特許第6777841号(P6777841)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6777841
(24)【登録日】2020年10月13日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】細胞傷害性T細胞の作製方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/10 20060101AFI20201019BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20201019BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20201019BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20201019BHJP
   C07K 14/725 20060101ALI20201019BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20201019BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20201019BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   C12N5/10
   C12N5/0783
   C12N15/12ZNA
   C12N15/63 Z
   C07K14/725
   A61K35/12
   A61K35/17 Z
   A61P35/00
【請求項の数】7
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-209372(P2015-209372)
(22)【出願日】2015年10月23日
(65)【公開番号】特開2017-81836(P2017-81836A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年10月19日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
(73)【特許権者】
【識別番号】305060567
【氏名又は名称】国立大学法人富山大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 周一
(72)【発明者】
【氏名】水腰 英四郎
(72)【発明者】
【氏名】中河 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】村口 篤
(72)【発明者】
【氏名】岸 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】小林 栄治
【審査官】 小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−023445(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/083074(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/011450(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
C12N 1/00− 7/08
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1で示されるα-フェトプロテイン由来ペプチドとHLA-A24抗原との複合体に対して特異的に結合するT細胞受容体タンパク質のα鎖及びβ鎖の可変領域をコードするポリヌクレオチドを患者由来のT細胞にin vitroでそれぞれ導入することを特徴とする、肝細胞癌に対する遺伝子治療のためのT細胞の作製方法であって、
α鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドが、以下:
(i)配列番号3で示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、及び
(iii)配列番号30で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチ
ら選択されるものであり、かつ
β鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドが、以下:
(v)配列番号16で示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、及び
(vii)配列番号43で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチ
ら選択されるものである、上記方法。
【請求項2】
配列番号1で示されるα-フェトプロテイン由来ペプチドとHLA-A24抗原との複合体に対して特異的に結合するT細胞受容体タンパク質を患者由来のT細胞にin vitroで導入することを特徴とする、肝細胞癌に対する治療のためのT細胞の作製方法であって、
T細胞受容体タンパク質のα鎖可変領域が、配列番号30で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、かつ
T細胞受容体タンパク質のβ鎖可変領域が、配列番号43で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである、上記方法。
【請求項3】
α鎖のCDR3を含む接合部配列が配列番号57で示されるアミノ酸配列であり、かつβ鎖のCDR3を含む接合部配列が配列番号70で示されるアミノ酸配列である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
配列番号1で示されるα-フェトプロテイン由来ペプチドとHLA-A24抗原との複合体に対して特異的に結合するT細胞受容体タンパク質のα鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド及び/もしくはβ鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含むベクターであって、
α鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドが、以下:
(i)配列番号3で示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、及び
(iii)配列番号30で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチ
ら選択されるものであり、かつ
β鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドが、以下:
(v)配列番号16で示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、及び
(vii)配列番号43で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチ
ら選択されるものである、上記ベクター。
【請求項5】
請求項4記載のベクターを含むT細胞。
【請求項6】
in vitroで導入されたT細胞受容体タンパク質を含むT細胞であって、
T細胞受容体タンパク質のα鎖可変領域が、配列番号30で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、かつ
