特許第6778049号(P6778049)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6778049-コンデンサ取付構造 図000002
  • 特許6778049-コンデンサ取付構造 図000003
  • 特許6778049-コンデンサ取付構造 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6778049
(24)【登録日】2020年10月13日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】コンデンサ取付構造
(51)【国際特許分類】
   H01G 2/02 20060101AFI20201019BHJP
【FI】
   H01G2/02 101B
   H01G2/02 101C
   H01G2/02 101E
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2016-159998(P2016-159998)
(22)【出願日】2016年8月17日
(65)【公開番号】特開2018-29116(P2018-29116A)
(43)【公開日】2018年2月22日
【審査請求日】2019年8月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003115
【氏名又は名称】東洋電機製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】城野 強
【審査官】 鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−351897(JP,A)
【文献】 実開昭61−207022(JP,U)
【文献】 特開2000−182894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 2/02−2/06
H01G 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状で一端面に端子を有するコンデンサを電気機器のコンデンサ取付部に取り付けるコンデンサ取付構造であって、
端子が嵌合する端子穴が形成された樹脂製の絶縁板と、絶縁板が固定される金属製の基板とを備え、コンデンサの一端部が嵌合する一端側円筒部を絶縁板に設けると共に、コンデンサの他端部が嵌合する、外周面に凹溝が形成された樹脂製の他端側円筒部が、この他端側円筒部に対応して基板に形成された丸穴の周縁部に凹溝を係合させた状態で基板に嵌合固定され、絶縁板と基板との間にコンデンサを狭持した状態で基板をコンデンサ取付部に固定することを特徴とするコンデンサ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円柱状で一端面に端子を有するコンデンサを電気機器のコンデンサ取付部に取り付けるコンデンサ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンデンサとして、端子とは反対側の端面であるコンデンサの他端面にスタッドボルトを植設したものが知られている(例えば、非特許文献1参照)。このものでは、スタッドボルトを電気機器のコンデンサ取付部に貫通させた状態で、スタッドボルトにナットを締め込むことによりコンデンサをコンデンサ取付部に取り付けている。
【0003】
然し、スタッドボルトによる取り付けだけではコンデンサの中心軸線回りの位相が一義的に定まらず、端子を所定位置に精度良く位置決めすることが困難である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】TDK、“Film Capacitors”、[online]、平成28年1月、インターネット<URL:http://www.epcos.co.jp/inf/20/50/ds/B2562.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、コンデンサの端子を精度良く位置決めしつつ、コンデンサを取り付けできるようにしたコンデンサ取付構造を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、円柱状で一端面に端子を有するコンデンサを電気機器のコンデンサ取付部に取り付けるコンデンサ取付構造であって、端子が嵌合する端子穴が形成された樹脂製の絶縁板と、絶縁板が固定される金属製の基板とを備え、コンデンサの一端部が嵌合する一端側円筒部を絶縁板に設けると共に、コンデンサの他端部が嵌合する、外周面に凹溝が形成された樹脂製の他端側円筒部が、この他端側円筒部に対応して基板に形成された丸穴の周縁部に凹溝を係合させた状態で基板に嵌合固定され、絶縁板と基板との間にコンデンサを狭持した状態で基板をコンデンサ取付部に固定することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、絶縁板の端子穴に端子を嵌合させ、絶縁板を基板に固定することにより、コンデンサの中心軸線回りの位相が一義的に定まる。従って、コンデンサの端子を精度良く位置決めしつつ、コンデンサを取り付けできる。
【0008】
また、本発明によれば、コンデンサの両端部を両円筒部に嵌合させることにより、コンデンサが強固に固定される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態のコンデンサ取付構造を具備するコンデンサユニットの分解斜視図。
図2図1のコンデンサユニットをコンデンサ取付部に取り付ける状態を示す斜視図。
図3】(a)図1のIII−III線で切断した基板に他端側円筒部を固定した状態での断面図、(b)図3(a)の一点鎖線で囲んだA部分の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1及び図2を参照して、1は、3個のコンデンサ5を並べた状態で保持するコンデンサユニットを示している。このコンデンサユニット1は、インバータのコンデンサ取付部6に取り付けられる。尚、コンデンサ5は、円柱状で一端面に端子51を有し、他端面にスタッドボルト52が植設されている。
【0011】
コンデンサユニット1は、各コンデンサ5の端子51が嵌合する端子穴21が形成された樹脂製の絶縁板2と、絶縁板2が固定される金属製の基板3とを備えている。図3も参照して、絶縁板2には、各コンデンサ5の一端部が嵌合する一端側円筒部22が3個設けられている。一端側円筒部22には、周方向に間隔を存して切欠き22aが複数形成されている。これにより、一端側円筒部22にバネ性を持たせ、コンデンサ5を嵌めやすくしている。
【0012】
基板3には、各コンデンサ5の他端部が嵌合する樹脂製の他端側円筒部31が3個設けられている。他端側円筒部31は、有底短筒状であって、底部にスタッドボルト52が挿通される逃げ穴31aが形成されている。また、他端側円筒部31の外周面には、凹溝31bが形成され、更に、基板3には他端側円筒部31に対応する丸穴32が3個形成されている。そして、図3(b)に示す如く、各丸穴32の周縁部を各他端側円筒部31の凹溝31bに係合させることにより、基板3に各他端側円筒部31が嵌合固定されるようにしている。尚、他端側円筒部31を基板3に固定した状態で、他端側円筒部31の底部が基板3の外面から突出するため、コンデンサ取付部6には、他端側円筒部31の底部が挿入される逃げ穴61が3個形成されている。
【0013】
また、絶縁板2の周縁部に、外方に張出す複数の耳片部23を突設すると共に、基板3の周縁部に、絶縁板2側にのびて夫々先端部が耳片部23に対向する複数の舌片部33を曲成している。そして、各耳片部23に形成した固定穴23aを通して各固定ねじ4を各舌片部33の先端部に形成したねじ穴33aに螺合させることにより、絶縁板2を基板3に固定する。これにより、絶縁板2と基板3との間に3個のコンデンサ5が挟持され、コンデンサユニット1が組立てられる。次に、基板3に形成された各取付穴34を通して各取付ねじ11をコンデンサ取付部6に形成された各ねじ穴62に螺合させて、コンデンサユニット1をコンデンサ取付部6に固定する。
【0014】
本実施形態によれば、絶縁板2の端子穴21に端子51を嵌合させ、絶縁板2を基板3に固定することにより、コンデンサ5の中心軸線回りの位相が一義的に定まる。従って、コンデンサ5の端子51を精度良く位置決めしつつ、コンデンサ5を取り付けできる。更に、コンデンサ5の両端部を一端側と他端側の両円筒部22,31に嵌合させることにより、コンデンサ5が強固に固定される。
【0015】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、他端側円筒部31を基板3と一体としてもよい。但し、他端側円筒部31を金属製にしたのでは、コンデンサ5と基板3との間で絶縁性を十分に確保できず、また、コンデンサ5が傷つきやすいため、本実施形態の如く他端側円筒部31を基板3と別体の樹脂製のものとすることが望ましい。また、上記実施形態は、インバータのコンデンサ取付部6にコンデンサ5を取付けているが、インバータ以外の他の電気機器のコンデンサ取付部にコンデンサを取り付ける場合にも同様に本発明を適用でき、更に、スタッドボルトが植設されていないコンデンサの取付構造としても同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0016】
2…絶縁板、21…端子穴、22一端側円筒部、3…基板、31…他端側円筒部、5…コンデンサ、51…端子、6…コンデンサ取付部。
図1
図2
図3