特許第6777552号(P6777552)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6777552
(24)【登録日】2020年10月12日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】放射性物質収納容器
(51)【国際特許分類】
   G21F 5/14 20060101AFI20201019BHJP
   G21F 5/008 20060101ALI20201019BHJP
   G21C 19/32 20060101ALI20201019BHJP
   G21F 9/36 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   G21F5/14 H
   G21F5/008
   G21C19/32 060
   G21F9/36 501H
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-2309(P2017-2309)
(22)【出願日】2017年1月11日
(65)【公開番号】特開2018-112441(P2018-112441A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2019年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 崇
(72)【発明者】
【氏名】赤松 博史
(72)【発明者】
【氏名】萬谷 健一
(72)【発明者】
【氏名】下条 純
【審査官】 中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−294066(JP,A)
【文献】 特表2006−512570(JP,A)
【文献】 特開2011−058845(JP,A)
【文献】 特開2013−032820(JP,A)
【文献】 特開2015−072142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 5/14
G21C 19/32
G21F 5/008
G21F 9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性物質を収納可能である容器本体と、
前記容器本体に固定される差込部と、
前記容器本体および前記差込部の少なくともいずれかが有する第1ねじに締結される第2ねじを有し、前記差込部に差し込まれ、前記容器本体および前記差込部から突出するトラニオンと、
前記差込部と前記トラニオンとの間の少なくとも一部に配置され、前記差込部に取り付けられ、前記容器本体に対して前記トラニオンが突出する側への前記トラニオンの移動を規制するように前記トラニオンに当たる押さえ具と、
を備え
前記トラニオンの軸方向であるトラニオン軸方向において、前記差込部に対して前記トラニオンが突出する側を突出側としたとき、
前記トラニオンは、
大径部と、
前記大径部よりも突出側に配置され、トラニオン径方向における幅が前記大径部よりも小さい押さえ具配置部と、
を備え、
前記押さえ具は、前記押さえ具配置部と前記差込部とのトラニオン径方向における間に配置される、
放射性物質収納容器。
【請求項2】
請求項1に記載の放射性物質収納容器であって、
前記押さえ具は、リング状である、
放射性物質収納容器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の放射性物質収納容器であって、
前記差込部は、前記差込部の内周面に形成される第3ねじを備え、
前記押さえ具は、前記第3ねじに締結される第4ねじを有する、
放射性物質収納容器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射性物質収納容器であって、
前記トラニオンの軸方向であるトラニオン軸方向において、前記差込部に対して前記トラニオンが突出する側を突出側とし、突出側とは反対側を反突出側としたとき、
前記押さえ具の突出側の端面のトラニオン軸方向における位置は、前記差込部の突出側の端面のトラニオン軸方向における位置に対して、同じ位置または反突出側の位置である、
放射性物質収納容器。
【請求項5】
放射性物質を収納可能である容器本体と、
前記容器本体に固定される差込部と、
前記容器本体および前記差込部の少なくともいずれかが有する第1ねじに締結される第2ねじを有し、前記差込部に差し込まれ、前記容器本体および前記差込部から突出するトラニオンと、
前記差込部と前記トラニオンとの間の少なくとも一部に配置され、前記差込部に取り付けられ、前記容器本体に対して前記トラニオンが突出する側への前記トラニオンの移動を規制するように前記トラニオンに当たる押さえ具と、
を備え、
前記差込部は、前記差込部の内周面に形成される第3ねじを備え、
前記押さえ具は、前記第3ねじに締結される第4ねじを有し、
前記第3ねじおよび前記第4ねじのねじの向きは、前記第1ねじおよび前記第2ねじのねじの向きに対して逆向きである、
放射性物質収納容器。
【請求項6】
放射性物質を収納可能である容器本体と、
前記容器本体に固定される差込部と、
前記容器本体および前記差込部の少なくともいずれかが有する第1ねじに締結される第2ねじを有し、前記差込部に差し込まれ、前記容器本体および前記差込部から突出するトラニオンと、
