(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1極性電極針が、電極針保持部の外枠支持体下部構造体を貫通して第1極性用通電部に接続された構造を有する、請求項1に記載のエレクトロポレーション用電極。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本出願は、本出願人により日本国に出願された特願2016−030984に基づく優先権主張を伴う出願であり、その全内容は参照により本出願に組み込まれる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。以下の説明における符号番号は、図面中に使用した符号番号を意味する。
【0028】
[用語等の説明]
本明細書中、「エレクトロポレーション法」(電気穿孔法)は、細胞に電気パルスを与え、細胞膜に外来物質が通過できる小孔を一過性に作って細胞内に外来物質を取り込ませる方法である。様々な生物種及び様々な種類の組織や細胞等への適用が可能な汎用性の高い外来物質導入手法である。
本明細書中、「in vivo」とは生体内を意味する。試験管内を意味する「in vitro」に対比される用語である。
本明細書中、「外来導入物質」(以下、外来物質や導入物質等と表現する場合もある。)とは、エレクトロポレーション法により外部から細胞内へ導入するための物質を意味する。エレクトロポレーション法で導入できる物質であれば如何なる物質も含まれる。例えば、通常の状態では細胞膜を透過できない又は透過されにくい各種生理活性物質、薬剤、治療薬、核酸物質、ペプチド、及びタンパク質等が例示される。
ここで、核酸物質としては、例えば、DNA、RNA等が含まれる。DNAとしては、標的細胞内に導入したい核酸配列を備えたDNAが適宜選択され、例えば、遺伝子の全長配列(cDNA配列、ゲノム配列)、部分配列、調節領域、スペーサー領域、及び変異を加えた配列等、目的に応じて設計されたDNAが用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、ウイルスDNA、プラスミドDNA、オリゴヌクレオチド(アンチセンスオリゴヌクレオチド、アプタマー)、およびペプチド核酸等も含まれる。RNAとしては、mRNA、siRNA等が含まれるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0029】
本明細書中、「第1極性」及び「第2極性」とは、印加電圧の一方の電極極性(例えばプラス極性)を第1極性とした場合に、他方の電極極性(この場合はマイナス極性)を第2極性として表現したものである。第1極性及び第2極性は任意の電荷とすることが可能である。
本明細書中、「シリンジ」とは、注射筒(53)、プランジャー(54)、及び注射針(52:シリンジ針)が組み立てられた状態の注射器全体(50)を指す用語として使用するものである。
【0030】
本明細書中、本発明に係るエレクトロポレーション用電極を指して「上側」と表現した場合は、別途に定義がない限り、シリンジ保持部側を上側として表現したものである。また、本発明に係るエレクトロポレーション用電極を指して「下側」と表現した場合は、別途に定義がない限り、電極針保持部の外枠支持体下部構造体側を下側として表現したものである。なお、本発明に係るエレクトロポレーション用電極の説明において「上側」、「下側」、「上部」、「下部」、「底部」、「水平」、「垂直」等の方向に関する表現は、電極構造の説明のために使用される用語であるところ、電極の実際の使用態様においては必ずしもこの通りの方向になるような使用態様に制限されるものではない。
【0031】
本明細書中、「略」を付した図形、形状、及び角度等を表す表現は、多少の変形等を加えた図形等を許容して指すものである。
例えば、本明細書中、「略」を付した角度や方向を表す表現は、対象角度や方向に対して実質的に問題にならない程度の角度の傾きを許容するものである。
また、本明細書中、「略」を付した図形、形状、及び配列等が円等の場合であれば、円周部分がやや歪んだ形状、長円や楕円等の変形図形を許容して指すものである。また、角形等の場合であれば、対象図形に対して角が丸みを帯びた形状、外周がやや歪んだ形状等の変形図形を許容して指すものである。また、格子状等の配列状態の場合も同様に、配列構成要素が形成する図形等の変形が許容される。また、直線の場合も曲率の低い歪みや曲線を含むことが許容される。また、立体の場合についても、全体形態や断面形態において同様に定義することができる。
【0032】
1.複数の電極針を有するエレクトロポレーション用電極
本発明は、第1極性電極針(11)、電極針保持部(10)、及びシリンジ保持部(20)を備えた構造を有する複数の電極針を有するエレクトロポレーション用電極に関する。具体的には、複数の第1極性電極針を備えたエレクトロポレーション用電極であって、シリンジ(50)を装着状態にした場合において装着したシリンジ針(52)を第2極性電極針とすることを可能とするエレクトロポレーション用電極に関する。
本発明に係るエレクトロポレーション用電極(1)を構成する主たる部材について、その構成部材の属性を整理した表を以下に示す。なお、表1は各構成部材の属性を整理した表であり必須部材を表したものでない。この点、本発明に係る技術的範囲は表1に記載の部材を全て含む態様に限定されるものではない。
【0034】
[第1極性に関する構造]
本発明に係るエレクトロポレーション用電極(1)は、第1極性に関する構造として、第1極性電極針(11)及び電極針保持部(10)等を備えて構成される電極である。なお、第1極性に関する構造としては、電源と接続するための配線、導線、及び/又は電源ケーブル等、外枠支持体の強度を高めるための支持部材等を含める構造とすることも可能である。
【0035】
[第1極性電極針]
本発明に係るエレクトロポレーション用電極(1)は、電極針保持部を構成する外枠支持体下部構造体(12)の底面から、第1極性電極針(11)がエレクトロポレーション対象物側に突出した構造を有する電極である。
【0036】
本明細書中、「第1極性電極針」(11)とは、印加電圧の一方の電極極性を示す針状の電極を意味する。
第1極性電極針は導電性を有する材質で構成されていることが好適である。第1極性電極針(11)を構成する材質としては、通常の電極として使用可能な材質であれば良い。例えば、ステンレス鋼、白金、鉄鋼、銅、鉄、チタン合金、アルミニウム合金、カーボン等の材質のものが好適である。
第1極性電極針(11)を構成する材質として特には、錆びにくく且つ生体への影響が懸念されない金属性の材質が好適である。例えば、ステンレス鋼、白金、チタン合金等の材質のものが好適である。
また、第1極性電極針(11)としては、先端が鋭利で対象の生体組織への穿孔に適した針状又は針型の形状であれば如何なる形状であっても良い。先端が鋭利であれば、屈曲形状や湾曲形状等の角度や曲率を有する形状も許容される。
また、第1極性電極針(11)としては、分岐形状、先端方向に向かって複数針に分岐した形状、先端方向に向かって複数針が合流した形状、等を採用することができる。また、外枠支持体下部構造体(12)の底面から突出した電極針の根元側が絶縁部材で被覆された構造を採用することができる。また、外枠支持体下部構造体(12)の底面から突出した根元側が、外枠支持体下部構造体の底面方向と水平又は浅い角度にて配置される平面、略平面、環状等の構造を有し、当該構造部分から1又は2以上の針状又は針型の形状が突出した構造のものを採用することができる。
