特許第6777856号(P6777856)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6777856制振部材の製造方法及び構造体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6777856
(24)【登録日】2020年10月13日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】制振部材の製造方法及び構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/02 20060101AFI20201019BHJP
   F16F 15/04 20060101ALI20201019BHJP
   B29C 49/24 20060101ALI20201019BHJP
   B29C 49/04 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   F16F15/02 S
   F16F15/02 R
   F16F15/04 L
   B29C49/24
   B29C49/04
【請求項の数】16
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-230323(P2016-230323)
(22)【出願日】2016年11月28日
(65)【公開番号】特開2018-87587(P2018-87587A)
(43)【公開日】2018年6月7日
【審査請求日】2019年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】玉田 輝雄
(72)【発明者】
【氏名】谷 奈央人
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 正明
【審査官】 谷口 耕之助
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−013704(JP,A)
【文献】 特開2015−000547(JP,A)
【文献】 特開2010−052691(JP,A)
【文献】 特開昭60−076440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/02
B29C 49/04
B29C 49/24
F16F 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒体内に挿入される制振部材の製造方法であって、
前記制振部材は、成形体を備え、
前記成形体は、複数の基部と、前記複数の基部のうちの隣接する2つを連結するヒンジ部を備え、
前記製造方法は、
溶融樹脂を押し出してパリソンを形成して一対の分割金型間に配置する押出工程と、
前記分割金型の型締めを行って前記パリソンの成形を行って前記成形体を形成する成形工程を備え、
前記分割金型の型締めの際に前記分割金型で前記パリソンを圧縮することによって前記成形体に前記ヒンジ部が形成され
前記制振部材は、前記成形体を前記ヒンジ部で折り畳んだときに対向する面の間に弾性部材を備える、制振部材の製造方法。
【請求項2】
前記成形体は、中空部を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記弾性部材は、不織布で構成される、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記不織布は、樹脂繊維で構成される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記樹脂繊維を構成する樹脂は、前記成形体を構成する樹脂よりもピカット軟化点が高い、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記樹脂繊維は、5デニール以上の繊維である、請求項4又は請求項5の何れか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記弾性部材は、前記成形体と一体成形される、請求項1請求項6の何れか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記制振部材は、前記成形体を前記ヒンジ部で折り畳んだときに外周となる面にクッション部材を備える、請求項1〜請求項7の何れか1つに記載の方法。
【請求項9】
筒体内に挿入される制振部材の製造方法であって、
前記制振部材は、成形体を備え、
前記成形体は、複数の基部と、前記複数の基部のうちの隣接する2つを連結するヒンジ部を備え、
前記製造方法は、
溶融樹脂を押し出してパリソンを形成して一対の分割金型間に配置する押出工程と、
