一対の係止突片99fとに接している。第2凹溝99の開口から第2管体82が部分的に露出されている。
【0032】
図6及び
図7に示すように、下水設備3の更生管3cにおける管体81,82は、2条の螺旋状になっている。管体81,82は、採熱部2aにおける採熱管となる。管体81,82の凹溝98,99の開口からの露出部分が、下水等の流水3wの流路に面し、流水3wと接触可能になっている。管体81,82に伝熱媒体を流すことによって、流水3wから採熱して冷暖房等に利用できる。伝熱媒体としては、水、グリコール、または水‐グリコール混合液などが好適である。
【0033】
[管付き帯状部材製造装置1]
図1に示すように、管付き帯状部材製造装置1は、ドラム11,12と、リール21,22と、管嵌め込み部30と、管ガイド40を備えている。
巻替前ドラム11と巻替後ドラム12は互いに離れて設置されている。巻替前ドラム11には、帯状部材90が、管体81,82を未装着の状態で巻き付けられている。巻替前ドラム11から繰り出された帯状部材90が巻替後ドラム12へ延びている。巻替後ドラム12には、管体81,82を装着済の帯状部材90、すなわち管付き帯状部材9が巻き付けられる。なお、巻替後ドラム12にモータ等の回転駆動手段(帯状部材90の搬送手段)が接続されていてもよい。
【0034】
リール21,22は、ドラム11,12から離れて、かつ巻替前ドラム11寄りの位置に並んで配置されている。第1リール21に第1管体81が巻き付けられている。第2リール22に第2管体82が巻き付けられている。これらリール21,22から管体81,82がそれぞれ繰り出される。
【0035】
ドラム11,12間の帯状部材90の搬送経路上における、巻替後ドラム12寄りの位置に管嵌め込み部30が配置されている。管嵌め込み部30は、一対の帯ピンチローラ31,32を含む。嵌め込み側(一方)の帯ピンチローラ31と受け側(他方)の帯ピンチローラ32とが、互いに前記搬送経路の厚み方向(
図1において上下)に対向している。帯ピンチローラ31,32の軸線は、概略、前記搬送経路の幅方向(
図1の紙面直交方向)へ向けられている。詳しくは、
図3に示すように、受け側帯ピンチローラ32の軸線は、前記幅方向(
図3において左右方向)と平行になっている。嵌め込み側帯ピンチローラ31の軸線は、前記幅方向の第1側(
図3において右側)へ向かうにしたがって受け側帯ピンチローラ32に近づくように傾斜されている
【0036】
詳細な図示は省略するが、帯ピンチローラ31,32は、ギア等のトルク伝達手段を介して、モータなどの回転駆動手段(帯状部材90の搬送手段)に連結されている。回転駆動手段によって、帯ピンチローラ31,32が回転駆動される。
【0037】
図3及び
図4に示すように、一対の帯ピンチローラ31,32の間に帯状部材90が挟まれている。受け側帯ピンチローラ32は、裏側帯板部91に押し当てられている。嵌め込み側帯ピンチローラ31は、凹溝98,99の開口に面している。
嵌め込み側帯ピンチローラ31と帯状部材90との間に管体81,82が通されている。
なお、
図3においては、図示の便宜上、嵌め込み側帯ピンチローラ31が帯状部材90から離れて描かれているが、
図4に示すように、実際の嵌め込み側帯ピンチローラ31は、帯状部材90に押し当てられている。この点は、後述する
図5、
図8、
図10、及び
図11において同様である。
【0038】
図3に示すように、帯ピンチローラ31,32の軸線方向の両側方に一対の側部ガイドローラ34,34が設けられている。側部ガイドローラ34は、自由回転可能なフリーローラである。側部ガイドローラ34の軸線は、前記搬送経路の厚み方向(
図3の上下方向)へ向けられている。一対の側部ガイドローラ34が、帯状部材90の幅方向の両端部に接している。
なお、後述する
図5においては、側部ガイドローラ34の図示を省略する。
図11において同様である。
好ましくは、ローラ31,32,34は、一体的に移動可能であり、かつ互いの間隔を調節可能になっている。
【0039】
