【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、焙じ香を付与した茶飲料を提供することにある。
【0006】
本発明者は、特定量の非重合体カテキン類を含有する茶飲料に、甘い香り成分として知られるバニリンと、渋味成分として知られるフラボノール及びその糖付加物とを、それぞれ特定量共存させると、意外なことに、茶飲料に焙じ香が付与されるだけでなく、適度な後渋味が感じられ、嗜好性の高い茶飲料が得られることを見出した。ここで、本明細書において「後渋味」とは、茶飲料の飲用後に感じる味覚の一種であって、茶飲料の味に厚みを与え余韻を生じさせる渋味を意味し、例えば茶飲料を飲用後5〜30秒後に感じる渋味をいう。
【0007】
すなわち、本発明は、次の成分(A)〜(C);
(A)バニリン 20〜 100質量ppb、
(B)フラボノール及びその糖付加物 1〜 100質量ppm、及び
(C)非重合体カテキン類 250〜2000質量ppm
を含有し、
成分(A)と成分(C)との含有量が下記式(1);
Y≧ −150X+4000 (1)
〔式(1)中、Yは成分(C)の含有量(質量ppm)を示し、Xは成分(A)の含有量(質量ppb)を示す。〕
の関係を満たす、茶飲料を提供するものである。
【0008】
本発明はまた、次の成分(A)〜(C);
(A)バニリン 20〜 100質量ppb、
(B)フラボノール及びその糖付加物 1〜 100質量ppm、及び
(C)非重合体カテキン類 250〜2000質量ppm
を、成分(A)と成分(C)との含有量が下記式(1);
Y≧ −150X+4000 (1)
〔式(1)中、Yは成分(C)の含有量(質量ppm)を示し、Xは成分(A)の含有量(質量ppb)を示す。〕
の関係を満たすように配合する工程を含む、焙じ香の付与された茶飲料の製造方法を提供するものである。
【0009】
本発明はまた、次の成分(A)〜(C);
(A)バニリン 20〜 100質量ppb、
(B)フラボノール及びその糖付加物 1〜 100質量ppm、及び
(C)非重合体カテキン類 250〜2000質量ppm
を共存させる、茶飲料の焙じ香の付与方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、焙じ香が付与されるだけでなく、適度な後渋味が感じられ、嗜好性の高い茶飲料を提供することができる。
【0011】
〔茶飲料〕
本明細書において「茶飲料」とは、Camellia属の茶葉、例えば、C.sinensis.var.sinensis(やぶきた種を含む)、C.sinensis.var.assamica及びそれらの雑種から選択される茶葉(Camellia sinensis)を原料として含む飲料をいう。茶葉は、その加工方法により、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶に分類することができ、1種又は2種以上を使用することができる。なお、茶葉の茶品種及び採取時期は特に限定されず、また茶葉は火入れ加工が施されていてもよい。
不発酵茶としては、例えば、煎茶、深蒸し煎茶、焙じ茶、番茶、玉露、かぶせ茶、碾茶、釜入り茶、茎茶、棒茶、芽茶等の緑茶が挙げられる。また、半発酵茶としては、例えば、鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の烏龍茶が挙げられる。更に、発酵茶としては、ダージリン、アッサム、スリランカ等の紅茶が挙げられる。
【0012】