T細胞受容体タンパク質のβ鎖可変領域が、配列番号43で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである、上記T細胞。
【請求項7】
請求項5又は6記載のT細胞を含む、肝細胞癌治療剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肝細胞癌に対する免疫療法に関し、より具体的には、肝細胞癌に対して細胞傷害性を有する遺伝子治療のためのT細胞の作製方法、及び該T細胞を含む肝細胞癌治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、肝細胞癌(HCC)に罹患する患者数が増大してきている。HCCは、現在、全世界での癌による死亡原因として3番目に多いものとなっている。ソラフェニブ等の治療薬の使用及び初期の診断によって、HCCとの診断後の生存期間の延長が可能になってきているが、HCCが進行した患者では、病変が複数あり、血管浸潤、転移、あるいは重篤な肝不全等のために適用できる治療方法が限られ、その生存率は満足できるものではない。更に、ソラフェニブの使用後に利用できる第二次化学療法は未だ確立されていない。近年の第III相臨床試験では、進行したHCCのための分子標的薬が検討されているが、優れた薬剤は得られていない。従って、進行型HCCを克服するための新たな治療方法が求められている。
【0003】
癌免疫療法、例えばペプチドワクチン及びT細胞受容体(T cell receptor、TCR)遺伝子編集療法は、既存の治療による治癒が望めない患者に対して期待し得る新たな治療方法である。近年、gp100由来ペプチドのワクチン接種によって、進行した黒色腫の患者の全生存率を上げることができたことが報告されている。
【0004】
TCR遺伝子編集療法は、ある個体において有効であった免疫反応を別の個体で利用することを可能とする治療法である。上記の方法は、腫瘍関連抗原(tumor-associated antigens、TAA)特異的TCRを用いて、進行した黒色腫の患者の治療に用いられ(非特許文献1及び2)、現在では種々の患者の臨床試験にも適用され(非特許文献3)、良好な臨床結果が期待されるものとなっている。しかしながら、HCC患者のためのTCR遺伝子改変T細胞の養子移植の成功は報告されていない。
【0005】
本発明者等は先に、肝細胞癌患者に対してワクチンとして投与し得るHLA-A24拘束性の腫瘍抗原ペプチドを同定した(特許文献1)。同定されたペプチドにおいて、ワクチンとして非常に有効なものが見出され、現在臨床試験が進行中である(UMIN000003514)。
【0006】
一方で、本発明者等は、抗原特異的T細胞治療に用いるために好適なTCR遺伝子のスクリーニングのために、リンパ球から個々のTCRを迅速にクローニングして発現させる技術を見出しており、上記のペプチドをワクチンとして投与された患者由来のリンパ球への応用についても報告している(非特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開WO2005/083074号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Morgan RA等、Science 2006, Vol.314, pp.126-129
【非特許文献2】Johnson LA等、Blood 2009, Vol.114, No.3, pp.535-546
【非特許文献3】Linnemann C等、J Invest Dermatol 2011, Vol.131, pp.1806-1816
【非特許文献4】Kobayashi E等、Nature Medicine, 2013, Vol.19, No.11, pp.1542-1546
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の通り、HCC患者のためのTCR遺伝子改変T細胞の養子移植の成功は報告されていない。本発明者等は、HCCに対する治療法の一つとして、TCR遺伝子治療に好適な遺伝子を見出すことを検討した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、α-フェトプロテイン(α-fetoprotein、AFP)由来ペプチドワクチンの第I相臨床試験に参加したHCC患者、並びに健常ドナー(HD)から、本発明者等のグループが開発した迅速なTCRクローニングシステム(Kobayashi E等、Nat Med 2013;19:1542-1546)を利用して、末梢血中のT細胞からAFP特異的TCR遺伝子を取得し、AFP特異的TCR遺伝子導入T細胞を作成することでその機能を評価、比較した。このTCR遺伝子導入細胞はα-フェトプロテイン蛋白とHLA-A24を共に発現する細胞に対して細胞傷害活性を有した。本発明は、この知見に基づいて得られたものである。
【0011】
すなわち、本発明は以下を提供するものである。
1.配列番号1で示されるα-フェトプロテイン由来ペプチドとHLA-A24抗原との複合体に対して特異的に結合するT細胞受容体タンパク質のα鎖及びβ鎖の可変領域をコードするポリヌクレオチド又はこれと相補的なポリヌクレオチドを患者由来のT細胞にin vitroでそれぞれ導入することを特徴とする、肝細胞癌に対する遺伝子治療のためのT細胞の作製方法であって、
α鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドが、以下の(i)〜(iv):
(i)配列番号3〜11で示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、
(ii)配列番号3〜11で示されるヌクレオチド配列に対して90%以上の配列同一性を有するポリヌクレオチド、
(iii)配列番号30〜38で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及び
(iv)配列番号30〜38で示されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
から選択されるものであり、かつ
β鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドが、以下の(v)〜(viii):
(v)配列番号16〜25で示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、
(vi)配列番号16〜25で示されるヌクレオチド配列に対して90%以上の配列同一性を有するポリヌクレオチド、
(vii)配列番号43〜52で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及び
(viii)配列番号43〜52で示されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
から選択されるものである、上記方法。
2.配列番号1で示されるα-フェトプロテイン由来ペプチドとHLA-A24抗原との複合体に対して特異的に結合するT細胞受容体タンパク質を患者由来のT細胞にin vitroで導入することを特徴とする、肝細胞癌に対する治療のためのT細胞の作製方法であって、
T細胞受容体タンパク質のα鎖可変領域が、以下の(i)〜(ii):
(i)配列番号30〜38で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、及び
(ii)配列番号30〜38で示されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド
から選択されるものであり、かつ
T細胞受容体タンパク質のβ鎖可変領域が、以下の(iii)〜(iv):
