(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判断手段は、前記入力手段に入力されたパラメータ又はそのパラメータの変化率が所定範囲内を継続的に推移したことを条件として当該パラメータが安定したと判断し、前記通知手段にて前記運動開始タイミングを通知させ得ることを特徴とする請求項2記載の運動支援装置。
前記入力手段に入力されるパラメータは、患者の循環血液量の変化に関わるパラメータ、患者のバイタルサインに関わるパラメータ、又は血液浄化治療に関わるパラメータから成ることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の運動支援装置。
前記入力手段に入力されるパラメータは、血液浄化治療を行うための血液浄化装置に備えられたセンサにて検出されることを特徴とする請求項2〜4の何れか1つに記載の運動支援装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術においては、以下のような問題があった。
血液浄化治療が行われる患者は、運動耐容能が低いことから、安全性を確保するために運動強度を低或いは中程度に設定するとともに、患者が極めてきついと感じない程度の運動強度に設定する必要がある。しかしながら、医師等医療従事者による巡回で運動中の患者の状態を確認するにとどまっているのが現状とされており、安全性を向上させつつ血液浄化治療中の運動を行わせることができる運動支援装置が望まれている。
【0004】
また、従来、例えば血液浄化治療の開始から所定時間(例えば30分程度)が経過すると、医師等医療従事者の合図により運動が開始されるものとされていたが、この場合、運動開始時間が一律とされているため、患者の状態や治療の状態を一切考慮せず運動を開始せざるを得ないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、患者の状態又は治療の状態に応じて血液浄化治療中における運動を適切なタイミングで開始させることができる運動支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、血液浄化治療中に患者が行う運動を支援し得る運動支援装置であって、患者の状態又は治療の状態に応じて個々の血液浄化治療毎に運動開始タイミングを通知
する通知手段を具備
するとともに、血液浄化治療を行うための血液浄化装置に備えられたセンサにて検出された患者の状態又は治療の状態に関わるパラメータに基づいて前記運動開始タイミングを通知することを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の運動支援装置において、前記血液浄化治療開始後における患者の循環動態を示すパラメータを入力可能な入力手段と、該入力手段にて入力されたパラメータが安定したことを判断する判断手段とを具備し、前記通知手段は、前記判断手段による判断に基づいて前記運動開始タイミングを通知し得ることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の運動支援装置において、前記判断手段は、前記入力手段に入力されたパラメータ又はそのパラメータの変化率が所定範囲内を継続的に推移したことを条件として当該パラメータが安定したと判断し、前記通知手段にて前記運動開始タイミングを通知させ得ることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項2又は請求項3記載の運動支援装置において、前記入力手段に入力されるパラメータは、患者の循環血液量の変化に関わるパラメータ、患者のバイタルサインに関わるパラメータ、又は血液浄化治療に関わるパラメータから成ることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項2〜4の何れか1つに記載の運動支援装置において、前記入力手段に入力されるパラメータは、血液浄化治療を行うための血液浄化装置に備えられたセンサにて検出されることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5の何れか1つに記載の運動支援装置において、患者のバイタルサインに関わるパラメータを検出するための検出手段を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、患者の状態又は治療の状態に応じて個々の血液浄化治療毎に運動開始タイミングを通知可能な通知手段を具備したので、患者の状態又は治療の状態に応じて血液浄化治療