特許第6777590号(P6777590)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6777590押出成形品の製造方法、押出成形用成形原料及び押出成形用成形原料の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6777590
(24)【登録日】2020年10月12日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】押出成形品の製造方法、押出成形用成形原料及び押出成形用成形原料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/00 20190101AFI20201019BHJP
   C08L 71/00 20060101ALI20201019BHJP
   C08K 5/541 20060101ALI20201019BHJP
   C08K 3/00 20180101ALI20201019BHJP
   B29K 27/12 20060101ALN20201019BHJP
【FI】
   B29C48/00
   C08L71/00 A
   C08K5/541
   C08K3/00
   B29K27:12
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-107006(P2017-107006)
(22)【出願日】2017年5月30日
(65)【公開番号】特開2018-202627(P2018-202627A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2019年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(72)【発明者】
【氏名】本多 雅之
(72)【発明者】
【氏名】前田 賢宏
(72)【発明者】
【氏名】手島 真広
(72)【発明者】
【氏名】菅野 渉
【審査官】 ▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−127358(JP,A)
【文献】 特開2016−203395(JP,A)
【文献】 特開2013−194117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/00 − 48/96
C08K 3/00
C08K 5/541
C08L 71/00
B29K 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形原料を押出成形して押出成形品を得る工程を備え、
前記成形原料が、第一の液状材料と、第二の液状材料を動的架橋して得られる動的架橋物との混合物であり、
前記第一の液状材料及び前記第二の液状材料が、それぞれ、
1分子中に少なくとも2つのアルケニル基を有し、且つ、パーフルオロポリエーテル構造及びアミド構造を有する含フッ素アミド化合物と、
1分子中に少なくとも2つのヒドロシリル基を有し、且つ、パーフルオロアルキル基及びパーフルオロアルカンジイル基からなる群より選択される少なくとも一種の含フッ素基を有する含フッ素ヒドロシランと、
ヒドロシリル化反応触媒と
を含有する、押出成形品の製造方法。
【請求項2】
前記第一の液状材料及び前記第二の液状材料がそれぞれ補強性フィラーを更に含有する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記含フッ素アミド化合物が、式(1)で表される化合物を含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
【化1】

[式中、Rは、2価のパーフルオロポリエーテル構造を示し、Xはアミド構造を含む2価の基を示し、Rはアルケニル基を示す。複数存在するX及びRはそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。]
【請求項4】
前記第一の液状材料において、前記含フッ素アミド化合物が有するアルケニル基の総数に対する前記含フッ素ヒドロシランが有するヒドロシリル基の総数の比が、0.5〜2.0である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記第二の液状材料において、前記含フッ素アミド化合物が有するアルケニル基の総数に対する前記含フッ素ヒドロシランが有するヒドロシリル基の総数の比が、0.5〜2.0である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
第一の液状材料と、第二の液状材料を動的架橋して得られる動的架橋物とを混合して、押出成形用成形原料を得る工程を備え、
前記第一の液状材料及び前記第二の液状材料が、それぞれ、
1分子中に少なくとも2つのアルケニル基を有し、且つ、パーフルオロポリエーテル構造及びアミド構造を有する含フッ素アミド化合物と、
1分子中に少なくとも2つのヒドロシリル基を有し、且つ、パーフルオロアルキル基及びパーフルオロアルカンジイル基からなる群より選択される少なくとも一種の含フッ素基を有する含フッ素ヒドロシランと、