(iii)配列番号43〜52で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、及び
(iv)配列番号43〜52で示されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド
から選択されるものである、上記方法。
3.α鎖のCDR3を含む接合部配列が、
(i)配列番号57〜65で示されるアミノ酸配列、及び
(ii)配列番号57〜65で示されるアミノ酸配列において1個もしくは2個のアミノ酸が欠失、置換又は挿入されてなるアミノ酸配列
から選択される配列であり、かつ
β鎖のCDR3を含む接合部配列が、
(iii)配列番号70〜79で示されるアミノ酸配列、及び
(iv)配列番号70〜79で示されるアミノ酸配列において1個もしくは2個のアミノ酸が欠失、置換又は挿入されてなるアミノ酸配列
から選択される配列である、上記1又は2記載の方法。
4.α鎖のCDR3を含む接合部配列とβ鎖のCDR3を含む接合部配列が以下の組合せ:配列番号57及び配列番号70、配列番号58及び配列番号71、配列番号59及び配列番号72、配列番号60及び配列番号73、配列番号60及び配列番号74、配列番号61及び配列番号75、配列番号62及び配列番号76、配列番号63及び配列番号77、配列番号64及び配列番号78、配列番号65及び配列番号79から選択される、上記1〜3のいずれか記載の方法。
5.α鎖可変領域とβ鎖可変領域のアミノ酸配列が以下の組み合わせ:配列番号30及び配列番号43、配列番号31及び配列番号44、配列番号32及び配列番号45、配列番号33及び配列番号46、配列番号33及び配列番号47、配列番号34及び配列番号48、配列番号35及び配列番号49、配列番号36及び配列番号50、配列番号37及び配列番号51、配列番号38及び配列番号52から選択される、上記1〜4のいずれか記載の方法。
6.配列番号1で示されるα-フェトプロテイン由来ペプチドとHLA-A24抗原との複合体に対して特異的に結合するT細胞受容体タンパク質のα鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド及び/もしくはβ鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド又はこれらと相補的なポリヌクレオチドを含むベクターであって、
α鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドが、以下の(i)〜(iv):
(i)配列番号3〜11で示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、
(ii)配列番号3〜11で示されるヌクレオチド配列に対して90%以上の配列同一性を有するポリヌクレオチド、
(iii)配列番号30〜38で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及び
(iv)配列番号30〜38で示されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
から選択されるものであり、かつ
β鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドが、以下の(v)〜(viii):
(v)配列番号16〜25で示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、
(vi)配列番号16〜25で示されるヌクレオチド配列に対して90%以上の配列同一性を有するポリヌクレオチド、
(vii)配列番号43〜52で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及び
(viii)配列番号43〜52で示されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
から選択されるものである、上記ベクター。
7.上記6記載のベクターを含むT細胞。
8.in vitroで導入されたT細胞受容体タンパク質を含むT細胞であって、
T細胞受容体タンパク質のα鎖可変領域が、以下の(i)〜(ii):
(i)配列番号30〜38で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、及び
(ii)配列番号30〜38で示されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド
から選択されるものであり、かつ
T細胞受容体タンパク質のβ鎖可変領域が、以下の(iii)〜(iv):
(iii)配列番号43〜52で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、及び
(iv)配列番号43〜52で示されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド
から選択されるものである、上記T細胞。
9.上記7又は8記載のT細胞を含む、肝細胞癌治療剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明の方法によって得られたTCRをEC50値を用いて比較すると、ペプチドワクチン接種後に良好な臨床応答をした患者由来のTCRが他のTCRよりもより高い親和性を有する傾向があった。これらの中で、最も親和性の高いTCRは、強い細胞傷害性、高い抗原特異的IFN-γ産生能、及び標的細胞中でプロセスされた抗原に対する細胞毒性さえも示した。
【0013】
本発明により、進行した肝細胞癌患者に対し、ex vivoで増殖させた適切なT細胞を投与することで、自身では有効な免疫応答ができない患者に有効かつ強力な抗癌治療を施すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】AFP-特異的CTLの誘導及びレパートリー分析の結果を示す。AFP357ペプチド-MHCテトラマー及び抗CD8抗体による染色を行い、また死細胞は7-AADで染色して除去することにより、AFP357-特異的CD8+CTLを検出した。AFP-特異的CTLは15名の患者(Pt)中4名(Pt1〜Pt4と記載する)、10名の健常ドナー(HD)中3名(HD1〜HD3と記載する)で誘導することができた。得られたCTLをFACSAria IIセルソーターを用いて単一細胞として検出し、ソーティングした。回収したCD8+テトラマー+画分を四角で囲み、その比率を各ドナーパネルの左側に示す。各ドナーのTCRレパートリーを右側に示す。円グラフ中の同じ色はTCR対が同じであることを示すが、グラフ間で同じTCRであることを意味するものではない。nは取得したTCRクローンの数を、rはレパートリーサイズを意味する。
図2A】本発明の方法に用い得るレトロウイルス発現ベクターの例を模式的に示す。TCRα鎖可変領域及びβ鎖可変領域を、コドンを最適化したα鎖定常領域及びβ鎖定常領域のドメインにそれぞれ結合させた。TCRのα及びβ領域は、ブタのテッショウウイルス-1 P2Aコーディングセグメント(P2A)を介して連結した。このセグメントから自己切断ペプチドが翻訳される。
図2B】健常ドナーのPBMCをrIL-2及びC3/CD28ビーズで刺激し、次いで取得したTCRを導入した後に、抗-CD8抗体及びAFP357-テトラマーで染色し、フローサイトメトリーで分析した結果を示す。CD8+テトラマー+画分を四角で囲み、その比率をそれぞれ示した。陰性対照として、TCRをコードせず、GFPのみをコードするmockベクターをPBMCに導入した。
