特許第6777906号(P6777906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6777906
(24)【登録日】2020年10月13日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】ベッドサイド情報システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/20 20180101AFI20201019BHJP
【FI】
   G16H40/20
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-127192(P2019-127192)
(22)【出願日】2019年7月8日
【審査請求日】2019年12月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505124683
【氏名又は名称】株式会社ヴァイタス
(74)【代理人】
【識別番号】110003074
【氏名又は名称】特許業務法人須磨特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 巧
【審査官】 田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−118782(JP,A)
【文献】 特開2009−129027(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0242969(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 − 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者のベッドサイドに配置される2以上のベッドサイド端末と、サーバと、記憶装置を含むベッドサイド情報システムであって、
前記2以上のベッドサイド端末のうち少なくとも1つは、前記サーバと協働して使用者である患者を認証する認証手段を備えており、
前記記憶装置は、前記2以上のベッドサイド端末を対応付けるとともに、前記ベッドサイド端末のいずれかを介して認証された患者と、それを介して前記認証が行われたベッドサイド端末とを対応付けて記憶しており、
前記サーバは、2以上の前記ベッドサイド端末のうちの1つのベッドサイド端末から診療情報及び/又は院内生活関連情報の閲覧又は入力要求があったとき、前記記憶装置を参照して、前記閲覧又は入力要求をしたベッドサイド端末に対応付けられているベッドサイド端末を介して認証された患者を特定する手段、及び、特定された患者についての前記診療情報及び/又は院内生活関連情報を前記閲覧要求をしたベッドサイド端末に送信するか、前記入力要求を前記特定された患者についてのものとして受け付ける手段を備えているベッドサイド情報システム。
【請求項2】
コンピュータを、請求項1に記載のベッドサイド情報システムにおける前記サーバとして機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はベッドサイド情報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院等の医療機関において、各患者のベッドサイドには種々のベッドサイド端末が配置されている。例えば、入院患者にテレビ、DVD、インターネット等を視聴する手段を提供するベッドサイド端末は、各患者の院内生活のアメニティ向上に資するものであり、他方、患者に診療予定や検査結果、バイタルサイン等を提供するベッドサイド端末は、患者に自分の病状や、治療計画等をより的確に把握、理解する機会を与えるものであり、より安心して院内生活を送る上で重要な役割を果たしている。近年では、満足度の高い医療サービスを患者に提供するために、アメニティ機能と医療情報の提供機能を兼ね備えた高機能なベッドサイド端末が開発されてきており、例えば、患者にとって親しみやすいテレビやタブレット型の端末から医療情報を閲覧できるベッドサイド端末が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ベッドサイド端末を利用したベッドサイド情報システムが開示されている。