ヒドロシリル化反応触媒と
を含有する、押出成形用成形原料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出成形品の製造方法に関する。また本発明は、押出成形用成形原料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、耐溶剤性、耐薬品性等の優れた機能面に着目して、含フッ素成形品が各種分野で使用されている。例えば、特許文献1には、耐溶剤性及び耐薬品性に優れ、圧縮永久歪みの小さい硬化物を得ることが可能な含フッ素硬化性組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−158516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、低粘度の液状材料を架橋硬化させて成形品を得るためには、射出成形法、注型成形法等の方法が用いられている。射出成形法及び注型成形法は、いずれもバッチ式と呼ばれる成形法であり、金型の数や金型に原料を注入する装置の数が生産性を左右し、連続式である押出成形法と比較して、生産効率に劣る傾向がある。
【0005】
押出成形可能な熱硬化性原料として、シリコーンのミラブル材、EPDMゴムコンパウンド等が挙げられるが、これらは粘度が高いため、押出機で移送し易く、ダイ内で圧力発生が可能でダイス口形状に賦形することができ、吐出後にその形状を保ったまま硬化工程に移送することができる。一方、低粘度の液状材料では、押出機での移送が困難であり、ダイスでの賦形ができず、吐出物の形状が直ぐに変形するため、押出成形法を適用することが難しい。
【0006】
含フッ素成形品を得るための成形原料として、特許文献1に記載されるような液状材料が知られているが、上述の理由から、含フッ素液状材料を原料とした押出成形品の製造は困難であった。
【0007】
そこで、本発明は、含フッ素液状材料を原料とした成形品を押出成形によって製造することが可能な、押出成形品の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、含フッ素液状材料を用いて押出成形可能に調製された、押出成形用成形原料を提供すること、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面は、成形原料を押出成形して押出成形品を得る工程を備え、上記成形原料が、第一の液状材料と、第二の液状材料を動的架橋して得られる動的架橋物との混合物であり、上記第一の液状材料及び上記第二の液状材料が、それぞれ、1分子中に少なくとも2つのアルケニル基を有し、且つ、パーフルオロポリエーテル構造及びアミド構造を有する含フッ素アミド化合物と、1分子中に少なくとも2つのヒドロシリル基を有し、且つ、パーフルオロアルキル基及びパーフルオロアルカンジイル基からなる群より選択される少なくとも一種の含フッ素基を有する含フッ素ヒドロシランと、ヒドロシリル化反応触媒とを含有する、押出成形品の製造方法に関する。
【0010】
一態様において、上記第一の液状材料及び上記第二の液状材料は、それぞれ補強性フィラーを更に含有していてよい。
【0011】
他の一態様において、上記含フッ素アミド化合物は、式(1)で表される化合物を含んでいてよい。
【化1】

[式中、Rは、2価のパーフルオロポリエーテル構造を示し、Xはアミド構造を含む2価の基を示し、Rはアルケニル基を示す。複数存在するX及びRはそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。]
【0012】
更に他の一態様では、上記第一の液状材料において、上記含フッ素アミド化合物が有するアルケニル基の総数に対する上記含フッ素ヒドロシランが有するヒドロシリル基の総数の比が、0.5〜2.0であってよい。
【0013】
更に他の一態様では、上記第二の液状材料において、上記含フッ素アミド化合物が有するアルケニル基の総数に対する上記含フッ素ヒドロシランが有するヒドロシリル基の総数の比が、0.5〜2.0であってよい。
【0014】
本発明の他の一側面は、第一の液状材料と、第二の液状材料を動的架橋して得られる動的架橋物との混合物であって、上記第一の液状材料及び上記第二の液状材料が、それぞれ、1分子中に少なくとも2つのアルケニル基を有し、且つ、パーフルオロポリエーテル構造及びアミド構造を有する含フッ素アミド化合物と、1分子中に少なくとも2つのヒドロシリル基を有し、且つ、パーフルオロアルキル基及びパーフルオロアルカンジイル基からなる群より選択される少なくとも一種の含フッ素基を有する含フッ素ヒドロシランと、ヒドロシリル化反応触媒とを含有する、押出成形用成形原料に関する。
【0015】