第1極性電極針(11)の形状として好ましくは、鋭利な直棒状又は直管状の針形状を含む形状を挙げることができる。より好ましくは、医療や鍼灸等で使用される鋭利な直棒状又は直管状の形状を挙げることができる。例えば、スカーレット針形状、中空針形状、注射針形状、鍼形状、鋭角円錐形状等の針を挙げることができる。当該針の横断面としては円状、略円状、長円状、楕円状、環状、角環状等を挙げることができるが、特に円状又は略円状等であることが好ましい。
また、第1極性電極針(11)の横断面の外径としては、生体組織への穿孔に適した径であれば良く、例えば0.5mm以下、好ましくは0.4mm以下、より好ましくは0.35mm以下、更に好ましくは0.33mm以下、特に好ましくは0.30mm以下、一層好ましくは0.28mm以下、より一層好ましくは0.26mm以下を挙げることができる。下限としては針強度が確保できる限りは特に制限はないが、例えば0.1mm以上、好ましくは0.15mm以上を挙げることができる。
【0037】
本発明に係るエレクトロポレーション用電極(1)においては、第1極性電極針(11)を固定電極針とする態様が好適である。
ここで、本発明においても、第1極性電極針の長さを自在に調整可能とする機構を設けた電極とすることも可能ではある。しかし、本発明が解決すべき課題の1つとして、簡便な操作性の提供等が挙げられ、更に製造効率等を考慮すると、第1極性電極針は固定電極針とする態様が好適である。
【0038】
第1極性電極針(11)の電極針長としては、電極針保持部の外枠支持体下部構造体(12)の底面から突出した電極長にて1mm以上、好ましくは2mm以上、より好ましくは3mm以上、更に好ましくは4mm以上であることが好適である。上限としては10mm以下、好ましくは8mm以下、より好ましくは6mm以下、更に好ましくは5mm以下であることが好適である。即ち、1〜10mm、好ましくは2〜8mm、より好ましくは3〜6mm、更に好ましくは4〜5mmであることが好適である。
また、各第1極性電極針間の電極長の差異としては、電極針保持部の外枠支持体下部構造体(12)の底面から突出した第1極性電極針の平均針長と比較して−2〜+2mmの範囲、好ましく−1〜+1mmの範囲、より好ましくは−0.5〜+0.5mmの範囲、更に好ましくは−0.2〜+0.2mmの範囲であることが好適である。最も好ましくは、電極針保持部の外枠支持体下部構造体(12)の底面から突出した第1極性電極針の全てが同一の針長であることが最適である。
なお、ここで、第1極性電極針(11)の基部部分については、電極針保持部の外枠支持体下部構造体(12)内に埋設された状態となり上記針長には考慮されない。そのため、当該埋設される基部部分の針長については特に制限はなく採用可能である。
また、第1極性電極針(11)の電極針長としては、底面から突出した部分のうちの直棒状又は直管状の部分の電極長を表す長さであることが好適である。
【0039】
本発明に係るエレクトロポレーション用電極(1)は、上記所定の電極針長を有する固定電極針を備えた構成である特徴によって、筋肉や皮膚へ挿針した際に深度調整等の複雑な操作が不要となる。ここで、上記電極長の範囲にある固定電極針長は、筋肉や皮膚等にエレクトロポレーションを行う際に適切な深度が実現可能となる。
従って、本発明に係るエレクトロポレーション用電極は、電極針を根本まで押し込むという簡便な操作によって、エレクトロポレーションに適切な深度への電極針の挿針が可能となる。
【0040】
本発明に係るエレクトロポレーション用電極(1)において第1極性電極針(11)を配置する位置としては、外枠支持体下部構造体(12)の底面視にて第1極性電極針(11)の先端を結ぶ直線上若しくは略直線上又は第1極性電極針(11)の先端を頂点として形成される多角形の内側にシリンジ針挿入出孔(46)が位置するように、配置されたものであることが好適である。また、外枠支持体下部構造体(12)の底面視にて第1極性電極針(11)の基部を結ぶ直線上若しくは略直線上又は前記第1極性電極針(11)の基部を頂点として形成される多角形の内側に、シリンジ針挿入出孔(46)が位置するように、配置されたものも好適である。
また、第1極性電極針(11)の配置される位置としては、電極針保持部の外枠支持体下部構造体(12)の底面視にて、シリンジ針挿入出孔(46)の中心から0.5〜10mmの範囲、好ましくは0.5〜5mmの範囲、より好ましくは0.75〜4mmの範囲、更に好ましくは1〜3mmの範囲、特に好ましくは1〜2mmの範囲に配置されたものであることが好適である。当該範囲としては、好ましくは底面視での電極針先端とシリンジ針挿入出孔との距離を表す範囲であることが好適である。
第1極性電極針の間の距離が上記範囲にある場合、低い電圧を印加した場合であっても単位cmあたりの電場強度(V/cm)を高く与えることが可能となり、組織や細胞へのダメージ及び損傷が低減できて好適である。なお、上記範囲より広すぎる場合、必要な電場強度を与えるための印加電圧に高電圧が必要となり好適でない。また、上記範囲より狭すぎる場合、エレクトロポレーション範囲の適用領域が狭すぎて十分な領域の遺伝子導入が実現しにくくなり好適でない。
【0041】
第1極性電極針(11)の配置される位置としては、電極針保持部の外枠支持体下部構造体(12)の底面視にて、シリンジ針挿入出孔(46)を中心とする同心円上又は略同心円上に配置されたものであることが好適である。また、第1極性電極針(11)の配置される位置としては、各電極間が等間隔又は略等間隔となるように配置することが好適である。
具体的には、電極針を構成する針数が2本の場合には、電極針保持部の外枠支持体下部構造体(12)の底面視にて、シリンジ針挿入出孔(46)の中心から対角線上又は略対角線上に等距離又は略等距離となるように配置することが好適である。また、電極針を構成する針数が3本以上の場合は、電極針保持部の外枠支持体下部構造体(12)の底面視にて、第1極性電極針(11)を頂点として形成される多角形が正多角形又は略正多角形となる位置であることが好適である。なお、当該位置としては、好ましくは底面視での電極針先端とシリンジ針挿入出孔との位置を表すものであることが好適である。
本発明に係るエレクトロポレーション用電極(1)においては、第1極性電極針(11)と第2極性電極針であるシリンジ針(52)(又はシリンジ針挿入出孔(46))との各間隔が等距離に近い程、均一な電場を発生されることが可能となり好適である。また、本発明に係るエレクトロポレーション用電極(1)においては、第1極性電極針(11)間の各間隔が等距離に近い程、均一な電場発生が可能となり好適である。
【0042】
本発明に係るエレクトロポレーション用電極(1)においては、外枠支持体下部構造体(12)の底面から突出した第1極性電極針(11)の本数としては2本以上を挙げることができるが、より好ましくは3本以上であることが好適である。ここで第1極性電極針(11)を3本以上配置した場合、第1極性電極針(11)を頂点として多角形を形成した面積内に電場を発生させることが可能となり、エレクトロポレーションを行うことが可能な領域が上昇し好適である。
