(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ボデーとキャップとを螺着して構成したフィルタ本体の流路部内にフィルタ部材を内蔵した高圧用フィルタであって、前記フィルタ部材は一端に取付部材を固着した筒状エレメントから成り、前記取付部材の先端部を前記キャップの流路部に着脱自在に取付けた状態で前記筒状エレメントを前記ボデーの流路部に内蔵し、前記キャップを前記ボデーから取り出したとき、筒状エレメントが前記キャップから露出した状態で前記キャップと共に前記フィルタ部材が取り出されると共に、前記取付部材の外周に設けた装着溝に異物流出防止用のOリングを装着し、このOリングで高圧流体と濾過流体を密封シールし、かつ前記Oリングの一次側には、高圧流体圧力を連通させるために設けた連通部と、前記Oリングの二次側には、濾過流体圧力が導通する導通部と、を備え、前記Oリングの一次・二次側を均圧状態にして異物の流出を防止したことを特徴とする高圧用フィルタ。
前記取付部材には、先端部外周にオネジを、後端部外周に工具用掛止部を設け、前記オネジを前記キャップの流路部内のメネジに着脱自在に螺着した状態で、前記工具用掛止部を前記キャップの先端面より露出させた請求項1に記載の高圧用フィルタ。
前記連通部は、前記キャップに設けた装着段部又はこの装着段部に当接させる前記取付部材の肩部の何れか一方又は双方に形成し、前記導通部は、前記Oリングとの二次側と前記取付部材の流路部とを導通する導通孔である請求項1に記載の高圧用フィルタ。
前記取付部材の装着面と前記キャップの装着段部との間に異物流出防止用のOリングを装着し、このOリングで高圧流体と濾過流体を密封シールした請求項1又は2に記載の高圧用フィルタ。
異物流出を防止するための前記取付部材の段部と前記キャップのテーパ面部とを圧接させた状態で高圧流体と濾過流体を密封シールした請求項1又は2に記載の高圧用フィルタ。
【背景技術】
【0002】
通常、ガス流体を圧送する配管ラインには、流体が供給されるユースポイントの直前附近などの適宜箇所に、流体に含まれる微小な異物を除去して純度を高めるため、使用に応じて種々の流路径、濾過精度、使用圧力などが設定されたインラインガスフィルタが配設される。この種のフィルタとして、例えば特許文献1が提案されている。
【0003】
同文献は、半導体製造設備の高純度ガスの供給ラインなどに使用するフィルタを示しており、有底筒状の焼結金属製エレメントがエレメント収容腔に収容された状態で、エレメントの開放側に溶接固定された金属製フランジが、第1ボデーのフランジ収容腔と、第2ボデーの一端面との間に、ユニオンナットのネジ締結により挟持固定されてシールされる全金属製フィルタが提案されている。
【0004】
また、近年はエネルギー政策の見直しに伴い、水素エネルギーの普及のため、自動車用燃料電池の水素供給インフラ(水素ステーション)の技術開発が進められている。水素ステーションにおける水素供給システムは、例えば、水素製造設備から蓄圧機に圧送された水素ガスが、圧縮機で100MPa級の超高圧に圧縮され、70MPa級の超高圧状態でディスペンサなどを介して供給ラインで車両に供給可能に構成される。
【0005】
このような水素ステーションにおいても、例えばディスペンサの供給ラインなどの適宜箇所に、超高圧水素を濾過するインラインガスフィルタが適宜配設され、車両に供給される超高圧水素に含まれるフッ素系グリスや、水分、砂、バリ状金属など、数μm程度の微細な異物の除去が図られる。この種のフィルタとして、従来は
図6に示す超高圧ガス用金網型フィルタが提案されている。
【0006】
図6に示す従来のフィルタは、エレメント4を収容する収納部7はキャップ2(雄ねじ側部材)側に設けられていることから、キャップ2の内部のめねじ部3と、金網型エレメント4の一端部を保持するエンド部材5の先端部の雄ねじ部6とが螺着固定された状態では、同図に示すように、エレメント4はキャップ2の収納部7にほぼ全体が収納された状態となる。
【0007】
また、エレメント4をキャップ2に螺着固定する際は、エレメント4の他端部に保持され、エレメント4を収納部7に収納した際にキャップ2から露出状態となるエンド部材8に設けられた二面切欠面部9に、スパナ等の締付工具を掛けてトルクを与えることによりめねじ部3に螺着固定する。また、エレメント4とエンド部材5との間にはPTFEパッキン10が狭着されており、エレメント4を通過せず濾過されていない流体が出口に抜けてしまうことを防止している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、