前記差込部と前記トラニオンとの間の少なくとも一部に配置され、前記差込部に取り付けられ、前記容器本体に対して前記トラニオンが突出する側への前記トラニオンの移動を規制するように前記トラニオンに当たる押さえ具と、
を備え、
前記トラニオンの軸方向であるトラニオン軸方向において、前記差込部に対して前記トラニオンが突出する側を突出側とし、突出側とは反対側を反突出側としたとき、
前記押さえ具の突出側の端面のトラニオン軸方向における位置は、前記差込部の突出側の端面のトラニオン軸方向における位置に対して、反突出側の位置であり、
前記押さえ具よりも突出側、かつ、前記差込部と前記トラニオンとの間に設けられるシール部材を備える、
放射性物質収納容器。
【請求項7】
放射性物質を収納可能である容器本体と、
前記容器本体に固定される差込部と、
前記容器本体および前記差込部の少なくともいずれかが有する第1ねじに締結される第2ねじを有し、前記差込部に差し込まれ、前記容器本体および前記差込部から突出するトラニオンと、
前記差込部と前記トラニオンとの間の少なくとも一部に配置され、前記差込部に取り付けられ、前記容器本体に対して前記トラニオンが突出する側への前記トラニオンの移動を規制するように前記トラニオンに当たる押さえ具と、
を備え、
前記トラニオンの軸方向であるトラニオン軸方向において、前記差込部に対して前記トラニオンが突出する側を突出側としたとき、
前記トラニオンは、突出側ほど、前記トラニオンの中心軸に近い位置に配置されるように、トラニオン軸方向に対して傾斜するトラニオン側傾斜部を備え、
前記押さえ具は、前記トラニオン側傾斜部に沿うように形成され、前記トラニオン側傾斜部に当たる押さえ具側傾斜部を備える、
放射性物質収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性物質を収納する放射性物質収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1などに従来の放射性物質収納容器が記載されている。同文献に記載の放射性物質収納容器は、容器本体と、容器本体から突出するトラニオンと、を備える。例えば架台や吊り具などがトラニオンに取り付けられた状態で、放射性物質収納容器が操作(移動、回転など)される。同文献に記載の技術では、トラニオンは、容器本体にねじにより締結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−41097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同文献に記載の技術では、容器本体とトラニオンとを締結するねじが緩む場合がある。例えば、架台や吊り具などがトラニオンに取り付けられた状態で、放射性物質収納容器が操作されると、架台や吊り具などとトラニオンとに摩擦力が生じ、トラニオンのねじが緩む場合がある。
【0005】
そこで本発明は、トラニオンのねじの緩みを抑制できる放射性物質収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の放射性物質収納容器は、容器本体と、差込部と、トラニオンと、押さえ具と、を備える。前記容器本体は、放射性物質を収納可能である。前記差込部は、前記容器本体に固定される。前記トラニオンは、前記容器本体および前記差込部の少なくともいずれかが有する第1ねじに締結される第2ねじを有し、前記差込部に差し込まれ、前記容器本体および前記差込部から突出する。前記押さえ具は、前記差込部と前記トラニオンとの間の少なくとも一部に配置され、前記差込部に取り付けられ、前記容器本体に対して前記トラニオンが突出する側への前記トラニオンの移動を規制するように前記トラニオンに当たる。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、トラニオンのねじの緩みを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】放射性物質収納容器の斜視図である。
図2図1に示すトラニオン30などを示す断面図である。
図3図2に示す押さえ具60などを示す断面図である。
図4】第2実施形態の図3相当図である。
図5】第3実施形態の図2相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1図3を参照して第1実施形態の放射性物質収納容器1について説明する。
【0010】
放射性物質収納容器1は、図1に示すように、放射性物質を収納可能な容器であり、キャスクであり、金属キャスクである。放射性物質収納容器1は、容器本体10と、蓋13と、外筒15と、トラニオンチューブ20(差込部)と、トラニオン30と、図2に示す押さえ具60と、シール部材70と、を備える。
【0011】
容器本体10は、図1に示すように、放射性物質を収納可能である。容器本体10に収納される放射性物質は、複数の空間を有するバスケット(図示なし)の各空間に収納される。容器本体10に収納される放射性物質は、使用済み燃料などである。容器本体10の材料は、ガンマ線遮蔽機能と構造強度とを確保できる材料であり、金属であり、炭素鋼またはステンレス鋼などである(外筒15の材料も同様)。容器本体10の形状は、軸方向を有する形状であり、有底筒状である。容器本体10の中心軸を、容器本体中心軸10aとする。容器本体中心軸10aに直交する平面上の仮想円であって、容器本体中心軸10aを中心とする仮想円の直径方向を、容器本体10径方向とする。上記の仮想円の円周に沿う方向を、容器本体10周方向とする。容器本体10は、胴部11と、底部(図示なし)と、を備える。