第1極性電極針(11)として適切な本数としては2〜8本、好ましくは3〜7本、より好ましくは3〜6本、更に好ましくは3〜5本、特に好ましくは3〜4本である。ここで、第1極性電極針(11)の本数としては、原則的には本数が多い程エレクトロポレーションの面積を広く取ることができ好適である。しかし、一定本数以上より電極本数を多くした場合、電極本数増設による効果よりも製造効率やコストの点が大きくなり、更に被験者や対象検体に対して多少の痛みを与える恐れがあり逆に好適でない。
【0043】
第1極性電極針(11)が電極針保持部の外枠支持体下部構造体(12)の底面から突出する角度としては、外枠支持体下部構造体の底面に対して垂直及び/又は略垂直になるように配置され固定されたものが好適である。ここで略垂直とは、外枠支持体下部構造体(12)の底面に対して90±10°、好ましくは90±5°、より好ましくは90±2°の範囲にある角度であることが好適である。なお、第1極性電極針(11)の突出角度が適切な範囲の角度でない場合、生体組織への挿針や抜針が妨げられてしまい好適な態様となりにくい。
最も好ましくは外枠支持体下部構造体の底面に対して垂直になるように配置され固定されたものが好適である。
また、第1極性電極針(11)の形状として、底面から突出した部分が角度を有する形状である場合には、先端部分での直棒状又は直管状の部分の角度について、上記範囲の角度を採用することが好適である。
【0044】
[電極針保持部]
本発明に係るエレクトロポレーション用電極(1)は、第1極性電極針(11)を物理的に保持し、第1極性電極針(11)に電圧を印加するための構造又は手段を備えた電極針保持部(10)を有する。本発明では電極針保持部(10)の構造によって、電極配置構造等の物理的形状が保持され且つ電極への電圧印加等の機能を発揮させることが可能となる。ここで、電極針保持部(10)は、以下に示す外枠支持体下部構造体(12)及び第1極性用通電部(14)を含んで構成されてなる部材である。
【0045】
外枠支持体下部構造体
電極針保持部(10)を構成する部材としては、第1極性電極針(11)を保持するための外枠支持体下部構造体(12:実施例に係るハウジングの下部構造部分)を含むものである。ここで、外枠支持体下部構造体(12)は、第1極性電極針(11)を固定するための構造及び機能を備えた筐体様の部材である。ここで「下部」とは、本発明に係る電極(1)の全体構造において下部分を意味し、本発明に係る電極(1)に外枠支持体上部構造体が存在しない電極形態においても当て嵌まる概念である。
【0046】
外枠支持体下部構造体(12)の形状としては、エレクトロポレーション側の底面を有する形状を備える。ここで、外枠支持体下部構造体(12)の底面の形状としては、フラットな平面又は略平面状の形状が好適であるが、曲面を有する形状や立体的形状等、様々なバリエーションを採用することも可能である。例えば、ドーム状、円錐状、角錐状、断頭円錐状、断頭角錐状、方体状、多角柱状、階段ピラミッド状等を採用することも可能である。また、これらの略形状を採用することも可能である。エレクトロポレーション側に凸状の形状だけでなく凹状の形状も許容される。但し、立体的形状の底面を採用する場合、曲率や勾配が緩やかなものであることが好適である。
外枠支持体下部構造体(12)の底面形状としては、エレクトロポレーション時の電圧を対象に均一に印加することを踏まえると、平面状のものが最も好適である。
【0047】
外枠支持体下部構造体(12)の全体的な形状としては、上記底面形状を備えた第1極性電極針を物理的に保持するための一定の厚みを有する構造体であることが好適である。また、好ましくは、上部に第1極性用通電部を接続固定するための上部又は内側空間を備えた容器形状であることが好適である。例えば、箱状、筒状等であることが好適である。
当該形状としては特に制限はないが、シリンジ保持部(20)との連続又は接続形状である点を考慮すると、好ましくは断面形状が円状又は略円状であることが好適である。
【0048】
外枠支持体下部構造体(12)の底面部厚みとしては、第1極性電極針を物理的に保持が可能であれば特に制限はないが、例えば0.2〜10mm、好ましくは0.5〜5mm、より好ましくは0.7〜2mm程度を挙げることができる。外枠支持体下部構造体(12)の幅の大きさとしては、例えば底面視にて上記外形幅が4〜50mm程度、好ましくは6〜30mm、より好ましくは7〜20mm程度を挙げることができる。
【0049】
また、外枠支持体下部構造体(12)の形状としては、第1極性電極針(11)を装着固定するための第1極性電極針貫通孔(13)と、第2極性電極針であるシリンジ針(52)の挿入出を可能とするシリンジ針挿入出孔(46)とを備えた形状であることが好適である。
シリンジ針挿入出孔(46)としては、シリンジ針(52)の挿入出をスムースに行うことに適した孔であれば良いが、例えば内径又は内幅が0.1〜4mm、好ましくは0.3〜3mm、より好ましくは0.4〜2mm、更に好ましくは0.5〜1.5mm程度の孔を採用することができる。
第1極性電極針貫通孔(13)とシリンジ針挿入出孔(46)の形成位置としては、第1極性電極針(11)が上記段落に記載の配置となるように形成させることが好適である。即ち、外枠支持体下部構造体(12)の底面に、第1極性電極針貫通孔(13)を結ぶ直線上若しくは略直線上又は第1極性電極針貫通孔(13)を頂点として形成される多角形の内側に、シリンジ保持部側と連通するシリンジ針挿入出孔(46)を有す構造であることが好適である。
【0050】
外枠支持体下部構造体(12)の上部は、第1極性用通電部(14)の設置に適した構造とすることが好適である。例えば、第1極性用通電部(14)を内側に嵌め込む可能なように、嵌合、係合、又は接続等に適した構造や手段を備えたものが好適である。
【0051】
外枠支持体下部構造体(12)としては、絶縁性部材又は絶縁性材質にて構成されたものであることが好適である。外枠支持体下部構造体(12)としては、第1極性電極針貫通孔(13)部分及びシリンジ針挿入出孔(46)が形成される部分付近については、少なくとも絶縁性材質で構成されてなるものである。好ましくは、外枠支持体下部構造体(12)の全体が実質的に絶縁性材質で構成されたものであることが好適である。また、当該材質としては、筐体としての耐久性を備えたものであることが好適である。また、当該材質としては、耐熱性を備えたものであると更に好適である。
絶縁性材質としては、硬度及び耐久性を有する材質であれば良く、例えば、樹脂、ガラス、鉱石等の材質を挙げることができる。好ましくは、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリル、ポリメチルペンテン、ABS樹脂、アクリル樹脂、フッ化炭素樹脂(PTFE、PFA、FEPなど)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリイミド樹脂、セラミック(アルミナ、窒化アルミ等)等の材質を挙げることができる。
【0052】