当該ベッドサイド情報システムは、ベッドサイド端末の使用者が医療スタッフであるか患者であるかに応じて対応する医療情報をベッドサイド端末に送信するものである。すなわち、医療スタッフは、自己の識別情報を入力し認証を受けることによって、医療スタッフ向けの種々の情報を閲覧、更新することができる。その一方で、患者は、自己の識別情報をベッドサイド端末に入力して認証を受けることで、当該ベッドサイド端末を介して、自己の病状の経過情報や、食事の献立、日々の検査結果、検査スケジュール等の医療診療情報や院内生活関連情報を閲覧したり、テレビやビデオ等のアメニティサービスを受けることができる。
【0004】
また、特許文献2には、患者が使用するタブレット端末と、当該タブレット端末と接続されたテレビジョン受像機とを備える病院用医療情報システムが開示されている。当該病院用医療情報システムによれば、入院患者は、識別番号の入力、IDカード、指紋照合等により認証された当該タブレット端末を使用して、院内外のコンピュータから自己の診療情報の情報を取得することができると共に、その日の気分や、診療情報の内容、面会者の有無等に応じて、取得した診療情報を面積の大きいテレビジョン受像機に転送して出力させることができるため、入院患者は快適に診療情報を閲覧することができるとされている。
【0005】
これら従来のベッドサイド情報システムや病院用医療情報システムにおいては、取り扱う医療情報や診療情報が、患者個人のプライバシーに深く関わる情報であるため、これを例えばベッドサイド端末等を介して閲覧するには、端末の使用者が患者本人であるのか、権限のある医師、看護師等の医療スタッフであるのかを厳格に認証することが通常行われている。特許文献1〜2に記載のシステムにおいても、使用者は、システムへのアクセスに際し、識別番号、IDカード、指紋認証等の適宜の手段を介して、認証を経なければならないものである。しかしながら、長い識別番号の入力は手間がかかるものであり、指紋認証やIDカード認証であっても、いちいち認証機器の場所まで移動して、指やIDカードをかざさなければならない。この作業は煩わしく、例えばアメニティ機能を備えたベッドサイド端末でビデオやテレビドラマを視聴しているときにこのような認証作業を行うのは患者にとって心理的及び肉体的に大きな負担であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−285181号公報
【特許文献2】特開2013−125464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記のような従来技術の不都合を解決するために為されたものであり、患者が、自分の個人情報に関わる診療情報及び/又は院内生活関連情報をベッドサイド端末を介して閲覧する際に、そのベッドサイド端末を介していちいち認証を受けなくても、自分の診療情報及び/又は院内生活関連情報を閲覧できるベッドサイド情報システムと、そのようなシステムを実現するためのプログラムを提供することを課題する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねる過程で、往々にして各患者のベッドサイドには、病院や医療機関等の医療情報システムと適宜接続して各種診療情報や医療情報を閲覧・参照できるベッドサイド端末と、主としてアメニティ用に設置されたブラウザ機能を備えたテレビ等のベッドサイド端末とが並置されており、前者のベッドサイド端末は、通常、使用者である患者の認証を経た上で起動状態にある点に着目した。そして、これら複数のベッドサイド端末間において、それらのうちの1つを介して認証された認証済みの患者情報を他のベッドサイド端末と共有することができれば、前記他のベッドサイド端末において個別の認証作業をせずとも、前記他のベッドサイド端末を利用している患者を特定することができ、当該他のベッドサイド端末から当該患者が自分に関する診療情報を閲覧・参照することを許可しても何ら問題が生じる恐れがないことを見出して、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、患者のベッドサイドに配置される2以上のベッドサイド端末と、サーバと、記憶装置を含むベッドサイド情報システムであって、前記2以上のベッドサイド端末のうち少なくとも1つは、前記サーバと協働して使用者である患者を認証する認証手段を備えており、前記記憶装置は、前記2以上のベッドサイド端末を対応付けるとともに、前記ベッドサイド端末のいずれかを介して認証された患者と、それを介して前記認証が行われたベッドサイド端末とを対応付けて記憶しており、前記サーバは、2以上の前記ベッドサイド端末のうちの1つのベッドサイド端末から診療情報及び/又は院内生活関連情報の閲覧又は入力要求があったとき、前記記憶装置を参照して、前記閲覧又は入力要求をしたベッドサイド端末に対応付けられているベッドサイド端末を介して認証された患者を特定する手段、及び、特定された患者についての前記診療情報及び/又は院内生活関連情報を前記閲覧要求をしたベッドサイド端末に送信するか、前記入力要求を前記特定された患者についてのものとして受け付ける手段を備えているベッドサイド情報システムを提供することによって、上記課題を解決するものである。
【0010】
本発明のベッドサイド情報システムは、その好ましい一態様において、前記閲覧又は入力要求をするベッドサイド端末が、ブラウザ機能を搭載したテレビジョン受像機であり、前記サーバは、前記閲覧又は入力要求をした前記テレビジョン受像機により表示可能な形式の医療コンテンツを生成する手段、及び、前記閲覧又は入力要求をしたベッドサイド端末に前記医療コンテンツを送信する手段を備えている。前記テレビジョン受像機により表示可能な形式とは、例えば、HTML(Hyper Text Markup Language)やXHTML(Extensible Hyper Text Markup Language)などのマークアップ言語によって記載された形式であり、より好適にはHTML形式である。本発明のベッドサイド情報システムは、このような構成を備えることによって、ブラウザ機能を搭載したテレビジョン受像機が備える大面積のディスプレイに診療情報を出力することができる。また、視聴するテレビ番組を切り換えるのと同じ程度の気軽さで、診療情報を閲覧することができるという利点がある。
【0011】
なお、本明細書において、ベッドサイド端末とは、通常、患者のベッドサイドに配置され、種々の診療情報や院内生活関連情報、アメニティ情報を患者や医療スタッフに提供する端末を意味している。本発明のベッドサイド情報システムで用いられるベッドサイド端末としては、例えば、テレビジョン受像機、コンピュータ端末、患者の生体情報を表示するモニタ等が含まれる。しかしながら、本発明のベッドサイド情報システムで用いられるベッドサイド端末は、常にベッドサイドに配置されていることを要件とするものではなく、基本的にベッドサイドで使用されれば良く、患者が適宜ベッドサイドから持ち出して院内で使用することができるタブレット端末のようなポータブル端末を含むものである。
【0012】
また、本明細書において、診療情報とは、患者の病状や診療、治療に関わる情報一般を指し、例えば、医療スタッフが患者を診療する過程で知り得た、患者の身体状況、病状、健康状態、既往歴、アレルギー情報、食事制限等に関する情報や、診療する過程で測定又は記録された検査所見の記録、手術記録、看護記録、服薬記録、エックス線写真等の情報を含むものである。一方で、院内生活関連情報とは、患者の院内生活に関わる情報一般を指し、例えば、院内設備・施設の予約状況、食事の献立情報、院内設備利用料の未払金額情報、診察日程、手術日程などを含むものである。
【0013】
本発明のベッドサイド情報システムは、病院などの医療機関や介護施設内のベッドサイドに設置して有効であることは勿論、在宅医療又は在宅看護の現場における患者のベッドサイドに設置しても有効であることは言うまでもない。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、病院等の医療機関に入院している患者が、自分の個人情報に関わる診療情報及び/又は院内生活関連情報をベッドサイド端末を介して閲覧又は入力する際に、そのベッドサイド端末を介して認証を行わなくても、そのベッドサイド端末の使用者であると特定されるため、患者がベッドサイド端末を介して診療情報及び/又は院内生活関連情報を閲覧又は入力する際に要する労力や手間が大幅に削減される。これにより、患者の院内生活の快適さが向上すると共に、患者は自己の病状や治療方針を気軽にかつ的確に把握する機会が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のベッドサイド情報システムの一例の全体構成を示す概念図である。