前記分割金型の型締めを行って前記パリソンの成形を行って前記成形体を形成する成形工程を備え、
前記分割金型の型締めの際に前記分割金型で前記パリソンを圧縮することによって前記成形体に前記ヒンジ部が形成され、
前記制振部材は、前記成形体を前記ヒンジ部で折り畳んだときに外周となる面にクッション部材を備える、制振部材の製造方法。
【請求項10】
前記クッション部材は、不織布で構成される、請求項8又は請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記クッション部材は、前記成形体と一体成形される、請求項8〜請求項10の何れか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記成形体は、少なくとも2つのヒンジ部を備える、請求項1〜請求項11の何れか1つに記載の方法。
【請求項13】
前記成形体は、3つの基部が2つのヒンジ部で連結された構成を備える、請求項1〜請求項12の何れか1つに記載の方法。
【請求項14】
前記成形体は、2つの基部が1つのヒンジ部で連結された構成を備える、請求項1〜請求項11の何れか1つに記載の方法。
【請求項15】
前記成形体は、発泡成形体である、請求項1〜請求項14の何れか1つに記載の方法。
【請求項16】
筒体内に制振部材を挿入する工程を備える、構造体の製造方法であって、
前記制振部材は、請求項1〜請求項15の何れか1つに記載の方法によって製造された制振部材であり、
前記制振部材を前記ヒンジ部で折り畳んだ状態で前記制振部材が前記筒体に挿入される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制振部材の製造方法及び構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車の車体等の構造物内に樹脂材を形成することは知られている。例えば特許文献1には、自動車の車体を構成する筒体内に環状発泡材を配設することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−90542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成によってもある程度の制振性が確保できるが、制振性をさらに高めることが望まれている。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、制振性が高められた制振部材の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、筒体内に挿入される制振部材の製造方法であって、前記制振部材は、成形体を備え、前記成形体は、複数の基部と、前記複数の基部のうちの隣接する2つを連結するヒンジ部を備え、前記製造方法は、溶融樹脂を押し出してパリソンを形成して一対の分割金型間に配置する押出工程と、前記分割金型の型締めを行って前記パリソンの成形を行って前記成形体を形成する成形工程を備え、前記分割金型の型締めの際に前記分割金型で前記パリソンを圧縮することによって前記成形体に前記ヒンジ部が形成される、制振部材の製造方法が提供される。
【0007】
本発明者は、制振部材の制振性を高めるべく鋭意検討を行ったところ、筒体に挿入される制振部材が筒体を内側から押圧するように構成することによって制振性が高められることに気がついた。そして、制振部材が筒体を内側から押圧することを可能にする構成を検討したところ、パリソンを圧縮することによって形成したヒンジ部において制振部材を折り畳んだ状態で制振部材を筒体に挿入することによって、ヒンジ部に生じる復元力によって成形体の基部が筒体を内側から押圧することを見出し、本発明の完成に到った。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記成形体は、中空部を有する。
好ましくは、前記制振部材は、前記成形体を前記ヒンジ部で折り畳んだときに対向する面の間に弾性部材を備える。
好ましくは、前記弾性部材は、不織布で構成される。
好ましくは、前記不織布は、樹脂繊維で構成される。
好ましくは、前記樹脂繊維を構成する樹脂は、前記成形体を構成する樹脂よりもピカット軟化点が高い。
好ましくは、前記樹脂繊維は、5デニール以上の繊維である。
好ましくは、前記弾性部材は、前記成形体と一体成形される。
好ましくは、前記制振部材は、前記成形体を前記ヒンジ部で折り畳んだときに外周となる面にクッション部材を備える。
好ましくは、前記クッション部材は、不織布で構成される。
好ましくは、前記クッション部材は、前記成形体と一体成形される。
好ましくは、前記成形体は、少なくとも2つのヒンジ部を備える。
好ましくは、前記成形体は、3つの基部が2つのヒンジ部で連結された構成を備える。