外枠支持体下部構造体(12)は、シリンジ保持部(20)に属するシリンジヘッド装着部(21)と連続的配置及び/又は接続される部材である。また、実施形態に応じて、外枠支持体下部構造体(12)及びシリンジヘッド装着部の外側(22:外枠支持体上部構造体)は、一体化した連続部材とすることも可能である。
また、外枠支持体下部構造体(12)は、シリンジ保持部(20)との接続部にて脱着可能が構造とすることもできる。当該態様においては、外枠支持体下部構造体(12)の全部が第1極性電極針(11)と伴に電極本体から脱着可能な態様となる。
また、外枠支持体下部構造体(12)自体を上部構造体と下部構造体に分離可能な態様とすることもできる。当該態様においては、外枠支持体下部構造体(12)の一部が第1極性電極針(11)と伴に電極本体から脱着可能な態様となる。
【0053】
第1極性用通電部
電極針保持部(10)を構成する部材としては、第1極性用通電部(14)を含んでなるものである。第1極性用通電部(14)は、外枠支持体下部構造体(12)の上側及び/又は内側に配置される部材であり、外枠支持体下部構造体の基材部分を貫通する第1極性電極針(11)と接続された構造部材である。即ち、本発明に係る第1極性電極に関する構造においては、第1極性電極針(11)が、電極針保持部の外枠支持体下部構造体(12)を貫通して第1極性用通電部(14)に接続された構造となる。また、第1極性用通電部(11)は、第2極性に関する部材とは通電しない位置及び形態にて配設されてなる部材である。
また、第1極性用通電部(14)は配線等を介して電源に接続することによって、第1極性電極針(11)に電圧印加することを実現する部材である。
【0054】
第1極性用通電部(14)の形状としては、第1極性電極針(11)を構成する電極針と接続可能であり、電極への通電機能を担保しえる形状であれば特に制限はない。例えば、第1極性用通電部(14)の形状の一例として、一定の厚みを有する平板又は略平板状を挙げることができる。特には断面形状が円状又は略円状の形状のものを挙げることができる。
【0055】
第1極性用通電部(14)の形状としては、第1極性電極針(11)との接続部(16)を備えた形状となる。好ましくは、第1極性電極針(11)を構成する電極針の全てとの接続部(16)を備えた形状が好適である。第1極性用通電部(14)と第1極性電極針(11)との接続固定手段としては、例えば溶接等を挙げることができるが、着脱可能な構造を採用することも可能である。
第1極性用通電部(14)の形状としては、シリンジ針導入出路(40)と直接接触しないように配設可能な形状であることが好適である。例えば、第1極性用通電部(14)が平板状等の形状である場合には、シリンジ針挿入出路(40)と接触しないような形状とするための開口部(15)を備えた形状であることが好適である。また、第1極性用通電部が開口部(15)を備えない形状の場合、シリンジ針挿入出路(40)を予め回避するような環状、略環状、角環状の形状を採用することもできる。また、C字状、L字状、又はこれらと類似する形状を採用することも可能である。
また、実施形態によっては、第1極性用通電部(14)と第2極性用通電部(42)との間に絶縁製のスペーサー部(47)を介する構造にすることによって、第1極性用通電部(14)と第2極性用通電部(42)とが接触しない構造とすることもできる。即ち、第1極性用通電部(14)が絶縁製のスペーサー部(47)を介して、第2極性用通電部(42)と接触しない構造を採用することができる。
また、シリンジ針挿入出路(40)に断続部分が存在する態様であって、当該開口部(15)付近においてシリンジ針(52)が剥き出しとなる部分がある場合には、当該開口部(15)の内側とシリンジ針(52)に十分な距離が担保できるように開口部(15)のサイズを設計することが望ましい。
【0056】
第1極性用通電部(14)の材質としては、導電性を有する材質で構成されていることが好適である。通常の電極として使用可能な材質であれば良いが、好ましくは金属製の材質であることが好適である。例えば、ステンレス鋼、白金、鉄鋼、銅、鉄、チタン合金、アルミニウム合金、カーボン等の材質のものが好適である。特に錆びにくく且つ生体への影響が懸念されない、ステンレス鋼、白金、チタン合金等の材質のものが好適である。
なお、第1極性用通電部(14)は、配線、導線、及び/又は電源ケーブル等と一体化させた連続部材の態様とすることも可能である。
【0057】
本発明においては、外枠支持体下部構造体(12)の一部又は全部と伴に、前記第1極性電極針の着脱可能が電極カートリッジ式の態様を採用することができる。当該電極カートリッジ式の態様を実現するための構造としては、第1極性電極針(11)が、第1極性用通電部(14)との接続部(16)にて着脱可能な構造を有する態様を採用することができる。即ち、第1極性電極針(14)を第1極性用通電部との接続部(16)にて着脱可能な構造とすることができる。
また、当該接続部(16)としては、第1極性用通電部(14)自体を分離可能とする接続部としての態様を採用することも可能である。即ち、当該態様においては、第1極性用通電部(14)が分離可能な接続部(16)を備えた構造を有する態様を採用することができる。
これらの態様においては、外枠支持体下部構造体(12)の一部又は全部と伴に、前記第1極性電極針の着脱を行うことが可能となる。当該態様においては、第1極性電極針のカートリッジ的な付け替えが可能となり、コンタミネーション等のリスクを更に低減することが可能となる。
【0058】
[第2極性に関する構造]
本発明に係るエレクトロポレーション用電極(1)は、第2極性に関する構造として、シリンジ保持部(20)等を備えて構成される電極である。なお、第2極性に関する構造としては、電源と接続するための配線、導線、及び/又は電源ケーブル等、外枠支持体強度を高めるための支持部材等を含める構造とすることも可能である。
【0059】
[シリンジ保持部]
本発明に係るエレクトロポレーション用電極は、電極針保持部(10)のエレクトロポレーション対象物側とは反対側に、シリンジ針(52)を挿入してシリンジ装着可能なシリンジ保持部(20)を備えた構造を有する。
【0060】
本発明に係るエレクトロポレーション用電極(1)は、シリンジ(50)を物理的に保持し、第2極性電極針となるシリンジ針(52)に電圧を印加するための構造手段であるシリンジ保持部(20)を有する。シリンジ保持部(20)は、前記電極針保持部の外枠支持体下部構造体(12)の底面とは反対側からシリンジ針(52)を挿入して、シリンジを物理的に装着固定することを可能とするための部材である。本発明においては、シリンジ保持部(20)の構造によって、シリンジ(50)が物理的に保持され且つシリンジ針(52)を第2電極性極針として機能させることが可能となる。
ここで、シリンジ保持部(20)は、以下に示すシリンジヘッド装着部(21)、シリンジ針挿入出路(40)、及び第2極性用通電部(42)等を含んで構成される部材である。また、実施形態に応じてスペーサー部(47)を含んでなるように構成させることも可能である。
【0061】
シリンジヘッド装着部
シリンジ保持部(20)を構成する部材としては、シリンジ本体を保持するためのシリンジヘッド装着部(21)を含むものである。