図2C】取得したTCRを導入したPBMCの細胞毒性を示す。TCRを導入したPBMCを、AFP357ペプチド、又はHIV gp160由来の陰性対照ペプチドをパルスした51Cr-標識 C1R-A24細胞と所定の比率で4時間培養した。上清をイットリウム被覆プレートにアプライし、51Crの放出をガンマカウンターで測定した。実験はそれぞれ三重に行い、データは平均±SDで示す。■はAFP357パルス標的細胞の特異的溶解を示し、●はgp160パルス標的細胞の溶解を示す。
図3A】様々な濃度のAFP357ペプチドでパルスした標的細胞に対する細胞毒性を示す。それぞれのTCR導入細胞のEC50値を点線で示す。実験はそれぞれ三重に行い、データは平均±SDで示す。
図3B】各TCR導入細胞のEC50値を比較して示す。データは平均±SDで示す。
図4】TCRを導入したPBMCによる抗原特異的なインターフェロンγ産生を示す。1×105個のPBMCを、1nM〜10μMのAFP357ペプチドの存在下で1×105個のT2-A24細胞と共に24時間共培養した。上清を回収し、インターフェロンγの濃度をELISAで測定した。A〜Dは4つの独立した実験の結果を示す。実験はそれぞれ三重に行い、データは平均±SEで示す。
図5】AFPタンパク質及びHLA-A24を発現する細胞系に対する本発明のTCR導入細胞の細胞毒性を示す。Pt1-2又はGFPを導入したPBMCを、AFPタンパク質、HLA-A24及びルシフェラーゼを発現するCIR-A24細胞と共に24時間インキュベートした。共培養後、ルシフェリン基質を用いた反応によって残存ルシフェラーゼ活性を測定することにより細胞の生存率を算出し、PBMCなしでインキュベートした対照細胞の場合と比較した。実験はそれぞれ三重に行い、データは平均±SEで示す。■はPt1-2を導入したPBMCのウェル、●はGFPを導入したPBMCのウェルの細胞生存率をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
α-フェトプロテイン(AFP、NCBI Reference Sequence: NP_001125.1)は、健康な成人ではほとんど産生されないが、肝臓癌等の腫瘍細胞では発現量が上昇する糖タンパク質であり、特に肝臓癌の腫瘍マーカーとして使用されている。
【0016】
本発明者等のグループは先に、AFP由来のペプチドで、かつ日本人で最も良くみられるHLA-A24拘束性のペプチドを複数個同定している。それらのペプチドのペプチドワクチンとしての効果を検討したところ、AFPのアミノ酸配列における357〜365位の9個のアミノ酸からなるペプチド(EYSRRHPQL(配列番号1)、本明細書においてAFP357と記載する)が非常に有効であることが見出されている。
【0017】
AFP357ペプチドを肝細胞癌に対するペプチドワクチンとして使用し、その臨床的効果を検証する中で、本発明者等は、ペプチドワクチンを投与された患者では、ワクチンを投与しない患者及び健常者と比較して、AFP357特異的な細胞傷害性Tリンパ球(Cytotoxic T lymphocyte(CTL)、本明細書において「細胞傷害性T細胞」又は単に「T細胞」と記載する)が誘導され、かつその比率が高いことを見出した。本発明者等は、誘導されたCTLを単離及び増殖させてその遺伝子配列を解析した。また、得られた遺伝子を導入することで、別の個体由来の細胞でAFP357特異的な細胞傷害性の高いT細胞が取得できることを確認した。
【0018】
すなわち、本発明は、一実施形態において、配列番号1で示されるα-フェトプロテイン由来ペプチドとHLA-A24抗原との複合体に対して特異的に結合するT細胞受容体タンパク質のα鎖及びβ鎖の可変領域をコードするポリヌクレオチド又はこれと相補的なポリヌクレオチドを患者由来のT細胞にin vitroでそれぞれ導入することを特徴とする、肝細胞癌に対する遺伝子治療のためのT細胞の作製方法を提供する。
【0019】
遺伝子の導入は、当分野で知られているいずれの方法を用いても良く、その方法に応じて、実際に導入されるポリヌクレオチドは、DNAであってもRNAであっても良い。
【0020】
当業者には理解されているように、T細胞には機能が異なるいくつかの種類があり、細胞表面上に発現した表面抗原によって分類することができる。そのうち細胞傷害性T細胞は、簡潔にはCD8+細胞であると表現され得る。また、細胞膜上に発現しているT細胞受容体(TCR)はMHC分子に結合した抗原を認識することができ、これは、TCRを構成するα鎖及びβ鎖(γ鎖及びδ鎖の場合もある)がそれぞれ、抗原-MHC複合体と特異的に結合することができる抗体に類似した可変領域を有するためであることが知られている。可変領域にはフレームワーク領域(FR1〜FR4)の間に相補性決定領域(CDR1〜CDR3)があり、このうちCDR3が抗原と結合すると考えられている。
【0021】
本発明の最大の特徴は、患者由来のT細胞表面上に、「配列番号1で示されるα-フェトプロテイン由来ペプチドとHLA-A24抗原との複合体に対して特異的に結合するT細胞受容体タンパク質」を発現させることであり、本発明の方法は、患者から取得したT細胞にin vitroで上記ポリヌクレオチドを導入し、得られた細胞を患者の体内に戻す、ex vivoの方法に関する。本発明の方法に好適に使用可能なポリヌクレオチドを以下に具体的に記載するが、いずれのポリヌクレオチドも、α鎖及びβ鎖の双方を同じT細胞に導入して、その組合せによって生じるTCRが上記の複合体に特異的に結合することを特徴とする。
【0022】
本発明の方法において、T細胞として、患者から取得した血液中の細胞から分離したT細胞を使用することができるが、より簡便には、PBMC等の血液細胞をそのまま使用しても良い。あるいはまた、PBMCを、例えば培養中に抗CD3抗体、抗CD28抗体、インターロイキン2(IL-2)等による刺激を加えるT細胞の活性化操作後にそのまま使用することもできる。
【0023】
本発明の方法における、上記α鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドは、一態様では、配列番号3〜11で示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドである。
【0024】
また、α鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドは、配列番号3〜11で示されるヌクレオチド配列に対して90%以上の配列同一性を有するポリヌクレオチドである。好ましくは、配列同一性は95%以上、より好ましくは、配列同一性は98%以上である。
【0025】
また、α鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドは、配列番号30〜38で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、又は、配列番号30〜38で示されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。好ましくは、配列同一性は95%以上、より好ましくは、配列同一性は98%以上である。
【0026】
一方、本発明の方法における、上記β鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドは、一態様では、配列番号16〜25で示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、又は、配列番号16〜25で示されるヌクレオチド配列に対して90%以上の配列同一性を有するポリヌクレオチドである。好ましくは、配列同一性は95%以上、より好ましくは、配列同一性は98%以上である。
【0027】