図6に示したフィルタは、めねじ部3と雄ねじ部6の螺着固定状態では、上記したようにエレメント4のほぼ全体が収納部7(キャップ2)に覆われているので、ボデー1からキャップ2を取り外すのみではエレメント4の十分な目視・点検ができない。このため、エレメント4の状態を確認するには、必ずエレメント4をキャップ2から脱離させなければならず、作業性・メンテナンス性が極めて悪い。しかも二面切欠き部9がエレメント4に保持されたエンド部材8に設けられているため、エレメント4をキャップ2に着脱する際、キャップ2のめねじ部3と螺着する雄ねじ部6を有するエンド部材5とエンド部材8との間に介在するエレメント4に、締付工具からのトルクが直接掛かって不要な負荷を与えてしまうことで、エレメント4の変形・損傷や寿命低下を招くおそれがある。さらに、フィルタの使用雰囲気温度が大きく変化した場合、PTFEパッキン10が熱膨張により塑性変形して容易に緩んでしまうため、パッキン10が流体の漏れを防止する効果を失いエレメント4を通過しない流体が出口側へ流出してしまうおそれもある。
【0010】
また、特許文献1のフィルタは、ユニオンナットを締付固定することでエレメントに設けたフランジが第一ボデーと第二ボデーとの間に挟持される構造であるから、このフィルタを高圧ガスに使用した場合は、フィルタ内部におけるエレメントの固定性・耐久性がまったく不十分であり、常時エレメントに作用する高圧流体からの抵抗に所要期間耐え、安定かつ確実な濾過機能を発揮させることは極めて困難である。また、同文献に開示されるボデーの構造も、高圧ガスへの対応は全く認められず、薄肉の第一ボデーと第二ボデーとを薄肉のユニオンナットでネジ締結するのみで組み立てられるから、耐圧性がまったく不十分である。さらにエレメントの着脱の際は、ユニオンナットを外した後、第二ボデーの着脱とは別にエレメントの着脱を行う必要があるため、作業性・メンテナンス性も悪い。
【0011】
そこで、本発明は上記問題点を解決するために開発されたものであり、その目的とするところは、高圧用として、特に水素ステーションの超高圧水素流体用として、所要期間における安定確実で高精度な濾過が可能なフィルタであると共に、エレメントの利用効率が著しく改善され、コンパクト化可能であって、しかもメンテナンス性も大幅に向上された高圧用フィルタとこれを用いた水素ステーションを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、ボデーとキャップとを螺着して構成したフィルタ本体の流路部内にフィルタ部材を内蔵した高圧用フィルタであって、フィルタ部材は一端に取付部材を固着した筒状エレメントから成り、取付部材の先端部をキャップの流路部に着脱自在に取付けた状態で筒状エレメントをボデーの流路部に内蔵し、キャップをボデーから取り出したとき、筒状エレメントがキャップから露出した状態でキャップと共にフィルタ部材が取り出される
と共に、取付部材の外周に設けた装着溝に異物流出防止用のOリングを装着し、このOリングで高圧流体と濾過流体を密封シールし、かつOリングの一次側には、高圧流体圧力を連通させるために設けた連通部と、Oリングの二次側には、濾過流体圧力が導通する導通部と、を備え、Oリングの一次・二次側を均圧状態にして異物の流出を防止した高圧用フィルタである。
【0013】
請求項2に係る発明は、取付部材には、先端部外周にオネジを、後端部外周に工具用掛止部を設け、オネジをキャップの流路部内のメネジに着脱自在に螺着した状態で、工具用掛止部をキャップの先端面より露出させた高圧用フィルタである。
【0016】
請求項
3に係る発明は、連通部は、キャップに設けた装着段部又はこの装着段部に当接させる取付部材の肩部の何れか一方又は双方に形成し、導通部は、Oリングとの二次側と取付部材の流路部とを導通する導通孔である高圧用フィルタである。
【0017】
請求項
4に係る発明は、キャップの装着段部には、接ガス面に向けてテーパ形成のテーパ連通部を設けた高圧用フィルタである。
【0018】
請求項
5に係る発明は、取付部材の装着面と前記キャップの装着段部との間に異物流出防止用のOリングを装着し、このOリングで高圧流体と濾過流体を密封シールした高圧用フィルタである。
【0019】
請求項
6に係る発明は、異物流出を防止するための取付部材の段部とキャップのテーパ面部とを圧接させた状態で高圧流体と濾過流体を密封シールした高圧用フィルタである。
【0020】
請求項
7に係る発明は、フィルタ部材の一次側領域に設けたエンド部材を高圧流体入口側に向けて円錐形状部とした高圧用フィルタである。
【0021】
請求項
8に係る発明は、ボデーの入口と一次側領域との間にテーパ形状部を備えた高圧用フィルタである。