シリンジヘッド装着部(21)は、シリンジヘッドを装着してシリンジ本体を保持するための部材である。そのため、シリンジヘッド装着部(21)の形状としては、例えば外枠が外枠支持体として物理的な支持機能を発揮し、内部が空洞の形状であることが好適である。好ましくは上部にシリンジ装着に適した開口部(27)を備えた形状であることが好適である。より好ましくは円筒形状であることが好適である。
シリンジヘッド装着部(21)としては、その機能をより好適なものとするために、シリンジヘッド装着部(21)のシリンジヘッドを装着する内側部と、外側部の外枠支持体部分を二重に組み合わせた形状とすることができる。当該二重構造とする態様においては、シリンジヘッド装着部(21)を、シリンジヘッド装着部の内側部を内部構造体(24)、シリンジヘッド装着部の外側部を外部構造体(22:外枠支持体上部構造体)とすることができる。
【0062】
シリンジヘッド装着部の内部構造体(24)の大きさとしては、シリンジヘッドを直接装着して固定するために適した内部空間(25)を有する形状であることが望ましい。また、当該内部空間(25)は、シリンジ外径に適合したサイズであることが好適である。また、当該内部構造体(24)の上部は開口部を備えた開放型の円筒形状であることが好適である。
シリンジヘッド装着部の内部構造体(24)の大きさとしては、例えば、上面視にて内径又は内幅が2〜40mm程度、好ましくは3〜20mm、より好ましくは4〜15mm程度を挙げることができる。
また、当該内部構造体(24)の垂直方向の高さとしては、例えば2mm以上、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上を挙げることができる。上限については、特に制限はないが、例えば50mm以下、好ましくは20mm以下を挙げることができる。
【0063】
シリンジヘッド装着部の内部構造体(24)を構成する材質としては、シリンジ保持の用途のための十分な強度を備えた材質であれば特に制限なく採用することができる。絶縁性材質を採用することもできる。例えば、上記した外枠支持体下部構造体(12)と同様の材質を用いることが好適である。また、シリンジヘッド装着部の内部構造体(24)を構成する材質としては、シリンジ針挿入出路(40)との接続部材又は連続部材とすることも可能である。この場合、下記シリンジ針挿入出路の第2極性電極用通電部(42)部分と同様に、導電性を有する材質で構成されることが好適である。
シリンジヘッド装着部の内部構造体(24)が第2極性用通電部(42)と連続又は接続された導電性部材である場合、シリンジヘッド装着部の内部構造体(24)に配線等を備えた構造とすることができる。また、この場合、配線、導線、及び/又は電源ケーブル等と一体化させた連続部材の態様とすることも可能である。
【0064】
一方、シリンジヘッド装着部の外部構造体(22)を構成する材質としては、筐体としての十分な強度を備えた材質であれば特に制限なく採用することができるが、安全性の観点から絶縁性材質を採用することが好適である。
シリンジヘッド装着部の外部構造体(22)及び/又は内部構造体(24)を絶縁性材質で構成する場合、絶縁性材質として硬度及び耐久性を有する材質であることが好ましく、例えば、上記した外枠支持体下部構造体(12)と同様の材質を用いることが好適である。
【0065】
シリンジヘッド装着部(21)は、電極針保持部(10)に属する外枠支持体下部構造体(12)の上部分と、連続的な部材及び/又は接続される部材である。また、実施形態に応じて、シリンジヘッド装着部の外部構造体(22)及び外枠支持体下部構造体(12)は、一体化した連続部材とすることも可能である。
また、シリンジヘッド装着部の内部構造体(24)は、シリンジ針挿入出路(40)の上端であるシリンジ針挿入出孔(45)と、連続的な構造、近接する構造、及び/又は接続される構造となる。また、実施形態に応じて、シリンジヘッド装着部の内部構造体(24)及びシリンジ針挿入出路(40)は、一体化した連続部材とすることも可能である。
【0066】
シリンジ針挿入出路
本発明に係るエレクトロポレーション用電極(1)は、シリンジヘッド装着部の内部構造体(24)と電極針保持部の外枠支持体下部構造体(12)が連通した又は断続連通したシリンジ針挿入出路(40)を有する構造を備える。
シリンジ針挿入出路(40)は、シリンジヘッド装着部(21)にシリンジを装着した際にシリンジ針(52)の挿入出を可能とする管状構造又は断続した管状構造の構造体であることが好適である。
【0067】
シリンジ針挿入出路(40)の具体的形状としては、シリンジ針(52)を最後まで挿入した際に確実な固定を確保することが可能であり且つスムースな挿入出が可能な内径又は内幅の直管状の挿入出路が好適である。より好ましくは、断面が円状となる管状のものが好適である。また、挿入出路の管壁に空隙を有する構造又は管壁が連続しない断続連通の構造であっても、漏電等の心配がない構造であれば採用することが可能である。
ここで、「断続連通」及び「断続した」とは、シリンジ針挿入出路(40)が2以上に分断されてはいるものの、各挿入出路が直線上に配置している状態でシリンジ針(52)の挿入出に実質的な影響がない状態を指すものである。
【0068】
シリンジ針挿入出路(40)の全体としての路長は、シリンジ装着した際に電極針保持部の外枠支持体下部構造体(12)において、シリンジ針挿入出孔(46)からシリンジ針が突出した針長が、第1極性電極針(11)との距離と適切な位置となるような長さでれば特に制限はない。
【0069】
本発明に係るエレクトロポレーション用電極(1)は、シリンジ保持部(20)が、導電性材質で構成されてなる第2極性用通電部(42)を備えた構造となる。
好ましくは、シリンジ保持部(20)は、導電性材質で構成されてなる第2極性用通電部(42)を少なくとも一部に備えたシリンジ針挿入出路(40)を有する構造となる。
【0070】
ここで、第2極性用通電部(42)は、シリンジ装着状態におけるシリンジ針(52)との接触位置を含むように備えられた部材であり、配線等を介して電源に接続することによって、第2極性電極針であるシリング針に電圧印加することを実現する部材である。
第2極性用通電部(42)の材質としては、導電性を有する材質で構成されていることが好適である。通常の電極として使用可能な材質であれば良い。例えば、ステンレス鋼、白金、鉄鋼、銅、鉄、チタン合金、アルミニウム合金、カーボン等の材質のものが好適である。特に錆びにくく且つ生体への影響が懸念されない、ステンレス鋼、白金、チタン合金等の材質のものが好適である。
なお、第2極性用通電部(42)は、配線、導線、及び/又は電源ケーブル等と一体化させた連続部材の態様とすることも可能である。
【0071】
シリンジ針挿入出路の第2極性用通電部(42)の形状としては、シリンジ針挿入出路における第2極性用通電部(42)の少なくとも一部が導電性物質からなる直管構造を有する構造であって、シリンジ針挿入時にシリンジ針(52)との接触が担保される内径又は内幅を有するものであることが好適である。
【0072】
第2極性用通電部(42)の形状としては、シリンジ装着状態においてシリンジ針(52)への通電機能を担保しえる形状であれば特に制限はないが、具体的には、シリンジ針挿入が可能な微細な挿入出路形状とすることによって、シリンジ針(52)との接触が担保される形状とすることが好ましい。
