特許第6778082号(P6778082)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6778082音響特性調整機能を備えたナースコールシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6778082
(24)【登録日】2020年10月13日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】音響特性調整機能を備えたナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20201019BHJP
   H04M 9/08 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   A61G12/00 E
   H04M9/08
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-212477(P2016-212477)
(22)【出願日】2016年10月31日
(65)【公開番号】特開2018-68683(P2018-68683A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】河田 敏雄
【審査官】 西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−318577(JP,A)
【文献】 特開2015−071011(JP,A)
【文献】 特開2014−171191(JP,A)
【文献】 特開2006−033163(JP,A)
【文献】 特開2016−000069(JP,A)
【文献】 特開2006−095037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
H04M 9/00− 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が使用するスピーカを含む患者通話手段と、看護師が使用するマイクを含む看護師通話手段と、患者通話手段からの呼び出しを看護師通話手段に中継する制御機と、前記スピーカおよび/またはマイクの音響特性を調整する調整手段と、複数の患者に関する情報を記憶する記憶手段とを備え、
前記患者通話手段が、多床病室の天井部に設けられた天井部通話装置を含み、
前記制御機が、患者に関する情報を記憶手段から読み出し、読み出した患者情報に前記マイクおよび/またはスピーカの音響特性が適合するように、前記調整手段を制御することを特徴とするナースコールシステム。
【請求項2】
前記患者の院内位置を検出する位置検出手段をさらに備え、前記制御機が、患者の院内位置情報および前記患者情報に基づいて前記調整手段を制御する請求項1記載のナースコールシステム。
【請求項3】
前記患者通話手段が、病室内のベッドに設けられたベッド子機を含む請求項1又は2記載のナースコールシステム。
【請求項4】
前記患者通話手段が、病室外の廊下、トイレ、待合室等の共用部に設けられた共用部通話装置を含む請求項1〜3の何れか一項に記載のナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や介護施設等(以下、病院と呼ぶ)に設備されたナースコールシステムに関し、詳しくは、患者や被介護者等(以下、患者と呼ぶ)が使用する通話手段の音響特性をその患者に固有の情報に基づいて調整する機能を備えたナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、人の聴覚は高齢になるほど衰え、特に高域周波数の音声に対する感度が衰える傾向にあるため、高齢の入院患者は看護師が話す音声を聞き難く、通話に支障をきたすことがある。そこで、従来、高齢患者が看護師と容易に通話できるように、病院内のマイクやスピーカの音響特性を調整する技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、マイクに入力された音声をアナログ信号からデジタル信号に変換した後に低周波数帯にシフトし、病院内の複数のスピーカから一斉放送する放送装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、親機が患者に関する情報を記憶する患者情報記憶部を備え、子機がスピーカからの音声を加工する音声加工部と、患者の年齢情報に基づいて音声加工部を制御する制御部とを備え、子機スピーカから高齢患者に聞き取りやすい音声を提供するナースコールシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−13369号公報
【特許文献2】特開2007−318577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1の一斉放送は、一人の患者と一人の看護師が通話するナースコールシステムに適用することができない。特許文献2のナースコールシステムは、病室内の子機とナースセンターの親機との間の通話に限られているため、患者が病室外の共用部や別病棟から呼び出した場合に、その患者に関する情報も、患者が使用している通話手段も特定することができず、当然、看護師からの音声を聞き易くすることもできなかった。
【0007】
本発明は、上記課題に着目してなされたものであり、その目的は、患者の呼び出しを中継する制御機を利用し、その患者が使用する通話手段の音響特性を聞き取り易く調整することができるナースコールシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のナースコールシステムは、患者が使用するスピーカを含む患者通話手段と、看護師が使用するマイクを含む看護師通話手段と、患者通話手段からの呼び出しを看護師通話手段に中継する制御機と、スピーカおよび/またはマイクの音響特性を調整する調整手段と、複数の患者に関する情報を記憶する記憶手段とを備え、制御機が、患者に関する情報を記憶手段から読み出し、読み出した患者情報にマイクおよび/またはスピーカの音響特性が適合するように調整手段を制御することを特徴とする。
【0009】
本発明の好ましい実施形態では、ナースコールシステムが、患者の院内位置を検出する位置検出手段をさらに備える。そして、制御機が、検出された患者の院内位置情報および記憶手段から読み出した患者情報に基づいて調整手段を制御するように構成されている。
【0010】
ここで、患者通話手段としては、病室内のベッドに設けられたベッド子機、病室外の廊下、トイレ、待合室等の共用部に設けられた共用部通話装置、多床病室の天井部に設けられた天井通話装置のうち、少なくとも一つの通話手段またはすべての通話手段を含むことができる。看護師通話手段としては、ナースセンターに設置された親機、または、看護師が院内で携帯するスマートフォン等の無線情報端末を例示できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のナースコールシステムによれば、患者からの呼び出しを中継する制御機が、その患者に関する情報に基づいてマイクおよび/またはスピーカーの音響特性を制御するように構成したので、患者が病室内のみならず病室外から呼び出した場合でも、その患者の受話音を聞き取り易く調整することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態を示すナースコールシステムのブロック図である。
図2】制御機の構成を機能的に示すブロック図である。
図3図1のナースコールシステムの動作を示すフローチャートである。
図4】子機スピーカの音響特性を示すグラフである。
図5】共用部通話装置を含むナースコールシステムのブロック図である。
図6図5のナースコールシステムの動作を示すフローチャートである。
図7】天井通話装置を含むナースコールシステムのブロック図である。
図8】親機マイクの音響特性を調整可能なナースコールシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すナースコールシステム1は、病室のベッドに装備されたベッド子機2、ナースセンター内に設置されたナースコール親機3、ベッド子機2からの呼び出しをナースコール親機3に中継する制御機4、病室前の廊下で呼び出しを表示する廊下灯5、複数の患者に関する情報を記憶する記憶装置6、および、患者の院内位置を検出する位置検出装置7から構成されている。
【0014】
ベッド子機2には、患者が看護師を呼び出す呼出ボタン11、患者が使用するマイク12およびスピーカ13、スピーカ13の周波数特性を調整するフィルタ回路14、スピーカ13の音量調整スイッチ15を備えたアンプ16、制御機4からの指令に従ってフィルタ回路14および音量調整スイッチ15を制御する子機CPU17が設けられている。ナースコール親機3には、患者からの呼び出しを表示する表示器21、看護師が使用するマイク22およびスピーカ23が設けられている。
【0015】
記憶装置6としては、ナースコールシステム1に直属のナースコールサーバに設けられた記憶装置、病院全体のオーダリングシステムに所属する記憶装置のほか、制御機4に設けられた記憶装置を使用することができる。位置検出装置7には、患者が所持する可動局と病院内の各所に設置された固定局の間の交信情報に基づいて患者が現在いる院内位置を特定するシステム、例えば、IMES(Indoor MEssaging System)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)などの屋内用位置検出または測位システムを利用することができる。
【0016】
図2に示すように、制御機4には、制御機CPU31が実行するプログラムにより、ベッド子機2等の患者通話手段とナースコール親機3等の看護師通話手段の間で呼出信号や音声信号を中継する信号中継部32と、記憶装置6に記憶された患者情報から患者の年齢、性別、検査結果などの情報を読み取る患者情報読取部33と、位置検出装置7から患者の院内位置情報を読み取る位置情報読取部34と、患者情報と院内位置情報に基づいて音響調整指令を作成し、これを出力する音響調整指令部35が設けられている。