本発明の更に他の一側面は、第一の液状材料と、第二の液状材料を動的架橋して得られる動的架橋物とを混合して、押出成形用成形原料を得る工程を備え、上記第一の液状材料及び上記第二の液状材料が、それぞれ、1分子中に少なくとも2つのアルケニル基を有し、且つ、パーフルオロポリエーテル構造及びアミド構造を有する含フッ素アミド化合物と、1分子中に少なくとも2つのヒドロシリル基を有し、且つ、パーフルオロアルキル基及びパーフルオロアルカンジイル基からなる群より選択される少なくとも一種の含フッ素基を有する含フッ素ヒドロシランと、ヒドロシリル化反応触媒とを含有する、押出成形用成形原料の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、含フッ素液状材料を原料とした成形品を押出成形によって製造することが可能な、押出成形品の製造方法が提供される。また、本発明によれば、含フッ素液状材料を用いて押出成形可能に調製された押出成形用成形原料、及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)は、実施例1の押出成形品の倍率20倍での観測結果を示す図であり、(b)は、実施例1の押出成形品の倍率100倍での観測結果を示す図であり、(c)は、実施例2の押出成形品の倍率20倍での観測結果を示す図であり、(d)は、実施例2の押出成形品の倍率100倍での観測結果を示す図であり、(e)は、実施例3の押出成形品の倍率20倍での観測結果を示す図であり、(f)は、実施例3の押出成形品の倍率100倍での観測結果を示す図である。
図2】(a)は、実施例4の押出成形品の倍率20倍での観測結果を示す図であり、(b)は、実施例4の押出成形品の倍率100倍での観測結果を示す図であり、(c)は、実施例5の押出成形品の倍率20倍での観測結果を示す図であり、(d)は、実施例5の押出成形品の倍率100倍での観測結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は理解を容易にするため一部を誇張して描いており、寸法比率等は図面に記載のものに限定されるものではない。
【0019】
本実施形態に係る押出成形品の製造方法は、成形原料を押出成形して押出成形品を得る工程を備えており、当該製造方法において、成形原料は、第一の液状材料と、第二の液状材料を動的架橋して得られる動的架橋物との混合物である。
【0020】
また、第一の液状材料及び第二の液状材料は、それぞれ、1分子中に少なくとも2つのアルケニル基を有し、且つ、パーフルオロポリエーテル構造及びアミド構造を有する含フッ素アミド化合物と、1分子中に少なくとも2つのヒドロシリル基を有し、且つ、パーフルオロアルキル基及びパーフルオロアルカンジイル基からなる群より選択される少なくとも一種の含フッ素基を有する含フッ素ヒドロシランと、ヒドロシリル化反応触媒とを含有する含フッ素液状材料である。
【0021】
本実施形態に係る製造方法では、単独での押出成形が困難な第一の液状材料に、第二の液状材料の動的架橋物を混合することで、押出成形用成形原料を得ている。このため本実施形態に係る製造方法では、単独では押出成形が困難な第一の液状材料を用いて、押出成形品を得ることができる。
【0022】
また、本実施形態では、第一の液状材料及び第二の液状材料は、いずれも含フッ素アミド化合物、含フッ素ヒドロシラン及びヒドロシリル化反応触媒を含有する含フッ素液状材料である。このため、本実施形態によれば、第一の液状材料を単独で硬化した場合と類似の組成を有する成形品を、押出成形によって効率良く製造することができる。
【0023】
第一の液状材料及び第二の液状材料は、同じ組成の液状材料であってよく、異なる組成の液状材料であってもよい。
【0024】
第一の液状材料の23℃における粘度は、1500Pa・s未満であってよく、500Pa・s以下であってもよく、100Pa・s以下であってもよい。このような第一の液状材料は単独での押出成形が困難であるため、上述の効果がより顕著に奏される。また、第一の液状材料を低粘度化することで、成形品の架橋密度が向上し、成形品の引っ張り強度等の機械強度が一層向上する、成形品が低硬度化し、柔軟性のある成形品が得られる等の効果が得られる。なお、例えば、第一の液状材料を低粘度化するために、第一の液状材料に含まれる化合物の分子量を小さくすると、第一の液状材料中の架橋基密度が高くなって、成形品の架橋密度が高くなる傾向がある。また、第一の液状材料を低粘度化するために後述の補強性フィラーの配合量を少なくすると、低硬度物性が得やすくなる傾向がある。第一の液状材料の23℃における粘度の下限値は特に制限されないが、例えば0.1Pa・s以上であってよく、1Pa・s以上であってよい。
【0025】
本明細書中、23℃における粘度は、JIS K 7117に準拠して、ブルックフィールド形回転粘度計により測定される見かけ粘度の値を示す。
【0026】
第一の液状材料は、含フッ素アミド化合物、含フッ素ヒドロシラン及びヒドロシリル化反応触媒を含有する硬化可能な材料である。第一の液状材料は、例えば、熱硬化性材料であってよい。
【0027】
含フッ素アミド化合物は、1分子中に少なくとも2つのアルケニル基を有し、且つ、パーフルオロポリエーテル構造及びアミド構造を有する化合物である。
【0028】
含フッ素アミド化合物が有するアルケニル基は、例えば、ビニル基、アリル基等であってよい。含フッ素アミド化合物が有するアルケニル基の数は、2以上であれば特に限定されないが、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜4、更に好ましくは2である。
