(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態.
以下、実施形態の各例ならびに各種変形例を図面に基づいて説明する。なお、図面においては同様な構成及び機能を有する部分については同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。また、図面は模式的に示されたものであり、各図における各種構造のサイズ及び位置関係などは適宜変更され得る。
【0012】
<太陽電池モジュール>
図1から
図4は、太陽電池モジュール100の構成の一例を概略的に示す図である。
図1は、太陽電池モジュール100の構成の一例を概略的に示す平面図であり、
図2から
図4は、太陽電池モジュール100の構成の一例を概略的に示す断面図である。
図2では、太陽電池モジュール100の中央付近の断面が示されている。
図3では、太陽電池モジュール100の一方の端付近の断面が示されており、
図4では、太陽電池モジュール100の他方の端付近の断面が示されている。
【0013】
図1から
図4に示すように、太陽電池モジュール100は、基板1と、複数の光電変換セル10と、導体31,32とを備えている。
【0014】
<太陽電池モジュールの概要>
基板1は、複数の光電変換セル10を支持するものである。基板1に含まれる主な材料としては、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂および金属等が採用され得る。例えば、金属製の基板上に絶縁性の被膜が被覆されたものが、基板1として採用されても良い。
【0015】
図1から
図4には、XYZ座標が付記されている。このXYZ座標において、X軸およびY軸は基板1の上面に平行に配置され、Z軸は基板1の上面に垂直に配置されている。以下では、+Z側を上とも呼び、−Z側を下とも呼ぶ。
【0016】
基板1の形状は、例えば平板状であれば良く、基板1の+Z側の一主面(上面)は略平坦であれば良い。基板1の厚さは、例えば、1mm以上で且つ3mm以下程度であってよい。
【0017】
複数の光電変換セル10は、例えば、Y軸方向において並んで配されている。光電変換セル10の数は特に制限されず、適宜に設定され得る。光電変換セル10の各々は、外部から入射された光(例えば太陽光、以下、外光とも呼ぶ)を電力に変換し、当該電力を出力する。光電変換セル10の各々は、後述の積層半導体4を備えており、この積層半導体4が実質的な光電変換の機能を実現する。
【0018】
複数の積層半導体4の各々には、電極21,22が接続されている。積層半導体4において生成された電力は、電極21,22から出力される。
図2に例示するように、電極21,22は積層半導体4を、Z軸方向において挟んでいてもよい。例えば、電極21は積層半導体4の−Z側の一主面(下面)と接し、電極22は積層半導体4の+Z側の一主面(上面)に接していてもよい。つまり、積層半導体4は電極21の上に位置し、電極22は積層半導体4の上に位置していてもよい。
【0019】
なお、積層半導体4において生成された電力が、電極21,22から出力されることから、光電変換セル10は、積層半導体4のみならず、電極21,22を備えている、と考えることができる。以下では、電極21,22を光電変換セル10に含めて説明する。
【0020】
図2の例においては、ある光電変換セル10の電極21は、当該光電変換セル10と隣り合う光電変換セル10の電極22と、電気的に接続されている。つまり、複数の光電変換セル10は電極21,22によって、相互に直列に接続される。
【0021】
図3に示すように、−Y側の端に位置する光電変換セル10の電極22は、導体31に電気的に接続されており、
図4に示すように、+Y側の端に位置する光電変換セル10の電極21は、導体32に接続されている。
【0022】
このように、光電変換セル10は、導体31,32の間において、相互に直列に接続される。導体31,32は、複数の光電変換セル10の一組から電力を取りだすための出力用の配線として機能する。つまり、導体31,32は太陽電池モジュール100の電力取り出し用の配線(出力用の配線)として機能する。
【0023】
なお、本開示の太陽電池モジュール100では、導体31,32が太陽電池モジュール100の端部に位置している例を示しているが、太陽電池モジュール100から取り出すべき電圧に応じて、導体31,32は、複数の光電変換セル10同士の間に位置していてもよい。
【0024】
<光電変換セル10の各構成>
<電極21>
図2の例においては、基板1の上には、複数の電極21が位置している。複数の電極21はY軸方向において相互に間隔を空けて、並んで配されている。つまり、複数の電極21の相互間には、これらを分離するための溝P1が形成されている。よって、隣り合う2つの電極21は溝P1を介して離間している。具体的には、溝P1は電極21の+Z側の一主面(上面)から−Z側の一主面(下面)までの領域に配されている。電極21の各々は、平面視において、例えばX軸方向に長い長尺状の形状(例えば長方形)を有していてもよい。言い換えれば、電極21の各々は、X軸方向に延在してもよい。この場合、溝P1もX軸方向に延在する。
【0025】