また、β鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドは、配列番号43〜52で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、又は、配列番号43〜52で示されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。好ましくは、配列同一性は95%以上、より好ましくは、配列同一性は98%以上である。
【0028】
ヌクレオチド配列及びアミノ酸配列の配列同一性は、当分野で通常行われるように、2以上のヌクレオチド配列又はアミノ酸配列を適切にアライメントすることで、容易に算出することができる。
【0029】
上記した通り、導入されるポリヌクレオチドは、例えばレトロウイルスベクターを使用する場合等ではRNAの形態であり得る。従って、DNA配列として示された配列番号2〜28で示されるヌクレオチド配列に相補的なRNA配列を有するポリヌクレオチドも、本発明の方法において使用し得る。
【0030】
本発明の好ましい実施形態では、α鎖のCDR3を含む接合部配列が、
(i)配列番号57〜65で示されるアミノ酸配列、及び
(ii)配列番号57〜65で示されるアミノ酸配列において1個もしくは2個のアミノ酸が欠失、置換又は挿入されてなるアミノ酸配列
から選択される配列であり、かつ
β鎖のCDR3を含む接合部配列が、
(iii)配列番号70〜79で示されるアミノ酸配列、及び
(iv)配列番号70〜79で示されるアミノ酸配列において1個もしくは2個のアミノ酸が欠失、置換又は挿入されてなるアミノ酸配列
から選択される配列である。
【0031】
更に、本発明の好ましい実施形態では、α鎖のCDR3を含む接合部配列とβ鎖のCDR3を含む接合部配列が以下の組合せ:配列番号57及び配列番号70、配列番号58及び配列番号71、配列番号59及び配列番号72、配列番号60及び配列番号73、配列番号60及び配列番号74、配列番号61及び配列番号75、配列番号62及び配列番号76、配列番号63及び配列番号77、配列番号64及び配列番号78、配列番号65及び配列番号79から選択される。
【0032】
更にまた、本発明の好ましい実施形態では、α鎖可変領域とβ鎖可変領域のアミノ酸配列が以下の組み合わせ:配列番号30及び配列番号43、配列番号31及び配列番号44、配列番号32及び配列番号45、配列番号33及び配列番号46、配列番号33及び配列番号47、配列番号34及び配列番号48、配列番号35及び配列番号49、配列番号36及び配列番号50、配列番号37及び配列番号51、配列番号38及び配列番号52から選択される。
【0033】
上記で規定されるポリヌクレオチドが導入された本発明のT細胞は、-0.5〜-3.0、好ましくは-1〜-2.5の範囲のlog10(EC50)値でAFP357ペプチドとHLA-A24を発現する標的細胞に対する特異的溶解能を有する。あるいは、本発明のT細胞は、E/T比50:1以上で内在性にアルファフェトプロテインを発現する標的細胞の20%以上の細胞を死滅させる効果を有する。
【0034】
遺伝子の導入は、当分野において通常用いられる方法を適宜利用して行うことができ、導入方法は特に限定されるものではない。例えば本発明の遺伝子をレトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス等のウイルスベクター、プラスミド、細菌ベクター等の非ウイルスベクター等のベクターに組み込んで、導入することを意図する細胞に感染させるか又は組み込むことで導入することができる。あるいはまた、エレクトロポレーション法や、トランスポゾン法等を使用して遺伝子を導入することもできる。
【0035】
複数の遺伝子を導入する場合、各遺伝子を独立したプロモーターの制御下に配置して、同一のベクター又は別個のベクターに挿入することができる。あるいはまた、各遺伝子を介在配列を介して連結し、単一のプロモーターを用いる一つの発現カセットとすることもできる。
【0036】
後者の方法において利用することができる介在配列としては、限定するものではないが、例えばIRES(Internal ribosome entry site)配列、2Aペプチド配列等が挙げられる(Szymczak et al., Expert Opin. Biol. Ther., 2005, 5: 627-638)。2Aペプチドは、ウイルス由来の20アミノ酸残基前後のペプチド配列であり、細胞内のプロテアーゼにより認識され、切断される。従って、2Aペプチドによって連結された複数の遺伝子は、細胞内で転写及び翻訳された後に切断される。
【0037】
また、上記のポリヌクレオチドからタンパク質合成系によってT細胞受容体タンパク質を合成し、患者由来のT細胞に取り込ませることによっても、該細胞表面にT細胞受容体タンパク質を発現させることができる。目的の細胞にタンパク質を導入する方法としては、例えばShimono K等, Protein Sci. 2009 Oct;18(10):2160-71. doi: 10.1002/pro.230に記載の方法等を挙げることができる。
【0038】
従って、本発明は、別の実施形態として、配列番号1で示されるα-フェトプロテイン由来ペプチドとHLA-A24抗原との複合体に対して特異的に結合するT細胞受容体タンパク質を患者由来のT細胞にin vitroで導入することを特徴とする、肝細胞癌に対する治療のためのT細胞の作製方法であって、
T細胞受容体タンパク質のα鎖可変領域が、以下の(i)〜(ii):
(i)配列番号30〜38で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、及び
(ii)配列番号30〜38で示されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド
から選択されるものであり、かつ
T細胞受容体タンパク質のβ鎖可変領域が、以下の(iii)〜(iv):
(iii)配列番号43〜52で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、及び
(iv)配列番号43〜52で示されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド
から選択されるものである、上記方法を提供する。
【0039】
本発明の方法によって作製されたT細胞は、AFP357ペプチドとHLA-A24抗原とを発現する標的細胞に対して特異的に作用することができる。AFP357ペプチドは、α-フェトプロテインを発現する肝細胞癌細胞上にMHC抗原と共に提示されるため、MHC抗原として多く見られるHLA-A24を発現する腫瘍細胞に対して特異的に細胞毒性を示すことができる。
【0040】
本発明はまた、配列番号1で示されるα-フェトプロテイン由来ペプチドとHLA-A24抗原との複合体に対して特異的に結合するT細胞受容体タンパク質のα鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド及び/又はβ鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
【0041】
TCRα鎖及びβ鎖をコードするポリヌクレオチドを導入することで、導入された細胞内で発現したα鎖及びβ鎖ポリペプチドがαβ-TCRヘテロダイマーを形成し、目的の特異性をもたらし得ることは、既に報告されている(Dembic Z. et al. (1986) Transfer of specificity by murine alpha and beta T-cell receptor genes. Nature 320:232-8)。
【0042】
本発明のベクターにおいて、
α鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドは、以下の(i)〜(iv):