また、原料として穀物やCamellia属以外の葉を含む飲料も本発明の茶飲料に包含される。穀物としては、例えば、大麦、小麦、ハト麦、ライ麦、燕麦、裸麦等の麦;玄米等の米;大豆、黒大豆、ソラマメ、インゲン豆、小豆、エビスクサ、ササゲ、ラッカセイ、エンドウ、リョクトウ等の豆;ソバ、トウモロコシ、白ゴマ、黒ゴマ、粟、稗、黍、キヌワ等の雑穀を挙げることができる。また、Camellia属以外の葉としては、例えば、イチョウの葉、柿の葉、ビワの葉、桑の葉、クコの葉、杜仲の葉、小松菜、ルイボス、クマザサ、ドクダミ、アマチャヅル、スイカズラ、ツキミソウ、カキドオシ、カワラケツメイ、ギムネマ・シルベスタ、黄杞茶(クルミ科)、甜茶(バラ科)、キダチアロエ等が挙げられる。更に、カモミール、ハイビスカス、ペパーミント、レモングラス、レモンピール、レモンバーム、ローズヒップ、ローズマリー等のハーブも用いることができる。穀物及びCamellia属の葉以外の原料は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
【0013】
本発明の茶飲料の種類としては、例えば、緑茶飲料、半発酵茶飲料、発酵茶飲料、焙じ茶飲料、ブレンド茶飲料等を挙げることができる。中でも、本発明の効果を享受しやすい点から、緑茶飲料が好ましい。ここで、本明細書において「ブレンド茶飲料」とは、複数の茶原料を使用する飲料をいう。
【0014】
本発明の茶飲料は、成分(A)としてバニリンを含有する。
バニリンとしては飲食品の分野において通常使用されているものであれば由来は特に限定されず、例えば、バニラ豆より抽出したものでも、化学合成品でも、市販品でも、原料由来のものでもよい。バニリンの市販品としては、例えば、バニリン(和光純薬工業(株)製、和光特級)等を挙げることができる。
【0015】
本発明の茶飲料中の成分(A)の含有量は20〜100質量ppbであるが、焙じ香付与の観点から、21質量ppb以上が好ましく、23質量ppb以上がより好ましく、25質量ppb以上が更に好ましく、27質量ppb以上が好ましく、29質量ppb以上が好ましく、またバニラ臭抑制の観点から、85質量ppb以下が好ましく、80質量ppb以下が好ましく、75質量ppb以下が好ましく、70質量ppb以下がより好ましく、60質量ppb以下が更に好ましく、50質量ppb以下が更に好ましい。かかる成分(A)の含有量の範囲としては、本発明の茶飲料中に、好ましくは21〜85質量ppbであり、より好ましくは23〜80質量ppbであり、更に好ましくは25〜75質量ppbであり、より更に好ましくは27〜70質量ppbであり、より更に好ましくは29〜60質量ppb、殊更に好ましくは29〜50質量ppbである。なお、成分(A)の含有量は、通常知られている分析法のうち測定試料の状況に適した分析法、例えば、GC/MS法により測定することができる。具体的には、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0016】
本発明の茶飲料は、成分(B)としてフラボノール及びその糖付加物を含有する。
ここで、本明細書において「フラボノール糖付加物」とは、アグリコンであるフラボノールに糖がグルコシド結合したものをいう。グルコシド結合は、O−グリコシドでも、C−グリコシドであってもよく、特に限定されない。グルコシド結合する糖は、アグリコンの種類により一様ではないが、例えば、グルコース、ガラクトース、ラムノース、キシロース、アラビノース、アピオース等の単糖、ルチノース、ネオヘスペリドース、ソフォロース、サンブビオース、ラミナリビオース等の二糖、ゲンチオトリオース、グルコシルルチノース、グルコシルネオヘスペリドース等の三糖、又はこれらの混合物が挙げられる。また、糖付加物には、アグリコンに糖が1個付加したものと、該糖付加物に更に1以上の糖が付加したものがあり、これらの混合物であってもよい。糖を付加する反応は公知の方法を採用することが可能であり、例えば、フラボノール糖付加物を糖化合物の存在下、糖転移酵素を作用させてグルコシル化する方法が挙げられる。具体的な操作方法として、例えば、国際公開第2006/070883号を参照することができる。
【0017】
フラボノールとしては、例えば、ケルセチン、ケンフェロール、ミリセチンが挙げられる。フラボノール糖付加物としては、ケルセチン、ケンフェロール又はミリセチン等のアグリコンに糖が付加したもの、例えば、イソクエルシトリン、ルチン、クエルシトリン等が挙げられ、更に、これらに更に糖が付加されたもの、例えば、イソクエルシトリン糖付加物等も挙げることができる。イソクエルシトリン糖付加物は、例えば、イソクエルシトリンのグルコース残基に、1以上のグルコースがα−1,4結合した化合物であり、グルコースの結合数は、1〜15が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜7が更に好ましい。