中における運動を適切なタイミングで開始させることができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、血液浄化治療開始後における患者の循環動態を示すパラメータを入力可能な入力手段と、該入力手段にて入力されたパラメータが安定したことを判断する判断手段とを具備し、通知手段は、判断手段による判断に基づいて運動開始タイミングを通知し得るので、より適切なタイミングで運動を開始させることができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、判断手段は、入力手段に入力されたパラメータ又はそのパラメータの変化率が所定範囲内を継続的に推移したことを条件として当該パラメータが安定したと判断し、通知手段にて運動開始タイミングを通知させ得るので、運動開始タイミングを的確に通知することができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、入力手段に入力されるパラメータは、患者の循環血液量の変化に関わるパラメータ、患者のバイタルサインに関わるパラメータ、又は血液浄化治療に関わるパラメータから成るので、運動開始タイミングをより的確に通知することができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、入力手段に入力されるパラメータは、血液浄化治療を行うための血液浄化装置に備えられたセンサにて検出されるので、治療のためのセンサを流用して運動開始タイミングの通知を行わせることができる。
【0017】
請求項6の発明によれば、患者のバイタルサインに関わるパラメータを検出するための検出手段を具備したので、運動開始タイミングを通知する際、患者の状態をより的確に把握させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
第1の実施形態に係る運動支援装置は、血液浄化治療中に患者が行う運動を支援し得るもので、
図1に示すように、血液浄化治療(透析治療)を行うための血液透析装置1に配設されたブラッドボリューム計2及び血圧計3と、運動手段Sと、入力手段4と、判断手段5と、通知手段6と、監視手段7とを有して構成されている。
【0020】
本実施形態に適用される血液透析装置1は、
図2、3に示すように、患者の血液を体外循環させるための血液回路8と、該血液回路8に接続されて血液透析処理を行うためのダイアライザ9と、該ダイアライザ9に接続されて透析液を供給しつつ除水する透析装置本体12とから主に構成されている。なお、血液回路8は、同図に示すように、可撓性チューブから成る動脈側血液回路8a及び静脈側血液回路8bから主に構成されており、これら動脈側血液回路8aと静脈側血液回路8bの間にダイアライザ9が接続されている。
【0021】
動脈側血液回路8aには、その先端に動脈側穿刺針aが接続されているとともに、途中にしごき型の血液ポンプ10、ヘマトクリットセンサ15が配設されている。一方、静脈側血液回路8bには、その先端に静脈側穿刺針bが接続されているとともに、途中に除泡用のエアトラップチャンバ11が接続されている。なお、本明細書においては、血液を脱血(採血)する穿刺針の側を「動脈側」と称し、血液を返血する穿刺針の側を「静脈側」と称しており、「動脈側」及び「静脈側」とは、穿刺の対象となる血管が動脈及び静脈の何れかによって定義されるものではない。
【0022】
そして、動脈側穿刺針a及び静脈側穿刺針bを患者に穿刺した状態で、血液ポンプ10を駆動させると、患者の血液は、動脈側血液回路8aを通ってダイアライザ9に至り、該ダイアライザ9によって血液浄化が施され、エアトラップチャンバ11で除泡がなされつつ静脈側血液回路8bを通って患者の体内に戻る。このように、患者の血液を血液回路8にて体外循環させつつダイアライザ9にて浄化するのである。
【0023】
ダイアライザ9は、その筐体部に、血液導入ポート9a、血液導出ポート9b、透析液導入ポート9c及び透析液導出ポート9dが形成されており、このうち血液導入ポート9aには動脈側血液回路8aの基端が、血液導出ポート9bには静脈側血液回路8bの基端がそれぞれ接続されている。また、透析液導入ポート9c及び透析液導出ポート9dは、透析装置本体12から延設された透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2とそれぞれ接続されている。
【0024】
