特許第6777551号(P6777551)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6777551
(24)【登録日】2020年10月12日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】測定装置用の接続切替装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 27/02 20060101AFI20201019BHJP
【FI】
   G01R27/02 R
【請求項の数】3
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-930(P2017-930)
(22)【出願日】2017年1月6日
(65)【公開番号】特開2018-109585(P2018-109585A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2019年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】山嵜 浩
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 達也
【審査官】 島田 保
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−142298(JP,A)
【文献】 特開2005−300495(JP,A)
【文献】 特開2015−99019(JP,A)
【文献】 特開2005−55213(JP,A)
【文献】 特開2009−216616(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/071293(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 27/00−27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の物理量を第1測定方法で測定する第1測定装置が接続可能な第1装置用端子群と、
前記測定対象の物理量を前記第1測定方法とは異なる第2測定方法で測定する第2測定装置が接続可能な第2装置用端子群と、
前記測定対象に接続されるシールド付き測定ケーブルが接続可能な複数チャンネル分のケーブル用端子群と、
複数のスイッチで構成されると共に前記第1装置用端子群および前記第2装置用端子群と前記ケーブル用端子群との間に配設されて、前記第1測定方法および前記第2測定方法のうちから一つの測定方法が選択され、かつ前記複数チャンネルのうちから1つのチャンネルが選択されたときには、当該第1装置用端子群および当該第2装置用端子群のうちの当該選択された1つの測定方法に対応する装置用端子群と当該ケーブル用端子群のうちの当該選択された1つのチャンネルに対応する各端子とが、当該装置用端子群に含まれる接地用端子と当該ケーブル用端子群のうちの前記測定ケーブルのシールドが接続されるシールド端子とが接続された状態で接続される接続形態に前記複数のスイッチのオン・オフ状態が切り替え可能なスキャナ部とを備えている測定装置用の接続切替装置。
【請求項2】
前記スキャナ部は、前記選択された一つの測定方法が2端子法であって前記測定対象の一端が接地されているときには、前記接地用端子に前記シールド端子が接続される接続形態に代えて、前記ケーブル用端子群のうちの前記測定ケーブルを介して前記測定対象の非接地側端子に接続される端子に当該シールド端子が接続される接続形態に前記複数のスイッチのオン・オフ状態を切り替え可能に構成されている請求項1記載の測定装置用の接続切替装置。
【請求項3】
前記スキャナ部は、導電性を有すると共に接地されたシャーシと、接断スイッチとを備えると共に、当該接断スイッチおよび前記複数のスイッチは当該シャーシに配設され、かつ当該接断スイッチがオン状態のときには当該接断スイッチを介して前記シールド端子が当該シャーシに接続され、当該接断スイッチがオフ状態のときには当該シールド端子が当該シャーシから切り離される請求項1または2記載の測定装置用の接続切替装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の測定対象に接続される測定ケーブルと測定装置との間に配設されて、選択された測定対象と測定装置とを測定ケーブルを介して測定装置での測定方法に対応した接続形態で接続する測定装置用の接続切替装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の接続切替装置として、本願出願人が提案した下記特許文献1において背景技術として開示されている接続切替部(基板検査装置に設けられている構成要素)が一般的に知られている。この接続切替部は、複数のスイッチを備えて構成されて、複数の測定対象(複数の検査導体)に接続させられる複数のリード配線と、測定装置(電源(直流源または電圧源)、電圧計、電流計および処理部を含んで構成される装置)との間に配設されている。
【0003】
この接続切替部は、内蔵されている複数のスイッチが処理部によって個別にオン・オフ制御されることにより、複数の測定対象から選択された1つの測定対象に接触させられている4つのリード配線を4端子法(測定装置での測定方法)に対応した接続形態で測定装置に接続する。これにより、測定装置は、この1つの測定対象の物理量(この例では抵抗値)を4端子法で測定することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−216616号公報(第2−4頁、第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記の測定装置用の接続切替装置には、以下のような改善すべき課題が存在している。すなわち、測定装置には、上記した測定装置のような4端子法で測定するものだけではなく、2端子法や4端子対法などの種々の測定方法で測定するものが存在している。このため、異なる測定方法の測定装置を接続可能であって、接続された測定装置を、この測定装置の測定方法に対応した接続形態でリード配線(測定ケーブル)を介して選択された測定対象に接続し得る構成であるのが好ましいが、上記した接続切替装置に接続し得る測定装置は4端子法で測定する測定装置だけであるため、この接続切替装置には、4端子法以外の測定方法で測定する測定装置を接続して使用することができないという課題が存在している。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、異なる測定方法の測定装置とその測定ケーブルとを接続して使用し得る測定装置用の接続切替装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく請求項1記載の測定装置用の接続切替装置は、測定対象の物理量を第1測定方法で測定する第1測定装置が接続可能な第1装置用端子群と、前記測定対象の物理量を前記第1測定方法とは異なる第2測定方法で測定する第2測定装置が接続可能な第2装置用端子群と、前記測定対象に接続されるシールド付き測定ケーブルが接続可能な複数チャンネル分のケーブル用端子群と、複数のスイッチで構成されると共に前記第1装置用端子群および前記第2装置用端子群と前記ケーブル用端子群との間に配設されて、前記第1測定方法および前記第2測定方法のうちから一つの測定方法が選択され、かつ前記複数チャンネルのうちから1つのチャンネルが選択されたときには、当該第1装置用端子群および当該第2装置用端子群のうちの当該選択された1つの測定方法に対応する装置用端子群と当該ケーブル用端子群のうちの当該選択された1つのチャンネルに対応する各端子とが、当該装置用端子群に含まれる接地用端子と当該ケーブル用端子群のうちの前記測定ケーブルのシールドが接続されるシールド端子とが接続された状態で接続される接続形態に前記複数のスイッチのオン・オフ状態が切り替え可能なスキャナ部とを備えている。
【0008】