電極21は、例えば、透光性を有する電極(例えば透明電極(TCO: Transparent Conductive Oxide))であってよい。具体的な一例として、電極21は、ITO(Indium Tin Oxide)、酸化亜鉛または酸化スズなどの透明導電材料で形成され得る。このような電極21は、例えば、スパッタリング法または真空蒸着法などの成膜方法を用いて形成され得る。
【0026】
あるいは、電極21は、例えば、塗布液としての金属ペーストがスクリーン印刷等によって塗布された後に乾燥されて該金属ペーストが固化されることで形成されてもよい。金属ペーストは、例えば、透光性を有する樹脂等のバインダーに、光反射率が高く且つ導電性を有する粒子が添加されることで作製され得る。ここで、透光性を有する樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂等が採用され得る。また、金属ペーストに含まれる粒子としては、例えば、Cu、Al、NiならびにZnとAgとの合金等の金属粒子が採用され得る。この場合、電極21には、導電性を有する多数の粒子が含まれており、該多数の粒子によって、電極21における導電性が確保され得る。電極21は、例えば層状である。
【0027】
<積層半導体4>
複数の電極21の上には、それぞれ、複数の積層半導体4が位置している。積層半導体4は光電変換層として機能し、実質的な光電変換セル10の機能を実現する。複数の積層半導体4も、Y軸方向において、相互に間隔を空けて並んで配されている。つまり、複数の積層半導体4の相互間には、これらを分離するための溝P2が形成されている。隣り合う2つの積層半導体4は溝P2を介して離間している。具体的には、溝P2は積層半導体4の+Z側の一主面(上面)から−Z側の一主面(下面)までの領域に配されている。
【0028】
図2に例示するように、溝P2は電極21の上に位置していてもよい。この場合、積層半導体4は、互いに隣り合う2つの電極21に跨って配される。ここで、積層半導体4と電極21との位置関係を、代表的に、積層半導体4A,4Bおよび電極21A,21Bを用いて説明する。積層半導体4A,4Bは、隣り合う2つの積層半導体4であり、電極21A,21Bは、隣り合う2つの電極21である。電極21A,21Bは例えば−Y側から+Y側に向かってこの順で配されており、積層半導体4A,4Bも例えば−Y側から+Y側に向かってこの順で配されている。
【0029】
積層半導体4Bは主として電極21Bの上に位置しているものの、電極21Aの端部の上にも位置している。具体的には、積層半導体4Bは、電極21Aのうち電極21B側の端部21aの上の領域、電極21A,21Bの間に相当する領域、および、電極21Bのうち電極21A側の部分の上の領域に位置している。
【0030】
積層半導体4Aは、積層半導体4Bと同様である。つまり、積層半導体4Aは、主として電極21Aの上に位置するものの、その電極21Aと隣り合う電極21(電極21Bとは反対側の電極21)の端部の上にも位置している。積層半導体4Aは、電極21Aの上に位置する溝P2を介して、積層半導体4Bと離間している。
【0031】
図2の例においては、積層半導体4の各々は、断面視において、例えば、電極21に対して+Z側に位置する矩形状の本体部と、当該本体部から−Z側に突出して溝P1を埋める突起部とを有している。また積層半導体4は、平面視において、X軸方向に延びる長尺状の形状(例えば長方形)を有していてもよい。積層半導体4の具体的な内部構造の一例については後に述べる。
【0032】
<電極22>
複数の電極22もY軸方向に沿って相互に間隔を空けて並んで配置されており、それぞれ、積層半導体4の上に位置している。さらに、電極22の各々は、積層半導体4の一方側(例えば−Y側)の側面に沿って延在しており、電極21に接している。なお、本開示の電極22は、積層半導体4の側面に沿って延在しているが、例えば、積層半導体4が、隣り合う光電変換セル10の電極21へ繋がる貫通孔を有している場合には、電極22は、積層半導体4の当該貫通孔に沿って延在して、当該電極21に接していてもよい。また、電極22の積層半導体4の+Z側の一主面(上面)に配された部分は、例えば層状である。
【0033】
ここで、代表的に、電極22A,22Bを導入して説明する。電極22A,22Bは、隣り合う2つの電極22である。電極22A,22Bは例えば−Y側から+Y側へ向かってこの順で配されている。
【0034】
電極22Bは積層半導体4Bの上に位置しつつ、その−Y軸側の端部から積層半導体4Bの側面に沿って−Z側に延在している。この側面とは、積層半導体4Aと向かい合う側面、つまり積層半導体4の−Y側の側面である。電極22Bは、−Z側の端(先端)において、電極21Aに接している。また、この電極22Bは積層半導体4Aおよび電極22Aと離間している。つまり、ある光電変換セル10Bに属する電極22Bは、隣り合う光電変換セル10Aに属する第1電極22Aには接しているものの、その積層半導体4Aおよび電極22Aとは離間する。
【0035】
図2に例示するように、電極22Bは、断面視において、積層半導体4の上面および側面に沿う略L字状の形状を有していてもよい。また電極22Bは、平面視において、X軸方向に延びる長尺状の形状(例えば長方形)を有していてもよい。
【0036】
以上のように、光電変換セル10Bの電極22Bは、光電変換セル10Aの電極21Aに接続される。これにより、光電変換セル10A,10Bが相互に直列に接続される。
【0037】