当該形状を実現する形状としては、シリンジ針挿入出路(40)の当該部分自体を導電性材質の物質で形成させることで実現することが可能である。また、シリンジ針挿入出路(40)の内側を導電性物質で形成させる又は被覆やコーティングすることによっても、シリンジ針挿入出路(40)を第2極性用通電部(42)として機能させることが可能である。
【0073】
また、シリンジ針挿入出路の第2極性用通電部(42)の形状としては、シリンジ針を最後まで挿入した際に確実な接触を確保することが可能であり且つスムースな挿出が可能な内径又は内幅の直管状の挿入出路が好適である。具体的には、最も狭くなる部分の内径又は内幅が0.1〜1mm、好ましくは0.2〜0.8mm、より好ましくは0.3〜0.7mm、更に好ましくは0.35〜0.6mmのものであることが好適である。また、当該最も狭くなる部分の内径又は内幅としては、シリンジ針の外形との差異が0.01〜1mm、好ましくは0.05〜0.5mm、より好ましくは0.07〜0.4mm、更に好ましくは0.1〜0.3mm程度程広いサイズであることが、シリンジ針と第2極性用通電部との確実な接触及びスムースな挿入出の両方を担保する点で好適である。
第2極性用通電部(42)となる挿入出路の路長としては、シリンジ針を最後まで挿入した際に確実な接触を確保することが可能であり且つスムースな挿出が可能な流路長であることが好適である。当該流路長としては、確実な接触を確保するという点で0.1〜10mm、好ましくは0.25〜7.5mm、より好ましくは0.5〜5mmの路長であることが好適である。
【0074】
シリンジ針挿入出路(40)における第2極性用通電部(42)の形成位置としては、シリンジ針挿入出路(40)の中央部及び/又は下部分に形成させることも可能であるが、シリンジヘッド装着部側である上部分を含む位置に形成させることが好適である。
また、第2極性用通電部(42)としては、特にシリンジヘッド装着部の内部構造体(24)が導電性材質で形成されたものである場合には、シリンジヘッド装着部内部構造体の底部(26)と連続又は接続した形状であることが好適である。この場合、配線、導線、及び/又は電源ケーブル等は、シリンジヘッド装着部(21)に接続した態様とすることが可能となる。
【0075】
また、シリンジ針挿入出路の第2極性用通電部(42)付近の形状としては、シリンジ針(52)を挿入する入口である上側の径は若干大きい形状とし、徐々に径を狭める挿入出路形状を採用することができる。当該形状の場合、スムースな挿入が容易になると同時にシリンジ針(52)の接触通電が確実となりやすく好適である。
【0076】
シリンジ針挿入出路(40)の外枠支持体下部構造体側は、絶縁製材質で形成された挿入出路(44)となる。前記電極針保持部の外枠支持体下部構造体(12)は、その底面にシリンジ針挿入出孔(46)を有する構造部材である。
当該絶縁製材質で形成された挿入出路部分の内径又は内幅としては、外枠支持体下部構造体側のシリンジ針挿入出孔(46)と同様の内径又は内幅を採用することができる。絶縁製材質で形成された挿入出路部分の内径については、シリンジ針(52)のスムースな抜き差しが担保できる内径又は内幅が好適である。
当該絶縁製材質で形成された部分の挿入出路の路長としては、外枠支持体下部構造体(12)の厚み部分の長さとなる。なお、絶縁製材質で形成された挿入出路の流路長については、外枠支持体下部構造体(12)の底面から突出したシリンジ針長が所定の長さを担保できる長さであれば特に制限はない。
【0077】
シリンジ針挿入出路(40)の一部は、別途の絶縁製のスペーサー部材(47)にて形成させることも可能である。例えば、スペーサー部材で構成した管構造等を、外枠支持体下部構造体(12)と第2極性用通電部(42)の間を繋ぐシリンジ針挿入出路(40)の一部とすることが可能である。
また、シリンジ針挿入出路(40)は、挿入出路の管壁に空隙を有する構造又は管壁が連続しない断続連通の構造であっても安全性が確保された構造であれば、これを採用することが可能である。
【0078】
スペーサー部
本発明に係るエレクトロポレーション用電極(1)は、実施形態に応じて所望のスペーサー部(47)を備えた形態とすることが可能である。
ここで、スペーサー部(47)を用いる用途としては、通電部材の配置構成を物理的に支持する用途や保護用途等の様々な用途を挙げることができるが、特には第1極性に関する通電部材と第2極性に関する部材との直接接触を防止するために用いる用途を挙げることができる。
スペーサー部(47)を構成する材質としては、絶縁性材質を採用することが好適である。絶縁性材質としては、硬度及び耐久性を有する材質であれば良いが、例えば上記した外枠支持体下部構造体(12)と同様の材質を用いることが好適である。
【0079】
スペーサー部(47)を採用する形態としては、例えば、シリンジ針挿入出路(40)の一部をスペーサー部(47)で構成させる形態を挙げることができる。この場合、シリンジ針挿入出路(40)の第2極性用通電部(42)と、外枠支持体下部構造体の第1極性用通電部(14)の直接の接触を防止することが可能となる。
また、シリンジヘッド装着部の内部構造体(24)が導電性部材で形成される態様の場合では、ロート状や逆円錐状くり抜き形状等の部材をスペーサー部としてかませて配設することによって、シリンジヘッド装着部の内部構造体(24)が第1極性用通電部(14)と接触することを防止することが可能となる。
【0080】
2.シリンジを装着した態様
本発明に係るエレクトロポレーション用電極(1)は、前記シリンジ保持部(20)にシリンジを装着した際に、第2極性用通電部との接触を介してシリンジ針挿入出孔(46)から突出したシリンジ針(52)を第2極性電極針(55)として使用可能とする機能を奏する部材電極である。
従って、本発明においてシリンジ(50)を装着した使用電極の形態では、シリンジ針挿入出孔からシリンジ針が突出した構造を有し、当該突出したシリンジ針が第2極性電極針として機能するエレクトロポレーション用電極となる。
【0081】
[シリンジ装着]
本発明に係る電極においては、シリンジ保持部の構造等に適合するものであれば、特にサイズ等の制限なく既存又は新規のシリンジを装着して使用することが可能である。特には注射筒の容量が0.5〜50mL、好ましくは0.5〜10mL、より好ましくは0.5〜5mL程度のものが好適である。また、注射筒及びプランジャーの材質としては通常のポリプロピレン等の樹脂製のものを挙げることができるが特に制限はない。
【0082】
本発明に係る電極は、シリンジ針挿入出孔から突出したシリンジ針が第2極性用通電部との接触を介して、シリンジ針自体が第2極性電極針として機能するエレクトロポレーション用電極となる。即ち、本発明に係る電極は、シリンジ保持部(20)にシリンジを装着した状態の電極形態においてシリンジ針が第2極性電極針として機能するエレクトロポレーション用電極となる。
ここで、本明細書中、「第2極性電極針」(55)は、第1極性電極針(11)に印加した電圧とは逆の電極極性を示す針状電極となったシリンジ針を指すものである。
【0083】
本発明に係るシリンジ針としては、導電性を有する材質で構成されていることが好適である。シリンジ針を構成する材質としては、通常の電極として使用可能な材質であれば良いが、好ましくは金属製の材質であることが好適である。例えば、ステンレス鋼、チタン合金、白金等の材質のものが好適である。
