特許第6778034号(P6778034)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6778034透過型光結合装置及び該装置を備える電気機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6778034
(24)【登録日】2020年10月13日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】透過型光結合装置及び該装置を備える電気機器
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/292 20060101AFI20201019BHJP
   H01L 31/12 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   G01F23/292 C
   H01L31/12 D
【請求項の数】10
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-136199(P2016-136199)
(22)【出願日】2016年7月8日
(65)【公開番号】特開2018-4605(P2018-4605A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年3月20日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(72)【発明者】
【氏名】西川 英敏
(72)【発明者】
【氏名】豊田 寛征
(72)【発明者】
【氏名】西垣 伸孝
(72)【発明者】
【氏名】藤山 利也
【審査官】 大森 努
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−270881(JP,A)
【文献】 特開平11−002554(JP,A)
【文献】 特開平08−271320(JP,A)
【文献】 特開平09−178535(JP,A)
【文献】 特開2009−112331(JP,A)
【文献】 特開2000−329609(JP,A)
【文献】 特開2014−006171(JP,A)
【文献】 特開2012−145477(JP,A)
【文献】 特開平09−133568(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0000485(US,A1)
【文献】 特開2012−011230(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0266565(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/292,
H01L 31/12,
A47J 27/00−27/13,27/20−29/06,
A47J 33/00−36/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有する容器に貯留された光透過性を有する液体の貯留レベルを検出可能な透過型光結合装置であって、
前記容器の側壁部に向けて光を出射する発光部と、
前記発光部から出射されて前記容器を透過した光を受光する受光部と、
前記受光部の受光量に基づいて、前記容器に貯留された前記液体の貯留レベルを検出するレベル検出部と、
前記発光部から出射する光のうち、前記受光部の方向に直進して出射される直進光を通過可能とする一方、前記液体内を透過し当該液体と当該液体に接する気体との界面で反射する反射光となりうる非直進光を遮光する出射光規制部とを備え
前記容器が所定場所に対して装着又は脱離されていることを検出する容器検出部をさらに備え、
前記容器検出部は、前記受光部の受光量が、前記液体の貯留レベルを検出する場合の受光量よりも大きい場合に、前記容器の脱離を検出することを特徴とする透過型光結合装置。
【請求項2】
前記出射光規制部は、前記発光部の上側に設けられた上遮光部であることを特徴とする、請求項1に記載の透過型光結合装置。
【請求項3】
他の出射光規制部として、前記発光部の下側に設けられた下遮光部を有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の透過型光結合装置。
【請求項4】
前記レベル検出部は、ヒステリシスを有することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の透過型光結合装置。
【請求項5】
前記受光部は、受光量に応じたアナログ出力を行い、該アナログ出力に対してフィルタ処理又はアベレージング処理を行うことを特徴とする、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の透過型光結合装置。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の透過型光結合装置を備える電気機器。
【請求項7】
前記発光部及び前記受光部が、前記容器における隣り合った側壁部にそれぞれ配置されて、前記発光部から出射された光が前記電気機器に装着された前記容器のコーナー部を横切るように前記透過型光結合装置が構成され、
前記発光部と前記受光部とを対向配置して光学的に結合することを特徴とする、請求項に記載の電気機器。
【請求項8】
光透過性を有する容器に貯留された光透過性を有する液体の貯留レベルを検出可能な透過型光結合装置を備える電気機器であって、
前記容器の側壁部に向けて光を出射する発光部と、
前記発光部から出射されて前記容器を透過した光を受光する受光部と、
前記受光部の受光量に基づいて、前記容器に貯留された前記液体の貯留レベルを検出するレベル検出部と、
前記容器が所定場所に装着又は脱離されているのを検出する容器検出部と、
動作初期において前記容器検出部によって前記容器の脱離が検出されたときに前記受光部が受光した受光量を初期受光量として記憶する記憶部と、
前記容器検出部によって前記容器の脱離が検出されたときに前記受光部が受光した受光量と、前記記憶部に記憶された前記初期受光量とを比較して、前記初期受光量に対する前記受光量の低下が所定値よりも大きいか否かを検出する受光量低下検出部と、
前記初期受光量に対する前記受光量の低下が所定値よりも大きい場合に、前記受光量の低下を通知する通知部とを備え、
前記発光部及び前記受光部が、前記容器における隣り合った側壁部にそれぞれ配置されて、前記発光部から出射された光が前記電気機器に装着された前記容器のコーナー部を横切るように前記透過型光結合装置が構成され、
前記発光部から出射される光のうちの発光指向角の発光エッジ光と前記受光部で受光される光の受光指向角の受光エッジ部とが、光学的に結合することを特徴とする電気機器。
【請求項9】
前記発光部及び前記受光部は、前記容器の深さ方向に配置された複数の発光素子及び複数の受光素子をそれぞれ有し、
前記発光部での前記複数の発光素子の全てを発光させるとともに、前記受光部は、前記複数の受光素子によって生成された各光電流値を加算した加算値に対応した出力値を出力することを特徴とする、請求項又は請求項に記載の電気機器。
【請求項10】
光透過性を有する容器に貯留された光透過性を有する液体の貯留レベルを検出可能な透過型光結合装置を備える電気機器であって、
前記容器の側壁部に向けて光を出射する発光部と、
前記発光部から出射されて前記容器を透過した光を受光する受光部と、
前記受光部の受光量に基づいて、前記容器に貯留された前記液体の貯留レベルを検出するレベル検出部と、
前記発光部から出射する光のうち、前記受光部の方向に直進して出射される直進光を通過可能とする一方、前記液体内を透過し当該液体と当該液体に接する気体との界面で反射する反射光となりうる非直進光を遮光する出射光規制部とを備え、
前記容器が所定場所に装着又は脱離されているのを検出する容器検出部と、
動作初期において前記容器検出部によって前記容器の脱離が検出されたときに前記受光部が受光した受光量を初期受光量として記憶する記憶部と、
前記容器検出部によって前記容器の脱離が検出されたときに前記受光部が受光した受光量と、前記記憶部に記憶された前記初期受光量とを比較して、前記初期受光量に対する前記受光量の低下が所定値よりも大きいか否かを検出する受光量低下検出部と、
前記初期受光量に対する前記受光量の低下が所定値よりも大きい場合に、前記受光量の低下を通知する通知部とを備えることを特徴とする、電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、透過型光結合装置及び該装置を備える電気機器に関し、詳細には、光透過性を有する容器に貯留された光透過性を有する液体の貯留レベルを検出する透過型光結合装置及び該装置を備える電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、点滴筒の内壁の中心を避ける位置に配設される発光器と、点滴筒の薬液が発光線上にない場合に受光可能となる位置に配設される受光器とから構成されて、点滴筒に固定される検出器を備える液面検出装置を開示する。
【0003】
特許文献2は、発光素子と受光素子とが対向して配設され、発光素子と受光素子とを結ぶ光軸が、被測定容器の光入射側の内壁面に対して傾斜して横切るように位置決めされた液体検出器を開示する。
【0004】