電極22は、例えば、透光性を有する電極(例えば透明電極)であってよい。具体的な一例として、電極22は、電極21の説明で列挙した材料で形成され得る。またその形成方法も第1電極22と同様である。
【0038】
なお、外光が+Z側から積層半導体4へ入射するように、太陽電池モジュール100が設置される場合、電極22は透光性を有する一方で、電極21および基板1は透光性を有していなくても構わない。なお、ここでいう「透光性」とは、積層半導体4によって吸収される波長帯域の光についての透光性である。例えば、積層半導体4が可視光を吸収して正孔と電子とを生成する場合、電極22は透明である。
【0039】
逆に、外光が−Z側から積層半導体4へ入射するように、太陽電池モジュール100が設置される場合、基板1および電極21は透光性を有する一方で、電極22は透光性を有さなくても構わない。
【0040】
積層半導体4の幅(Y軸方向に沿う幅)は、例えば、1[μm]以上且つ1000[μm]以下程度に設定され得る。電極21および電極22の幅(Y軸方向に沿う幅)も、例えば、1[μm]以上且つ1000[μm]以下程度に設定され得る。また、溝P2のY軸方向に沿う幅、および、溝P1のY軸方向に沿う幅は、いずれも、例えば1[μ]以上且つ100[μm]以下程度に設定され得る。積層半導体4の厚みは、例えば、0.3[μm]以上且つ1[μm]以下程度に設定され得る。
【0041】
<積層半導体4の具体例>
積層半導体4は、光電変換を行うことができる限りにおいて、任意の構成を有していればよい。例えば、積層半導体4は、少なくとも、第1導電型(例えばp型)の第1半導体層と、第1導電型とは異なる第2導電型(例えばn型)の第2半導体層とを備えている。
【0042】
より具体的な一例として、例えば積層半導体4は、ペロブスカイト太陽電池で用いる光電変換層であってもよい。この場合、積層半導体4は、例えば半導体層41〜43を備えている。
【0043】
半導体層41は、例えば電極21の上に位置している。半導体層41は、例えば、[6,6]-フェニル-C
61-酪酸メチル(PCBM)、C
60または酸化物半導体層であってよい。酸化物半導体層としては、例えば、酸化チタン(IV)(TiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム(III)(In
2O
3)、酸化スズ(IV)(SnO
2)、または、酸化マグネシウム(MgO)を採用し得る。このような半導体層41は例えば塗布法またはスパッタリング法等によって形成され得る。この半導体層41は、いわゆるブロッキング層あるいは電子輸送層としても機能する。また、半導体層41はいわゆるn型の半導体層とみなすこともできる。
【0044】
半導体層42は、例えば、半導体層41の上に位置している。半導体層42は、いわゆるペロブスカイト層であり、ペロブスカイト構造を有する化合物を含んでいる。ここでいうペロブスカイト構造とは、ペロブスカイト(灰チタン石:CaTiO
3)の結晶構造である。
【0045】
半導体層42は、例えば、A
2MX
4(I)、AMX
3(II)、ANX
4(III)またはBMX
4(IV)の式で示されるペロブスカイト構造、あるいはこれらの式(I)、(II)、(III)、または(IV)の2種以上のペロブスカイト構造を含む混合物であればよい。なお式中、Aは、有機または無機の一価のカチオン(例えば、CH(NH
2)、CH
3NH
3またはCs等)である。また、Bは、有機または無機の二価のカチオン(例えば、NH
3(CH
3)
2NH
3またはNH
3(CH
3)
3NH
3等)である。また、Mは、Cu
2+、Ni
2+、Co
2+、Fe
2+、Mn
2+、Cr
2+、Pd
2+、Cd
2+、Ge
2+、Sn
2+、Pb
2+、Eu
2+、またはYb
2+からなる群から選択される二価の金属カチオンである。また、Nは、Bi
3+およびSb
3+の群から選択される元素である。また、Xは、Cl
−、Br
−、I
−、NCS
−、CN
−、およびNCO
−から選択される元素である。半導体層42はいわゆるi型の半導体層(真性半導体)とみなすことができる。
【0046】
半導体層43は、例えば、半導体層42の上に位置している。半導体層43は、例えば、酸化ニッケル(II)(NiO)、チオシアン酸銅(I)(CuSCN)または酸化銅(I)(Cu
2O)または有機半導体層であってよい。有機半導体層としては、例えば、[2,2',7,7'-テトラキス(N,N-ジ-p-メトキシフェニルアミノ)-9,9'-スピロビフルオレン](Spiro-OMeTAD)、ポリ[ビス(4-フェニル)(2,4,6-トリフェニルメチル)アミン](PTAA)、ポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)(P3HT)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホン酸塩)(PEDOT/PSS)を採用することができる。このような半導体層43は例えば塗布法または蒸着法等によって形成され得る。この半導体層43はいわゆる正孔輸送層としても機能する。また、半導体層43はいわゆるp型の半導体層とみなすことができる。電極22は半導体層43の上に位置している。
【0047】