【0029】
含フッ素アミド化合物が有するパーフルオロポリエーテル構造は、例えば、下記式(1−A)で表される構造を有していてよい。
【0030】
【化2】
【0031】
式(1−A)中、Rはパーフルオロアルカンジイル基を示し、nは2以上の整数を示す。複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0032】
で表されるパーフルオロアルカンジイル基は、C2mで表される基(mは2以上の整数)であってよく、直鎖状でも分岐状であってもよい。パーフルオロアルカンジイル基の炭素数(すなわち、m)は、例えば1〜10であってよく、好ましくは2〜6、より好ましくは2〜4、更に好ましくは2〜3である。
【0033】
nは2以上であればよく、例えば10以上であってよく、好ましくは40以上、より好ましくは70以上である。また、nは、例えば300以下であってよく、好ましくは200以下、より好ましくは150以下である。
【0034】
パーフルオロポリエーテル構造としては、例えば、下記式(1−A−1)で表される構造が挙げられる。
【0035】
【化3】
【0036】
式(1−A−1)中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立にパーフルオロアルカンジイル基を示し、n及びnはそれぞれ独立に2以上の整数を示す。複数存在するR11及びR12はそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
【0037】
11の炭素数は、例えば1〜10であってよく、好ましくは2〜6、より好ましくは2〜4、更に好ましくは2〜3である。R11は、−CFCF−及び−CFCF(CF)−からなる群より選択される基であることが特に好ましい。
【0038】
12の炭素数は、例えば1〜10であってよく、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3、更に好ましくは1〜2である。R12は、−CF−及び−CF(CF)−からなる群より選択される基であることが特に好ましい。
【0039】
13の炭素数は、例えば1〜10であってよい。一態様において、R13は、R11と同じ基を示していてよい。また、他の一態様において、R12は、炭素数1〜10の直鎖のパーフルオロアルカンジイル基であってよい。
【0040】
式(1−A−1)で表される構造において、n+nは、例えば10以上であってよく、好ましくは40以上、より好ましくは70以上である。また、n+nは、例えば300以下であってよく、好ましくは200以下、より好ましくは150以下である。
【0041】
含フッ素アミド化合物においては、アルケニル基及びパーフルオロポリエーテル構造が、アミド構造を含む2価の基を介して結合されていてよい。アミド構造を有する2価の基は、例えば、下記式(1−B)で表される構造を有していてよい。
【0042】
【化4】
【0043】
式(1−B)中、Yは単結合又は2価の基を示し、Rは水素原子又は1価の基を示す。
【0044】
は、例えば、アルカンジイル基、−Si(CH−で表される基、又は、下記式(i)で表される基であってよい。
【0045】
【化5】
【0046】
におけるアルカンジイル基の炭素数は、例えば1〜10であってよく、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3である。
【0047】
の1価の基は、例えば、1価の炭化水素基又はそのフッ素置換体であってよい。なお、フッ素置換体とは、1価の炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基を示す。Rにおける1価の炭化水素基は、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10のアルキル基)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜10のアリール基)であってよい。
【0048】
アミド構造を含む2価の基が式(1−B)で表される構造であるとき、アルケニル基はY側の結合手を介して結合することが好ましく、パーフルオロポリエーテル構造はC(=O)側の結合手を介して結合することが好ましい。
【0049】
含フッ素アミド化合物としては、例えば、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
【0050】
【化6】
【0051】
式(1)中、Rは、2価のパーフルオロポリエーテル構造を示し、Xはアミド構造を含む2価の基を示し、Rはアルケニル基を示す。複数存在するX及びRはそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
【0052】
式(1)中、2つのXは同一の基であることが好ましい。また、2つのRは同一の基であることが好ましい。
【0053】
含フッ素アミド化合物の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
【0054】
【化7】