特許文献3は、容器又は容器に連通する液室の一部を挟んで発光手段と受光手段とを配置し、透過光量の変化により液面検出手段において、容器又は液室の内面の透過光軸が横断する部分を濡れ性の高い部材で形成する液面検出手段を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平02−295567号公報
【特許文献2】特開昭61−270881号公報
【特許文献3】特開平05−340791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の液面検出装置では、点滴筒及び薬液の屈折作用を利用して液面の検出が行われており、薬液の有無によって、受光器が受光不可の位置又は受光可能な位置になるように、点滴筒及び薬液の屈折作用を調整する必要がある。
【0007】
特許文献2の液体検出器においても、被測定容器及び液体の屈折作用を利用して液面の検出が行われており、液体の有無によって、受光素子が受光不可の位置又は受光可能な位置になるように、被測定容器及び液体の屈折作用を調整する必要がある。
【0008】
特許文献3の液面検出手段では、光透過性の低いインクによって、発光手段からの光線が遮られるか否かによって透過光量が変化し、透過光量の変化によってインク液面の高さが検出されており、光透過性が非常に低いインクの遮光性を利用している。したがって、特許文献3の液面検出手段で対象とされる液体として、光透過性を有する液体を使用することは不適切である。
【0009】
このように、特許文献1及び特許文献2は、被測定容器及び液体の屈折作用を利用し、特許文献3は、透過光量の変化を利用している。しかしながら、特許文献3では、インクの遮光性が利用されており、インクが光透過性を有すると誤検出する可能性がある。
【0010】
ところで、光透過性を有する液体の液面を透過光量の変化によって検出する場合、発光部から出射された光が受光部でダイレクトに受光されることすなわち直接光が受光部で受光されることが、正確な貯留レベルの検出の面で好ましい。しかしながら、現実には、容器と液体との間で屈折率が異なるために、液体を貯留した容器には界面が存在する。例えば、空気と液体との間及び容器の底面部と液体との間には、それぞれ、液面及び底界面が存在する。そして、界面に対する入射角度によっては、界面に入射した光が透過するのではなく界面で反射する。このため、液面や底界面で反射した反射光すなわち間接光が、受光部で受光される。当該反射光が受光部で受光されることによって、受光部での受光量が液体の貯留レベルに対応したものにならず、誤検出するおそれがある。
【0011】
したがって、この発明の解決すべき技術的課題は、液体内を透過し当該液体と当該液体に接する気体との界面で反射した反射光が受光部で受光されることを防止して貯留レベルを正確に検出する透過型光結合装置及び該装置を備える電気機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記技術的課題を解決するために、この発明によれば、以下の透過型光結合装置が提供される。
【0013】
光透過性を有する容器に貯留された光透過性を有する液体の貯留レベルを検出可能な透過型光結合装置であって、
前記容器の側壁部に向けて光を出射する発光部と、
前記発光部から出射されて前記容器を透過した光を受光する受光部と、
前記受光部の受光量に基づいて、前記容器に貯留された前記液体の貯留レベルを検出するレベル検出部と、
前記発光部から出射する光のうち、前記受光部の方向に直進して出射される直進光を通過可能とする一方、前記液体内を透過し当該液体と当該液体に接する気体との界面で反射する反射光となりうる非直進光を遮光する出射光規制部とを備えることを特徴とする。
【0014】
好ましくは、前記出射光規制部は、前記発光部の上側に設けられた上遮光部である。
【0015】
好ましくは、他の出射光規制部として、前記発光部の下側に設けられた下遮光部を有する。
【0016】
好ましくは、前記容器が所定場所に対して装着又は脱離されていることを検出する容器検出部をさらに備え、
前記容器検出部は、前記受光部の受光量が、前記液体の貯留レベルを検出する場合の受光量よりも大きい場合に、前記容器の脱離を検出する。
【0017】
好ましくは、前記レベル検出部は、ヒステリシスを有する。
【0018】
好ましくは、前記受光部は、受光量に応じたアナログ出力を行い、該アナログ出力に対してフィルタ処理又はアベレージング処理を行う。
【0019】
また、この発明の電気機器は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の透過型光結合装置を備える。
【0020】
好ましくは、前記発光部及び前記受光部が、前記容器における隣り合った側壁部にそれぞれ配置されて、前記発光部から出射された光が前記電気機器に装着された前記容器のコーナー部を横切るように前記透過型光結合装置が構成され、
前記発光部と前記受光部とを対向配置して光学的に結合する。
【0021】
この発明によれば、光透過性を有する容器に貯留された光透過性を有する液体の貯留レベルを検出可能な透過型光結合装置を備える電気機器であって、
前記容器の側壁部に向けて光を出射する発光部と、
前記発光部から出射されて前記容器を透過した光を受光する受光部と、
前記受光部の受光量に基づいて、前記容器に貯留された前記液体の貯留レベルを検出するレベル検出部とを備え、
前記発光部及び前記受光部が、前記容器における隣り合った側壁部にそれぞれ配置されて、前記発光部から出射された光が前記電気機器に装着された前記容器のコーナー部を横切るように前記透過型光結合装置が構成され、
前記発光部から出射される光のうちの発光指向角の発光エッジ光と前記受光部で受光される光の受光指向角の受光エッジ部とが、光学的に結合する電気機器が提供される。
【0022】
好ましくは、前記発光部及び前記受光部は、前記容器の深さ方向に配置された複数の発光素子及び複数の受光素子をそれぞれ有し、
前記発光部での前記複数の発光素子の全てを発光させるとともに、前記受光部は、前記複数の受光素子によって生成された各光電流値を加算した加算値に対応した出力値を出力する。
【0023】
好ましくは、前記容器が所定場所に装着又は脱離されているのを検出する容器検出部と、
動作初期において前記容器検出部によって前記容器の脱離が検出されたときに前記受光部が受光した受光量を初期受光量として記憶する記憶部と、
前記容器検出部によって前記容器の脱離が検出されたときに前記受光部が受光した受光量と、前記記憶部に記憶された前記初期受光量とを比較して、前記初期受光量に対する前記受光量の低下が所定値よりも大きいか否かを検出する受光量低下検出部と、
前記初期受光量に対する前記受光量の低下が所定値よりも大きい場合に、前記受光量の低下を通知する通知部とを備える。
【発明の効果】
【0024】
この発明の透過型光結合装置によれば、受光部の方向に直進しないで出射される光が出射光規制部によって遮光されるので、液体を貯留した容器内の界面で反射する反射光が減少して、反射光が受光部で受光されにくくなる。そのため、反射光に起因した誤検出を防止できる。したがって、界面で反射した反射光が受光部で受光されることを防止して、容器に貯留された液体の貯留レベルを正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】この発明の第1実施形態に係る透過型光結合装置を備える加熱調理器の模式正面図。
図2図1に示した加熱調理器の模式縦断面図。
図3図1に示した加熱調理器の制御ブロック図。
図4】上記透過型光結合装置及び該装置の設置された容器の模式横断面図。
図5図4に示した透過型光結合装置の模式縦断面図。
図6】透過型光結合装置における発光部の模式説明図。
図7】この発明の第2実施形態に係る透過型光結合装置及び該装置の設置された容器の模式横断面図。
図8図7に示した透過型光結合装置の設置された容器のコーナー部を発光部側から見たときの模式縦断面図。
図9図7に示した透過型光結合装置の設置された容器のコーナー部を発光部及び受光部を含む断面における模式縦断面図。
図10】容器内での液体の貯留レベルと受光部での出力値との関係を説明する図。
図11】複数の受光素子によって生成された光電流を加算するときの回路図。
図12】液体の供給方向の閾値と排出方向の閾値とが異なるようにレベル検出部がヒステリシスを有するように構成されていることを説明する図。
図13】第4実施形態に係る透過型光結合装置の要部を示す模式縦断面図。
図14図13に示した透過型光結合装置における容器内での液体の貯留レベルと受光部での出力値との関係を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、この発明の第1実施形態に係る透過型光結合装置50を備える加熱調理器1を説明する。なお、この実施形態は、あくまでも一例であって、この発明は当該実施形態に限定されるものではない。
【0027】
〔第1実施形態〕
図1は、この発明の第1実施形態の透過型光結合装置50を備える加熱調理器1を前方から見たときの状態を示す模式図である。
【0028】
この加熱調理器1は、図1に示すように、直方体形状の本体ケーシング1aと、この本体ケーシング1a内に設けられた加熱室2と、本体ケーシング1aの前面側に下側の辺を軸に回動可能に取り付けられた扉3と、本体ケーシング1aに収容されると共に着脱可能に取り付けられた給水タンク4とを備えている。なお、給水タンク4は、光透過性を有する液体としての水70を貯留する容器の一例である。
