特許第6778064号(P6778064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タスコジャパン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6778064-管の詰まり除去具 図000002
  • 特許6778064-管の詰まり除去具 図000003
  • 特許6778064-管の詰まり除去具 図000004
  • 特許6778064-管の詰まり除去具 図000005
  • 特許6778064-管の詰まり除去具 図000006
  • 特許6778064-管の詰まり除去具 図000007
  • 特許6778064-管の詰まり除去具 図000008
  • 特許6778064-管の詰まり除去具 図000009
  • 特許6778064-管の詰まり除去具 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6778064
(24)【登録日】2020年10月13日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】管の詰まり除去具
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/30 20060101AFI20201019BHJP
【FI】
   E03C1/30
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-175942(P2016-175942)
(22)【出願日】2016年9月8日
(65)【公開番号】特開2018-40192(P2018-40192A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2019年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】396003216
【氏名又は名称】株式会社イチネンTASCO
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】大西 正之
【審査官】 津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−257132(JP,A)
【文献】 米国特許第05927957(US,A)
【文献】 特開平08−252551(JP,A)
【文献】 実開平04−065863(JP,U)
【文献】 実開昭63−031183(JP,U)
【文献】 米国特許第06067668(US,A)
【文献】 実開昭57−008889(JP,U)
【文献】 中国実用新案第203129283(CN,U)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0322653(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0132102(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0088909(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0232317(US,A1)
【文献】 米国特許第06427458(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成された外筒部と、
前記外筒部の一端に形成される先細り形状のテーパー部と、
前記テーパー部の先端に設けられ、前記外筒部よりも小径の筒状に形成された先端部と、
前記外筒部の内部を摺動するガスケットと、
一端が前記ガスケットに固定されて、前記外筒部の他端に延びる細長い操作部と、を備え、
空気調和機のドレン水を屋外に排出するためのドレン管の内部に詰まった異物を除去する管の詰まり除去具であって、
前記先端部は、前記テーパー部に着脱自在に接合しており、
当該先端部は、前記テーパー部と連結する一端側が、前記外筒部の軸方向に延びるとともに、中間部で折曲し、他端が前記外筒部の軸方向とは異なる方向に開口するアタッチメントと、折り曲がりの無いアタッチメントと、を変更可能であることを特徴とする管の詰まり除去具。
【請求項2】
前記先端部は中間部で少なくとも90度以上折曲することを特徴とする請求項1に記載の管の詰まり除去具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば空気調和機や冷凍庫のドレン水を排水するドレン管などの管の詰まりを除去する管の詰まり除去具に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機等は、大気中から取込んだ粉塵、コンプレッサ内の潤滑油や金属粉などが混ざったドレン水を屋外に排出するためのドレン管2を有している。ドレン管2は上述の通り粉塵、潤滑油、金属粉などが混入することがあるので、経年使用により管内にこれらの粉塵、潤滑油、金属粉などが固まった異物が詰まることがある。