外光が積層半導体4に入射されると、半導体層42は当該外光を吸収して、電子および正孔を生成する。つまり半導体層42は光吸収層として機能する。正孔は半導体層43を経由して電極22へと移動し、電子は半導体層41を経由して電極21へと移動する。これにより、積層半導体4は光を吸収して発電することができる。つまり、積層半導体4は光電変換を行う。なお、この積層半導体4において、電極21および電極22を繋ぐ電流経路(
図2の例においてはZ軸方向に沿う経路)上に、半導体層41〜43が介在することになる。
【0048】
<太陽電池モジュールの端部の構造>
<導体31>
図3に示すように、導体31は、−Y側の端に位置する光電変換セル10の電極22と電気的に接続している。具体的には、導体31は接続用電極221を介して当該電極22と電気的に接続する。なお以下では、−Y側の端に位置する光電変換セル10を光電変換セル10Cと呼び、その光電変換セル10Cに属する電極21、積層半導体4および電極22を、それぞれ、電極21C、積層半導体4Cおよび電極22Cと呼ぶ。
【0049】
例えば基板1の上に、接続用電極221が位置している。この接続用電極221はY軸方向において電極21Cと離間している。つまり、接続用電極221と電極21Cとの間にも、溝P1が配されている。また、接続用電極221および電極21Cは−Y側から+Y側に向かってこの順で配されている。接続用電極221は、例えば、電極21と同じ材料で形成されてもよく、その厚みは、例えば電極21Cと同程度に設定されてもよい。この場合、接続用電極221と電極21Cを同じ工程で同時に形成できる。
【0050】
導体31は接続用電極221の一部の上に位置しており、また、電極22Cは接続用電極221と接している。具体的には、例えば、積層半導体4は接続用電極221の+Y側の端部の上にも位置しており、電極22Cはその積層半導体4Cの−Y側の側面に沿って延在して、接続用電極221に接している。
【0051】
導体31は、太陽電池モジュール100の出力用の配線としての導体である。この導体31は、所定の電源ボックス内の端子等に電気的に接続されている。
図3に例示するように、導体31は配線311と接続部材312とを備えていてもよい。
【0052】
配線311は、いわゆるタブ線である。配線311は、断面視において、例えば矩形状を有しており、平面視において、例えばX軸方向に長い長尺状の形状(例えば長方形)を有していてもよい。配線311の厚みは、例えば、150[μm]以上且つ400[μm]以下程度に設定され得る。配線311の幅(Y軸方向に沿う幅)は、例えば、1[mm]以上且つ数10[mm]以下程度に設定され得る。導体31の材料としては、例えば、Cu、Al、および、NiとCrとの合金であるニクロム等の導電性に優れた材料が採用され得る。
【0053】
接続部材312は、配線311と接続用電極221との間に介在し、配線311を接続用電極221に固定しつつ、これらを電気的に接続する。接続部材312は、接続用電極221の上に配されている。接続部材312は、例えば半田材料を、超音波半田付けによって一旦は溶融し、その後、配線311および接続用電極221に固着する。接続部材312の厚みは、例えば、100[μm]以上且つ200[μm]以下程度に設定され得る。接続部材312は、例えば、半田であればよい。より具体的には、例えば、鉛およびスズを含む合金であってもよい。その他、接続部材312の材料として、亜鉛およびスズを含む半田等を採用できる。
【0054】
接続部材312の幅は、例えば、配線311より小さくてもよいし、大きくてもよい。接続部材312の幅が配線311よりも小さい場合、接続部材312と配線311との接着強度を向上させることができる。一方、接続部材312の幅が配線311よりも大きい場合、言い換えれば配線311の幅が接続部材312よりも小さい場合には、例えばより広い面積で積層半導体4が光を受けることができる。
【0055】
<導体32>
図4に示すように、導体32は、+Y側の端に位置する光電変換セル10の電極21と電気的に接続している。なお以下では、+Y側の端に位置する光電変換セル10を光電変換セル10Dと呼び、その光電変換セル10Dに属する電極21、積層半導体4および電極22を、それぞれ、電極21D、積層半導体4Dおよび電極22Dと呼ぶ。
【0056】
電極21Dの上には、積層半導体4Dおよび導体32が位置している。つまり、電極21Dの第1部分の上には、積層半導体4Dが位置しており、電極21Dの第2部分の上には、導体32が位置している。第1部分および第2部分はY軸方向において互いに隣り合っている。
【0057】
導体32は、例えば、導体31と同様に、配線321および接続部材322を備えていてもよい。配線321は、いわゆるタブ線であり、配線321の形状、サイズおよび材料の一例は、配線311と同様であるので繰り返しの説明を避ける。接続部材322は配線321と電極21Dとの間に介在しており、配線321を電極21Dに固定しつつ、これらを電気的に接続する。接続部材322は、電極21Dの上に配されている。接続部材322の形状、サイズおよび材料は、接続部材312と同様であるので繰り返しの説明を避ける。
【0058】
導体32は電極21Dとともに段差部を形成している。
図4の例においては、導体32は、薄膜状の電極21Dの第2部分の上に位置しているので、導体32自体が段差部を形成する。また
図4の例示するように、導体32の厚みは電極21Dよりも厚くてもよい。上述のように導体32が電極21Dよりも十分に厚い場合、段差部の高さ(=導体32の厚み)は比較的大きくなる。
【0059】