【0029】
本体ケーシング1aの上側かつ後側には、吹出口5aを有する排気ダクト5が設けられている。この加熱室2内の蒸気などが吹出口5aから外部へ排気される。
【0030】
加熱室2は、被加熱物20(図2に示す)を出し入れするための開口部2aを前側に有する。
【0031】
扉3は、加熱室2の開口部2aを開閉する。この扉3の前面(加熱室2とは反対側の表面)には、耐熱性を有する透明な外ガラス6が設けられている。また、扉3は、外ガラス6の上側に位置するハンドル7と、外ガラス6の右側に設けられた操作パネル8とを有する。
【0032】
操作パネル8は、カラー液晶表示部9、ボタン群10及びダイヤル11を有する。このボタン群10は、途中で加熱を止めるときや、操作をやり直すときに押圧される取り消しボタンと、レンジ加熱を自動で行ったり、他の加熱を開始したりするときに押圧される温めスタートボタンとなどを含んでいる。また、ダイヤル11は、レンジの出力を調整するときになどに使用する。
【0033】
給水タンク4は、本体ケーシング1aに取り付けられると、扉3の右側の部分の下側に位置する。このとき、給水タンク4の前面は、他の部材で覆われずに露出する。給水タンク4は、光透過性を有する樹脂部材(例えば、ポリカーボネート)からなっている。
【0034】
図4及び5に示すように、給水タンク4は、全体として直方体形状をしており、蓋4aと、発光側側壁部4bと受光側側壁部4cと他の2つの側壁部と底面部4dとを有する筐体とから構成されている。受光側側壁部4c側の底面部4dには、受光側側壁部4cの方に上向きに傾斜した傾斜部4eが形成されている。隣り合った側壁部である発光側側壁部4b及び受光側側壁部4cが交わる部分とその近傍には、コーナー部4fが形成されている。
【0035】
水70(液体)が給水タンク4に貯留されると、水70と当該水70に接する空気74(気体)との間には、液面71(界面)が形成される。また、水70と当該水70に接する給水タンク4の底面部4dとの間には、底界面72(界面)が形成される。
【0036】
図2は、加熱調理器1を前後方向に平行な鉛直面で切った断面を示す模式図である。
【0037】
本体ケーシング1a内かつ加熱室2外には、水蒸気発生装置12が設置されている。この水蒸気発生装置12は、給水タンク4からの水70をヒータ加熱して水蒸気にして加熱室2内に供給したり、その水蒸気をさらにヒータ加熱して過熱水蒸気にして加熱室2内に供給したりする。このとき、給水タンク4から水蒸気発生装置12への送水は、給水ポンプ13(図3に示す)によって行われる。なお、過熱水蒸気とは、100℃を超える温度になった水蒸気のことである。
【0038】
また、加熱室2の下側には、マグネトロン14(図3に示す)が発生させたマイクロ波を攪拌するアンテナ15が設置されている。このアンテナ15はモータ19によって回転駆動される。
【0039】
加熱室2は、被加熱物20を搭載するトレイ16を収容可能に形成されている。このトレイ16は、加熱室2の内壁面の棚受け(図示せず)で支持される。また、トレイ16上の被加熱物20は、水蒸気発生装置12からの水蒸気や過熱水蒸気で加熱されたり、上ヒータ17や下ヒータ18の輻射熱で加熱されたりする。また、上ヒータ17下には加熱室2の天壁があり、下ヒータ18上には加熱室2の底壁があって、上ヒータ17及び下ヒータ18は加熱室2内に露出していない。なお、底壁はセラミックから成っており、加熱室2の底壁以外の壁は金属からなっている。
【0040】
また、加熱調理器1は、給水タンク4に貯留された水70の貯留レベルを検出する透過型光結合装置50を備えている。透過型光結合装置50は、本体ケーシング1aに取り付けられた給水タンク4の後部側、すなわち、給水タンク4の取り出し側の反対側に設置されている。
【0041】
透過型光結合装置50は、給水タンク4の発光側側壁部4bに向けて光を出射する発光部30と、発光部30から出射されて給水タンク4を透過した光を受光する受光部40と、発光部30及び受光部40を支持して本体ケーシング1aに取り付けるための支持体52とを備えている。
【0042】
発光部30は、近赤外光を出射する少なくとも1つの発光素子を有し、この実施形態では給水タンク4の深さ方向に配置された3つの発光素子、すなわち第1発光素子31と第2発光素子32と第3発光素子33とを有する。発光部30は、給水タンク4の発光側側壁部4bに向けて略水平に光を出射するように構成されている。各発光素子31,32,33は、例えば、近赤外光を出射する発光ダイオードであり、発光基板34の上に取り付けられている。
【0043】
受光部40は、発光部30の発光素子に対応する少なくとも1つの受光素子を有し、この実施形態では給水タンク4の深さ方向に配置された3つの受光素子、すなわち第1受光素子41と第2受光素子42と第3受光素子43とを有する。受光部40は、発光部30から略水平に出射されて給水タンク4を略水平に透過した光を受光する。各受光素子41,42,43は、例えば、近赤外光を受光するフォトダイオードであり、受光基板44の上に取り付けられている。受光部40は、各受光素子41,42,43が受光した受光量に応じた出力値(例えば、出力電圧)を出力する。
【0044】
図3は、加熱調理器1の制御ブロック図である。
【0045】
加熱調理器1は、マイクロコンピュータと入出力回路などからなる制御装置60を備えている。この制御装置60には、マグネトロン14,操作パネル8,水蒸気発生装置12,給水ポンプ13,上ヒータ17,下ヒータ18,モータ19,記憶部22,通知部23,発光部30及び受光部40などが接続されている。
【0046】
制御装置60は、操作パネル8からの信号に基づいて、マグネトロン14,操作パネル8,水蒸気発生装置12,給水ポンプ13,上ヒータ17,下ヒータ18,モータ19などを制御する。また、制御装置60は、発光部30の発光を制御し、発光部30からの光を受光する受光部40からの出力値に基づいて、給水タンク4内での水70の貯留レベルを検出する。すなわち、制御装置60は、透過型光結合装置50の受光部40からの出力値に基づき、給水タンク4の有無と、給水タンク4に貯留された水70の有無を検出する。そして、受光部40が受光する受光量の大きさは、給水タンク4が装着されていないとき、給水タンク4が装着されて給水タンク4内に水70が貯留されていないとき、給水タンク4が装着されて給水タンク4内に水70が貯留されているとき、の順で大きくなる。
【0047】
記憶部22は、制御装置60との間での様々な情報のやりとりを行うための様々な制御プログラムを記憶されている。そして、記憶部22は、動作初期において容器検出部60aによって給水タンク4の脱離が検出されたときに受光部40が受光した受光量を初期受光量として記憶する。記憶部22は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などから構成されている。
【0048】
通知部23は、初期受光量に対する受光量の低下が所定値よりも大きい場合に、受光量の低下を通知するときに使用される。通知部23は、スピーカーによって音声で通知したり、表示部によって視覚で通知する。
【0049】
制御装置60は、容器検出部60aと、レベル検出部60bと、受光量低下検出部60cとを有する。
【0050】
容器検出部60aは、受光部40での受光量すなわち受光部40から出力された出力値に基づいて、給水タンク4が本体ケーシング1aの所定位置に装着されているか又は脱離されているかを判定して、給水タンク4の有無を検出する。
【0051】
レベル検出部60bは、受光部40での受光量すなわち受光部40から出力された出力値に基づいて、給水タンク4内に水70が或る貯留レベルにあるか否かを判定して、給水タンク4に貯留された水70の貯留レベルを検出する。
【0052】
受光量低下検出部60cは、容器検出部60aによって給水タンク4の脱離が検出されたときに受光部40が受光した受光量と、記憶部22に記憶された初期受光量とを比較して、初期受光量に対する受光量の低下が所定値よりも大きいか否かを検出する。
【0053】
そして、容器検出部60a、レベル検出部60b及び受光量低下検出部60cは、それぞれ、ソフトウェアから構成されている。
【0054】
発光部30と給水タンク4の発光側側壁部4bとの間には、出射光規制部35a及び他の出射光規制部35bが設けられている。出射光規制部35a及び他の出射光規制部35bは、発光部30の一部分として組み込まれて、出射光が出射される部分を除いて発光素子31,32,33の発光側を覆うように発光素子31,32,33の近傍に配設されている。なお、出射光規制部35a及び他の出射光規制部35bは、発光側側壁部4bの側に、あるいは、発光部30と発光側側壁部4bとの中間部分に配設してもよい。
【0055】
発光素子31,32,33の出射側には、出射光規制部としての上遮光部35a、他の出射光規制部としての下遮光部35bと、受光部40の方向に直進して出射される直進光を通過可能とする出射開口35cとが設けられている。上遮光部35aは、受光部40の方向に直進しないで水70内を透過して液面71(界面)で反射する反射光となりうる非直進光を遮光する。下遮光部35bは、受光部40の方向に直進しないで水70内を透過して底界面72(界面)で反射する反射光となりうる非直進光を遮光する。したがって、出射光規制部35a及び他の出射光規制部35bは、受光部40の方向に直進して出射される直進光を通過可能とする一方、受光部40の方向に直進しないでそれぞれ液面71(界面)及び底界面72(界面)で反射する反射光となりうる非直進光を遮光する。
