【実施例】
【0038】
以下に本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】
<ビートレッド製剤の製造>
[製造例1]
1)菜種サラダ油(岡村製油社製)108g及びポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(商品名:SYグリスターCR−500;阪本薬品工業社製)18gを300mL容トールビーカーに入れて60℃に加温し、スパーテルで撹拌して溶解して油相とした。
2)ビートレッド粉末(商品名:甜菜紅色素;色価500;水分含有量2.7質量%;青島鵬遠康華天然産物社製)18.9gをイオン交換水35.1gに溶解して60℃に加温して水相とした。
3)1)で得た油相をクレアミックス(型式:CLM−0.8S;エム・テクニック社製)を用いて4500rpmで撹拌しながら、2)で得た水相を該油相に加え、更に該クレアミックスにて60℃、12000rpmの条件で10分間撹拌し、油中水型乳化組成物を得た。
4)3)で得た油中水型乳化組成物のうち100gを500mL容ナス型フラスコに入れ、ダイヤフラム真空ポンプ(型式:V−700;日本ビュッヒ社製)を用いて、温度60℃の条件で該フラスコ内の真空度を30000Paから徐々に2500Paとし、さらに2500Paで45分間減圧乾燥し、ビートレッド製剤1を80.8g得た。該剤の水分含有量を加熱乾燥式水分計(型式:MX−50;エー・アンド・デイ社製)で測定したところ0.7質量%であり、固体相中の水分含有量を算出したところ、5質量%となった。
【0040】
[製造例2]
製造例1のポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(商品名:SYグリスターCR−500;阪本薬品工業社製)18gに替えて、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(商品名:Palsgaard 4150;パルスガード社製)18gを使用したこと以外は、製造例1と同様に製造し、ビートレッド製剤2を80.7g得た。該剤の水分含有量を加熱乾燥式水分計(型式:MX−50;エー・アンド・デイ社製)で測定したところ0.6質量%であり、固体相中の水分含有量を算出したところ、5質量%となった。
【0041】
[製造例3]
製造例1と同様の方法で油中水型乳化組成物を調製し、油中水型乳化組成物のうち100gを500mL容ナス型フラスコに入れ、ダイヤフラム真空ポンプ(型式:V−700;日本ビュッヒ社製)を用いて、温度60℃の条件で該フラスコ内の真空度を30000Paから徐々に10000Paとし、さらに10000Paで5分間減圧乾燥することにより、ビートレッド製剤3を94.8g得た。該剤の水分含有量を加熱乾燥式水分計(型式:MX−50;エー・アンド・デイ社製)で測定したところ15.4質量%であり、固体相中の水分含有量を算出したところ、59質量%となった。
【0042】
また、後述するビートレッド製剤の耐熱性の評価では、市販のビートレッド油中水型乳化組成物(色価20;水分含有量18質量%)をビートレッド製剤4として、ビートレッド水溶液〔ビートレッド粉末(商品名:甜菜紅色素;色価500;水分含有量2.7質量%;青島鵬遠康華天然産物社製)35gを、水65gに溶解させたもの〕をビートレッド製剤5として用いた。
尚、ビートレッド製剤4は、水分含有量が18質量%であって15質量%を超えていることから、固体相中の水分含有量が15質量%以下ではないビートレッド製剤であり、ビートレッド製剤5は油中水型乳化組成物ではないビートレッド製剤である。
【0043】
ここで、ビートレッド製剤1及び2は本発明の実施例であり、ビートレッド製剤3〜5は、それらに対する比較例である。
【0044】
<チョコレートにおけるビートレッド製剤の耐熱性の評価>
準チョコレート(商品名:ルセーラホワイトチョコレート;日新化工社製)を40℃に加熱し、ビートレッド製剤1〜4のいずれかを表1に示す添加量加えて混合し、各50gの着色チョコレートを得た。着色チョコレートを15gずつ2個のプラスチックカップに小分けし、1個は20℃で冷やし、未加熱チョコレートを得た。もう1個は100℃の通風乾燥機で加熱し、着色チョコレートが90℃に達温後、90℃で40分間加熱し、よくかき混ぜた後20℃で冷やし固め、加熱チョコレートを得た。