【0018】
中でも、成分(B)としては、焙じ香付与、後渋味向上の観点から、イソクエルシトリン及びその糖付加物、ルチンから選択される1種又は2種が好ましく、イソクエルシトリン及びその糖付加物が更に好ましい。
【0019】
本発明の茶飲料中の成分(B)の含有量は1〜100質量ppmであるが、焙じ香付与、後渋味向上の観点から、2質量ppm以上が好ましく、3質量ppm以上がより好ましく、3.5質量ppm以上が更に好ましく、また適度な後渋味の観点から、80質量ppm以下が好ましく、50質量ppm以下がより好ましく、30質量ppm以下が更に好ましく、25質量ppmが殊更好ましい。かかる成分(B)の含有量の範囲としては、本発明の茶飲料中に、好ましくは2〜80質量ppmであり、より好ましくは3〜50質量ppmであり、更に好ましくは3〜30質量ppmであり、殊更に好ましくは3.5〜25質量ppmである。なお、成分(B)の含有量は、通常知られている分析法のうち測定試料の状況に適した分析法、例えば、高速液体クロマトグラフ法により測定することができる。例えば、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0020】
本発明の茶飲料は、成分(C)として非重合体カテキン類を含有する。
ここで、本明細書において「非重合体カテキン類」とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート及びガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類、並びにエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類を併せての総称であり、本発明においては上記8種のうち少なくとも1種を含有すればよい。
【0021】
本発明の茶飲料中の成分(C)の含有量は250〜2000質量ppmであるが、生理効果、後渋味向上の観点から、300質量ppm以上が好ましく、350質量ppm以上が好ましく、400質量ppm以上が好ましく、500質量ppm以上がより好ましく、600質量ppm以上が好ましく、700質量ppm以上が更に好ましく、900質量ppm以上が更に好ましく、1000質量ppm以上が殊更に好ましい。また適度な渋味の観点から、1900質量ppm以下が好ましく、1800質量ppm以下がより好ましく、1500質量ppm以下が更に好ましい。かかる成分(C)の含有量の範囲としては、本発明の茶飲料中に、好ましくは300〜1900質量ppm、好ましくは350〜1900質量ppm、より好ましくは400〜1900質量ppm、より好ましくは500〜1900質量ppm、より好ましくは600〜1900質量ppm、更に好ましくは700〜1800質量ppmであり、より更に好ましくは900〜1800質量ppmであり、殊更に好ましくは1000〜1500質量ppmである。なお、成分(C)の含有量は、上記8種の合計量に基づいて定義され、通常知られている分析法のうち測定試料の状況に適した分析法、例えば、高速液体クロマトグラフ法により測定することができる。具体的には、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0022】
本発明の茶飲料は、焙じ香付与、後渋味向上の観点から、成分(A)と成分(C)との含有量が下記式(1)の関係を満たすことが必要である。
【0023】
Y≧ −150X+4000 (1)
【0024】
〔式(1)中、Yは成分(C)の含有量(質量ppm)を示し、Xは成分(A)の含有量(質量ppb)を示す。〕
【0025】