【0012】
胴部11は、容器本体中心軸10aを中心軸とする筒状(管状)であり、円筒状(円管状)である。胴部11は、略筒状でもよく、略円筒状でもよい(以下の「筒状」および「円筒状」についても同様)。図2に示すように、胴部11は、ねじ穴11aと、第1ねじ11sと、を備える。ねじ穴11aは、図1に示す胴部11の外周面(容器本体10径方向外側の面)から、容器本体10径方向内側に凹む穴である。
【0013】
第1ねじ11sは、図2に示すように、トラニオン30が取り付けられる部分(トラニオン取付ねじ部)である。第1ねじ11sは、ねじ穴11aの内周面(トラニオン径方向内側R1の面)に形成される、めねじである。第1ねじ11sの軸方向は、トラニオン軸方向Zである。なお、トラニオン軸方向Zおよびトラニオン径方向Rなどの方向の詳細は後述する。
【0014】
蓋13は、図1に示すように、容器本体10の開口部を閉じる部材である。
【0015】
外筒15は、胴部11よりも容器本体10径方向外側に配置される。外筒15は、筒状であり、円筒状である。外筒15と胴部11との間に、容器本体10径方向の間隔があけられる。外筒15は、容器本体10に対して固定される。
【0016】
中性子遮蔽材17は、容器本体10に収納された放射性物質から、放射性物質収納容器1の外部へ、中性子が放射されることを抑制する部材である。中性子遮蔽材17には、胴部11と外筒15との間に配置される中性子遮蔽材17aと、トラニオン30の内部に設けられる中性子遮蔽材17bと、がある。中性子遮蔽材17の材料は、例えばゴムや樹脂などである。
【0017】
トラニオンチューブ20(差込部)は、トラニオン30が差し込まれる部分であり、トラニオン30を支持する部分である。トラニオンチューブ20は、筒状であり、円筒状である。トラニオンチューブ20は、胴部11の外周面から、外筒15の外周面(容器本体10径方向外側の面)まで、延びる。トラニオンチューブ20は、胴部11および外筒15に固定され、胴部11および外筒15に溶接される。トラニオンチューブ20と、容器本体10と、外筒15とで、閉空間が形成される。中性子遮蔽材17aは、この閉空間に配置される。よって、水などが中性子遮蔽材17に混入することを防ぐことができる。図2に示すように、トラニオンチューブ20の中心軸は、第1ねじ11sの中心軸と同軸である。トラニオン30、押さえ具60、シール部材70、およびそれらの構成要素それぞれの中心軸も、第1ねじ11sの中心軸と同軸である。また、第2ねじ41s、第3ねじ20s、および第4ねじ60sの中心軸も、第1ねじ11sの中心軸と同軸である。トラニオンチューブ20は、第3ねじ20sと、トラニオンチューブ突出側端面25と、を備える。
【0018】
第3ねじ20sは、押さえ具60が取り付けられる部分(押さえ具取付ねじ部)である。第3ねじ20sは、トラニオンチューブ20の内周面(トラニオン径方向内側R1の面)に形成される、めねじである。第3ねじ20sは、トラニオンチューブ20の突出側Z1の端部に形成される。なお、「突出側Z1」については後述する。
【0019】
トラニオンチューブ突出側端面25は、トラニオンチューブ20の突出側Z1の端面である。トラニオンチューブ突出側端面25のトラニオン軸方向Zにおける位置は、外筒15の突出側Z1の端面のトラニオン軸方向Zにおける位置と同じ位置である。トラニオンチューブ突出側端面25と、外筒15の突出側Z1の端面と、によりトラニオンチークTが形成される(図1参照)。トラニオンチークTは、トラニオン30の周辺に設けられ、トラニオン軸方向Zに直交する方向に延びる平面である。
【0020】
トラニオン30は、図1に示すように、放射性物質収納容器1の支持や移動(操作)などに用いられる部材である。トラニオン30は、トラニオンチューブ20に差し込まれる。トラニオン30は、容器本体10およびトラニオンチューブ20から突出し、容器本体10およびトラニオンチューブ20から容器本体10径方向外側に突出する。例えば、トラニオン30には、架台A(図3参照)、および吊り具(図示なし)の少なくともいずれかなどが取り付けられる。例えば、トラニオン30に取り付けられる架台Aは、輸送用(輸送架台)、または横置き用(横置架台)などである。例えば、トラニオン30に取り付けられる吊り具は、トラニオン30に巻き付けられる紐状部材(ロープ)、または、紐状部材に取り付けられる金具などである。この吊り具は、例えばクレーンなどで上下に移動させられる。以下、トラニオン30に取り付けられる物を、単に「架台Aなど」ともいう。トラニオン30は、複数設けられる。トラニオン30には、上部トラニオン30Uと、下部トラニオン30Bと、がある。上部トラニオン30Uは、容器本体10の開口部側(蓋13が取り付けられる側)の部分に取り付けられる。上部トラニオン30Uは、複数設けられ、例えば4個設けられ、容器本体10周方向に等間隔に設けられる。下部トラニオン30Bは、容器本体10の底部側(蓋13が取り付けられる側とは反対側)の部分に取り付けられる。下部トラニオン30Bは、複数設けられ、例えば4個設けられ、容器本体10周方向に等間隔に設けられる。
【0021】
