(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
バッテリ制御方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態に係るバッテリ制御方法は、複数のバッテリの各々の第1状態差情報と複数の第1状態差情報に基づいて演算される第2状態差情報との間の比率を決定するステップと、前記各々の比率に基づいて前記複数のバッテリの各々に対応するコンバータの出力値を定義するステップとを含む。
【0005】
前記第2状態差情報に基づいて前記複数のバッテリの状態情報のアンバランスの程度に対応するゲインを決定するステップをさらに含んでもよい。
【0006】
前記ゲインを決定するステップは、前記第2状態差情報が属する範囲を確認するステップと、前記確認された範囲に基づいて前記ゲインを決定するステップとを含んでもよい。
【0007】
前記コンバータの各々の出力値を定義するステップは、前記各々の比率、前記ゲイン、及び複数のコンバータの平均出力物理量を用いて前記コンバータの各々の出力値を定義するステップを含んでもよい。
【0008】
前記コンバータの各々の出力値を前記複数のバッテリの各々に対応するサブコントローラに送信するステップをさらに含んでもよい。
【0009】
前記出力値の各々に対応する電力又は電流が負荷に供給された場合、前記複数のバッテリの状態情報をアップデートするステップをさらに含んでもよい。
【0010】
前記複数のバッテリの各々の物理量に基づいて前記複数のバッテリの各々の状態情報を決定し、前記複数のバッテリの各々の状態情報に基づいて平均状態情報を演算するステップと、前記複数のバッテリの各々の状態情報と前記平均状態情報との間の差を示す前記第1状態差情報を演算するステップと、前記第1状態差情報の絶対値を合わせて前記第2状態差情報を演算するステップとをさらに含んでもよい。
【0011】
前記コンバータの個数に基づいて複数のコンバータが出力可能な物理量を確認するステップと、前記平均状態情報及び前記物理量に基づいて前記複数のコンバータの出力物理量を設定するステップとをさらに含んでもよい。
【0012】
本発明の一実施形態に係るバッテリ制御装置は、複数のバッテリと通信するインターフェースと、前記複数のバッテリの各々の第1状態差情報と複数の第1状態差情報に基づいて演算される第2状態差情報との間の比率を決定し、前記各々の比率に基づいて前記複数のバッテリの各々に対応するコンバータの出力値を定義するプロセッサとを含む。
【0013】
前記プロセッサは、前記第2状態差情報に基づいて前記複数のバッテリの状態情報のアンバランスの程度に対応するゲイン(gain)を決定してもよい。
【0014】
前記プロセッサは、前記第2状態差情報が属する範囲を確認して、前記確認された範囲に基づいて前記ゲインを決定してもよい。
【0015】
前記プロセッサは、前記各々の比率、前記ゲイン、及び複数のコンバータの平均出力物理量を用いて前記コンバータの各々の出力値を定義してもよい。
【0016】
前記インターフェースは、前記コンバータの各々の出力値を前記複数のバッテリの各々に対応するサブコントローラに送信してもよい。
【0017】
前記プロセッサは、前記出力値の各々に対応する電力又は電流が負荷に供給された場合、前記複数のバッテリの状態情報をアップデートしてもよい。
【0018】
前記プロセッサは、前記複数のバッテリの各々の物理量に基づいて前記複数のバッテリの各々の状態情報を決定し、前記複数のバッテリの各々の状態情報に基づいて平均状態情報を演算し、前記複数のバッテリの各々の状態情報と前記平均状態情報との間の差を示す前記第1状態差情報を演算し、前記第1状態差情報の絶対値を合わせて前記第2状態差情報を演算してもよい。
【0019】
前記プロセッサは、前記コンバータの個数に基づいて複数のコンバータが出力可能な物理量を確認して、前記平均状態情報及び前記物理量に基づいて前記複数のコンバータの出力物理量を設定してもよい。
【0020】
本発明の一実施形態に係るバッテリパックは、複数のバッテリと、前記複数のバッテリの各々に対応するコンバータと、前記複数のバッテリの各々の第1状態差情報と複数の第1状態差情報に基づいて演算される第2状態差情報との間の比率を決定し、前記比率に基づいて前記コンバータの各々の出力値を定義するメインコントローラとを含む。
【0021】