(i)配列番号3〜11で示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、
(ii)配列番号3〜11で示されるヌクレオチド配列に対して90%以上の配列同一性を有するポリヌクレオチド、
(iii)配列番号30〜38で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及び
(iv)配列番号30〜38で示されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
から選択されるものであり、かつ
β鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドは、以下の(v)〜(viii):
(v)配列番号16〜25で示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、
(vi)配列番号16〜25で示されるヌクレオチド配列に対して90%以上の配列同一性を有するポリヌクレオチド、
(vii)配列番号43〜52で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及び
(viii)配列番号43〜52で示されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
から選択されるものである。
【0043】
本発明はまた、上記のベクターを含むT細胞を提供する。本発明はまた、in vitroで導入された上記で特定されるT細胞受容体タンパク質を含むT細胞を提供する。T細胞は、具体的には細胞傷害性T細胞(CTL)であり、他の細胞と分離して、あるいは他の細胞との混合形態で、例えばCTLを含むPBMCの形態とすることができる。
【0044】
本発明はまた、上記のT細胞を含む、肝細胞癌治療剤を提供する。本発明の治療剤の治療対象となる肝細胞癌は、軽度から重度のものを含み、ステージIII又はIVと診断された患者に対しても好適に使用可能である。
【0045】
上記の治療剤は、単独で使用しても良く、また肝細胞癌の治療に使用され得る他の薬剤及び治療方法と組み合わせて使用することができる。使用可能な他の薬剤及び治療方法としては、特に限定するものではないが、例えばソラフェニブ等の分子標的薬、化学療法、ラジオ波焼灼療法、手術療法、肝動脈(化学)塞栓療法、放射線療法、重粒子線療法、ラジオアイソトープ治療、肝動注化学療法、ペプチドワクチン療法、他の免疫細胞療法等が挙げられる。本発明の治療剤と、上記の他の薬剤とは、同時に投与しても、別個に投与しても良く、また同じ投与経路で投与しても、異なる投与経路で投与しても良い。
【0046】
上記の治療剤はまた、単独で、又は他の有効成分と組み合わせて、医薬組成物の形態とすることもできる。医薬組成物に含まれ得る成分としては、本発明の治療剤及び他の有効成分の他に、投与形態に応じて、当分野において通常配合される、製薬上許容される担体、緩衝剤、安定化剤等が挙げられる。担体としては、生理的食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、グルコース液及び緩衝生理食塩水が含まれるが、これらに限定されるものではない。また、塩類、糖類、糖アルコール類等を添加剤として用いることもできる。尚、本発明の治療剤及び医薬組成物は、本発明の性質上、液状で投与することが意図され、従って、有効成分であるCTLの安定性を維持できる形態とすることが必要である。
【0047】
本発明の治療剤及び医薬組成物は、局所投与又は全身投与することができ、投与形態を特に限定するものではないが、例えば経静脈投与とすることができる。あるいはまた、患部若しくは患部の近辺に注射又は注入により投与しても良い。
【0048】
本発明の治療剤及び医薬組成物の投与量及び投与頻度は、患者の体重、性別、年齢、疾患の重篤度等に応じて変動するものであり、特に限定するものではないが、例えば本発明のT細胞を有効成分として、一回の投与量あたり約1×106〜約1×1012個、好ましくは約1×108〜約1×1011個の範囲の細胞を含有するものとし、1日1回〜数回、2日毎、3日毎、1週間毎、2週間毎、毎月、2カ月毎、3カ月毎、6カ月毎に投与することが可能である。
【実施例】
【0049】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0050】
細胞系
C1R-A24(HLA-A24を発現するC1Rリンパ腫亜細胞株;熊本大学エイズ学研究センター、滝口雅文先生より供与)、T2-A24(HLA-A24を発現するT2リンパ芽球様細胞;愛知県がんセンター研究所、葛島清隆先生より供与)及びK562(ヒト慢性骨髄性白血病細胞;理化学研究所バイオリソースセンター細胞材料開発室-CELL BANK-より購入)は、10%ウシ胎児血清(BioWest S.A.S., Nuaille, France)を含有し、100μg/mLのストレプトマイシン及び100単位/mLのペニシリンを添加したRPMI-1640(Wako Pure Chemical Industries Ltd., Osaka, Japan)中に維持した。C1R-A24は500μg/mLのハイグロマイシンB含有培地中で選択した。C1R-A24-AFP-Lucは、C1R-A24にAFP cDNA及びルシフェラーゼをコードする遺伝子を組み込んだベクターをレトロウイルスによって導入して作製した。Phoenix-A(National Gene Vector Biorepository, Indianapolis, USA)及びHepG2(ヒト肝癌由来細胞株;理化学研究所バイオリソースセンター細胞材料開発室-CELL BANK-より購入)は、10%ウシ胎児血清を含有し、100μg/mLのストレプトマイシン及び100単位/mLのペニシリンを添加したDMEM(Wako Pure Chemical Industries Ltd.)中に維持した。
【0051】
[実施例1 AFP357特異的CTLの誘導及びTCRクローニング]
AFP由来ペプチドワクチン治療の第I相臨床試験(UMIN000003514)に登録したヒト白血球抗原(HLA)-A24の患者15名、及びHLA-A24の健常ドナー10名から末梢血単核細胞(PBMC)を回収した。AFP由来ペプチドとして、配列番号1のAFP357ペプチドを使用した。
【0052】
患者は全てヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染のないHCCの管理のためのAmerican Association for the Study of Liver Diseases (AASLD)ガイドラインに従ってステージIII又はIVのHCCであると診断されており、それぞれ4回以上のペプチドワクチン接種を受けていた。
【0053】
ワクチン接種のプロトコルは、以下の通りである。AFP-由来ペプチド(AFP357)を不完全Freundアジュバント(Montanide ISA-51 VG; SEPPIC, Paris, France)と共にエマルジョン化し、2週間に3回皮下に注射した。臨床応答は、Response Evaluation Criteria In Solid Tumors(RECIST)version 1.0によって評価した。全血からのPBMCの分離はFicollを用いた密度勾配遠心分離によって行った。患者からは全て、Helsinki Declarationに従って、試験に参加するための書面によるインフォームドコンセントを得ている。
【0054】