また、請求項2記載の測定装置用の接続切替装置は、請求項1記載の測定装置用の接続切替装置において、前記スキャナ部は、前記選択された一つの測定方法が2端子法であって前記測定対象の一端が接地されているときには、前記接地用端子に前記シールド端子が接続される接続形態に代えて、前記ケーブル用端子群のうちの前記測定ケーブルを介して前記測定対象の非接地側端子に接続される端子に当該シールド端子が接続される接続形態に前記複数のスイッチのオン・オフ状態を切り替え可能に構成されている。
【0009】
また、請求項3記載の測定装置用の接続切替装置は、請求項1または2記載の測定装置用の接続切替装置において、前記スキャナ部は、導電性を有すると共に接地されたシャーシと、接断スイッチとを備えると共に、当該接断スイッチおよび前記複数のスイッチは当該シャーシに配設され、かつ当該接断スイッチがオン状態のときには当該接断スイッチを介して前記シールド端子が当該シャーシに接続され、当該接断スイッチがオフ状態のときには当該シールド端子が当該シャーシから切り離される。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の測定装置用の接続切替装置では、第1測定装置が接続可能な第1装置用端子群、第2測定装置が接続可能な第2装置用端子群、測定ケーブルが接続可能なケーブル用端子群、第1装置用端子群および第2装置用端子群のうちの選択された1つの測定方法に対応する装置用端子群とケーブル用端子群のうちの選択された1つのチャンネルに対応する各端子とが、装置用端子群に含まれる接地用端子とケーブル用端子群のうちのシールド端子とが接続された状態で接続される接続形態に切り替え可能なスキャナ部とを備えている。
【0011】
したがって、この測定装置用の接続切替装置によれば、1つの測定方法の測定装置とその測定ケーブルだけではなく、異なる複数種類の測定方法の測定装置とそれぞれに対応する複数種類の測定ケーブルのうちから任意の1つの組を選択して接続して使用することができる。
【0012】
請求項2記載の測定装置用の接続切替装置によれば、スキャナ部がケーブル用端子群のうちの測定ケーブルを介して測定対象の非接地側端子に接続される端子にシールド端子が接続される接続形態に切り替えることができるため、電流計が非接地側に配置された測定装置を使用して、測定ケーブルのシールドをこの測定装置内の電流計の電位とほぼ同電位に規定した状態(つまり、より高いシールド効果を維持した状態)で、一端が接地されている測定対象に流れる電流の電流値と測定対象の両端間電圧の電圧値とを高精度で測定することができる。また、これにより、測定対象の抵抗値をより高精度で測定し得るようにすることができる。
【0013】
請求項3記載の測定装置用の接続切替装置によれば、接断スイッチにより、測定ケーブルの接続に際して、ケーブル用端子群のうちの測定ケーブルのシールドが接続されるシールド端子(およびこのシールド端子に接続されているシャーシ内の内部配線)を接地しておくことができる。これにより、この接続切替装置によれば、電位的に不定な状態の測定ケーブルのシールドが接続されることに起因して、ケーブル用端子群のシールド端子(およびこのシールド端子に接続されている内部配線)に、過電圧や過電流などのノイズが生じるという事態の発生を未然に防止することができ、これによってスキャナ部を構成する各スイッチの保護を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】接続切替装置1の構成図である。
図2】2端子法の測定装置MD1と測定ケーブルMC1を接続した状態での接続切替装置1の構成図である。
図3】4端子法の測定装置MD2と測定ケーブルMC2を接続した状態での接続切替装置1の構成図である。
図4】4端子対法の測定装置MD3と測定ケーブルMC3を接続した状態での接続切替装置1の構成図である。
図5】他の2端子対法の測定装置MD4と測定ケーブルMC1を接続して、一端が接地された測定対象21の抵抗値を測定するときの接続切替装置1の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、測定装置用の接続切替装置の実施の形態について説明する。
【0016】
接続切替装置の一例としての接続切替装置1は、図1に示すように、一例として、シャーシ2、複数種類の装置用コネクタ群(本例では一例として、2端子法で測定する測定装置MD1、4端子法で測定する測定装置MD2および4端子対法で測定する測定装置MD3の3種類の測定装置MDのうちの対応する測定装置MD1を接続可能な装置用コネクタ群5、対応する測定装置MD2を接続可能な装置用コネクタ群6、および対応する測定装置MD3を接続可能な装置用コネクタ群7の3種類の装置用コネクタ群)、測定対象に接続されるシールド付き測定ケーブル(測定装置MD1用の後述する測定ケーブルMC1、測定装置MD2用の後述する測定ケーブルMC2、および測定装置MD3用の後述する測定ケーブルMC3。以下、特に区別しないときには「測定ケーブルMC」ともいう)の各コネクタCN1,CN2,CN3(図2図4参照。以下、特に区別しないときには「コネクタCN」ともいう)が接続可能なケーブル用コネクタ8(本例では一例として、1つの多ピンコネクタ)、スキャナ部9および接断(接続、切断)スイッチ10を備えている。
【0017】
なお、本例では装置用端子群やケーブル用端子群を構成する端子(接続用の端子)の一例として、端子が合成樹脂製のハウジングに収容されて構成されたコネクタを挙げて説明するが、接続用の端子としては、このようなコネクタの形態に限定されるものではなく、ケーブルの芯線を1本ずつねじで挟むようにして締め付ける形態や、バナナ型プラグの形態とすることもできる。
【0018】
シャーシ2は、金属材料などの導電性材料を用いて、一例として直方体形状の箱体に形成されている。また、シャーシ2は、不図示の接地用の接続端子に接続された不図示の接地用ケーブルを介して接地されて、グランド電位に規定されている。なお、図1図5では、接地は符号Gを付して示すものとする。
【0019】
装置用コネクタ群5は、図2に示すように、2端子法で測定する測定装置MD1(一対の検出用端子TP1,TP2およびガード端子TPGを備えた測定装置)を接続するための電圧検出用第1コネクタ5(以下、コネクタ5ともいう)、電圧検出用第2コネクタ5(以下、コネクタ5ともいう)およびガード用コネクタ5(接地用端子としての接地用コネクタ。以下、コネクタ5ともいう)で構成されている。
【0020】
具体的には、接続切替装置1に測定装置MD1を接続する際には、図2に示すように、装置用コネクタ群5のコネクタ5に測定装置MD1の検出用端子TP1を、またコネクタ5に測定装置MD1の検出用端子TP2をそれぞれ例えば同軸ケーブルを介して接続し、かつコネクタ5には測定装置MD1のガード端子TPGを単芯ケーブルなどを介して接続する。また、測定装置MD1は、図2に示すように接続された信号源SG、電圧計VMおよび電流計IMを備えて構成されている。このため、測定装置MD1では、一対の検出用端子TP1,TP2は信号出力端子としても機能する。このことから、装置用コネクタ群5の一対の電圧検出用のコネクタ5,5は、信号入力用のコネクタとしても機能する。
【0021】
装置用コネクタ群6は、図3に示すように、4端子法(具体的には、シールデッド4端子法(5端子法ともいう))で測定する測定装置MD2(一対の検出用端子TP1,TP2、一対の信号出力用端子TP3,TP4、およびガード端子TPGを備えた測定装置)を接続するための電圧検出用第3コネクタ6AH(以下、コネクタ6AHともいう)、電圧検出用第4コネクタ6AL(以下、コネクタ6ALともいう)、信号出力用第1コネクタ6BH(以下、コネクタ6BHともいう)、信号出力用第2コネクタ6BL(以下、コネクタ6BLともいう)およびコネクタ5で構成されている。つまり、装置用コネクタ群6は、コネクタ5を装置用コネクタ群5と共有する構成となっている。
【0022】