【0056】
上遮光部35aは、発光部30の上側に設けられて、上方向に出射される光を遮光する。すなわち、発光部30の光軸より上側に出射され、水70の液面71が当該発光部30の光軸よりも上側にある給水タンク4に貯留された水70の液面71方向に出射される光を遮光する。発光部30が複数の発光素子(例えば、第1発光素子31,第2発光素子32,第3発光素子33)を有する場合、各発光素子31,32,33の上側に上遮光部35aがそれぞれ設けられる。第2発光素子32に設けられた上遮光部35aは、第2発光素子32から出射された光が第1受光素子41で受光されるのを防止する機能を有する。また、第3発光素子33に設けられた上遮光部35aは、第3発光素子33から出射された光が第1受光素子41及び第2受光素子42で受光されるのを防止する機能を有する。当該上遮光部35aにより、対になっていない発光素子及び受光素子間でのいわゆるクロストークの発生を防止できる。
【0057】
下遮光部35bは、発光部30の下側に設けられて、下方向に出射される光を遮光する。すなわち、発光部30の光軸より下側に出射され、水70の液面71が当該発光部30の光軸よりも上側にある水70の貯留された給水タンク4の底面部4d方向すなわち底界面72方向に出射される光を遮光する。発光部30が複数の発光素子(例えば、第1発光素子31,第2発光素子32,第3発光素子33)を有する場合、下遮光部35bは、各発光素子31,32,33の下側にそれぞれ設けられる。第1発光素子31に設けられた下遮光部35bは、第1発光素子31から出射された光が第2受光素子42及び第3受光素子43で受光されるのを防止する機能を有する。また、第2発光素子32に設けられた下遮光部35bは、第2発光素子33から出射された光が第3受光素子43で受光されるのを防止する機能を有する。当該下遮光部35bにより、対になっていない発光素子及び受光素子間でのいわゆるクロストークの発生を防止できる。
【0058】
上遮光部35a及び下遮光部35bは、上下方向(縦方向)に延びる板形状、出射光の直進方向(横方向)に延びる板形状、又は、上下方向(縦方向)及び直進方向(横方向)に延びる形状とすることができる。板形状の上遮光部35a及び下遮光部35bは、例えば、平板形状や湾曲形状や三角(切妻)屋根形状にすることができる。上遮光部35aが湾曲形状又は三角(切妻)屋根形状をしている場合、上方に突出した形状をしている。また、下遮光部35bが湾曲形状又は三角(切妻)屋根形状をしている場合、下方に突出した形状をしている。
【0059】
発光部30は、遮光部として、上遮光部35a及び下遮光部35bをつなぐ連結遮光部35dをさらに備えることができる。光結合のために出射光のうちの中央光Laを用いる場合、例えば図6に示すように、上遮光部35a及び下遮光部35bの左右の両側をつなぐ連結遮光部35dを備える閉じたループ形状とすることができる。閉じたループ形状の遮光部によれば、上下左右方向に出射される光が遮光される。閉じたループ形状としては、円形状、トラック形状、三角形状、正方形、長方形、台形形状等の多角形形状を例示することができる。
【0060】
液面71,底界面72で反射した反射光を受光するのを防止するために、受光部40と給水タンク4の受光側側壁部4cとの間には、出射光規制部35aと同様の受光規制部45aと、他の出射光規制部35bと同様の他の受光規制部45bとが設けられている。受光規制部45a及び他の受光規制部45bは、受光部40の一部分として組み込まれて、光を受光する部分を除いて受光素子41,42,43の受光側を覆うように受光素子41,42,43の近傍に配設されている。なお、受光規制部45a及び他の受光規制部45bは、受光側側壁部4cの側に、あるいは、受光部40と受光側側壁部4cとの中間部分に配設してもよい。
【0061】
受光素子41,42,43の受光側には、受光規制部としての上遮光部45aと、他の受光規制部としての下遮光部45bと、直進光を通過可能とする受光開口45cとが設けられている。
【0062】
上遮光部45aは、受光部40の上側に設けられて、上方向から入射される光を遮光する。すなわち、発光部30の光軸より上側に出射され、水70の液面71が当該発光部30の光軸よりも上側にある給水タンク4に貯留された水70の液面71で反射した光(非直進光)を遮光する。受光部40が複数の受光素子(例えば、第1受光素子41,第2受光素子42,第3受光素子43)を有する場合、各受光素子41,42,43の上側にそれぞれ設けられる。第2受光素子42に設けられた上遮光部45aは、第1発光素子31から出射された光を遮光する機能を有する。第3受光素子43に設けられた上遮光部45aは、第1発光素子31及び第2発光素子32から出射された光を遮光する機能を有する。当該上遮光部45aにより、対になっていない発光素子及び受光素子間でのいわゆるクロストークの発生を防止できる。
【0063】
下遮光部45bは、受光部40の下側に設けられて、下方向から入射される光を遮光する。すなわち、発光部30の光軸より下側に出射され、水70の液面71が当該発光部30の光軸よりも上側にある水70の貯留された給水タンク4の底面部4dすなわち底界面72で反射した光(非直進光)を遮光する。受光部40が複数の受光素子(例えば、第1受光素子41,第2受光素子42,第3受光素子43)を有する場合、下遮光部45bは、各受光素子41,42,43の下側にそれぞれ設けられる。第1受光素子41に設けられた下遮光部45bは、第2発光素子32及び第3発光素子33から出射された光を遮光する機能を有する。第2受光素子42に設けられた下遮光部45bは、第3発光素子33から出射された光を遮光する機能を有する。当該下遮光部45bにより、対になっていない発光素子及び受光素子間でのいわゆるクロストークの発生を防止できる。
【0064】
上遮光部45a及び下遮光部45bは、上下方向(縦方向)に延びる板形状、入射光の直進方向(横方向)に延びる板形状、又は、上下方向(縦方向)及び直進方向(横方向)に延びる形状とすることができる。板形状の上遮光部45a及び下遮光部45bは、例えば、平板形状や湾曲形状や三角(切妻)屋根形状にすることができる。上遮光部45aが湾曲形状又は三角(切妻)屋根形状をしている場合、上方に突出した形状をしている。また、下遮光部45bが湾曲形状又は三角(切妻)屋根形状をしている場合、下方に突出した形状をしている。
【0065】
受光部40は、遮光部として、上遮光部45a及び下遮光部45bをつなぐ連結遮光部をさらに備えることができる。光結合のために出射光のうちの中央光Laを用いる場合、上遮光部45a及び下遮光部45bの左右の両側をつなぐ連結遮光部を備える閉じたループ形状とすることができる。閉じたループ形状の遮光部によれば、上下左右方向に受光される光が遮光される。閉じたループ形状としては、円形状、トラック形状、三角形状、正方形、長方形、台形形状等の多角形形状を例示することができる。
【0066】
図4図5図10図11及び図12を参照して、透過型光結合装置50を用いて、給水タンク4に貯留された水70の貯留レベルを検出する方法を説明する。
【0067】
図4は、透過型光結合装置50と、該装置50の設置された給水タンク4とを模式的に示す横断面図である。図5は、図4に示した透過型光結合装置50及び給水タンク4を模式的に示す縦断面図である。
【0068】
透過型光結合装置50は、本体ケーシング1aに装着された給水タンク4の後部側のコーナー部4fに適合するように構成されている。発光部30から発光側側壁部4bに向けて出射された光が、給水タンク4の後部側のコーナー部4fを横切るように、受光部40が発光部30に対向して配置されている。すなわち、発光部30から出射された光が、給水タンク4の発光側側壁部4bと、給水タンク4内に貯留された水70と、給水タンク4の受光側側壁部4cとを透過して受光部40で受光されるように、発光部30及び受光部40が配置されている。
【0069】
図4に示した透過型光結合装置50では、発光側側壁部4bと受光側側壁部4cとが直角をなす給水タンク4に対しては、発光部30から出射される光が発光側側壁部4bに対して或る角度をなすように発光部30が斜めに位置している。そして、受光部40で受光される光が受光側側壁部4cに対して前記或る角度の余角をなすように受光部40が斜めに位置している。例えば、受光部40から出射される光が受光側側壁部4cに対して45度の角度をなし、受光部40で受光される光が受光側側壁部4cに対して45度の角度をなす。
【0070】
第1発光素子31と第1受光素子41とが対になし、発光部30の第1発光素子31から出射された光が受光部40の第1受光素子41で受光される。同様に、第2発光素子32と第2受光素子42とが対になし、第2発光素子32から出射された光が第2受光素子42で受光される。また、第3発光素子33と第3受光素子43とが対になし、第3発光素子33から出射された光が第3受光素子43で受光される。給水タンク4の深さ方向に上から順に、第1発光素子31及び第1受光素子41と,第2発光素子32及び第2受光素子42と、第3発光素子33及び第3受光素子43とが配設されている。