このトラニオン30の形状は、図2に示すように、軸方向を有する形状であり、略円柱状である。トラニオン30の中心軸であるトラニオン中心軸30aが延びる方向を、トラニオン軸方向Zとする。トラニオン軸方向Zは、容器本体10径方向である。トラニオン軸方向Zにおいて、容器本体10に対してトラニオン30が突出する側を突出側Z1とし、突出側Z1とは反対側を反突出側Z2とする。突出側Z1は、容器本体10径方向外側である。反突出側Z2は、容器本体10径方向内側である。トラニオン中心軸30aに直交する平面上の仮想円であってトラニオン中心軸30aを中心とする仮想円の直径方向を、トラニオン径方向Rとする。トラニオン径方向Rにおいて、トラニオン中心軸30aに近づく側をトラニオン径方向内側R1とし、トラニオン中心軸30aから遠ざかる側をトラニオン径方向外側R2とする。
【0022】
このトラニオン30は、交換可能であり、容器本体10に対して着脱可能である。トラニオン30は、容器本体10にねじで固定される、ねじ込み型である。トラニオン30は、基部40と、突出部50と、を備える。
【0023】
基部40は、トラニオンチューブ突出側端面25よりも反突出側Z2に配置される。基部40は、大径部41と、押さえ具配置部43と、を備える。
【0024】
大径部41は、ねじ穴11aの(容器本体10の)トラニオン径方向内側R1、および、トラニオンチューブ20のトラニオン径方向内側R1に配置される。大径部41は、トラニオンチューブ20には固定されず、トラニオンチューブ20に対してトラニオン軸方向Zに移動自在である。大径部41の外周面(トラニオン径方向外側R2の面)と、トラニオンチューブ20の内周面(トラニオン径方向内側R1の面)との間に、隙間が設けられ、例えばわずかな隙間が設けられる。大径部41は、トラニオン中心軸30aを中心とする円柱状または略円柱状である。トラニオン中心軸30aを中心とする円柱状または略円柱状である点は、トラニオン側軸平行部43c(図3参照)、中径部53、小径部55、およびフランジ部56も同様である。大径部41は、容器本体10に、ねじ締結により固定される。大径部41は、第2ねじ41sを備える。
【0025】
第2ねじ41sは、容器本体10の第1ねじ11sに締結される。第2ねじ41sは、大径部41の外周面に形成される、おねじである。
【0026】
押さえ具配置部43は、大径部41よりも突出側Z1に配置される。押さえ具配置部43は、トラニオンチューブ20のトラニオン径方向内側R1に配置され、押さえ具60のトラニオン径方向内側R1に配置される。押さえ具配置部43は、押さえ具60と隣接する部分である。図3に示すように、押さえ具配置部43は、トラニオン側軸直交部43aと、トラニオン側傾斜部43bと、トラニオン側軸平行部43cと、を備える。
【0027】
トラニオン側軸直交部43aは、トラニオン軸方向Zに直交する方向に延びる面であり、トラニオン径方向Rに延びる面であり、平面である。トラニオン側軸直交部43aは、大径部41の外周面の突出側Z1端部から、トラニオン径方向内側R1に延びる。トラニオン側軸直交部43aは、大径部41とトラニオン側傾斜部43bとの間の段差である。
【0028】
トラニオン側傾斜部43bは、トラニオン側軸直交部43aと、トラニオン側軸平行部43cと、を滑らかに(連続的に)つなぐ部分である。トラニオン側傾斜部43bは、トラニオン側傾斜部43bが設けられる位置での応力集中を抑制する。トラニオン側傾斜部43bは、押さえ具60とトラニオン30との隙間を抑制し、この隙間をなくすまたは減らす。トラニオン側傾斜部43bの外周面は、突出側Z1ほどトラニオン径方向内側R1に配置されるように、トラニオン軸方向Zに対して傾斜する。
【0029】
このトラニオン側傾斜部43bは、いわばアール部である。トラニオン側傾斜部43bの外周面の、トラニオン軸方向Zに対する傾きは、突出側Z1ほど小さくなる。図2に示すトラニオン中心軸30aを含む断面であって、トラニオン中心軸30aと平行な断面を、断面αとする。断面αにおいて、図3に示すトラニオン側傾斜部43bの外周面は、曲線状に延び、円弧状または略円弧状に延びる。断面αにおいて、トラニオン側傾斜部43bの外周面の円弧の中心の位置は、トラニオン側軸直交部43aよりも突出側Z1、かつ、トラニオン側軸平行部43cよりもトラニオン径方向外側R2である。なお、図2および図3では、トラニオン30の外周面を図示しており、トラニオン30の断面を図示していない。
【0030】
トラニオン側軸平行部43cは、図3に示すように、トラニオン側傾斜部43bよりも突出側Z1に配置される。トラニオン側軸平行部43cの外周面は、トラニオン中心軸30aと平行に延び、トラニオン側傾斜部43bの外周面の突出側Z1端部から、突出側Z1に延びる。トラニオン側軸平行部43cは、大径部41よりも小径である。小径とは、トラニオン径方向Rにおける幅が小さいことを意味する。
【0031】
突出部50は、図2に示すように、トラニオンチューブ突出側端面25よりも突出側Z1に突出(露出)する部分である。突出部50は、架台Aなどが取り付けられる部分である。例えば、突出部50は、テーパ部51と、第1段部52と、中径部53と、第2段部54と、小径部55と、フランジ部56と、を備える。
【0032】
テーパ部51は、押さえ具配置部43よりも突出側Z1に配置される。テーパ部51の外周面は、トラニオン側軸平行部43cの外周面の突出側Z1端部から、トラニオン径方向内側R1かつ突出側Z1に延びる。テーパ部51の外周面は、突出側Z1ほどトラニオン径方向内側R1に配置されるように、トラニオン軸方向Zに対して傾斜する。
【0033】