図2】複数のベッドサイド端末を対応づける対応テーブルと、そこに記憶されている情報の一例を示す概念図である。
図3】ベッドサイド端末と対応づけられて認証された患者のID情報を記憶した対応テーブルと、そこに記憶されている情報の一例を示す概念図である。
図4】複数のベッドサイド端末と、それらに対応づけられて認証されている患者のID情報を記憶した対応テーブルと、そこに記憶されている情報の一例を示す概念図である。
図5】本発明のベッドサイド情報システムのベッドサイド端末で表示される画面の一例を示す図である。
図6】本発明のベッドサイド情報システムのベッドサイド端末で表示される院内生活関連情報を含む画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施例に基づいて、本発明を詳述するが、本発明が実施例のものに限られないことは勿論である。
【0017】
<システム構成>
図1は、本発明のベッドサイド情報システムの一例の全体構造を示す概念図である。図1において、1は本発明のベッドサイド情報システムを示す。本発明に係るベッドサイド情報システム1において、B、B、Bは、それぞれベッドであり、各ベッドB、B、Bのベッドサイドには、それぞれ第1のベッドサイド端末T1、T1、及びT1、並びに、第2のベッドサイド端末T2、T2、及びT2が配置されている。第1のベッドサイド端末T1、T1、及びT1、及び第2のベッドサイド端末T2、T2、及びT2は、適宜のネットワークNを介してサーバSと接続されている。Mは、サーバSとネットワークNを介して接続されている記憶装置である。本例においては、記憶装置MはサーバSとネットワークNを介して接続されているが、記憶装置MはサーバSに直接接続されていても良い。
【0018】
本例において、第1のベッドサイド端末T1、T1、及びT1は、非接触ICカードリーダライタR、R、Rを備えており、使用者の認証を条件に、医療情報システムに接続され、患者の診療記録や医療記録を適宜閲覧することが可能な端末である。一方、第2のベッドサイド端末T2、T2、及びT2はブラウザ機能を備えたテレビなどの映像音声出力端末であり、非接触ICカードリーダライタR、R、Rなどの患者情報読み取り手段や、患者識別情報の入力手段を有していないが、有していても良いことはいうまでもない。なお、図1において、P、Pは患者、C、Cは、それぞれ患者P、Pに割り当てられたICカードである。
【0019】
本発明のベッドサイド情報システムに使用される第1及び第2のベッドサイド端末は、上述したものに限られず、患者のベッドサイドで使用される端末一般を含み、例えば、タブレット端末、パーソナルコンピュータ端末、患者の生体情報を表示するモニタ等を含む。また、べッドサイド情報システム1においては、第1及び第2のベッドサイド端末はいずれも、患者PのベッドBの近傍に配置されているものであるが、本発明のベッドサイド情報システムに使用される第1及び第2のベッドサイド端末は、常にベッドサイドに配置されていることを要件とするものではない。すなわち、患者が適宜ベッドサイドから持ち出して院内で使用することができるタブレット端末やノートパソコン端末のようなポータブル端末であっても良い。また、本例においては、各患者に割り当てられたベッドサイド端末は2台であるが、各患者に割り当てられたベッドサイド端末は3台以上であっても良い。
【0020】
なお、上述した非接触ICカードリーダライタR、R、Rは、そこにICカードC又はC(又は図示しないICカードC)をかざすと、ICカードC又はC(又は図示しないICカードC)に記憶されている患者P又はP(又は図示しない患者P)の識別情報を読み取り、それをベッドサイド端末T1、T1、T1を介してサーバSに送信する機能を備えており、これにより、ベッドサイド端末T1、T1、T1は、サーバSと協働して、患者P又はP(又は図示しない患者P)の認証を行う認証手段を備えていることになる。
【0021】