好ましくは、前記成形体は、2つの基部が1つのヒンジ部で連結された構成を備える。
好ましくは、前記成形体は、発泡成形体である。
【0009】
本発明の別の観点によれば、筒体内に制振部材を挿入する工程を備える、構造体の製造方法であって、前記制振部材は、上記記載の方法によって製造された制振部材であり、前記制振部材を前記ヒンジ部で折り畳んだ状態で前記制振部材が前記筒体に挿入される、方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態の制振部材1の構成を示す斜視図であり、(a)は制振部材1に外力が加わっていない状態を示し、(b)は制振部材1に外力を加えて制振部材1をヒンジ部2cで折り畳んだ状態を示し、(c)は制振部材1をヒンジ部2cで折り畳んだ状態で筒体5に挿入した後の状態を示す。
図2】本発明の第2実施形態の制振部材1の構成を示す斜視図であり、(a)〜(c)は、図1(a)〜(c)に対応する図である。
図3】本発明の一実施形態の制振部材1の製造方法で利用可能な成形機6の一例を示す。
図4】パリソン形成工程を示す図5中のA−A断面図である。
図5】パリソン形成工程を示す図4中のB−B断面図である。
図6】成形工程を示す、図5と同じ断面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0012】
1.制振部材の構成
1−1.第1実施形態
図1を用いて、本発明の第1実施形態の制振部材1について説明する。制振部材1は、筒体5に挿入されることによって筒体5の振動を抑制することによって筒体5を通じた音の伝搬を低減するための部材である。筒体5は、例えば自動車のインパネ内のリインフォースであり、パイプ状であり、内周の断面は例えば円形である。
【0013】
制振部材1は、成形体2と、弾性部材3と、クッション部材4を備える。弾性部材3は、成形体2の一方の面に設けられる。クッション部材4は、成形体2の他方の面に設けられる。
【0014】
成形体2は、第1基部2aとその両側に設けられた第2基部2bを備える。基部2a,2bは、ヒンジ部2cで互いに連結される。従って、成形体2は、3つの基部が2つのヒンジ部2cで連結された構成を備える。ヒンジ部2cは、板バネとして機能するように構成されており、成形体2がヒンジ部で曲げられると復元力が発生する。本実施形態のように、成形体2は、少なくとも2つのヒンジ部を備えることが好ましい。ヒンジ部の数が多いほど、復元力の合計が大きくなり、その結果、成形体2が筒体5を内側から押圧する力が強くなるからである。
【0015】
ヒンジ部2cは、図5に示すように、分割金型19,20,20でパリソン23を圧縮することによって形成される(詳細は後述する)。このため、ヒンジ部2cは高い精度と高い剛性を有している。基部2a,2bは、それぞれ、分割金型を用いてパリソン23を成形することによって形成される。基部2a,2bは、それぞれ、中空部2dを備える。基部2a,2bは、発泡成形体であっても非発泡成形体であってもよいが、基部2a,2bが発泡成形体である場合の方が軽量性及び消音性に優れているので、基部2a,2bは発泡成形体であることが好ましい。成形体2は、例えばポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂で形成されることが好ましく、ポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物などが挙げられる。
【0016】
制振部材1は、図1(b)に示すように、制振部材1がヒンジ部2cで折り畳まれた状態で筒体5内に挿入される。制振部材1がヒンジ部2cで折り畳まれた状態では制振部材1の外面形状は、筒体5の内面形状に略一致する。制振部材1が図1(c)に示すように、筒体5内に収容されると、ヒンジ部2cが板バネとして機能し、復元力が働く。この復元力によって成形体2の基部2a,2bがクッション部材4を介して筒体5を内側から押圧し、筒体5の振動が効果的に抑制される。なお、クッション部材4は必須ではなく、クッション部材4がない場合は基部2a,2bが筒体5を内側から直接押圧する。
【0017】
弾性部材3は、図1(b)に示すように、成形体2がヒンジ部2cで折り畳まれたときに対向する面の間に配置される。図1(b)の形態の場合、弾性部材3は、基部2aの当接面2a1と基部2bの当接面2b1との間に配置されて基部2a,2bによって圧縮されて変形する。また、弾性部材3は、一対の基部2bの当接面2b2の間にも配置されて一対の基部2bによって圧縮されて変形する。そして、弾性部材3の復元力によって基部2a,2bが筒体5を内側から押圧して、筒体5の振動がより効果的に抑制される。
【0018】