具体的には、接続切替装置1に測定装置MD2を接続する際には、図3に示すように、装置用コネクタ群6のコネクタ6AHに測定装置MD2の検出用端子TP1を、またコネクタ6ALに測定装置MD2の検出用端子TP2を、またコネクタ6BHに測定装置MD2の信号出力用端子TP3を、またコネクタ6BLに測定装置MD2の信号出力用端子TP4をそれぞれ例えば同軸ケーブルを介して接続し、かつコネクタ5には測定装置MD2のガード端子TPGを単芯ケーブルなどを介して接続する。また、測定装置MD2は、図3に示すように接続された信号源SG、電圧計VMおよび電流計IMを備えて構成されている。
【0023】
装置用コネクタ群7は、図4に示すように、4端子対法で測定する測定装置MD3(一対の検出用端子TP1,TP2、一対の信号出力用端子TP3,TP4、一対の電流検出用端子TP5,TP6、およびガード端子TPGを備えた測定装置)を接続するための一対のコネクタ6AH,6AL、一対のコネクタ6BH,6BL、電流検出用第1コネクタ7(以下、コネクタ7ともいう)、電流検出用第2コネクタ7(以下、コネクタ7ともいう)、およびコネクタ5で構成されている。つまり、装置用コネクタ群7は、コネクタ5を装置用コネクタ群5,6と共有し、コネクタ6AH,6AL,6BH,6BLを装置用コネクタ群6と共有する構成となっている。
【0024】
具体的には、接続切替装置1に測定装置MD3を接続する際には、図4に示すように、装置用コネクタ群6のコネクタ6AHに測定装置MD3の検出用端子TP1を、またコネクタ6ALに測定装置MD3の検出用端子TP2を、またコネクタ6BHに測定装置MD3の信号出力用端子TP3を、またコネクタ6BLに測定装置MD3の信号出力用端子TP4を、またコネクタ7に測定装置MD3の電流検出用端子TP5を、またコネクタ7に測定装置MD3の電流検出用端子TP6をそれぞれ例えば同軸ケーブルを介して接続し、かつコネクタ5には測定装置MD3のガード端子TPGを単芯ケーブルなどを介して接続する。また、測定装置MD3は、図4に示すように接続された信号源SG、電圧計VMおよび電流計IMを備えて構成されている。
【0025】
なお、本例の接続切替装置1では、測定装置MD2,MD3のいずれかと測定装置MD1とを同時に接続し得るように、測定装置MD1を接続するための装置用コネクタ群5を構成するコネクタ5,5を、測定装置MD2,MD3を接続するための装置用コネクタ群6,7を構成するコネクタ6AH,6ALとは別に設ける構成を採用しているが、測定装置MD1,MD2,MD3から選択したいずれか1つだけを接続する構成でよいときには、コネクタ5,5と後述するスイッチSW1の組、およびコネクタ6AH,6ALと後述するスイッチSW2の組のいずれか一方の組を省く構成とすることもできる。この構成においては、各測定装置MD1,MD2,MD3の検出用端子TP1,TP2は、コネクタ5,5およびコネクタ6AH,6ALのうちの残したコネクタに接続される。また、以下では、各検出用端子TP1,TP2、各信号出力用端子TP3,TP4、各電流検出用端子TP5,TP6およびガード端子TPGを区別しないときには、単に端子TPともいう。
【0026】
この接続切替装置1では、接続切替装置1に接続される測定装置MD1〜MD3の各端子TPのうちのガード端子TPGを除く端子の最大数(測定装置MD3の6つ)が、1つの測定対象の物理量を測定するために測定対象に接続される1チャンネル分の配線数となる。これにより、n個の測定対象を同時に接続し得る測定ケーブルMC(つまり、図1に示すようにnチャンネル(CH1〜CHn)用の測定ケーブルMC)が接続可能なケーブル用コネクタ8は、6×n個の端子と1個の端子(測定ケーブルMCのシールドに接続される1つのシールド端子SH)とを有して構成されている。ケーブル用コネクタ8は、多ピンコネクタの一例であるD−subコネクタで構成されている。
【0027】
また、ケーブル用コネクタ8には、測定装置MD1用の図2に示す構成の測定ケーブルMC1、測定装置MD2用の図3に示す構成の測定ケーブルMC2、および測定装置MD3用の図4に示す構成の測定ケーブルMC3のうちから選択された1つの測定ケーブルMCが接続される。この場合、測定ケーブルMC1は、2端子法に対応した測定ケーブルであって、この測定ケーブルMC1に取り付けられてケーブル用コネクタ8に接続される1つのコネクタCN1におけるケーブル用コネクタ8の各チャンネルCH1,CH2,・・・,CHnの1番ピンと2番ピン(後述するようにしてスキャナ部9を介してコネクタ5,5に接続され得るピン(端子))に接続される合計2×n個のピンに配線(2×n本の配線)が施されると共に、コネクタCN1におけるシールド端子に接続される1個のピン(端子)にシールド(例えば、測定ケーブルMC1を構成する2×n本の配線の周囲を覆う銅編み線などのシールド用導体)が接続されて構成されている。
【0028】
また、測定ケーブルMC2は、4端子法に対応した測定ケーブルであって、この測定ケーブルMC2に取り付けられてケーブル用コネクタ8に接続される1つのコネクタCN2におけるケーブル用コネクタ8の各チャンネルCH1,CH2,・・・,CHnの1番ピンから4番ピン(後述するようにしてスキャナ部9を介してコネクタ6AH,6AL,6BH,6BLに接続され得るピン(端子))に接続される合計4×n個のピンに配線(4×n本の配線)が施されると共に、コネクタCN2におけるシールド端子に接続される1個のピン(端子)にシールド(例えば、測定ケーブルMC2を構成する2×n本の配線の周囲を覆う銅編み線などのシールド用導体)が接続されて構成されている。
【0029】
また、測定ケーブルMC3は、4端子対法に対応した測定ケーブルであって、この測定ケーブルMC3に取り付けられてケーブル用コネクタ8に接続される1つのコネクタCN3におけるケーブル用コネクタ8の各チャンネルCH1,CH2,・・・,CHnの1番ピンから6番ピン(後述するようにしてスキャナ部9を介してコネクタ6AH,6AL,6BH,6BL,7,7に接続され得るピン(端子))に接続される合計6×n個のピンに配線(6×n本の配線)が施されると共に、コネクタCN3におけるシールド端子に接続される1個のピン(端子)にシールド(例えば、測定ケーブルMC3を構成する6×n本の配線の周囲を覆う銅編み線などのシールド用導体)が接続されて構成されている。
【0030】
スキャナ部9は、複数のスイッチで構成されると共に、各装置用コネクタ群5,6,7とケーブル用コネクタ8との間に配設されている。また、スキャナ部9は、測定装置MD1〜MD3での測定において用いられる複数の測定方法(本例では、2端子法、4端子法および4端子対法)のうちから一つの測定方法が選択され、かつ複数(n個。nは2以上の整数)のチャンネルCH1,CH2,・・・,CHnのうちから1つのチャンネルCHが選択されたときには、各装置用コネクタ群5,6,7のうちの選択された1つの測定方法に対応する装置用コネクタ群と選択された1つのチャンネルCHに対応するケーブル用コネクタ8の各ピン(端子)とが接続される接続形態に移行し得るように、複数のスイッチのオン・オフ状態が切り替え可能に構成されている。また、これに加えてスキャナ部9は、この接続形態において、この装置用コネクタ群に含まれるコネクタ5とケーブル用コネクタ8の各ピンに含まれて測定ケーブルMCのシールドが接続されるシールド端子SHとが接続された状態で接続されるようにも複数のスイッチのオン・オフ状態が切り替え可能に構成されている。
【0031】
具体的には、スキャナ部9は、図1に示すように、2つのスイッチ回路における一方の接点(同図中の上側の接点)がコネクタ5,5に接続された2極単投型のスイッチSW1と、2つのスイッチ回路における一方の接点(同図中の上側の接点)がコネクタ6AH,6ALに接続された2極単投型のスイッチSW2と、2つのスイッチ回路における一方の接点(同図中の上側の接点)がコネクタ6BH,6BLに接続された2極単投型のスイッチSW3と、2つのスイッチ回路における一方の接点(同図中の上側の接点)がコネクタ7,7に接続された2極単投型のスイッチSW4とを備えている。