ダイアライザ9内には、複数の中空糸が収容されており、該中空糸内部が血液の流路とされるとともに、中空糸外周面と筐体部の内周面との間が透析液の流路とされている。中空糸には、その外周面と内周面とを貫通した微少な孔(ポア)が多数形成されて中空糸膜を形成しており、該膜を介して血液中の不純物等が透析液内に透過し得るよう構成されている。
【0025】
一方、透析装置本体12は、
図3に示すように、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2に跨って形成された複式ポンプPと、透析液排出ラインL2において複式ポンプPを迂回して接続されたバイパスラインL3と、該バイパスラインL3に接続された除水ポンプ14とから主に構成されている。そして、複式ポンプPを駆動させることにより、透析液供給装置13から供給された透析液が透析液導入ラインL1を通ってダイアライザ9に至った後、透析液排出ラインL2及びバイパスラインL3を通って装置外部に排出されるようになっている。
【0026】
除水ポンプ14は、ダイアライザ9中を流れる患者の血液から水分を除去して除水を施すためのものである。かかる除水ポンプ14を駆動させると、透析液導入ラインL1から導入される透析液量よりも透析液排出ラインL2から排出される液体の容量が多くなり、その多い容量分だけ血液中から水分が除去されるのである。なお、複式ポンプPに代えて、所謂バランシングチャンバ形式のものとしてもよい。
【0027】
ヘマトクリットセンサ15は、透析治療過程で血液回路8を体外循環する血液の濃度(血液濃度)を時系列的に検出し得るもので、例えばLED等の発光素子及びフォトダイオード等の受光素子を備え、発光素子から血液に所定波長の光を照射するとともに、その透過した光或いは反射した光を受光素子にて受光することにより、血液回路8内を流れて体外循環する患者の血液の濃度を示すヘマトクリット値を測定するものである。ヘマトクリット値とは、血液の濃度を示す指標であり、具体的には、全血に占める赤血球の容積率で表されるものである。
【0028】
血液装置本体12には、循環血液量変化率(ΔBV)を検出し得るセンサとしてのブラッドボリューム計2と、患者の血圧を検出し得るセンサとしての血圧計3とが配設されている。ブラッドボリューム計2は、ヘマトクリットセンサ15と電気的に接続されており、当該ヘマトクリットセンサ15から送信されたヘマトクリット値(血液濃度)に基づき循環血液量変化率(ΔBV)を検出し得るものである。具体的には、ヘマトクリットセンサ15にて得られるヘマトクリット値をHtとおくと、循環血液量変化率ΔBVは、(透析開始時のHt−測定時のHt)/測定時のHt×100なる演算式から求めることができる。これにより、透析治療時間の経過に伴って患者の循環血液量変化率(ΔBV)をリアルタイムで検出することができる。
【0029】
なお、本実施形態においては、測定されたヘマトクリット値に基づいて循環血液量変化率(ΔBV)を求めているが、これに代えて例えばヘモグロビン濃度や血清総蛋白濃度などに基づいて循環血液量変化率(ΔBV)を用いてもよい。また、循環血液量変化率(ΔBV)を求めるためのパラメータを測定するにあたり、光学的或いは超音波等種々形態のものを使用することができる。
【0030】
運動手段Sは、血液浄化治療中(本実施形態においては透析治療中)に患者が運動を行うための手段から成り、例えばベッドに固定した下肢エルゴメータ、ベッドに固定した足踏みペダル、筋力トレーニングのためのセラバンド或いはバランスボール等から成る。なお、血液浄化治療中(本実施形態においては透析治療中)に患者が運動を行うことができれば、特定の器具等を具備する必要はなく、ストレッチや体操による運動であってもよい。
【0031】
ここで、本実施形態に係る運動支援装置は、ブラッドボリューム計2及び血圧計3と電気的に接続された入力手段4と、判断手段5と、通知手段6と、監視手段7とを有して構成されている。入力手段4は、血液浄化治療(血液透析治療)開始後における患者の循環動態を示すパラメータを入力可能なもので、本実施形態においては、ブラッドボリューム計2で測定される患者の循環血液量変化率(ΔBV)(循環血液量の変化に関わるパラメータ)、及び血圧計3で測定される患者の血圧(バイタルサインに関わるパラメータ)が入力される。
【0032】
判断手段5は、入力手段4にて入力されたパラメータ(循環血液量変化率(ΔBV)又は血圧)が安定したことを判断するものである。具体的には、判断手段5は、入力手段4に入力されたパラメータ又はそのパラメータの変化率が所定範囲内を継続的に推移したことを条件として当該パラメータが安定したと判断し、通知手段6にて運動開始タイミングを通知させ得るものである。
【0033】