【0055】
上記式中、RA1、RA2及びRA3はそれぞれ独立に下記式(1−A−2)で表される基を示す。
【0056】
【化8】
【0057】
式(1−A−2)中、p及びqはそれぞれ独立に2以上の整数を示す。p+qは、例えば20以上であってよく、好ましくは40以上、より好ましくは70以上である。また、p+qは、例えば300以下であってよく、好ましくは200以下、より好ましくは150以下である。
【0058】
含フッ素ヒドロシランは、1分子中に少なくとも2つのヒドロシリル基を有し、且つ、パーフルオロアルキル基及びパーフルオロアルカンジイル基からなる群より選択される少なくとも一種の含フッ素基を有する。
【0059】
含フッ素ヒドロシランが有するヒドロシリル基の数は、2以上であれば特に限定されないが、例えば2〜50、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6である。
【0060】
ヒドロシリル基は、例えば、−OSi(RHで表される基、又は、−OSiH(R)O−で表される基であってもよい。Rは、1価の炭化水素基を示し、好ましくはアルキル基又はアリール基、より好ましくはメチル基又はフェニル基、特に好ましくはメチル基である。
【0061】
含フッ素ヒドロシランは、ヒドロシリル基を分子鎖末端又は側鎖に有していてよく、ヒドロシリル基を含む環状構造を有していてもよい。
【0062】
含フッ素ヒドロシランは、含フッ素基として、例えば、パーフルオロオキシアルキル基及びパーフルオロオキシアルキレン基からなる群より選択される基を有する化合物であってよい。
【0063】
含フッ素ヒドロシランの具体例としては、例えば、下記式(2−1)、(2−2)、(2−3)又は(2−4)で表される化合物が挙げられる。
【0064】
【化9】
【0065】
第一の液状材料における含フッ素ヒドロシランの含有量は、含フッ素アミド化合物が有するアルケニル基の総数に対する含フッ素ヒドロシランが有するヒドロシリル基の総数の比が0.5〜2.0となる量であることが好ましい。
【0066】
ヒドロシリル化反応触媒は、含フッ素アミド化合物が有するアルケニル基と含フッ素ヒドロシランが有するヒドロシリル基との反応を活性化して、含フッ素アミド化合物及び含フッ素ヒドロシランを架橋できる触媒であればよい。
【0067】
ヒドロシリル化反応触媒としては、公知の種々の触媒を使用できる。ヒドロシリル化反応触媒としては、例えば白金族化合物が挙げられる。白金族化合物としては、例えば、塩化白金酸、及び、塩化白金酸とオレフィンとの錯体等が例示できる。また、ヒドロシリル化反応触媒は、ロジウム触媒、ルテニウム触媒、イリジウム触媒、パラジウム触媒等であってもよい。
【0068】
ヒドロシリル化反応触媒の量は、例えば、含フッ素アミド化合物の総量基準で0.1〜1000質量ppmであってよく、1〜500質量ppmであることが好ましい。
【0069】
第一の液状材料は、補強性フィラーを更に含有していてよい。補強性フィラーとしては、例えば、ヒュームドシリカ、湿式シリカ、カーボンブラック、金属酸化物(例えば、酸化鉄、酸化チタン等)、金属炭酸塩(例えば炭酸カルシウム等)等が挙げられ、これらを表面処理剤で表面処理したものであってもよい。補強性フィラーとしては、押出成形品の機械的強度がより向上する観点から、ヒュームドシリカが特に好ましい。
【0070】
補強性フィラーの量は、例えば、含フッ素アミド化合物の総量100質量部に対して、1〜200質量部であってよい。
【0071】
第一の液状材料は、上記以外の成分を更に含有していてよく、例えば反応制御剤、補強性ウィスカー、カーボン繊維等を更に含有していてもよい。
【0072】
第二の液状材料は、含フッ素アミド化合物、含フッ素ヒドロシラン及びヒドロシリル化反応触媒を含有し、動的架橋によって動的架橋物を形成可能な材料である。第二の液状材料は、例えば、熱硬化性材料であってよい。
【0073】
第二の液状材料の23℃における粘度は、1500Pa・s未満であってよく、500Pa・s以下であってもよく、100Pa・s以下であってもよい。また、第二の液状材料の23℃における粘度の下限値は特に制限されないが、例えば0.1Pa・s以上であってよく、1Pa・s以上であってよい。
【0074】
第二の液状材料における含フッ素アミド化合物、含フッ素ヒドロシラン及びヒドロシリル化反応触媒としては、第一の液状材料における含フッ素アミド化合物、含フッ素ヒドロシラン及びヒドロシリル化反応触媒と同じものが例示できる。
【0075】
第二の液状材料は、補強性フィラーを更に含有していてよい。第二の液状材料における補強性フィラーとしては、第一の液状材料における補強性フィラーと同じものが例示できる。
【0076】
第二の液状材料は、上記以外の成分を更に含有していてよく、例えば反応制御剤、補強性ウィスカー、カーボン繊維等を更に含有していてもよい。
【0077】
第二の液状材料は、第一の液状材料と同じ組成であっても異なる組成であってもよく、原料調達が容易となる観点からは、第一の液状材料と同じ組成であることが好ましい。
【0078】
第一の液状材料及び第二の液状材料としては、市販品を用いてもよく、例えば、信越化学工業株式会社製のSIFELシリーズを好適に用いることができる。