得られたPBMCをAFP357ペプチド刺激下でin vitro培養した。より具体的には、回収したPBMCを、96ウェルUプレート中で10μg/mlのAFP357ペプチド、10 ng/mlの組換えインターロイキン(rIL)-7及び100 pg/mlのrIL-12(Peprotech, Inc., Rocky Hill, NJ, USA)の存在下で培養した。3日目、10日目及び17日目に培養上清の半分を350 U/mlのrIL-2(Peprotech, Inc.)含有培地で置き換えた。7日目及び14日目に、培養上清の半分を350 U/mlのrIL-2、20μg/mlのAFP357ペプチド及びマイトマイシンC処理した自己のPBMCで置き換えた。in vitro培養の3週間後、産生された細胞傷害性リンパ球(CTL)を、Fc受容体をブロッキング(Clear Back; MBL Co., LTD)後にフィコエリスリン(PE)-コンジュゲートAFP357ペプチドMHCテトラマー(MBL Co., LTD., Aichi, Japan)で、続いてフルオレセインイソチオシアネート(FITC)-コンジュゲート抗-CD8抗体(MBL Co., LTD)及び7-AAD(Beckman Coulter, Inc., Indianapolis, IN, USA)で染色した。
【0055】
誘導された抗原特異的CTLをFACSAria II(BD Bioscience, San Diego, CA, USA)を用いて単一細胞として検出して回収し、TCRα鎖及びβ鎖のcDNAを単一の細胞から5'RACE、RT-PCRで増幅した。配列解析後にcDNAをレパートリーで分析し、hTEC10システムを用いて抗原特異性を確認した。
【0056】
その結果、AFP特異的CTLは、15名の患者中4名(Pt1〜Pt4)と、10名の健常ドナー中3名(HD1〜HD3)で誘導された。FACS解析において、検出されたCTLのCD8+テトラマー+画分の比率は、健常ドナーと比較してワクチン接種患者でより高かった。また、良好な臨床応答、すなわち血清AFPレベルの顕著な低下を示した患者では、TCRレパートリーの種類が多いという傾向が見られた(図1)。具体的には、患者Pt1から3種のTCR(Pt1-1〜Pt1-3)、患者Pt2から4種のTCR(Pt2-1〜Pt2-4)、患者Pt3から2種のTCR(Pt3-1〜Pt3-2)、患者Pt4から1種のTCR(Pt4-1)が取得され、健常ドナーHD1から1種のTCR(HD1-1)、健常ドナーHD2から2種のTCR(HD2-1〜HD2-2)、健常ドナーHD3から1種のTCR(HD3-1)が取得された。本明細書及び図面においては、これらの表記を便宜的に使用し、場合によってはTCR導入細胞についてもTCRと同じ表記を使用することがある。
【0057】
得られた14種類のAFP357特異的TCRのα鎖及びβ鎖の配列解析から、これらのTCRは互いに異なるものであることが判明した。表1に、取得したTCRのα鎖及びβ鎖のcDNA配列を示すそれぞれの配列番号を、表2に、取得したTCRのα鎖可変領域(V-J領域)の配列と、そのCDR3を含む接合部配列の配列番号等を、表3に、取得したTCRのβ鎖可変領域(V-D-J領域)の配列と、そのCDR3を含む接合部配列の配列番号等を示す。尚、レパートリーの解析はデータベースImmunogeneticsのwebsite(http://www.imgt.org/)で行った。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
表1に示すように、得られたTCRのα鎖及びβ鎖の可変領域配列には、同一の変異型に分類されたものが含まれている。従って、これらの配列の同一性又は類似性と効果に相関性があるか否かを検討した。得られた知見の一部を以下に記載する。
【0062】
Pt2-2とPt2-3は同じ患者(Pt2)由来のTCRである。図1に示すように、Pt2由来のAFP357-MHCテトラマー結合性のTCRのほとんどがPt2-2及びPt2-3であり、その比率はほぼ同じであった。これらのα鎖のCDR3を含む接合部の配列は同一であり(配列番号60)、かつα鎖可変領域全体の配列も同一であった(配列番号33)。β鎖のCDR3を含む接合部の配列を比較すると、13個のアミノ酸中での相違は2個のアミノ酸であった(配列番号73及び74、配列同一性約85%)。しかしながら、β鎖可変領域全体で比較すると、いずれも132個のアミノ酸中、38個のアミノ酸が相違しており(配列番号46及び47、配列同一性約71%)、CDR3領域の配列の重要性が確認された。Pt2-2及びPt2-3をそれぞれ導入したPBMCは、後の実施例で示すように、標的細胞に対する特異的溶解能及びEC50値もほぼ同様であった。
【0063】
Pt3-1とPt3-2は同じ患者(Pt3)由来のTCRである。図1に示すように、Pt3ではAFP357-MHCテトラマー結合性のTCRとしてPt3-1及びPt3-2のみが得られており、その比率はほぼ同じであった。これらのα鎖のCDR3を含む接合部の配列は16個のアミノ酸中で2個のアミノ酸が相違するのみであった(配列番号62及び63、配列同一性87.5%)。α鎖可変領域全体で比較しても、いずれも134個のアミノ酸中で相違はこの2個のアミノ酸のみであった(配列番号35及び36、配列同一性約98.5%)。β鎖のCDR3を含む接合部の配列を比較すると、13個のアミノ酸中での相違は1個のアミノ酸であった(配列番号76及び77、配列同一性約92%)。β鎖可変領域全体で比較すると、いずれも137個のアミノ酸中、CDR3領域のアミノ酸と合わせてわずかに2個のアミノ酸が相違するのみであった(配列番号49及び50、配列同一性約98.5%)。Pt3-1及びPt3-2をそれぞれ導入したPBMCは、後の実施例で示すように、標的細胞に対する特異的溶解能及びEC50値もほぼ同様であった。
【0064】
Pt2-2とPt3-1は異なる患者(Pt2及びPt3)由来のTCRであるが、これらのα鎖のCDR3を含む接合部の配列は16個のアミノ酸中で1個のアミノ酸が相違するのみであった(配列番号60及び62、配列同一性約94%)。一方、これらのβ鎖のCDR3を含む接合部の配列は13個のアミノ酸中1個のアミノ酸が相違するのみであった(配列番号73及び76、配列同一性約92%)。β鎖可変領域全体で比較すると、それぞれ132個及び135個のアミノ酸中、それぞれ47個及び50個のアミノ酸が相違していた(配列番号46及び49、配列同一性約64%及び約63%)。Pt2-2及びPt3-1をそれぞれ導入したPBMCは、後の実施例で示すように、EC50値には差があるものの、いずれも標的細胞に対する特異的溶解能を有していた。
【0065】
すなわち、異なる個体由来のTCRであっても、AFP357-MHCテトラマーに対する特異的結合によってスクリーニングして取得されたTCR間で、非常に高い配列同一性を有するものが見出された。より具体的には、α鎖及びβ鎖のそれぞれの可変領域において90%以上の配列同一性を有する場合、標的細胞に対する同程度の細胞傷害活性が認められた。可変領域全体の配列同一性が90%未満であっても、CDR3領域の配列同一性が高い場合、特に互いの相違が2個以下のアミノ酸の相違である場合には同様の効果を有することが見出された。
【0066】
[実施例2 末梢血管単核細胞へのTCR形質導入]
PBMCへの形質導入のために、TCRα鎖及びTCRβ鎖可変領域をコードするcDNA(配列番号2〜28)を、同じTCR由来の配列の組合せで定常領域をコードするcDNA(ヒトPBMCよりクローニングして取得)と共にウイルスのP2A配列を介して連結してTCR発現ベクター(図2A)を構築し(Leisegang M等、J. Mol. Med. 2008, July, 86(7), p.855)、次いでこれをpMXs-IRES-GFPベクター(コスモ・バイオ株式会社)中にクローニングし、Phoenix-Aレトロウイルスパッケージング細胞系(National Gene Vector Biorepository, Indianapolis, USA)にトランスフェクトした。尚、各TCRの定常領域のコドンは最適化した。得られたウイルス上清をろ過し、50μg/mlのRetroNectin(Takara Bio Inc., Shiga, Japan)をコートしたプレートに入れ、遠心分離した。