【0003】
このようなドレン管2などの管の詰まりを除去する器具として、たとえば非特許文献1にドレンホース用のサクションポンプ100が記載されている。従来のサクションポンプ100を図9に示す。このサクションポンプ100は、先端104が先細り形状となっている筒状に形成された外筒部101と、外筒部101の内部を摺動するガスケット102と、一端がガスケット102に固定されて、外筒部101の他端側に延びる細長い操作部103と、を備えている。
【0004】
ドレン管2の詰まりを除去する工程は、まず、ドレン管2の屋外側の端部に外筒部101の先細った先端104を接続し、操作部103を押し引きしてガスケット102を外筒部101の内部で当該ガスケット102の軸方向に往復運動させる。ガスケット102が外筒部101の先端104に近づく方向に移動するときには外筒部101からドレン管2内に空気が排出され、ガスケット102が外筒部101の先端104から遠ざかる方向に移動するときには外筒部101の先端からドレン管2内の空気が吸引されるので、ドレン管2は屋外側の端部から加圧減圧を繰り返されることになり、ドレン管2内に詰まった異物がドレン管2の内周から剥がされてドレン水によってドレン管2の屋外側の端部に押し流される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献1】株式会社イチネンTASCO、「2016-2017 TASCO GENERAL CATALOG」、2006年3月発刊、p.154、(以下のインターネットURL参照 http://www.tasco-digitalcatalog.com/2016/)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ドレン管2はドレン水を流下させる必要があるので、鉛直方向に延びている場合が多く、ドレン管2の屋外側の端部は下方に開口している場合が多い。また、異物を含んだドレン水を排出するものであるので、低い位置に開口が設けられていることが好ましく、ドレン管2の屋外側の端部は地面、土間、バルコニーの床などに近い位置に配置されていることが多い。
【0007】
一方、図9に示すように、従来のサクションポンプ100は、先端が外筒部101の軸方向に開口しており、しかも、上述のように地面、土間、バルコニーの床などの近くにドレン管2の屋外側の端部が開口しているので、サクションポンプ100の先端をドレン管2の屋外側の端部に接続する際に、これらの地面、土間、バルコニー等が邪魔になってサクションポンプ100を鉛直方向に配置することは困難である。したがって、ドレン管2の屋外側の端部をサクションポンプ100の先端に接続可能なように折り曲げて接続する必要がある。
【0008】
しかし、ドレン管2はたとえば建物の外壁などに固定されており、その端部を折り曲げることが困難な場合もある。また、ドレン管2の端部を折り曲げた状態に保持しつつサクションポンプ100を操作しなければならないので、作業がやり難くなる問題もある。
【0009】
そこで本発明は、ドレン管の端部が下方に開口しており、且つ、ドレン管の端部が地面などに接近している場合であっても、ドレン管の端部を折り曲げることなく容易にドレン管内に詰まった異物を除去することができる管の詰まり除去具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の管の詰まり除去具は、筒状に形成された外筒部と、前記外筒部の一端に形成される先細り形状のテーパー部と、前記テーパー部の先端に設けられ、前記外筒部よりも小径の筒状に形成された先端部と、前記外筒部の内部を摺動するガスケットと、一端が前記ガスケットに固定されて、前記外筒部の他端に延びる細長い操作部と、を備え、空気調和機のドレン水を屋外に排出するためのドレン管の内部に詰まった異物を除去する管の詰まり除去具であって、前記先端部は、前記テーパー部に着脱自在に接合しており、当該先端部は、前記テーパー部と連結する一端側が、前記外筒部の軸方向に延びるとともに、中間部で折曲し、他端が前記外筒部の軸方向とは異なる方向に開口するアタッチメントと、折り曲がりの無いアタッチメントと、を変更可能であることを特徴としている。
【0011】
本発明の第2の管の詰まり除去具は、第1の管の詰まり除去具の特徴に加えて、前記先端部は中間部で少なくとも90度以上折曲することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