積層半導体4Dは当該段差部と接する。具体的には、積層半導体4Dは、少なくとも、段差部(導体32)の−Y側の側面に接している。また積層半導体4Dは、
図4に例示するように、導体32の上方の領域にも位置していても構わない。つまり、積層半導体4Dは、電極21Dおよび導体32の両方の上に位置していてもよい。具体的な一例として、積層半導体4Dは導体32を覆っている。また、
図4に示すように、電極21Dが導体32から+Y側に延在している場合には、積層半導体4は、導体32に対して+Y側においても、電極21Dの上に位置していてもよい。つまり、積層半導体4Dは、導体32の−Y側の側面、+Z側の面(上面)、および、+Y側の側面に接していてもよい。
【0060】
電極22Dは、
図4に例示するように、積層半導体4Dの上面の全面に亘って配されていてもよい。つまり、電極22Dが積層半導体4Dを覆っていてもよい。この場合、電極22Dの一部はZ軸方向において導体32と対向することになる。
【0061】
この導体32は、例えば所定の電源ボックス内の端子と電気的に接続されて、太陽電池モジュール100の出力用の配線として機能する。導体32と外部の端子との接続のために、例えば、不図示の貫通孔を設けてもよい。この貫通孔は、例えば電極22Dおよび積層半導体4Dを貫通して、導体32に至る。この貫通孔の内部には、導体32に接する取り出し用の電極(不図示)などが形成され、この電極が外部の端子と接続される。あるいは、基板1および電極21Dを貫通して導体32に至る貫通孔が設けられてもよい。貫通孔は、例えば、導体32のX軸方向における端または中央付近などに形成され得る。
【0062】
この太陽電池モジュール100によれば、上述のように、光電変換セル10Dの積層半導体4Dは、段差部(導体32)と接している。比較例として、光電変換セル10DがY軸方向において導体32と離間する太陽電池モジュールを考える。この比較例にかかる太陽電池モジュールでは、光電変換セル10Dが導体32と離間しているので、その積層半導体4Dの幅は狭くなる。一方で、本実施の形態にかかる太陽電池モジュール100によれば、積層半導体4Dは導体32に接するので、比較例にかかる太陽電池モジュールに比して、積層半導体4Dの幅を広げることができる。
【0063】
しかも
図4の例では、積層半導体4Dが導体32の上方の領域にも位置している。これにより、積層半導体4Dの幅は更に向上する。また
図4の例では、積層半導体4Dが導体32に対して+Y側にも位置している。つまり、積層半導体4DがY軸方向における導体32の両側にも位置している。これにより、積層半導体4Dの幅はさらに向上する。これにより、発電領域を増大することができ、太陽電池モジュール100の発電量を更に向上できる。
【0064】
例えば太陽電池モジュール100の幅(Y軸方向に沿う幅)が1000[mm]程度である場合、導体32の幅は例えば10[mm]程度に設定され得る。従来では、この導体32に相当する幅10[mm]の領域は発電領域としては機能していない。一方で太陽電池モジュール100によれば、この導体32に相当する幅10[mm]の領域も発電領域として機能するので、太陽電池モジュール100の発電量を、従来に比して、1%程度の分だけ向上することができる。
【0065】
なお、積層半導体4Dは必ずしも導体32の両側に位置する必要はなく、また必ずしも導体32の上方の領域に存在していなくてもよい。
図5に例示するように、積層半導体4Dは段差部(導体32)の−Y側の側面の少なくとも一部に接していればよい。これによっても、積層半導体4Dと導体32とが離間している場合に比べて、積層半導体4Dの幅を向上することができる。例えば
図5において、もし仮に、領域A1において積層半導体4Dが設けられておらず、導体32と積層半導体4DとがY軸方向において離間する場合には、当然に領域A1において発電が行われることはない。他方、
図5の例では、領域A1でも積層半導体4Dが存在しているので、領域A1においても発電が行われるのである。つまり、
図5の太陽電池モジュール100によっても、発電量を向上することができる。
【0066】
なお
図5の例においても、電極22Dは導体32と離間する必要がある。電極22Dが導体32と接していると、この導体32を介して電極22Dが電極21Dと短絡するからである。そこで、電極22DはY軸方向において導体32と離間しているとよい。つまり、電極22は、導体32の上方の領域を避けて設けられているとよい。更に言い換えると、電極22Dの+Y側の端面は、導体32の−Y側の端面よりも−Y側に位置しているとよい。
【0067】
また、
図6に例示するように、積層半導体4が導体32の上方の領域にも位置する場合であっても、電極22Dは、導体32の上方の領域を避けて設けられても構わない。導体32が厚い場合には、導体32の側面に対して積層半導体4が十分な幅で設けられない可能性があるからである。つまり、この場合には、電極22Dが導体32とY軸方向において離間することにより、電極22Dと導体32との間の短絡を回避する。具体的には、電極22Dの+Y側の端面を、導体32の−Y側の端に対して、−Y側に位置させる。
【0068】
<製造方法>