【0079】
本実施形態では、第二の液状材料を動的架橋して、動的架橋物を形成している。動的架橋は、例えば、連続式又はバッチ式の混練機を用いて、スクリューやロータを回転させながら架橋反応させることによって行うことができる。
【0080】
動的架橋の架橋温度は、第二の液状材料の組成に応じて適宜調整することができ、例えば、10〜180℃であってよく、60〜150℃であることが好ましい。
【0081】
動的架橋時の混練条件は特に限定されないが、例えば、せん断速度は、50(1/sec)以上であることが好ましく、150(1/sec)以上であることがより好ましい。また、動的架橋時のせん断速度は、7000(1/sec)以下であってよく、4000(1/sec)以下であってもよい。
【0082】
第二の液状材料から形成される動的架橋物は、流動性が低くなっており、例えば粘土状であってよい。
【0083】
動的架橋物は、例えば、機械的なせん断力を加えることで素練りし、分散性を向上させてから第一の液状材料と混合してよい。これにより、成形原料の成形性が向上し、外観及び機械的強度に優れる押出成形品が得られる。動的架橋物は、例えば、冷却してから第一の液状材料と混合してよい。これにより、混合時の架橋の進行が抑制され、成形原料の粘度が安定して押出成形性がより向上する傾向がある。
【0084】
本実施形態に係る製造方法において、成形原料は、第一の液状材料と動的架橋物との混合物である。本実施形態に係る製造方法では、動的架橋物を混合することで、第一の液状材料より粘度の高い成形原料が得られ、押出成形法による成形が可能となっている。
【0085】
成形原料の23℃における粘度は、例えば、2700Pa・s以上であり、好ましくは3000Pa・s以上であり、より好ましくは3500Pa・s以上である。また、成形原料の粘度の上限は特に限定されず、ブルックフィールド形回転粘度計の測定限界である5000Pa・sを超えていてよい。当該測定限界を超える成形原料は、例えば、東洋精機製キャピログラフ1Dを使用し、温度23℃、ダイス穴径φ1mm、円筒流路長10mm、6.08×10(1/sec)の条件で測定される粘度が、400Pa・s以下であってよく、200Pa・s以下であってもよい。
【0086】
成形原料は、第一の液状材料に動的架橋物を配合したものであってよく、動的架橋物に第一の液状材料を配合したものであってもよく、第一の液状材料の各成分と動的架橋物とを混合して調製されたものであってもよい。
【0087】
成形原料に配合される動的架橋物の量は、所望の粘度に応じて適宜調整できる。動的架橋物の配合量は、第一の液状材料100質量部に対して、例えば10質量部以上であってよく、30質量部以上であることが好ましく、50質量部以上であることがより好ましい。また、動的架橋物の配合量は、第一の液状材料100質量部に対して、例えば900質量部以下であってよく、400質量部以下であることが好ましい。
【0088】
成形原料の押出成形は、公知の種々の押出成形機を用いて行うことができる。押出成形機としては、例えば単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機等が挙げられる。
【0089】
押出成形の条件は、成形原料の組成、成形品の形態等に応じて適宜調整することができる。例えば、押出成形温度は−20〜180℃であってよい。
【0090】
本実施形態に係る製造方法においては、事前に調製した成形原料を用いて押出成形を行ってよく、成形原料の調製と押出成形とを1つの押出機で連続して行ってもよい。
【0091】
また、本実施形態に係る製造方法においては、事前に調製した動的架橋物を用いて成形原料を調製してよく、動的架橋物の調製と成形原料の調製とを1つの押出機で連続して行ってもよく、動的架橋物の調製、成形原料の調製及び押出成形を1つの押出機で連続して行ってもよい。また、タンデムの様に2つ以上の押出機を接続して、動的架橋物の調製、成形原料の調製及び押出成形を連続して行ってもよい。
【0092】
すなわち、本実施形態に係る製造方法は、第一の液状材料と動的架橋物とを混合して成形原料を得る混合工程を更に備えるものであってよく、第二の液状材料を動的架橋して動的架橋物を得る動的架橋工程を更に備えるものであってよい。
【0093】
混合工程は、例えば、第一の液状材料と動的架橋物とを混練する工程であってよい。混合工程における混練条件は特に限定されないが、例えば、10(1/sec)以上のせん断速度で、材料温度を60℃以下に維持しつつ混練することが好ましい。混合工程におけるせん断速度は、40(1/sec)以上であることがより好ましく、80(1/sec)以上であることが更に好ましい。また、混合工程におけるせん断速度は、3000(1/sec)以下であってよく、1500(1/sec)以下が好ましく、800(1/sec)以下がより好ましい。これにより、せん断による発熱が抑えられ、混合時の架橋の進行が抑制され、成形原料の粘度が安定化して押出成形性がより向上する。
【0094】
混合工程における材料温度は、例えば、60℃以下であることがより好ましく、50℃以下であることが更に好ましい。また、混合工程における材料温度の下限は特に限定されないが、例えば−20℃以上であってよく、0℃以上であってもよい。