図1に示すように、リール21,22と管嵌め込み部30との間の管体81,82の経路上における、リール21,22寄りの位置に管ガイド40が配置されている。管ガイド40は、一対の第1管ピンチローラ41と、一対の第2管ピンチローラ42を含む。一対の第1管ピンチローラ41間に、管嵌め込み部30へ導入前の第1管体81が挟み付けられている。一対の第2管ピンチローラ42間に、管嵌め込み部30へ導入前の第2管体82が挟み付けられている。管ピンチローラ41,42は、モータ等の回転駆動手段に接続されて回転駆動可能である。なお、管ピンチローラ41,42が、駆動手段に接続されずに自由回転可能ないしは従動回転可能であってもよい。
【0040】
図1において模式的に示すように、管ガイド40には、管体81,82に対する張力付与手段43が設けられている。例えば、張力付与手段43は、摺擦板を含むブレーキ機構によって構成されている。摺擦板を管ピンチローラ41,42の回転軸や外周面に押し当てて摺擦させることによって、回転抵抗を発生させる。これによって、管ピンチローラ41,42と帯ピンチローラ31,32との間の管体81,82に張力を付与することができる。管体81,82の張り具合を目視観察しながら、摺擦板の押し当て度を調節することが好ましい。
【0041】
張力付与手段43が、管ピンチローラ間隔調節手段によって構成されていてもよい。該調節手段によって、一対の管ピンチローラ41,41どうしの間隔を狭くすると、これら管ピンチローラ41,41と第1管体81との間の摩擦が高まる。同様に、一対の管ピンチローラ42,42どうしの間隔を狭くすると、これら管ピンチローラ42,42と第2管体82との間の摩擦が高まる。この結果、管ピンチローラ41,42と帯ピンチローラ31,32との間の管体81,82に張力を付与できる
或いは、張力付与手段43として、管ピンチローラ41,42の回転駆動手段を用いてもよい。該回転駆動手段によって、管ピンチローラ41,42の回転速度を帯ピンチローラ31,32の回転速度より低速にする。これによって、管ピンチローラ41,42と帯ピンチローラ31,32との間の管体81,82に張力を付与することができる。
張力付与手段43が、管ピンチローラー41,42と帯ピンチローラー31,32との間に設けられたてテンションローラーであってもよい。
図1においては、図の下から上に向く力をテンションローラーにて管体81,82に与えればよい。
【0042】
[管付き帯状部材9の製造方法]
管付き帯状部材9は、次のようにして製造される。
帯ピンチローラ31,32を回転駆動させることで、帯状部材90を、搬送経路に沿って、巻替前ドラム11から帯ピンチローラ31,32間を経て、巻替後ドラム12へ搬送する。
また、管体81,82をリール21,22からそれぞれ繰り出し、管ガイド40の管ピンチローラ41,42間を経て、管嵌め込み部30における帯状部材90と帯ピンチローラ31との間に導入する。
更に、張力付与手段43によって、管ピンチローラ41,42と帯ピンチローラ31,32との間の管体81,82に張力を付与する。この張力によって、管体81,82の巻き癖を解消ないしは緩和できる。かつ、管体81,82の搬送経路を安定させることができる。
【0043】
図3及び
図4に示すように、管嵌め込み部30においては、帯状部材90及び管体81,82が、帯ピンチローラ31,32間に挟み付けられる。これによって、第1管体81が第1凹溝98に嵌め込まれ、第2管体82が第2凹溝99に嵌め込まれる。管体81,82に張力を付与しておくことで、管体81,82を帯状部材90の凹溝98,99に精度良く嵌め込むことができる。帯状部材90と管体81,82の巻き癖の曲率が異なっていても、管体81,82を凹溝98,99に確実に嵌め込むことができる。
【0044】
詳しくは、
図3に示すように、まず、第1管体81が、第1凹溝98の開口縁に宛がわれるとともに、第2管体82が、第2凹溝99の開口縁に宛がわれる。凹溝98,99の開口縁間に高低差があっても、帯ピンチローラ31の軸線を斜めにしておくことで、管体81,82がほぼ同時に凹溝98,99の開口縁に宛がわれるようにすることができる。
帯ピンチローラ31は、管体81,82における表側の頂点よりも第1側(
図3において右側)に少しずれた位置に圧接される。