尚、表1の添加量は、用いたビートレッドの色価換算での色素量が同じになるよう調整されている。
【0045】
【表1】
【0046】
未加熱チョコレートと加熱チョコレートについて、分光測色計(型式:CM−700d、コニカミノルタセンシング社製)を用いて色調(L*a*b*値)を測定し(測定径:直径8mm)、未加熱チョコレートのa*値から加熱チョコレートのa*値を減じた値(以下「a*値の差」という)を算出した。また、測定された色調及び次式に基づいて、未加熱チョコレートと加熱チョコレートのL*a*b*色差(ΔE*(ab))を算出した。
a*値の差、L*a*b*色差(ΔE*(ab))のぞれぞれを、表2に示す。
【0047】
【数4】
【0048】
上記式中、L*は数値が大きい程、明るい色であることを表す。a*は正の数値の場合、数値が大きい程、赤みの強い色であることを表す。b*は正の数値の場合、数値が大きい程、黄みが強い色であることを表す。ΔE*(ab)は数値が大きい程、変色の程度が大きいことを表す。
尚、測定した未加熱チョコレート及び加熱チョコレートのa*値は、全て正の数値であった。
【0049】
【表2】
【0050】
表2の結果から明らかなように、ビートレッド製剤1及び2を用いて着色したチョコレートは、赤みの減少の程度を示すa*値の差、及びL*a*b*色差(ΔE*(ab))の双方が、固体相中の水分含有量が15質量%超であるビートレッド製剤3及び市販のビートレッド製剤であるビートレッド製剤4で着色したチョコレートよりも小さく、相対的にビートレッド製剤の耐熱性が改善されていた。
【0051】
<カマボコにおけるビートレッド製剤の耐熱性の評価>
白身魚すり身(商品名;大冷社製)を解凍し、フードプロセッサー(型式:MK−K48;パナソニック社製)を用いて均一になるまで破砕した。破砕した該調理すり身に、ビートレッド製剤1及び2、4及び5のいずれかを表3に示す添加量加え、スパーテルで均一になるまで混合し、各100gの着色すり身を得た。
得られた着色すり身90gをナイロン製の耐熱袋(15×24cm)に入れて真空包装し、該袋内の着色すり身を厚さ約10mmに均一に整え、5℃で約18時間保存した。着色すり身を真空包装から取り出し、半分に切り、1つは未加熱カマボコとした。もう1つは90℃のウォーターバスで30分間加熱し、加熱カマボコを得た。
尚、表3の添加量は、用いたビートレッドの色価換算での色素量が同じになるよう調整されている。
【0052】
【表3】
【0053】
未加熱カマボコと加熱カマボコについて、分光測色計(型式:CM−700d、コニカミノルタセンシング社製)を用いて色調(L*a*b*値)を測定し(測定径:直径8mm)、未加熱カマボコのa*値から加熱カマボコのa*値を減じた値(以下「a*値の差」という)を算出した。結果を表4に示す。尚、測定した未加熱カマボコ及び加熱カマボコのa*値は、全て正の数値であった。
【0054】
【表4】
【0055】
表4の結果から明らかなように、ビートレッド製剤1及び2を用いて着色したカマボコは、赤みの減少の程度を示すa*値の差が、市販のビートレッド製剤であるビートレッド製剤4及び市販のビートレッド製剤を用いたビートレッド製剤5で着色したカマボコよりも小さく、相対的にビートレッド製剤の耐熱性が改善されていた。
【0056】
<スピルリナ青色素製剤の製造>
[製造例1]
1)菜種サラダ油(岡村製油社製)108g及びポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(商品名:Palsgaard 4150;パルスガード社製)18gを300mL容トールビーカーに入れて50℃に加温し、スパーテルで撹拌して溶解して油相とした。
2)スピルリナ青色素粉末(商品名:リナブルーG1;色価180;水分含有量1.4質量%;DICライフテック社製)10.8gをイオン交換水43.2gに溶解して50℃に加温して水相とした。
3)1)で得た油相をクレアミックス(型式:CLM−0.8S;エム・テクニック社製)を用いて4500rpmで撹拌しながら、2)で得た水相を該油相に加え、更に該クレアミックスにて50℃、12000rpmの条件で10分間撹拌し、油中水型乳化組成物を得た。