図7は、太陽電池モジュール100の製造方法の一例を示す図である。まずステップS1にて、基板1が準備される。この基板1には、例えば所定の前処理(例えば洗浄処理などの処理)が施されていてもよい。次にステップS2にて、この基板1の上に、電極21および接続用電極221が形成される。電極21および接続用電極221の形成方法は特に制限されないものの、その一例について概説する。ここでは、一例として、電極21および接続用電極221を同一材料で形成する。例えば、スパッタリング法、蒸着法または化学的気相成長(CVD)法等によって、電極層を基板1の上に形成する。そして、所定の位置において、この電極層に溝P1を形成して電極21および接続用電極221を形成する。溝P1は例えば、フォトリソグラフィー法などによって形成され得る。
【0069】
次にステップS3にて、導体32が電極21Dの上に設置される。例えば、配線321の少なくとも一方の面に半田メッキが施され、当該面を電極21Dに向けて、配線321を電極21Dの端部の上に配置してもよい。その状態において、例えば、超音波半田付けによって、半田メッキを配線321および電極21Dに固着させる。これにより、接続部材322が形成される。
【0070】
次に、ステップS4にて、積層半導体4を形成する。具体的には、まず、基板1、電極21および接続用電極221の一組の上に所望の形状で半導体層41を形成する。半導体層41の形成方法も特に制限されないが、ペロブスカイト太陽電池で用いる光電変換層を、積層半導体4として採用する場合、例えば、塗布法、または、スパッタリング法により、半導体層41を形成し得る。
【0071】
次に、半導体層41の上に半導体層42を形成する。半導体層42の形成方法も特に制限されないが、ペロブスカイト太陽電池で用いる光電変換層を、積層半導体4として採用する場合、例えば、塗布法、または、蒸着法などにより、半導体層42を形成し得る。
【0072】
次に、半導体層42の上に半導体層43を形成する。半導体層43の形成方法も特に制限されないが、ペロブスカイト太陽電池で用いる光電変換層を、積層半導体4として採用する場合、例えば、塗布法、または、スパッタリング法などにより、半導体層43を形成し得る。
【0073】
このようにして、積層半導体4が形成される。次に、ステップS5にて、積層半導体4の上に電極22を形成する。電極22の形成方法も特に制限されないものの、例えば、次のように形成できる。例えば、スパッタリング法、蒸着法または化学的気相成長(CVD)法等によって、電極層を電極21および積層半導体4の一組の上に形成する。そして、所定の位置において、この電極層に、電極22を互いに区別するための溝を形成する。この溝は例えば、フォトリソグラフィー法などによって形成され得る。
【0074】
次に、ステップS6にて、導体31を設置する。導体31の設置方法は導体32と同様であるので、繰り返しの説明を避ける。なおステップS6は、ステップS2の後であれば、どのタイミングで実行されても構わない。
【0075】
以上のように、本製造方法によれば、積層半導体4Dを形成するときに(ステップS4)は、既に導体32が設置されている(ステップS3)。したがって、積層半導体4Dを段差部(例えば導体32)に適切に接触させることができる。
【0076】
<導体32および半導体層41,42の位置関係>
図4および
図5においては、例えば、半導体層41は導体32に接しており、半導体層42は半導体層41を介して導体32と対向している。この場合、半導体層42は導体32に接しない。もし半導体層42が導体32に接すると、その界面付近において、半導体層42で生成されたキャリア(電子または正孔)が、導体32において再結合し得る。つまり、
図4および
図5に例示するように、半導体層42が半導体層41を介して導体32と対面する場合には、このようなキャリアの再結合を抑制、または、回避することができる。これによっても、太陽電池モジュール100の発電量を向上することができる。
【0077】
<導体32の接合強度>
<接続部材322と半導体層41との相性>
接続部材322は、例えば半田(より具体的には、例えば鉛およびスズを含む合金)によって形成される。そして、電極21Dが上述の透明電極であり、接続部材322が半田である場合、接続部材322と電極21Dとの間の、材料的な観点での接合強度がさほど高くない場合がある。よってこの場合、導体32が電極21Dから剥がれ得る。そこで、接続部材322と接する半導体層41の材料として、例えば、接続部材3として半田を使用して、半導体層41として酸化チタン(IV)を採用してもよい。酸化チタンと接続部材322との相性は良く、これらの材料的な観点での接合強度は、接続部材322と透明電極との材料的な観点での接合強度よりも高い。これによれば、高い接合強度で接続部材322が半導体層41に接合されるので、全体としての導体32の接合強度を向上することができる。よって導体32が剥がれる可能性を低減できる。
【0078】
また、材料的な接合強度が高い組み合わせの例として、接続部材322および半導体層41はそれぞれ鉛およびスズを含む合金および、酸化チタンで形成されてもよい。
【0079】
<接続部材322と下地層と、電極21との位置関係>
図8は、太陽電池モジュール100Aの+Y側の端部の断面の一例を概略的に示す図である。太陽電池モジュール100Aは、太陽電池モジュール100と比べて、下地層5を更に備えている。下地層5は基板1と電極21Dとの間に介在している。本開示の下地層5は、例えば酸化チタン(IV)によって形成される層であり、例えば塗布法またはスパッタリング法によって形成され得る。下地層5の厚みは、適宜に設定されればよく、例えば、10[nm]以上且つ1[μm]以下程度に設定され得る。