例えば、入力手段4に入力された患者の循環動態を示すパラメータが循環血液量変化率(ΔBV)である場合、
図4に示すように、循環血液量変化率(ΔBV)の変化率αが継続的に所定範囲D内で推移したことを条件として、当該循環血液量変化率(ΔBV)が安定したと判断することができる。一方、
図5に示すように、循環血液量変化率(ΔBV)の変化率αが継続的に所定範囲D内で推移しない場合、当該循環血液量変化率(ΔBV)が安定していないと判断することができる。
【0034】
通知手段6は、患者の状態又は治療の状態に応じて個々の血液浄化治療毎に運動開始タイミングを通知可能なもので、本実施形態においては、判断手段5による判断に基づいて運動開始タイミングを通知し得るよう構成されている。すなわち、判断手段5にて入力手段4で入力されたパラメータが安定したことを条件として、運動を開始してよい旨を通知手段6にて通知するのである。かかる通知手段6は、運動開始タイミングを表示する表示手段、或いは音声にて運動開始タイミングを報知する報知手段等何れの形態であってもよい。
【0035】
監視手段7は、入力手段4にて入力されたパラメータ(例えば循環血液量変化率(ΔBV))が安定していないと判断手段5が判断した場合、患者の状態の監視又は他のパラメータ(例えば血圧等)の監視を行うためのものである。これにより、入力手段4にて入力されたパラメータが安定していない場合の患者の容態変化等を監視することができ、安全性を確保することができる。
【0036】
次に、本実施形態における制御内容について説明する。
図6に示すように、先ず、S1にて循環血液量変化率(ΔBV)の変化率が安定しているか否かを判断手段5にて判断し、例えば
図4で示すような推移の場合、当該パラメータが安定していると判断し、S2に進んで通知手段6による運動開始タイミングの通知が行われる。なお、S1によるパラメータが安定したとする判断は、循環血液量変化率(ΔBV)が予め設定した閾値を下回ったことを条件としてもよい。
【0037】
一方、S1にて循環血液量変化率(ΔBV)又は循環血液量変化率(ΔBV)の変化率について、例えば
図5で示すような推移の場合、当該パラメータが安定していないと判断手段5にて判断し、S3に進んで監視手段7による監視(患者の状態の監視又は他のパラメータの監視)が行われるとともに、S4にて運動開始タイミングを通知しないと判断される。
【0038】
また、入力手段4に入力された患者の循環動態を示すパラメータが血圧である場合、
図7で示すような制御が行われる。この場合、S1にて血圧計3にて測定した血圧(収縮期血圧、拡張期血圧、平均血圧、脈拍等含む)が治療開始前に測定した血圧と比べて低下したか否か判断され、低下したと判断された場合は、S2にて血圧の低下の程度が安定範囲内か否か判断される。
【0039】
S2にて血圧の低下の程度が安定範囲内であると判断されると、S3に進んで通知手段6による運動開始タイミングの通知が行われるとともに、S2にて血圧の低下の程度が安定範囲内でない(例えば、安静時より100mmHg以上の低下)と判断されると、S5にて運動開始タイミングを通知しないと判断される。一方、S1にて血圧計3にて測定した血圧が治療開始前に測定した血圧と比べて低下していないと判断された場合は、S4に進んで監視手段7による監視(患者の状態の監視又は他のパラメータの監視)が行われるとともに、S5にて運動開始タイミングを通知しないと判断される。
【0040】
しかるに、本実施形態において、入力手段4に入力される患者の循環動態を示すパラメータのうち、患者の循環血液量の変化に関わるパラメータとして循環血液量変化率(ΔBV)を用い、患者のバイタルサインに関わるパラメータとして血圧を用いているが、それぞれ他のパラメータを用いるようにしてもよい。
【0041】
また、本実施形態においては、入力手段4、判断手段5、通知手段6、監視手段7が血液透析装置1の外部に配設されているが、これらのうち特定のもの或いは全てを血液透析装置1の内部に配設するようにしてもよい。その場合、通知手段6は、血液透析装置1が具備する表示手段や音声出力手段等を流用するようにしてもよい。
【0042】
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。
本実施形態に係る運動支援装置は、上記第1の実施形態と同様、血液浄化治療中に患者が行う運動を支援し得るもので、
図8に示すように、運動手段Sと、入力手段4と、判断手段5と、通知手段6と、監視手段7とを有するとともに、心電計16、パルスオキシメータ17、血流計18及び体組成計19で構成される検出手段Eを有して構成されている。なお、第1の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