【0095】
混合工程では、動的架橋物を素練りしてから、素練り後の動的架橋物と第一の液状材料とを混合してもよい。これにより、成形原料の成形性が向上し、外観及び機械的強度に優れる押出成形品が得られる。
【0096】
素練り時のせん断速度は、例えば50(1/sec)以上であることが好ましく、より好ましくは150(1/sec)以上である。また、素練り時のせん断速度は、過度な発熱による変質等を避ける観点からは、1500(1/sec)以下であってよく、好ましくは800(1/sec)以下である。
【0097】
素練り時の材料温度は、120℃以下に維持されていることが好ましく、より好ましくは100℃以下、更に好ましくは80℃以下である。これにより得られる押出成形品の外観及び機械的強度が一層向上する傾向がある。また、素練り時の材料温度の下限は特に限定されないが、例えば0℃以上であってよく、20℃以上であってもよい。
【0098】
動的架橋工程では、第二の液状材料を混練しつつ架橋することで動的架橋物を得ることができる。
【0099】
本実施形態では、第二の液状材料を動的架橋して、動的架橋物を形成している。動的架橋は、例えば、連続式又はバッチ式の混練機を用いて、スクリューやロータを回転させながら架橋反応させることによって行うことができる。
【0100】
動的架橋の架橋温度は、第二の液状材料の組成に応じて適宜調整することができ、例えば、10〜180℃であってよく、60〜150℃であることが好ましい。
【0101】
好適な一態様において、動的架橋中、材料温度の最高値は105〜135℃であってよく、110〜130℃であることがより好ましい。このように架橋温度を調整することで、外観に優れた押出成形品が得られやすくなる傾向がある。
【0102】
動的架橋時の混練条件は特に限定されないが、例えば、せん断速度は、50(1/sec)以上であることが好ましく、150(1/sec)以上であることがより好ましい。また、動的架橋時のせん断速度は、7000(1/sec)以下であってよく、4000(1/sec)以下であってもよい。
【0103】
動的架橋物は、冷却してから第一の液状材料と混合することが好ましい。冷却後の動的架橋物の温度は、80℃以下であることが好ましく、60℃以下であることがより好ましい。冷却後の動的架橋物の温度の下限は、特に限定されないが、例えば−20℃以上であってよい。
【0104】
本実施形態に係る製造方法で製造される押出成形品は、例えば、チューブ、ホース、パイプ、電線被覆部材等の管状成形品;ガスケット、窓枠用気密材、ウェザーストリップ等のパッキン類;現像ロール、定着ロール等のロール類;滑り止めシート等の防滑用材;コーナーガード等の保護部材;丸棒、角棒等の棒材;自動車窓ガラス用、建物のガラス磨き用のワーパー類;などが挙げられる。
【0105】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0106】
例えば、本発明の一側面は、上記第一の液状材料と上記動的架橋物との混合物である、押出成形用成形原料に関する。
【0107】
また、本発明の他の一側面は、上記第一の液状材料と上記動的架橋物とを混合して押出成形用成形原料を得る工程を備える、押出成形用成形原料の製造方法に関する。
【0108】
また、本発明の更に他の一側面は、上記押出成形品の製造方法により得られ、上記成形原料の硬化物からなる押出成形品に関する。
【0109】
また、本発明の更に他の一側面は、上記第一の液状材料に上記動的架橋物を配合する、液状材料の増粘方法に関する。
【実施例】
【0110】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0111】
(使用材料の説明)
液状材料として、SIFEL3505(信越化学工業株式会社製)を使用した。SIFEL3505のA材とB材とを混合することによって、含フッ素アミド化合物、含フッ素ヒドロシラン及びヒドロシリル化反応触媒を含有する液状材料が調製される。なお、調製される液状材料の粘度は、300Pa・sであった。なお、実施例において、23℃における粘度は、JIS K 7117に準拠して、ブルックフィールド形回転粘度計により測定される見かけ粘度の値を示す。
【0112】
(実施例1)
<動的架橋物の調製>
株式会社東洋精機製のラボプラストミル4C150を用いて動的架橋物を調製した。なお、このラボプラストミルは、ジャケットに取付けられたカートリッジヒータ及び冷却水配管によってジャケットの温度制御が可能となっている。
【0113】
具体的には、SIFEL3505A及びSIFEL3505Bを各26.4g計量し、初期温度80℃まで昇温されたラボプラストミルのジャケット内に2液同時に注入した。注入後、1分以内に撹拌操作を開始し、ジャケット温度を制御しつつ20分間撹拌を行って、動的架橋物を得た。なお、動的架橋中の材料温度は、ジャケット温度の制御により64〜121℃の範囲に維持され、動的架橋終了時の温度が最高温度(121℃)であった。また、動的架橋中は、ブレード回転数が130rpm(せん断速度240(1/sec))となるように撹拌条件を設定した。
