(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ピストン部材が、第1原液を加圧する第1ピストンと、第2原液を加圧する第2ピストンと、第1ピストンと第2ピストンとを連結して一体化するピストンジョイントとからなる、
請求項1から3のいずれかに記載の2液吐出容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記構成の2液吐出容器は、加圧剤の圧力によってピストンを摺動させることで原液を吐出する。そのため、安定した吐出を実現するためには、摺動を安定させる必要がある。
【0005】
ところがバルブを2つ設けた場合、ピストンが傾き易く、摺動が安定しないといった傾向が見られることが分かった。これは、中心軸から偏心したバルブから原液が吐出されるため、空間内において原液(原液の流れ)に偏りが生じること、その偏りが原液を充填している空間毎に異なって生じること、2つの原液の粘度や充填状況の違いが偏りを助長すること等が要因として考えられる。
【0006】
そこで本発明は、中心軸から偏心した位置に2つのバルブを設けた場合でも、ピストンを安定して摺動させることのできる2液吐出容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の2液吐出容器は、内径が異なる上筒部10aと下筒部10bを有する外部容器10と、上筒部10a内および下筒部10b内を摺動するピストン部材20と、上筒部10aの開口部10cに取り付けられるバルブアッセンブリ30とを備えており、上筒部10a内に第1原液を収容する第1収容部12が形成され、下筒部10b内に第2原液を収容する第2収容部13が形成され、ピストン部材20と外部容器10の底部との間の空間に加圧剤を収容する加圧剤収容部14が形成されており、バルブアッセンブリ30が、第1収容部12と連通する第1バルブ31と、第2収容部13と連通する第2バルブ32とを備えており、ピストン部材20の中心軸上に貫通孔23aが形成され、この貫通孔23aに、バルブアッセンブリ30の中心軸上に設けられたガイド部材40が摺動可能に挿入されていることを特徴とする。
【0008】
ガイド部材40がチューブからなり、貫通孔23aとチューブとで、第2収容部13と第2バルブ32とを連通する第2吐出通路が形成されていることが好ましい。
【0009】
ピストン部材20が、上筒部10a内をシールしながら摺動する第1シール部21eと、下筒部10b内をシールしながら摺動する第2シール部22eとを備えていることが好ましい。
【0010】
ピストン部材20が軸対称に形成されていることが好ましい。
【0011】
ピストン部材20が、第1原液を加圧する第1ピストン21と、第2原液を加圧する第2ピストン22と、第1ピストン21と第2ピストン22とを連結して一体化するピストンジョイント23とからなることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の2液吐出容器は、ピストン部材の中心軸上に貫通孔が形成され、この貫通孔に、バルブアッセンブリの中心軸上に設けられたガイド部材を摺動可能に挿入しているため、ガイド部材によってピストン部材の傾きが抑制されることとなり、ピストン部材の安定した摺動を実現できる。そのため、第1バルブと第2バルブが中心軸から偏心した位置に設けられていても、さらには、第1原液と第2原液に粘度差があっても、一定の比率で最後まで吐出することができる。
【0013】
ガイド部材がチューブからなり、貫通孔とチューブとで、第2収容部と第2バルブとを連通する第2吐出通路が形成されていれば、原液の通路を形成しつつ、ピストン部材の傾きを抑制することができ、ピストン部材の他の部分(偏心した位置)に通路を設ける場合に比べてピストン部材の傾きを抑制することができる。
【0014】
ピストン部材が、上筒部内をシールしながら摺動する第1シール部と、下筒部内をシールしながら摺動する第2シール部とを備えていれば、上下方向に離れた2箇所でピストン部材を支持することになり、ピストン部材の姿勢が安定する。
【0015】
ピストン部材が軸対称に形成されていれば、原液をバルブから収容部に充填してピストン部材が下方に摺動する際や、原液を吐出してピストン部材が上方に摺動する際に、ピストン部材に力が加わっても不均一な形状に変形しにくく、ピストン部材の傾きがより一層抑制される。
【0016】
ピストン部材が組み合わせにより構成されていれば、ピストン部材内に通路を形成する場合でも、軸対称に形成し易くなる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、本発明の2液吐出容器の概要について説明する。