前記メインコントローラは、前記第2状態差情報に基づいて前記複数のバッテリの状態情報のアンバランスの程度に対応するゲイン(gain)を決定してもよい。
【0022】
前記メインコントローラは、前記各々の比率、前記ゲイン、及び複数のコンバータの平均出力物理量を用いて前記コンバータの各々の出力値を定義してもよい。
【0023】
前記メインコントローラは、前記コンバータの各々の出力値を前記複数のバッテリの各々に対応するサブコントローラに送信し、前記サブコントローラの各々は、前記出力値に対応する電力又は電流が負荷に供給されるように前記コンバータを制御してもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、バッテリ制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付する図面を参照しながら実施形態を詳細に説明する。
【0027】
以下で説明する実施形態は実施形態に対して限定しようとするものではなく、これに対する全ての変更、均等物ないし代替物を権利範囲に含むものとして理解しなければならない。
【0028】
実施形態で用いる用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いるものであって、実施形態を限定しようとする意図はない。単数の表現は文脈上、明白に異なる意味をもたない限り複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0029】
異なる定義がされない限り、技術的であるか又は科学的な用語を含む。ここで用いる全ての用語は、実施形態が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に用いられる予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈するべきであって、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0030】
また、図面を参照して説明する際に、図面符号に関係なく同一の構成要素には同一の参照符号を付与し、それに対する重複説明は省略することにする。本実施形態の説明において関連する公知技術に対する具体的な説明が実施形態の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0031】
図1A〜1Cは、複数のバッテリのアンバランスを説明するための図である。
【0032】
図1Aを参照すると、複数のバッテリの状態情報は、アンバランス又は不均等である。バッテリは、バッテリセル又はバッテリモジュールを含んでもよい。バッテリの状態情報は、例えば、充電状態(SOC、State of Charge)、容量(Capacity)、及び/又は寿命状態(State of Health、SOH)のうち少なくとも1つを含んでもよい。複数のバッテリの各々の位置により、複数のバッテリの各々の温度はそれぞれ異なり得る。そのため、複数のバッテリの状態情報がアンバランス又は不均等になることがある。
図1Aに示した例において、バッテリ1及び2のSOCは、バッテリ3から5のSOCより高い。
【0033】
複数のバッテリの状態情報がアンバランスな状態で複数のバッテリが放電すると、一部のバッテリは過放電する。
図1Bに示した例のように、バッテリ3及び5は過放電する。この場合、バッテリ3及び5は劣化し得る。
【0034】
複数のバッテリの状態情報がアンバランスな状態で複数のバッテリが充電される場合、一部のバッテリはフル充電されて、一部のバッテリはフル充電されない可能性がある。
図1Cに示した例のように、バッテリ2及び5は、フル充電され、バッテリ1、3、及び4は、フル充電されない。一部のバッテリがフル充電されないことで、複数のバッテリのエネルギー利用率が低下し得る。
【0035】
複数のバッテリの状態情報がアンバランスな状態で複数のバッテリの充放電サイクルが繰り返される場合、寿命の劣化が早く進み得るため、エネルギー利用率が減少する。
【0036】
図2〜
図3は、一実施形態に係るバッテリ制御方法を説明するためのフローチャートである。
【0037】
一実施形態に係るバッテリ制御方法は、バッテリ制御装置によって実行してもよい。
【0038】