【0071】
第1発光素子31から出射された光のうち、液面71方向に出射された光が、上遮光部35aで遮光されて、液面71で反射光が生じることが防止される。それにより、液面71での反射光が第1受光素子41で受光されるのが防止される。第1発光素子31から出射された光のうち、底界面72方向に出射された光が、下遮光部35bで遮光されて、底界面72で反射光が生じることが防止される。それにより、底界面72での反射光が第1受光素子41で受光されるのが防止される。また、第1受光素子41と対を構成する第1発光素子31以外の発光素子(第2発光素子32及び第3発光素子33)から出射された光が第1受光素子41でダイレクトに受光されるのが防止される。したがって、第1発光素子31から出射された光のうち、光軸周りの光であって比較的発光光度の大きな中央光Laが、第1受光素子41と光学的に結合する。すなわち、第1発光素子31から出射された中央光Laが第1受光素子41でダイレクトに受光され、第1発光素子31からの直接光が第1受光素子41で受光される。
【0072】
同様に、第2発光素子32から出射された光のうち、光軸周りの光であって比較的発光光度の大きな中央光Laが、第2受光素子42と光学的に結合し、第2受光素子42でダイレクトに受光される。第3発光素子33から出射された光のうち、光軸周りの光であって比較的発光光度の大きな中央光Laが、第3受光素子43と光学的に結合し、第3受光素子43でダイレクトに受光される。
【0073】
したがって、第1発光素子31及び第1受光素子41によって上位置の貯留レベルが検出され、第2発光素子32及び第2受光素子42によって中間位置の貯留レベルが検出され、第3発光素子33及び第3受光素子43によって下位置の貯留レベルが検出される。
【0074】
上述したように、発光部30から発光側側壁部4bに向けて出射された光が、給水タンク4の後部側のコーナー部4fを横切るように、受光部40が発光部30に対向して配置されている。これにより、発光部30及び受光部40が給水タンク4における対向する側壁部にそれぞれ設置される場合と比較して、発光部30から受光部40までの光路長が短くなり、光軸のずれによる光結合性の低下を防止できる。
【0075】
図11は、複数の受光素子(第1受光素子41と第2受光素子42と第3受光素子43と)によって生成された光電流を加算するときの回路図である。
【0076】
制御装置60によって、発光部30の各発光素子31,32,33の全てが発光するように制御されている。各発光素子31,32,33のそれぞれが出射した光を受光部40が受光すると、受光部40の受光素子41,42,43は、受光した受光量に応じて、光電流値I、I、Iをそれぞれ出力する。受光部40は、各光電流値I、I、Iを加算した加算値を出力値(例えば、出力電圧)として出力する。各光電流値I、I、Iを加算した1つの加算値を出力することで、受光部40での出力に係る回路構成を簡略化することができる。
【0077】
レベル検出部60bは、受光部40によって出力された出力値(例えば、出力電圧)に基づいて、貯留レベルを検出する。すなわち、受光部40によって出力された出力値(例えば、出力電圧)は、例えばマイコンによってA/D変換され、変換されたデジタル信号が、各貯留レベルに対応する値と比較されることによって、貯留レベルが検出される。
【0078】
図10は、給水タンク4内での水70の貯留レベルと受光部40での出力値(例えば、出力電圧)との関係、及び、本体ケーシング1aの所定位置への給水タンク4の装着又は脱離と受光部40での出力値(例えば、出力電圧)との関係を模式的に示している。図10において、横軸が給水タンク4内での水70の貯留レベルを示し、縦軸が受光部40での出力値(例えば、出力電圧)を示している。なお、横軸及び縦軸に示された各数値は、理解を容易にするための例示であり、当該数値に限定されるものではない。
【0079】
上述したように、発光部30の各発光素子31,32,33の全てが発光して、受光部40は、各受光素子41,42,43が受光した受光量に応じた出力値(例えば、出力電圧)を出力するように構成されている。
【0080】
本体ケーシング1aの所定位置に装着された給水タンク4が水70で大略満たされた状態を初期の満水状態とする。そして、その後、水蒸気発生装置12への送水、すなわち給水タンク4からの排水によって、給水タンク4内での水70の貯留レベル(液面71)が徐々に低下する様子を説明する。
【0081】
初期の満水状態では、水70の貯留レベル(液面71)が第1発光素子31及び第1受光素子41の光軸よりも上位置にあるので、給水タンク4と給水タンク4内に満たされた水70とを透過した光が各受光素子41,42,43で受光されなくなる。各受光素子41,42,43での受光量に応じて出力された各出力値が加算されるが、各受光素子41,42,43が給水タンク4及び水70を透過した光を受光するので、各出力値を加算した加算値が最も低くなる。そのため、初期の満水状態で受光部40から出力される出力値は、出力値Aとして最も低い値になり、理想状態であれば0になる。
【0082】
満水状態から排水が少し排出された高貯水段階でも、水70の貯留レベル(液面71)が第1発光素子31及び第1受光素子41の光軸よりも上に位置する状態が継続するので、受光部40からの出力値が、或る一定の出力値Aを有する。
【0083】
さらなる排水が行われると、水70の貯留レベル(液面71)が第1発光素子31及び第1受光素子41の光軸の近傍に位置する第1貯水段階になる。第1貯水段階では、第1発光素子31から出射された光が給水タンク4の水70の影響を受けなくなるため、第1受光素子41での受光量が増えて第1受光素子41からの出力値が増加する方向になる。
【0084】
しかしながら、出力値が、第1発光素子31の出射開口35c及び第1受光素子41の受光開口45cの影響を受ける。すなわち、第1発光素子31が給水タンク4の深さ方向に或る開口幅を有し、第1受光素子41も、給水タンク4の深さ方向に或る開口幅を有するので、第1発光素子31及び第1受光素子41によって検出できる範囲も、給水タンク4の深さ方向に或る幅を持っている。対の第1発光素子31及び第1受光素子41において、水70によって遮光される出射開口35c及び受光開口45cの比率すなわち開口遮光比率(第1発光素子31の出射開口35c及び第1受光素子41の受光開口45cの各開口面積を合計した総開口面積に対する、水70によって遮光される第1発光素子31の出射開口35c及び第1受光素子41の受光開口45cの各遮光面積を合計した総遮光面積)が、水70の貯留レベル(液面71)に応じて変化する。そのため、第1貯水段階において水70の貯留レベル(液面71)が低下するとき、第1発光素子31及び第1受光素子41における開口遮光比率が低下するので、第1受光素子41からの出力値が、出力値Bとして徐々に増加しながら変化する。すなわち、出力値Bが左肩上がりで増加する。なお、上記説明は、第1発光素子31の出射開口35c及び第1受光素子41の受光開口45cにおいて、出射光及び入射光の光量が各開口面内で均一であってばらつきのないことを前提にしている。
【0085】
さらなる排水が行われると、水70の貯留レベル(液面71)が、第1発光素子31及び第1受光素子41の光軸よりも下に位置するとともに第2発光素子32及び第2受光素子42の光軸よりも上に位置する状態が継続する中貯水段階になる。そのため、中貯水段階では、出力値が、或る一定の出力値Cを有する。
【0086】
さらなる排水が行われると、水70の貯留レベル(液面71)が第2発光素子32及び第2受光素子42の光軸の近傍に位置する第2貯水段階になる。第2貯水段階では、第2発光素子32から出射された光が給水タンク4の水70の影響を受けなくなるため、第2受光素子42での受光量が増えて第2受光素子42からの出力値が増加する方向になる。上記の第1発光素子31及び第1受光素子41と同様に、出力値が、第2発光素子32の出射開口35c及び第2受光素子42の受光開口45cの影響を受ける。すなわち、第2発光素子32が給水タンク4の深さ方向に或る開口幅を有し、第2受光素子42も、給水タンク4の深さ方向に或る開口幅を有するので、第2発光素子32及び第2受光素子42によって検出できる範囲も、給水タンク4の深さ方向に或る幅を持っている。対の第2発光素子32及び第2受光素子42において、水70によって遮光される出射開口35c及び受光開口45cの比率すなわち開口遮光比率(対の第2発光素子32の出射開口35c及び第2受光素子42の受光開口45cの各開口面積を合計した総開口面積に対する、水70によって遮光される第2発光素子32の出射開口35c及び第2受光素子42の受光開口45cの各遮光面積を合計した総遮光面積)が、水70の貯留レベル(液面71)に応じて変化する。そのため、第2貯水段階において水70の貯留レベル(液面71)が低下するとき、第2発光素子32及び第2受光素子42における開口遮光比率が低下するので、第2受光素子42からの出力値が、出力値Dとして徐々に増加しながら変化する。すなわち、出力値Dが左肩上がりで増加する。なお、上記説明は、第2発光素子32の出射開口35c及び第2受光素子42の受光開口45cにおいて、出射光及び入射光の光量が各開口面内で均一であってばらつきのないことを前提にしている。
【0087】