図1に示すように、本発明の2液吐出容器1は、内径が互いに異なる上筒部10aと下筒部10bとを有する外部容器10と、上筒部10a内および下筒部10b内を摺動するピストン部材20と、上筒部10aの開口部10cに取り付けられるバルブアッセンブリ30とを備えている。
【0019】
外部容器10の内部空間は、ピストン部材20によって上下方向に3つの空間に区画されている。具体的には、上筒部10aと下筒部10bとに跨って配置されたピストン部材20によって、上筒部10a内に1つの空間が形成され、下筒部10b内に2つの空間が形成されている。そして、上筒部10a内の空間(第1収容部12)に第1原液が収容され、下筒部10b内の2つの空間のうち、上側の環状の空間(第2収容部13)に第2原液が収容され、下方の空間(加圧剤収容部14)に加圧剤が収容されることで、2液吐出製品が構成される。
【0020】
バルブアッセンブリ30は、第1収容部12と連通する第1バルブ31と、第2収容部13と連通する第2バルブ32の2つのバルブを備えており、これらのバルブはバルブアッセンブリ30(2液吐出容器1)の中心軸から偏心した位置に設けられている。そのため、2液吐出製品は、第1原液と第2原液とを互いに独立した状態で吐出することができる。また、1つの(又は一体化された)ピストン部材20によって第1原液と第2原液とを吐出させるため、第1原液と第2原液の吐出量の比率は、第1収容部12と第2収容部13の断面積(平面視の断面積)の比率に従い、常に一定となる。なお、第2収容部13は、ピストン部材20の中心軸上に設けられた貫通孔23aと、ピストン部材20の中心軸と同軸でありバルブアッセンブリ30の中心軸上に設けられたチューブ40とを介して第2バルブ32と連通している。加圧剤収容部14については、いずれのバルブとも連通しておらず、加圧剤がバルブから吐出されることはない。
以下、上記各構成部品の構成について詳細に説明する。
【0021】
外部容器10は、
図1aに示すように、内外径共に、高さ方向の略中央から上方(上筒部10a)が細径とされ、下方(下筒部10b)が太径とされ、上筒部10aと下筒部10bとの間に拡径段部10dが形成された円筒状の胴部10eと、その胴部10eの上端に形成されたテーパ状の肩部10fと、その肩部10fの上端に形成された円筒状の首部10gと、その首部10gの上方の拡径された開口部10cとを備えており、ガス充填弁11aを備えた底蓋11が胴部10eの下端に取り付けられることで、底部を有する容器を構成している。
【0022】
この外部容器10は合成樹脂製である。具体的には、充填する原液によって浸食されないもの、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィンコポリマーなどの熱可塑性樹脂から構成されている。また、合成樹脂材料として透光性を有するものを用い、原液の残量、状態などを目視できるようにしても良い。また、原液を紫外線から保護するために、外部容器10の内部または外面に炭素、アルミナ、シリカなどのコート材を設けても良い。
【0023】
製造方法としては、耐圧性を付与するために、2軸延伸ブロー成形などのブロー成形によって製造することが好ましい。この場合、例えば射出成形、押出成形などで形成したパリソンを加熱し、軸方向に延伸させながら金型内で膨らませて所定の形状に成形する。首部10gおよび開口部10cは、通常はパリソンと共通であり、膨らませないので厚肉である。なお、ブロー成形の場合、底部が形成されるが、底部は切除し、切除により生じた開口を底蓋11によって塞ぐ。底蓋11は、例えば溶着(レーザー溶着、超音波溶着等)や接着によって胴部10eに取り付けられる。特に、外部容器10の底蓋11を除いた部分(筒状体)が無色透明で、底蓋11が筒状体と同じ材質から構成され黒色等の有色である場合、筒状体の側面から透過させたレーザーによって底蓋11を溶着できる。
【0024】
ピストン部材20は、全体的な形状が軸対称な略凸状体(逆T字状体)である。このピストン部材20は、上筒部10a内を摺動する第1ピストン21と、下筒部10b内を摺動する第2ピストン22と、第1ピストン21と第2ピストン22とを連結するピストンジョイント23とを一体的に組み合わせることにより構成されている。そして、ピストン部材20を外部容器10内に収容することで、バルブアッセンブリ30と第1ピストン21との間の上筒部10a内に第1収容部12が形成され、第1ピストン21と第2ピストン22との間の下筒部10b内に第2収容部13が形成され、第2ピストン22と底蓋11との間の下筒部10b内に第3収容部(加圧剤収容部14)が形成される。なお、ピストン部材20に加えて、外部容器10も軸対称な形状である。また、ピストン部材20の中心軸は、外部容器10の中心軸上に位置している。従って、第1収容部12、第2収容部13、加圧剤収容部14は互いに同心軸上に形成される。