図2を参照すると、バッテリ制御装置は、複数のDCH(Differential Charge Handler)の出力可能な物理量を確認する(S210)。ここで、DCHは、DC/DCコンバータを含んでもよい。バッテリ制御装置は、DCHの個数を確認することができ、確認されたDCHの個数により複数のDCHの出力可能な物理量を確認することができる。例えば、バッテリ制御装置は、DCHが10個あることを確認することができ、10個のDCHが10Wを出力する可能性があることを確認することができる。物理量は、例えば、電力及び/又は電流のうちのいずれか1つを含んでもよい。
【0039】
バッテリ制御装置は、複数のバッテリの状態情報を決定する(S220)。バッテリ制御装置は、複数のバッテリの各々に対応するサブコントローラから複数のバッテリの各々の物理量を受信する。複数のバッテリの各々の物理量は、例えば、電圧、電流、温度、及び/又はインピーダンスのうちのいずれか1つを含んでもよい。バッテリ制御装置は、複数のバッテリの各々の物理量に基づいて複数のバッテリの各々の状態情報を決定する。また、バッテリ制御装置は、複数のバッテリの各々のSOC及びSOHをかけた値を複数のバッテリの各々の状態情報に決定する。例えば、バッテリ制御装置は、第1バッテリのSOC及びSOHをかけた値を第1バッテリの状態情報に決定してもよい。同様に、バッテリ制御装置は、第2バッテリのSOC及びSOHをかけた値を第2バッテリの状態情報に決定してもよい。
【0040】
以下、一例としてバッテリの状態情報は、SOCである場合を説明する。しかし、後述する説明によって、バッテリの状態情報がSOCに制限されることはない。状態情報がSOC及びSOHをかけた値又は容量である場合にも後述する説明が適用され得る。
【0041】
バッテリ制御装置は、複数のバッテリの平均状態情報を演算する(S230)。バッテリ制御装置は、複数のバッテリの各々のSOCを用いて下の式(1)のようにSOC
Averageを演算する。
【0042】
SOC
Average=(SOC
1+SOC
2+…+SOC
N)/N (1)
【0043】
式(1)において、Nは、複数のバッテリの個数を示す。
【0044】
バッテリ制御装置は、複数のDCHの出力物理量を設定する(S240)。設定された出力物理量は、個別DCHが出力する物理量の合計である。個別DCHが出力する物理量は、ステップS250のプロセスを介して定義される。バッテリ制御装置は、複数のDCHの出力可能な物理量及び平均状態情報に基づいて出力物理量(P
DCH又はI
DCH)を設定する。バッテリ制御装置は、平均状態情報に基づいて、ステップS210で確認された出力可能な物理量を出力物理量に設定する。例えば、出力可能な物理量が10Wと確認され、平均状態情報が予め決定した基準以上である場合、P
DCHは、10Wと設定する。予め決定した基準は、例えば、複数のバッテリの最大SOCの半分であってもよい。また、出力可能な電流をI
DCHと設定してもよい。
【0045】
バッテリ制御装置は、複数のDCHの各々の出力値を定義するプロセスを開始する(S250)。プロセスを介して個別DCHが出力する物理量が定義される。以下、
図3を参照しながら複数のDCHの各々の出力値を定義するプロセスについて説明する。
【0046】
図3を参照すると、バッテリ制御装置は、複数のバッテリの各々の第1状態差情報を演算する(S310)。第1状態差情報は、複数のバッテリの各々の状態情報と平均状態情報との間の差を示す。複数のバッテリの各々の第1状態差情報は、下の式(2)で示すことができる。
【0047】
ΔSOC
n=SOC
n−SOC
Average (2)
【0048】
バッテリ制御装置は、複数の第1状態差情報に基づいて第2状態差情報を演算する(S320)。第2状態差情報は、複数の第1状態差情報の各々の絶対値の合計を示す。第2状態差情報は、下の式(3)で示すことができる。
【0049】
Σ|ΔSOC
n|=|ΔSOC
1|+|ΔSOC
2|+…+|ΔSOC
N| (3)
【0050】
複数のバッテリの状態情報がアンバランスであるほど|ΔSOC
n|は大きく、複数のバッテリの状態情報がバランス状態に近いほど|ΔSOC
n|は小さい。そのため、第2状態差情報は、複数のバッテリのバランス状態を判断する基準になり得る。
【0051】
バッテリ制御装置は、複数のDCHの平均出力物理量を決定する。平均出力物理量は、複数のDCHが低電圧負荷に供給する物理量の平均値を示す。例えば、バッテリ制御装置は、下の式(4)により平均出力物理量を決定する。
【0052】
P