さらなる排水が行われると、水70の貯留レベル(液面71)が、第2発光素子32及び第2受光素子42の光軸よりも下に位置するとともに第3発光素子33及び第3受光素子43の光軸よりも上に位置する状態が継続する低貯水段階になる。そのため、低貯水段階では、出力値が、或る一定の出力値Eを有する。
【0088】
さらなる排水が行われると、水70の貯留レベル(液面71)が第3発光素子33及び第3受光素子43の光軸の近傍に位置する第3貯水段階になる。第3貯水段階では、第3発光素子33から出射された光が給水タンク4の水70の影響を受けなくなるために、第3受光素子43での受光量が増えて第3受光素子42からの出力値が増加する方向になる。上記の第1発光素子31及び第1受光素子41と同様に、出力値が、第3発光素子33の出射開口35c及び第3受光素子43の受光開口45cの影響を受ける。すなわち、第3発光素子33が給水タンク4の深さ方向に或る開口幅を有し、第3受光素子43も、給水タンク4の深さ方向に或る開口幅を有するので、第3発光素子33及び第3受光素子43によって検出できる範囲も、給水タンク4の深さ方向に或る幅を持っている。対の第3発光素子33及び第3受光素子43において、水70によって遮光される出射開口35c及び受光開口45cの比率すなわち開口遮光比率(対の第3発光素子33の出射開口35c及び第3受光素子43の受光開口45cの各開口面積を合計した総開口面積に対する、水70によって遮光される第3発光素子33の出射開口35c及び第3受光素子43の受光開口45cの各遮光面積を合計した総遮光面積)が、水70の貯留レベル(液面71)に応じて変化する。そのため、第3貯水段階において水70の貯留レベル(液面71)が低下するとき、第3発光素子33及び第3受光素子43における開口遮光比率が低下するので、第3受光素子43からの出力値が、出力値Fとして徐々に増加しながら変化する。すなわち、出力値Fが左肩上がりで増加する。なお、上記説明は、第3発光素子33の出射開口35c及び第3受光素子43の受光開口45cにおいて、出射光及び入射光の光量が各開口面内で均一であってばらつきのないことを前提にしている。
【0089】
さらなる排水が行われると、水70の貯留レベル(液面71)が、第3発光素子33及び第3受光素子43の光軸よりも下に位置する状態が継続する底貯水段階になる。そのため、底貯水段階では、出力値が、或る一定の出力値Gを有する。
【0090】
上記のように、給水タンク4内での水70の貯留レベル(液面71)に応じて、受光部40での出力値が変化するので、受光部40での出力値に基づいて、給水タンク4内での水70の貯留レベル(液面71)を検出できる。すなわち、この実施形態では、給水タンク4内での水70の貯留レベル(液面71)として、上から順に、高貯水段階(満水状態)、第1貯水段階、中貯水段階、第2貯水段階、低貯水段階、第3貯水段階及び底貯水段階が検出される。
【0091】
受光部40での受光量すなわち受光部40から出力された出力値に基づいて、給水タンク4が本体ケーシング1aの所定位置に装着されているか又は脱離されているかを判定して、給水タンク4の有無を検出することについて説明する。
【0092】
本体ケーシング1aの所定位置から給水タンク4を取り除くと、発光部30から出射された光を遮光するものが何も無いため、受光部40での受光量が、最大になり、給水タンク4の脱離状態での出力値が、出力値Gよりも大きな出力値Hとして出力される。
【0093】
したがって、受光部40からの出力値が出力値Gよりも大きな出力値Hが得られるならば、給水タンク4が本体ケーシング1aの所定位置から脱離していることが検出される。容器検出部60aは、受光部40の受光量すなわち受光部40から出力された出力値(例えば、出力電圧)に基づいて、給水タンク4が本体ケーシング1aの所定位置に装着されているか又は脱離されているかを判定する。すなわち、受光部40から出力された出力値(例えば、出力電圧)が、例えばマイコンによってA/D変換され、変換されたデジタル値が、或る所定値(出力値G)と比較されることによって、給水タンク4の装着又は脱離が検出される。
【0094】
なお、図10では、底貯水段階での横軸方向長さが高貯水段階、中貯水段階及び低貯水段階のものよりも長くなっている。これは、図5に示すように、給水タンク4内での発光素子31,32,33及び受光素子41,42,43の高さ方向での配置に対応している。すなわち、第3発光素子33及び第3受光素子43の光路(開口)と底面部4dとの間隔が、第1発光素子31及び第1受光素子41と第2発光素子32及び第2受光素子42との互いの光路の間、及び、第2発光素子32及び第2受光素子42と第3発光素子33及び第3受光素子43との互いの光路の間(開口間)よりも長くなっていることに対応している。なお、3つの対の発光素子及び受光素子同士の互いの光路の間(開口間)と、第3発光素子33及び第3受光素子43の光路(開口)と底面部4dとの間隔とがいずれも大略等しいときには、高貯水段階、中貯水段階、低貯水段階及び底貯水段階での各横軸方向長さが大略等しくなる。
【0095】
また、図5に示すように、各発光素子31,32,33の各出射開口35cが高さ方向に同じ開口幅を有するとともに各受光素子41,42,43の各受光開口45cが高さ方向に同じ開口幅を有している。そのため、第1貯水段階、第2貯水段階、第3貯水段階での各横軸方向長さが大略等しくなる。なお、出射開口35c及び受光開口45cの高さ方向の開口幅を大きくすることによって出射光及び入射光の光量を大きくできる。このことを利用して、出力値を大きく変化させたいところに配置される発光素子及び受光素子の出射開口35c及び受光開口45cの高さ方向の各開口幅を大きくすることにより、出力値の変化を大きくさせることができる。
【0096】
図10において、受光部40での受光量が最も大きなところ(出力値H)が、給水タンク4の装着又は脱離の検出に利用されているが、発光素子31,32,33の劣化や光学素子(レンズ)の汚れに起因した異常検出にも利用できる。発光素子31,32,33の劣化や発光部30及び受光部40での光学素子(レンズ)の汚れ等に起因した何らかの異常が生じると、受光部40での受光量が動作初期の受光量よりも低下するようになる。
【0097】
したがって、記憶部22が、動作初期において容器検出部60aによって給水タンク4の脱離が検出されたときに受光部40が受光した受光量を初期受光量として記憶し、受光量低下検出部60cが、容器検出部60aによって給水タンク4の脱離が検出されたときに受光部40が受光した受光量と、記憶部22に記憶された初期受光量とを比較して、初期受光量に対する受光量の低下が所定値よりも大きいか否かを検出することにより、上記異常を検出することができる。そして、通知部23によって、初期受光量に対する受光量の低下が所定値よりも大きい場合に、受光量の低下を通知して、使用者に注意喚起することができる。なお、上記のような何らかの異常が検出された場合、例えば、発光素子31,32,33に流れる電流を調整することで、発光部30の自動補正を行うことができる。
【0098】
図12は、水70の供給方向の閾値と排出方向の閾値とが異なるようにレベル検出部60bがヒステリシスを有するように構成されていることを説明する図である。図12において、左側の縦軸が給水タンク4内での水70の貯留レベルを示す。
【0099】
給水タンク4から水70を排水する際に、排水の影響を受けて、液面71がわずかに変動する。同様に、給水タンク4に水70を注水する際にも、注水の影響を受けて、液面71がわずかに変動する。そのため、受光部40から出力される出力値が変動することにより、給水タンク4内での水70の貯留レベルの検出結果が安定化しないおそれがある。
【0100】
そこで、水70の供給方向の閾値dと排出方向の閾値eとが異なるように、レベル検出部60bがヒステリシスを有するように構成されている。給水タンク4内での水70の貯留レベル(液面71)が、下から上に移動する(すなわち水70が注水される)とき、供給方向の閾値dを超えると、水70の液面71がある貯留レベルに達したことを検出する。給水タンク4内での水70の貯留レベル(液面71)が、上から下に移動する(すなわち水70が排水される)とき、排出方向の閾値eを下回ると、水70の液面71がある貯留レベルに達したことを検出する。レベル検出部60bがこのようなヒステリシスを有することにより、液面71がわずかに変動しても、受光部40から出力される出力値が安定し、給水タンク4内での水70の貯留レベルの検出結果を安定化させることができる。
【0101】
また、給水タンク4内に貯留された水70の液面71が変動しても、レベル検出部60bによるレベル検出を安定化させるために、受光部40は、受光量に応じたアナログ出力を行い、該アナログ出力に対してフィルタ処理又はアベレージング処理を行うようにしてもよい。
【0102】
以上説明したように、本実施形態によれば、出射光規制部35aによって、直進光が通過できるのに対して非直進光が遮光されるので、水70を貯留した給水タンク4内の界面(液面)71で反射する反射光が減少して、反射光が受光部40で受光されにくくなる。そのため、反射光に起因した誤検出を防止でき、給水タンク4に貯留された水70の貯留レベルを正確に検出できる。