【0025】
第1ピストン21は、
図2に示すように、底部21aを有する内筒21bと、内筒21bの上端から径外方向に延出された円板部21cと、円板部21cの外縁から下方に延びる外筒21dと、外筒21dの下端から径外方向に向かって突出する第1シール部21eとからなる。
底部21aの中心には、チューブ40を挿通するための挿通孔21fが形成されている。また、挿通孔21fの外周を囲むようにして環状突起21gが設けられている。なお、この環状突起21gは、後述する保持部材60を第1ピストン21に取り付けるために使用する部位である。第1シール部21eは、上筒部10aの内面の全周に亘って当接しており、第1収容部12と第2収容部13とを液密に区画するものである。その断面形状は、径内方向に膨出する円弧状であって、円弧の中心部分が外筒21dの下端外周と一体に連結されており、中心部分を軸として円弧の両端を上筒部10aの内面にそれぞれ弾力的に当接させることにより、上筒部10aの内径のばらつきなどにより、摺動時に上筒部10aの内面との距離がある程度変化しても、液密にシールし続けることができるようになっている。
【0026】
第2ピストン22は、上底22aを有する内筒22bと、内筒22bの上底22aの外縁から径外方向に延出された円板部22cと、円板部22cの外縁から下方に延びる外筒22dと、外筒22dの下端から径外方向に向かって突出する第2シール部22eとを備えている。第2シール部22eは、第1シール部21eと同様の構成であって、定常時は勿論のこと、摺動時においても第2収容部13と加圧剤収容部14とを気密に区画(シール)し続ける。
また、内筒22bの上底22aの中心から上筒22fが延出され、さらに円板部22cの上面から周壁22gが立ち上がっている。なお、内筒22bは、第2ピストン22の強度を高くする、底蓋11の内筒11cと当接して加圧剤収容部14の上下方向の高さを確保する、第2シール部22eの底蓋11の外筒11bへの接触を防ぎ、底蓋11を溶着する際に底蓋11からの熱伝導により変形しないようにするための部位である。また、周壁22gは、第2ピストン22の強度を高くする、ピストンジョイント23との嵌合に用いるための部位である。なお、上筒22fも第2ピストン22の強度を高くするための部位である。
【0027】
ピストンジョイント23は、その外径が上筒部10aの内径と略等しくなるように成形された略円柱状の部品であり、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂を用いて射出成形したもの、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタンなどを発泡させて成形した硬質発泡樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニルコポリマーなどの粉体を焼結して成形した焼結体などを用いることができる。上下端には、第1ピストン21の内筒21bと嵌合するための凹み部23bが設けられている。凹み部23bに第1ピストン21を取り付けることにより、第1ピストンの円板部21cと外筒21dがピストンジョイント23により支持され、ピストン部材20が摺動する時に変形しにくくなり、第1原液を均等に加圧することができる。また、軸方向の中心(中心軸上)には、上端側の凹み部23bから下端側の凹み部23bにかけて貫通する貫通孔23aが形成されている。この貫通孔23aは、下筒部10bに収容される第2原液を第2バルブ32まで供給するための通路であるとともに、同じく第2原液の通路として機能するチューブ40を収容するための収納部でもある。この貫通孔23aは、下側の凹み部23bから下面にかけて設けられた溝部23cを介してピストンジョイント23の外周側に繋がっている。そのため、ピストンジョイント23の下端に第2ピストン22を取り付けると、ピストンジョイント23の下面と第2ピストン22の上面との間に、第2収容部13と貫通孔23aとを連通する通路が形成される。溝部23cは、ピストンジョイント23の中心軸から放射状(例えばY字状やX字状、*状)に複数設けられるが、ピストン部材20を平面視した状態において、ピストン部材20の重心が中心軸からずれないように、互いに等間隔(等角度)となるように設けられる。なお、上端側にも溝部23cが設けられているが、これは、組み立て時の利便性を考慮し、ピストンジョイント23に上下の区別をつけないための工夫である。従って、必ずしも上端側に溝部23cを設ける必要はない。
【0028】