【0022】
請求項
9に係る発明は、高圧水素の供給ラインに高圧用フィルタを用いたことを特徴とする水素ステーションである。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載の発明によると、取付部材の先端部をキャップの流路部に着脱自在に取付けた状態で筒状エレメントをボデーの流路部に内蔵したので、キャップの流路部に内蔵されるのは取付部材の先端部側のみとなることから、高圧流体への耐圧に必要なフィルタ本体内の流路部の肉厚は、ボデー側の流路部においてのみ確保されれば済むようになる。このため、キャップ側の流路部の肉厚を厚く形成する必要がなく、耐圧性を維持しながらキャップの外径をさらに小径化でき、これに伴い、ボデーの外径もさらに小径化できる。したがって、耐圧性を維持しながら、フィルタの外径をさらに小径化できる。逆に、フィルタ外径を維持した場合は、径や長さがさらに大きいエレメント部材の使用が可能となることから、フィルタ外径を維持しながら、さらに使用流量の大きいフィルタの提供が可能となる。
【0024】
また、キャップをボデーから取り出したときに、筒状エレメントがキャップから露出した状態でキャップと共にフィルタ部材が取り出されるから、ボデーからキャップを脱離するのみで容易にエレメントの目視点検が可能となり、メンテナンス性が大幅に向上する。
そして、取付部材とキャップとの間のシール部材が異物流出防止用Oリングであるから、異物流出を確実に防止しつつ、径時変化や温度変化に対してもOリングの弾性力が良好に追従し、所定の高いシール性の維持が可能となる。
さらに、Oリングの1次側に高圧流体を連通させる連通部を設けると共に、2次側に濾過流体圧力が導通する導通部を設けたから、Oリングの1次側が高圧流体と常時連通することで常時等圧状態となると共にOリングの2次側が濾過流体と常時導通することで常時等圧状態となるので、Oリングの1次・2次両側が常時均圧状態となる。
【0025】
請求項2に記載の発明によると、キャップの流路部内のメネジに取付部材の先端部外周のオネジを螺着した際、キャップの先端面から露出するように、取付部材の後端部外周に工具用掛止部が設けられているから、フィルタ部材(取付部材及び筒状エレメント)の着脱の際、工具用掛止部に容易に工具を掛けることができ作業性が向上すると共に、工具からのトルクが筒状エレメントに作用することがないので、着脱の際にトルク負荷により筒状エレメントが損傷するおそれがない。
【0026】
また、工具用掛止部とキャップの流路部のメネジへ螺着するオネジが同一部材(取付部材)の両端部に設けられているから、工具からの回動トルクが直接取付部材の先端部に伝わってキャップと螺合するので、フィルタ部材及びキャップが確実な固定性・耐久性をもって螺着されると共に、螺着を解除して取り外す際も高いトルクを与えることができ、フィルタ部材を着脱する作業性も高まる。
【0029】
請求項
3に記載の発明によると、連通部がキャップに設けた装着段部又は取付部材の肩部の何れか一方又は双方に形成され、また、導通部がOリング二次側と取付部材の流路部とを導通する導通孔であるから、Oリングに過剰な差圧が作用することがなくなるので、この過剰な差圧の作用によるOリングの破損が生じる事がない。
【0030】
請求項
4に記載の発明によると、キャップの装着段部に接ガス面に向けてテーパ形成のテーパ連通部を設けたから、簡易な加工のみで、高圧流体がOリングの1次側へ流入するための流路を確保して流れを促進できる。
【0031】
請求項
5に記載の発明によると、装着面と装着段部との間に異物流出防止用Oリングを装着するから、異物流出を確実に防止しつつ、取付部材の装着面とキャップの装着段部との間の端面シールが可能となり、取付部材とキャップとの螺着の締付けにより高いシール性を発揮させることができる。また、取付部材に設けるシール機構を極めて簡易に設けることができる。
【0032】
請求項
6に記載の発明によると、取付部材の段部とキャップのテーパ面部との間を圧接させて高圧流体と濾過流体とを密封シールしたから、取付部材とキャップとの間にシール部材が不要となると共に、フィルタの取扱性・メンテナンス性や生産性が向上する。しかも、シール部材の劣化による流体の漏れや、シール部材からの発塵などが生じることがない。
【0033】
請求項
7に記載の発明によると、エンド部材を円錐形状部としたから、流体が入口から1次側領域内に急激に流入しても、円錐形状部の表面形状に沿うようにして流体が適切に分散され、これによりフィルタ部材を回り込むような流体の流れの形成が促進されると共に、エンド部材が流体から受ける力が大幅に緩和され、エレメントへの負荷も大幅に低減される