【0043】
検出手段Eは、血液浄化治療中に行われた運動における患者のバイタルサインに関わるパラメータを検出するためのものである。そのうち、心電計16は、心臓の拍動に伴う心筋の活動電位又は活動電流を検出するためのものである。パルスオキシメータ17は、プローブを指先や耳等に装着して脈拍数と経皮的動脈血酸素飽和度(SpO
2)を検出するためのものである。血流計18は、血液の流れの速さや量等を検出するためのものである。体組成計19は、体脂肪・基礎代謝量・筋肉量など、体の組成に関する種々値を測るもので、例えば患者の体に微弱電流を流し電気抵抗を測定して体の組成に関する値を推定し得るものである。
【0044】
本実施形態においては、心電計16、パルスオキシメータ17、血流計18又は体組成計19で得られた特定の患者のバイタルサインに関わるパラメータを患者の循環動態を示すパラメータとして入力手段4に入力可能とされており、その入力されたパラメータが安定したことを判断手段5にて判断されたことを条件として、通知手段6によって運動開始タイミングを通知可能とされている。
【0045】
例えば、入力手段4に入力された患者の循環動態を示すパラメータが心拍数(呼吸数であってもよい)である場合、
図9に示すような制御が行われる。この場合、S1にて一定時間経過するまで心拍数が上昇した後、安定したか否か判断され、一定時間経過するまで心拍数が上昇した後に安定したと判断された場合は、S2に進んで通知手段6による運動開始タイミングの通知が行われる。一方、S1にて心拍数が一定時間経過するまで上昇しない、或いは一定時間経過するまで上昇した後、安定しないと判断された場合、S3に進む。
【0046】
そして、S3にて監視手段7による監視(患者の状態の監視又は他のパラメータの監視)が行われるとともに、S4にて運動開始タイミングを通知しないと判断される。なお、除水開始しても心拍数が上昇しない場合、他のパラメータを併用して運動開始タイミングを判断するようにしてもよい。また、一定時間経過後に心拍数が著しく上昇又は下降した場合、明らかなST−T変化(心筋虚血を示す変化等)、発作性心房細動、心室性期外収縮頻発、RonT型心室性期外収縮、或いは心室頻拍の出現等がある場合は、運動開始タイミングを通知しないと判断するのが好ましい。
【0047】
さらに、例えば入力手段4に入力された患者の循環動態を示すパラメータが酸素飽和度(末梢の循環状態を反映すると考えられている脈波振幅であってもよい)である場合、
図10に示すような制御が行われる。この場合、S1にて一定時間経過するまで酸素飽和度が上昇した後、安定したか否か判断され、一定時間経過するまで酸素飽和度が上昇した後に安定したと判断された場合は、S2に進んで通知手段6による運動開始タイミングの通知が行われる。
【0048】
一方、S1にて酸素飽和度が一定時間経過するまで上昇しない、或いは一定時間経過するまで酸素飽和度が上昇した後、安定しないと判断された場合、S3に進む。そして、S3にて監視手段7による監視(患者の状態の監視又は他のパラメータの監視)が行われるとともに、S4にて運動開始タイミングを通知しないと判断される。なお、除水を行うことで脈波振幅が低下する傾向がみられるため、脈波振幅が一定値を下回ったところで運動開始タイミングを通知するようにしてもよい。
【0049】
次に、本発明に係る第3の実施形態について説明する。
本実施形態に係る運動支援装置は、上記第1、2の実施形態と同様、血液浄化治療中に患者が行う運動を支援し得るもので、
図11に示すように、運動手段Sと、入力手段4と、判断手段5と、通知手段6と、監視手段7とを有するとともに、入力手段4は、血液透析装置1内に配設された透析量モニタ20と電気的に接続されて構成されている。なお、第1、2の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
【0050】
透析量モニタ20は、透析装置本体12内における透析液排出ラインL2(
図3参照)に配設され、血液浄化治療に伴って排出されたダイアライザ9からの排液の濃度(例えば排液中の尿素濃度)を検出することにより、Kt/V(標準化透析量)を監視し得るものである。なお、Kt/Vは、以下の演算式にて求められる。
【0051】
標準化透析量(Kt/V)=−ln(C(e)/C(s)−0.008t)+(4−3.5×C(e)/C(s))×(V
UF/DW)
但し、C(s)は血液透析治療開始時における尿素窒素濃度(初期値)、C(e)は現時点(監視時点)における尿素窒素濃度、V