チューブ40は、例えばステンレス等の金属製の真っ直ぐなパイプからなる。ただ、剛性を確保できるのであれば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂製であっても良い。このチューブ40の上端は、後述する連結部材70に嵌入、固定されている。また、下端は、第1ピストン21の挿通孔21fを介してピストンジョイント23の貫通孔23aと連通している(
図1a、
図2参照)。チューブ40と挿通孔21fとの間は、チューブ40の外周に取り付けられるOリング50によってシールされている。このOリング50は、ピストン部材20の摺動に合わせてチューブ40上を摺動できるように、保持部材60によって保持されている。
【0029】
保持部材60は円筒状であって、下端が二股に分かれており、外側の一端60aが第1ピストン21の内筒21bと環状突起21gとの間に嵌合されて、第1ピストン21に固定されている。そして内側の一端60bが、内筒21bの上面との間でOリング50を保持している。
【0030】
バルブアッセンブリ30は、
図1a、bに示すように、2つのエアゾールバルブ31、32と、これらエアゾールバルブ31、32を保持するバルブホルダー33と、2つのエアゾールバルブ31、32とバルブホルダー33とを外部容器10に固着するカバーキャップ34とを備えている。
【0031】
エアゾールバルブは、第1バルブ31と第2バルブ32とから構成されている。これら第1、第2バルブ31、32は、
図3aに示すように、有底筒状のハウジング31aと、そのハウジング31aの内部に上下移動自在に収容されたステム31bと、ステム31bのステム孔31cをシールするステムラバー31dと、ステム31bを上向きに付勢するバネ31eと、ステム31b及びバネ31eをハウジング31aに固定するカバー部材31fとからなり、ステム31bを押し下げることで開放する従来公知のものである。
【0032】
バルブホルダー33は、
図3bに示すように、第1、第2バルブ31、32を保持する保持部33aと、外部容器10の開口部10cに挿入され、開口部10cを塞ぐ栓部33bとから構成されている。保持部33aには、上下方向に貫通するホルダー部33cが2つ設けられており、第1、第2バルブ31、32はホルダー部33cに嵌入されることで、バルブホルダー33に保持される(
図1a参照)。なお、第1、第2バルブ31、32のハウジング31aの外周にはOリング51が設けられており、ホルダー部33cに嵌入されることで、ホルダー部33cの内面とハウジング31aの外面との間にシールが形成されるようになっている。また、栓部33bの外周にもOリング52が設けられている。そのため、栓部33bを開口部10cに挿入すれば、栓部33bの外面と開口部10cの内面との間にシールが形成されることになる。
【0033】
カバーキャップ34は、
図1a、bに示すように、アルミニウムなどの金属薄板をカップ状にプレス加工したものであり、第1バルブ31と第2バルブ32とをバルブホルダー33に押し付けつつ、バルブホルダー33を外部容器10の開口部10cに押し付けた状態で、下端の外周を首部10gにカシメ付けて(塑性変形させて)固着している。
【0034】
ところで、第1バルブ31と第2バルブ32は、いずれも外部容器10の中心軸上には位置しておらず、中心軸から偏心したところに位置している(
図1b参照)。そのため、中心軸上に設けられたチューブ40と第2バルブ32とを連結するために、別途、連結部材70が設けられている。
【0035】
連結部材70は、
図3cに示すように略円板状であって、上面には、第1バルブ31のハウジング31aの下部と連結する筒状の第1バルブ連結部70aと、第2バルブ32のハウジング31aの下部と連結する筒状の第2バルブ連結部70bとが形成されている。また、下面の中心には、筒状のチューブ連結部70cが形成されている。そして連結部材70の内部には、第2バルブ連結部70bとチューブ連結部70cとを連通する通路70dが形成されている。なお、第1バルブ連結部70aの下方は切り欠かれており、第1収容部12と直接、連通している。また、通路70dには第1バルブ連結部70aへの連通を遮断するための栓部材70eが挿入されている。
【0036】
第1収容部12に充填される第1原液と第2収容部13に充填される第2原液は、互いに分離した状態で保管しておき、使用時に混合するものであることが好ましい。例えば、パラフェニレンジアミンなどの染料を含有する酸化染毛剤の第1剤を第1原液とし、前記染料を酸化する過酸化水素などの酸化剤を含有する酸化染毛剤の第2剤を第2原液とし、両者を混合して染毛効果を付与するもの、あるいは、塩化マグネシウムなどの無機塩を含有する非水の発熱製剤を第1原液とし、前記無機塩と反応する水を含有する剤を第2原液とし、両者を混合して温感効果を付与するものなどが挙げられる。また、イソシアネートと多価アルコールの水酸基とが水により縮合して重合し、発生したガスや発泡剤により発泡して形成されるウレタンフォームなどが挙げられる。