【0017】
次に、ナースコールシステム1の動作について説明する。図3に示すように、患者がベッド子機2の呼出ボタン11を押すと(S21)、制御機4は呼出信号をベッド子機2からナースコール親機3に中継し(S41)、ナースコール親機3が表示器21により患者からの呼び出しを看護師に報知する(S31)。そして、看護師が呼出元のベッド子機2を選局すると、制御機4は呼出元の患者に関する情報を記憶装置6から読み出し(S42)、その患者情報のうちの例えば年齢情報や聴力検査結果に適合する音響調整指令を作成し(S43)、その指令をベッド子機2に出力する(S44)。
【0018】
患者がベッド子機2から呼び出した場合は、患者の院内位置を知る必要がないため、制御機4は、位置検出装置7にアクセスすることなく、患者情報のみに基づいて作成した音響調整指令をベッド子機2に送信する。そして、子機CPU17が、制御機4からの制御指令に従って、フィルタ回路14の周波数特性を調整するとともに(S22)、必要に応じて音量調整スイッチ15を切り替えた後に、通話を開始する(S23)。同時に、ナースコール親機3も通話を開始し(S33)、制御機4が患者および看護師の音声をベッド子機2とナースコール親機3の間で中継する(S45)。
【0019】
したがって、この実施形態のナースコールシステム1によれば、看護師からの送話音声を患者の年齢や聴力に適った聞き取りやすい音質・音量でベッド子機3のスピーカ13から発生することができる。例えば、図4に示すように、一般患者用の周波数特性(破線曲線で示す)と比較し、高周波数域でより大きなゲインが得られる高齢患者用の周波数特性(実線曲線で示す)を備えた音質の音声をスピーカ13から発生することができる。
【0020】
また、この実施形態のナースコールシステム1によれば、音響調整指令が患者からの呼び出しを中継する制御機4から出力されるので、患者が使用する通話手段は病室内のベッド子機2に限定されず、位置検出装置7との連係動作によって、病室外の共用部に設備された共用部通話装置のスピーカ、あるいは、多床病室の天井部に設備された天井通話装置のスピーカからも患者に聞き取り易い音声を発生することができる。
【0021】
図5および図6は、共用部通話装置41を含むナースコールシステム1と位置検出装置7との連係動作を示す。図5に示すように、共用部通話装置41は、病院内の廊下、トイレ、待合室等の共用部に設けられ、ベッド子機2と同様に、呼出ボタン11、マイク12、スピーカ13、フィルタ回路14、音量調整スイッチ15、アンプ16、CPU17を備えている。
【0022】
そして、図6に示すように、患者が呼出ボタン11を押すと(S21)、制御機4が呼出信号を共用部通話装置41からナースコール親機3に中継し(S41)、位置検出装置7と連携して呼出元の共用部通話装置41に最寄りの患者を特定し(S46)、その患者が所持する無線端末(可動局)に関連付けられた呼出元の患者情報を記憶装置6から読み出し(S42)、その患者の年齢や聴力に適合する音響調整指令を共用部通話装置41に出力する(S43,S44)。
【0023】
図7は、複数のベッドが設置された多床病室の天井通話装置51を含むナースコールシステム1を示す。このナースコールシステム1では、患者が多床病室内で呼出ボタンや無線呼出子機(図示略)で呼出信号を発生させた場合に、制御機4はその呼出信号をナースコール親機に中継する一方、位置検出装置7から取得した位置情報に基づいて多床病室内の入院患者を特定するとともに、記憶装置6から読み出した患者情報から患者の年齢や検査結果を確認し、高齢患者や聴覚障害患者が在室している場合に、音響調整指令を天井通話装置51のCPU17に出力するようになっている。したがって、図5および図7に示すナースコールシステム1によっても、共用部通話装置41および天井通話装置51のスピーカ13から高齢患者等に聞き取り易い音声を発生することができる。
【0024】
なお、上記実施形態では、制御機4が患者通話手段2,41,51の音響特性を調整しているが、ナースコール親機3や看護師が携帯する無線情報端末等の看護師通話手段の音響特性を調整することもできる。例えば、図8に示すように、マイク22に接続されたアンプ56の音量調整スイッチ55やフィルタ回路54の周波数特性を調整することで、看護師の音声を高齢患者や聴覚障害患者が聞き取り易くすることができる。その他、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の構成を適宜変更して実施することも可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 ナースコールシステム
2 ベッド子機
3 ナースコール親機
4 制御機
6 患者情報記憶装置
7 位置検出装置
12 マイク
13 スピーカ
14 フィルタ回路
17 子機CPU
22 マイク
23 スピーカ
32 信号中継部
33 患者情報読取部
34 位置情報読取部
35 音響調整指令部
41 共用部通話装置
51 天井通話装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8