第1段部52は、テーパ部51の外周面の突出側Z1端部から、トラニオン径方向内側R1に延びる面であり、平面である。図3に示すように、第1段部52は、トラニオンチューブ突出側端面25よりも突出側Z1に配置される。第1段部52は、トラニオンチークTよりも突出側Z1に配置される。トラニオン30に架台Aなどが取り付けられたとき、架台Aなどが第1段部52に当たる場合がある。このとき、架台Aなどと、トラニオンチークTとの間に、トラニオン軸方向Zの隙間(ギャップ)が形成される。よって、架台AなどとトラニオンチークTとの干渉が抑制される。
【0034】
中径部53は、例えば架台Aが取り付けられる部分である。中径部53は、第1段部52から突出側Z1に延びる。第1段部52と中径部53との間に、アール部が形成されてもよい。このアール部は、例えばトラニオン側傾斜部43bと同様の形状の部分である。中径部53は、大径部41よりも小径であり、トラニオン側軸平行部43cよりも小径である。
【0035】
第2段部54は、図2に示すように、中径部53の外周面の突出側Z1端部から、トラニオン径方向内側R1に延びる面であり、平面である。
【0036】
小径部55は、例えば吊り具が取り付けられる部分である。小径部55は、第2段部54から突出側Z1に延びる。第2段部54と小径部55との間にアール部が形成されてもよい。小径部55は、中径部53よりも小径である。
【0037】
フランジ部56は、例えば、吊り具などが小径部55に取り付けられた場合に、吊り具などが小径部55から突出側Z1に外れることを防ぐ。フランジ部56は、小径部55の突出側Z1端部よりも突出側Z1に配置され、小径部55よりも大径である。
【0038】
押さえ具60は、容器本体10に対するトラニオン30の、ねじの緩みを抑制する部材である。トラニオン30のねじの緩みとは、第1ねじ11sに対する第2ねじ41sの緩みである。押さえ具60は、突出側Z1へのトラニオン30の移動を規制するように、トラニオン30に当たる(接触する)。押さえ具60は、トラニオン30の回転を抑制する部材(回転抑制部材)である。押さえ具60に抑制されるトラニオン30の回転は、トラニオン中心軸30aを中心とする回転であって、第1ねじ11sおよび第2ねじ41sの作用によりトラニオン30が突出側Z1に移動する向きの回転である。
【0039】
この押さえ具60は、トラニオンチューブ20とトラニオン30との間の少なくとも一部に配置される(挿入される)。押さえ具60は、トラニオンチューブ20のトラニオン径方向内側R1に配置される。押さえ具60は、トラニオン30のトラニオン径方向外側R2に配置され、押さえ具配置部43のトラニオン径方向外側R2に配置される。押さえ具60は、トラニオンチューブ20に取り付けられ、トラニオンチューブ20の突出側Z1端部の近傍に取り付けられる。押さえ具60は、円環状(リング状)である。図3に示すように、押さえ具60は、第4ねじ60sと、押さえ具側軸直交部63aと、押さえ具側傾斜部63bと、押さえ具側軸平行部63cと、押さえ具突出側端面65と、を備える。
【0040】
第4ねじ60sは、トラニオンチューブ20の第3ねじ20sに締結される。押さえ具60は、トラニオンチューブ20に、ねじ締結により固定される。第4ねじ60sは、押さえ具60の外周面に形成される、おねじである。第3ねじ20sおよび第4ねじ60sのねじの向きは、第1ねじ11sおよび第2ねじ41sのねじの向きに対して逆向きである(詳細は後述)。
【0041】
押さえ具側軸直交部63a、押さえ具側傾斜部63b、および押さえ具側軸平行部63cは、トラニオン側軸直交部43a、トラニオン側傾斜部43b、およびトラニオン側軸平行部43cに沿うように形成される。
【0042】
押さえ具側軸直交部63aは、トラニオン側軸直交部43aとトラニオン軸方向Zに対向し、トラニオン側軸直交部43aに当たる。例えば、押さえ具側軸直交部63aは、押さえ具60の反突出側Z2端部を構成する。押さえ具60とトラニオン30との間に隙間ができることを抑制するとともに応力を抑制するために、押さえ具側軸直交部63aは、トラニオン側軸直交部43aのできるだけ広い範囲に当たることが好ましい。押さえ具側軸直交部63aは、トラニオン側軸直交部43aの全体に当たることが好ましい。
【0043】
押さえ具側傾斜部63bは、トラニオン軸方向Zおよびトラニオン径方向Rに対向し、トラニオン側傾斜部43bに当たる。押さえ具60とトラニオン30との間に隙間ができることを抑制するとともに応力を抑制するために、押さえ具側傾斜部63bは、トラニオン側傾斜部43bのできるだけ広い範囲に当たることが好ましい。押さえ具側傾斜部63bは、トラニオン側傾斜部43bの全体に当たることが好ましい。
【0044】
押さえ具側軸平行部63cは、トラニオン側軸平行部43cに、トラニオン径方向Rに対向する。押さえ具側軸平行部63cは、トラニオン側軸平行部43cに当たってもよく、当たらなくてもよい。
【0045】
押さえ具突出側端面65は、押さえ具60の突出側Z1の端面である。押さえ具突出側端面65は、架台Aなどと押さえ具突出側端面65との干渉を抑制可能な位置に配置される。押さえ具突出側端面65のトラニオン軸方向Zにおける位置は、トラニオンチューブ突出側端面25のトラニオン軸方向Zにおける位置に対して、同じ位置または反突出側Z2の位置である。押さえ具突出側端面65のトラニオン軸方向Zにおける位置は、トラニオンチークTのトラニオン軸方向Zにおける位置に対して、同じ位置または反突出側Z2の位置である。図3に示す例では、押さえ具突出側端面65のトラニオン軸方向Zにおける位置は、トラニオンチューブ突出側端面25のトラニオン軸方向Zにおける位置に対して、反突出側Z2の位置である。これにより、シール部材70を配置するための空間が確保される。
