特許第6778051号(P6778051)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6778051
(24)【登録日】2020年10月13日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】オセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/215 20060101AFI20201019BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20201019BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20201019BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20201019BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20201019BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20201019BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   A61K31/215
   A61K9/16
   A61K47/32
   A61K47/02
   A61K47/04
   A61K47/26
   A61P31/16
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-160351(P2016-160351)
(22)【出願日】2016年8月18日
(65)【公開番号】特開2018-27912(P2018-27912A)
(43)【公開日】2018年2月22日
【審査請求日】2019年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000209049
【氏名又は名称】沢井製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】金井 匡平
(72)【発明者】
【氏名】池治 宣晃
(72)【発明者】
【氏名】奥村 友則
【審査官】 新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0120802(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0120820(US,A1)
【文献】 特表2009−532390(JP,A)
【文献】 特開2007−302683(JP,A)
【文献】 特開2007−269783(JP,A)
【文献】 特開2008−007420(JP,A)
【文献】 特開2011−063627(JP,A)
【文献】 再公表特許第2005/055989(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−33/44
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/69
A61P 31/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オセルタミビルリン酸塩と、
ポリビニルアルコール
多孔性のケイ酸カルシウム、多孔性の軽質無水ケイ酸、多孔性の含水二酸化ケイ素、多孔性のメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、多孔性の無水リン酸水素カルシウム及び多孔性の乳糖からなる群から選択される一つの添加剤と、を含有することを特徴とするオセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物。
【請求項2】
前記オセルタミビルリン酸塩と前記ポリビニルアルコールとを含む第1の組成物と、
前記一つの添加剤を含む第2の組成物と、を含み、
前記第2の組成物が、前記第1の組成物からなる粒子を覆うことを特徴とする請求項に記載のオセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物。
【請求項3】
オセルタミビルリン酸塩と、ポリビニルアルコール、を含有する第1の組成物に、水分を添加して造粒し、
得られた造粒物と、多孔性のケイ酸カルシウム、多孔性の軽質無水ケイ酸、多孔性の含水二酸化ケイ素、多孔性のメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、多孔性の無水リン酸水素カルシウム及び多孔性の乳糖からなる群から選択される一つの添加剤と、を混合するオセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物に関する。特に、本発明は、苦味を抑制したオセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
オセルタミビルリン酸塩((-)-Ethyl(3R,4R,5S)-4-acetamido-5-amino-3-(1-ethylpropoxy)cyclohex-1-ene- 1-carboxylate monophosphate)は、代謝によりオセルタミビル活性体に変換され、インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼに選択的に結合し、ノイラミニダーゼの活性を阻害する。オセルタミビル活性体のノイラミニダーゼに対する活性阻害作用により、インフルエンザウイルスは感染細胞から遊離できず、インフルエンザウイルスの増殖が抑制される。このため、オセルタミビルリン酸塩は、インフルエンザの予防剤または治療剤として、広く用いられている。近年、小児に対する処方の需要の高まりから、オセルタミビルリン酸塩は、小児が服用しやすい剤形であるドライシロップ剤としても製剤化されている(非特許文献1)。