弾性部材3としては、圧縮されることによって復元力を発生させる任意の部材を用いることができる。弾性部材3は、樹脂やゴムなどで形成することができる。弾性部材3は、不織布で構成されることが好ましい。この場合、弾性部材3が復元力を発生させやすく且つ弾性部材3を成形体2と一体成形することが容易であるからである。不織布は、樹脂繊維で構成されることが好ましい。樹脂繊維は、5デニール以上の繊維であることが好ましい。この場合、弾性部材3の剛性が十分に高くなりやすい。樹脂繊維を構成する樹脂は、成形体2を構成する樹脂よりもピカット軟化点が高いことが好ましい。この場合、制振部材1が高温にさらされる環境下でも弾性部材3が基部2a,2bを筒体5に押し付ける力が長期間維持されるからである。樹脂繊維を構成する樹脂としては、PETやポリアミドなどが挙げられる。
【0019】
このように、本実施形態では、ヒンジ部2cの復元力と弾性部材3の復元力によって基部2a,2bが筒体5を内側から強く押圧し、筒体5の振動が効果的に抑制される。なお、弾性部材3は、省略可能であり、その場合、ヒンジ部2cの復元力によって基部2a,2bが筒体5を内側から押圧する。
【0020】
クッション部材4は、成形体2をヒンジ部2cで折り畳んだときに外周となる面に配置される。クッション部材4は、成形体2と筒体5との密着性を向上させるために設けられるものであり、このような機能を発揮しうる任意の部材でクッション部材4を構成することができる。クッション部材4は、成形体2よりも変形しやすい部材で構成することが好ましい。クッション部材4は、不織布で構成されることが好ましい。この場合、クッション部材4が成形体2と筒体5との密着性を向上させやすく、且つクッション部材4を成形体2と一体成形することが容易であるからである。弾性部材3とクッション部材4は同一構成の不織布で構成することが好ましい。この場合、部材数が減って製造効率が向上するからである。
【0021】
1−2.第2実施形態
図2を用いて、本発明の第2実施形態の制振部材1について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、成形体2の構成の違いが主な相違点である。
【0022】
本実施形態では、成形体2は、一対の基部2eと、これらを連結するヒンジ部2cを備える。従って、本実施形態の成形体2は、2つの基部が1つのヒンジ部2cで連結された構成を備える。本実施形態においても、図2(b)に示すように、制振部材1をヒンジ部2cで折り畳むと、ヒンジ部2cが板バネとして機能して復元力を発生させ、基部2eが筒体5を内側から押圧する。また、制振部材1をヒンジ部2cで折り畳むと、弾性部材3が一対の基部2eの当接面2e1の間において圧縮されて変形し、復元力を発生させる。従って、本実施形態においても、ヒンジ部2cの復元力と弾性部材3の復元力によって基部2bが筒体5を内側から強く押圧する。
【0023】
2.成形機6の構成
図3を用いて、本発明の一実施形態の制振部材の製造方法の実施に利用可能な成形機6について説明する。成形機6は、樹脂供給装置7と、ヘッド18と、分割金型19,20を備える。樹脂供給装置7は、ホッパー12と、押出機13と、インジェクタ16と、アキュームレータ17を備える。押出機13とアキュームレータ17は、連結管25を介して連結される。アキュームレータ17とヘッド18は、連結管27を介して連結される。
以下、各構成について詳細に説明する。
【0024】
<ホッパー12,押出機13>
ホッパー12は、原料樹脂11を押出機13のシリンダ13a内に投入するために用いられる。原料樹脂11の形態は、特に限定されないが、通常は、ペレット状である。原料樹脂11は、例えばポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂であり、ポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物などが挙げられる。原料樹脂11は、ホッパー12からシリンダ13a内に投入された後、シリンダ13a内で加熱されることによって溶融されて溶融樹脂になる。また、シリンダ13a内に配置されたスクリューの回転によってシリンダ13aの先端に向けて搬送される。スクリューは、シリンダ13a内に配置され、その回転によって溶融樹脂を混練しながら搬送する。スクリューの基端にはギア装置が設けられており、ギア装置によってスクリューが回転駆動される。シリンダ13a内に配置されるスクリューの数は、1本でもよく、2本以上であってもよい。
【0025】
<インジェクタ16>