【0037】
さらにカルボキシビニルポリマーなどの中性〜弱アルカリ性の領域で増粘する水溶性高分子を含有する第1原液と前記水溶性高分子を中和するアルカリ剤を含有する第2原液とを組み合わせ、両者を混合して中和することにより増粘するゲル(用途は特に限定なく、スキンケア、日焼け止めなど)となるもの、グリセリンやジエチレングリコールなどの多価アルコールを含有する第1原液と前記多価アルコールと水和する少量の水を含有する第2原液とを組み合わせ、両者を混合して水和により発熱し、温熱感の得られるクリームやフォームなどの2液が反応するものなど、同時に吐出して混合使用する2種類の原液などが挙げられる。
なお、ピストン部材20により第1収容部12と第2収容部13の容積が所定の比率で小さくなるため、第1原液と第2原液との間に、クリームと水のように極端な粘度差があっても最後まで均等な比率で吐出することができる。
【0038】
加圧剤収容部14には、チッ素、二酸化炭素、空気などの圧縮ガス、液化石油ガス、ジメチルエーテル、ハイドロフルオロオレフィンなどの液化ガスからなる加圧剤が充填される。特に圧縮ガスとするのが好ましい。
【0039】
第1原液、第2原液、加圧剤を外部容器10内に充填する方法としては、先ず、外部容器10内にピストン部材20を挿入して底蓋11を固着し、外部容器10の開口部10cにバルブアッセンブリ30を固着し、2液吐出容器1を形成する。次いで、第1バルブ31と第2バルブ32のステム31bを押し下げて、第1収容部12と第2収容部13内の空気を同時に吸引すると共に、ピストン部材20を上昇させる。その後、第1バルブ31のステム31bから第1原液を第1収容部12に充填し、第2バルブ32のステム31bから第2原液を第2収容部13に充填する。なお、第1原液と第2原液とは同時に充填し、ピストン部材20を下方に移動させる。このとき、第1原液が中心軸からずれた位置から充填されるが、ピストン部材20が軸対称に形成されているため、不規則に変形することがなく、さらにピストン部材20はその貫通孔23aが中心軸上に設けられたチューブ(ガイド部材)40により案内されるため、傾くことなく下方に摺動する。その後、加圧剤収容部14に、底蓋11のガス充填弁11aから加圧剤を充填する。なお、2液吐出容器1を組み立てた後、加圧剤を加圧剤収容部14に充填してから、第1収容部12と第2収容部13内の空気を排出し、第1原液と第2原液を充填してもよい。この場合は、加圧剤を充填した加圧容器を別の工場に移送し、第1原液と第2原液を充填することもできる。
【0040】
原液を吐出させる場合は、2つのステム31b、31bに装着した吐出部材(押ボタン)を操作して同時に押し下げる。第1バルブ31と第2バルブ32とを同時に開放することにより、第1原液および第2原液を同時に吐出させることができる。つまり、第1バルブ31と第2バルブ32とを開放することにより、加圧剤収容部14内の加圧剤がピストン部材20を上方に押圧し、ピストン部材20が上方に向かって外部容器10内を摺動することにより、第1収容部12および第2収容部13が収縮させられ、第1原液が、連結部材70の第1バルブ連結部70a(第1吐出通路)を介して第1バルブ31へと供給され、第2原液が、ピストンジョイント23と第2ピストン22との間の通路、貫通孔23a、チューブ40内、連結部材70の第2バルブ連結部70b(第2吐出通路)を介して第2バルブ32へと供給され、それぞれのステム31bから外部へと吐出される。この際、ピストン部材20はその外周にある第1シール部21eと第2シール部22eが外部容器10内を摺動しつつ、その内周がチューブ40の外周とも摺動するが、チューブ40がピストン部材20(外部容器10)の中心軸上に設けられているため、ピストン部材20の上下方向の摺動をガイドするガイド部材としての機能を発揮することとなり、ピストン部材20の傾きが抑制され、安定した摺動を実現することができる。吐出が完了すると、
図4に示すように、ピストン部材20の略全体が上筒部10a側に移動した状態となる。
【0041】
なお、本発明の2液吐出容器1は、2つのステム31bを有しているが、第1収容部12と第2収容部13の収縮はピストン部材20で連動しているため、どちらか一方のステム31bだけを操作しても作動しない。そのため、誤った方法で操作されても片方の原液だけが吐出されることがなく、所定の比率(原液を加圧するピストンの面積比率)で2つの原液を確実に吐出することができる。特に、加圧剤として圧縮ガスを使用する場合は、原液が吐出されると圧力が低下するため、従来の2液吐出容器では原液の吐出比率が変化しやすかったが、2液吐出容器1では圧力が低下してもその吐出比率は変化しない。なお、2つのステム31bを同時に押すために、2つのステム31bに跨る押ボタンを取り付けることが好ましい。押ボタンとしては、2つのステム31bから吐出される原液同士を内部で混合して吐出できるものを採用しても良い。