【0003】
現在市販されているオセルタミビルリン酸塩はその原薬そのものが苦味を有するため、ドライシロップ剤であっても小児には服用しにくいことが知られている。このため、インフルエンザウイルス感染症の治療時に用法として定められている1日2回、5日間の服用を中断することなく、継続して小児が服用できるように、苦味を抑制して服用性を向上させる必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】医薬品インタビューフォーム,2015年10月(改訂第27版)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一つの目的は、苦味を抑制したオセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によると、オセルタミビルリン酸塩と、ポリビニルアルコール、ヒプロメロース、メタクリル酸コポリマー及びメチルセルロースからなる群から選択される一つの添加剤と、を含有することを特徴とするオセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物が提供される。
【0007】
前記オセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物において、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水リン酸水素カルシウムエリスリトール及び乳糖からなる群から選択される一つの多孔性添加剤をさらに含んでもよい。
【0008】
前記オセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物において、前記オセルタミビルリン酸塩と前記添加剤とを含む第1の組成物と、前記多孔性添加剤を含む第2の組成物と、を含み、前記第2の組成物が、前記第1の組成物からなる粒子を覆ってもよい。
【0009】
また、本発明の一実施形態によると、オセルタミビルリン酸塩と、ポリビニルアルコール、ヒプロメロース、メタクリル酸コポリマー及びメチルセルロースからなる群から選択される一つの添加剤と、を含有する第1の組成物に、水分を添加して造粒するオセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物の製造方法が提供される。
【0010】
前記オセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物の製造方法において、得られた造粒物と、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水リン酸水素カルシウムエリスリトール及び乳糖からなる群から選択される一つの多孔性添加剤を含有する第2の組成物と、を混合してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態によると、苦味を抑制したオセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例に係るオセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物の溶出率の測定結果を示す図である。
図2】本発明の一実施例に係るオセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物の溶出率の測定結果を示す図である。
図3】本発明の一実施例に係るオセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物の溶出率の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るオセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物について説明する。但し、本発明のオセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物は、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0014】
オセルタミビルリン酸塩はアミノ基を有するため、還元糖を添加剤に用いると、メイラード反応を生じる。このため、非特許文献1のオセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物においては、賦形剤として還元糖以外の糖や糖アルコールを用いていた。しかし、上述したように、非特許文献1に好ましいとされるエリスリトールを添加しても、十分な苦味の抑制ができない。
【0015】
本発明の一実施形態に係るオセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物は、オセルタミビルリン酸塩と、高分子の添加剤と、を含む。オセルタミビルリン酸塩の含有量は、期待される治療効果に応じて適宜選択可能であるが、例えば、オセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物を100重量%として、1重量%以上10重量%以下、好ましくは1重量%以上7重量%以下、より好ましくは3重量%以上5重量%以下であるが、これらに限定されない。