【0032】
また、スキャナ部9には、図1に示すように、スイッチSW1の2つのスイッチ回路のうちのコネクタ5に接続されるスイッチ回路(同図中の左側のスイッチ回路)における他方の接点(同図中の下側の接点)とスイッチSW2の2つのスイッチ回路のうちのコネクタ6AHに接続されるスイッチ回路(同図中の左側のスイッチ回路)における他方の接点(同図中の下側の接点)とが接続される一方の検出ラインLv1(一方の電圧検出ライン)、およびスイッチSW1の2つのスイッチ回路のうちのコネクタ5に接続されるスイッチ回路(同図中の右側のスイッチ回路)における他方の接点(同図中の下側の接点)とスイッチSW2の2つのスイッチ回路のうちのコネクタ6ALに接続されるスイッチ回路(同図中の右側のスイッチ回路)における他方の接点(同図中の下側の接点)とが接続される他方の検出ラインLv2(他方の電圧検出ライン)が配設されている。
【0033】
また、スキャナ部9には、図1に示すように、スイッチSW3の2つのスイッチ回路のうちのコネクタ6BHに接続されるスイッチ回路(同図中の左側のスイッチ回路)における他方の接点(同図中の下側の接点)に接続される一方の信号出力ラインLo1、およびスイッチSW3の2つのスイッチ回路のうちのコネクタ6BLに接続されるスイッチ回路(同図中の右側のスイッチ回路)における他方の接点(同図中の下側の接点)に接続される他方の信号出力ラインLo2が配設されている。また、スキャナ部9には、スイッチSW4の2つのスイッチ回路のうちのコネクタ7に接続されるスイッチ回路(同図中の左側のスイッチ回路)における他方の接点(同図中の下側の接点)に接続される一方の電流検出ラインLi1、およびスイッチSW4の2つのスイッチ回路のうちのコネクタ7に接続されるスイッチ回路(同図中の右側のスイッチ回路)における他方の接点(同図中の下側の接点)に接続される他方の電流検出ラインLi2が配設されている。
【0034】
また、スキャナ部9は、図1に示すように、2つのスイッチ回路のうちの一方のスイッチ回路(同図中の上側のスイッチ回路)における一方の接点(同図中の右側の接点)が検出ラインLv1に接続され、かつ他方の接点(同図中の左側の接点)がケーブル用コネクタ8の対応するチャンネルCHにおける1番ピンに接続されると共に、2つのスイッチ回路のうちの他方のスイッチ回路(同図中の下側のスイッチ回路)における一方の接点(同図中の右側の接点)が検出ラインLv2に接続され、かつ他方の接点(同図中の左側の接点)がケーブル用コネクタ8の対応するチャンネルCHにおける2番ピンに接続された2極単投型のスイッチSWvを、チャンネル数分だけ備えている。以下、各チャンネルCH1〜CHnにおけるこれらのスイッチSWvを電圧検出用スイッチ群ともいうものとする。
【0035】
また、スキャナ部9は、図1に示すように、2つのスイッチ回路のうちの一方のスイッチ回路(同図中の上側のスイッチ回路)における一方の接点(同図中の右側の接点)が信号出力ラインLo1に接続され、かつ他方の接点(同図中の左側の接点)がケーブル用コネクタ8の対応するチャンネルCHにおける3番ピンに接続されると共に、2つのスイッチ回路のうちの他方のスイッチ回路(同図中の下側のスイッチ回路)における一方の接点(同図中の右側の接点)が信号出力ラインLo2に接続され、かつ他方の接点(同図中の左側の接点)がケーブル用コネクタ8の対応するチャンネルCHにおける4番ピンに接続された2極単投型のスイッチSWoを、チャンネル数分だけ備えている。以下、各チャンネルCH1〜CHnにおけるこれらのスイッチSWoを出力用スイッチ群ともいうものとする。
【0036】
また、スキャナ部9は、図1に示すように、2つのスイッチ回路のうちの一方のスイッチ回路(同図中の上側のスイッチ回路)における一方の接点(同図中の右側の接点)が電流検出ラインLi1に接続され、かつ他方の接点(同図中の左側の接点)がケーブル用コネクタ8の対応するチャンネルCHにおける5番ピンに接続されると共に、2つのスイッチ回路のうちの他方のスイッチ回路(同図中の下側のスイッチ回路)における一方の接点(同図中の右側の接点)が電流検出ラインLi2に接続され、かつ他方の接点(同図中の左側の接点)がケーブル用コネクタ8の対応するチャンネルCHにおける6番ピンに接続された2極単投型のスイッチSWiを、チャンネル数分だけ備えている。以下、各チャンネルCH1〜CHnにおけるこれらのスイッチSWiを電流検出用スイッチ群ともいうものとする。
【0037】
また、スキャナ部9は、図1に示すように、一方の接点(同図中の上側の接点)がコネクタ5に接続され、かつ他方の接点(同図中の下側の接点)がケーブル用コネクタ8のシールド端子SHに接続された1極単投型のスイッチSWs1を備えている。また、スキャナ部9は、同図に示すように、一方の接点(同図中の上側の接点)がコネクタ5に接続され、かつ他方の接点(同図中の下側の接点)がケーブル用コネクタ8のシールド端子SHに接続された1極単投型のスイッチSWs2を備えている。
【0038】
本例の接続切替装置1では、スキャナ部9を構成する上記のスイッチSW1〜SW4、n個のスイッチSWv、n個のスイッチSWo、n個のスイッチSWi、およびスイッチSWs1,SWs2は、例えば、リレーや、トランジスタ(バイポーラ型トランジスタや電界効果型トランジスタ)などの半導体スイッチ素子で構成されて、そのオン・オフ切替制御(接続状態と切断状態の切替制御)が接続切替装置1とは別体に配設されたコンピュータなどの制御装置11から出力される個別の制御信号Scoに基づいて独立して実行されるように構成されている。
【0039】
接断スイッチ10は、図1に示すように、一方の接点(同図中の右側の接点)がシャーシ2に接続され(つまり、接地Gに接続され)、かつ他方の接点(同図中の左側の接点)がケーブル用コネクタ8のシールド端子SHに接続された1極単投型のスイッチで構成されている。本例の接続切替装置1では、接断スイッチ10は、一例としてシャーシ2の表面に配設された手動式のスイッチで構成されている。
【0040】
次に、接続切替装置1の動作について、図面を参照して説明する。なお、以下では、測定装置MD1と測定ケーブルMC1とを接続切替装置1に接続して、測定対象21の物理量(本例では一例として抵抗体の抵抗値。以下の各実施の形態において同様)を2端子法で測定する実施の形態と、測定装置MD2と測定ケーブルMC2とを接続切替装置1に接続して、測定対象21の物理量(抵抗値)を4端子法で測定する実施の形態と、測定装置MD3と測定ケーブルMC3とを接続切替装置1に接続して、測定対象21の物理量(抵抗値)を4端子対法で測定する実施の形態とに分けて、各実施の形態での接続切替装置1の動作を説明する。
【0041】
まず、図2を参照して、測定対象21の物理量(抵抗値)を2端子法で測定するときの接続切替装置1の動作について説明する。この場合、測定者は、測定の前処理として、最初に、接断スイッチ10に対する操作を実行して、オン状態に移行させる。これにより、ケーブル用コネクタ8のシールド端子SH(測定ケーブルMC1が接続切替装置1に接続された際に測定ケーブルMC1のシールドが接続される端子)およびこのシールド端子SHに接続されているシャーシ2内の内部配線がシャーシ2に接続される(つまり、接地される)。
【0042】
また、測定者は、測定の前処理として、次に、図2に示すように、測定装置MD1の検出用端子TP1を装置用コネクタ群5のコネクタ5に、また測定装置MD1の検出用端子TP2をコネクタ5にそれぞれ同軸ケーブルを介して接続し、かつ測定装置MD1のガード端子TPGをコネクタ5に単芯ケーブルを介して接続する。また、測定ケーブルMC1のコネクタCN1をケーブル用コネクタ8に接続すると共に、測定ケーブルMC1の各チャンネルCHのうちの使用するチャンネルCHに(本例では同図に示すようにチャンネルCH1〜CHnのすべてに)測定対象21を接続する。また、測定装置MD1において測定された測定対象21の両端間電圧の電圧値を示す電圧データDvおよび測定対象21に流れる電流の電流値を示す電流データDiを制御装置11で取得し得るように、測定装置MD1を制御装置11に接続する。