また、シリンジ針の形状としては、中空針形状であれば如何なる形態でも良く、注射針形状等の針を挙げることができる。外径としては、生体組織への穿孔に適した外径であれば良く、例えば0.08mm(37G)以上、好ましくは0.1mm(36G)以上、より好ましくは0.2mm(34G)以上、更に好ましくは0.26mm(32G)以上であれば好適に使用可能である。外形上限としては、例えば、0.4mm(27G)以下の針を挙げることができる。
【0084】
シリンジ針の長さとしては、生体組織への穿孔に適した長さであれば良いが、本発明に係る電極においては、第2極性電極針となったシリンジ針は、所定の範囲の長さであることが好適である。
具体的には、第2極性電極針となったシリンジ針としては、シリンジ針挿入出孔から突出した針長にて、電極針保持部における外枠支持体下部構造体(12)の底面から突出した第1極性電極針(11)の平均針長と比較して−4〜+2mm、好ましくは−3〜+1mm、より好ましくは−3〜±0mm、さらに好ましくは−2〜−0.5mm、特に好ましくは−1.5〜−0.5mmの範囲であることが好適である。本発明に係る電極においては、装着状態のシリンジ針の先端を当該範囲になるように配設することによって、シリンジ針先端から数mm注入されて外来物質が溜まっている状態の部位に対して効率的に電気パルスを与えることが可能となり好適である。
【0085】
3.製品形態
本発明においては、上記したエレクトロポレーション用電極(1)について、第1極性電極針を複数備えたエレクトロポレーション用電極の製品形態とすることができる。
具体的には、シリンジ保持部(20)にシリンジを装着した際に、シリンジ針挿入出孔(46)から突出したシリンジ針を第2極性電極針として使用可能とする部材電極の形態での製品とすることができる。
また、シリンジ保持部(20)にシリンジを装着してシリンジ針挿入出孔(46)からシリンジ針が突出した構造を有し、当該突出したシリンジ針が第2極性電極針(55)として機能する使用形態での製品とすることもできる。
【0086】
本発明においては、上記した第1極性電極針(11)、電極針保持部(10)、及びシリンジ保持部(20)を構成する部材を含んでなるエレクトロポレーション用電極の組立用キットの製品形態とすることができる。即ち、本発明においては、これらを構成する部材を組み立て可能な状態にて含んでなる組立用キットの形態とすることが可能である。
ここで、本発明に係る組立用キットとしては、第1極性電極針(11)、電極針保持部(10)、及びシリンジ保持部(20)をそれぞれ独立した構成部材として含んでなる製品形態とすることができる。また、当該組立用キットとしては、構成部材のうちの2つの構成部材を接続又は一体化した形態として含んでなるキットとすることもできる。例えば、電極針保持部(10)及びシリンジ保持部(20)を接続又は一体化した形態として、第1極性電極針(11)については分離した形態とすることができる。
また、本発明に係る組立用キットとしては、構成部材の一部を分離可能な形態とすることもできる。また、当該分離した部材の一部は他の部材と接続又は一体化した形態とすることもできる。当該形態の例としては、上記した電極カートリッジ式等の態様を挙げることができる。
【0087】
本発明に係る組立用キットに含まれる構成部材としては、上記構成部材に加えてシリンジ(50)を構成部材として含んでなるキットとすることが可能である。
更にシリンジを含んでなる組立用キットとしては、シリンジを装着しない部材電極(1)は組立状態にして、シリンジ(50)は別途の構成部材として、これらを含んでなる組立キットの形態とすることも可能である。
【0088】
4.in vivo法によるエレクトロポレーション
本発明に係るシリンジを装着したエレクトロポレーション用電極(1)は、in vivoによるエレクトロポレーション法において好適に使用可能な電極である。特に、本発明では、安定した外来物質導入が困難である筋肉組織や皮膚組織等へのin vivoエレクトロポレーションにおいて、安定して高い効率のエレクトロポレーションを実現することが可能となる。
【0089】
本発明においては、当該複数の電極を有するエレクトロポレーション用電極を用いることによって、外来物質を含む溶液の注射及び電圧印加までの一連の操作を極めて短時間で安定して実行することが可能となる。
具体的には、上記構造上の特性によりシリンジ針挿入のみの操作で容易に通電可能状態となる。そのため、フック等を用いて電極を接続する必要がなく使用可能な状態とすることができる。また、本発明においては、電極が所定の長さの固定電極であるため、針深度等を調整することなく直接筋肉組織等への注射が可能である。そして、シリンジからの外来物質の注射と同時に又は即座に電気パルスを与えることが可能となる。更に、当該操作は技術に熟練を要すことなく実行可能である。
加えて、本発明においては、試料充填操作がシリンジ装着のみで可能であるため、電極装置の組立や試料注入等の準備操作を含めて迅速且つ簡便に行うことが可能であり、研究現場や治療現場等において安定して簡便に使用することが可能となる。また、試料交換もシリンジ交換によって簡便に可能であるためコンタミネーション及び感染リスクが低減されたものとなる。
更に、第1極性電極針(11)はエタノール滅菌や加熱滅菌等の滅菌操作が容易であり、必要に応じて第1極性電極針(11)を交換して用いることも可能である。
【0090】
本発明に係る電極は、如何なる電気パルス発生パターンにも対応して使用可能である。例えば、減衰波、矩形波、減衰矩形波、連続波等の如何なる電気パルスへの適用が可能である。また、高電圧ポアーリングパルス及び低電圧トランスファーパルスを連続的に与える多段階式のエレクトロポレーション方法等との組み合わせにより、更なる遺伝子導入効率の向上が期待される。
【実施例】
【0091】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらにより限定されるものではない。
【0092】
[実施例1]『複数の電極針を有するエレクトロポレーション用電極』
本発明に係る電極の一態様として、
図1〜13に示すエレクトロポレーション用電極(1)を製造した。以下、分解図及び構造図等を参照して本実施例にて製造したエレクトロポレーション用電極(1)を説明する。
【0093】
(1)「第1極性に関する構造」
本実施例に係るエレクトロポレーション用電極においては、第1極性電極針(11)としてステンレス鋼材で構成されるスカーレットニードル(径0.26mm、針長8.5mm)を備え、当該電極針3本が第1極性用通電部(14)に溶接固定された構造を有する。第1極性電極針(11)は、ハウジングである外枠支持体下部構造体(12)の底面に穿われた電極針貫通孔(13)に、当該底面に対して垂直方向に挿入固定された固定電極針である。
ここで、第1極性用通電部(14)は約1.5mmの厚みを有し、第1極性電極針を構成する部材との接続部(16)が凹んだ略円状平板部材であって、ステンレス鋼で構成される部材である。当該部材は配線を介して電源と接続される。第1極性用通電部(14)の中央部には、シリンジ針挿入出路(40)が連通するための開口部(15)を備える。