【0034】
請求項
8に記載の発明によると、テーパ形状部を備えたから、ボデーの入口から1次側領域に流入する流体の流れがテーパ形状部の表面に沿うような流れが促進され、これによりボデー流路部内周面側へ流れが良好に分散されてフィルタ部材を回り込むような流体の流れの形成が促進され、もって1次側領域から2次側領域への流体の流れを促進することができる。また、適切な流路断面積を持った緩やかな流路が形成されることから、流体の流れがスムーズになることで流量損失も低減できる。
【0035】
請求項
9に記載の発明によると、前記高圧用フィルタを超高圧水素の供給ラインに設けることにより、水素ステーションの適宜の供給ラインを高純度に維持することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に、本発明における高圧用フィルタの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本発明の高圧用フィルタは、水素ステーションにおける超高圧水素流体の濾過に特に好適である。
図1は、本発明の高圧用フィルタの第一実施形態を示した断面図であり、
図2は、本実施形態の分解斜視図である。
図1、2に示すように、本発明の高圧用フィルタは、ボデー11、キャップ20、フィルタ部材30を有している。
【0038】
本発明の高圧用フィルタは、ボデー11とキャップ20とを螺着して構成したフィルタ本体の流路部内にフィルタ部材30を内蔵した高圧用フィルタである。
【0039】
図1、2において、ボデー11は、100MPa級の超高圧水素ガス流体などの高圧流体に対して良好な耐圧性を備えるため、内部の中空領域に比して肉厚な外殻に形成されている。本実施形態のボデー11の材質は金属製であり、例えばステンレス合金(SUS316)からなる。また、同図において右側にはめねじ部12からなる管接合部が形成され、この管接合部に続けて、管接合部に向けて開口する縮径穴を有する入口13が形成され、この入口13に続けて、入口13と連通して入口13より拡径した円筒状空間である流路部14が形成され、この流路部14に続けて、流路部14より拡径した円筒状空間であって、内周面にめねじ部15を有するキャップ20との接合部が形成されている。また、めねじ部12からなる管接合部には、図示しない外部継手の雄ねじ部を螺合可能となっている。
【0040】
図1、2において、キャップ20も、ボデー11と同様に、内部の中空領域に比して肉厚な外殻に形成され、本実施形態では金属製材質からなり、例えばボデー11と同じステンレス合金からなる。また、同図において左側にはめねじ部21からなる管接合部が形成され、この管接合部に続けて、管接合部に向けて開口する縮径穴を有する出口22が形成され、この出口22に続けて、出口22と連通して出口22より拡径した円筒状空間であって、内周面に後述の取付部材32を螺着可能なメネジ部23を有する流路部24が形成されている。また、めねじ部21からなる管接合部には、図示しない外部継手の雄ねじ部を螺合可能となっている。
【0041】
キャップ20の外周には、一端側に多角形状(六角形状)の工具掛部25が形成され、他端側にボデー11のめねじ部15と螺着可能な雄ねじ部27が形成されており、この雄ねじ部27と、ボデー11のめねじ部15との螺着により、ボデー11とキャップ20が接合される。
【0042】
図1、2において、ガスケット40は、例えば銅又は銅合金などにより円盤リング状に形成され、ボデー11のめねじ部15とキャップ20の雄ねじ部27とを螺着接合した際、ボデー11の流路部14よりも開口側の開口側端面に形成された底面16と、キャップ20の先端面26との間に狭圧され、ボデー11とキャップ20との間をシールする。
【0043】
本実施形態における底面16および先端面26は、ボデー11とキャップ20との接合時に互いに対向し、ガスケット40の片面とそれぞれ同形状に形成されたガスケット当接面であり、ガスケット40の狭圧力を高めてシール性を向上させるため、底面16および先端面26のそれぞれの内径側は、狭着されるガスケット40側へ向けて僅かにテーパ状に盛り上がるように形成されている。すなわち、
図1に示したように、底面16および先端面26の断面は、それぞれ軸心側へ向けて、同図の縦方向に対して僅かな傾斜のテーパ状傾斜面となっており、ガスケット40の内径側付近をエッジシール可能に構成されている。
【0044】
本発明のフィルタ部材30は、一端部31aに取付部材32を固着した筒状エレメント31から成る。