なお、患者の認証手段は上述した特定のものに限られず、例えば、ICカードに代えて、患者の腕等に取り付けたバーコード、患者の生体情報、利用者が設定したパスワード等を、利用者である患者のID情報若しくはその一部として用いても良く、その場合、対応するID情報の読み取り装置としては、非接触ICカードリーダライタに代えて、患者の腕等に取り付けた一次元、若しくは二次元バーコードを読み取るバーコード読取機や、患者の生体認証情報を読み取る生体認証情報読取機を用いることとなる。患者のID情報を読み取る代わりに、患者又は関係者が患者のID情報を直接ベッドサイド端末T1、T1、T1に入力するようにしても良い。
【0022】
記憶装置Mは、第1のベッドサイド端末T1、T1、又はT1をそれぞれ識別する識別情報を、それぞれ同じベッドB、B、又はBのベッドサイドに設置されている第2のベッドサイド端末T2、T2、又はT2をそれぞれ識別する識別情報と対応付けて、対応テーブルTbとして、記憶している。対応テーブルTbと、そこに記憶されている情報の一例を図2に示す。図2において、例えば、対応テーブルTbの1行目に記載されている識別情報(192.168.11.101)を有する第1のベッドサイド端末と、同じく1行目に記載されている識別情報(192.168.11.201)を有する第2のベッドサイド端末とが互いに対応付けられて、記憶装置Mに記憶されていることになる。なお、本例では、各ベッドサイド端末の識別情報として、ベッドサイド端末のIPアドレス(Internet Protocol Address)を用いているが、各ベッドサイド端末の識別情報として利用できる情報はIPアドレスに制限されるものではなく、各ベッドサイド端末の端末名やMACアドレス(Media Access Control Address)等、ベッドサイド端末を特定できるものであれば良い。
【0023】
さらに、記憶装置Mは、第1のベッドサイド端末T1、T1、又はT1をそれぞれ識別する識別情報を、それぞれ第1のベッドサイド端末T1、T1、又はT1が、サーバSと協働して認証した患者のID情報と対応付けて対応テーブルTbに記憶している。対応テーブルTbと、そこに記憶されている第1のベッドサイド端末T1、T1、又はT1の識別情報と患者のID情報の一例を図3に示す。例えば、第1のベッドサイド端末T1が、サーバSと協働して患者Pを認証し、他の第1のベッドサイド端末Tlが、サーバSと協働して患者Pを認証した場合には、図3に示すとおり、識別情報(192.168.11.101)を有する第1のベッドサイド端末T1と、ID情報(20190701)を有する患者Pとが互いに対応付けられ、同様に、識別情報(192.168.11.102)を有する第1のベッドサイド端末T1と、ID情報(20190702)を有する患者Pとが互いに対応付けられて、記憶装置Mに記憶されていることになる。このように、利用者である患者P及びPの8桁の数字で表されるID情報が、認証されたベッドサイド端末T1及びT1の識別情報と対応付けられて記憶されており、ベッドサイド端末T1及びT1が、それぞれ患者P及びPをそれぞれ認証したことを示している。一方で、対応テーブルTbにおいて、ベッドサイド端末T1と対応づけられた患者のID情報の欄は空欄となっているが、これは、第1のベッドサイド端末T1は患者のいないベッドサイドに配置されているか、少なくとも使用者である患者の認証を経ていない端末であることを示している。
【0024】
なお、上述した対応テーブルTb、及び、対応テーブルTbは一例に過ぎず、第1及び第2のベッドサイド端末間の対応関係、及び第1のベッドサイド端末とそれを介して認証された患者との対応関係が参照できる限り、記憶装置Mがそれらの対応関係を記憶する態様に特段の制限はなく、必ずしも2つの対応テーブルを記憶している必要はないし、対応テーブルの形式で記憶している必要もない。例えば、図4に示すように、第1のベッドサイド端末T1、T1、T1の識別情報、第2のベッドサイド端末T2、T2、T2の識別情報、及び、認証した患者のID情報を対応づけて記憶した1つの対応テーブルTbが記憶装置Mに記憶されていても良い。
【0025】