【0045】
図4に示すように、管嵌め込み部30の中央部へ向かうにしたがって、帯ピンチローラ31,32間の間隔が狭まる。これに伴って、第1管体81が、第1凹溝98内に押し込まれていく。
図5(a)〜
図5(c)に示すように、このとき、第1管体81が縮径するように弾性変形されるとともに、接合溝93aが潰れるように溝付き壁93が弾性変形される。溝付き壁93の弾性変形によって、第1凹溝98の開口が拡開され、第1管体81の第1凹溝98への押し込みを容易化できる。
同時に、第2管体82が第2凹溝99内へ押し込まれていく。このとき、第2管体82が縮径するように弾性変形されるとともに、一対の係止突片99fが裏側方向(
図5において上方)へ折れ曲がるように弾性変形される。係止突片99fに窪み99dを形成しておくことで、係止突片99fが弾性変形し易くできる。これによって、第2凹溝99の開口を拡開でき、第2管体82の第2凹溝99への押し込みを容易化できる。
帯ピンチローラ31の軸線を斜めにしておくことで、凹溝98,99の開口縁間に高低差があっても、2つの管体81,82が同時に凹溝98,99内に嵌り込んでいくようにできる。つまり、第1管体81が第1凹溝98にまったく入っていない段階で、第2管体82が先行して第2凹溝99に挿入されることがない。そうすることで、中間壁94が溝付き壁93側に倒れるように変形して第1凹溝98の開口が狭まるのを防止でき、第1管体81が第1凹溝98に挿入困難になるのを防止できる。
帯ピンチローラ31が、管体82の表側の頂点よりも第1側に少しずれた位置に圧接されることで、中間壁94が溝付き壁93側へ傾倒変形されるのを一層確実に防止できる。
【0046】
管体81,82は丸パイプであるため、嵌め込み時の方向性に制限がない。また、帯状部材90がねじれとしても、そのねじれに対して管体81,82を容易に追随させることができる。
更に、帯状部材90の幅方向の端部には側部ガイドローラ34が接する。これによって、帯状部材90が横ずれするのを防止できる。したがって、2つ(複数)の管体81,82を凹溝98,99に一層精度良く嵌め込むことができる。
【0047】
管体81,82は、互いにほぼ同時に溝底91a,91bに着地し、凹溝98,99への嵌め込みが完了する。
図2(b)に示すように、第1管体81が第1凹溝98に完全に嵌り込むと、第1管体81及び溝付き壁93が元の断面形状に弾性復帰する。そして、一対の係止突片98f,98fが第1管体81に係止される。これによって、第1管体81を抜け止めできる。更には、第1凹溝98の溝底91aを含む内面及び係止突片98fが、第1管体81の外周面に複数方向から当たる。これによって、第1管体81が、第1凹溝98内においてガタついたり変形したりするのを防止できる。
また、第2管体82が第2凹溝99に完全に嵌り込むと、第2管体82及び係止突片99fが元の断面形状に弾性復帰する。そして、一対の係止突片99f,99fが第2管体82に係止される。これによって、第2管体82を抜け止めできる。更には、第2凹溝99の溝底91bを含む内面及び係止突片99fが、第2管体82の外周面に複数方向から当たる。これによって、第2管体82が、第2凹溝99内においてガタついたり変形したりするのを防止できる。
このようにして、管付き帯状部材9が作製される。管付き帯状部材9は、巻替後ドラム12へ送られて巻き付けられる。
【0048】
[更生管3cの製管]
図6及び
図7に示すように、その後、管付き帯状部材9は、老朽化した埋設管3aの内壁に沿って螺旋状に製管される。この時、凹溝98,99内の管体81,82がガタ付かないようにできるから、帯状部材90と管体81,82の周回長さに差が生じるのを回避できる。これによって、管体81,82が先に巻き終わって帯状部材90が余ってしまうのを防止できる。
製管前に予め管体81,82を帯状部材90に取り付けておくことで、埋設管3a内で管体81,82の取り付け作業を行う必要が無く、施工不良を防止できる。
管付き帯状部材9が埋設管3aの内壁にライニングされることで、埋設管3aを更生できる。