本発明においては、好ましくは下記式(2)の関係、より好ましくは下記式(3)の関係を満たすと、焙じ香をより一層付与しつつ、後渋味を向上させて嗜好性の高い茶飲料とすることができる。
【0026】
Y≧−150X+4200 (2)
Y≧−150X+4500 (3)
【0027】
〔式(2)及び(3)中、X及びYは前記式(1)中のX及びYと同義である。〕
【0028】
また、本発明の茶飲料は、成分(B)と成分(C)との合計量[(B)+(C)]が、焙じ香付与、後渋味向上の観点から、252質量ppm以上が好ましく、300質量ppm以上がより好ましく、500質量ppm以上が更に好ましく、600質量ppm以上が更に好ましく、800質量ppm以上が更に好ましく、900質量ppm以上が更に好ましく、また適度な渋味の観点から、3000質量ppm以下が好ましく、2500質量ppm以下より好ましく、2000質量ppm以下が更に好ましい。かかる[(B)+(C)]の範囲としては、好ましくは252〜3000質量ppm、より好ましくは300〜3000質量ppm、更に好ましくは500〜3000質量ppm、より更に好ましくは600〜2500質量ppm、より更に好ましくは800〜2000質量ppm、殊更に好ましくは900〜2000質量ppmである。
【0029】
更に、本発明の茶飲料は、本発明の目的を損なわない範囲内で、ビタミン、ミネラル、酸化防止剤、各種エステル、色素、乳化剤、保存料、調味料、酸味料、果汁エキス、野菜エキス、花蜜エキス、品質安定剤等の添加剤を1種又は2種以上を含有することができる。これら添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することができる。
【0030】
本発明の茶飲料のpH(20℃)は、茶の余韻の観点から、4以上が好ましく、5以上がより好ましく、5.5以上が更に好ましく、そして7以下が好ましく、6.5以下がより好ましく、6.2以下が更に好ましい。かかるpHの範囲としては、好ましくは4〜7であり、より好ましくは5〜6.5であり、更に好ましくは5.5〜6.2である。なお、pHは、茶飲料約100mLを300mLのビーカーに量り取り、20℃に温度調整をして測定するものとする。
【0031】
本発明の茶飲料のBrix(20℃)は、茶の余韻付与の観点から、0.1以上が好ましく、0.12以上がより好ましく、0.15以上が更に好ましく、0.2以上が殊更好ましく、そして2以下が好ましく、1.8以下がより好ましく、1.5以下が更に好ましく、1.2以下が殊更好ましい。かかるBrixの範囲としては、好ましくは0.1〜2であり、より好ましくは0.12〜1.8であり、更に好ましくは0.15〜1.5であり、0.2〜1.2以下が殊更好ましい。ここで、本明細書において「Brix」とは、糖用屈折計を利用して測定した値であり、20℃のショ糖水溶液の質量百分率に相当する値である。また、20℃におけるショ糖水溶液の屈折率を基準として、試料の屈折率より算出される可溶性固形分濃度を意味する。具体的には後掲の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0032】
本発明の茶飲料は、濃縮液状茶飲料、粉末状茶飲料及び容器詰茶飲料から選択される1種又は2種以上とすることができる。容器詰茶飲料の場合、本発明の茶飲料は、焙じ香を強く感じることができるという特徴を有することから、飲料の液表面に対して開口部の狭い容器に詰めた状態で飲用した場合でも、茶の豊かな焙じ香を感じることができる。開口部の狭い容器とは、飲み口となる開口部が1200mm
2以下、好ましくは1000mm
2以下、より好ましくは900mm
2以下、特に好ましくは800mm