ネットワークN上に既存の病院情報システムが存在する場合には、そのシステムの記憶装置の一部を記憶装置M又はその一部として使用しても良い。また、記憶装置Mは、物として単体の記憶装置であっても良いし、ネットワークN上に分散して存在する2つ以上の記憶装置であっても良い。これはサーバについても同様であり、ネットワークN上に既存のサーバが存在する場合には、そのサーバの一部をサーバS若しくはその一部として機能させても良い。また、サーバSは、物として単体のサーバであっても良いし、ネットワークN上に分散して存在する2つ以上のサーバであっても良い。
【0026】
<基本動作方法>
以下、本発明のベッドサイド情報システム1の動作を、ベッドBを利用する患者P、ベッドBのベッドサイドに設置された第1のベッドサイド端末T1及び第2のベッドサイド端末T2を例に説明する。まず、患者Pは、ベッドサイド端末T1に備えられた非接触ICカードリーダライタRにICカードCを近づける。すると、患者のID情報の読み取り手段を備える非接触ICカードリーダライタRは、ICカードCに格納されているカード固有番号「20190701」を患者PのID情報として認識して読み取り、読み取ったID情報を第1のベッドサイド端末T1に送信する。第1のベッドサイド端末T1は、非接触ICカードリーダライタRから送信されてきたID情報をサーバSに送信する。なお、本発明のベッドサイド情報システム1に使用できる患者PのID情報は、ICカードCの固有番号に限られず、ICカードCに別途記憶させたパスワード等のID情報であっても良い。
【0027】
サーバSは、第1のベッドサイド端末T1から患者PのID情報「20190701」を受信すると、受信した患者のID情報が正当なものであるか否かを記憶装置Mを参照しながら確認する。すなわち、記憶装置Mには、通常、管理対象としている患者のリストと、それらの患者についての患者情報として、例えば、患者番号、氏名、年齢、生年月日、性別、住所、緊急連絡先、保険番号、診療科、病名、担当医、診療情報、パスワード等の情報が記憶されており、サーバSは、記憶装置Mのデータと照らし合わせて、受信したID情報の患者が存在する場合、当該患者を第1のベッドサイド端末T1の使用者として認証し、その認証済情報を第1のベッドサイド端末T1に送信する。存在しない場合には、サーバSはエラーメッセージを第1のベッドサイド端末T1に送信する。なお、本例においては、患者PのID情報が記憶装置Mのデータに存在するか否かを確認することのみによって、患者の認証を行っているが、セキュリティを高めるという観点から、閲覧請求される診療情報の内容に応じて、患者のID情報に加えて、例えば、別途パスワードを要求するなどの認証条件を加算しても良い。
【0028】
さらに、患者Pの認証が為された場合、サーバSは、第1のベッドサイド端末T1から送信されてきた患者PのID情報「20190701」を第1のベッドサイド端末T1が認証した患者PのID情報として、第1のベッドサイド端末T1の識別情報「192.168.11.101」に対応づけて、記憶装置Mに記憶する。このようにして、例えば、図3に示した状態の対応テーブルTbの1行目が生成される。
【0029】
この状態で、例えば、第2のベッドサイド端末T2でテレビ放送を視聴していた患者Pは、第2のベッドサイド端末T2から、自己の診療情報や院内生活関連情報を閲覧したり、入力したりすることができる。すなわち、患者Pが、テレビ放送を視聴していた第2のベッドサイド端末T2のディスプレイ上でメニュー画面を選択すると、例えば、図5に示した画面が表示される。
【0030】
ここで患者Pが、自分が選択可能なその日の夕食の献立を閲覧すべく、図5における「献立」のタブを選択すると、それは「献立」情報についての閲覧要求として、サーバSに送信される。このとき、第2のベッドサイド端末T2は使用者の認証を要することなく使用できる端末であるので、サーバSは、送信されてきた識別情報に基づいて、前記要求を送信してきた端末が第2のベッドサイド端末T2であると認識することはできるが、第2のベッドサイド端末T2から「献立」情報の閲覧を要求してきた患者が誰であるのかを特定することができない。そこでサーバSは、記憶装置Mを参照し、送信されてきた第2のベッドサイド端末T2の識別情報に基づいて、第2のベッドサイド端末T2と対応付けられている端末が第1のベッドサイド端末T1であり、第1のベッドサイド端末T1の認証された使用者が患者Pであることを知り、これに基づいて、第2のベッドサイド端末T2から「献立」情報の閲覧を要求してきた患者が患者Pであると特定することができる。