【0016】
高分子の添加剤は、例えば、ポリビニルアルコール、ヒプロメロース、メタクリル酸コポリマー及びメチルセルロースからなる群から選択される一つの添加剤である。本実施形態において、これらの高分子の添加剤は、オセルタミビルリン酸塩の苦味をマスキングする効果を有する。ポリビニルアルコールは、オセルタミビルリン酸塩の苦味を効果的にマスキングすることができ、オセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物に好適に添加することができる。
【0017】
本発明の一実施形態に係るオセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物において、上述した高分子の添加剤を、オセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物を100重量%として、0.1重量%以上10重量%以下、好ましくは1.5重量%以上6重量%以下含有する。
【0018】
一方、本発明の一実施形態に係るオセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物には、高分子の添加剤であっても、ポリビニルピロリドン等は添加することはできない。例えば、ポリビニルピロリドンは添加してもオセルタミビルリン酸塩の苦味をマスキングすることはできず、また製造性も著しく劣るため、好ましくない。
【0019】
オセルタミビルリン酸塩と高分子の添加剤とを含む組成物(以下、「第1の組成物」とも称す。)は、添加剤として、トウモロコシデンプンや部分アルファー化デンプンのような崩壊剤又は分散剤をさらに含んでもよい。これらの添加剤は、オセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物を100重量%として、10重量%以下、好ましくは3重量%以上5重量%以下含有することができる。
【0020】
また、本発明の一実施形態に係るオセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物は、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水リン酸水素カルシウム、エリスリトール及び乳糖からなる群から選択される一つの多孔性添加剤をさらに含むことが好ましい。本実施形態において、これらの多孔性添加剤は、高分子の添加剤と併用することにより、オセルタミビルリン酸塩の苦味を抑制する効果を有する。
【0021】
本発明の一実施形態に係るオセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物において、上述した多孔性添加剤を、オセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物を100重量%として、30重量%以上95重量%以下、好ましくは50重量%以上90重量%以下含有する。
【0022】
一実施形態において、オセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物は、オセルタミビルリン酸塩と高分子の添加剤とを含む第1の組成物と、多孔性添加剤を含む第2の組成物と、を含むことが好ましい。オセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物は、第2の組成物が、第1の組成物からなる粒子を覆う構成であることが好ましい。オセルタミビルリン酸塩と高分子の添加剤とを含む第1の組成物の外側に多孔性添加剤を含む第2の組成物を配置した構造を有することで、本実施形態に係るオセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物は、多孔性添加剤に還元糖を用いても、メイラード反応を抑制することができる。これは、オセルタミビルリン酸塩と高分子の添加剤とを含む第1の組成物の外側に還元糖が配置されることにより、オセルタミビルリン酸塩と還元糖との直接的な接触が抑制されるためである。したがって、本実施形態においては、従来用いられなかった還元糖を多孔性添加剤として用いることができる。
【0023】
一方、本発明の一実施形態に係るオセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物には、多孔性添加剤であっても、D−マンニトール等は、高分子の添加剤と併用してもオセルタミビルリン酸塩の苦味を抑制することはできず、好ましくない。
【0024】
また、多孔性添加剤を含む第2の組成物は、甘味料として、例えば、サッカリンナトリウム、ステビア抽出物、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二カリウムを含むグリチルリチン酸の塩類、ソーマチン、スクラロース、アセスルファムカリウム及びサッカリンをさらに含んでもよい。甘味料として、グリチルリチン酸二カリウム、ステビア抽出物、アセスルファムカリウムおよびサッカリンナトリウムは好ましく、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウムおよびアセスルファムカリウムは特に好ましい。これらの甘味料は、オセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物を100重量%として、0.01重量%以上5重量%以下、好ましくは0.05重量%以上2重量%以下含有することができる。