【0114】
<成形原料の調製>
株式会社東洋精機製のラボプラストミル4C150を用いて成形原料を調製した。なお、このラボプラストミルは、ジャケットに取付けられたカートリッジヒータ及び冷却水配管によってジャケットの温度制御が可能となっている。
【0115】
具体的には、<動的架橋物の調製>で得られた動的架橋物26gを、ジャケット温度5℃に設定されたラボプラストミルのジャケット内に投入した。投入後、ブレード回転数ブレード回転数60rpm(せん断速度110(1/sec))で2分、その後130rpm(せん断速度240(1/sec))で3分間撹拌し、次いで30rpm(せん断速度55(1/sec))で5分間撹拌し、動的架橋物の温度を約40℃にした。次いで、SIFEL3505A及びSIFEL3505Bを各19.5g計量し、ジャケット内に2液同時に注入した。注入後、ブレード回転数60rpm(せん断速度110(1/sec))で10分間撹拌を行い、増粘された成形原料を得た。
【0116】
<押出成形品の製造>
上記成形原料を用い、サーボモータにより一定の速度で駆動するφ15mmプランジャとそれに対応するバレルで構成されるシリンジ式押出機で押出成形を行った。
【0117】
具体的には、成形原料を押出機バレル内に投入し、プランジャを0.28mm/secで駆動して、バレル内に投入した混合物を流路出口側に押し出した。成形原料は、押し出される過程で、内径φ4、外径φ8の長さ20mmの狭窄した流路を通過させられることで、チューブ状に成形された。得られた成形物を常温(10〜30℃)で3日間静置して反応を完了させ、最終的な押出成形品を得た。
【0118】
得られた押出成形品の表面を株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−5000で観測した結果を図1に示す。図1(a)は、実施例1の押出成形品の倍率20倍での観測結果を示す図であり、図1(b)は、実施例1の押出成形品の倍率100倍での観測結果を示す図である。
【0119】
(実施例2)
動的架橋物の調製に際して、ジャケット温度の制御条件を変更し、動的架橋中の材料温度を65〜127℃の範囲としたこと以外は、実施例1と同様にして押出成形品を製造した。なお、動的架橋終了時の温度が、動的架橋中の最高温度(127℃)であった。
【0120】
得られた押出成形品の表面を株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−5000で観測した結果を図1に示す。図1(c)は、実施例2の押出成形品の倍率20倍での観測結果を示す図であり、図1(d)は、実施例2の押出成形品の倍率100倍での観測結果を示す図である。
【0121】
(実施例3)
動的架橋物の調製に際して、ジャケット温度の制御条件を変更し、動的架橋中の材料温度を66〜108℃の範囲としたこと以外は、実施例1と同様にして押出成形品を製造した。なお、動的架橋中の材料温度は、動的架橋の途中で最高温度(108℃)となり、その後、材料温度は108℃未満に維持された。
【0122】
得られた押出成形品の表面を株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−5000で観測した結果を図1に示す。図1(e)は、実施例3の押出成形品の倍率20倍での観測結果を示す図であり、図1(f)は、実施例3の押出成形品の倍率100倍での観測結果を示す図である。
【0123】
(実施例4)
動的架橋物の調製に際して、ジャケット温度の制御条件を変更し、動的架橋中の材料温度を64〜135℃の範囲としたこと以外は、実施例1と同様にして押出成形品を製造した。なお、動的架橋終了時の温度が、動的架橋中の最高温度(135℃)であった。
【0124】
得られた押出成形品の表面を株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−5000で観測した結果を図2に示す。図2(a)は、実施例4の押出成形品の倍率20倍での観測結果を示す図であり、図2(b)は、実施例4の押出成形品の倍率100倍での観測結果を示す図である。
【0125】
(実施例5)
動的架橋物の調製に際して、ジャケット温度の制御条件を変更し、動的架橋中の材料温度を68〜137℃の範囲としたこと以外は、実施例1と同様にして押出成形品を製造した。なお、動的架橋終了時の温度が、動的架橋中の最高温度(137℃)であった。
【0126】
得られた押出成形品の表面を株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−5000で観測した結果を図2に示す。図2(c)は、実施例5の押出成形品の倍率20倍での観測結果を示す図であり、図2(d)は、実施例5の押出成形品の倍率100倍での観測結果を示す図である。
【0127】
実施例1〜5では、いずれもチューブ状の押出成形品を製造することができた。また、得られた押出成形品の外観は、実施例5,4,3,2,1の順に良くなり、実施例1で最も外観に優れた押出成形品が得られた。また、実施例1〜5で得られた押出成形品は、同程度の機械的強度を有していた。
図1
図2