Average=P
DCH/N又はI
Average=I
DCH/N
P
Average=P
LDC/N又はI
Average=I
LDC/N (4)
【0053】
バッテリ制御装置は、設定された出力物理量(P
DCH又はI
DCH)の平均値を平均出力物理量に決定する。また、バッテリ制御装置は、低電圧負荷の必要電力(P
LDC)又は必要電流(I
LDC)に関する情報を取得でき、P
LDC又はI
LDCの平均値を平均出力物理量に決定する。
【0054】
バッテリ制御装置は、第2状態差情報が予め決定した基準を満たすかを確認する(S330)。バッテリ制御装置は、第2状態差情報が予め決定した基準を満たす場合、及び満たさない場合、各々に対応する方式によって複数のDCHの各々の出力値を定義する。第2状態差情報が0であるか、0に実質的に近い場合、予め決定した基準を満たすことができ、第2状態差情報が0より大きいか0に実質的に近い値より大きい場合、予め決定した基準を満たさない可能性がある。予め決定した基準を満たすか否かに対する説明は、一実施形態に係る例示的な事項に過ぎず、予め決定した基準を満たすか否かに対する説明は、上述した事項に限定されない。以下、第2状態差情報が予め決定した基準を満たす場合に対応する出力値の定義方式を説明する。
【0055】
第2状態差情報が予め決定した基準を満たす場合、バッテリ制御装置は、複数のDCHの各々の出力値を平均出力物理量で定義してもよい。例えば、P
Target_n=P
Average又はI
Target_n=I
Averageである。ここで、P
Target_n又はI
Target_nは、複数のDCHの各々の出力値を示す。
【0056】
第2状態差情報が予め決定した基準を満たす場合、複数のバッテリ部の状態情報のバランスが保たれることを意味するため、複数のDCHの各々の出力値は、それぞれ異なるように定義されないことがある。以下、第2状態差情報が予め決定した基準を満たさない場合に対応する出力値の定義方式を説明する。
【0057】
第2状態差情報が予め決定した基準を満たさない場合、バッテリ制御装置は、第2状態差情報に基づいてゲイン(α)を決定する(S340)。バッテリ制御装置は、第2状態差情報が属する範囲を確認し、確認された範囲に基づいてゲインを決定する。例えば、バッテリ制御装置は、第2状態差情報が下の式(5)の範囲のうちのどこに属するのかを確認することができる。
【0058】
0<Σ|ΔSOC
n|≦1
1<Σ|ΔSOC
n|<10
10≦Σ|ΔSOC
n| (5)
【0059】
各々の範囲に対応するゲインを予め設定してもよい。第1の範囲に対応するゲインは0.5であってもよく、第2の範囲に対応するゲインは1と5の間の任意の定数であってもよく、第3の範囲に対応するゲインは6から10の間の任意の定数であってもよい。第2状態差情報が最初の範囲に属する場合、バッテリ制御装置は、ゲインを0.5と決定してもよく、第2状態差情報が第2の範囲に属する場合、バッテリ制御装置は、ゲインを3と決定してもよいし、第2状態差情報が第3の範囲に属する場合、バッテリ制御装置は、ゲインを6と決定してもよい。
【0060】
複数のバッテリの状態情報がアンバランスの場合、ゲインは、相対的に大きく決定してもよく、複数のバッテリの状態情報がバランス状態に近い場合、ゲインは、相対的に小さく決定してもよいため、ゲインは、複数のバッテリの各々の状態情報がどれだけアンバランスであるかを示すアンバランスの程度に対応し得る。
【0061】
上述したゲイン及び範囲は、例示的な事項に過ぎず、ゲイン及び範囲は、上述した事項に限定されない。
【0062】
バッテリ制御装置は、複数の第1状態差情報と第2状態差情報との間の比率を決定する。より具体的には、バッテリ制御装置は、複数の第1状態差情報の各々が第2状態差情報で占める比率を決定する(S350)。バッテリ制御装置は、下の式(6)によって比率を決定することができる。
【0063】
ε
n=ΔSOC
n/(Σ|ΔSOC
n|) (6)
【0064】
SOC
nがSOC
Averageより大きい場合、ΔSOC
nは、正数であり、ε
nもまた正数である。SOC
nがSOC
Averageより小さい場合、ΔSOC
nは、負数であり、ε
nもまた負数である。ε
nは、正数又は負数になり得る。ε
nが正数である場合、バッテリがより多くの電力又は電流を負荷に供給することを意味することができ、ε