【0080】
また接続部材322は、下地層5の上に位置しつつ、電極21Dの側面(端面)と接している。例えば、電極21Dには、接続部材322に相当する部分において孔が形成されており、その孔に接続部材322の一部が埋まっている。つまり接続部材322は電極21DをZ軸方向において貫通している。また、この接続部材322は、その−Z側の一主面(下面)において下地層5に接しており、例えばその両側面(−Y側の側面および+Y側の側面)において、電極21Dに接している。接続部材322が電極21Dと接することにより、配線321は接続部材322を介して電極21Dと電気的に接続される。なお、接続部材332は、電極21Dと接していればよく、接続部材332は電極21Dの孔から電極21Dの上面に延在していてもよい。
【0081】
この構造においても、導体32は電極21Dとともに段差部を形成している。例えば導体32が電極21Dよりも十分に厚く設定されることにより、段差部が形成される。積層半導体4Dは、この段差部に接している。より具体的には、積層半導体4Dは、導体32の−Y側の側面のみならず、導体32の上方の領域、および、導体32に対して+Y側の領域にも位置している。よって、太陽電池モジュール100と同様に、太陽電池モジュール100Aの発電量を向上できる。
【0082】
しかも、この構造によれば、接続部材322は、より広い下面において、下地層5に接合される。接続部材322が半田(例えば鉛およびスズを含む合金)であり、下地層5が酸化チタン層である場合、材料という観点での接合強度が高い下地層5に対して、より広い面積で、接続部材322が接合している。これによれば、より効果的に接続部材322の接合強度を向上することができ、導体32が剥がれる可能性を更に低減することができる。
【0083】
このような構造は、例えば、次の手順で実現され得る。まず、基板1の上に下地層5および電極21Dをこの順で形成する。下地層5は、例えば、塗布法またはスパッタリング法などによって形成し得る。電極21Dは、例えば、スパッタリング法、蒸着法または化学的気相成長(CVD)法等によって、形成し得る。次に、接続部材322を用いて、配線321を電極21Dに固定する。接続部材322が半田である場合、半田付けによって、配線321を電極21Dに固定する。例えばこの半田付けに起因して、電極21Dの一部(接続部材322に相当する部分)が除去され得、接続部材322がその下層の下地層5に接合するとともに、その側面において、電極21Dと接合する。
【0084】
当該除去は、例えば、次のメカニズムによって実現され得る。例えば、電極21Dが透明電極としての酸化物を含む場合、接続部材322(例えば半田)に含まれる酸化除去材(いわゆるフラックス)が当該酸化物を除去することができる。電極21Dの膜厚および半田付けの条件などを調整することで、電極21Dを除去しつつ、接続部材322を下地層5に接合することができる。あるいは、他のメカニズムによって電極21Dが除去されてもよい。例えば熱または超音波振動に起因して、電極21Dを除去し得る。あるいは、電極21Dに対して、半田付けに起因した除去以外の除去を施してもよい。例えばフォトリソグラフィー法またはレーザ等を用いて電極21Dの一部を除去し、当該一部において、接続部材322を用いて配線321を固定しても構わない。
【0085】
<太陽電池モジュール100C>
図9から
図11は、太陽電池モジュール100Cの構成の一例を、概略的に示す図である。
図9では、太陽電池モジュール100Cの中央付近の断面が示されており、
図10では、太陽電池モジュール100Cの−Y側の端付近の断面が示されており、
図11では、太陽電池モジュール100Cの+Y側の端付近の断面が示されている。
【0086】
太陽電池モジュール100Cにおいては、電極21および電極22の替わりに電極2が設けられている。複数の電極2は基板1の上に位置している。これら複数の電極2はY軸方向において相互に間隔を空けて並んで配されている。つまり、隣り合う電極2の間には、これらを分離する領域としての溝P1’が配されている。よって、隣り合う電極2は溝P1’を介して離間している。具体的には、溝P1’は電極2の+Z側の一主面(上面)から−Z側の一主面(下面)までの領域に配されている。電極2の各々は、平面視において、例えばX軸方向に長い長尺状の形状(例えば長方形の形状)を有していてもよい。言い換えれば、電極2の各々はX軸方向に沿って延在してもよい。この場合、この溝P1’もX軸方向に沿って延在する。
【0087】
太陽電池モジュール100Cにおいては、各電極2が、互いに接続される一対の電極21,22として機能する。つまり、ある光電変換セル10の電極21、および、当該光電変換セル10に隣り合う光電変換セル10の電極22が、電極2を構成する。例えば、電極2のうち−Y側の部分は、電極21として機能し、電極2のうち+Y側の部分は、電極22として機能する。
【0088】
複数の積層半導体4の各々は、隣り合う2つの電極2の上に位置している。例えばある積層半導体4は、一方の電極2のうち電極21に相当する部分、および、他方の電極2のうち電極22に相当する部分に跨って配されている。ここで、代表的に電極2a〜2cを導入して説明する。電極2a〜2cは、隣り合う3つの電極2であり、−Y側から+Y側に向かってこの順で配されている。