【0031】
サーバSの上記機能又は動作が、2以上の前記ベッドサイド端末のうちの1つのベッドサイド端末から診療情報及び/又は院内生活関連情報の閲覧又は入力要求があったとき、前記記憶装置を参照して、前記閲覧又は入力要求をしたベッドサイド端末に対応付けられているベッドサイド端末を介して認証された患者を特定する手段に相当する。
【0032】
第2のベッドサイド端末T2から「献立」情報の閲覧を要求してきた患者が患者Pであると特定することができたので、次にサーバSは、記憶装置M又は既存の医療情報システムに記憶されている患者Pについての食事の制限情報にアクセスし、患者Pにはカロリー制限が課せられていることを知り、患者Pが使用者である第2のベッドサイド端末T2に「献立」情報を送信する際、患者Pのカロリー制限情報に基づく注意書きを付することができる。
【0033】
サーバSが第2のベッドサイド端末T2に送信し、そのディスプレイに表示される「献立」情報画面の一例を図6に示す。図6に示すとおり、当日の献立にはA定食とB定食の2種類があるが、患者Pにはカロリー制限が課せられているため、高カロリーであるB定食は選択できない旨が「献立」情報の一部として表示される。なお、「献立」情報は第2のベッドサイド端末T2が認識できる形式であれば、いずれの形式で送信されても良いものであるが、第2のベッドサイド端末T2がブラウザ機能を搭載したテレビジョン受像機である場合には、前記「献立」情報はHTML形式に変換された上で、第2のベッドサイド端末T2に診療情報が送信される。
【0034】
図6の「献立」情報画面を見た患者Pは、B定食を断念してA定食を選択し、その「選択する」ボタンを選択すると、その選択信号は第2のベッドサイド端末T2から、その日の夕食メニューの選択要求となってサーバSに送られる。サーバSは、先に「献立」情報の閲覧要求があったときに特定した第2のベッドサイド端末T2の使用者についての情報を保持している場合にはそのまま、保持していない場合には、前述したのと同様に記憶装置Mを参照して、第2のベッドサイド端末T2の使用者が患者Pであると特定し、送られてきた夕食メニューの選択要求を患者Pについてのものとして受け付け、患者Pが希望する夕食のメニューがA定食であることを記憶装置Mに書き込む。これによって、医療スタッフや給食センターのスタッフは、患者Pの希望する夕食の献立はA定食であると確認することができる。
【0035】
このように本発明に係るベッドサイド情報システム1を利用すれば、患者は、自らが現在使用しているベッドサイド端末が、果たして使用者の認証を済ませたものであるか否かについて全く意識することなく、目の前にあるベッドサイド端末を介して、自己に特化した診療情報又は院内生活関連情報の閲覧を要求したり、入力を要求したりすることができる。患者は、煩わしい認証作業をすることなく、好きなタイミングで、その日食べたい夕食のメニューを選択できるとともに、医療スタッフが直接病室に出向いて夕食の希望を問い合わせる手間が大きく削減される。
【0036】
なお、以上は夕食の献立を選ぶ場合であったが、第2のベッドサイド端末T2を見ている患者Pは、第2のベッドサイド端末T2を介して、自らの診療情報を閲覧することができる。すなわち、例えば図5のメニュー画面で、患者Pが「診療記録」のボタンを選択すると、その選択信号は、「診療記録」についての閲覧要求としてサーバSに送信される。
【0037】
第2のベッドサイド端末T2から「診療記録」の閲覧要求を受信したサーバSは、先に述べたと同様の手順で記憶装置Mを参照し、この閲覧要求を行った患者が、第2のベッドサイド端末T2と対応付けられている第1のベッドサイド端末T1で認証された患者Pであると特定する。この特定に基づきサーバSは、記録装置M又は既存の医療情報システムにアクセスし、患者Pについての要求された診療記録を選択して、第2のベッドサイド端末T2に送信する。
【0038】
このとき、サーバSは、第2のベッドサイド端末T2から「診療記録」の閲覧要求を受信した後、又はこの閲覧要求を行った患者が患者Pであると特定した後、閲覧が可能な診療記録のメニューを第2のベッドサイド端末T2に送信し、閲覧可能な診療記録の種類を提示したり、閲覧を希望する診療記録をより具体的に特定することを求めるようにしても良い。