nが負数である場合、バッテリがより少ない電力又は電流を負荷に供給することを意味することができる。
【0065】
バッテリ制御装置は、各々の比率に基づいて複数のDCHの各々の出力値を定義する(S360)。一実施形態において、バッテリ制御装置は、ゲイン、各々の比率、及び複数のDCHの平均出力物理量を用いて複数のDCHの各々の出力値を定義することができる。例えば、バッテリ制御装置は、式(7)によって複数のDCHの各々の出力値を定義することができる。
【0066】
P
Target_n=P
Average+α*P
Average*ε
n又はI
Target_n=I
Average+α*I
Average*ε
n (7)
【0067】
バッテリ制御装置は、平均出力物理量を特定値だけ加算又は減産して複数のDCHの各々の出力値を定義する(S370)。ここで、特定値は、比率及びゲインが適用された値であり、上の式(7)において、α*P
Average*ε
n又はα*I
Average*ε
nを示すことができる。ここまで、第2状態差情報が予め決定した基準を満たさない場合に対応する出力値の定義方式に対する説明である。
【0068】
バッテリ制御装置は、複数のDCHの各々の出力値を複数のバッテリの各々に対応するサブコントローラに送信する(S380)。サブコントローラの各々は、出力値に基づいてDCHを制御する。そのため、出力値に対応する電力又は電流が低電圧負荷に供給される。
【0069】
複数のバッテリの状態情報がアンバランスの場合、複数のバッテリの各々は、互いに異なる値を有する電力又は電流を低電圧負荷に出力する。特に、電力が多く貯蔵されたバッテリは、より多くの電力又は電流を低電圧負荷に供給し、電力が少なく貯蔵されたバッテリは、より少ない電力又は電流を低電圧負荷に供給する。そのため、複数のバッテリの状態情報がバランス状態に近づくか、又はバランスを保持することができる。また、複数のバッテリの充放電サイクルが増加するに従ってエネルギー利用率が大きく減少せずに、複数のバッテリの劣化速度が増加しないことがある。
【0070】
出力値の各々に対応する電力又は電流が低電圧負荷に供給された場合、バッテリ制御装置は、複数のバッテリの状態情報をアップデートする(S390)。サブコントローラは、DCHが出力した物理量に関する情報をバッテリ制御装置に送信する。バッテリ制御装置は、複数のDCHの各々が出力した物理量に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて複数のバッテリの状態情報をアップデートする。
【0071】
バッテリ制御装置は、予め決定した時間の間ステップS310〜ステップS390を繰り返す。予め決定した時間が経過した場合、バッテリ制御装置は、
図2に示したステップS210から開始する。
【0072】
図4は、一実施形態に係るバッテリ制御装置の動作を説明するための図である。
図4の上に示した複数のバッテリ410を参照すると、複数のバッテリ410の状態情報は、アンバランスである。ここで、バッテリ1のSoCは7、バッテリ2のSoCは8、バッテリ3のSoCは5、バッテリ4のSoCは6、及びバッテリ5のSoCは5とする。一実施形態に係るバッテリ制御装置は、複数のバッテリの各々に対応するDCHの出力値を異なるように定義する。
【0073】
より具体的には、バッテリ制御装置は、SOC
Averageを演算する。
図4の例において、SOC
Average=(7+8+5+6+5)/5=6.2である。また、バッテリ制御装置は、複数のバッテリの出力物理量を設定する。ここで、出力物理量P
DCHを10Wと仮定すると、平均出力物理量P
Average=2である。
【0074】
バッテリ制御装置は、ΔSOC
nを演算する。
図4の例において、ΔSOC
1=0.8、ΔSOC
2=1.8、ΔSOC
3=−1.2、ΔSOC
4=−0.2及びΔSOC
5=−1.2である。バッテリ制御装置は、Σ|ΔSOC
n|を演算する。
図4の例において、Σ|ΔSOC
n|=5.2である。
【0075】
バッテリ制御装置は、Σ|ΔSOC
n|に基づいてゲインを決定する。上の式(5)を参照するとき、演算されたΣ|ΔSOC
n|は1より大きいため、バッテリ制御装置は、ゲインを3と決定することができる。
【0076】
バッテリ制御装置は、ΔSOC
nがΣ|ΔSOC
n|の間の比率を決定することができる。
図4の例において、バッテリ制御装置は、ε
1=0.8/5.2、ε
2=1.8/5.2、ε