【0043】
このコネクタCN1のケーブル用コネクタ8への接続に際して、電位的に不定な状態の測定ケーブルMC1のシールドが接続されることに起因して、ケーブル用コネクタ8のシールド端子SHおよびこのシールド端子SHに接続されているシャーシ2内の内部配線に、過電圧や過電流などのノイズが生じようとする場合があるが、上記したように、ケーブル用コネクタ8のシールド端子SH等が接地されているため、このノイズの発生を未然に防止することが可能となり、またスキャナ部9を構成する各スイッチの保護も可能となっている。
【0044】
また、測定者は、このようにして接続切替装置1への測定装置MD1および測定ケーブルMC1の接続が完了した後に、測定の前処理の最後として、接断スイッチ10に対する操作を実行して、オフ状態に移行させる。これにより、ケーブル用コネクタ8のシールド端子SH等がシャーシ2から切り離されて、接地が解除される。
【0045】
次いで、測定者は制御装置11に対する操作(制御装置11に設けられているキーボードや操作パネルなどの不図示の入力部に対する操作)を実行して、測定ケーブルMC1の各チャンネルCHに接続されているn個の測定対象21の抵抗値を2端子法で測定する指示を制御装置11に入力する。
【0046】
これにより、制御装置11は、まず、図2に示すように、各スイッチSW1〜SW4については、スイッチSW1のみをオン状態に移行させると共に、スイッチSWs1,SWs2については、スイッチSWs2のみをオン状態に移行させるための制御信号Sco(測定方法として2端子法を選択するための信号)を接続切替装置1に出力する。これにより、接続切替装置1は、測定装置MD1の検出用端子TP1を一方の検出ラインLv1に接続し、検出用端子TP2を他方の検出ラインLv2に接続し、かつガード端子TPGを内部配線(シールド端子SHに接続されている配線)およびケーブル用コネクタ8のシールド端子SHを介して測定ケーブルMC1のシールドに接続する。
【0047】
次いで、制御装置11は、ケーブル用コネクタ8の各チャンネルCH1〜CHnにおける1番ピンおよび2番ピンに接続されたスイッチSWvを、例えば、チャンネルCH1側から1つずつ順番に所定時間だけオン状態に移行させるための制御信号Sco(チャンネルCHを選択するための信号)を接続切替装置1に出力する。これにより、接続切替装置1は、n個の測定対象21を1つずつ順番に所定時間だけスイッチSWvを介して一対の検出ラインLv1,Lv2に接続する(つまり、スイッチSW1を介してこの一対の検出ラインLv1,Lv2に接続されている測定装置MD1の検出用端子TP1,TP2に接続する)。
【0048】
測定装置MD1は、このようにして所定時間だけ接続される各測定対象21に対して信号源SGから測定用の信号を供給し、この信号の供給時における測定対象21の両端間電圧の電圧値を電圧計VMで測定してこの電圧値を示す電圧データDvを制御装置11に出力し、かつこの信号の供給時に測定対象21に流れる電流の電流値を電流計IMで測定してこの電流値を示す電流データDiを制御装置11に出力する。制御装置11は、ケーブル用コネクタ8の各チャンネルCH1〜CHnに接続されているn個の測定対象21のうちの接続切替装置1を介して測定装置MD1に実際に接続されている1つの測定対象21についての電圧データDvおよび電流データDiを取得する都度、この取得した各データDv,Diに基づいてこの接続されている1つの測定対象21についての抵抗値を算出すると共にこの1つの測定対象21に対応させて記憶する。
【0049】
制御装置11は、n個の測定対象21についての抵抗値をすべて測定して記憶したときには、スキャナ部9を構成するすべてのスイッチ(上記のスイッチSW1〜SW4、n個のスイッチSWv、n個のスイッチSWo、n個のスイッチSWi、およびスイッチSWs1,SWs2)をオフ状態に移行させるための制御信号Scoを接続切替装置1に出力する。これにより、n個の測定対象21についての抵抗値の2端子法による測定処理が完了する。その後、測定者は、新たなn個の測定対象21の抵抗値を2端子法で引き続き測定する場合には、測定済みのn個の測定対象21に代えて新たなn個の測定対象21を測定ケーブルMC1に接続して、上記した処理を繰り返す。一方、測定者は、2端子法での測定を終了させるときには、測定ケーブルMC1および測定装置MD1を接続切替装置1から取り外す。
【0050】
次いで、図3を参照して、測定対象21の物理量(抵抗値)を4端子法で測定するときの接続切替装置1の動作について説明する。この場合、測定者は、測定の前処理として、最初に、接断スイッチ10に対する操作を実行して、オン状態に移行させる。これにより、ケーブル用コネクタ8のシールド端子SH(測定ケーブルMC2が接続切替装置1に接続された際に測定ケーブルMC2のシールドが接続される端子)およびこのシールド端子SHに接続されているシャーシ2内の内部配線がシャーシ2に接続される(つまり、接地される)。
【0051】
また、測定者は、測定の前処理として、次に、図3に示すように、測定装置MD2の検出用端子TP1を装置用コネクタ群6のコネクタ6AHに、また測定装置MD2の検出用端子TP2をコネクタ6ALに、また測定装置MD2の信号出力用端子TP3を装置用コネクタ群6のコネクタ6BHに、また測定装置MD2の信号出力用端子TP4をコネクタ6BLにそれぞれ同軸ケーブルを介して接続し、かつ測定装置MD2のガード端子TPGをコネクタ5に単芯ケーブルを介して接続する。また、測定ケーブルMC2のコネクタCN2をケーブル用コネクタ8に接続すると共に、測定ケーブルMC2の各チャンネルCHのうちの使用するチャンネルCHに(本例では同図に示すようにチャンネルCH1〜CHnのすべてに)測定対象21を接続する。また、測定装置MD2において測定された測定対象21の電圧データDvおよび電流データDiを制御装置11で取得し得るように、測定装置MD2を制御装置11に接続する。
【0052】
このコネクタCN2のケーブル用コネクタ8への接続に際して、上記したコネクタCN1のケーブル用コネクタ8への接続のときと同様にして、ケーブル用コネクタ8のシールド端子SHおよびこのシールド端子SHに接続されているシャーシ2内の内部配線にノイズが生じようとする場合があるが、ケーブル用コネクタ8のシールド端子SH等は接地されているため、このノイズの発生を未然に防止することが可能となり、またスキャナ部9を構成する各スイッチの保護も可能となっている。
【0053】
また、測定者は、このようにして接続切替装置1への測定装置MD2および測定ケーブルMC2の接続が完了した後に、測定の前処理の最後として、接断スイッチ10に対する操作を実行して、オフ状態に移行させる。これにより、ケーブル用コネクタ8のシールド端子SH等の接地が解除される。
【0054】
次いで、測定者は制御装置11に対する操作を実行して、測定ケーブルMC2の各チャンネルCHに接続されているn個の測定対象21の抵抗値を4端子法で測定する指示を制御装置11に入力する。
【0055】
これにより、制御装置11は、まず、図3に示すように、各スイッチSW1〜SW4については、スイッチSW2,SW3のみをオン状態に移行させると共に、スイッチSWs1,SWs2については、スイッチSWs2のみをオン状態に移行させるための制御信号Sco(測定方法として4端子法を選択するための信号)を接続切替装置1に出力する。これにより、接続切替装置1は、測定装置MD2の検出用端子TP1を一方の検出ラインLv1に接続し、検出用端子TP2を他方の検出ラインLv2に接続し、信号出力用端子TP3を一方の信号出力ラインLo1に接続し、信号出力用端子TP4を他方の信号出力ラインLo2に接続し、かつガード端子TPGを内部配線(シールド端子SHに接続されている配線)およびケーブル用コネクタ8のシールド端子SHを介して測定ケーブルMC2のシールドに接続する。
【0056】