第1の管の詰まり除去具によると、先端部はテーパー部と連結する一端側が、外筒部の軸方向に延びるとともに、中間部で折曲し、他端が外筒部の軸方向とは異なる方向に開口するので、ドレン管の屋外側の端部が地面、土間、バルコニーの床などに近い位置で、下方に開口するように配置している場合であっても、外筒部をほぼ水平に保持した状態で先端部を上方に向けて開口させることができ、ドレン管の端部を折り曲げることなく容易にドレン管内に詰まった異物を除去することができる。
【0016】
第2の管の詰まり除去具によると、先端部は中間部で少なくとも90度以上折曲するので、少なくとも外筒部を先端が下がるように傾斜させて保持させることで、先端部を上方に向けて開口させることができ、ドレン管の端部を折り曲げることなく容易にドレン管内に詰まった異物を除去することができる。
【0017】
第1の管の詰まり除去具によると、先端部はテーパー部に着脱自在に接合しているので、先端部をアタッチメントとすることができ、例えば異物が詰まっている管の端部形状に応じて先端形状を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】管の詰まり除去具の外観構成を示す図。
図2】管の詰まり除去具の内部構成を示す断面図。
図3】操作部を外筒部から引き出した状態の管の詰まり除去具の内部構成を示す断面図。
図4】詰まり除去作業中の管の詰まり除去具の態様を示す図。
図5】詰まり除去作業中の管の詰まり除去具の操作部を外筒部から引き出した状態を示す図。
図6】先端部が中間部で揺動可能に折曲した変形例の管の詰まり除去具の外観構成を示す図。
図7】変形例の管の詰まり除去具の先端部の構成を示す断面図。
図8】別の変形例の管の詰まり除去具の先端部の構成を示す断面図。
図9】従来のサクションポンプを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る管の詰まり除去具1の最良の実施形態について各図を参照しつつ説明する。管の詰まり除去具1は、例えば、空気調和機のドレン水を屋外に排出するためのドレン管2の内部に詰まった異物を除去するものである。ドレン管2は樹脂製の可撓管で断熱チューブ3が外挿されている。なお、本発明の管の詰まり除去具1はドレン管2に詰まった異物を除去するものに限定されるものではなく、例えば排水管に詰まった異物を除去する際にも用いることができる。
【0022】
管の詰まり除去具1は、図1及び図2に示すように、筒状に形成された外筒部4と、外筒部4の一端に形成される先細り形状のテーパー部5と、テーパー部5の先端に設けられる先端部6と、外筒部4の他端を覆うように形成され中央に挿通孔71が形成された後端部7と、外筒部4の内部を摺動するガスケット8と、一端がガスケット8に固定され、外筒部4の他端方向に延びる細長い操作部9と、を備えている。
【0023】
外筒部4は、樹脂製の円筒である。テーパー部5は外筒部4の一端に外挿して気密的に接着される筒状の固定部51と、固定部51から先端方向に向かって縮径する円錐台部52と、円錐台部52の先端に設けられる先端に設けられる雄ネジ部53とを有しており、内部が固定部51及び雄ネジ部53の端部が開口した空洞となっている。
【0024】
先端部6は、樹脂製で、テーパー部5の雄ネジ部53に螺着する雌ネジ部61と、雌ネジ部61から外筒部4の軸方向に延びる基端部62と、基端部62から折り曲がって延びる接続部63と、が一体形成されている。先端部6の折り曲がる角度は、少なくとも90度以上が好ましい。本実施形態における先端部6の折り曲がる角度は100度である。接続部63は、中間に段64が設けられて先端側の径が短くなっている。接続部63の最も先端側は直径14mmで、段64の基端部62側は16mmとなっており、内径が14mm及び16mmのドレン管2に接続可能となっている。
【0025】
なお、先端部6の雌ネジ部61はテーパー部5の雄ネジ部53と螺着しているので、先端部6をテーパー部5に対して緩める方向に回すことで簡単に取り外すことができ、また、先端部6をテーパー部5に対して締め付ける方向に回すことで簡単に螺着させることができる。先端部は例えば折り曲がりの無いアタッチメントやドレン管2以外の管の形状に合わせたアタッチメントを用意することで、ドレン管2以外の管に詰まった異物も除去することができる。
【0026】
後端部7は、図2及び図3に示すように、外筒部4の他端に外挿して気密的に接着される筒状の接着部72と、外筒部4の他端を覆う覆蓋部73と、覆蓋部73の中央に設けられた挿通孔71と、外筒部4の他端から外筒内部に外気を吸排気する吸排口74と、を有する。ガスケット8は外筒部4の内周に気密的に当接する円柱形状でエラストマー製で、外筒部4の軸方向に摺動可能に形成されている。ガスケット8には後端部7側に向かって外筒部4の軸方向に細長い操作部9が固定されている。操作部9は、一端がガスケット8に固定されて覆蓋部73の挿通孔71に挿通する細い円柱形状の押し棒91と、押し棒91の他端に形成され作業者が把持するための把持孔92が形成された把持部93とを有している。