3=−1.2/5.2、ε
4=−0.2/5.2、及びε
5=−1.2/5.2と決定することができる。
【0077】
バッテリ制御装置は、複数のバッテリの各々に対応するDCHの出力値を定義する。
図4の例において、バッテリ制御装置は、
P
Target_1=2+3*2*0.8/5.2≒3W、
P
Target_2=2+3*2*1.8/5.2≒4W、
P
Target_3=2+3*2*(−1.2/5.2)≒0.6W、
P
Target_4=2+3*2*(−0.2/5.2)≒1.8W、及び
P
Target_5=2+3*2*(−1.2/5.2)≒0.6Wと定義することができる。
【0078】
ここで、P
Target_1及びP
Target_2は、P
Averageより大きく、P
Target_3〜P
Target_5は、P
Averageより小さい。バッテリ制御装置は、P
Averageを調整してバッテリ1及び2の各々に対応するDCHの出力値を定義するが、比率に基づいてP
Averageより大きく定義してもよい。また、バッテリ制御装置は、P
Averageを調整してバッテリ3〜5の各々に対応するDCHの出力値を定義するが、比率に基づいてP
Averageより小さく定義してもよい。
【0079】
下の表1は、バッテリ制御装置がP
Target_1〜P
Target_5を定義するのに必要な情報の一例を示す。
【0080】
【表1】
P
Target_1からP
Target_5の合計は10Wであり、P
DCHは10Wである。P
Target_1からP
Target_5がそれぞれ異なるように定義されたとしても、P
Target_1からP
Target_5の合計はP
DCHと同一である。P
DCH=ΣP
Target_nである。バッテリ制御装置は、複数のDCHの各々の出力値をそれぞれ異なるように複数のDCHの各々の出力値の合計を一定に保つことができる。そのため、複数のDCHから一定の電力又は電流が低電圧負荷に供給され得る。
【0081】
バッテリ制御装置は、P
Target_1からP
Target_5の各々を複数のバッテリの各々に対応するサブコントローラに送信する。P
Target_1からP
Target_5の各々に対応する電力が低電圧負荷に供給される。バッテリ1及び2がより多くの電力を低電圧負荷に供給し、バッテリ3から5は、より少ない電力を低電圧負荷に供給し、バッテリ1から5の状態情報は、バランス状態に近づくことができる。
【0082】
図4の下に示した複数のバッテリ420を参照すると、複数のバッテリ420の状態情報は、バランスが保たれている。一実施形態に係るバッテリ制御装置は、複数のバッテリの状態情報及び/又は電荷が互いに均等になるように動作する。また、外部及び内部影響によって複数のバッテリの状態情報及び/又は電荷が不均等な場合、バッテリ制御装置は、上述したようにDCHの出力値をそれぞれ異なるように定義して複数のバッテリの状態情報及び/又は電荷を均等にする。そのため、複数のバッテリのエネルギー利用率が増加することができ、複数のバッテリを効果的に用いることができる。
【0083】
図5は、一実施形態に係る電力供給を説明するための図である。
図5を参照すると、時間に係る低電圧負荷(Low Voltage Load)の必要電力P
LDC510と複数のDCHの各々の出力値の合計520が示されている。P
LDC510は時間に応じて変化し、合計520は上述したように一定である。
【0084】
低電圧負荷は、例えば、前記移動体の温度制御システム又は姿勢制御システムなど低電圧12Vで動作することのできるシステムを含んでもよい。
【0085】
複数のDCHは、P
LDC510を満たすように電力を出力する。ここで、電力は、上述したP
Target_nの合計を示す。低電圧負荷のP
LDC510が合計520を超過する場合、補助電力貯蔵部(例えば、12V
DC補助バッテリ)が複数のDCHと共に低電圧負荷に電力を供給する。低電圧負荷のP
LDC510が合計520未満の場合、余分の電力は補助電力貯蔵部を充電する。
【0086】
図6は、一実施形態に係るバッテリ制御装置を説明するためのブロック図である。
図6を参照すると、一実施形態に係るバッテリ制御装置600は、インターフェース610及びプロセッサ620を含む。
【0087】