【0039】
サーバSの上記機能又は動作が、特定された患者についての前記診療情報及び/又は院内生活関連情報を前記閲覧要求をしたベッドサイド端末に送信するか、前記入力要求を前記特定された患者についてのものとして受け付ける手段に相当する。
【0040】
なお、以上説明した例においては、第2のベッドサイド端末T2から行われた閲覧又は入力要求に応じて、サーバSは、第2のベッドサイド端末T2に要求のあった診療情報及び/又は院内生活関連情報を送信したり、第2のベッドサイド端末T2からの診療情報及び/又は院内生活関連情報の入力を受け付けるように構成されているが、例えば、第1、第2のベッドサイド端末に加えて、第3のベッドサイド端末が存在する場合には、第2のベッドサイド端末T2から行われた閲覧又は入力要求に応じて、サーバSは、第2のベッドサイド端末T2を介して指定された第3のベッドサイド端末にも閲覧要求のあった診療情報及び/又は院内生活関連情報を送信したり、第2のベッドサイド端末T2を介して指定された第3のベッドサイド端末からも診療情報及び/又は院内生活関連情報の入力を受け付けるようにしても良い。このようにして、第3のベッドサイド端末を利用できる場合には、患者の診療情報及び/又は院内生活関連情報を複数の端末で閲覧したり、診療情報及び/又は院内生活関連情報に関する入力を複数の端末からすることができるので便利である。
【0041】
なお、上述したベッドサイド端末T1、T1、T1、T2、T2、T2、又は、サーバSの動作は、複数台のコンピュータを、それぞれベッドサイド端末T1、T1、T1、T2、T2、T2、又は、サーバSとして動作させる手順を記載したコンピュータプログラムによって実現されることは言うまでもなく、ベッドサイド端末T1、T1、T1、T2、T2、T2、及び、サーバSが備える各手段は、それぞれが備えるハードウェア資源と、コンピュータプログラムによって実現されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明によれば、病院等の医療機関に入院している患者が、自分の個人情報に関わる診療情報及び/又は院内生活関連情報をベッドサイド端末を介して閲覧又は入力する際に、そのベッドサイド端末を介して自分が正当な利用者であることの認証を行わなくても、そのベッドサイド端末の正当な利用者である患者として特定されるため、患者がベッドサイド端末を介して診療情報及び/又は院内生活関連情報を閲覧又は入力する際に要する手間が大幅に削減される。これにより、患者には、院内生活のアメニティ向上と共に、自己の病状や健康状態をより的確に把握する機会が与えられるという利点が得られるものである。また、患者からの情報入力が促進されることによって、医療スタッフやシステム管理者の負担が低減し、提供される医療サービスの効率化及び質の向上が期待される。
【符号の説明】
【0043】
1、2 ベッドサイド情報システム
、P 患者
、B、B ベッド
T1、T1、T1 第1のベッドサイド端末
T2、T2、T2 第2のベッドサイド端末
、C、C ICカード
、R、R ICカードリーダライタ
N ネットワーク
S サーバ
M 記憶装置
Tb、Tb、Tb 対応テーブル
【要約】      (修正有)
【課題】患者が、自分の診療情報及び/又は院内生活関連情報を閲覧できるベッドサイド情報システムを提供する。
【解決手段】患者のベッドサイドに配置される2以上のベッドサイド端末T1〜T2と、サーバSと、記憶装置Mを含むベッドサイド情報システム1であって、ベッドサイド端末のうち少なくとも1つは、サーバと協働して使用者である患者を認証する。記憶装置は、端末のいずれかを介して認証された患者と、認証が行われたベッドサイド端末とを対応付けて記憶している。サーバは、ベッドサイド端末から診療情報及び/又は院内生活関連情報の閲覧又は入力要求があったとき、記憶装置を参照して、閲覧又は入力要求をしたベッドサイド端末に対応付けられている認証された患者を特定し、特定された患者についての診療情報及び/又は院内生活関連情報をベッドサイド端末に送信するか、入力要求を特定された患者についてのものとして受け付ける。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6