帯状部材90に管体81,82を付加することで、更生管3cを採熱システム2の採熱部2aとして利用できる。複数の管体81,82で採熱することによって、採熱効率を高めることができる。
【0049】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において、既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。
<第2実施形態>
図8は、本発明の第2実施形態を示したものである。本形態の嵌め込み側帯ピンチローラ31の軸線は、管付き帯状部材製造装置1の幅方向(
図8において左右)へ向けられ、受け側帯ピンチローラ32の軸線と平行になっている。かつ、嵌め込み側帯ピンチローラ31は、前記幅方向の第1側(第2凹溝99から第1凹溝98へ向かう側、
図8において右側)へ向かうにしたがって拡径されるテーパ状になっている。
【0050】
これによって、凹溝98,99の開口縁どうし間に高低差があっても、管体81,82が互いに同時に凹溝98,99内に嵌り込んでいくようにできる。したがって、第2管体82が先行して第2凹溝99に挿入されることがなく、中間壁94が溝付き壁93側に倒れるように変形するのを防止でき、第1管体81が第1凹溝98に挿入困難になるのを防止できる。
【0051】
<第3実施形態>
図9〜
図11は、本発明の第3実施形態を示したものである。
図9に示すように、本形態の溝付き壁93は、中間壁94と同じ高さになっている。凹溝98,99の開口縁どうしが、表裏方向における同一位置に配置されている。
【0052】
第1凹溝98の開口縁の一対の係止突片98f,98fは、それぞれ先端側へ向かうにしたがって裏側(溝底91a側)へ盛り上がっている。言い換えると、各係止突片98fの厚みが、当該係止突片98fが設けられた壁93,94に近づくにしたがって小さくなっている。係止突片98fの裏面(溝底91a側を向く面)に窪み98dが形成されている。
【0053】
図10に示すように、嵌め込み側帯ピンチローラ31の軸線は、管付き帯状部材製造装置1の幅方向(
図10において左右)へ真っ直ぐ向けられ、受け側帯ピンチローラ32の軸線と平行になっている。かつ、嵌め込み側帯ピンチローラ31は、全長にわたって一定の直径の円柱形状ないしは円筒形状になっている。
【0054】
帯ピンチローラ31,32によって管体81,82を凹溝98,99に嵌め込むときは、第1管体81と第2管体82とがほぼ同時に凹溝98,99の開口縁に宛がわれる。
更に、
図11(a)〜同図(c)に示すように、管体81,82がほぼ同時に凹溝98,99内に押し込まれていく。第1管体81の第1凹溝98への押し込みに伴って、一対の係止突片98f,98fがそれぞれ裏側方向(
図11において上方)へ折れ曲がるように弾性変形される。係止突片98fに窪み98dを形成しておくことで、係止突片98fが弾性変形し易くできる。これによって、第1凹溝98の開口を拡開でき、第1管体81の第1凹溝98への押し込みを容易化できる。
また、第2管体82の第2凹溝99への押し込みに伴って、係止突片99fが裏側方向へ折れ曲がるように弾性変形されることは、第1実施形態と同様である。
【0055】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、管付き帯状部材9における管体81,82の数は、2本に限られず、3本以上であってもよく、1本でもよい。3つ以上の管体の場合、その1つが「第1管体」を構成し、それより第2側の他の1つが「第2管体」を構成する。
帯状部材90の凹溝98,99の数は、2つに限られず、3つ以上でもよく、1つでもよい。3つ以上の凹溝の場合、その1つが「第1凹溝」を構成し、他の1つが「第2凹溝」を構成する。
帯状部材90に補強用の鋼製帯材を設けてもよい。帯状部材90の凹溝の一部が、補強用鋼製帯材の収容溝となっていてもよい。
管付き帯状部材9の一周違いに隣接する縁どうしが、帯状部材90とは別体の接合部材(ジョイナー)を介して接合されていてもよい。
採熱システム2以外への適用例として、更生管を形成した後、管体81,82にモルタルを充填し硬化させることで、管体81,82を帯状部材90の補強材としてもよい。