【0103】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態に係る透過型光結合装置50について、図7図8及び図9を参照しながら説明する。第2実施形態において、上記第1実施形態での構成要素と同じ機能を有する構成要素には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0104】
図7は、第2実施形態に係る透過型光結合装置50及び該装置50の設置された給水タンク4の模式横断面図である。図8は、図7に示した透過型光結合装置50の設置された給水タンク4のコーナー部4fを発光部30側から見たときの模式縦断面図である。図9は、図7に示した透過型光結合装置50の設置された給水タンク4のコーナー部4fを発光部30及び受光部40を含む断面における模式縦断面図である。
【0105】
図9に示すように、発光部30の各発光素子31,32,33が上述した出射光規制部35a及び他の出射光規制部35bを備えておらず、発光部30は、或る大きさの発光指向角Pで光を出射する。受光部40の各受光素子41,42,43も上述した受光規制部45a及び他の受光規制部45bを備えておらず、受光部40は、或る大きさの受光指向角Qで光を受光する。また、発光部30は、発光部スペーサ53を介して発光側側壁部4bに配設されており、受光部40は、受光部スペーサ54を介して受光側側壁部4cに配設されている。
【0106】
上述した第1実施形態では、発光部30から出射される直進光として中央光Laを用いており、発光部30から出射される光が発光側側壁部4bに対して或る角度をなすように発光部30が斜めに配置されている。そして、発光部30から出射される光のうちの中央光Laが、受光部40と光学的に結合している。当該構成によれば、発光部30において、発光側側壁部4bと反対側の端部が突出して、透過型光結合装置50のサイズが大きくなって、取付スペースが大きくなる。
【0107】
発光部30から出射される光は、一般に、或る大きさの発光指向角Pを有している。そこで、第2実施形態に係る透過型光結合装置50では、或る大きさの発光指向角Pを持った発光素子31,32,33を用いて、発光部30から出射される光のうちの発光指向角Pの発光エッジ光Lpが、受光部40と光学的に結合するように構成されている。
【0108】
発光部30から出射される光のうちの発光指向角Pの発光エッジ光Lpと受光部40で受光される光の受光指向角Qの受光エッジ部Lqとが、光学的に結合するように構成されている。当該光学的結合のために、例えば、発光部30から出射される光軸光が発光側側壁部4bに対して直角をなすように発光部30が配置されているとともに、受光部40で受光される光軸光が受光側側壁部4cに対して直角をなすように受光部40が配置されている。発光部30において、発光側側壁部4bと反対側の端部の突出が抑制されるとともに、受光部40において、受光側側壁部4cと反対側の端部の突出が抑制されて、透過型光結合装置50のサイズが小さくなって、取付スペースが小さくなる。
【0109】
したがって、透過型光結合装置50が出射光規制部35aと他の出射光規制部35b及び受光規制部45aと他の受光規制部45bを有しないことにより、発光部30及び受光部40の構成を簡略化することができる。そして、発光部30及び受光部40の出っ張りが少なくなるので、透過型光結合装置50を加熱調理器1に設置するときの設置スペースが小さくなり、該設置に伴うデッドスペースが小さくなる。
【0110】
なお、発光側側壁部4bに対する発光部30の配置は、直角をなす配置に限定されず、受光部40に対向する方向に傾けた配置としてもよい。また、受光側側壁部4cに対する受光部40の配置も、直角をなす配置に限定されず、発光部30に対向する方向に傾けた配置としてもよい。
【0111】
この発明の具体的な実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で様々に変更したり適宜に組み合わせたりして、実施することができる。
【0112】
上記実施形態では、発光部30及び受光部40は、貯留レベルの検出のために近赤外光を用いていたが、近赤外光以外の光(例えば可視光)を用いてもよい。
【0113】
また、上記実施形態では、受光部40からの出力値は、電圧であったが、これに限らず、例えば電流であってもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、容器としての給水タンク4は、透明の部材から構成されていたが、半透明の部材から構成されていてもよく、光透過性を有していればよい。同様に、液体としての水70は、透明であるが、半透明の液体であってもよく、光透過性を有していればよい。特に、水と空気のように、液体70と気体74との間での屈折率に大きな差があるほど効果がある。
【0115】
また、上記実施形態では、水70の貯留レベルを検出するが、クエン酸溶液を含む公知の洗浄液等の液体70の貯留レベル(液位)を検出してもよい。さらに、光透過性が非常に小さなあるいは小さな液体70、例えばインクにおいても、その貯留レベル(液位)を検出できることはいうまでもない。
【0116】
また、上記実施形態では、容器検出部60aは、給水タンク4の装着又は脱離を透過型光結合装置50及びソフトウェアで検出するが、別に設けられたハードウェア(例えば、機械式(メカ)スイッチ)によって、給水タンク4の装着又は脱離を検出してもよい。
【0117】
また、上記実施形態では、レベル検出部60bは、複数の出力値(光電流値)を加算した加算値に基づいて、貯留レベルを検出しているが、対の発光素子及び受光素子毎に個別に独立して駆動して、コンパレータで個々の出力値と貯留レベルに対応した値とを比較することで貯留レベルを検出する態様にしてもよい。
【0118】
発光部30から出射される光が略水平に出射されて発光部30及び受光部40がほぼ同じレベルに位置するように構成されているが、これに限られない。例えば、発光部30から出射される光が水平面に対して斜め上方又は斜め下方に出射されて、発光部30及び受光部40が異なるレベルに位置するように構成されてもよい。また、対の発光素子及び受光素子を、液体70の貯留レベル(液位)を検出したい位置に配置することで、液体70の貯留レベル(液位)を自由に設定できる。
【0119】
また、上記実施形態では、給水タンク4内の水70の貯留レベルを検出するために、3対の発光素子31,32,33及び受光素子41,42,43を用いているが、1対の発光素子及び受光素子、2対の発光素子及び受光素子、4対以上の発光素子及び受光素子を用いてもよい。
【0120】
〔第3実施形態〕
また、電子レンジのように電磁ノイズが発生する電気機器1においては、発光素子及び受光素子に入り込むノイズを低減するために、出射光規制部35aと他の出射光規制部35b及び受光規制部45aと他の受光規制部45bが、導電性を有する材料から構成されて接地された態様にしてもよい。
【0121】
〔第4実施形態〕
次に、第4実施形態に係る透過型光結合装置50について、図13及び図14を参照しながら説明する。第4実施形態において、上記第1実施形態での構成要素と同じ機能を有する構成要素には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0122】
図13は、第4実施形態に係る透過型光結合装置50の要部を示す模式縦断面図である。図14は、図13に示した透過型光結合装置50における給水タンク4内での水70の貯留レベルと受光部40での出力値との関係を説明する図である。
【0123】
図13に示すように、給水タンク4のコーナー部4fの底面部4dには、外側部分が斜めに切り欠かれた傾斜部4eが形成されている。傾斜部4eに対応する位置に、対の第3発光素子33及び第3受光素子43が配設されている。第3発光素子33及び第3受光素子43の上方には、下から順に、対の第2発光素子32及び第2受光素子42と、対の第1発光素子31及び第1受光素子41が配設されているが、図13では対の第1発光素子31及び第1受光素子41の図示を省略している。
【0124】
第3発光素子33から出射された光は、傾斜部4eを含む給水タンク4内部を通過して第3受光素子43で受光されるが、給水タンク4内部を通過するときの光路長が、傾斜部4eによって切り欠かれた外側部分の分だけ、他の部分(高貯水段階、中貯水段階など)よりも短くなっている。水70を貯留した給水タンク4内部での光路長が短いほど、水70による光の減衰が少なくなるので、第3受光素子43での受光量が大きくなる。また、傾斜部4eによる切り欠きが底面部4dに存在する分、底面部4d側での内容積が、他の部分(高貯水段階、中貯水段階など)の内容積と比較して、小さくなっている。これらの要因により、給水タンク4の底面部4d側で貯留された水70の容積が少し変化すると、第3受光素子43での受光量が大きく変化し、出力値の変化も大きくなる。その結果、図14に示すように、底面部4d側に形成された傾斜部4eによって、出力値Fの傾きが出力値Dの傾きよりも大きくなり、出力値Fが変化しやすくなる。したがって、底面部4d側での出力値Fが変化しやすいことを利用して、給水タンク4から水70を排出するとき、底面部4d側での貯留レベルの変化をより詳細に検出でき、給水タンク4内で水70が無くなる手前の残水量をより詳細に検出できる。
【0125】