図1、2において、本実施形態のフィルタ部材30における筒状エレメント31は、高圧ガス流体の使用圧力、流量、圧損などとの関係から、流路部14の軸心方向長さと径に対して適切な比率の長さと径を有する円筒形状に形成され、筒状エレメント31の他端部31bには、円板状のエンド部材33が固着している。
【0045】
図1、2において、取付部材32は、先端部34と後端部35とを有し、内部に流路36が設けられた筒状部材であり、先端部34の外周面には、キャップ20の流路部24のメネジ部23と着脱自在に螺着可能なオネジ部37が形成されている。後端部35は、先端部34に比してやや大径に形成され、その外周面には、工具用掛止部である切欠平面部38が形成されている。このため、オネジ部37とメネジ部23との螺着状態では、後端部35に設けた工具用掛止部(切欠平面部38)は、キャップ20の先端面26から露出状態となる。また、後端部35には、前述の筒状エレメント31の一端部31aが固着している。
【0046】
切欠平面部38は、後端部35の外周面に取付部材32の軸心方向と略平行な平面部を切り欠いたように形成されており、互いに略平行な2面1組の2面切欠平面部(2面切欠形状)であれば製造上好適であるが、本実施形態においては
図1、2に示すように、工具を掛ける方向を増やしてメンテナンス性を向上させるため、互いに略垂直に2組の平面部を形成した4面切欠形状としており、この他6面などの多面切欠形状に形成してもよい。
【0047】
また、
図1に示すように、本発明の高圧用フィルタは、ボデー11と取付部材32でフィルタ部材30を取付けたキャップ20とを接合した状態においては、高圧ガス流体を濾過する筒状エレメント31は、全体がボデー11の流路部14内部に内蔵された状態となり、キャップ20内部に内蔵されることがない構造となっている。
【0048】
本実施形態においては、筒状エレメント31とキャップ20との間をOリング41でシールしている。キャップ20の先端面26と流路部24の開口側との間には装着段部28が形成されており、取付部材32の後端部35の肩部35aの形状と適合して当接可能となっており、この肩部35aには、Oリング41を装着する装着面35bが形成されている。この装着面35bに装着されたOリング41は、フィルタ部材30をキャップ20に取付けた状態において、装着面35b及び装着段部28に圧縮されてキャップ20との流路部24内部を密封シールしている。
【0049】
本発明の高圧用フィルタは、上記構造であるから、
図1に示したボデー11とキャップ20との接合状態から、雄ねじ部27とめねじ部15との螺着を解除してキャップ20をボデー11から取り出したときに、筒状エレメント31がキャップから露出した状態でキャップ20と共にフィルタ部材30が取り出される。
【0050】
次いで、本発明の高圧用フィルタの作用を説明する。
図1に示した本発明の高圧用フィルタは、ボデー11の管接合部とキャップ20の管接合部に図示しない外部継手がそれぞれ接合されることで高圧ガス圧送ラインの所定箇所に配設され、高圧ガス流体を濾過可能な使用状態となる。
【0051】
使用状態では、ボデー11側の外部継手を介してボデー11の入口13から高圧ガス流体が流路部14の1次側領域17へ流入する。1次側領域17内の流体は、筒状エレメント31を透過して、2次側領域39である筒状エレメント31内部に流入する。筒状エレメント31で濾過され2次側領域39へ流入した高圧ガス流体は、取付部材32の流路36を通過してキャップ20の出口22へ圧送される。1次側領域17と連通したボデー11とキャップ20との間はガスケット40によりシールされ、取付部材32とキャップ20との間は上記構造のOリング41によりシールされる。
【0052】
本実施形態に使用される筒状エレメント31は、例えばSUS316などからなる高圧水素用の金網フィルタ(2〜10μm)が好ましく、本例ではこれを用いている。金網フィルタの場合、無数に形成されたミクロンオーダーの微細な網目に異物が捕捉され、高圧ガス流体が清浄化される。ただし筒状エレメント31は、例えばステンレス原料粉体を焼結した多孔質金属焼結膜などの焼結体その他のフィルタであってもよく、材質や使用温度、使用流量や濾過精度と圧損率、サイズや形状その他の各種特性で濾過可能なエレメントであればとくに制限されないものであり、適宜選択可能である。
【0053】
続いて、本発明の第2実施形態を説明する。第1実施形態と同一箇所は同一符号を付しその説明を省略する。
図3は、本発明の高圧用フィルタの第2実施形態を示した断面図である。本実施形態においては、筒状エレメント31とキャップ20との間のシール構造が、第1実施形態と異なる。
【0054】