UFは除水量、DWは患者のドライウェイト、Kはクリアランス、tは透析治療経過時間、Vは尿素分布体積を示している。
【0052】
本実施形態においては、透析量モニタ20で得られた排液濃度を治療の状態を示すパラメータとして入力手段4に入力可能とされており、その入力されたパラメータが安定したことを判断手段5にて判断されたことを条件として、通知手段6によって運動開始タイミングを通知可能とされている。例えば、
図12に示すように、透析量モニタ20で測定される排液濃度が所定範囲D内を継続的に推移(特に、本実施形態においては、時間T1から時間T2までの間に所定範囲D内で推移)した場合、判断手段5にてパラメータが安定したと判断するとともに、
図13に示すように、排液濃度が所定範囲D内を継続的に推移しない(特に、本実施形態においては、時間T1から時間T2までの間に所定範囲内で推移しない)場合、判断手段5にてパラメータが安定しないと判断するようになっている。
【0053】
上記実施形態によれば、患者の状態又は治療の状態に応じて個々の血液浄化治療毎に運動開始タイミングを通知可能な通知手段6を具備したので、患者の状態又は治療の状態に応じて血液浄化治療中における運動を適切なタイミングで開始させることができる。特に、上記第1及び第2の実施形態によれば、血液浄化治療開始後における患者の循環動態を示すパラメータを入力可能な入力手段4と、該入力手段4にて入力されたパラメータが安定したことを判断する判断手段5とを具備し、通知手段6は、判断手段5による判断に基づいて運動開始タイミングを通知し得るので、より適切なタイミングで運動を開始させることができる。
【0054】
また、本実施形態に係る判断手段5は、入力手段4に入力されたパラメータ又はそのパラメータの変化率が所定範囲内を継続的に推移したことを条件として当該パラメータが安定したと判断し、通知手段6にて運動開始タイミングを通知させ得るので、運動開始タイミングを的確に通知することができる。さらに、入力手段4に入力されるパラメータは、患者の循環血液量の変化に関わるパラメータ(循環血液量変化率(ΔBV)等)、患者のバイタルサインに関わるパラメータ(血圧等)、又は血液浄化治療に関わるパラメータ(排液濃度等)から成るので、運動開始タイミングをより的確に通知することができる。
【0055】
またさらに、第1の実施形態及び第3の実施形態によれば、入力手段4に入力されるパラメータは、血液浄化治療を行うための血液浄化装置に備えられたセンサ(ブラッドボリューム計2、血圧計3、透析液モニタ20等)にて検出されるので、治療のためのセンサを流用して運動開始タイミングの通知を行わせることができる。また、第2の実施形態によれば、患者のバイタルサインに関わるパラメータを検出するための検出手段Eを具備したので、運動開始タイミングを通知する際、患者の状態をより的確に把握させることができる。
【0056】
以上、本実施形態に係る運動支援装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第1の実施形態において、患者の循環血液量の変化に関わるパラメータとして循環血液量変化率を用いているが、これに代えて或いはこれと共に、血液浄化治療中に継続的に測定可能なプラズマリフィリングレート(PRR)を用いるようにしてもよい。かかるプラズマリフィリングレート(PRR)は、血液透析装置1のブラッドボリューム計2を利用して以下の演算式にて算出することができる。ただし、患者の循環血液量を治療前の体重の1/13と仮定して算出している。
【0057】
PRR=(測定区間の除水量+測定区間の循環血液量増加量)/測定区間の時間
測定区間の循環血液量増加量=循環血液量×測定区間のΔBV変化率
循環血液量=治療前の体重/13
【0058】
このプラズマリフィリングレート(PRR)を患者の循環血液の変化に関わるパラメータとして入力手段4に入力した場合、その入力されたプラズマリフィリングレート(PRR)が安定したことを判断手段5にて判断されたことを条件として、通知手段6により運動開始タイミングが通知されることとなる。
【0059】
またさらに、通知手段6による運動開始タイミングの通知の条件として、患者の状態又は治療の状態が所定条件を満たすものであれば足り、例えばカメラにより撮像された患者の様子の画像、体温計により測定された患者の体温、センサにより測定された患者の発汗量が所定条件を満たすことを条件としてもよい。なお、本実施形態においては、血液透析治療を行う血液透析装置1に適用されているが、他の血液浄化治療を行う血液浄化装置に適用するようにしてもよい。