次いで、制御装置11は、ケーブル用コネクタ8の各チャンネルCH1〜CHnにおける1番ピンおよび2番ピンに接続されたスイッチSWv、並びに3番ピンおよび4番ピンに接続されたスイッチSWoの組を、例えば、チャンネルCH1側から1組ずつ順番に所定時間だけオン状態に移行させるための制御信号Sco(チャンネルCHを選択するための信号)を接続切替装置1に出力する。これにより、接続切替装置1は、n個の測定対象21を1つずつ順番に所定時間だけ、スイッチSWvを介して一対の検出ラインLv1,Lv2に接続する(つまり、スイッチSW2を介してこの一対の検出ラインLv1,Lv2に接続されている測定装置MD2の検出用端子TP1,TP2に接続する)と共に、スイッチSWoを介して一対の信号出力ラインLo1,Lo2に接続する(つまり、スイッチSW3を介してこの一対の信号出力ラインLo1,Lo2に接続されている測定装置MD2の信号出力用端子TP3,TP4に接続する)。
【0057】
測定装置MD2は、このようにして所定時間だけ接続される各測定対象21に対して信号源SGから測定用の信号を供給し、この信号の供給時における測定対象21の両端間電圧の電圧値を電圧計VMで測定してこの電圧値を示す電圧データDvを制御装置11に出力し、かつこの信号の供給時に測定対象21に流れる電流の電流値を電流計IMで測定してこの電流値を示す電流データDiを制御装置11に出力する。制御装置11は、ケーブル用コネクタ8の各チャンネルCH1〜CHnに接続されているn個の測定対象21のうちの接続切替装置1を介して測定装置MD2に実際に接続されている1つの測定対象21についての電圧データDvおよび電流データDiを取得する都度、この取得した各データDv,Diに基づいてこの接続されている1つの測定対象21についての抵抗値を算出すると共にこの1つの測定対象21に対応させて記憶する。
【0058】
制御装置11は、n個の測定対象21についての抵抗値をすべて測定して記憶したときには、スキャナ部9を構成するすべてのスイッチ(上記のスイッチSW1〜SW4、n個のスイッチSWv、n個のスイッチSWo、n個のスイッチSWi、およびスイッチSWs1,SWs2)をオフ状態に移行させるための制御信号Scoを接続切替装置1に出力する。これにより、n個の測定対象21についての抵抗値の4端子法による測定処理が完了する。その後、測定者は、新たなn個の測定対象21の抵抗値を4端子法で引き続き測定する場合には、測定済みのn個の測定対象21に代えて新たなn個の測定対象21を測定ケーブルMC2に接続して、上記した処理を繰り返す。一方、測定者は、4端子法での測定を終了させるときには、測定ケーブルMC2および測定装置MD2を接続切替装置1から取り外す。
【0059】
次いで、図4を参照して、測定対象21の物理量(抵抗値)を4端子対法で測定するときの接続切替装置1の動作について説明する。この場合、測定者は、測定の前処理として、最初に、接断スイッチ10に対する操作を実行して、オン状態に移行させる。
これにより、ケーブル用コネクタ8のシールド端子SH(測定ケーブルMC3が接続切替装置1に接続された際に測定ケーブルMC3のシールドが接続される端子)およびこのシールド端子SHに接続されているシャーシ2内の内部配線がシャーシ2に接続される(つまり、接地される)。
【0060】
また、測定者は、測定の前処理として、次に、図4に示すように、測定装置MD3の検出用端子TP1を装置用コネクタ群7のコネクタ6AHに、また測定装置MD3の検出用端子TP2を装置用コネクタ群7のコネクタ6ALに、また測定装置MD3の信号出力用端子TP3を装置用コネクタ群7のコネクタ6BHに、また測定装置MD3の信号出力用端子TP4を装置用コネクタ群7のコネクタ6BLに、また測定装置MD3の電流検出用端子TP5を装置用コネクタ群7のコネクタ7に、また測定装置MD3の電流検出用端子TP6を装置用コネクタ群7のコネクタ7にそれぞれ同軸ケーブルを介して接続し、かつ測定装置MD3のガード端子TPGをコネクタ5に単芯ケーブルを介して接続する。また、測定ケーブルMC3のコネクタCN3をケーブル用コネクタ8に接続する。また、測定ケーブルMC3の各チャンネルCHのうちの使用するチャンネルCHに(本例では同図に示すようにチャンネルCH1〜CHnのすべてに)測定対象21を接続すると共に、リターン経路を形成するための導体22を接続する。また、測定装置MD3において測定された測定対象21の電圧データDvおよび電流データDiを制御装置11で取得し得るように、測定装置MD3を制御装置11に接続する。
【0061】
このコネクタCN3のケーブル用コネクタ8への接続に際して、上記したコネクタCN1のケーブル用コネクタ8への接続のときと同様にして、ケーブル用コネクタ8のシールド端子SHおよびこのシールド端子SHに接続されているシャーシ2内の内部配線にノイズが生じようとする場合があるが、ケーブル用コネクタ8のシールド端子SH等は接地されているため、このノイズの発生を未然に防止することが可能となり、またスキャナ部9を構成する各スイッチの保護も可能となっている。
【0062】
また、測定者は、このようにして接続切替装置1への測定装置MD3および測定ケーブルMC3の接続が完了した後に、測定の前処理の最後として、接断スイッチ10に対する操作を実行して、オフ状態に移行させる。これにより、ケーブル用コネクタ8のシールド端子SH等の接地が解除される。
【0063】
次いで、測定者は制御装置11に対する操作を実行して、測定ケーブルMC3の各チャンネルCHに接続されているn個の測定対象21の抵抗値を4端子対法で測定する指示を制御装置11に入力する。
【0064】
これにより、制御装置11は、まず、図4に示すように、各スイッチSW1〜SW4については、スイッチSW2,SW3,SW4のみをオン状態に移行させると共に、スイッチSWs1,SWs2については、スイッチSWs2のみをオン状態に移行させるための制御信号Sco(測定方法として4端子対法を選択するための信号)を接続切替装置1に出力する。これにより、接続切替装置1は、測定装置MD3の検出用端子TP1を一方の検出ラインLv1に接続し、検出用端子TP2を他方の検出ラインLv2に接続し、信号出力用端子TP3を一方の信号出力ラインLo1に接続し、信号出力用端子TP4を他方の信号出力ラインLo2に接続し、電流検出用端子TP5を一方の電流検出ラインLi1に接続し、電流検出用端子TP6を他方の電流検出ラインLi2に接続し、かつガード端子TPGを内部配線(シールド端子SHに接続されている配線)およびケーブル用コネクタ8のシールド端子SHを介して測定ケーブルMC2のシールドに接続する。
【0065】
次いで、制御装置11は、ケーブル用コネクタ8の各チャンネルCH1〜CHnにおける1番ピンおよび2番ピンに接続されたスイッチSWv、3番ピンおよび4番ピンに接続されたスイッチSWo、並びに5番ピンおよび6番ピンに接続されたスイッチSWiの組を、例えば、チャンネルCH1側から1組ずつ順番に所定時間だけオン状態に移行させるための制御信号Sco(チャンネルCHを選択するための信号)を接続切替装置1に出力する。これにより、接続切替装置1は、n個の測定対象21を1つずつ順番に所定時間だけ、スイッチSWvを介して一対の検出ラインLv1,Lv2に接続し(つまり、スイッチSW2を介してこの一対の検出ラインLv1,Lv2に接続されている測定装置MD3の検出用端子TP1,TP2に接続し)、スイッチSWoを介して一対の信号出力ラインLo1,Lo2に接続し(つまり、スイッチSW3を介してこの一対の信号出力ラインLo1,Lo2に接続されている測定装置MD3の信号出力用端子TP3,TP4に接続し)、かつスイッチSWiを介して一対の電流検出ラインLi1,Li2に接続する(つまり、スイッチSW4を介してこの一対の電流検出ラインLi1,Li2に接続されている測定装置MD3の電流検出用端子TP5,TP6に接続する)。
【0066】