【0046】
シール部材70は、トラニオン30とトラニオンチューブ20との隙間を埋める(封じる)部材である。シール部材70は、この隙間を、流体が通ることを防ぎ、水が通ることを防ぎ、例えばプール水や雨水などが通ることを防ぐ。シール部材70は、この隙間に放射性物質が入り込むことを防ぎ、除染が困難になることを抑制する。シール部材70は、押さえ具60よりも突出側Z1に設けられる。シール部材70は、トラニオンチューブ20とトラニオン30との間に設けられる。シール部材70は、トラニオン30のトラニオン側軸平行部43cのトラニオン径方向外側R2に配置され、トラニオンチューブ20のトラニオン径方向内側R1に配置される。例えば、シール部材70の材料は、樹脂であり、シリコーンである。シール部材70は、押さえ具60の突出側Z1の端面に、塗布される、または、取り付けられる。シール部材70は、シール部材突出側端面75を備える。
【0047】
シール部材突出側端面75は、シール部材70の突出側Z1の端面である。シール部材突出側端面75は、架台Aなどとの干渉を抑制できる位置に配置される。シール部材突出側端面75のトラニオン軸方向Zにおける位置は、トラニオンチューブ突出側端面25のトラニオン軸方向Zにおける位置に対して、同じ位置または反突出側Z2の位置である。シール部材突出側端面75のトラニオン軸方向Zにおける位置は、トラニオンチークTのトラニオン軸方向Zにおける位置に対して、同じ位置または反突出側Z2の位置である。
【0048】
(作動)
図1に示す放射性物質収納容器1の状態(姿勢)には、横倒し状態と、縦起こし状態と、がある。放射性物質収納容器1が横倒し状態のとき、容器本体10軸方向は、水平方向または略水平方向である。放射性物質収納容器1が縦起こし状態のとき、容器本体10軸方向は、鉛直方向または略鉛直方向である。放射性物質収納容器1の操作には、チルティングがある。チルティングは、横倒し状態の放射性物質収納容器1を縦起こし状態に起こすこと、および、縦起こし状態の放射性物質収納容器1を横倒し状態に倒すことである。チルティング時には、下部トラニオン30Bに横置架台が取り付けられ、上部トラニオン30Uに吊り具が保持される。そして、下部トラニオン30Bを回転軸(支点)として、上部トラニオン30Uが上下に移動させられる。このとき、上部トラニオン30Uの、吊り具に保持された部分に、摩擦力が働く。また、下部トラニオン30Bの、横置架台に支持された部分に、摩擦力が働く。これらの摩擦力により、図2に示すトラニオン30は、トラニオン30のねじが緩む向きの力を受ける場合がある。なお、トラニオン30のねじが緩む向きの力をトラニオン30が受ける場合であれば、チルティング以外の場合でも、本発明の効果が得られる。
【0049】
トラニオン30が、トラニオン30のねじが緩む向きの力を受ける。すると、トラニオン30が、突出側Z1に移動しようとする。すると、押さえ具60が、トラニオン30の突出側Z1への移動を規制する。よって、トラニオン30のねじの緩みが抑制される。
【0050】
第3ねじ20sおよび第4ねじ60sのねじの向きは、第1ねじ11sおよび第2ねじ41sのねじの向きに対して逆向きである。具体的には例えば、第1ねじ11sおよび第2ねじ41sが順ねじとすると、第3ねじ20sおよび第2ねじ41sは逆ねじである。この場合、トラニオン30および押さえ具60は、次のように作動する。反突出側Z2に見たときに、トラニオン30が、トラニオン中心軸30aを中心に反時計回りに回転しようとする。すると、第1ねじ11sおよび第2ねじ41sの作用により、トラニオン30が突出側Z1に進もうとする(ねじが緩もうとする)。ここで、押さえ具60は、トラニオン30に当たっている。よって、押さえ具60は、トラニオン30から摩擦力を受ける。よって、反突出側Z2に見たときに、押さえ具60も、トラニオン中心軸30aを中心に反時計回りに回転しようとする。すると、第3ねじ20sおよび第4ねじ60sの作用により、押さえ具60は、反突出側Z2に進もうとする(ねじが締まろうとする)。よって、押さえ具60は、トラニオン30を反突出側Z2に押さえつける。よって、トラニオン30のねじの緩みが抑制され、トラニオン30が容器本体10に対して強固に固定される。なお、第1ねじ11sおよび第2ねじ41sが逆ねじの場合、第3ねじ20sおよび第2ねじ41sは順ねじである。
【0051】
(第1の発明の効果)
図1に示す放射性物質収納容器1による効果は次の通りである。放射性物質収納容器1は、図2に示すように、容器本体10と、トラニオンチューブ20と、トラニオン30と、押さえ具60と、を備える。容器本体10は、放射性物質を収納可能である。トラニオンチューブ20は、容器本体10に固定される。トラニオン30は、第1ねじ11sに締結される第2ねじ41sを有する。第1ねじ11sは、容器本体10およびトラニオンチューブ20の少なくともいずれかが有するものである。トラニオン30は、トラニオンチューブ20に差し込まれ、容器本体10およびトラニオンチューブ20から突出する。
【0052】