図3に示すように、本実施形態においては、筒状エレメント31とキャップ20との間をテーパ面28aと段部35cとのメタルタッチでエッジシールしている。キャップ20の流路部24の開口側と装着段部28との間にはテーパ面28aが形成されていると共に、取付部材32の先端部34と後端部35との間の肩部35aには円環状の段部35cが形成されている。取付部材32をキャップ20に取付けた際には、これらテーパ面28aと段部35cの角部とは、互いに形状が適合して全周に亘って線接触状に圧着当接可能となっている。テーパ面28a及び段部35cが圧着当接されることで、取付部材32とキャップ20との間がシールされる。本実施形態では、他の実施形態のように取付部材32とキャップ20との間にOリングを介在させるスペースの確保が不要であるから、オネジ部37の長さを、他の実施形態に比して長く設けることが可能となり、より確実にフィルタ部材30をキャップ20に取付けることができる。
【0055】
続いて、本発明の第3実施形態を説明する。第1実施形態と同一箇所は同一符号を付しその説明を省略する。
図4は、本発明の高圧用フィルタの第3実施形態を示した断面図である。本実施形態においても、筒状エレメント31とキャップ20との間のシール構造が他の実施形態と異なる。
【0056】
図4に示すように、本実施形態においては、筒状エレメント31とキャップ20との間をOリング42でシールしている。取付部材32の先端部34には、オネジ部37と後端部35の肩部35aとの間にオネジ部37が形成されていない中間部34bが形成され、この中間部34bにOリング42を装着可能な装着溝34aが形成されている。フィルタ部材30をキャップ20に取付けた状態において、装着溝34aの位置は流路部24のメネジ部23が形成されていない円筒状の内周面24aと対向する位置となり、装着溝34aに装着されたOリング42は、装着溝34a及び内周面24aに圧縮されてキャップ20と取付部材32との間をシールする。
【0057】
図5は、本発明の高圧用フィルタを使用した水素ステーションを示している。水素ステーションは、例えば、蓄圧機70、圧縮機71、ディスペンサ72、プレクール熱交換器73、逆止め弁85、迅速継手74、充填ホース75、充填ノズル76、車載タンク77を有し、これらは高圧水素の供給ライン78としてシステムを構成している。
【0058】
同図には示していないが、本発明の高圧用フィルタは、例えば、インラインガスフィルタとしてディスペンサ72の二次側(供給ライン78)の適宜箇所に設けられ、或は、その他の供給ラインに設けられ、高精度かつ圧損が低減された優れた濾過能力を発揮して車両に供給される超高圧水素ガスから微小な異物を適切に除去する。
【0059】
なお、水素ステーションの各ユニットの接続部位には手動弁81が設けられ、各ユニットの一次側又は二次側に適宜自動弁80が設けられている。蓄圧機70の内部は、複数のタンクに分かれており、それぞれのタンクと圧縮機71とを接続するバルブ80、及びそれぞれのタンクとディスペンサ72とを接続するバルブ80を適宜切り替えることにより、所定圧に至ったタンクから水素をディスペンサに供給する一方、所定の下限値圧を下回ったタンクには、圧縮機71から水素を前記所定圧に至るまで充填する。この水素ステーションに設けられた供給ライン78において、所定のプログラムによって水素供給が制御され、車両供給量に応じて適宜に水素を供給制御可能になっている。
【0060】
続いて、本発明の第4実施形態を説明する。上記の第1実施形態又は第3実施形態と同一箇所は同一符号を付しその説明を省略する。
図7は、本発明の高圧用フィルタの第4実施形態を示し、
図8は、
図7のA部拡大断面図を、
図9は、
図7のB部拡大断面図を、
図10は、
図7におけるフィルタ部材30の外観側面図を、それぞれ示す。
【0061】
図1〜4に示した上記第1〜3実施形態においては、エンド部材33は円盤形状であるから、エンド部材33の1次側端面は平面状であって入口13の流路軸に対して直角方向である。よって、入口13から1次側領域17に流入した流体は直角方向にエンド部材33の端面に当たるので、流入した流体圧がほとんど分散されずに直接的にエンド部材33の端面に圧力負担を与える構造である。このため、流体圧に対してエンド部材33が受ける流体抵抗も過剰となりやすく、特に流体が超高圧の場合、エンド部材33に直接固着している筒状エレメント31が受ける負荷も過大となり、筒状エレメント31やフィルタ部材30が破損する原因となるおそれがあった。さらに、平面状のエンド部材33の1次側端面は入口13の内側開口部の近接した位置に面していることから、流体の大きな抵抗障壁となってスムーズな流入を阻害し、流量損失の原因となるおそれもあった。
【0062】
上記課題に対し、