【0027】
図2に示すように、操作部9が外筒部4に押し込まれている状態で、図3に示すように、把持部93を把持して操作部9を外筒部4から引き出す方向に引っ張ると、外筒部4の内部では、ガスケット8が外筒部4の一端側から他端側に向かって摺動する。そしてガスケット8の摺動に伴って当該ガスケット8を境界として外筒部4の一端側の空間が広がり、外筒部4の他端側の空間が狭まる。したがって、外筒部4の一端側の空間の気圧が下降し当該空間に連通する先端部6の開口から外部の空気を吸気する。一方、外筒部4の他端側の空間の気圧が上昇し当該空間に連通する後端部7の吸排口74から外部に空気を排出する。
【0028】
そして、図3に示すように、操作部9が外筒部4から引き出されている状態で、図2に示すように、把持部93を把持して操作部9を外筒に押し込む方向に押し付けると、外筒部4の内部では、ガスケット8が外筒部4の他端側から一端側に向かって摺動する。そしてガスケット8の摺動に伴って当該ガスケット8を境界として外筒部4の一端側の空間が狭まり、外筒部4の他端側の空間が広がる。したがって、外筒部4の一端側の空間の気圧が上昇し当該空間に連通する先端部6の開口から外部に空気を排出する。一方、外筒部4の他端側の空間の気圧が下降し当該空間に連通する後端部7の吸排口74から外部の空気を吸入する。
【0029】
ドレン管2に異物が詰まった場合には、まず図4に示すように、先端部6の接続部63をドレン管2に挿入してドレン管2と先端部6とを接続する。そして、操作部9の把持部93を把持して、図4に示すように、操作部9を押し引きし、図4に示すように当該操作部9を外筒部4に押し込んだ状態と、図5に示すように操作部9を外筒部4から引き出した状態とを繰り返す。これによって先端部6の開口から吸気と排気が繰り返されて、ドレン管2内では屋外側の端部から加圧減圧を繰り返されることになり、当該ドレン管2内に詰まった異物がドレン管2の内周面から剥がされてドレン水によってドレン管2の屋外側の端部に押し流される。
【0030】
このように本実施形態の管の詰まり除去具1は、ドレン管2の屋外側の端部が地面、土間、バルコニーの床などに近い位置で、下向きに開口するように配置している場合であっても、外筒部4をほぼ水平に保持した状態で先端部6を上方に向けて開口させることができ、地面等が邪魔になることなく、ドレン管2の端部を折り曲げることなく容易にドレン管2内に詰まった異物を除去することができる。
【0031】
上述の実施形態では管の詰まり除去具1の先端部6は、雌ネジ部61と、雌ネジ部61から外筒部4の軸方向に延びる基端部62と、基端部62から折り曲がって延びる接続部63と、が一体形成されており、常に中間部で折り曲がる構成であったが、これに限定されるものではない。次に管の詰まり除去具1の実施形態の変形例について説明する。
【0032】
変形例の先端部6は図6及び図7に示すように、中間部で揺動可能に折曲することができるように構成されている。具体的には、例えば図7に示すように、先端部6の基端部62と接続部63との接合部分がリング状に形成されて、一方が他方に揺動可能に外挿するとともに基端部62と接続部63とが互いに連通するように空気の流路が設けられている。
【0033】
このように構成すれば、外筒部4の姿勢に関らず先端部6の開口方向を変更することができ、ドレン管2の屋外側の端部の向きや設置箇所の形状がどのような場合であっても簡単に先端部6をドレン管2の端部に接続することができる。
【0034】
また、別の変形例では、先端部6は図8に示すように、中間部に可撓性を有する蛇腹管65が形成されている。すなわち、先端部6の基端部62と接続部63との間が可撓性を有しており、この中間部の蛇腹管65を折り曲げることで、先端部6の開口方向を自在に変更することができる形状である。このように構成すれば、外筒部4の姿勢に関らず先端部6の開口方向を変更することができ、ドレン管2の屋外側の端部の向きや設置箇所の形状がどのような場合であっても簡単に先端部6をドレン管2の端部に接続することができる。
【0035】
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係る管の詰まり除去具1は、たとえが空気調和機のドレン管2の屋外側端部に接続して、ドレン管2内に詰まった異物を除去する際に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 管の詰まり除去具
2 ドレン管
4 外筒部
5 テーパー部
6 先端部
8 ガスケット
9 操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9