4)3)で得た油中水型乳化組成物のうち100gを500mL容ナス型フラスコに入れ、ダイヤフラム真空ポンプ(型式:V−700;日本ビュッヒ社製)を用いて、温度45℃の条件で該フラスコ内の真空度を30000Paから徐々に2500Paとし、2500Paで25分間減圧乾燥し、さらに温度50℃の条件とし、2500Paで45分間減圧乾燥することにより、スピルリナ青色素製剤1を76.3g得た。該剤の水分含有量を加熱乾燥式水分計(型式:MX−50;エー・アンド・デイ社製)で測定したところ0.5質量%であり、固体相中の水分含有量を算出したところ、6質量%であった。
【0057】
[製造例2]
製造例1と同様の方法で油中水型乳化組成物を調製し、油中水型乳化組成物のうち100gを500mL容ナス型フラスコに入れ、ダイヤフラム真空ポンプ(型式:V−700;日本ビュッヒ社製)を用いて、温度45℃の条件で該フラスコ内の真空度を30000Paから徐々に13000Paとし、13000Paで7分間減圧乾燥し、さらに2500Paで25分間減圧乾燥することにより、スピルリナ青色素製剤2を79.9g得た。該剤の水分含有量を加熱乾燥式水分計(型式:MX−50;エー・アンド・デイ社製)で測定したところ5.0質量%であり、固体相中の水分含有量を算出したところ、40質量%であった。
【0058】
[製造例3]
製造例1と同様の方法で油中水型乳化組成物を調製し、油中水型乳化組成物のうち100gを500mL容ナス型フラスコに入れ、ダイヤフラム真空ポンプ(型式:V−700;日本ビュッヒ社製)を用いて、温度45℃の条件で該フラスコ内の真空度を30000Paから徐々に13000Paとし、13000Paで7分間減圧乾燥し、さらに2500Paで2分間減圧乾燥することにより、スピルリナ青色素製剤3を92.2g得た。該剤の水分含有量を加熱乾燥式水分計(型式:MX−50;エー・アンド・デイ社製)で測定したところ17.7質量%であり、固体相中の水分含有量を算出したところ、73質量%であった。
【0059】
ここで、スピルリナ青色素製剤1は本発明の実施例であり、スピルリナ青色素製剤2及び3は、それらに対する比較例である。
【0060】
<チョコレートにおけるスピルリナ青色素製剤の耐熱性の評価>
準チョコレート(商品名:ルセーラホワイトチョコレート;日新化工社製)を40℃に加熱し、スピルリナ青色素製剤1〜3を表5に示す添加量加えて混合し、各50gの着色チョコレートを得た。着色チョコレートを15gずつ2個のプラスチックカップに小分けし、1個は20℃で冷やし、未加熱チョコレートを得た。もう1個は100℃の通風乾燥機で加熱し、着色チョコレートが90℃に達温後、90℃で40分間加熱し、よくかき混ぜた後15℃で冷やし固め、加熱チョコレートを得た。
尚、表5の添加量は、用いたスピルリナ青色素の色価換算での色素量が同じになるよう調整されている。
【0061】
【表5】
【0062】
未加熱チョコレートと加熱チョコレートについて、分光測色計(型式:CM−700d、コニカミノルタセンシング社製)を用いて色調(L*a*b*値)を測定し(測定径:直径8mm)、未加熱チョコレートのb*値の絶対値から加熱チョコレートのb*値の絶対値を減じた値(以下「b*値の差」という)を算出した。また、測定された色調及び次式に基づいて、未加熱チョコレートと加熱チョコレートのL*a*b*色差(ΔE*(ab))を算出した。b*値の差、L*a*b*色差(ΔE*(ab))のぞれぞれを、表6に示す。
【0063】
【数5】
【0064】
上記式中、L*は数値が大きい程、明るい色であることを表す。a*は負の数値の場合、数値が小さい程、緑みの強い色であることを表す。b*は負の数値の場合、数値が小さい程、青みの強い色であることを表す。ΔE*(ab)は数値が大きい程、変色の程度が大きいことを表す。
尚、測定した未加熱チョコレート及び加熱チョコレートのb*値は、全て負の数値であった。
【0065】
【表6】
【0066】
表6の結果から明らかなように、スピルリナ青色素製剤1を用いて着色したチョコレートは、青みの減少の程度を示すb*値の差、及びL*a*b*色差(ΔE*(ab))の双方が、固体相中の水分含有量が15質量%超であるスピルリナ青色素製剤2及び3で着色したチョコレートよりも小さく、相対的にスピルリナ青色素製剤の耐熱性が改善されていた。