[構成1]押さえ具60は、トラニオンチューブ20とトラニオン30との間の少なくとも一部に配置され、トラニオンチューブ20に取り付けられる。押さえ具60は、容器本体10に対してトラニオン30が突出する側(突出側Z1)へのトラニオン30の移動を規制するようにトラニオン30に当たる。
【0053】
上記[構成1]により、トラニオン30のねじ(第1ねじ11sおよび第2ねじ41s)が緩もうとしたとき、押さえ具60が、突出側Z1へのトラニオン30の移動を規制する。よって、トラニオン30のねじの緩みを抑制できる。
【0054】
(第2の発明の効果)
[構成2]トラニオンチューブ20は、トラニオンチューブ20の内周面に形成される第3ねじ20sを備える。押さえ具60は、第3ねじ20sに締結される第4ねじ60sを有する。
【0055】
上記[構成2]により、押さえ具60をトラニオンチューブ20に取り付けるための部材を、押さえ具60およびトラニオンチューブ20とは別に設ける必要がない。
【0056】
(第3の発明の効果)
[構成3]第3ねじ20sおよび第4ねじ60sのねじの向きは、第1ねじ11sおよび第2ねじ41sのねじの向きに対して逆向きである。
【0057】
上記[構成3]により、トラニオン30のねじが緩もうとしたとき、押さえ具60のねじが締まろうとする。よって、押さえ具60は、トラニオン30を反突出側Z2に押し付けることができる。よって、トラニオン30のねじの緩みをより抑制できる。
【0058】
(第4の発明の効果)
トラニオン軸方向Zにおいて、容器本体10に対してトラニオン30が突出する側を突出側Z1とし、突出側Z1とは反対側を反突出側Z2とする。
【0059】
[構成4]図3に示すように、押さえ具突出側端面65のトラニオン軸方向Zにおける位置は、トラニオンチューブ突出側端面25のトラニオン軸方向Zにおける位置に対して、同じ位置または反突出側Z2の位置である。ここで、押さえ具突出側端面65は、押さえ具60の突出側Z1の端面である。トラニオンチューブ突出側端面25は、トラニオンチューブ20の突出側Z1の端面である。
【0060】
上記[構成4]により、トラニオン30に、架台Aなどの部材が取り付けられる場合、この部材と押さえ具60とが干渉することを抑制できる。その結果、トラニオン30に取り付けられる部材、および、押さえ具60の損傷を抑制できる。また、トラニオン30に紐状部材が取り付けられる場合、この紐状部材が押さえ具60に引っ掛かることを抑制できる。
【0061】
(第5の発明の効果)
[構成5]押さえ具突出側端面65のトラニオン軸方向Zにおける位置は、トラニオンチューブ突出側端面25のトラニオン軸方向Zにおける位置に対して、反突出側Z2の位置である。放射性物質収納容器1は、シール部材70を備える。シール部材70は、押さえ具60よりも突出側Z1、かつ、トラニオンチューブ20とトラニオン30との間に設けられる。
【0062】
上記[構成5]により、トラニオンチューブ20とトラニオン30との間に隙間がある場合、この隙間をシール部材70で埋めることができる。よって、この隙間を流体が通ることを抑制できる。
【0063】
(第6の発明の効果)
[構成6]トラニオン30は、トラニオン側傾斜部43bを備える。トラニオン側傾斜部43bは、突出側Z1ほど、トラニオン中心軸30a(図2参照)に近い位置(トラニオン径方向内側R1)に配置されるように、トラニオン軸方向Zに対して傾斜する。押さえ具60は、押さえ具側傾斜部63bを備える。押さえ具側傾斜部63bは、トラニオン側傾斜部43bに沿うように形成され、トラニオン側傾斜部43bに当たる。
【0064】
放射性物質収納容器1は、上記[構成6]を備える。よって、トラニオン30と押さえ具60とが当たる位置に、上記[構成6]のような傾斜部が設けられない場合に比べ、この位置での応力を抑制できる。また、上記[構成6]により、押さえ具60とトラニオン30との間に隙間ができることを抑制できる。よって、この隙間を流体が通ることを抑制できる。
【0065】
(第2実施形態)
図4を参照して、第2実施形態の放射性物質収納容器201について、第1実施形態との相違点を説明する。なお、第2実施形態の放射性物質収納容器201のうち、第1実施形態との共通点については、第1実施形態と同一の符号を付し、説明を省略した。共通点の説明を省略する点については他の実施形態の説明も同様である。相違点は、第3ねじ220s、第4ねじ260s、回り止め部材取付穴281、および回り止め部材283である。
【0066】
第1実施形態では、図3に示す第3ねじ20sおよび第4ねじ60sのねじの向きは、図2に示す第1ねじ11sおよび第2ねじ41sのねじの向きに対して逆向きであった。一方、本実施形態では、図4に示す第3ねじ220sおよび第4ねじ260sのねじの向きは、図2に示す第1ねじ11sおよび第2ねじ41sのねじの向きと同じ向きである。
【0067】
回り止め部材取付穴281は、回り止め部材283が差し込まれ、回り止め部材283が取り付けられる穴である。回り止め部材取付穴281は、トラニオンチューブ20と押さえ具60との境界部分に形成され、共孔加工により形成される。回り止め部材取付穴281の内周面に、めねじが形成される。回り止め部材取付穴281の中心軸の方向は、トラニオン軸方向Zである。
【0068】