シリンダ13aには、シリンダ13a内に発泡剤を注入するためのインジェクタ16が設けられる。原料樹脂11を発泡させない場合は、インジェクタ16は省略可能である。インジェクタ16から注入される発泡剤は、物理発泡剤、化学発泡剤、及びその混合物が挙げられるが、物理発泡剤が好ましい。物理発泡剤としては、空気、炭酸ガス、窒素ガス、水等の無機系物理発泡剤、およびブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の有機系物理発泡剤、さらにはそれらの超臨界流体を用いることができる。超臨界流体としては、二酸化炭素、窒素などを用いて作ることが好ましく、窒素であれば臨界温度−149.1℃、臨界圧力3.4MPa以上、二酸化炭素であれば臨界温度31℃、臨界圧力7.4MPa以上とすることにより得られる。化学発泡剤としては、酸(例:クエン酸又はその塩)と塩基(例:重曹)との化学反応により炭酸ガスを発生させるものが挙げられる。化学発泡剤は、インジェクタ16から注入する代わりに、ホッパー12から投入してもよい。
【0026】
<アキュームレータ17、ヘッド18>
発泡剤が添加されている又は添加されていない溶融樹脂11aは、シリンダ13aの樹脂押出口から押し出され、連結管25を通じてアキュームレータ17内に注入される。アキュームレータ17は、シリンダ17aとその内部で摺動可能なピストン17bを備えており、シリンダ17a内に溶融樹脂11aが貯留可能になっている。そして、シリンダ17a内に溶融樹脂11aが所定量貯留された後にピストン17bを移動させることによって、連結管27を通じて溶融樹脂11aをヘッド18内に設けられたダイスリットから押し出して垂下させてパリソン23を形成する。パリソン23の形状は、特に限定されず、筒状であってもよく、シート状であってもよい。
【0027】
<分割金型19,20>
パリソン23は、一対の分割金型19,20間に導かれる。分割金型19,20を用いてパリソン23の成形を行うことによって、成形体が得られる。分割金型19,20を用いた成形の方法は特に限定されず、分割金型19,20のキャビティ内にエアーを吹き込んで成形を行うブロー成形であってもよく、分割金型19,20のキャビティの内面からキャビティ内を減圧してパリソン23の成形を行う真空成形であってもよく、その組み合わせであってもよい。溶融樹脂が発泡剤を含有する場合、パリソン23は、発泡パリソンとなり、成形体は、発泡成形体となる。
【0028】
3.制振部材1の製造方法
制振部材1は、パリソン形成工程、成形工程、及び後処理工程を備える方法によって形成可能である。以下、各工程について詳細に説明する。以下、第1実施形態の制振部材1の製造方法を例に挙げて説明するが、第2実施形態の制振部材1も同様の方法で製造可能である。
【0029】
<パリソン形成工程>
パリソン形成工程では、図4図5に示すように、溶融樹脂をヘッドから押し出して垂下させてパリソン23を形成し、パリソン23を分割金型19,20の間に配置する。分割金型19は、ピンチオフ部19bで囲まれたキャビティ19aを備える。分割金型20は、ピンチオフ部20bで囲まれたキャビティ20a内に突起20cを備える。
【0030】
分割金型19とパリソン23の間には弾性部材3を構成する弾性部材シート3aが垂下される。分割金型20とパリソン23の間にはクッション部材4を構成するクッション部材シート4aが垂下される。弾性部材3及びクッション部材4が不織布で構成される場合、パリソン23の両側に不織布シートが垂下される。
【0031】
<成形工程>
成形工程では、図6に示すように、分割金型19,20の型締めを行ってパリソン23の成形を行って成形体2を形成する。この際、突起20cに対応する部位において、パリソン23が分割金型19,20によって圧縮されてヒンジ部2cが形成される。また、シート3a,4aは、それぞれ、パリソン23と分割金型19、パリソン23と分割金型20によって挟まれることによって、成形体2に一体成形される。
【0032】
<後処理工程>
後処理工程では、図6に示すように成形されたバリ23bのついた成形体2を分割金型19,20から取り出し、バリ23bを除去する。これによって、第1実施形態の構成の制振部材1が得られる。
【符号の説明】
【0033】
1 :制振部材
2 :成形体
2a :第1基部
2a1 :当接面
2b :第2基部
2b1 :当接面
2b2 :当接面
2c :ヒンジ部
2d :中空部
2e :基部
2e1 :当接面
3 :弾性部材
3a :弾性部材シート
4 :クッション部材
4a :クッション部材シート
5 :筒体
6 :成形機
7 :樹脂供給装置
11 :原料樹脂
11a :溶融樹脂
12 :ホッパー
13 :押出機
13a :シリンダ
16 :インジェクタ
17 :アキュームレータ
17a :シリンダ
17b :ピストン
18 :ヘッド
19 :分割金型
19a :キャビティ
19b :ピンチオフ部
20 :分割金型
20a :キャビティ
20b :ピンチオフ部
20c :突起
23 :パリソン
23b :バリ
25 :連結管
27 :連結管
図1
図2
図3
図4
図5
図6