図9の例においては、積層半導体4Aは、電極2aのうち電極22Aに相当する部分、および、電極2bのうち電極21Aに相当する部分に跨って配されている。積層半導体4Bは、電極2bのうち電極22Bに相当する部分、および、電極2cのうち電極21Bに相当する部分に跨って配されている。このような構造によれば、積層半導体4A,4Bは電極2bによって相互に直列に接続される。
【0089】
隣り合う積層半導体4の間には、これらを分離する領域としての溝P2’が配されている。つまり、隣り合う積層半導体4は、溝P2’を介して離間している。具体的には、溝P2’は、積層半導体4の+Z側の一主面(上面)から−Z側の一主面(下面)までの領域に配されている。この溝P2’は例えばX軸方向に沿って延在する。
【0090】
溝P2’は電極2の上に位置する。例えば積層半導体4A,4Bについて説明すると、積層半導体4A,4Bを分離する溝P2’は電極2bの上に位置している。言い換えると、積層半導体4A,4Bは電極2bの上において互いに離間している。
【0091】
積層半導体4の各々は、太陽電池モジュール100と同様に、半導体層41〜43を有しているものの、その位置関係は太陽電池モジュール100におけるそれと相違する。半導体層41,43は、それぞれ電極2の上に位置しており、Y軸方向において相互に離間している。具体的には、半導体層41は、電極2のうち電極21に相当する部分の上に位置しており、半導体層43は、電極2のうち電極22に相当する部分の上に位置している。例えば積層半導体4Bにおいて、半導体層41は電極2cのうち電極21Bに相当する部分の上に位置し、半導体層43は電極2bのうち電極22Bに相当する部分の上に位置している。
【0092】
半導体層42は、半導体層41,43の上に位置している。具体的には、半導体層42は、半導体層41,43の上の領域と、半導体層41,42の間に相当する領域とに位置している。
【0093】
このような太陽電池モジュール100Cにおいても、半導体層42は外光を吸収して正孔および電子を生成する。この正孔は半導体層43を介して電極22へと移動し、電子は半導体層41を介して電極21へと移動する。これにより、光電変換セル10は光を吸収して発電を行うことができる。
【0094】
この太陽電池モジュール100Cにおいても、
図11に示すように、積層半導体4Dは、段差部(ここでは導体32)に接している。つまり、積層半導体4Dは、少なくとも、導体32の−Y側の側面に接している。
図11の例においては、積層半導体4Dの半導体層41は、導体32の−Y側の側面、上面、および、+Y側の側面に接しており、また、導体32に対して+Y側の領域において、電極21Dの上に位置している。そして、半導体層41の上に、積層半導体4Dの半導体層42が位置している。
【0095】
この構造によれば、太陽電池モジュール100と同様に、積層半導体4Dの幅を向上することができる。したがって、太陽電池モジュール100Cの発電量を向上することができる。
【0096】
しかも、太陽電池モジュール100Cによれば、導体32の上方の領域には、電極22が位置しない。したがって、導体32と電極22との間の短絡は発生しない。
【0097】
また、太陽電池モジュール100Cにおいては、
図10に示すように、積層半導体4Cも、段差部(ここでは導体31)に接していてもよい。つまり、積層半導体4Cは、少なくとも、導体31の+Y側の側面に接していてもよい。
図10の例においては、積層半導体4Cの半導体層43は、導体32の+Y側の側面、上面、および−Y側の側面に接しており、また、導体32に対して−Y側の領域において、電極22Cの上に位置している。そして、この半導体層43の上には、積層半導体4Cの半導体層42が位置している。この構造によれば、積層半導体4Dと同様に、積層半導体4Cの幅(Y軸方向に沿う幅)を向上することができる。
【0098】
以上のように、太陽電池モジュール100Cによれば、そのY軸方向における片側の端のみならず、両側の端において、それぞれ積層半導体4C,4Dの幅を向上することができる。よって、太陽電池モジュール100Cの発電領域を更に広げることができ、更に発電量を向上することができる。
【0099】
なお、積層半導体4は上述の構成に限らない。要するに、光を吸収して発電できる任意の構成を積層半導体4に採用すればよい。例えば、積層半導体4は、アモルファスシリコンなどの非晶質系の半導体を有していてもよく、あるいは、カルコパイライト系の化合物半導体であるI−III−VI族化合物半導体、II-VI族化合物半導体、III-V族化合物半導体またはII-IV-V族化合物半導体などの化合物半導体を有していてもよい。
【0100】
以上のように、太陽電池モジュールおよび太陽電池モジュールの製造方法は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この開示がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない多数の変形例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。例えば、
図11の光電変換セル10Cを、太陽電池モジュール100,100A,100Bの光電変換セル10Cに適用してもよい。これによっても、太陽電池モジュールのY軸方向における両端において、積層半導体4C,4Dの幅を向上することができ、発電量を向上することができる。