回り止め部材283は、トラニオン中心軸30a(図2参照)を中心として、トラニオンチューブ20に対して押さえ具60が回転することを規制する部材である。回り止め部材283は、トラニオンチューブ20と押さえ具60とに固定される。回り止め部材283は、おねじを有する部材であり、ボルトである。回り止め部材283は、回り止め部材取付穴281に、取り付けられ、ねじで締結され、固定される。回り止め部材283の突出側Z1端面のトラニオン軸方向Zにおける位置は、トラニオンチューブ突出側端面25のトラニオン軸方向Zにおける位置に対して、同じ位置または反突出側Z2である。回り止め部材283の突出側Z1端面のトラニオン軸方向Zにおける位置は、トラニオンチークTのトラニオン軸方向Zにおける位置に対して、同じ位置または反突出側Z2である。例えば、回り止め部材283の突出側Z1端面のトラニオン軸方向Zにおける位置は、押さえ具突出側端面65のトラニオン軸方向Zにおける位置と同じ位置である。シール部材70は、回り止め部材283の突出側Z1の端部(頭部)に覆いかぶさるように配置される。
【0069】
(第3実施形態)
図5を参照して、第3実施形態の放射性物質収納容器301について、第1実施形態との相違点を説明する。主な相違点は、穴311aおよび第1ねじ311sである。穴311aは、第1実施形態における、ねじ穴11a(図2参照)に対応する位置に設けられ、ねじが形成されていない穴である。図2に示すように、第1実施形態では、第1ねじ11sは、容器本体10のねじ穴11aの内周面に形成された。一方、図5に示すように、本実施形態では、第1ねじ311sは、トラニオンチューブ20の内周面に形成される。大径部41は、第1ねじ311sに締結される第2ねじ41sと、ねじが形成されていない部分341bを備える。部分341bは、図2に示す第1実施形態の41sに対応する位置に配置される。
【0070】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。例えば、互いに異なる実施形態の構成要素どうしが組み合わされてもよい。例えば、構成要素の形状が変形されてもよく、構成要素の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。
【0071】
図4に示す第2実施形態の放射性物質収納容器201において、回り止め部材取付穴281および回り止め部材283が設けられなくてもよい。この場合の作動は次の通りである。トラニオン30のねじが緩む方向にトラニオン30が回転しようとしたとする。すると、押さえ具60は、トラニオン30から摩擦力を受ける。すると、押さえ具60は、押さえ具60のねじが緩む方向に回転しようとする。このとき、押さえ具60が設けられない場合と比べると、トラニオン30のねじの緩みを抑制できる。このとき、例えば、ダブルナットによる緩み止めと同様の効果が得られる。例えば、トラニオン30の突出側Z1への移動速度よりも、押さえ具60の突出側Z1への移動速度が小さい場合などに、押さえ具60は、突出側Z1へのトラニオン30の移動を規制できる。
【0072】
放射性物質収納容器201において、回り止め部材取付穴281および回り止め部材283が設けられない場合、押さえ具60とトラニオン30との間に潤滑剤が設けられることが好ましい(潤滑剤が塗布された状態であることが好ましい)。この場合、潤滑剤が、押さえ具60とトラニオン30との摩擦力を低減させる。よって、仮に、トラニオン30のねじが緩む向きにトラニオン30が回転した場合であっても、押さえ具60のねじが緩む向きに押さえ具60が回転しにくい。よって、押さえ具60は、突出側Z1へのトラニオン30の移動を規制できる。
【0073】
トラニオン30の形状は変形されてもよい。例えば、図1において右下に示した下部トラニオン30Bのように、図2に示す小径部55およびフランジ部56が設けられなくてもよい。例えば図1において右上に示した上部トラニオン30Uのように、図2に示す小径部55が設けられなくてもよい。トラニオン30が差し込まれる「差込部」は、筒状でなくてもよく、トラニオンチューブ20でなくてもよい。
【0074】
図3に示す、トラニオン側傾斜部43bの形状は変形されてもよい。上記実施形態では、断面αにおいて、トラニオン側傾斜部43bの外周面は、曲線状に延び、円弧状または略円弧状に延びた。一方、断面αにおいて、トラニオン側傾斜部43bの外周面は、円弧状でも略円弧状でもない曲線状に延びてもよく、直線状に延びてもよい。トラニオン側傾斜部43bおよび押さえ具側傾斜部63bは設けられなくてもよい。トラニオン側軸直交部43aとトラニオン側軸平行部43cとが直接つながってもよい。押さえ具側軸直交部63aと押さえ具側軸平行部63cとが直接つながってもよい。
【0075】
シール部材70は設けられなくてもよい。図4に示す回り止め部材283の位置は、トラニオンチューブ20と押さえ具60とを固定できれば、どの位置でもよい。図2に示す第1ねじ11sおよび図5に示す第1ねじ311sの、一方のみが設けられてもよく、両方が設けられてもよい。大径部41の、ねじが形成されていない部分341bは、例えばトラニオンチューブ20の強度が十分である場合などには、設けられなくてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1、201、301 放射性物質収納容器
10 容器本体
11s、311s 第1ねじ
20 トラニオンチューブ(差込部)
20s、220s 第3ねじ
30 トラニオン
41s 第2ねじ
43 押さえ具配置部
43b トラニオン側傾斜部
60 押さえ具
60s、260s 第4ねじ
63b 押さえ具側傾斜部
70 シール部材
Z トラニオン軸方向
Z1 突出側
Z2 反突出側
図1
図2
図3
図4
図5