インターフェース610は、複数のバッテリと通信する。より具体的には、インターフェース610は、複数のバッテリの各々に対応するサブコントローラと通信する。例えば、インターフェース610は、CAN(Controller Area Network)方式、単線方式、又は、複線方式によってサブコントローラと通信してもよい。上述した通信方式は、例示的な事項に過ぎず、通信方式は、上述した説明によって制限されない。
【0088】
プロセッサ620は、複数のバッテリの各々の第1状態差情報と第2状態差情報との間の比率を決定する。
【0089】
プロセッサ620は、各々の比率に基づいて複数のバッテリの各々に対応するコンバータの出力値を定義する。コンバータは、上述したDCHに対応してもよい。
【0090】
図1〜
図5によって記述された事項は、
図6によって記述された事項に適用することができるため、詳細な説明は省略する。
【0091】
図7は、一実施形態に係るバッテリパックを説明するための図である。
図7を参照すると、一実施形態に係るバッテリパックは、メインコントローラ710及び複数のバッテリ720,730,740を含む。メインコントローラ710は、上述したバッテリ制御装置に対応することができる。
【0092】
メインコントローラ710は、マスタバッテリ管理システム(Battery Management System:BMS)711及びSOC/SOHプロセッサ712を含む。SOC/SOHプロセッサ712は、複数のバッテリ720,730,740の状態情報を決定する。マスタBMS711は、上述したバッテリ制御装置の動作を行うが、SOC/SOHプロセッサ712の動作を除く動作を行ってもよい。例えば、マスタBMS711は、複数のDCH721,731,741の各々の出力値を定義して複数のサブコントローラ722,732,742に送信する。
【0093】
一実施形態によれば、マスタBMS711ではない複数のサブコントローラ722,732,742の各々が比率を決定し、複数のDCH721,731,741の各々の出力値を定義してもよい。この場合、マスタBMS711は、ゲインを決定し、決定されたゲインを複数のサブコントローラ722,732,742の各々に送信する。
【0094】
SOC/SOHプロセッサ712とマスタBMS711は、物理的に区別される装置であってもよい。また、実施によって、SOC/SOHプロセッサ712とマスタBMS711は、1つの物理的装置内に論理的に区分されてもよい。
【0095】
複数のバッテリ720,730,740の各々は、サブコントローラ及びDCHを含んでもよい。複数のサブコントローラ722,732,742の各々は、複数のバッテリ720,730,740の各々の電圧、電流、温度、及び/又はインピーダンスを管理してもよい。
【0096】
複数のバッテリ720,730,740は、直列に接続されてもよい。複数のバッテリ720,730,740は、OUT端子を介して直列に接続されることができ、ライン750を介して複数のバッテリ720,730,740の各々に貯蔵された電力を高電圧負荷に供給することができる。ここで、高電圧負荷で電力を供給するライン750は、低電圧負荷及び/又は補助電力貯蔵部で電力を供給するラインと区分してもよい。複数のバッテリ720,730,740の各々は、貯蔵された電力を変換せずに、高電圧負荷で電力を供給してもよい。
【0097】
複数のDCH721,731,741は、並列に接続されてもよい。そのため、P
target_1からP
target_nの合計が低電圧負荷及び/又は補助電力貯蔵部に供給され得る。
【0098】
複数のDCH721,731,741の各々は、複数のバッテリ720,730,740の各々に含まれた1つ以上のバッテリセルに貯蔵された電力を高電圧から低電圧に変換(例えば、ステップダウン)することができ、変換された電力を低電圧負荷及び/又は補助電力貯蔵部に供給することができる。
【0099】
図8は、一実施形態に係るバッテリ状態情報を提供するためのユーザインターフェースを説明するための図である。
図8を参照すると、前記移動体810のような物理的アプリケーションは、バッテリシステム820を含む。上述した物理的アプリケーションは、例示的な事項に過ぎず、物理的アプリケーションは、上述した例に制限されない。バッテリシステムは、前記移動体だけでなくバッテリを用いる全ての物理的アプリケーションに適用され得る。
【0100】
バッテリシステム820は、複数のバッテリ830及びバッテリ制御装置840を含む。
【0101】
バッテリ830は、バッテリモジュール又はバッテリセルを含んでもよい。