外枠支持体下部構造体(12)は、本実施例に係る電極の外枠本体を構成する部材であり、絶縁製材質であるポリカーボネート樹脂にて構成される部材である。当該外枠支持体下部構造体(12)の外径は底面視の径で10mmである。
【0094】
本実施例に係るエレクトロポレーション用電極(1)においては、外枠支持体下部構造体(12)の底面から突出した第1極性電極針(11)の針長が外枠支持体下部構造体の底面から5mmの固定長である。また、第1極性電極針(11)の配置は、外枠支持体下部構造体(12)の底面視にて同心円上に等間隔に配置された構造である。具体的には、同心円の中心であるシリンジ針挿入出孔(46)の中心から半径1.5mm(直径3mm)の同心円上に配置された構造である。
【0095】
(2)「第2極性に関する構造」
本実施例に係る電極においては、外枠支持体下部構造体(12)より上部分は、外径10mmの略円柱状のシリンジヘッド装着部外部構造体(22)を構成する部材となる。当該部分の内部構造は、内径6mmにて略円柱状にくり抜かれた構造となる。
シリンジヘッド装着部外部構造体(22:外枠支持体上部構造体)の内部には、シリンジヘッド装着部内部構造体(24)が埋設保持された構造となる。シリンジヘッド装着部内部構造体(24)は、ステンレス鋼で構成された部材であり、内径4.4mm及び高さ5.35mmの略円柱状にくり抜かれた構造を有し、その下方向に狭まった内径3.2mm及び高さ1mmの略円柱状にくり抜かれた構造となる。当該内部構造(25)の底面中心には、シリンジ針挿入出孔(45)が形成されてなる。シリンジヘッド装着部内部構造体(24)は配線を介して電源と接続される部材である。
シリンジ装着部内部構造体(24)の下側は、カラーであるスペーサー部(47)を介して外枠支持体下部構造体(12)と接続固定されている。スペーサー部(47)は、絶縁製材質であるポリカーボネート製で構成される部材であり、第2極性に通電している領域が第1極性用通電部(14)と直接に接触することを防止するための絶縁部材として機能している。
【0096】
本実施例に係る電極は、シリンジ装着部内部構造体(24)及び外枠支持体下部構造体(12)が連通し、管状路構造であるシリンジ針挿入出路(40)が形成された構造を有する。
シリンジ装着部内部構造体の底部(26)におけるシリンジ針挿入出孔(45)からは、シリンジ針挿入出流路(40)が外枠支持体下部構造体(12)方向に形成される。シリンジ針挿入出流路(40)は、管長1.6mm及び断面径0.5mmの直管路である第2極性用通電部(42)を形成する。当該通電部では、シリンジ針との接触が確実となるため第2極性の通電が確保される。
第2極性用通電部(42)となる直管路の外側は、当該外壁を保護するようにスペーサー部(47)が管状構造(43)を形成し、第1極性用通電部(14)との接触が防止された構造となる。また、シリンジ針挿入出路(40)の下側部分は、外枠支持体下部構造体(12)の基材で構成される挿入出路(44)となり、外枠支持体下部構造体の底面では径1mmのシリンジ針挿入出孔(46)が形成される。
【0097】
(3)「製造品の形態」
本実施例にて製造した複数の電極針を有するエレクトロポレーション用電極の写真像図を
図11〜13に示す。なお、当該エレクトロポレーション用電極においては、第1極性と第2極性を+及び−のいずれか任意の電極として電圧印加することが可能である。
【0098】
[実施例2]『シリンジ装着態様でのエレクトロポレーション用電極』
上記実施例で製造した電極に市販のシリンジを装着したエレクトロポレーション用電極を組み立て製造した。
【0099】
(1)「シリンジ装着」
実施例1で製造した第1極性電極針を複数備えたエレクトロポレーション用電極に対して、シリンジヘッド装着部内部構造体の底部(26)にあるシリンジ針挿入出孔(45)に、シリンジ(50)の先端であるシリンジ針(52)を最後まで挿入して、外枠支持体下部構造体の底面のシリンジ針挿入出孔(46)から先端を突出させた。これにより、複数の第1極性電極針及び第2極性電極針となったシリンジ針を備えたエレクトロポレーション用電極(1)を組み立てた。
ここで、装着したシリンジ(50)としては、0.5mLインシュリン用シリンジ(マイジェクター(登録商標)テルモ株式会社製)を用いた。また、シリンジ針(52)としては、29G(径0.33mm、針長13mm)を用いた。
本実施例でシリンジ装着した電極では、外枠支持体下部構造体(12)のシリンジ針挿入出孔(46)から突出した第2極性電極針であるシリンジ針(52)の針長は、外枠支持体下部構造体(12)の底面から4mmの固定長であった。これは、第1極性電極針(11)の固定長5mmより1mm短い位置となる針長であった。
【0100】
(2)「製造品の形態」
本実施例にて製造したシリンジ装着した電極の写真像図を
図13Bに示す。当該シリンジ装着は、シリンジ針を挿入するだけの簡易な組み立て操作のみで実行することが可能である。なお、当該電極においては第1極性と第2極性を+及び−いずれか任意の電極として電圧印加することが可能となる。
【0101】
[実施例3]『筋肉組織への遺伝子導入例』
筋肉組織に対して上記実施例で製造した電極針を有するエレクトロポレーション用電極を用いた遺伝子導入試験を行った。
【0102】
マウス大腿筋に対して麻酔下で脱毛剤を塗ってターゲットの毛髪を全て抜き、余分な脱毛剤は70%エタノールにて十分に拭き取り、前処理としてヒアルロニダーゼ(40U/mL)を20μLずつ3回注射して30分程度放置した。その後、上記実施例2に記載のエレクトロポレーション用電極を用いてDNA溶液を注入して電気パルスを与えることによりエレクトロポレーション処理を行った。詳しくは、DNA溶液としてphMGFPを0.5〜1.5μg/μL含む溶液を調製してシリンジ充填し、上記実施例2に記載のエレクトロポレーション用電極を組み立てて表2に記載のDNA量を注入して行った。対照(実験3−1)としてDNAを含まない溶液を用いて同様の処理を行った。エレクトロポレーション装置としてはNEPA21(ネッパジーン株式会社製)を用いた。電気パルス条件は表2に示す条件にて行った。エレクトロポレーション処理から5日経過後にGFP蛍光を観察した。蛍光顕微鏡像を
図14に示した。
【0103】
その結果、上記実施例にて製造した電極を用いてエレクトロポレーション処理を行うことによって、従来技術では導入効率が低い傾向にある骨格筋に対しても容易な操作により良好な遺伝子導入が可能となることが示された。また、当該電極を用いた操作においては、第1極性電極針及び第2極性電極針を組織内に一気に押し込み深度調整等を行うことなく一連の操作を迅速に行うことが可能であった。当該電極ではその構造的特徴によって試料注入及び電圧印加の操作を実質的に同時に実行することが可能であった。
【0104】
以上の結果から、本発明に係るエレクトロポレーション用電極を用いることによって、in vivoでのエレクトロポレーションの操作性が劇的に向上し、導入効率が低い傾向にある骨格筋に対しても良好な遺伝子導入が容易に可能となることが実証された。また、装着したシリンジは市販のディスポシリンジであるため試料充填が容易であり、コンタミや感染等のリスクを低減した状態でのエレクトロポレーションが可能であった。
【0105】
【表2】