図7、8、10に示した第4実施形態では、フィルタ部材30の一次側領域17に設けたエンド部材33を高圧流体の入口13側に向けて円錐形状部33aとすると共に、ボデー11の入口13と一次側領域17との間にテーパ形状部13aを備えた構造にしている。
【0063】
本実施形態の構造では、入口13の開口部がテーパ形状部13aであるから、内側開口部が流路軸に同心状に流路部14側に向けて拡径しているので、入口13からボデー11の1次側領域17内へ流入する流体は、拡径したテーパ形状部13a表面に沿った流れの発生により流路軸方向への流れが拡散され、エンド部材33へ直接向かう流量割合が低減され、流路軸方向の流体圧成分が低減される。
【0064】
また、円錐形状部33aにより、エンド部材33の1次側端面が流路軸に同心状に入口13側に向けて縮径しているから、1次側領域17へ流入した流体は円錐形状部33aの表面に鋭角方向に当たり、これによりエンド部材33が受ける流路軸方向の流体圧成分が低減されると共に、流路軸心に対称的に流体が当たることで流路軸垂直方向の流体圧成分が互いに相殺されるから、平面状の場合に比べ、全体として、筒状エレメント31が受ける流体圧からの負荷を大幅に低減できる。また、このようなテーパ形状部13aと円錐形状部33aとの組み合わせ構造により、流路に沿った流路断面積の変化率も滑らかになり、流路部内における流体のスムーズな流れを促進する流路空間が確保されるから、流路から流体が受ける抵抗も低減され流量損失も低減できる。
【0065】
図8に示すように、円錐形状部33aの円錐頂部33bは入口13側に突出しており、また、入口13開口部のテーパ形状部13aは、円錐形状部33aのテーパ形状に適合するように形成されている。このため、テーパ形状部13aと円錐形状部33aとでスムーズな流れを生む流路が確保され、同図に矢印で示したように、エンド部材33を回り込むようなスムーズな流れの形成が促進され、エンド部材33に作用する流体圧が緩和されると共に、流体抵抗が減少して流量損失も低減される。なお、テーパ形状部13a及び円錐形状部33aは、共に可能な限り鋭いテーパ角度であれば、流体圧の分散・低減効果を高めることができるため好適である。
【0066】
また、
図4に示した上記第3実施形態においては、キャップ20とフィルタ部材30とを固定している装着段部28及び螺合部48(メネジ部23及びオネジ部37の螺合部)は、本来は気密性能を必要としていない部位であるが、各部品の表面状態や螺着状態のバラツキなどの要因により、必要以上に気密になってしまう可能性があった。このような過剰な気密状態となった場合、流体は、装着段部28や螺合部48を介してOリング42側(装着溝34a内)へ到達できなくなる(或は、到達できても極僅かなものとなる)ことから、特に、装着段部28の気密状態と螺合部48の気密状態との間に大きな差がある場合には、Oリング42が1次側から受ける流体圧力と2次側から受ける流体圧力との間にも大きな差が生じ、その大きな圧力差によりOリング42の片側だけに非常に大きな力が掛かり、結果としてOリング42が破損してしまうおそれがあった。
【0067】
上記課題に対し、第4実施形態では、Oリング42の一次側43に高圧流体圧力を連通させるための連通部45を設けると共に、Oリング42の二次側44に濾過流体圧力が導通する導通部46を設けた構造にしている。
【0068】
本実施形態の構造では、装着溝34a内部側(一次側43)と1次側領域17が常時連通すると共に、装着溝34a内部側(二次側44)と2次側領域39も常時導通状態にすることができる。また、本発明の高圧用フィルタの使用状態においては、濾過前の1次側領域17内の流体圧(高圧流体圧)と、濾過後の2次側領域39内の流体圧(濾過流体圧)とは、常時略同一である。よって、Oリング42の一次側43と二次側44とは、常時略等圧状態(均圧状態)となる。連通部45と導通部46によりこの均圧状態が維持されるから、装着段部28や螺合部48の気密状態によらず、装着溝34aに装着されたOリング42の1次側43と2次側44との間の差圧は極めて小さくなる。よって、装着溝のOリングの片側のみに大きな差圧が作用することがなくなり、この差圧によるOリングの破損が生じる事がない。
【0069】
図7、9、10に示すように、本実施形態では、Oリング42の1次側43とフィルタ部材30の1次側領域17とを連通する連通部として、切欠き部45を1箇所に設けると共に、Oリング42の2次側44とフィルタ部材30の2次側領域39(流路36内側領域)とを導通する導通部として、導通孔46を1箇所に設けている。
【0070】