上記実施形態1から実施形態4では、電気機器として加熱調理器1(具体的には、スチーム調理器)について説明したが、例えば、保湿用給水タンクを有するジャー炊飯器、液体洗剤用タンクを有する洗濯機、水フィルター用タンクを有する掃除機、製氷用給水タンクを有する冷蔵庫、加湿用給水タンクを有する空気清浄機やイオン発生器、給水タンクを有するコーヒーメーカー、スチーム発生用タンクを有するアイロンなどの、使用される液体70を貯留するための容器4を有する各種電気機器1に適用できる。また、上記用途の他に、除湿用回収タンクを有する空気清浄機やイオン発生器、水滴回収用タンクを有する食器乾燥機などの、排出された液体70を回収するための容器4を有する各種電気機器1にも適用できる。
【0126】
以上説明したように、この発明の透過型光結合装置50は、
光透過性を有する容器4に貯留された光透過性を有する液体70の貯留レベルを検出可能な透過型光結合装置50であって、
前記容器4の側壁部4bに向けて光を出射する発光部30と、
前記発光部30から出射されて前記容器4を透過した光を受光する受光部40と、
前記受光部40の受光量に基づいて、前記容器4に貯留された前記液体70の貯留レベルを検出するレベル検出部60bと、
前記発光部30から出射する光のうち、前記受光部40の方向に直進して出射される直進光を通過可能とする一方、前記液体70内を透過し当該液体70と当該液体70に接する気体74との界面71で反射する反射光となりうる非直進光を遮光する出射光規制部35aとを備えることを特徴とする。
【0127】
上記構成によれば、出射光規制部35aによって直進光が通過できるのに対して非直進光が遮光されるので、液体70内を透過(液面71が受発光の光軸より上の状態)し、液体70及び気体74の界面71で反射する反射光が減少して、反射光が受光部40で受光されにくくなる。このため、反射光に起因した誤検出を防止でき、容器4に貯留された液体70の貯留レベルを正確に検出できる。
【0128】
好ましくは、上記透過型光結合装置50では、前記出射光規制部は、前記発光部30の上側に設けられた上遮光部35aである。
【0129】
上記構成によれば、上遮光部35aによって発光部30から液体70及び気体74の界面71方向に出射される非直進光が遮光されるので、液体70及び気体74の界面71で反射する液面反射光が減少して、液面反射光が受光部40で受光されにくくなるため、液面反射光に起因した誤検出を防止できる。
【0130】
好ましくは、上記透過型光結合装置50は、他の出射光規制部として、前記発光部30の下側に設けられた下遮光部35bを有する。
【0131】
上記構成によれば、下遮光部35bによって容器4の底面部4d方向に出射される非直進光が遮光されるので、液体70が貯留された容器4の底面部4dで反射する底面反射光が減少して、底面反射光が受光部40で受光されにくくなるため、底面反射光に起因した誤検出を防止できる。
【0132】
好ましくは、上記透過型光結合装置50では、前記容器4が所定場所に対して装着又は脱離されていることを検出する容器検出部60aをさらに備え、
前記容器検出部60aは、前記受光部40の受光量が、前記液体70の貯留レベルを検出する場合の受光量よりも大きい場合に、前記容器4の脱離を検出する。
【0133】
上記構成によれば、受光部40での受光量の変化によって、容器4の装着又は脱離を検出できる。
【0134】
好ましくは、上記透過型光結合装置50では、前記レベル検出部60bは、ヒステリシスを有する。
【0135】
上記構成によれば、排水や注水などによって、液体70及び気体74の間での界面71が変動した場合でも、レベル検出部60bによるレベル検出を安定化させることができる。
【0136】
好ましくは、上記透過型光結合装置50では、前記受光部40は、受光量に応じたアナログ出力を行い、該アナログ出力に対してフィルタ処理又はアベレージング処理を行う。
【0137】
上記構成によれば、排水や注水などによって、液体70及び気体74の間での界面71が変動した場合でも、レベル検出部60bによるレベル検出を安定化させることができる。
【0138】
また、この発明の電気機器1は、上記の透過型光結合装置50を備える。
【0139】
上記構成によれば、発光部30及び受光部40を検出したい高さに配置することで、検出したい液体70の貯留レベルで出力が変化するように調整することが可能であり、電気機器1において、容器4に貯留された液体70の貯留レベルを確実に且つ安定して検出できる。
【0140】
好ましくは、上記電気機器1では、前記発光部30及び前記受光部40が、前記容器4における隣り合った側壁部4b,4cにそれぞれ配置されて、前記発光部30から出射された光が前記電気機器1に装着された前記容器4のコーナー部4fを横切るように前記透過型光結合装置50が構成され、
前記発光部30と前記受光部40とを対向配置して光学的に結合する。
【0141】
上記構成によれば、発光部30及び受光部40が容器4における対向する側壁部にそれぞれ設置される場合と比較して、発光部30から受光部40までの光路長が短くなり、光軸のずれによる光結合性の低下を防止できる。また、上記構成によれば、容器4内での液体70の有無によって、光の屈折や全反射などの光学的特性が異なり、受光部40からの出力が異なる。その結果、或る貯留レベル(液位)での液体70の有無を効果的に判定できる。
【0142】
この発明の電気機器1は、
光透過性を有する容器4に貯留された光透過性を有する液体70の貯留レベルを検出可能な透過型光結合装置50を備える電気機器1であって、
前記容器4の側壁部4bに向けて光を出射する発光部30と、
前記発光部30から出射されて前記容器4を透過した光を受光する受光部40と、
前記受光部40の受光量に基づいて、前記容器4に貯留された前記液体70の貯留レベルを検出するレベル検出部60bとを備え、
前記発光部30及び前記受光部40が、前記容器4における隣り合った側壁部4b,4cにそれぞれ配置されて、前記発光部30から出射された光が前記電気機器1に装着された前記容器4のコーナー部4fを横切るように前記透過型光結合装置50が構成され、
前記発光部30から出射される光のうちの発光指向角Pの発光エッジ光Lpと前記受光部40で受光される光の受光指向角Qの受光エッジ部Lqとが、光学的に結合することを特徴とする。
【0143】
上記構成によれば、透過型光結合装置50が出射光規制部35aと他の出射光規制部35b及び受光規制部45aと他の受光規制部45bを有しないことにより、発光部30及び受光部40の構成を簡略化することができる。そして、発光部30及び受光部40の出っ張りが少なくなるので、透過型光結合装置50を電気機器1に設置するときの設置スペースが小さくなり、該設置に伴うデッドスペースが小さくなる。
【0144】
好ましくは、上記電気機器1では、前記発光部30及び前記受光部40は、前記容器4の深さ方向に配置された複数の発光素子31,32,33及び複数の受光素子41,42,43をそれぞれ有し、
前記発光部30での前記複数の発光素子31,32,33の全てを発光させるとともに、前記受光部40は、前記複数の受光素子41,42,43によって生成された各光電流値を加算した加算値に対応した出力値を出力する。
【0145】
上記構成によれば、複数の発光素子31,32,33と複数の受光素子41,42,43とを個別に独立して駆動して出力する場合よりも、処理回路を簡略化できる。
【0146】
好ましくは、上記電気機器1では、前記容器4が所定場所に装着又は脱離されているのを検出する容器検出部60aと、
動作初期において前記容器検出部60aによって前記容器4の脱離が検出されたときに前記受光部40が受光した受光量を初期受光量として記憶する記憶部22と、
前記容器検出部60aによって前記容器4の脱離が検出されたときに前記受光部40が受光した受光量と、前記記憶部22に記憶された前記初期受光量とを比較して、前記初期受光量に対する前記受光量の低下が所定値よりも大きいか否かを検出する受光量低下検出部60cと、
前記初期受光量に対する前記受光量の低下が所定値よりも大きい場合に、前記受光量の低下を通知する通知部23とを備える。
【0147】
上記構成によれば、受光量の低下が動作初期と比較して所定値よりも大きくなった場合に通知されるので、発光部30及び受光部40の劣化や発光部30及び受光部40に設けられたレンズの汚れ等を検出できる。
【符号の説明】
【0148】
1 加熱調理器(電気機器)
1a 本体ケーシング
2 加熱室
4 給水タンク(容器)
4a 蓋
4b 発光側側壁部
4c 受光側側壁部
4d 底面部
4f コーナー部
4e 傾斜部
22 記憶部
23 通知部
30 発光部
31 第1発光素子
32 第2発光素子
33 第3発光素子
34 発光基板
35a 上遮光部(出射光規制部)
35b 下遮光部(他の出射光規制部)
35c 出射開口
35d 連結遮光部
40 受光部
41 第1受光素子
42 第2受光素子
43 第3受光素子
44 受光基板
45a 上遮光部(受光規制部)
45b 下遮光部(他の受光規制部)
45c 受光開口
50 透過型光結合装置
52 支持体
53 発光部スペーサ
54 受光部スペーサ
60 制御装置
60a 容器検出部
60b レベル検出部
60c 受光量低下検出部
70 水(液体)
71 液面(界面)
72 底界面(界面)
74 空気(気体)
P 発光指向角
Q 受光指向角
La 中央光
Lp 発光エッジ光
Lq 受光エッジ部
図1
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