【0067】
健常ドナーからのPBMCをCD3/CD28ビーズ及び30 U/mlのrIL-2(Peprotech, Inc.)で2日間in vitro刺激し、プレートに加え、レトロウイルスを感染させることで、取得したTCRをコードするポリヌクレオチドをRNAとして導入した。レトロウイルスによる遺伝子導入は、導入効率が高いことを考慮して選択し、感染を2回繰り返した。得られたPBMCを、刺激開始後10〜14日のTCR形質導入PBMCとしてアッセイに使用した。形質導入効率及びTCR発現を、GFPのフローサイトメトリー分析及びテトラマー結合によって評価した(図2B)。
【0068】
まず、それぞれのTCRを導入したPBMCをフローサイトメトリーで調べた。患者由来のTCRを導入したPBMCでは8.7%から44.9%まで変動するテトラマー画分を有していた。健常ドナーのTCRを導入したPBMCでは、一部のTCRが良好な抗原特異的CTLを生じたが、他のPBMCはテトラマー画分が極めて少なかった(0.38%−1.35%)。GFPをコードするmockベクターを導入したPBMCはAFP357テトラマーでは染色されなかった(0.05%)(図2B)。
【0069】
[実施例3 51Cr放出アッセイ]
AFP357ペプチド及びHLA-A24を共発現する標的細胞に対する本発明の細胞の細胞毒性を評価した。
【0070】
5×105個のC1R-A24細胞に10μg/mlのAFP357ペプチド又はHIV gp160584ペプチド(MBL Co., LTD.)を一晩かけてパルスし、0.925 MBqの51Crで標識して2回洗浄した。3×103個の標識したC1R-A24細胞及び1.2×106個の非標識K562細胞(抗原非特異的な細胞傷害活性を抑えるために添加)を、TCRを導入したPBMCと100:1、50:1、25:1、13:1及び6.7:1の比率で4時間インキュベートした。
【0071】
上清中に放出された51Crをガンマカウンターで測定した。また、5×105個のC1R-A24細胞を、10pg〜10μgの様々な濃度のAFP357ペプチドでパルスし、0.925 MBqの51Crで標識した後に、TCRを導入したPBMCと100:1の比率でインキュベートした。51Crの放出を指標として、以下の式:
(放出(cpm)−自発的放出(cpm))/(最大放出(cpm)−自発的放出(cpm))×100
を用いて特異的溶解%を決定した。
【0072】
その結果、ペプチドをパルスした標的細胞に対し、本明細書においてPt1-2、Pt1-3、Pt2-1、Pt2-2、Pt2-3、Pt2-4、Pt3-1、Pt3-2、Pt4-1及びHD1-1と記載したTCRが抗原特異的細胞毒性を示した。総体的にはペプチドワクチン投与を行った患者で活性の高いTCRが誘導されていたが、興味深いことに、患者由来のTCRでも標的細胞に対する毒性が低いものがあり(Pt1-1)、一方健常ドナー由来のTCRでも毒性が高いものが見出された(HD1-1)。その中でも、患者Pt1由来のTCR(Pt1-2)が導入された細胞が、AFP357をパルスしたC1R-A24細胞に対して最も強い細胞毒性を示した(図2C、100:1の比率で46.2%の特異的溶解)。尚、各実験において、導入効率はGFP発現の測定により確認した(全細胞の65%超)。
【0073】
[実施例4 各TCR導入細胞におけるパルスしたAFP357ペプチドのEC50
実施例3と同様の実験系を用い、取得したTCRの相対的親和性を決定するために、8.4pM〜8.4μMのAFP357ペプチドをパルスした標的C1R-A24細胞に対する細胞毒性を評価した。それぞれの特異的溶解%の値からペプチドの50%効果濃度(EC50)を算出した。
【0074】
EC50はPrism ver. 5.0(GraphPad Software, Inc., La Jolla, CA, USA)を用いて算出した。この値は、E/T比による影響を受けず(データは示さない)、TCRの性質を示すものであり得る。取得したTCR間でEC50値を比較した(図3A及び3B)結果、最も低いEC50値を有したPt1-2のlog10(EC50)は-2.24であった。
【0075】
[実施例5 抗原特異的インターフェロンγ分泌]
それぞれのTCRを発現する細胞からの抗原特異的インターフェロンγ(IFN-γ)分泌を測定した。
【0076】
TCRを導入した1×105個のPBMCを、AFP357ペプチドの存在下で1×105個のT2-A24細胞と共に24時間共培養した。培養後、上清を回収し、IFN-γELISAアッセイキット(R&D Systems, Inc., Minneapolis, MN, USA)でアッセイした。実験はそれぞれ三重に行った。
【0077】
その結果、図4A〜Dに示すように、実施例4でEC50値が最も低かったPt1-2において最も高いIFN-γ分泌量を示した。また、標的細胞に対する毒性を示したTCR導入PBMCはいずれもIFN-γを有意に分泌した。IFN-γの分泌はTCRの性質のみでなく、TCRが導入されたPBMCの状態にも依存するため、実験間での定量的評価をすることはできなかった。
【0078】
[実施例6 AFP cDNA導入細胞に対する細胞傷害活性]
天然でプロセシングされるAFPペプチドに対する細胞傷害活性を評価した。
HLA-A24、AFPタンパク質及びルシフェラーゼを発現する1×103個のC1R-A24-AFP-Luc細胞及び5×104個のK562細胞を、TCRを導入したPBMC(Pt1-2)と0.4:1、2:1、10:1、及び50:1の比率(E/T比)で24時間共培養した。標的細胞の生存率は、ルシフェラーゼアッセイ基質 (Promega corp., Fitchburg, WI, USA)を用い、生存細胞の指標となる残存ルシフェラーゼ活性を測定することで算出した。エフェクター細胞なしで培養した標的細胞のルシフェラーゼ活性を100%とした。
【0079】
その結果、図5に示すように、TCRを導入したPBMC(Pt1-2)は、E/T比に依存して特異的な殺細胞活性を示したが、GFP mockベクターを導入したPBMCではそのような活性は示されなかった。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本出願は、癌に対するペプチドワクチンの臨床結果と、ペプチドに対して特異的に誘導されるTCRレパートリーとの相関性を調べた初めての報告である。本発明者等の方法で配列解析した後にTCR発現ベクターを構築することができ、短期間で機能的分析を行うことができた。
【0081】
HCCに対するペプチドワクチンでいくつかの臨床試験が進行中であり、養子細胞移動(ACT)、アジュバントとしてのサイトカインの利用、又は免疫阻害性分子の阻害等、HCCに対する新たな免疫療法を開発することが望まれている。本発明によって得られた遺伝子治療のためのAFP-特異的TCRは、HCC治療における有望な戦略となると考えられる。
【0082】
本発明者等の新規なTCRクローニングシステムを用い、ワクチン接種患者及び健常ドナーからのTCRの機能的評価を行うことができた。TCRレパートリーはペプチドワクチンの臨床結果と関連しているようであり、効率的なTCRは良好な臨床応答をするワクチン接種患者から得ることができる可能性がある。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]