【0102】
複数のバッテリ830の間の性能偏差(例えば、電圧差及び/又は容量差など)があるバッテリパックの充電/放電サイクルが繰り返されれば、過充電及び過放電が発生する可能性があり、過充電及び過放電によって複数のバッテリ830が劣化して複数のバッテリ830の寿命が短くなり得る。
【0103】
バッテリ制御装置840は、複数のバッテリ830の電圧、電流、及び/又は温度などの情報に基づいて複数のバッテリ830が最適な状態で動作するようにする。例えば、バッテリ制御装置840は、複数のバッテリ830が最適温度で動作するようにしたり、複数のバッテリ830の状態情報を適切なレベルに保持するようにする。また、バッテリ制御装置840は、上述した複数のバッテリ830の各々に対応するDCHの出力値をそれぞれ異なるように定義し、複数のバッテリ830の状態情報を均等にする。
【0104】
また、バッテリ制御装置840は、バッテリシステム820の安全運用のための情報を生成し、安全運用のための情報を端末に送信する。例えば、バッテリ制御装置840は、複数のバッテリ830の寿命情報、性能情報、及び/又は交換時期などを端末850に送信する。
【0105】
一実施形態では、バッテリ制御装置840は、無線インターフェースを介して端末850からトリガー信号を受信し、トリガー信号に基づいてバッテリ部830の状態情報(例えば、寿命情報)を決定する。バッテリ制御装置840は、状態情報を無線インターフェースを用いて端末850に送信する。端末850は、ユーザインターフェース860を用いて複数のバッテリ830の状態情報を表示する。
【0106】
一実施形態によれば、バッテリ制御装置は、チップ形態で実現することができる。また、バッテリ制御装置は、前記自動車(又は、ハイブリッド自動車)又はエネルギー貯蔵装置(Energy Storage System;ESS)などの大容量バッテリ管理システムに搭載することができる。また、バッテリ管理装置は、充電可能バッテリが搭載される電子機器又は機器管理システムに搭載することができる。
【0107】
実施形態に係る方法は、様々なコンピュータ手段を介して実行することができるプログラム命令の形態で実現され、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録される。記録媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独又は組合せて含む。前記媒体に記録されるプログラム命令は、本発明の目的のために特別に設計して構成されたものでもよく、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知のものであり、使用可能なものであってもよい。コンピュータ読取可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク及び磁気テープのような磁気媒体、CD−ROM、DVDのような光記録媒体、フロプティカルディスクのような磁気−光媒体、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置を含む。プログラム命令の例としては、コンパイラによって生成されるような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを用いてコンピュータによって実行できる高級言語コードを含む。ハードウェア装置は、本発明の動作を実行するために1つ以上のソフトウェアモジュールとして作動するように構成してもよく、その逆も同様である。
【0108】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、前記の記載から様々な修正及び変形が可能である。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる順序で実行される、及び/又は説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法と異なる形態で結合又は組合わされる、他の構成要素又は均等物によって代替、置換されても適切な結果が達成されてもよい。
【0109】
したがって、本発明の範囲は、開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等なものなどによって定められるものである。