また、本実施形態では、後端部35(取付部材32)の肩部35aの位置には流路部14の内径(装着段部28の外径)に適合した外径の鍔部47を形成して取付部材32とキャップ20との当接面積を確保しており、一方で、後端部35の外径は、この鍔部47の外径より小さく形成しており、これにより隙間G1が確保されている。この点、後端部35の外径がガスケット40の内径と同等で嵌合しているような場合は、キャップ20をボデー11に締め付けた際、先端面26に押圧されてガスケット40が潰され、これにより潰れた分のガスケット肉が取付部材32に向けて突出し、キャップ20の締付具合によっては後端部35に食い込んでフィルタ部材30の取り外しができなくなってしまうことが有り得るが、上記のように隙間G1が確保されていれば、ガスケット40が潰れて内径側に肉が飛び出しても取付部材32への食い込みが回避できる。
【0071】
図9に示すように、流路36(2次側領域39)内の流体は、流路36(中間部34b)の内外を連通する横穴である導通孔46を通過し、中間部34bの外径は流路部24の内径より小さいことから隙間G2が形成されており、この隙間G2を流体が通過することで、Oリング42の2次側44に到達できる。一方、流路部14(1次側領域17)内の流体は、後端部35の外径は流路部14の内径より小さいことから隙間G1が形成されており、この隙間G1を流体が通過することで切欠平面部38に到達可能であり、また、切欠平面部38から鍔部47を平面状に切り欠いた切欠き部45を通過し、さらに、中間部34bと流路部24との間の隙間G2を通過することで、Oリング42の1次側43に到達できる。
【0072】
また、
図9において、キャップ20の装着段部28の内側には、テーパ連通部28bが接ガス面に向けてテーパ形成されており、このテーパ連通部28bにより流路スペースが拡大すると共に流路断面の変化が滑らかになることから、切欠き部45から1次側43への流体の連通が促進される。また、テーパ連通部28bにより螺合部48の開口部が拡径しているから、本例の高圧用フィルタの組立の際などに、取付部材32を螺合部48に挿入し易くなると共に、螺合部48の開口部でOリング42が損傷され難くなり、また、螺合部48への嵌入及びシール装着も容易となり、本発明の高圧用フィルタの組立作業性が向上する。さらに、異物流出防止用のOリング42は、取付部材32の外周面とキャップ20の流路部24内周面とを密封シールしているから、Oリング42の1次側43へ流体が流入しても2次側領域39内へ異物(筒状エレメント31で捕捉されるべき異物)が侵入してしまうことはない。
【0073】
本発明の高圧用フィルタの使用状態において、フィルタ部材30の内外は常時略同圧であるから、上記構成により、Oリング42の両側(1次側43及び2次側44)は、常時流体圧と略同圧状態となることが担保され、もって、急激に片側(1次側43又は2次側44)のみに差圧が偏ることによるOリング42の破損が確実に防止できる。
【0074】
なお、本実施形態では切欠き部45を1箇所に設けているが、連通部45はこのような構造のほか、適切な位置に複数箇所設けたり、また、キャップ20の装着段部28に当接させる取付部材32の肩部35aに適宜設けた溝や孔構造でもよく、さらに、装着段部28側に適宜設けた溝や孔構造でもよく、或はこれら双方の組み合わせ構造でもよく、1次側領域17とOリング42の1次側43とを連通可能に構成されていればよい。また、1か所の導通孔46も、適切な位置に複数箇所設けたり、横穴以外の穴や溝構造など、2次側領域39とOリング42の2次側44とを導通可能に構成されていればよく、何れの構成とも上記実施形態に示した構造に限定されるものではない。
【0075】
図10は、本実施形態のフィルタ部材30のみを示した外観側面図である。同図に示すように、エンド部材33には円錐形状部33aが形成されている。また、取付部材32の後端部35には切欠平面部38が形成され、この切欠平面部38から鍔部47を切り欠いて中間部34bへ至る切欠き部45が1箇所設けられている。また、中間部34b外周面にはOリング42装着用の装着溝34aが形成されていると共に、導通孔46が1箇所設けられている。なお、導通孔46の位置は、加工上切欠き部45と同一方向に設けるのが好適であるが、実施に応じて任意に設けることができる。さらに、先端部34には、キャップ20のメネジ部23と螺着可能なオネジ部37(螺合部48)が設けられている。
【0076】
更に、本発明は、前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載されている発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。