【0025】
さらに、多孔性添加剤を含む第2の組成物は、香料をさらに含んでもよい。香料には、医薬的に許容される公知の香料を用いることができるため、詳細な説明は省略する。
【0026】
[医薬組成物の製造方法]
一実施形態において、オセルタミビルリン酸塩と、ポリビニルアルコール、ヒプロメロース、メタクリル酸コポリマー及びメチルセルロースからなる群から選択される一つの添加剤と、を含有する第1の組成物に、水分を添加して造粒する。造粒工程には、撹拌造粒を用いることが好ましい。本実施形態において、第1の組成物の造粒は湿式造粒により行う。乾式造粒では、高分子の添加剤によるオセルタミビルリン酸塩の苦味を十分にはマスキングすることはできない。
【0027】
得られた造粒物を乾燥し、整粒することが好ましい。整粒物は、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水リン酸水素カルシウムエリスリトール及び乳糖からなる群から選択される一つの多孔性添加剤を含有する第2の組成物と混合し、オセルタミビルリン酸塩と高分子の添加剤とを含む第1の組成物の外側に多孔性添加剤を含む第2の組成物を配置した構造を有するオセルタミビルリン酸塩含有医薬組成物を得ることができる。
【実施例】
【0028】
[高分子の添加剤の検討]
高分子の添加剤について、苦味のマスキング効果を検討した。
【0029】
(実施例1)
本発明の実施例1として、オセルタミビルリン酸塩を含有する第1の組成物を製造した。オセルタミビルリン酸塩3.94g、トウモロコシデンプンとして日本食品化工社のXX16を5g、ポリビニルアルコールとして日本合成化学工業株式会社のEG-05PW 3gを乳鉢にて混合し、水を添加して造粒した。造粒物を流動層造粒機(株式会社パウレック、MP-01型)にて乾燥し、パワーミル(株式会社昭和化学機械工作所、P-04S)にて整粒し、実施例1の整粒物を得た。
【0030】
(実施例2)
本発明の実施例2として、ポリビニルアルコールに替えて、ヒプロメロース(信越化学工業株式会社、TC-5E)を3g添加したこと以外は、実施例1と同様に、実施例2の整粒物を得た。
【0031】
(実施例3)
本発明の実施例3として、ポリビニルアルコールに替えて、メタクリル酸コポリマー(EVONIK、オイドラギット(登録商標)S100)を3g添加したこと以外は、実施例1と同様に、実施例3の整粒物を得た。
【0032】
(実施例4)
本発明の実施例4として、ポリビニルアルコールに替えて、メチルセルロース(信越化学工業株式会社、メトローズSM-15)を3g添加したこと以外は、実施例1と同様に、実施例4の整粒物を得た。
【0033】
(比較例1)
比較例1として、ポリビニルアルコールに替えて、カルボキシビニルポリマー(CBC株式会社、カーボポール(登録商標))を3g添加したこと以外は、実施例1と同様に、比較例1の整粒物を得た。
【0034】
(比較例2)
比較例2として、ポリビニルアルコールに替えて、還元麦芽糖水飴(三菱商事フードテック株式会社、アマルティMR-50)を3g添加したこと以外は、実施例1と同様に、比較例2の整粒物を得た。
【0035】
(比較例3)
比較例3として、ポリビニルアルコールに替えて、ポリビニルピロリドン(株式会社日本触媒、K-30)を3g添加したこと以外は、実施例1と同様に、比較例3の整粒物を得た。
【0036】
実施例1〜4及び比較例1〜3の整粒物の苦味マスキング効果を評価した。苦味マスキング効果の評価には、官能試験を用いた。評価結果を表1に示す。
【表1】
【0037】
表1の結果から、ポリビニルアルコール、ヒプロメロース、メタクリル酸コポリマー又はメチルセルロースとオセルタミビルリン酸塩を造粒することにより、オセルタミビルリン酸塩の苦味をマスクできることが明らかとなった。一方、高分子の添加剤であっても、カルボキシビニルポリマー、還元麦芽糖水飴及びポリビニルピロリドンでは、オセルタミビルリン酸塩の苦味をマスクすることはできない。
【0038】
[多孔性添加剤の検討]
高分子の添加剤と組合せる多孔性添加剤について、苦味のマスキング効果を検討した。
【0039】
(実施例5)
実施例1の整粒物と、ケイ酸カルシウム(富田製薬株式会社、フローライト(登録商標)RE)を88.06gとを、V型混合機(ダルトン株式会社、VM-30)で混合し、実施例5の混合物を得た。
【0040】
(実施例6)
本発明の実施例6として、ケイ酸カルシウムに替えて、軽質無水ケイ酸(富士シリシア化学株式会社、サイリシア350)を88.06g添加したこと以外は、実施例5と同様に、実施例6の混合物を得た。
【0041】
(実施例7)
本発明の実施例7として、ケイ酸カルシウムに替えて、軽質無水ケイ酸(フロイント産業株式会社、アドソリダー(登録商標)101)を88.06g添加したこと以外は、実施例5と同様に、実施例7の混合物を得た。
【0042】
(実施例8)
本発明の実施例8として、ケイ酸カルシウムに替えて、含水二酸化ケイ素(フロイント産業株式会社、アドソリダー(登録商標)102)を88.06g添加したこと以外は、実施例5と同様に、実施例8の混合物を得た。
【0043】
(実施例9)
本発明の実施例9として、ケイ酸カルシウムに替えて、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(富士化学工業株式会社、ノイシリン(登録商標)US2)を88.06g添加したこと以外は、実施例5と同様に、実施例9の混合物を得た。