測定装置MD3は、このようにして所定時間だけ接続される各測定対象21に対して信号源SGから測定用の信号を供給し、この信号の供給時における測定対象21の両端間電圧の電圧値を電圧計VMで測定してこの電圧値を示す電圧データDvを制御装置11に出力し、かつこの信号の供給時に測定対象21に流れる電流の電流値を電流計IMで測定してこの電流値を示す電流データDiを制御装置11に出力する。制御装置11は、ケーブル用コネクタ8の各チャンネルCH1〜CHnに接続されているn個の測定対象21のうちの接続切替装置1を介して測定装置MD3に実際に接続されている1つの測定対象21についての電圧データDvおよび電流データDiを取得する都度、この取得した各データDv,Diに基づいてこの接続されている1つの測定対象21についての抵抗値を算出すると共にこの1つの測定対象21に対応させて記憶する。
【0067】
制御装置11は、n個の測定対象21についての抵抗値をすべて測定して記憶したときには、スキャナ部9を構成するすべてのスイッチ(上記のスイッチSW1〜SW4、n個のスイッチSWv、n個のスイッチSWo、n個のスイッチSWi、およびスイッチSWs1,SWs2)をオフ状態に移行させるための制御信号Scoを接続切替装置1に出力する。これにより、n個の測定対象21についての抵抗値の4端子対法による測定処理が完了する。その後、測定者は、新たなn個の測定対象21の抵抗値を4端子対法で引き続き測定する場合には、測定済みのn個の測定対象21に代えて新たなn個の測定対象21を測定ケーブルMC3に接続して、上記した処理を繰り返す。一方、測定者は、4端子対法での測定を終了させるときには、測定ケーブルMC3および測定装置MD3を接続切替装置1から取り外す。
【0068】
このように、この接続切替装置1では、測定対象21の物理量(本例では抵抗値)を第1測定方法(本例では、2端子法、4端子法および4端子対法のうちのいずれか1つ)で測定する第1測定装置(測定装置MD1〜MD3のうちの第1測定方法で測定する測定装置)が接続可能な第1装置用コネクタ群(装置用コネクタ群5〜7のうちの第1測定方法で測定する測定装置が接続されるコネクタ群)と、測定対象21の物理量(本例では抵抗値)を第1測定方法とは異なる第2測定方法(本例では、2端子法、4端子法および4端子対法のうちの上記のいずれか1つを除く残りの2つのうちの1つ)で測定する第2測定装置(測定装置MD1〜MD3のうちの第2測定方法で測定する測定装置)が接続可能な第2装置用コネクタ群(装置用コネクタ群5〜7のうちの第2測定方法で測定する測定装置が接続されるコネクタ群)と、測定対象21の物理量(本例では抵抗値)を第1測定方法および第2測定方法とは異なる第3測定方法(本例では、2端子法、4端子法および4端子対法のうちの第1測定方法および第2測定方法に相当する測定方法以外の1つ)で測定する第3測定装置(測定装置MD1〜MD3のうちの第3測定方法で測定する測定装置)が接続可能な第3装置用コネクタ群(装置用コネクタ群5〜7のうちの第3測定方法で測定する測定装置が接続されるコネクタ群)と、測定対象21に接続される測定ケーブルMC1〜MC3(シールド付きの測定ケーブル)が接続可能な複数チャンネル(チャンネルCH1〜CHn)分のケーブル用コネクタ8と、制御信号Scoによって第1〜第3測定方法のうちから一つの測定方法が選択され、かつn個のチャンネルCHのうちから1つのチャンネルCHが選択されたときには、選択された1つの測定方法に対応する装置用コネクタ群(装置用コネクタ群5〜7のうちの1つ)と選択された1つのチャンネルCHに対応するケーブル用コネクタ8の各端子とが、装置用コネクタ群に含まれるガード用コネクタ(接地用コネクタ)5とケーブル用コネクタ8の各端子に含まれて測定ケーブル(測定ケーブルMC1〜MC3のうちの選択された1つの測定方法に対応する測定ケーブル)のシールドが接続されるシールド端子SHとが接続された状態で接続される接続形態に切り替え可能なスキャナ部9とを備えている。
【0069】
したがって、この接続切替装置1によれば、1つの測定方法の測定装置とその測定ケーブルだけではなく、異なる複数種類の測定方法の測定装置(本例では一例として、2端子法の測定装置MD1、4端子法の測定装置MD2および4端子対法の測定装置MD3の異なる3種類の測定方法の測定装置)とそれぞれに対応する複数種類の測定ケーブル(本例では3種類の測定ケーブルMC1〜MC3)のうちから任意の1つの組を選択して接続して使用することができる。
【0070】
なお、接続切替装置1では、上記したように、2端子法の測定装置MD1とそれに対応する測定ケーブルMC1の組、4端子法の測定装置MD2とそれに対応する測定ケーブルMC2の組、および4端子対法の測定装置MD3とそれに対応する測定ケーブルMC3の組の3つの組のうちから選択された1つの組を接続し得るように構成されているが、2端子法の測定装置MD1とそれに対応する測定ケーブルMC1の組および4端子法の測定装置MD2とそれに対応する測定ケーブルMC2の組の2つの組のうちから選択された1つの組を接続し得るように構成してもよいし、2端子法の測定装置MD1とそれに対応する測定ケーブルMC1の組および4端子対法の測定装置MD3とそれに対応する測定ケーブルMC3の組の2つの組のうちから選択された1つの組を接続し得るように構成してもよいし、4端子法の測定装置MD2とそれに対応する測定ケーブルMC2の組および4端子対法の測定装置MD3とそれに対応する測定ケーブルMC3の組の2つの組のうちから選択された1つの組を接続し得るように構成してもよい。
【0071】
なお、2端子法を採用する測定装置には、図2に示す測定装置MD1のように、電流計IMが接地側に配置されている構成のものもあれば、図5に示す測定装置MD4のように、電流計IMが非接地側に配置されている構成のもの(同図に示すように、一端が接地されている測定対象21の抵抗値を測定するための測定装置)もある。本例の接続切替装置1では、この測定装置MD4についても接続して使用することが可能となっている。以下、測定装置MD4を接続して使用する場合の接続切替装置1の動作について図5を参照して説明する。
【0072】
まず、測定者は、測定の前処理として、最初に、接断スイッチ10に対する操作を実行して、オン状態に移行させる。これにより、接続切替装置1への測定ケーブルMC1(2端子法用の測定ケーブル)の接続によって測定ケーブルMC1のシールドに接続されるケーブル用コネクタ8のシールド端子SHおよびこのシールド端子SHに接続されているシャーシ2内の内部配線がシャーシ2に接続される(つまり、接地される)。
【0073】
また、測定者は、測定の前処理として、次に、図5に示すように、測定装置MD4の検出用端子TP1を装置用コネクタ群5のコネクタ5に、また測定装置MD1の検出用端子TP2をコネクタ5にそれぞれ同軸ケーブルを介して接続する。また、測定ケーブルMC1のコネクタCN1をケーブル用コネクタ8に接続すると共に、測定ケーブルMC1の各チャンネルCHのうちの使用するチャンネルCHに(本例では同図に示すようにチャンネルCH1〜CHnのすべてに)測定対象21を接続する。この場合、各測定対象21の一対の端子のうちの非接地側端子(本例では同図中の上側の端子)が検出ラインLv1に接続され、かつ接地側端子(本例では同図中の下側の端子)が検出ラインLv2に接続されるように各測定対象21を測定ケーブルMC1の各チャンネルCHに接続する。また、測定装置MD4において測定された測定対象21についての電圧データDvおよび電流データDiを制御装置11で取得し得るように、測定装置MD4を制御装置11に接続する。
【0074】
このコネクタCN1のケーブル用コネクタ8への接続に際して、電位的に不定な状態の測定ケーブルMC1のシールドが接続されることに起因して、ケーブル用コネクタ8のシールド端子SHおよびこのシールド端子SHに接続されているシャーシ2内の内部配線に、過電圧や過電流などのノイズが生じようとする場合があるが、上記したように、ケーブル用コネクタ8のシールド端子SH等は接地されているため、このノイズの発生を未然に防止することが可能となり、またスキャナ部9を構成する各スイッチの保護も可能となっている。
【0075】