【0042】
図5は、2液吐出容器の他の形態を示したものである。この2液吐出容器1Aは、上筒部10aの内側を覆うようにして、シリンダ部材80を設けている点に特徴を有する。
【0043】
シリンダ部材80は上底80aを有する円筒状であって、その外面は、上筒部10aの内面に密に当接しており、内面は第1ピストン21が摺動する摺動面とされている。つまり、シリンダ部材80の内面が、実質的に上筒部10aの内面として作用することとなる。また、上底80aには、第1バルブ31と対向する位置に連通孔80bが形成され、中心部には、連結部材90のチューブ連結部70cを挿通させるための接続孔80cが形成されている。また、接続孔80cからは第2バルブ32に向かって溝部80dが形成されている。
【0044】
連結部材90は、先の形態のものと略同様である。ただ、内部に第2バルブ連結部70bとチューブ連結部70cとを連通する通路は形成されておらず、シリンダ部材80の上面に設けられた溝部80dと連結部材90の下面とによって通路が形成されている。なお、連結部材90へのシリンダ部材80の取り付けは、シリンダ部材80の上面から延出された接続筒80eを、連結部材90に外嵌させることによって行われる。他の構成については、先の形態と略同様であるため、同符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0045】
上記構成の2液吐出容器1Aでは、充填する原液に応じて材質を選択することにより、耐久性の高い容器とすることができ、且つ原液を長期に保管することができる。例えば、シリンダ部材80をポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等の耐アルカリ性の合成樹脂やガラスから成形し、第1ピストン21をシリコーンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンなどのポリオレフィンエラストマー、ナイロンなどのポリアミドエラストマー、ウレタンエラストマーなどの弾性体から成形し、外部容器10およびピストンジョイント23、第2ピストン22をポリエチレンテレフタレート等の耐酸性の合成樹脂から成形すれば、第1収容部12にアルカリ性原液(2液式染毛剤第1剤)を充填し、第2収容部13に酸性原液(2液染毛剤第2剤)を充填しても、長期にわたって両原液を安定に保管することができる。なお、逆の構成としても良い。また、シリンダ部材80を外部容器10と同じ材質にし着色することにより、シリンダ部材80の下部と外部容器10の上筒部10aの下部とをレーザー溶着することができ、第2原液がシリンダ部材80の外周に侵入するのを防止できる。
【0046】
図6は、2液吐出容器のさらに他の形態を示したものである。この2液吐出容器1Bでは、底蓋11の外筒11bが上方に延出され、下筒部10bの内側を覆っている。つまり、外筒11bの内面が、実質的に下筒部10bの内面として作用している。
【0047】
このような構成の場合、底蓋11の材質を選択することにより、耐薬品性をより高めることができる。また、耐圧性を高くするために、外部容器10をブロー成形する場合、内径寸法を正確に制御できないため、内径にばらつきが生じ易いが、例えば射出成形等の寸法精度を確保し易い方法でシリンダ部材80や底蓋11を製造する、すなわち外部容器10の内面を寸法精度の高い別部材で覆うことにより、内径寸法のばらつきを抑えることができ、ピストン部材20の第1シール部21eおよび第2シール部22eがシリンダ部材80や底蓋11の外筒11bとのシールを維持しながら摺動がより安定する。なお、他の構成については、先の形態と略同様であるため、同符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0048】
以上に、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施形態では、チューブ40は連結部材70、90に固定されていたが、例えばチューブの上部を曲げて第2バルブのハウジングに直接装着させても良い。また、チューブ40の上端のみ固定されていたが、下端を底蓋11に固定させるようにしても良い。また、下筒部10bの内面を覆う部材として、底蓋11とは別体とされた円筒状のシリンダ部材を用いても良い。