【0044】
(実施例10)
本発明の実施例10として、ケイ酸カルシウムに替えて、無水リン酸水素カルシウム(富士化学工業株式会社、フジカリン(登録商標))を88.06g添加したこと以外は、実施例5と同様に、実施例10の混合物を得た。
【0045】
(実施例11)
本発明の実施例11として、ケイ酸カルシウムに替えて、エリスリトール(三菱化学フーズ株式会社)を88.06g添加したこと以外は、実施例5と同様に、実施例11の混合物を得た。
【0046】
(実施例12)
本発明の実施例12として、ケイ酸カルシウムに替えて、乳糖(メグレ・ジャパン株式会社、フローラック100)を88.06g添加したこと以外は、実施例5と同様に、実施例12の混合物を得た。なお、フローラック100は、平均粒子径が約100μm、嵩密度が0.59g/mL、ハウスナー比が1.20であり、多孔性の乳糖である。
【0047】
(比較例5)
本発明の比較例5として、ケイ酸カルシウムに替えて、D−マンニトール(Merck Millipore、パーテック(登録商標)M)を88.06g添加したこと以外は、実施例5と同様に、比較例5の混合物を得た。
【0048】
(比較例6)
本発明の比較例6として、ケイ酸カルシウムに替えて、D−マンニトール(三菱商事フードテック株式会社、マンニットP)を88.06g添加したこと以外は、実施例5と同様に、比較例6の混合物を得た。
【0049】
(比較例7)
本発明の比較例7として、ケイ酸カルシウムに替えて、乳糖(DFE pharma社、Pharmatose 200M)を88.06g添加したこと以外は、実施例5と同様に、比較例7の混合物を得た。なお、Pharmatose 200Mは、平均粒子径が約40μm、嵩密度が0.52g/mL、ハウスナー比が1.62であり、多孔性ではない乳糖である。
【0050】
実施例5〜12及び比較例5〜7の混合物の苦味マスキング効果を評価した。苦味マスキング効果の評価には、官能試験を用いた。評価結果を表2に示す。
【表2】
【0051】
表2の結果から、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水リン酸水素カルシウムエリスリトール又は乳糖を添加することにより、高分子の添加剤を添加したオセルタミビルリン酸塩の苦味抑制効果得ることができることが明らかとなった。一方、D−マンニトールでは、オセルタミビルリン酸塩の苦味をマスクすることはできない。
【0052】
[ドライシロップ剤の製造方法の検討]
上述した高分子の添加剤としてポリビニルアルコールを用い、多孔性添加剤として乳糖を用いて、ドライシロップ剤の製造方法について検討した。
【0053】
(実施例13)
本発明の実施例13として、オセルタミビルリン酸塩を含有する第1の組成物を製造した。オセルタミビルリン酸塩78.80g、トウモロコシデンプンとして日本食品化工社のXX16を100g、ポリビニルアルコールとして日本合成化学工業株式会社のEG-05PW 60gを高速撹拌造粒機(深江パウテック、FLS-GS-2J)にて混合し、水を添加して造粒した。造粒物を流動層造粒機(株式会社パウレック、MP-01型)にて乾燥し、パワーミル(株式会社昭和化学機械工作所、P-04S)にて整粒し、整粒物を得た。
【0054】
得られた整粒物と、乳糖(メグレ・ジャパン株式会社、フローラック100)を1753.2g、軽質無水ケイ酸(フロイント産業株式会社、アドソリダー(登録商標)101)を2g、サッカリンナトリウム水和物(大和化成株式会社、サッカリンナトリウム水和物)を2g、アセスルファムカリウム(Nutrinova GmbH株式会社、サネット タイプD)を2gとを、V型混合機(ダルトン株式会社、VM-5)で混合し、実施例13のドライシロップ剤を得た。
【0055】
(比較例8)
比較例8として、非特許文献1を参照し、オセルタミビルリン酸塩3.94g、トウモロコシデンプン(日本食品化工社、XX16)を5g、エリスリトール(三菱化学フーズ株式会社)を87.66g、ポリビニルピロリドン(株式会社日本触媒、K-30)を3g、軽質無水ケイ酸(フロイント産業株式会社、アドソリダー(登録商標)101)を0.1gサッカリンナトリウム水和物(大和化成株式会社、サッカリンナトリウム水和物)を0.1g、アセスルファムカリウム(Nutrinova GmbH株式会社、サネット タイプD)を0.1gを乳鉢にて混合し、比較例8のドライシロップ剤を得た。
【0056】
[溶出試験]
第十六改正日本薬局方 溶出試験法 パドル法に準じ、試験液として900mlの溶出試験第1液、第2液及び水を用い、実施例13及び比較例8のドライシロップ剤を30分間撹拌し、溶出率を経時的に測定した。各試験液での溶出率の測定結果を図1〜3に示す。実施例13のドライシロップ剤は、何れの試験液においても、測定開始後15分で85%以上のオセルタミビルリン酸塩を溶出させた。この結果は、比較例8のドライシロップ剤と同等であった。
【0057】
[安定性の評価]
実施例13及び比較例8のドライシロップ剤を、温度60℃湿度65%の条件下、無包装状態で保存し、液体クロマトグラフィーを用いてオセルタミビルリン酸塩の純度を評価した。オセルタミビルリン酸塩由来の類縁物質のピーク面積からそれぞれのピーク面積に対する比率を算出し、総類縁物質とした。実施例13及び比較例8のドライシロップ剤の類縁物質の測定結果を表3に示す。実施例13において、保存後の総類縁物質の大幅な増加は認められず、安定性にも優れることが明らかとなった。
【表3】
図1
図2
図3