また、測定者は、このようにして接続切替装置1への測定装置MD4および測定ケーブルMC1の接続が完了した後に、測定の前処理の最後として、接断スイッチ10に対する操作を実行して、オフ状態に移行させる。これにより、ケーブル用コネクタ8のシールド端子SH等の接地が解除される。
【0076】
次いで、測定者は制御装置11に対する操作(制御装置11に設けられているキーボードや操作パネルなどの不図示の入力部に対する操作)を実行して、測定ケーブルMC1の各チャンネルCHに接続されているn個の測定対象21の抵抗値を、測定対象21の一方の端子が接地されているという条件下において2端子法で測定する指示を制御装置11に入力する。
【0077】
これにより、制御装置11は、まず、図5に示すように、各スイッチSW1〜SW4については、スイッチSW1のみをオン状態に移行させると共に、スイッチSWs1,SWs2については、スイッチSWs1のみをオン状態に移行させるための制御信号Sco(接地されている測定対象21を2端子法を測定するという測定方法を選択するための信号)を接続切替装置1に出力する。これにより、接続切替装置1は、測定装置MD4の検出用端子TP1を一方の検出ラインLv1に接続し、かつ検出用端子TP2を他方の検出ラインLv2に接続する。また、接続切替装置1は、さらに測定装置MD4の検出用端子TP1をケーブル用コネクタ8のシールド端子SHを介して測定ケーブルMC1のシールドに接続する。
【0078】
次いで、制御装置11は、ケーブル用コネクタ8の各チャンネルCH1〜CHnにおける1番ピンおよび2番ピンに接続されたスイッチSWvを、例えば、チャンネルCH1側から1つずつ順番に所定時間だけオン状態に移行させるための制御信号Sco(チャンネルCHを選択するための信号)を接続切替装置1に出力する。これにより、接続切替装置1は、n個の測定対象21を1つずつ順番に所定時間だけスイッチSWvを介して一対の検出ラインLv1,Lv2に接続する(つまり、スイッチSW1を介してこの一対の検出ラインLv1,Lv2に接続されている測定装置MD4の検出用端子TP1,TP2に接続する)。
【0079】
測定装置MD4は、このようにして所定時間だけ接続される各測定対象21に対して信号源SGから測定用の信号を供給し、この信号の供給時における測定対象21の両端間電圧の電圧値を電圧計VMで測定してこの電圧値を示す電圧データDvを制御装置11に出力し、かつこの信号の供給時に測定対象21に流れる電流の電流値を電流計IMで測定してこの電流値を示す電流データDiを制御装置11に出力する。この場合、電流計IMが非接地側に配置されている測定装置MD4では、測定ケーブルMC1のシールドが測定装置MD4内の電流計IMの電位とほぼ同電位に規定されているため、より高いシールド効果を維持しつつ、測定対象21の両端間電圧の電圧値および測定対象21に流れる電流の電流値を測定することが可能となっている。
【0080】
制御装置11は、ケーブル用コネクタ8の各チャンネルCH1〜CHnに接続されているn個の測定対象21のうちの接続切替装置1を介して測定装置MD1に実際に接続されている1つの測定対象21についての電圧データDvおよび電流データDiを取得する都度、この取得した各データDv,Diに基づいてこの接続されている1つの測定対象21についての抵抗値を算出すると共にこの1つの測定対象21に対応させて記憶する。
【0081】
制御装置11は、n個の測定対象21についての抵抗値をすべて測定して記憶したときには、スキャナ部9を構成するすべてのスイッチ(上記のスイッチSW1〜SW4、n個のスイッチSWv、n個のスイッチSWo、n個のスイッチSWi、およびスイッチSWs1,SWs2)をオフ状態に移行させるための制御信号Scoを接続切替装置1に出力する。これにより、n個の測定対象21についての抵抗値の2端子法による測定処理が完了する。
【0082】
このように、この接続切替装置1では、スキャナ部9は、選択された一つの測定方法が2端子法のときには、上記した図2に示す測定装置MD1を用いた2端子法による測定の場合の接続形態(つまり、ガード用コネクタ5にシールド端子SHが接続される接続形態)に代えて、図5に示すようにケーブル用コネクタ8の各端子のうちの測定ケーブルMC1を介して測定対象21の非接地側端子に接続される端子(図5では各チャンネルCHの1番ピン)にシールド端子SHが接続される接続形態に複数のスイッチ(スイッチSW1〜SW4、n個のスイッチSWv、n個のスイッチSWo、n個のスイッチSWi、およびスイッチSWs1,SWs2)のオン・オフ状態を切り替え可能に構成されている。
【0083】
したがって、この接続切替装置1によれば、測定装置MD4が測定ケーブルMC1のシールドを測定装置MD4内の電流計IMの電位とほぼ同電位に規定した状態(つまり、より高いシールド効果を維持した状態)で、一端が接地されている測定対象21に流れる電流の電流値を、この測定対象21の両端間電圧の電圧値と共に高精度で測定することができる結果、制御装置11においてこの測定対象21の抵抗値をより高精度で測定し得るようにすることができる。
【0084】
また、この接続切替装置1では、スキャナ部9は、接地された(つまり、グランド電位に規定された)シャーシ2と接断スイッチ10とを備えると共に、接断スイッチ10がオン状態のときにはこの接断スイッチ10を介してシールド端子SHがシャーシ2に接続され、一方、接断スイッチ10がオフ状態のときにはシールド端子SHがシャーシ2から切り離されるように構成されている。
【0085】
したがって、この接続切替装置1によれば、各種の測定ケーブルMC1〜MC3の接続に際して、これらの測定ケーブルMC1〜MC3のシールドが接続されるケーブル用コネクタ8のシールド端子SHおよびこのシールド端子SHに接続されているシャーシ2内の内部配線を接断スイッチ10を介して接地しておくことができる。これにより、この接続切替装置1によれば、電位的に不定な状態の測定ケーブルMC1〜MC3のシールドが接続されることに起因して、ケーブル用コネクタ8のシールド端子SHおよびこのシールド端子SHに接続されているシャーシ2内の内部配線に、過電圧や過電流などのノイズが生じるという事態の発生を未然に防止することができ、これによってスキャナ部9を構成する各スイッチの保護を行うことができる。
【0086】
また、この接続切替装置1では、一対のコネクタ5,5がスイッチSW1を介して、また一対のコネクタ6AH,6ALがスイッチSW2を介して、一対の検出ラインLv1,Lv2にそれぞれ接続される構成を備えている。したがって、この接続切替装置1によれば、図2において破線で示すように、2端子法の測定装置MD1と同時に、4端子法の測定装置MD2や4端子対法の測定装置MD3を接続して使用することもできる。これにより、この接続切替装置1によれば、測定装置MD1と同時に測定装置MD2を接続する場合には測定ケーブルMC2を使用し、一方、測定装置MD1と同時に測定装置MD3を接続する場合には測定ケーブルMC3を使用することで、各チャンネルCHに接続されている測定対象21の物理量(抵抗値)を、測定対象21毎に2端子法と4端子法(または4端子対法)とを切り替えて測定することができる。
【0087】
また、測定対象21の物理量として抵抗値を測定する例を挙げて説明したが、物理量は抵抗値に限定されえず、例えばインピーダンス、キャパシタンスおよびインダクタンスなどであってもよい。また、スイッチSW1,SW2,SW3,SW4,SWv,SWo,SWiを1つの2極単投型のスイッチで構成する例を挙げて説明したが、2つの1極単投型のスイッチで構成することもできる。
【符号の説明】
【0088】
1 接続切替装置
2 シャーシ
5,6,7 装置用コネクタ群
8 ケーブル用コネクタ
9 スキャナ部
MC1,MC2,MC3 測定ケーブル
MD1,MD2,MD3,MD4 測定装置
SH シールド端子
SW1〜SW4,SWv,SWo,SWi,SWs1,SWs2 スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5