2以下の容器をいう。そのような開口部の狭い飲料用容器としては、キャップ(φ28mm、φ38mm)を備えたPETボトルやボトル缶、プルタブ式又はステイオンタブ式など蓋の一部のみが開口するパーシャルオープンエンドの缶蓋を備えるアルミ缶やスチール缶、ストローが付けられた紙パック、同じくストローが付けられたチルドカップ等が挙げられる。後述の実施例に示すように、通常、PETボトルやボトル缶のような開口部の狭い容器に飲料を詰めて飲用する場合には、コップのような開口部の広い容器を用いた場合と比べて、飲料の表面からの香りが鼻に直接には入りにくいため、香りが弱く感じられる傾向があるが、本発明の茶飲料は、開口部の狭い容器に詰められた場合であっても、急須から茶碗に入れた茶を飲んだときのような茶の豊かな香が感じられる。
【0033】
本発明の茶飲料は、加熱殺菌済でもよい。殺菌方法としては、適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた条件に適合するものであれば特に限定されるものではない。例えば、レトルト殺菌法、高温短時間殺菌法(HTST法)、超高温殺菌法(UHT法)、充填後殺菌法(パストリゼーション)等を挙げることができる。また、容器詰茶飲料の容器の種類に応じて加熱殺菌法を適宜選択することも可能であり、例えば、金属缶、瓶のように、飲料を容器に充填後、容器ごと加熱殺菌できる場合にあってはレトルト殺菌や充填後殺菌法(パストリゼーション)を採用することができる。また、PETボトルのようにレトルト殺菌できないものについては、飲料をあらかじめ上記と同等の殺菌条件で加熱殺菌し、無菌環境下で殺菌処理した容器に充填するアセプティック充填や、ホットパック充填等を採用することができる。加熱殺菌済の茶飲料は、一般的に、茶本来の香りが低くなるものの、本発明の茶飲料であれば、加熱殺菌済であっても、茶の豊かな焙じ香が感じられる。
【0034】
〔焙じ香の付与された茶飲料の製造方法〕
本発明の製造方法は、20〜100質量ppbの成分(A)と、1〜100質量ppmの成分(B)と、250〜2000質量ppmの成分(C)とを、前記式(1)の関係を満たすように配合する工程を含むものである。例えば、茶原料としてCamellia属の茶葉を含む茶抽出物に対して成分(A)及び(B)を配合し、成分(B)の濃度とともに、前記式(1)の関係を満たすように成分(A)及び(C)の濃度を調整して製造することができる。本発明の製造方法においては、最終的に茶飲料中に成分(A)〜(C)が共存した状態にあれば、成分(A)〜(C)の配合順序は特に限定されない。
【0035】
茶抽出物は、Camellia属の茶葉を含む茶原料を公知の抽出方法に供することで製造することができるが、複数の茶原料を使用する場合、別個に抽出しても、混合して抽出してもよい。抽出方法としては、例えば、撹拌抽出、カラム抽出、ドリップ抽出等が挙げられる。抽出条件は、抽出方法により適宜選択することができる。
抽出後、濾過、遠心分離、膜処理等の公知の固液分離手段により、茶原料と茶抽出物とを分離することができる。このようにして得られた茶抽出物は、そのままでも、乾燥、濃縮して使用してもよい。
【0036】
本発明の製造方法においては、茶飲料の具体的構成(例えば、茶飲料の概念、成分(A)〜(C)及び合計量[(B)+(C)]の具体的構成等)は上記において説明したとおりであり、また焙じ香をより一層付与しつつ、後渋味を向上させて嗜好性の高い茶飲料とするために、前記式(1)に代えて、前記式(2)又は(3)を採用することもできる。
【0037】
〔茶飲料の焙じ香の付与方法〕
本発明の茶飲料の焙じ香の付与方法は、20〜100質量ppbの成分(A)と、1〜100質量ppmの成分(B)と、250〜2000質量ppmの成分(C)とを共存させるものである。本発明の焙じ香の付与方法においては、成分(A)〜(C)が最終的に茶飲料中に共存した状態にあればよく、共存させるタイミングや配合順序は特に限定されない。
【0038】
更に、焙じ香をより一層付与しつつ、後渋味を向上させて嗜好性の高い茶飲料とするために、成分(A)と成分(C)との含有量が、好ましくは前記式(1)の関係、より好ましくは前記式(2)の関係、更に好ましくは下記式(3)の関係を満たすように制御することもできる。なお、茶飲料の具体的構成(例えば、茶飲料の概念、成分(A)〜(C)及び合計量[(B)+(C)]の具体的構成等)は、上記において説明したとおりである。